JP4942370B2 - 摺動樹脂成形体、摺動部材及び摺動部材の製造方法 - Google Patents

摺動樹脂成形体、摺動部材及び摺動部材の製造方法 Download PDF

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本発明は、環境への影響を低減するため鉛を含有しない摺動樹脂成形体、摺動部材及び摺動部材の製造方法に関する。
従来、自己潤滑性に優れるポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称する)はドライベアリング用の摺動部材に用いられており、さらに鉛などを添加して耐摩耗性の改善が図られてきた。鉛を添加すると、鉛の移着膜形成効果によってPTFEが相手軸へ移着し、そのPTFEが相手軸上に膜を形成する。そのため摺動部材と相手軸との摺動がPTFE同士の摺動となり、特に、無潤滑下では摩擦特性に優れているという効果があった。ところが、鉛は環境への影響が大きいため、これに代わりビスマス(例えば、特許文献1参照)や硫酸バリウム(例えば、特許文献2参照)などを添加し、鉛の代替としていた。また、ビスマスや硫酸バリウムを添加したPTFEをベース樹脂とした摺動部材のさらなる耐摩耗性を向上させる目的でベース樹脂を熱硬化性樹脂としたもの(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
ところで、摺動初期においては、相手軸に早く移着膜を形成させることで初期摩擦を安定させる機能が要求され、移着膜形成後には、耐摩耗性が要求される。しかし、上記した特許文献1〜特許文献3に記載される技術においては、摺動層におけるビスマスや硫酸バリウム等の金属又は金属化合物が層内に均一に分散されているので、層の厚さ方向ではどの面も同じ摺動特性になってしまうので、上記のように摺動初期とその後における摺動特性の違いに対して対応できないという問題があった。
上記のような問題に対して、摺動初期とその後における摺動特性の違いに対応できる摺動材を提供するもの(例えば、特許文献4参照)も提案されている。
特開2001−221231号公報(第1頁) 特開2002−20568号公報(第1〜2頁) 特開2004−115577号公報(第2〜3頁) 特開2002−39186号公報(第2頁)
しかしながら、特許文献4に記載される技術においては、摺動初期とその後における摺動特性の違いに対応させるために、摺動樹脂層に含有される固体潤滑剤の濃度勾配をつけるために、濃度の異なる層を複数積層することにより摺動樹脂層を製造するものであるため、製造時における各層の厚さ管理が面倒であり、製造コストが高くなるという欠点があった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡単な製法で製造コストのかからない濃度勾配を有する摺動樹脂成形体、摺動部材及び摺動部材の製造方法を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、ポリテトラフルオロエチレン20〜40容量%と、比重7以上のポリテトラフルオロエチレン移着膜形成効果のある粉末状の金属10〜30容量%と、残部樹脂と、を有機溶剤で溶かして所望の粘度に調整したワニス状の樹脂組成物層をフィルム上に塗工し、乾燥中に前記樹脂組成物層において前記金属が沈降して前記フィルム面に近くなるほど前記金属の濃度が濃くなるような濃度勾配を有することを特徴とする。
ここで、移着膜形成効果のある金属は、相手軸表面にポリテトラフロオロエチレン(以下、「PTFE」という。)移着膜形成を促進させるために自ら摩耗して犠牲になる。このため、金属が多いほど、PTFE移着が促進され摩擦性が安定するが摩耗は促進される。逆に金属が少ないほど、PTFE移着膜形成は抑制され摩擦性が不安定になるが、摩耗は抑制される。また、粉末状の金属として、ビスマス(ビスマス合金を含む)、錫(錫合金を含む)、鉛(鉛合金を含む)、硫化銀等の金属化合物がポリテトラフルオロエチレン移着膜形成効果があり且つ比重7以上となっている。更に、樹脂として、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等を用いることができ、特に、耐熱性、耐摩耗性等に優れる熱硬化性樹脂の使用が好ましい。また、所望の粘度として、1〜20Pa・sとなるように調整する。
また、請求項に係る発明においては、前記樹脂組成物層における厚みの中央の前記金属の濃度が、前記フィルム面に接する面の前記金属の濃度の1/1.5〜1/3の範囲となっていることを特徴とする。
また、請求項に係る発明においては、前記樹脂組成物層には、前記ポリテトラフルオロエチレン以外の固体潤滑剤1〜10容量%を含有することを特徴とする。ポリテトラフルオロエチレン以外の固体潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化硼素が挙げられる。
また、請求項に係る発明においては、前記有機溶剤で溶かしてワニス状にした樹脂組成物層には、当該樹脂組成物層の粘度を調整するための無機カルシウム5〜20容量%を含有していることを特徴とする。無機カルシウムとしては、例えば、リン酸カルシウムや炭酸カルシウム等が挙げられる。
また、請求項に係る発明においては、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の摺動樹脂組成物の前記フィルムと反対側の面を、金属板又は表面に多孔質体が形成された金属板からなる基材に接合又は含浸したことを特徴とする。
更に、請求項に係る発明においては、ポリテトラフルオロエチレン20〜40容量%と、比重7以上のポリテトラフルオロエチレン移着膜形成効果のある粉末状の金属10〜30容量%と、残部樹脂と、を有機溶剤で溶かして所望の粘度に調整したワニス状の樹脂組成物層をフィルム上に塗工する塗工工程、塗工した樹脂組成物層を所定の温度範囲で所定時間かけて乾燥することにより前記有機溶剤を揮発させると共に前記樹脂組成物層において前記金属が沈降して前記フィルム面に近くなるほど前記金属の濃度が濃くなるような濃度勾配を有するように制御する乾燥工程、乾燥した樹脂組成物層の前記フィルムと反対側の面を、金属板又は表面に多孔質体が形成された金属板からなる基材に接合又は含浸する被覆工程、とからなることを特徴とする。もちろん、上記の工程において、有機溶剤で溶かしてワニス状にした樹脂組成物層を製造する際に、固体潤滑剤1〜10容量%や、無機カルシウム5〜20容量%を混合させたものでも良い。
請求項1に係る発明においては、フィルム面に近い金属の濃度が濃い面を摺動面とすることにより、摺動初期段階は、自らが摩耗して犠牲となることによりPTFE移着膜形成を促進させる金属によって摩擦を安定させることができる。また、ある程度の摩耗が進んだ摺動中期若しくは摺動後期では、金属の濃度が低くなるため、摩耗が進行しにくくなる。そして、上記のような摺動の各経過段階で機能を異ならせるために濃度勾配が連続的に変化する摺動樹脂組成物を比重7以上の金属の沈降によって簡単に作製することができ、このため製造コストを低減することができる。なお、PTFEの比率が20〜40容量%の範囲では、相手軸における強固な移着膜の形成が可能となり、摩擦特性が向上する。比率が20容量%未満では十分な摩擦特性が期待できず、40容量%を超えると目的とする耐摩耗性が得られない。また、移着膜形成効果のある粉末状の金属の比率が10容量%未満では摺動初期段階での十分な摩擦摩耗特性が期待できず、30容量%を超えると摺動初期段階での耐摩耗性が著しく低下してしまう。
請求項に係る発明においては、樹脂組成物層における厚みの中央の金属の濃度が、フィルム面に接する面の金属の濃度の1/1.5〜1/3の範囲となっていることにより、摺動初期段階における安定した摩擦性を発現する機能と、摺動中期及び後期における耐摩耗性を発現する機能により、摩擦と摩耗のバランスを適正化することができる。厚みの中央の金属の濃度が1/1.5を超えると摩耗し易くなり、1/3未満では摩擦が不安定となる。
請求項に係る発明においては、樹脂組成物層には、PTFE以外の固体潤滑剤1〜10容量%を含有することにより、摺動組成物において無潤滑下、又は潤滑下のどちらの使用でも、更に優れた摩擦特性、及び耐摩耗性が得られる。
請求項に係る発明においては、有機溶剤で溶かしてワニス状にした樹脂組成物層には、当該樹脂組成物層の粘度を調整するための無機カルシウム5〜20容量%を含有していることにより、濃度勾配の調整を行いやすい。これは、無機カルシウムの粒径が小さく且つ比重が低いため、金属の沈降による濃度傾斜を阻害せず、また、分散性も良いため、ワニス状の混合樹脂の粘度調整が極めて行いやすく、この粘度調整によって最適な濃度勾配の調整を行うことができるからである。
請求項に係る発明においては、摺動樹脂組成物のフィルムと反対側の面を、金属板又は表面に多孔質体が形成された金属板からなる基材に接合又は含浸したことにより、摺動初期段階で金属によるPTFE移着膜形成効果によって摩擦を安定させることができ、また、ある程度の摩耗が進んだ摺動中期若しくは摺動後期では、金属の濃度が低くなり、耐摩耗性を向上させる機能が発現される摺動部材を提供することができる。
請求項に係る発明においては、PTFE20〜40容量%と、比重7以上のPTFE移着膜形成効果のある粉末状の金属10〜30容量%と、残部樹脂と、を有機溶剤で溶かして所望の粘度に調整したワニス状の樹脂組成物層をフィルム上に塗工する塗工工程、塗工した樹脂組成物層を所定の温度範囲で所定時間かけて乾燥することにより前記有機溶剤を揮発させると共に前記樹脂組成物層において前記金属が沈降して前記フィルム面に近くなるほど前記金属の濃度が濃くなるような濃度勾配を有するように制御する乾燥工程、乾燥した樹脂組成物層の前記フィルムと反対側の面を、金属板又は表面に多孔質体が形成された金属板からなる基材に接合又は含浸する被覆工程、とからなる方法により、摺動の各経過段階で機能を異ならせるために濃度勾配が連続的に変化する摺動樹脂組成物を簡単に作製することができ、このため製造コストを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、摺動樹脂成形体としての摺動樹脂組成物1の概略断面図である。図1において、摺動樹脂組成物1の表面領域であるX領域は、図1(B)に示すように、比重7以上のPTFE移着膜形成効果のある金属粉末2(例えば、ビスマス粉末)の濃度が高い。これに対し、摺動樹脂組成物1の厚さの中程領域であるY領域は、図1(C)に示すように、上記の金属粉末2の濃度がほぼ半分程度となっている。ただし、金属粉末2の濃度は、表面から底面にかけて連続的に変化している。なお、金属粉末2以外の摺動樹脂組成物1の成分は、ベース樹脂としてのポリアミドイミド樹脂(以下、「PAI」という。)とPTFEとが均質な状態となっている樹脂層である。これらの樹脂層には、必要に応じて、PTFE以外の固体潤滑剤が含有されていても良い。
次に、 図1に示す摺動樹脂組成物1の製造方法について図2を参照して説明する。図2において、まず、図2(A)に示すように、PTFE20〜40容量%と、比重7以上のPTFE移着膜形成効果のある粉末状の金属10〜30容量%と、残部がPAI樹脂を有機溶剤で溶かして各充填剤が均一に混合された所望の粘度に調整したワニス状の樹脂組成物層3をPETフィルム4上に塗工する。図示の場合、ワニス状にした樹脂組成物層3は、約1mm程度の厚さで塗工される。また、ワニスの粘度が1〜20Pa・sの範囲となるように無機カルシウムを5〜20容量%を添加してもよい。その後、図2(B)に示すように、100〜150℃の温度で20〜60分乾燥して有機溶剤を揮発させると共に比重7以上の金属が自然に沈降して金属濃度に勾配ができるように乾燥させて摺動樹脂組成物1を得る。この得られた摺動樹脂組成物の厚みは、0.3mmである。
得られた摺動樹脂組成物1を図2(C)に示すようにPETフィルム4が上方となるようにした後、PETフィルム4を剥がして、図2(D)に示すように鋼製の金属板5に接合、又は図2(E)に示すように表面に多孔質体6が形成された鋼製の金属板5に含浸して被覆し、その後、150〜250℃の温度でポストキュアを行い樹脂を硬化させて摺動部材を得る。この場合、金属板として銅メッキが施された厚み1.2mmの金属鋼板(一般構造用低炭素鋼)が使用される。また、多孔質体として、銅系合金粉末が使用され、該銅系合金粉末を厚さ0.15mmとなるよう散布した後、還元雰囲気中で750〜900℃の温度に加熱して銅系合金粉末を焼結し、金属板5上に多孔質層である多孔質焼結金属層を得る。
本発明の効果を検証するため、軸受試験機を用いて試験を行なった。検証試験は、実施品及び比較品の摩擦係数、摩耗量を測定するものであり、実施した実施品及び比較品の組成を、表1に示し、試験結果は表2に示した。なお、比較品及び実施品ともに多孔質金属板の表面に摺動樹脂を被覆した円筒形状軸受にて試験を行ったものである。表2におけるビスマス濃度差は摺動層の表面におけるビスマスの面積率値と中央におけるビスマスの面積率値との比が0.9〜1.1の場合を濃度差無と判定している。
Figure 0004942370
Figure 0004942370
この試験条件を表3に示す。この試験の焼付判定基準としては、摩擦係数が0.3を超えた場合、又は摩耗量が50μmを超えた場合のどちらかとした。
Figure 0004942370
まず、表1を参照して実施品及び比較品の組成について説明する。比較品1は、PAI樹脂単体で摺動樹脂層を構成したものであり、この場合には、当然のことならが、摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度(写真の二値化映像により算出)が0であり、従って濃度差はなかった。比較品2は、PAI樹脂にPTFE25容量%を加えたものを摺動樹脂層として構成したものであり、この場合にも、当然のことならが、摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度が0であり、従って濃度差はなかった。比較品3は、PAI樹脂とPTFE25容量%とビスマス粉末10容量%を加え混合させた粘度の高いワニス状樹脂組成物(有機溶剤の量を少なくした混合樹脂)をPETフィルム上に塗工して乾燥した摺動樹脂組成物を多孔質金属板の表面に含浸被覆させて硬化させることにより摺動樹脂層として構成したものであり、この場合には、ビスマス粉の沈降が速く進まないため摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度がそれぞれ9.3%と10.2%であり、それほど濃度差はなかった。比較品4は、PAI樹脂とPTFE25容量%とビスマス粉末20容量%を加え混合させた粘度の高いワニス状樹脂組成物(有機溶剤の量を少なくした混合樹脂)をPETフィルム上に塗工して乾燥した摺動樹脂組成物を多孔質金属板の表面に含浸被覆させて硬化させることにより摺動樹脂層として構成したものであり、この場合にも、ビスマス粉の沈降が速く進まないため摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度がそれぞれ19.2%と19.9%であり、それほど濃度差はなかった。比較品5は、PAI樹脂とPTFE25容量%とビスマス粉末30容量%を加え混合させた粘度の高いワニス状樹脂組成物(有機溶剤の量を少なくした混合樹脂)をPETフィルム上に塗工して乾燥した摺動樹脂組成物を多孔質金属板の表面に含浸被覆させて硬化させることにより摺動樹脂層として構成したものであり、この場合にも、ビスマス粉の沈降が速く進まないため摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度がそれぞれ29.5%と30.3%であり、それほど濃度差はなかった。比較品6は、PAI樹脂とPTFE25容量%とビスマス粉末20容量%を加え混合させた粘度の低いワニス状樹脂組成物(有機溶剤の量を多くした混合樹脂)をPETフィルム上に塗工して乾燥した摺動樹脂組成物を多孔質金属板の表面に含浸被覆させて硬化させることにより摺動樹脂層として構成したものであり、この場合には、ビスマス粉の沈降が速く行われるため摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度がそれぞれ67.3%と2.1%であり、極端な濃度差があった。同様に、比較品7は、PAI樹脂とPTFE25容量%とビスマス粉末20容量%を加え混合させた粘度の低いワニス状樹脂組成物(有機溶剤の量を多くした混合樹脂)をPETフィルム上に塗工して乾燥した摺動樹脂組成物を多孔質金属板の表面に含浸被覆させて硬化させることにより摺動樹脂層として構成したものであり、この場合にも、ビスマス粉の沈降が速く行われるため摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度がそれぞれ34.2%と7.3%であり、極端な濃度差があった。更に、実施品1は、PAI樹脂にPTFE25容量%とビスマス粉末20容量%とを加え混合させて有機溶剤で溶かし、粘度を所望の粘度範囲(1〜20Pa・s)としたワニス状樹脂組成物をPETフィルム上に塗工して乾燥した摺動樹脂組成物を多孔質金属板の表面に含浸被覆させて硬化させることにより摺動樹脂層として構成したものである。この場合には、ビスマス粉の沈降が適度な粘度のためにゆっくり行われ摺動樹脂層の厚み方向で連続した濃度勾配となっており、摺動樹脂層の表面と中央のビスマス濃度がそれぞれ25.7%と14.6%であり、濃度差が半分程度であった。
試験結果を検討する。実施品1は、焼付(摩擦係数0.3以上、又は摩耗量50μmを超える)を起こすことなく、摺動初期(100時間経過時)、摺動中期(500時間経過時)、摺動後期(1000時間経過時)とも良好な摺動特性を示している。
これに対し、比較品1は、PAI樹脂のみのため摺動初期で焼付を起こし、比較品2〜6は、摺動初期で焼付を起こさないものの、摺動中期又は摺動後期で焼付を起こした(比較品4も摺動後期で摩耗量が多く焼付を起こす寸前である。)。また、比較品7は、摺動初期から摺動後期にかけて焼付を起こさなかったが、摩耗量が極めて多くなる傾向にあった。
なお、PTFE粒子としては、平均粒子径が1〜20μmが望ましい。また、本発明の摺動樹脂組成物を被覆した摺動部材は無潤滑下に限らず、潤滑下の使用も可能であり、どちらにおいても優れた効果を発揮することができる。
実施形態に係る摺動樹脂組成物の概略を示す断面図である。 実施形態に係る摺動樹脂組成物及び摺動樹脂組成物を被覆した摺動部材の製造方法を説明するための説明図である。
1 摺動樹脂組成物(摺動樹脂成形体)
2 金属粉末
3 ワニス状の摺動樹脂組成物
4 PETフィルム
5 金属板
6 多孔質体

Claims (5)

  1. ポリテトラフルオロエチレン20〜40容量%と、比重7以上のポリテトラフルオロエチレン移着膜形成効果のある粉末状の金属10〜30容量%と、残部樹脂と、を有機溶剤で溶かして所望の粘度に調整したワニス状の樹脂組成物層をフィルム上に塗工し、乾燥中に前記樹脂組成物層において前記金属が沈降して前記フィルム面に近くなるほど前記金属の濃度が濃くなるような濃度勾配を有し、乾燥した前記樹脂組成物層における厚みの中央の前記金属の濃度が、前記フィルム面に接する面の前記金属の濃度の1/1.5〜1/3の範囲となっていることを特徴とする摺動樹脂成形体
  2. 前記樹脂組成物層には、前記ポリテトラフルオロエチレン以外の固体潤滑剤1〜10容量%を含有することを特徴とする請求項1記載の摺動樹脂成形体
  3. 前記有機溶剤で溶かしてワニス状にした樹脂組成物層には、当該樹脂組成物層の粘度を調整するための無機カルシウム5〜20容量%を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項記載の摺動樹脂成形体
  4. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の摺動樹脂成形体の前記フィルムと反対側の面を、金属板又は表面に多孔質体が形成された金属板からなる基材に接合又は含浸したことを特徴とする摺動部材。
  5. ポリテトラフルオロエチレン20〜40容量%と、比重7以上のポリテトラフルオロエチレン移着膜形成効果のある粉末状の金属10〜30容量%と、残部樹脂と、を有機溶剤で溶かして所望の粘度に調整したワニス状の樹脂組成物層をフィルム上に塗工する塗工工程、
    塗工した樹脂組成物層を所定の温度範囲で所定時間かけて乾燥することにより前記有機溶剤を揮発させると共に前記樹脂組成物層において前記金属が沈降して前記フィルム面に近くなるほど前記金属の濃度が濃くなるような濃度勾配を有するように制御する乾燥工程、
    乾燥した樹脂組成物層の前記フィルムと反対側の面を、金属板又は表面に多孔質体が形成された金属板からなる基材に接合又は含浸する被覆工程、
    とからなることを特徴とする摺動部材の製造方法。
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