JP4941772B2 - 車両用衝突検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用衝突検知装置に関し、特に、車両バンパにおける圧力変化に基づいて衝突物の種類を判別する車両用衝突検知装置に関する。
近年、歩行者を保護する目的で、車両バンパ部に衝突検知装置を取り付け、車両への衝突時に衝突物の種類を判別し、歩行者であると判別した場合には、歩行者を保護するための装置(例えば、アクティブフードやカウルエアバッグ)を作動させる技術が提案され、かつ、実用化が検討されている。
即ち、衝突物が歩行者でない場合にフード上の保護装置(例えばアクティブフード)を作動させると様々な悪影響が生じる。例えば、3角コーンや工事中看板等の軽量落下物と衝突した場合に歩行者と区別できないと、保護装置を無駄に作動させて余分な修理費が発生する。また、コンクリートの壁や車両等の重量固定物と衝突した場合に歩行者と区別できなければ、フードが持ち上がった状態で後退していくのでフードが車室内に侵入し乗員に危害を与える虞がある。このように、衝突物の種類を正確に判別することが要求されている。
従来、車両バンパ内のアブソーバ部にチャンバ部材を配設し、衝突時におけるチャンバ空間内の圧力変化を検出することで衝突物の種類を判別するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
これら特許文献1,2記載の車両用衝突検知装置では、車両バンパへ物体が衝突すると、バンパカバー内でバンパレインフォースの前面に配設されたアブソーバ(チャンバ部材)が変形することによって衝撃が吸収される。この時、アブソーバの変形によってチャンバ内に圧力変化が発生し、その圧力変化が圧力センサによって検出される。そして、衝突検知装置は、圧力センサによる圧力変化の検出結果に基づいて衝突物の種類(特に、歩行者か否か)を判別する。このように、車両バンパの構造を利用して圧力変化を検出することにより簡単な構成で衝突物の種類を判別している。また、衝突時のチャンバ部材の変形量が小さくても、或いはその衝突場所如何によらず、高精度で衝突の検知を行うことができる。
特開2007−290682号公報 特開2007−290689号公報
しかしながら、車両の走行中にバンパに衝突する虞がある物体には、上述したように、歩行者(人)の他にも、3角コーンや工事中看板等、コンクリートの壁や他の車両等、多種類のものがある。また、車両の走行速度如何によりバンパへの衝撃度が異なるので、車速も加味して衝突物の種類を判別する必要がある。更に、車両の走行中に物体が衝突するのはバンパの表面であるため、チャンバだけでなく、より正確にはバンパカバーやアブソーバの影響も考慮する必要がある。しかも、このようなバンパカバー等を含むバンパ構造自体が車両(車種)毎に異なるため、バンパ構造毎の影響を考慮した衝突の検知が望ましい。かかる観点から、チャンバ内の圧力変化をセンサにより検出する方式の車両用衝突検知装置において、衝突物の種類を更に高精度に判別することを可能とする技術の開発が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両バンパ内に配設されたチャンバ内の圧力変化を検出する車両用衝突検知装置において、衝突物の種類をより高精度に判別することが可能な技術を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
1.車両バンパへの物体の衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記車両バンパ内に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、
前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、
当該車両の車速を検出する車速センサと、
前記圧力センサ及び前記車速センサの検出結果に基づいて衝突物の有効質量を算出する有効質量算出手段と、
前記有効質量算出手段によって算出された前記有効質量に基づいて前記衝突物の種類を判別する判別手段と
前記圧力センサにより検出された前記チャンバ空間における圧力変化の最大値に基づいて前記車両バンパの吸収エネルギを求める吸収エネルギ取得手段と
を備え、
前記有効質量算出手段は、前記吸収エネルギ取得手段によって求められた前記車両バンパの吸収エネルギをE とし、衝突時の車速検出値をVとしたとき、前記有効質量Mを数式M=2E /V により算出し、
前記吸収エネルギ取得手段は、前記チャンバ空間における圧力変化の最大値と前記車両バンパの吸収エネルギとの相関関係を示す近似式又はテーブルを用いて前記吸収エネルギを求めることを特徴とする車両用衝突検知装置。
ここで、「有効質量」とは、車両バンパへ衝突した物体の全質量のうち、車両バンパに衝突に係るエネルギを付与した部分の質量という意味である。以下、本明細書において「有効質量」という語は、上記の意味において用いている。
手段1によれば、車速センサにより検出された衝突時の車速を加味して衝突物の種類を判別することが可能となるので、より高精度の衝突検知を行うことができる。また、圧力センサと車速センサの検出結果に基づいて、衝突物の有効質量を算出し、この有効質量に基づいて衝突物の種類を判別するので、衝突物の種類を高精度に判別することができる。また、前記圧力センサにより検出された前記チャンバ空間における圧力変化の最大値に基づいて前記車両バンパの吸収エネルギを求める。即ち、チャンバ空間における圧力変化の最大値に基づいて衝突物の種類を判別することになるので、ノイズ等の影響を排除した高精度の検知が可能となる。また、前記吸収エネルギ取得手段によって求められた前記車両バンパの吸収エネルギをE とし、衝突時の車速検出値をVとしたとき、前記有効質量Mを数式M=2E /V により算出するので、運動方程式に即した理論的にも正確な衝突物の有効質量を算出することができ、これにより正確な衝突の検知が可能となる。更に、前記チャンバ空間における圧力変化の最大値と前記車両バンパの吸収エネルギとの相関関係を示す近似式又はテーブルを用いて車両バンパの吸収エネルギを求めるので、より正確に衝突物の種類を判別することができる。例えば、チャンバ部材の形状や配置、車両バンパに配設されたバンパカバーやアブソーバ等の他の部材の影響を反映した正確な衝突の検知が可能となる。
.前記近似式又はテーブルは、前記車両バンパへの衝突実験によって予め求められたことを特徴とする手段に記載の車両用衝突検知装置。
手段によれば、チャンバ部材の他に、例えば、バンパカバーやアブソーバ等が配設された実際の車両バンパへの衝突実験により、バンパ構造毎の前記近似式又はテーブルを求めることができる。従って、実際に車両に搭載した場合に、当該車両バンパの構造に即した高精度の検知が可能な車両用衝突検知装置を提供することができる。
.前記車両バンパ内には、更に、アブソーバが配設され、前記近似式又はテーブルは、該アブソーバと前記チャンバ部材への衝突実験によって予め求められたことを特徴とする手段に記載の車両用衝突検知装置。
手段によれば、バンパカバー意匠は車両仕向地やグレードなどにより異なることが考えられるため、バンパカバーを除いたアブソーバとチャンバ部材のみへの衝突実験の結果を用いることで、アッパレインフォース部のみの近似式又はテーブルを用いることができ、車種如何によらず共通の近似式又はテーブルで対応することができる。
以下、本発明の車両用衝突検知装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。
本発明の実施形態に係る車両用衝突検知装置は、図1(a)、(b)に示すように、車両バンパ1への物体の衝突を検知するように構成された装置であり、車両バンパ1内に配設され且つチャンバ空間7aが内部に形成されるチャンバ部材7と、チャンバ空間7a内の圧力を検出する圧力センサ9と、車両の車速を検出する車速センサ11と、コントローラ13を備えている。コントローラ13は、圧力センサ9及び車速センサ11の検出結果に基づいて衝突物の有効質量を算出する有効質量算出手段及び有効質量算出手段によって算出された有効質量に基づいて衝突物の種類を判別する判別手段として機能する。このように、本実施形態では、車両に搭載されるコントローラ13が有効質量算出手段及び判別手段として機能する。尚、コントローラ13は、図1(b)に示すように、歩行者保護装置21に接続されており、この歩行者保護装置21のコントローラ(制御手段)としても機能する。即ち、図1に示す例では、車両は、例えば、アクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置21を搭載しており、歩行者保護装置21は、コントローラ13から出力される制御信号により、その歩行者保護の動作を行う。
車両バンパ1は、図1に示すように、バンパカバー2、バンパレインフォース3、チャンバ部材7、図示しないサイドメンバを主体として構成されている。尚、本実施形態では、チャンバ部材7は、アブソーバと一体に形成されたものを用いている。
バンパカバー2は、車両前端にて車両幅方向に延び、バンパレインフォース3及びチャンバ部材7を覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
バンパレインフォース3は、バンパカバー2内に配設されて車両幅方向に延びる金属製の梁状部材である。
サイドメンバは、車両側面側に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォース3が取り付けられる。
チャンバ部材7は、バンパカバー2内でバンパレインフォース3の前面に取り付けられ、車両バンパ1における衝撃吸収と圧力伝達との二つの作用を併せ持つ部材である。チャンバ部材7は、内部にチャンバ空間7aが形成されており、チャンバ空間7a内には空気が封入されている。チャンバ空間7a内には差込口を介して圧力センサ9の受圧部が差し込まれている。尚、本実施形態では、チャンバ部材7の車両前方側の部分がアブソーバを兼用するようにしているが、チャンバ部材の車両前方側の表面上に、アブソーバを別個に配置するようにしても良い。チャンバ部材7のアブソーバ部分等の材質として、チャンバ部分よりも硬質の材料、例えば、鉄板等の金属、発泡樹脂等を用いることができる。
圧力センサ9は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、チャンバ部材7に組み付けられている。具体的には、差込口を介してその受圧部がチャンバ空間7a内に差し込まれ、チャンバ空間7a内の空気の圧力変化を検出可能に構成されている。尚、圧力センサ9は、圧力に比例した信号を出力する。圧力センサ9は、コントローラ13と伝送線9aを介して電気的に接続されている。
車速センサ11は、車両の走行速度を検出可能な公知の速度センサであり、コントローラ13と伝送線11aを介して電気的に接続されている。本実施形態では、車輪速センサを用いている。
コントローラ13は、衝突物の種類を歩行者と判別した場合に、上述したカウルエアバッグ等の展開制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ9及び車速センサ11から出力される信号が伝送線9a,11aを介してそれぞれ入力されるように構成されている。コントローラ13は、上述したように、圧力センサ9及び車速センサ11の検出結果に基づいて衝突物の有効質量を算出し、算出した有効質量に基づいて衝突物の種類を判別する処理を実行する。尚、コントローラ13は、衝突物の種類を歩行者と判別した場合には、歩行者保護装置21を動作させるための制御信号を出力する。歩行者保護装置21は、コントローラ13から出力される制御信号により、その歩行者保護の動作を行う。具体的には、アクティブフードを作動させ、或いはカウルエアバッグを車両のフロントガラス部等に展開する。
次に、本実施形態の車両用衝突検知装置において、車両バンパ1へ物体が衝突した場合に衝突物の種類を判別する処理について説明する。
車両バンパ1への物体の衝突が発生すると、衝突部分のチャンバ部材7に潰れが生じ、チャンバ空間7a内の気体圧力が上昇(すなわち、変化)する。チャンバ空間7a内の気体圧力の変化は、圧力センサ9によって検出される。コントローラ13は、伝送線9aを介して圧力センサ9から出力される信号を取り込むと共に、伝送線11aを介して車速センサ11からの車速信号を取り込む。コントローラ13は、圧力センサ9からの出力及び車速に基づいて衝突物の有効質量を算出し、算出した有効質量が所定の閾値内にあるか否かによって、衝突物が歩行者等であるか否かを判別する。
即ち、人体と他の衝突物とでは有効質量が異なるために圧力センサ9のアナログ出力の最大値(ピーク値)が異なっている。従って、圧力センサ9の出力から衝突物の有効質量を算出し、この有効質量について、人体の質量と、想定される他の衝突物の質量との間に閾値を設定することにより、衝突物の種類を切り分けることが可能である。但し、圧力センサ9の出力(換言すれば、チャンバ部材7の変形量)は、ある有効質量を持った衝突物がある速度で衝突したことによる衝撃のエネルギによるので、衝突時の車速も加味して有効質量を算出する。
以下、本実施形態における有効質量の算出方法について詳細に説明する。本実施形態の車両用衝突検知装置では、図1(b)に示したコントローラ13が、上述した有効質量算出手段及び判別手段として機能することに加えて、圧力センサ9により検出されたチャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値に基づいて車両バンパ3の吸収エネルギを求める吸収エネルギ取得手段として機能する。また、コントローラ13は、有効質量算出手段として、上記吸収エネルギ取得手段によって求められた車両バンパ1の吸収エネルギをEとし、衝突時の車速検出値をVとしたとき、有効質量Mを数式M=2E/Vにより算出する。
即ち、本発明者は、車両バンパの本質的な機能から、車両バンパへの物体の衝突により衝突物の運動エネルギが車両バンパに吸収されることに着眼し、車両バンパの吸収エネルギを求めれば、衝突物の運動エネルギは運動方程式により求められるので、衝突物の質量(ここにいう質量は、車両バンパへ衝突した物体の全質量のうち、車両バンパに衝突に係るエネルギを付与した部分の質量という意味で、衝突物の「有効質量」である)をより正確に求められることを理論的に見出した。
以下、図2及び図3を参照して、この車両バンパの吸収エネルギを求める方法について分かり易く説明する。
まず、衝突物の運動エネルギEは、運動方程式より、
[数1] E=1MV/2---------(1)
で表される。
図2に示すように、ある質量Mの衝突物が衝突速度(車速センサによる車速検出値)Vにて車両バンパ1に衝突すると、その衝突荷重Fにより車両バンパ1がΔSだけ変形し、これによりチャンバ部材7が潰れてチャンバ空間7aの体積がΔVだけ変化することで、圧力センサ9が圧力変化ΔPを検出する。
一方、衝突荷重F[t]とバンパ変形量ΔS[mm]の関係は、図3に示すグラフのようになり、同図のグラフにおける斜線の部分の面積がバンパの吸収エネルギEに相当する。即ち、バンパの吸収エネルギEは、衝突荷重Fをバンパ変形量ΔSについて積分した値により、
[数2] ∫Fds=E---------(2)
で表される。
衝突物の「有効質量」を上述したように定義する関係上、衝突物の運動エネルギEが全てバンパに吸収されてバンパの吸収エネルギEになるといえるから、上記(1)、(2)式より、有効質量Mは、
[数3] 1MV/2=E---------(3)より、
[数4] M=2E/V---------(4)により求めることができる。
以上のように、圧力センサ9により検出されたチャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値に基づいて車両バンパ1の吸収エネルギを求め、また、吸収エネルギ取得手段によって求められた車両バンパの吸収エネルギをEとし、衝突時の車速検出値をVとしたとき、有効質量Mを、数式M=2E/Vにより算出するので、運動方程式に即した理論的にも正確な衝突物の有効質量を算出することができ、これにより正確な衝突の検知が可能となる。
以上のように、理論的に正確な衝突の検知が可能となるが、前述したように、車両の走行中に物体が衝突するのはバンパの表面であるため、チャンバだけでなく、より正確にはバンパカバーやアブソーバの影響も考慮し、バンパカバー等を含むバンパ構造毎の影響を考慮した衝突の検知が望ましい。
そこで、更に、吸収エネルギ取得手段として機能するコントローラ13は、チャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとの相関関係を示す近似式を用いて吸収エネルギEを求めるようにした。
まず、本発明者は、チャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとに一定の相関関係が得られることを確認するために、車両バンパ1への衝突実験を実施した。
図4は、チャンバ空間内の圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとの関係を説明するための図であり、(a)は、車両バンパ1への衝突実験の条件を簡略に示す図、(b)は、当該条件下の衝突実験により得られたチャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとの相関関係を示すグラフである。
図4(a)に示すように、質量mが2kg、5kg、8kgの実験用インパクタをそれぞれ用意し、衝突速度vを2kgのインパクタでは時速25[km]と40[km]の2通りの衝突速度、5kgのインパクタでは時速40[km]の1通りの衝突速度、8kgのインパクタでは、2kgのインパクタ同様、時速25[km]と40[km]の2通りの衝突速度で車両バンパ1に衝突させ、チャンバ空間7a内における圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとの関係を考察した。
上記実験の結果、図4(b)に示すように、車両バンパ1の吸収エネルギEは、チャンバ部材7内における圧力変化の最大値ΔPmaxと一定の相関関係があることを確認することができた。図4(b)のグラフから、特に、車両バンパ1の吸収エネルギEが300[J]程度までは一定の相関関係が有効に得られることが分かった。従って、図4(b)のグラフから、この実験に用いた車両バンパ1のバンパ構造を前提として、チャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとの相関関係を示す近似式を得ることが可能である。そこで、本実施形態では、吸収エネルギ取得手段として機能するコントローラ13は、かかる近似式を用いて車両バンパ1の吸収エネルギを求めるようにした。具体的には、コントローラ13内の図示しないメモリ等にこの近似式を保持しており、この近似式を使用して、圧力センサ9が検出した圧力変化の最大値から車両バンパ1の吸収エネルギを求める。
このように、チャンバ空間7aにおける圧力変化の最大値ΔPmaxと車両バンパ1の吸収エネルギEとの相関関係を示す近似式を用いて車両バンパの吸収エネルギEを求めるので、より正確に衝突物の種類を判別することができる。例えば、チャンバ部材の形状や配置、車両バンパに配設されたバンパカバーや発泡樹脂製のアブソーバ等の他の部材の影響を反映した正確な衝突の検知が可能となる。
また、上記近似式は、上述した車両バンパ1への衝突実験によって予め求められたものである。即ち、チャンバ部材7の他に、例えば、バンパカバー2や発泡樹脂製のアブソーバ等が配設された実際の車両バンパへの衝突実験により、バンパ構造毎に求めた近似式を用いている。従って、実際に車両に搭載した場合に、当該車両バンパ1の構造に即した高精度の衝突検知が可能となる。
更に、車両バンパ1内には、アブソーバが配設され、上記近似式は、当該アブソーバとチャンバ部材7への衝突実験によって予め求められたものとしても良い。バンパカバー意匠は車両仕向地やグレードなどにより異なることが考えられるため、バンパカバーを除いたアブソーバとチャンバ部材のみへの衝突実験の結果を用いることで、アッパレインフォース部のみの近似式を用いることができ、車種如何によらず共通の近似式で対応することができる。
尚、上記例では、車両バンパ1への衝突実験又はアブソーバとチャンバ部材7のみへの衝突実験によって予め求めた近似式をコントローラ13内のメモリ等に保持するようにしたが、同様に求めた相関関係を示すテーブルを用い、かかるテーブルをコントローラ13内のメモリ等に保持するようにしても良い。
次に、車両用衝突検知装置におけるコントローラ13の処理の流れについて説明する。図5は、コントローラ13の処理を示すフローチャートである。コントローラ13には、衝突検知のプログラムが予め図示しないメモリ等に格納されており、図示しないCPUがそのプログラムに従って以下に述べる各処理を実行する。
図5に示すように、コントローラ13は、イニシャル処理として、演算値を初期化する処理(各センサの初期値等の初期値設定処理)を行う(ステップS−1)。
続いてコントローラ13は、車速センサ11が検出した車速検出値Vを読み込み(ステップS−2)、その車速検出値Vが所定の閾値(最小値と最大値)の範囲内であるか否かを判断する(ステップS−3)。これは、前述した歩行者保護装置等の歩行者保護機能が有効に作用する速度が車両形状等により決まっているため、このような速度の範囲内である場合にのみ衝突の検知を行うためである。車速検出値Vが所定の閾値(最小値と最大値)の範囲内である(ステップS−3でYes)場合には、圧力センサ9が検出した圧力検出値P[t]を読み込み(ステップS−4)、その圧力検出値P[t]から圧力変化の最大値(ピーク値)を演算する(ステップS−5)。そして、コントローラ13は、上述した吸収エネルギ取得手段として、上述した近似式を用いて、ステップS−5の処理で演算した圧力変化の最大値(ピーク値)に対応する吸収エネルギEを演算により求める(ステップS−6)。続いて、コントローラ13は、求めた吸収エネルギEから、上述した有効質量算出手段として、数式M=2E/Vにより衝突物の有効質量Mを算出する(ステップS−7)。そして、コントローラ13は、判別手段として、算出した有効質量Mが所定の閾値以上であるかを判断し(ステップS−8)、当該閾値以上である場合には(ステップS−8でYes)、歩行者と衝突したと検知する、即ち、衝突物の種類を歩行者と判別する(ステップS−9)。一方、当該閾値以上でない場合には(ステップS−8でNo)、歩行者以外と衝突したと検知する、即ち、衝突物の種類を歩行者以外の物体と判別する(ステップS−10)。ここで、有効質量Mの歩行者と判別する閾値は、例えば、2kg未満の場合には、歩行者以外の物体と判別するようにしている。図示ステップS−8の場合と異なり、例えば、10kg以上の場合には、歩行者以外の物体と判別するようにしても良い。或いは、図示ステップS−8の場合と異なり、所定の範囲内の場合、例えば2kgから10kgの範囲内であれば、歩行者と判別するようにしても良い。
以上説明したことから明らかなように、本実施形態によれば、車両バンパ1へ衝突物が衝突すると、バンパカバー2内でバンパレインフォース3の前面に配設されたチャンバ部材7(アブソーバを兼ねている)が変形することによって衝撃が吸収される。この時、チャンバ部材7の変形によってチャンバ空間7a内に圧力変化が発生し、その圧力変化が圧力センサ9によって検出される。そして、コントローラ13は、圧力センサ9による圧力変化の検出結果と車速センサ11による車速の検出結果とに基づいて衝突物の有効質量を算出し、算出した有効質量が所定の閾値内にあるか否かによって、衝突物が歩行者であるか否かを高精度に判別することができる。つまり、本実施形態によれば、車両バンパ1の構造を利用して圧力変化を検出することにより簡単な構成で衝突物の種類を正確に判別することが可能である。
また、本実施形態によれば、車速センサにより検出された衝突時の車速を加味して衝突物の種類を判別することが可能となるので、より高精度の衝突検知を行うことができる。また、圧力センサと車速センサの検出結果に基づいて、衝突物の有効質量を算出し、この有効質量に基づいて衝突物の種類を判別するので、衝突物の種類を高精度に判別することができる。
また、本実施形態によれば、運動方程式に即した理論的にも正確な衝突物の有効質量を算出することができ、これにより正確な衝突の検知が可能となる。また、チャンバ空間における圧力変化の最大値と車両バンパの吸収エネルギとの相関関係を示す近似式又はテーブルを用いて車両バンパの吸収エネルギを求めるので、当該近似式又はテーブルを用いない場合に比べて、より正確に衝突物の種類を判別することができる。例えば、チャンバ部材の形状や配置、車両バンパに配設されたバンパカバーや発泡樹脂製のアブソーバ等の他の部材の影響を反映した正確な衝突の検知が可能となる。更に、近似式又はテーブルは、車両バンパへの衝突実験によって予め求められたものであるので、チャンバ部材の他に、例えば、バンパカバーや発泡樹脂製のアブソーバ等が配設された実際の車両バンパへの衝突実験により、バンパ構造毎の近似式又はテーブルを求めることができる。従って、実際に車両に搭載した場合に、当該車両バンパの構造に即した高精度の検知が可能な車両用衝突検知装置を提供することができる。
更に、車両バンパ1内には、アブソーバが配設され、上記近似式又はテーブルは、当該アブソーバとチャンバ部材7への衝突実験によって予め求められたものとしても良い。バンパカバー意匠は車両仕向地やグレードなどにより異なることが考えられるため、バンパカバーを除いたアブソーバとチャンバ部材のみへの衝突実験の結果を用いることで、アッパレインフォース部のみの近似式又はテーブルを用いることができ、車種如何によらず共通の近似式又はテーブルで対応することができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、前記実施形態では、チャンバ部材7内に空気を封入する構成を示したが、空気以外の気体を封入する構成としてもよい。
本発明は、車両バンパにおける圧力変化に基づいて衝突物を判別可能な車両用衝突検知装置に適用可能である。
本発明の実施形態に係る車両用衝突検知装置の構成を示す図であり、(a)は、その構成を車両バンパの概略縦断面構造と共に示す図、(b)は、その機能ブロック図である。 本発明の実施形態において有効質量を算出する方法を説明するための概念図である。 衝突荷重とバンパ変形量の関係を示すグラフである。 チャンバ空間内の圧力変化の最大値と車両バンパの吸収エネルギとの関係を説明するための図であり、(a)は、車両バンパへの衝突実験の条件を簡略に示す図、(b)は、当該条件下の衝突実験により得られたチャンバ空間における圧力変化の最大値と車両バンパの吸収エネルギとの相関関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る車両用衝突検知装置におけるコントローラの処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 車両バンパ
2 バンパカバー
3 バンパレインフォース
7 チャンバ部材
7a チャンバ空間
9 圧力センサ
11 車速センサ
13 コントローラ(有効質量算出手段、判別手段、吸収エネルギ取得手段)

Claims (3)

  1. 車両バンパへの物体の衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
    前記車両バンパ内に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、
    前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、
    当該車両の車速を検出する車速センサと、
    前記圧力センサ及び前記車速センサの検出結果に基づいて衝突物の有効質量を算出する有効質量算出手段と、
    前記有効質量算出手段によって算出された前記有効質量に基づいて前記衝突物の種類を判別する判別手段と
    前記圧力センサにより検出された前記チャンバ空間における圧力変化の最大値に基づいて前記車両バンパの吸収エネルギを求める吸収エネルギ取得手段と
    を備え、
    前記有効質量算出手段は、前記吸収エネルギ取得手段によって求められた前記車両バンパの吸収エネルギをE とし、衝突時の車速検出値をVとしたとき、前記有効質量Mを数式M=2E /V により算出し、
    前記吸収エネルギ取得手段は、前記チャンバ空間における圧力変化の最大値と前記車両バンパの吸収エネルギとの相関関係を示す近似式又はテーブルを用いて前記吸収エネルギを求めることを特徴とする車両用衝突検知装置。
  2. 前記近似式又はテーブルは、前記車両バンパへの衝突実験によって予め求められたことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
  3. 前記車両バンパ内には、更に、アブソーバが配設され、前記近似式又はテーブルは、該アブソーバと前記チャンバ部材への衝突実験によって予め求められたことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
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