JP4943707B2 - 導電性高分子アクチュエータ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリピロール膜で構成される導電性高分子アクチュエータ素子に関し、特に、駆動電解液中においてカチオンの出入りで伸縮するカチオン駆動型に好適な導電性高分子アクチュエータ素子に関する。
導電性高分子を用いたアクチュエータは、軽量であることから組み込まれる装置全体の重量を軽減することが可能であり、マイクロマシン等の小型の駆動装置のみならず、大型の駆動装置として用いられ、特に、人工筋肉、ロボットアーム、義手やアクチュエータ、ポンプ等の用途として応用が可能である。
ポリピロールに代表される導電性高分子は、導電性を有するだけではなくイオンをドーパントとして取り込むことができ、電圧を印加することによりドーピングと脱ドーピングとを繰り返し行うことができる。そのため、導電性高分子は電気化学的な酸化還元により伸縮若しくは変形する現象である電解伸縮を発現することが可能である。この導電性高分子の電解伸縮は、アクチュエータ素子の駆動として使用できる。
原進、外4名、「高伸縮かつ強力なポリピロールリニアアクチュエータ(Highly Stretchable and Powerful Polypyrrole Linear Actuators)」、ケミストリーレターズ(Chemistry Letters)、日本、日本化学会発行、2003年、第32巻、第7号、p576−577。
従来、導電性高分子アクチュエータを駆動形態で分類すると、アニオンの出入りで伸縮するアニオン駆動型とカチオンの出入りで伸縮するカチオン駆動型に分類される。アニオン駆動型の導電性高分子アクチュエータは種類も多く、30%を越える大きな伸縮率のスルホイミドをドープしたポリピロールアクチュエータが知られている。
しかし、カチオン駆動型の導電性高分子の伸縮率は、凹凸のある金と複合化したドデシルベンゼンスルホン酸をドープしたポリピロール(非特許文献2)の12%が最高であり、必ずしも十分ではなかった。
「A Conducting Polymer Artificial Muscle with 12% Linear Strain」、 Advanced Materials、15巻、279ページ、2003年、WILEY−VCH、L.Bay、他4名
本発明の課題は、従来のカチオン駆動型の導電性高分子アクチュエータと比較して、より大きなカチオン駆動を利用とした高伸縮のカチオン駆動型の導電性高分子アクチュエータを提供するところにある。
上記課題を解決するため、本発明は、
電圧を印加することにより駆動電解液中で駆動するアクチュエータ素子であって、
前記アクチュエータ素子は、次の式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートがドープされたポリピロール膜を含む、導電性高分子アクチュエータ素子を採用した。
特に、前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートにおいてn=2、3又は4が好ましく、より好ましくは、前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートが、n=2である次の式2に示されたトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートである。
本発明は上記の通り、前記導電性高分子として前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェート、特にトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[P(Cがドープされたポリピロール膜から構成された導電性高分子アクチュエータ素子であるため、前記ポリピロール膜に、例えばテトラフェニル硼酸のアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)を含む駆動電解液中で電圧を印加することにより、従来のカチオン駆動型の導電性高分子アクチュエータ素子と比較して、アルカリ金属イオンなどのカチオンが容易に出入り可能であるため、より大きなカチオン駆動を可能にし、高電解伸縮のカチオン駆動型の導電性高分子アクチュエータ素子を提供することができる。
従って、大きなカチオン駆動を利用した高伸縮アクチュエータ素子のほか、アニオン駆動アクチュエータ、特に伸縮が大きなアニオン駆動アクチュエータと組み合わせたアクチュエータ複合素子の構築も可能となる。
(アクチュエータ素子)
本発明のアクチュエータ素子は、前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートにおいてn=1〜8である化合物、好ましくはn=2、3又は4である化合物がドープされたポリピロール膜から構成され、駆動電解液中で該導電性高分子へのドーピング及び脱ドーピングすることができる構成であれば採用することができる。
前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートは、中心である燐原子にフッ素原子が3つ結合し、さらに、置換基である3つのパーフルオロアルキル基を有していることから、前記ポリピロール膜にはトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートが、駆動電解液中のカチオンの出し入れを電圧の印加により可能にしている。
特に、前記式2に示されたトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[P(Cがドープされたポリピロール膜から構成された導電性高分子アクチュエータ素子が好適に用いられる。
なお、前記導電性高分子は、ドーパントであるカチオンとしては特に限定されないが、駆動電解液中でカチオンを形成する電解伸縮用支持塩としてはテトラフェニル硼酸のアルカリ金属塩が好ましい。また、前記導電性高分子はアニオン駆動することも可能であり、アニオン駆動のためにはビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド塩でも良い。
前記導電性高分子が、特定の形状の有形物としてアクチュエータ素子の一部若しくは全体を構成することにより、導電性高分子への電圧印可による電解伸縮により前記導電性高分子が容易に駆動することができる。
また前記アクチュエータの形状としては、上記の形状以外にも使用状況に適した形状に形成することができる。また、本願発明のアクチュエータ素子の形状に保護部材等の部品を付加して所望の形状とすることができる。なお、前記アクチュエータ素子は、既述の通り、電解重合により作用電極上に得られた導電性高分子膜をそのまま用いても良く、積層等の成形を施して、所望の形状にしても良い。さらに、対極についても、柱状に限定されるものではなく、板状等の形状にすることもできる。なお、前記の導電性高分子の有形物は、他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。
(製造方法)
この前記アクチュエータ素子を得る製法としては、ピロール及び前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートを含む製造用電解液中で、電極上に電解重合することによって、前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートをドープしたポリピロール膜を得ることができる。
前記電解重合法の電解液中に含まれ得るトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートは、トリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェート塩として電解重合法における電解液中に加えられる。トリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートと塩を形成するカチオンは、1つの元素から構成されていてもよく、複数の元素より構成されていても良い。前記トリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェート塩は1価の陰イオンを形成することができ、電解液中で解離することができるものであれば特に限定されるものではない。
前記カチオン種は、前記トリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートと塩を形成するものであれば良いが、前記カチオンの塩として、特に、アルカリ金属、テトラアルキルアンモニウム、アルキルイミダゾリウム、アルキルピロリジニウム、アルキルピリジニウムが望ましい。
前記電解重合に用いる電解液(導電性高分子製造用電解液)は、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合あるいは官能基を含む有機化合物を溶媒として用いることが好ましい。
前記有機化合物としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン(以上、エーテル結合を含む有機化合物)、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸-t-ブチル、1,2−ジアセトキシエタン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、エチレングリコール、ブタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−オクタデカノール(以上、ヒドロキシル基を含む有機化合物)、ニトロメタン、ニトロベンゼン(以上、ニトロ基を含む有機化合物)、スルホラン、ジメチルスルホン(以上、スルホン基を含む有機化合物)、及びアセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)を例示することができる。特に、安息香酸メチルなどの芳香族エステル溶液が好ましい。
なお、ヒドロキシル基を含む有機化合物は、特に限定されるものではないが、多価アルコール及び炭素数4以上の1価アルコールであることが、伸縮率が良いために好ましい。なお、前記有機化合物は、前記の例示以外にも、分子中にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち、2つ以上の結合あるいは官能基を任意の組合わせで含む有機化合物であってもよい。
前記カチオン種は、前記電解重合法における電解液中の含有量が特に限定されるものではないが、十分な電解液のイオン導電性を確保するために、塩として電解液中に1〜20重量%含まれるのが好ましく、3〜10重量%含まれるのがより好ましい。
前記電解重合法にて用いられる電解液(導電性高分子製造用電解液)には、さらに、導電性高分子の単量体を含み、さらにポリエチレングリコールやポリアクリルアミドなどの公知のその他の添加剤を含むこともできる。
前記電解重合法は、導電性高分子単量体の電解重合として、公知の電解重合方法を用いることが可能であり、定電位法、定電流法及び電気掃引法のいずれをも用いることができる。例えば、前記電解重合法は、電流密度0.01〜20mA/cm2、反応温度−70〜80℃で行うことができ、良好な膜質の導電性高分子を得るために、電流密度0.1〜2mA/cm、反応温度−40〜40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が−30〜30℃の条件であることがより好ましい。
前記電解重合法に用いられる、作用電極は、電解重合に用いることができれば特に限定されるものではなく、炭素電極や金属電極、ITOガラス電極などを用いることができる。
なお、金属電極を用いる場合は、金属を主とする電極であれば特に限定されるものではないが、Pt、Ti、Ni、Au、Ta、Mo、Cr及びWからなる群より選ばれた金属元素についての金属単体の電極または合金の電極を好適に用いることができる。金属電極の場合は、得られた導電性高分子の伸縮率及び発生力が大きく、且つ電極を容易に入手できることから、金属電極に含まれる金属種がPt、Ni、Tiであることが特に好ましい。なお、前記合金としては、例えば、商品名「INCOLOY alloy 825」、「INCONEL alloy 600」、「INCONEL alloy X−750」(以上、大同スペシャルメタル株式会社製)を用いることができる。
また、対極については公知の電極、たとえばPt、Niを好適に用いることができる。
前記電解重合法に用いられる電解液に含まれる導電性高分子の単量体としては、ピロールを用いるものであるが、さらに電解重合による酸化により高分子化して導電性を示すモノマー化合物を組み合わせることができる。例えばチオフェン、イソチアナフテン等の複素五員環式化合物及びそのアルキル基、オキシアルキル基等の誘導体が挙げられる。その中でもチオフェン等の複素五員環式化合物及びその誘導体が好ましい。
なお、作用電極上に重合された導電性高分子は、電解重合後、アセトン等の導電性高分子を膨潤させることができる溶媒を用いて、アセトン中で洗浄等することによって前記作用電極から剥離することにより、導電性高分子膜を容易に得ることができる。
前記ポリピロール膜は、膜厚が特に限定されるものではないが、その厚みが1000μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくはサブミリオーダーの厚みとして用いる。
(駆動方法)
本発明のアクチュエータ素子の駆動方法は、前記アクチュエータ素子は導電性高分子を含み、前記導電性高分子が、前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートをドープしたポリピロール膜であって、前記ポリピロール膜に、駆動電解質を含む駆動電解液中で電圧を印加することによりアクチュエータ素子を駆動させる。
アクチュエータ素子の駆動の際に用いられる上記駆動電解液は、前記アクチュエータ素子が電圧印可により駆動するための電解質を含み、該電解質を溶解するための溶媒を含む。前記電解質を溶解する溶媒として、水と有機溶媒との混合溶媒を含むことにより、導電性高分子を含むアクチュエータ素子は、一定の電圧を与えた状態における時間に対する伸縮量(駆動速度)を測定した場合に、前記駆動電解液中で大きな駆動速度を示すことができる。
上記駆動電解液中に含まれる駆動電解質としては、前記製造用電解質溶液で用いたものと同様の電解質を用いることができるが、カチオン型の駆動電解質としてはテトラフェニル硼酸のアルカリ金属塩が好ましい。当該金属塩が駆動電解液中で溶解してナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンがドーパントとしてポリピロール膜に形成されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートにて容易に出入りするため高速で大きな電解伸縮が達成される。また本発明のポリピロール膜はアニオン駆動型アクチュエータ素子としても用いることができ、その場合は上記駆動電解液中に含まれる駆動電解質としてはビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド塩を用いることが好ましい。
上記駆動電解液中に含まれる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、電気化学の反応場として用いることができる極性有機溶媒であることが好ましい。前記有機溶媒は、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリルからなる群より一種以上選ばれた有機溶媒であることが好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン及びアセトニトリルの群から選ばれる有機溶媒が速い伸縮速度と大きな最大伸縮率を得ることができるためにより好ましく、プロピレンカーボネートがさらに好ましい。
前記混合溶媒における水と有機溶媒との混合比は、特に限定されるものではない。前記駆動電解液の溶媒として水と有機溶媒との混合溶媒を用いた場合には、有機溶媒のみを用いた場合に比べて2倍以上の駆動速度の向上をすることができる。
前記駆動電解液は、導電性高分子や極性有機溶媒の種類により、前記混合比を特定することが難しい。有機溶媒の導電性高分子を膨潤させる能力等により、駆動速度を向上させるための極性有機溶媒の最小値は、該極性有機溶媒の種類に依存することになる。例えば、プロピレンカーボネートについては、特級試薬では水の含有量が0.005%であることから、水と極性有機溶媒との混合比を0.1:99.9とすることもできる。前記混合溶媒における水と極性有機溶媒との好適な混合比の範囲は、容量比で、水含有比下限が0.5、1.0、5.0、10又は20から選ばれる値から、水含有比下限上限が99.5、99.0、95.0、90.0、又は80.0から選ばれる範囲を、極性有機溶媒の種に応じて、選ぶことができる。なお、前記混合比は、ガスクロマトグラフィー法を用いた測定方法、特に水分含有率が少ない場合にはカールフェィッシャー法を用いた測定方法を用いることにより、駆動電解液を分析することにより求めることができる。
例えば、前記有機溶媒が、プロピレンカーボネートである場合には、水とプロピレンカーボネートとの混合比が、容量比で、25:75〜75:25であることが前記アクチュエータ素子において、導電性高分子への電圧印可による駆動速度がより速くなるので好ましい。前記混合溶媒は、前記極性有機溶媒が複数種用いられていてもよく、この場合には、前記混合比は、水の重量と全極性有機溶媒の合計重量との比で計算される。
前記水は、特に限定されるものではないが、蒸留水若しくはイオン交換水であることが、金属イオンや塩化物イオン等による電解伸縮への阻害因子が含まれ難いために好ましい。
(駆動条件)
本発明のアクチュエータ素子の駆動方法における駆動電解液の温度は、特に限定されるものではないが、上記の導電性高分子をより速い速度で電解伸縮させるために、10〜100℃、さらに好ましくは40〜80℃であることが好ましい。また、前記駆動電解液中のカチオンの濃度も特に限定されるものではないが、0.1〜5.0mol/Lであることが大きな伸縮率が得られ、安定して駆動することができるために好ましい。
本発明のアクチュエータ素子の駆動方法において、前記ポリピロールを含むアクチュエータ素子が前記駆動電解液中に置かれ、前記駆動電解液中に対極が設置されて、前記導電性高分子と前記対極とに電圧が印加されることにより、前記アクチュエータ素子が駆動する。前記電圧は特に限定されるものではない。前記アクチュエータ素子の伸縮運動のために印加電圧(V)の絶対値が0.2〜5.0である電圧を印加することが可能である。前記アクチュエータ素子の駆動速度(%/s)をより速くするために、前記アクチュエータ素子の伸縮運動のために印加電圧(V)の絶対値が0.5〜5.0であることが好ましい。なお、印加電圧は、導電性高分子の組成やアクチュエータ素子の用途に応じて、上限値を適宜することもできる。
実施例1
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオルエチル)トリフルオロホスフェート(0.1M)、ピロール(0.25M)を含むフタル酸ジメチル溶液を電解液として+1.2V VS.Ag/AgCl定電位電解重合を−10℃、23時間行い、白金電極上にポリピロール膜を得た。この膜をアセトン中で剥離、洗浄後、風乾して[P(Cをドープしたポリピロール膜を得た。この膜は通常のポリピロール膜とは異なり、ふかふかした厚膜で表面形態は図1−1及び図1−2に示すように微細な凹凸が連結した構造であった。膜の導電率および厚さはそれぞれ10.4 S/cm、92μmであった。
この膜をテトラフェニル硼酸ナトリウム[Na(BPh)]のプロピレンカーボネート水(1:1)混合溶液中、−0.9V〜+0.7V VS.Ag/Ag+の電位幅、2mV/sの速度で電位掃引すると電位をマイナスにしたとき膜は伸長、電位をプラスにしたとき膜は収縮した。これはカチオン駆動アクチュエータの挙動である。ここでの最大伸縮率(伸縮により変位した最大長さを前記ポリピロール膜の元の長さで除した値)は47.3%であり、既述した非特許文献2に示したこれまでカチオン駆動型としては最も伸縮率が大きかった、凹凸のある金と複合化したドデシルベンゼンスルホン酸をドープしたポリピロールの12%よりはるかに大きかった。この膜を非特許文献3および4に記載されている大きなアニオン駆動をするビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドをドープしたポリピロール膜を駆動させる電解液のリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート水(1:1)混合溶液中では最大伸縮率12.3%のアニオン駆動を示した。
[非特許文献3]「TFSI−doped polypyrrole actuator with 26% strain」、Journal of Materials Chemistry、14巻、1516ページ、2004年、英国化学会、原 進、他3名
[非特許文献4]「Free−standing polypyrrole actuators with response rate of 10.8% s−1」、Synthetic Metals、149巻、199ページ、2005年、ELSEVIER、原 進、他3名
実施例2
電解重合溶媒として安息香酸メチルを用いた以外は実施例1と同様に調製したポリピロール膜のテトラフェニル硼酸ナトリウムのプロピレンカーボネート水(1:1)混合溶液中での最大伸縮率は39.2%のカチオン駆動であった。リチウムビス((トリフルオロメチルスルホニル)イミドのポリプロピレンカーボネート水(1:1)混合溶液中では最大伸縮率10.7%のアニオン駆動を示した。
この膜の表面形態も図2−1及び図2−2に示すように微細な凹凸が連結した構造であった。膜の導電率および厚さはそれぞれ2.3 S/cm、227μmであった。
本発明は、導電性高分子の電解伸縮を利用してアクチュエータ素子の駆動が適用可能なすべての分野に利用することができるが、特に人工筋肉、ロボットアーム、義手やアクチュエータ、ポンプ等の用途に好適に利用可能である。
フタル酸ジメチル溶液調製の[P(Cがドープされたポリピロール膜を走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて倍率100倍で測定し、得られた画像データを示す図であり、左側が電極側、右側が溶液側を示している。 同ポリピロール膜を走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて倍率1000倍で測定し、得られた画像データを示す図であり、左側が電極側、右側が溶液側を示している。 安息香酸メチル溶液調製の[P(Cがドープされたポリピロール膜を走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて倍率100倍で測定し、得られた画像データを示す図であり、左側が電極側、右側が溶液側を示している。 同ポリピロール膜を走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて倍率1000倍で測定し、得られた画像データを示す図であり、左側が電極側、右側が溶液側を示している。

Claims (9)

  1. 電圧を印加することにより駆動電解液中で駆動するアクチュエータ素子であって、
    前記アクチュエータ素子が、次の式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートをドープしたポリピロール膜を含む、導電性高分子アクチュエータ素子。
  2. 前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートにおいてn=2、3又は4である、請求項1記載の導電性高分子アクチュエータ素子。
  3. 前記式1に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートが、次の式2に示されたトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートである、請求項1記載の導電性高分子アクチュエータ素子。
  4. アクチュエータ素子の駆動方法であって、
    前記アクチュエータ素子は導電性高分子を含み、前記導電性高分子が、次の式3に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートをドープしたポリピロール膜であって、前記ポリピロール膜に、駆動電解質を含む駆動電解液中で電圧を印加することによりアクチュエータ素子を駆動させる導電性高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
  5. 前記駆動電解液には、駆動電解質としてテトラフェニル硼酸のアルカリ金属塩が含まれる請求項4記載の導電性高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
  6. 前記駆動電解液には、駆動電解質としてビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド塩が含まれる請求項4記載の導電性高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
  7. 前記駆動電解液には、前記駆動電解質を溶解する溶媒として、水及び有機溶媒が含まれ、前記有機溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン及びアセトニトリルの群から選ばれる、請求項5又は6記載の導電性高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
  8. 電圧を印加することにより駆動電解液中で駆動するポリピロール膜を含む導電性高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
    ピロール及び次の式4に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートを含む製造用電解液中で、電極上に電解重合し、次の式4に示されたトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートをドープしたポリピロール膜を得る、導電性高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  9. 前記製造用電解液中に、アルカリ金属、テトラアルキルアンモニウム、アルキルイミダゾリウム、アルキルピロリジニウム及びアルキルピリジニウムの群から選ばれるカチオン種を支持塩とするトリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートが溶解されて含まれている、請求項記載の導電性高分子アクチュエータ素子の製造方法。
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