JP4940173B2 - ベーンポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ベーンポンプに関する。
従来、複動式の油圧シリンダをアクチュエータとした油圧システムが知られている。複動式の油圧シリンダとしては、シリンダの片側にのみロッドが設けられた片ロッド形シリンダやシリンダの両側にロッドが設けられた両ロッド形シリンダが知られている。従来の油圧システムでは、これらの油圧シリンダを駆動するために、制御弁を用いてアクチュエータの動作方向を切り替えている。
図9は、従来の油圧システム200の例を、概略的に示したブロック図である。この油圧システム200は、片ロッド形の油圧シリンダ210をアクチュエータとした油圧システムであり、油圧シリンダ210には、ピストン213を介して区切られた各空間215a,215bに、配管に通じるポート217a,217bが設けられている。各ポート217a,217bから延びる配管は、方向切替弁220に接続されており、油圧ポンプ230から供給される作動油の流れは、この方向切替弁220により、切り替えられる。
例えば、方向切替弁220が操作されて、方向切替弁220が第一の状態にあるときには、油圧ポンプ230から供給される作動油が、ポート217aに入力され、ポート217bからはタンク240に向けて作動油が出力される。このような作動油の油圧シリンダ210に対する入出力により、ピストン213は、図面左側から右側に移動して、それに伴いロッドが移動する。
これに対し、方向切替弁220が、第二の状態にあるときには、油圧ポンプ230から供給される作動油がポート217bに入力されて、ポート217aからは作動油がタンク240に向けて出力される。このような作動油の油圧シリンダ210に対する入出力により、ピストン213は、図面右側から左側に移動して、それに伴いロッドが移動する。
この動作により、油圧ポンプ230の運動は、ロッドの線形運動に変換される。尚、この種の油圧システム200には、油圧ポンプ230として、例えば、ベーンポンプが用いられる(特許文献1,2参照)。
特開昭58−170868号公報 特開2002−317783号公報
しかしながら、上述した従来技術では、複動式の油圧シリンダを駆動するために、タンクや方向切替弁等を用いて油圧システムを構成する必要があり、システム構成が煩雑になるといった問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、複動式の油圧シリンダを簡素なシステム構成で駆動可能なベーンポンプを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載のベーンポンプは、回転軸を中心に放射状に形成された複数のベーン溝を有し、回転軸を中心に回転するロータと、ロータより大径に形成された内面であって回転軸に直交する断面がエピトロコイド曲線に沿うように形成された内面を有して、ロータを包囲するカムリングと、ロータの各ベーン溝に設けられ、ロータの回転に応じてベーン溝から、ロータの回転軸に対して直交する方向に出入する複数のベーンと、を備えると共に、回転軸から対称に位置するベーンの組毎に、一方のベーンの先端と他方のベーンの先端との間の距離がロータの直径より長尺な一定距離となるように支持する、所定長さの支持棒を備えるものである。
このベーンポンプにおいて、ロータの回転軸は、カムリングの内面を構成するエピトロコイド曲線上で一定距離だけ離れた任意の二点間を結ぶ直線が通る唯一の定点を通るように、位置決めされている。即ち、本発明のベーンポンプは、各ベーンの先端が常時カムリング内面を当接するように構成されており、ロータが回転すると、各ベーンが、ロータの回転運動に連動してベーン溝から出入し、カムリング内面を摺動する。
また、各ベーンは、一対のベーン構成体が回転方向の前後で重ね合わされた構成にされている。そして、一対のベーン構成体は、対となるベーン構成体に接触する裏面から表面に向けて、対となるベーン構成体とは対称的に傾斜したテーパー部を、カムリング内面に接触する先端側に有して、裏面側に先端を有した尖形形状にされている。
このように構成された本発明のベーンポンプでは、ロータが正回転している場合、吸入口からカムリング内にポンプ対象の流体(以下、「対象流体」と称する。)が流入して、当該流体が吐出口までポンプされ当該吐出口から対象流体が外部に吐出され、ロータが逆回転している場合には、吐出口からカムリング内に対象流体が流入し、当該流体が吸入口までポンプされ当該吸入口から外部に吐出される。
そして、この回転時には、流体をポンプすることによる反作用として、ベーンに、テーパー部を通じて強い圧力が働くが、本発明では、ベーンが、上述した構成の一対のベーン構成体からなることから、上記圧力によってベーンとカムリング内面との間に隙間ができ、対象流体が、この隙間を抜けることによって、ポンプ性能が劣化するのを抑えることができ、効率的に対象流体をポンプすることができる。
詳述すると、ベーンポンプでは、ベーンに回転中心側への強い圧力がかかると、ベーンが、支持棒に支持された状態にあっても、寸法誤差の関係上、回転中心側へ微小量ずれて、ベーン先端とカムリング内面との間に隙間が生じてしまう。特に、回転方向にテーパーが面していると、ベーンには、流体をポンプする過程で、テーパーを通じて回転中心方向への力が働きやすいため、このような事象が発生しやすい。
しかしながら、ベーンを曲面状のカムリング内面で摺動させるためには、ベーン先端にテーパーを設けてベーンを尖形形状とする必要がある。即ち、ベーンポンプを両回転可能に構成する場合には、ベーン先端にテーパーを設けてベーンを尖形形状とする必要があるけれども、テーパー部をベーンの表面及び裏面のいずれに設けても、正回転または逆回転時に、回転方向を向くテーパーが生じてしまうといった問題がある。このため、ベーンポンプを両回転可能に構成する場合には、従来のように、ベーンを単一部材で構成すると、ベーンがカムリング内面から離れてしまい、ポンプ性能が劣化してしまうといった問題がある。
このため、本発明では、上述のような構成の一対のベーン構成体にてベーンを構成することで、回転中心への強い圧力が加わっても、ポンプ性能が劣化しないようにしている。
本発明のように、ベーンを構成すれば、回転方向前方のベーン構成体には、回転中心側への強い圧力が働いてベーン構成体がカムリング内面から離れてしまう可能性があるが、回転方向前方のベーン構成体がカムリング内面から離れると、対象流体が、回転方向前方のベーン構成体の先端から抜けて、回転方向前方のベーン構成体と回転方向後方のベーン構成体との僅かな隙間に侵入し、回転方向後方のベーン構成体の回転中心側の背面に回り込んで、回転方向後方のベーン構成体には、回転中心側とは反対方向の圧力が加わる。
一方で、回転方向後方のベーン構成体は、回転方向に対して後方側の面にテーパー部を有している。即ち、このベーン構成体においては、回転方向側にテーパー部がないため、回転方向前方のベーン構成体と比較して、回転中心側への力が加わりにくい。
従って、本発明によれば、回転方向前方のベーン構成体が圧力によりカムリング内面から浮いてしまっても、回転方向後方のベーン構成体をカムリング内面にしっかりと接触させることができて、ポンプ性能を劣化させずに、流体をポンプすることができるのである。
このように、本発明のベーンポンプは、回転方向に依らずポンプ性能が維持されるように構成されているので、ユーザは、ロータの回転方向を切り替えて、ベーンポンプを駆動することができる。
従って、このベーンポンプの吸入口及び吐出口を、複動式の油圧シリンダに接続して閉回路を構成すれば、方向切替弁やタンクを用いなくとも、ロータの回転方向を切り替える程度で、シリンダ内でピストンにより区切られた各空間内の作動油をシリンダに対して入出力することができ、シリンダ内のピストンの移動方向を切り替えることができる。よって、このベーンポンプを用いれば、複動式の油圧シリンダを簡素なシステム構成で駆動することができるのである。
特に、本発明では、カムリング内面をエピトロコイド曲線として、カムリング内面の二点間の距離が回転中心を挟んで一定距離となるようにしつつ、回転軸を挟んで対称的な位置にある二つのベーンを、その間隔が上記一定距離となるように、支持棒にて支持するようにした。従って、本発明によれば、遠心力によりベーンをカムリング内面に当接させるベーンポンプよりも、良好に対象流体をポンプすることができる。
即ち、従来のベーンポンプとしては、各ベーンを、ベーン溝から遠心力でカムリング内面側へ突出させて、カムリング内面で摺動させるものがよく知られているが、この種のベーンポンプでは、ある所定値以上の回転速度にてベーンを回転させないと、遠心力が弱いためにベーンがカムリング内面に当接しなくなり、ベーンとカムリング内面との間に生じる隙間から、対象流体が漏れ出て、ベーンポンプのポンプ性能が劣化する。
また、カムリング内面とロータの回転軸との間の距離(即ち、カムリング内面の径)がベーンの周回運動に伴って著しく変化するベーンポンプでは、ロータを高速回転させる場合、ベーンにカムリング内面から大きな抗力が働いて、ベーンがカムリング内面から一時的に離れてしまい、ベーンポンプのポンプ性能が劣化する。
これに対し、本発明では、ロータの回転軸に対して、両側に対称に位置する二つのベーンを常に一定距離離れるように支持し、その一対のベーンがカムリング内面に常に当接するような内面形状に、カムリングを形成しているので、ロータの回転速度によってポンプ性能が劣化せずに済み、本発明のベーンポンプを用いれば、簡素な構成で高性能な油圧システムを構成することができるのである。
また、上記ベーンポンプは、次のように構成されるのが一層好ましい。即ち、カムリングの内面には、ロータが正回転した場合の吐出口から吸入口までの経路に、ベーンの先端とカムリングとの間に間隙を形成するための溝を形成するのが好ましい。
ベーンポンプにおいては、対象流体が吐出口から全て排出されないと、その流体は吸入口に至るまでに圧縮され、これに起因してベーンポンプ内に大きなサージ圧が発生するが、上記のようにカムリング内面を構成すると、排出できなかった流体を溝に逃すことができて、サージ圧が発生するのを抑制することができる。
従って、このベーンポンプでは、圧力による衝撃がベーンポンプ全体に伝搬することにより、ベーンポンプ内部に損傷が生じるのを抑制することができ、結果として、ベーンポンプの耐久性を向上させることができる。
また、大きなサージ圧が発生した際には、その圧力によってベーンの運動が阻害されて、ロータが回転しなくなってしまう可能性があるが、当該ベーンポンプによれば、このような事態が起こるのを防止することができる。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用されたベーンポンプ1の概略分解斜視図であり、図2は、ロータ20の回転軸(図1で示す一点鎖線R−R’)に垂直な面に沿うベーンポンプ1の概略断面図であり、図3は、その断面から見た対象流体のポンプ態様を表す説明図である。尚、図2及び図3では、シャフト25を、一点鎖線で透過して表す。この他、図1では、ベーン形状を簡略的に表しているので、ベーン形状の詳細については、図2等を参照されたい。また、図4は、ロータ20の回転軸に平行な面に沿うベーンポンプ1の概略断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施例のベーンポンプ1は、主に、ベーン11を備えたロータ20と、ロータ20を収容する筒状のカムリング30と、カムリング30の周縁に固着され、カムリング30の開口端を閉塞してロータ20を包囲するサイドプレート40L,40Rと、これらの部材を収容するセンタケーシング51及びサイドケーシング53L,53Rからなるケーシング50と、から構成されている。
このベーンポンプ1は、モータからの回転トルクを受けて、ロータ20を回転させる構成にされており、図3(a)に示すように、ロータ20が正回転すると、ベーン11は、ロータ20の回転運動に連動して、カムリング30及びサイドプレート40L,40Rによって形成されたポンプ室3の内面を摺動し、第一接続ポート55から、対象流体を、吸入口45を介してベーンポンプ1内部のポンプ室3に吸入すると共に、ポンプ室3内で対象流体をポンプし、吐出口47を介して第二接続ポート57から対象流体を外部へ排出する。
また、このベーンポンプ1では、モータの回転方向が切り替わり、ロータ20が、図3(b)に示すように逆回転すると、ベーン11は、ロータ20の回転運動に連動して、カムリング30及びサイドプレート40L,40Rによって形成されたポンプ室3の内面を摺動し、第二接続ポート57から、対象流体を、吐出口47を介してベーンポンプ1内部のポンプ室3に吸入すると共に、ポンプ室3内で対象流体をポンプし、吸入口45を介して第一接続ポート55から対象流体を外部へ排出する。
ロータ20は、円柱状に形成されたロータ本体の中心軸(換言すれば回転軸)から、その中心軸に直交する方向に沿って放射状に(本実施例では、角度30度おきに)、ベーン11を収納するためのベーン溝23を備えた構成にされており、このベーン溝23にて、対象流体をポンプするためのベーン11を、収納すると共に支持する。
一方、ベーン11は、ロータ20に角度30度おきに形成された12個のベーン溝23に対応して、ベーン溝23毎に、一つずつ設けられており、ロータ20の回転軸に対して対称に位置する二つのベーン11は、互いに一定距離を保つように、回転軸に対向する背面にて、支持棒13により支持された構成にされている。尚、以下では、ロータ20の回転軸に対して対称に位置する二つのベーン11と、このベーン11を支持する支持棒13との組合せからなるもの(換言すれば、二つのベーン11が支持棒13にて支持されたもの)を、特に、対ベーン10と表現する。
そして、各ベーン11は、ベーン溝23に対して摺動自在、且つ、ロータ20の回転軸に直交する方向(ロータ法線方向)に沿って、ベーン溝23からロータ20外部に出入自在にされて、ロータ20に支持されている。
また、ロータ20は、その回転軸に沿って貫設されたシャフト25を備えており、このシャフト25には、支持棒13を、シャフト25の中心軸(換言すれば回転軸)に直交するように配設するための支持棒用貫通孔27が、設けられている。
また、このような構造のシャフト25は、サイドケーシング53L,53Rによって回転自在に支持されており、外部モータから発生した回転トルクがシャフト25に伝達されると、シャフト25の回転に伴って、ロータ20は、シャフト25の中心軸を中心に回転する。
次に、内面でベーン11が摺動するカムリング30は、内径がロータ20より大径で、左右の縁端が開口された筒状に形成されており、この外周面は、後述のセンタケーシング51内側に当接されるようにして固定され、内周面(内面)は、ロータ20及びロータ20に支持されたベーン11を、ロータ20の外周側から包囲する。
また、カムリング30の内面は、ロータ20の回転軸に垂直な断面にて、次式で表されるエピトロコイド曲線となるように形成されている。
x=Rcosα−rsin2α
y=Rsinα+rcos2α−r …式(1)
上式において、αは変数(α=0〜2π)、R,rは、形成するポンプ室3の大きさによって定まる定数であり、上式で算出されるx,yは、ロータ20の回転軸を原点とした直交座標(x,y)系にて、カムリング30の内面を形成するエピトロコイド曲線上の座標を表している。
図5は、この式にて描かれるエピトロコイド曲線を表す説明図である。但し、図5に示すエピトロコイド曲線は、エピトロコイド曲線の形状が理解しやすいように、本実施例のカムリング30の内面を形成するエピトロコイド曲線より、定数rが定数Rと比較して小さい値に設定されている。つまり、図2からもわかるように、本実施例のカムリング30内面を形成するエピトロコイド曲線における原点(即ち、ロータ20の回転軸)は、図5に示す原点Oよりも、エピトロコイド曲線によって囲まれる領域の中央側に設定されている。
このエピトロコイド曲線は、原点Oから対称に位置する曲線上の任意の二点間(例えば、図5に示すA−A’間、B−B’間、C−C’間、D−D’間)の距離が一定となる性質を持っており、本実施例のカムリング30の内面は、ロータ20の回転軸に対して対称に位置する二点間の距離が一定値2Rとなるようにされている。
また、このような曲線形状のカムリング30内面の大きさは、ロータ20の回転軸(原点O)からエピトロコイド曲線上の点までの最短距離がロータ20の半径と同程度になるように設定されている。
また、この構成に伴って、ロータ20の回転軸からの距離が最短となるカムリング30内面付近には、ロータ20の回転軸を基準とする角度30度の範囲(隣り合う二つのベーン溝23の間隔)で、断面円弧状に切削された溝部31が形成されている。
なぜなら、このような溝部31が形成されていないカムリングにてベーンポンプ1を構成すると、ロータ20の外周面が、回転軸から最も近いカムリング30内面に略接することになり、例えば、ロータ20が正回転する際には、ベーンポンプ1が対象流体を吐出口47から排出しきれないと、ロータ20がこの対象流体を圧縮して、ベーンポンプ1内に、大きなサージ圧が発生してしまう可能性があるからである。
換言すると、本実施例のベーンポンプ1では、吐出口47から排出しきれなかった対象流体を溝部31に逃すことにより、サージ圧が発生するのを抑制して、サージ圧が発生することによるベーンポンプ1への衝撃を抑制し、結果として、ベーンポンプ1の耐久性を向上させている。尚、溝部31を設けることにより得られる効果は、ロータ20が逆回転する際にも同様に得ることができる。即ち、本実施例のベーンポンプ1は、ロータ20の逆回転時においても、吸入口45から排出しきれなかった対象流体を溝部31に逃しつつ、吐出口47側にロータ20を回転させることができる。
尚、溝部31は、ベーン11が溝部31内に侵入しないようにベーン11の幅より細い筋状に形成されている。このため、ベーンポンプ1内部においては、ベーン11が溝部31に侵入することはない。
また、サイドプレート40L,40Rは、カムリング30の左右の開口端を閉塞するようにして、上述のカムリング30の左右周縁に当接されており、このサイドプレート40L,40Rと上述のカムリング30とによって、本実施例のベーンポンプ1の内部には、対象流体をポンプするためのポンプ室3が形成されている。
詳述すると、このサイドプレート40L,40Rは、円盤状で、側縁がカムリング30の周縁の外周に沿った形状となるように形成されており、ロータ20の回転軸に対応する位置には、左右外側にシャフト25を貫通させて、サイドケーシング53L,53R側へ導くための筒状のシャフト貫通部41を備えている。
また、サイドプレート40L,40Rの端部には、サイドプレート40L,40Rとカムリング30とを、ピンを用いて固定するための固定孔43が設けられ、更に、右サイドプレート40Rには、吸入口45が形成され、左サイドプレート40Lには、吐出口47が形成されている。
この吸入口45及び吐出口47は、半径が僅かに異なる所定角度の二つの円弧の両端を結んでできる形状の切欠により構成されており、小径の円弧は、略ロータ20と同半径にされ、大径の円弧は、ロータ20の半径より、ロータ20の外面とカムリング30との内面との間の最大距離分だけ大径にされている。
そして、このような形状の右サイドプレート40Rの吸入口45は、右サイドプレート40Rがカムリング30に当接された状態において、吸入口45の小径な円弧状に形成された端部がロータ20の外周部分に沿うようにして、カムリング30の溝部31の端部を基点として配置され、ポンプ室3と連通された状態にされる。
また、左サイドプレート40Lに形成された吐出口47は、左サイドプレート40Lがカムリング30に当接された状態において、吐出口47の小径な円弧状に形成された端部がロータ20の外周部分に沿うように、カムリング30の溝部31の端部を基点として配置され、ポンプ室3と連通された状態にされる。
この他、ケーシング50は、カムリング30の外周面に内面が当接される筒状のセンタケーシング51と、このセンタケーシング51の左右周縁に螺子を用いて固着されるサイドケーシング53L,53Rと、から構成されている。
つまり、センタケーシング51は、左右が開口された状態にされ、且つ、内面がカムリング30の外周の形状に合わせて、断面円状となるように形成されている。また、このセンタケーシング51の外周面には、ベーンポンプ1を外部に螺子で固定するための固定部52が備えられている。
一方、サイドケーシング53L,53Rは、センタケーシング51の左右開口端を閉塞可能な形状にされており、内部には、ロータ20に接続されたシャフト25をケーシング50に回転自在に固定するためのベアリング54を、ロータ20の回転軸(一点鎖線R−R’)上となる対応箇所に備えている。
また、左右のサイドケーシング53L,53Rの内、右サイドケーシング53Rには、外部の配管を接続するための筒状の第一接続ポート55が備えられており、この右サイドケーシング53Rの内部には、第一接続ポート55から右サイドプレート40Rの吸入口45に繋がる流路56が形成されている。即ち、右サイドケーシング53Rは、ベーンポンプ1内側に位置する流路56の開口部が、右サイドプレート40Rの吸入口45に連通するようにされて、センタケーシング51に固定されており、この構成によりベーンポンプ1は、第一接続ポート55を通じて、外部の配管とポンプ室3とが連通された構成にされている。
一方、左サイドケーシング53Lには、外部の配管を接続するための筒状の第二接続ポート57が備えられ、左サイドケーシング53Lの内部には、左サイドプレート40Lの吐出口47から第二接続ポート57に繋がる流路58が形成されている。即ち、左サイドケーシング53Lは、ベーンポンプ1内側に位置する流路58の開口部が、左サイドプレート40Lの吐出口47に連通するように配置されて、センタケーシング51に固定されており、この構成によりベーンポンプは、第二接続ポート57を通じて、外部の配管とポンプ室3とが連通された構成にされている。
また、左サイドケーシング53Lには、シャフト25をベーンポンプ1外部に露出させるためのシャフト用孔部59が形成されている。当該ベーンポンプ1は、このようにして外部に露出されたシャフト25を通じてモータの回転トルクを受ける。
続いて、本実施例のベーンポンプ1を構成するベーン11の構成について、図6を用いて詳述する。図6は、対ベーン10の構成を表す説明図であり、図6(a)は、対ベーン10の構成を表す概略側面図、図6(b)は、ベーン11が一本の支持棒13にて支持される対ベーン10の構成を表す概略上面図、図6(c)は、ベーン11が二本の支持棒13にて支持される対ベーン10の構成を表す概略上面図である。
本実施例のベーン11は、長方形で平板状に形成された二つのベーン構成体11aが重ね合わされた構成にされている。
このベーン11を構成する二つのベーン構成体11aは、夫々同一構成にされており、対となるベーン構成体11aに接触する裏面11cから表面に向けて傾斜したテーパー部11bを、カムリング30内面に接触する先端側に有して、裏面側に先端を有した尖形形状にされている。
この二つのベーン構成体11aの夫々は、対となるベーン構成体11aを固定するための構造を有せず、ベーン溝23に収納されていない状態では、対となるベーン構成体11aに対して自由に移動可能な構成にされている。但し、ベーン溝23のロータ回転方向の幅は、ベーン構成体11aの厚みの2倍程度であるため、各ベーン構成体11aは、ベーン溝23に収容されると、ベーン溝23の内面23aと、対となるベーン構成体11aの裏面11cとの間で挟まれるように支持され、ロータ回転方向の移動が規制された状態にされる。尚、ベーン構成体11aの1組は、ロータ回転方向の前後で重ね合わされて、ベーン溝23に収容される。
また、ベーン構成体11aのロータ法線方向の移動は、回転軸から対称に位置するベーン11の組毎に設けられた支持棒13により規制される。
本実施例においては、上述したように、カムリング30内面の回転軸を挟んだ二点間の距離が、一定距離2Rとなるように、ベーンポンプ1が設計されており、支持棒13は、この距離2Rと、ベーン11のロータ法線方向の長さD1と、の関係に基づき、所定長さD2に設計されている。具体的には、D2=2・(R−D1)となるように、設計されている。
このようにして、本実施例では、回転軸から対称に位置する二つのベーン11間の距離、即ち、一方のベーン11の先端と他方のベーン11の先端との間の距離が、ロータ20の直径より長尺な一定距離2Rとなるように、支持棒13が、ベーン11を背面から支持する構成にされている。
具体的に、支持棒13は、シャフト25の支持棒用貫通孔27に挿通され、回転軸から対称に位置する二つのベーン11の間に設けられる。このような状態で、支持棒13は、ベーン11を構成する各ベーン構成体11aのテーパー部11bが設けられた先端部とは反対側の背面を支持し、一方のベーン11の先端と他方のベーン11の先端との間の距離がロータ20の直径より長尺な一定距離2Rとなるようにする。
尚、本実施例では、計6個の対ベーン10を、ベーンポンプ1に設けているため、回転軸から対称に位置するベーン11の組を、1本の支持棒で支持しようとすると、1つの対ベーン10を除いて、ベーン11の背面をその中心にて支持することができない。
このため、本実施例では、計6つの対ベーン10の内、1つの対ベーン10を1本の支持棒13によりベーン11を支持する構成とし、他の5つの対ベーン10を、2本の支持棒13によりベーン11を支持する構成とした。
図4に示すように、シャフト25は、回転軸方向に沿って、11個の支持棒用貫通孔27が等間隔に配列された構成にされている。この内、真ん中に位置する支持棒用貫通孔27は、支持棒13が、ベーン11の背面を、その中心にて支持可能な位置に設けられている。
即ち、1本の支持棒13でベーン11が支持される対ベーン10は、図6(b)に示すように、回転軸から対称に位置する各ベーン11の背面を、背面の中心にて支持する構成にされている。一方、2本の支持棒13でベーン11が支持される対ベーン10は、図6(c)に示すように、回転軸から対称に位置するベーン11の背面を、背面の中心から、等距離離れた二点で支持する構成にされている。
本実施例では、このような方法で、合計六つの対ベーン10を構成している。尚、このような構成の対ベーン10は、生産者が、支持棒13をシャフト25の支持棒用貫通孔27に挿入すると共に、ベーン溝23に、1対のベーン構成体11aを重ね合わせて挿入することによって、ロータ20に取り付けられる。そして、このような支持棒13がベーン11を支持することによって、ベーンポンプ1においては、各ベーン構成体11aが、カムリング30内面に当接されるように配置される。
このようにして、ロータ20に取り付けられたベーン構成体11aは、カムリング30内面からの抗力を受けると共に、支持棒13からの押圧力を背面から受けて、ロータ20の回転と共に、ベーン溝23から出入りするように動作し、カムリング30内面を摺動しながら、ポンプ室3内を周回運動する。
以上が、本実施例のベーンポンプ1の構成に関する説明であるが、このような構成のベーンポンプ1では、ベーン11がベーン構成体11aの1組から構成されているので、対象流体をポンプすることによる反作用として、ベーン構成体11aに、テーパー部11bを通じて強い圧力が働いても、この圧力によってベーン11とカムリング30内面との間に隙間ができ、対象流体が、この隙間を抜けることによって、ポンプ性能が劣化するのを抑えることができ、効率的に対象流体をポンプすることができる。
即ち、ベーン11を、ベーン構成体11aの1組ではなく単一部材で構成すると、ロータ20の回転時にベーン11に回転中心側への強い圧力がかかった場合、ベーン11が支持棒13に支持された状態にあっても、寸法誤差の関係上、回転中心側へ微小量ずれて、ベーン11先端とカムリング30内面との間に隙間が生じてしまう。特に、回転方向にテーパーが面していると、ベーン11には、対象流体をポンプする過程で、テーパーを通じて回転中心方向への力が働きやすいため、このような事象が発生しやすい。
しかしながら、ベーン11を曲面状のカムリング30内面で摺動させるためには、ベーン11先端にテーパーを設けてベーン11を尖形形状とする必要がある。即ち、ベーンポンプ1を両回転可能に構成する場合には、ベーン11先端にテーパーを設けてベーンを尖形形状とする必要があるけれども、テーパーをベーン11の表面及び裏面のいずれに設けても、正回転または逆回転時に、回転方向を向くテーパーが生じてしまうといった問題がある。このため、ベーンポンプ1を両回転可能に構成する場合には、従来のように、ベーン11を単一部材で構成すると、ベーン11がカムリング30内面から離れてしまい、ポンプ性能が劣化してしまうといった問題がある。
このため、本実施例では、上述のような構成の1組のベーン構成体11aにてベーン11を構成することで、回転中心への強い圧力が加わっても、ポンプ性能が劣化しないようにした。
本実施例のように、ベーン11を構成すれば、図7に示すように、回転方向前方のベーン構成体11aには、回転中心側への強い圧力P1が働いてベーン構成体11aがカムリング30内面から離れてしまう可能性があるが、回転方向前方のベーン構成体11aがカムリング30内面から離れると、対象流体が、回転方向前方のベーン構成体11aの先端から抜けて、回転方向前方のベーン構成体11aと回転方向後方のベーン構成体11aとの僅かな隙間に侵入し、回転方向後方のベーン構成体11aの回転中心側の背面に回り込んで、回転方向後方のベーン構成体11aには、回転中心側とは反対方向の圧力P2が加わる。尚、対象流体の流れは、図7において、点線で示す。
一方で、回転方向後方のベーン構成体11aは、回転方向に対して後方側の面にテーパー部11bを有している。即ち、このベーン構成体11aにおいては、回転方向側にテーパー部11bがないため、回転方向前方のベーン構成体11aと比較して、回転中心側への力が加わりにくい。
従って、本実施例によれば、回転方向前方のベーン構成体11aが圧力P1によりカムリング30内面から浮いてしまっても、回転方向後方のベーン構成体11aをカムリング30内面にしっかりと接触させることができて、ポンプ性能を劣化させずに、対象流体をポンプすることができるのである。
このように、本実施例のベーンポンプ1は、回転方向に依らずポンプ性能が維持されるように構成されているので、ユーザは、ロータ20の回転方向を切り替えて、ベーンポンプ1を駆動することができる。
従って、本実施例のベーンポンプ1によれば、第一接続ポート55から第二接続ポート57への対象流体のポンプ動作及び第二接続ポート57から第一接続ポート55への対象流体のポンプ動作を、ロータ20の回転方向の切替、即ち、ロータ20を駆動するモータの回転方向の切替により、簡単に実現することができる。
結果、このベーンポンプ1の第一接続ポート55及び第二接続ポート57を、複動式の油圧シリンダに接続して閉回路を構成すれば、方向切替弁やタンクを用いなくとも、ロータ20の回転方向を切り替える程度で、シリンダ内でピストンにより区切られた各空間内の作動油をシリンダに対して入出力することができ、シリンダ内のピストンの移動方向を切り替えることができる。よって、このベーンポンプ1を用いれば、複動式の油圧シリンダを簡素なシステム構成で駆動することができるのである。
また、本実施例によれば、カムリング30内面が、上述したようにエピトロコイド曲線にて形成されているので、ベーン11がカムリング30内面から離れ辛く、良好に対象流体をポンプすることができる。
また、本実施例によれば、生産者は、部材を数式で表される曲線に沿って切削可能な工作機器を用いることで、簡単に、カムリング30内面を加工することができ、簡単に、高性能なベーンポンプ1を製造することができる。
次に、本実施例のベーンポンプ1を用いた油圧システムについて説明する。図8は、本実施例のベーンポンプ1を用いた油圧システム100の構成を表す説明図である。
この油圧システム100は、本実施例のベーンポンプ1と、ベーンポンプ1を駆動するモータ101と、モータ101を制御する制御部103と、両ロッド形の複動式油圧シリンダ110と、油圧シリンダ110に設けられた第一ポート111とベーンポンプ1の第一接続ポート55を結ぶ配管121と、油圧シリンダ110に設けられた第二ポート113とベーンポンプ1の第二接続ポート57を結ぶ配管123と、を備えるものである。
油圧シリンダ110は、両側にロッドを備えるピストン115を、シリンダ本体117内で摺動可能に保持しており、第一ポート111は、ピストン115により分離されるシリンダ本体117内の第一室118aに設けられ、第二ポート113は、ピストン115により分離されるシリンダ本体117内の第二室118bに設けられている。
また、この油圧システム100において、シリンダ本体117及び配管121,123及びベーンポンプ1には、作動油が充填されており、この作動油の制御により、ピストン115は、左右に移動し、それに伴ってロッドが左右に移動する。これにより、ベーンポンプ1内のロータ20を駆動するモータ101の回転運動は、ロッドによる線形運動に変換される。
この油圧システム100においては、制御部103に対して入力される指令信号に従って、制御部103が、モータ101を制御して、ロータ20の回転方向等を制御する。そして、制御部103の制御により、ロータ20が正回転する方向にモータ101が制御されると、ベーンポンプ1は、油圧シリンダ110の第一室118a内の作動油を第一接続ポート55を通じて吸引すると共に、作動油を吸入口45から吐出口47側へとポンプして、第二接続ポート57を通じ、油圧シリンダ110の第二室118b内に作動油を送り出す。これにより、油圧シリンダ110内のピストン115は、左方向に移動する。
また、この際、ベーンポンプ1は、具体的に、次のようにして、対象流体(作動油)をポンプする。
まず、ロータ20が正回転(図2では、反時計回りに回転)すると、この回転に連動して、ベーン11がカムリング30内面を摺動する。
そして、ベーン11が、このような動作で溝部31側から吸入口45側に移動すると、当該ベーン11が、ベーン溝23から次第に突出して、回転方向前方のベーン11と共にポンプ室3内を区画して対象流体を運搬するための作動室3aを形成する。尚、このベーン11の動きに従動して、このベーン11とは対称に位置するベーン11は、ベーン溝23に沿って回転中心に向かって移動し、ベーン溝23内に収納される。
また、回転方向に移動するベーン11がベーン溝23から次第に突出されるのに伴って、このベーン11によって形成される作動室3aは、その体積を広げる。これにより、ベーンポンプ1は、吸入口45から対象流体を作動室3a内に吸入する。
この後、対象流体が充填された作動室3aは、ベーン11の周回運動と共に、吐出口47側へと対象流体を運搬する。そして、作動室3aが吐出口47と連通される位置まで移動すると、ベーン11は次第にベーン溝23内に収納され、ベーン11によって区画された作動室3aの体積は徐々に小さくなり、それと共に作動室3aは、室内の対象流体を吐出口47より押し出して吐出する。
そして、ベーン11がカムリング30の溝部31周辺にまで移動すると、この作動室3aの体積は略ゼロになり、作動室3aからは、作動室3a内の対象流体の略全てが吐出される。尚、完全に作動室3a内から対象流体を吐出できなかった場合、ベーンポンプ1は、上述したように残った対象流体を溝部31に流入させて、ベーンポンプ1内部にサージ圧が発生するのを抑制する。この後、ベーン11は、再び吸入口45まで移動して、上述と同様の動作をする。
一方、制御部103の制御により、ロータ20が逆回転する方向にモータ101が制御されると、ベーンポンプ1は、油圧シリンダ110の第二室118b内の作動油を第二接続ポート57を通じて吸引すると共に、作動油を吐出口47から吸入口45側へとポンプして、第一接続ポート55を通じ、油圧シリンダ110の第一室118a内に作動油を送り出す。これにより、油圧シリンダ110内のピストン115は、右方向に移動する。
また、この際、ベーンポンプ1は、具体的に、次のようにして、対象流体(作動油)をポンプする。即ち、ロータ20が逆回転(図2では、時計回りに回転)した場合には、ベーン11が溝部31側から吐出口47側に移動するのに伴って、当該ベーン11がベーン溝23から次第に突出し、回転方向前方のベーン11と共にポンプ室3内を区画して対象流体を運搬するための作動室3aを形成する。
また、回転方向に移動するベーン11がベーン溝23から次第に突出されるのに伴って、このベーン11によって形成される作動室3aは、溝部31側の吐出口47の端部から、その体積を広げる。これにより、ベーンポンプ1は、吐出口47から対象流体を作動室3a内に吸入する。
この後、対象流体が充填された作動室3aは、ベーン11の周回運動と共に、吸入口45側へと対象流体を運搬する。そして、作動室3aが吸入口45と連通される位置まで移動すると、ベーン11は次第にベーン溝23内に収納され、ベーン11によって区画された作動室3aの体積は徐々に小さくなり、それと共に作動室3aは、室内の対象流体を吸入口45より押し出して吐出する。
そして、ベーン11がカムリング30の溝部31周辺にまで移動すると、この作動室3aの体積は略ゼロになり、作動室3aからは、作動室3a内の対象流体の略全てが吐出される。
このように、本実施例の油圧システム100では、方向切替弁等を流路に設けなくとも、モータ制御により作動油の流れを切り替え、複動式油圧シリンダを駆動することができる。従って、本実施例のベーンポンプ1を用いれば、複動式の油圧シリンダを簡素なシステム構成で駆動することができる。
以上、本発明の実施例について説明をしたが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、ベーンポンプ1を、複動式の油圧シリンダをアクチュエータとした油圧システム100に適用した例を示したが、ベーンポンプ1は、上記実施例に限定されず、種々の用途で用いることができる。
この他、上記実施例では、サージ圧の発生を抑制するため、切削によりカムリング30内面に溝部31を設けたが、場合によっては、溝部31を設けなくてもよい。
また、溝部31に代えて、カムリング30内面の溝部31に該当する箇所を、エピトロコイド曲線ではなく、ロータ20の回転軸を中心とし且つ半径がロータ20の径よりも僅かに大きい円弧にて形成することも可能である。このようにカムリングを形成する場合には、ロータの回転軸より両側に位置するカムリング内面の間隔が2Rとなるように、カムリング内において上記円弧にて形成された位置とは対称的な位置を、ロータの回転軸を中心とする円弧にて形成すればよい。
このようにするとカムリング内面の円弧部分が、溝部31と同様の効果を奏するため、ベーンポンプはサージ圧を抑制することができる。また、生産者は、カムリング形成時の溝部31の切削工程を省略することができるので、同一のベーンポンプを大量生産する場合においては、効率的にベーンポンプを生産することが可能である。
ベーンポンプ1の構成を分解して表した概略分解斜視図である。 ロータ20の回転軸方向に垂直なベーンポンプ1の断面の構成を表す概略断面図である。 ベーンポンプ1のポンプ態様を表す説明図である。 ロータ20の回転軸方向に平行なベーンポンプ1の断面の構成を表す概略断面図である。 エピトロコイド曲線の形状を表す説明図である。 ベーン11の構成を表す説明図である。 ベーン構成体11aの機能に関する説明図である。 油圧システム100の構成を表す説明図である。 従来技術に関する説明図である。
符号の説明
1…ベーンポンプ、3…ポンプ室、3a…作動室、10…対ベーン、11…ベーン、11a…ベーン構成体、11b…テーパー部、13…支持棒、20…ロータ、23…ベーン溝、25…シャフト、27…支持棒用貫通孔、30…カムリング、31…溝部、40L,40R…サイドプレート、41…シャフト貫通部、43…固定孔、45…吸入口、47…吐出口、50…ケーシング、51…センタケーシング、52…固定部、53L,53R…サイドケーシング、54…ベアリング、55…第一接続ポート、56,58…流路、57…第二接続ポート、59…シャフト用孔部、100…油圧システム、101…モータ、103…制御部、110…油圧シリンダ、111…第一ポート、113…第二ポート、115…ピストン、117…シリンダ本体、118a…第一室、118b…第二室、121,123…配管

Claims (1)

  1. 回転軸を中心に放射状に形成された複数のベーン溝を有し、当該回転軸を中心に回転するロータと、
    前記ロータより大径に形成された内面であって、前記回転軸に直交する断面がエピトロコイド曲線に沿うように形成された内面を有して、前記ロータを包囲するカムリングと、
    前記ロータの前記各ベーン溝に設けられ、前記ロータの回転に応じてベーン溝から、前記ロータの回転軸に対して直交する方向に出入する複数のベーンと、
    を備えると共に、
    前記回転軸から対称に位置するベーンの組毎に、
    一方のベーンの先端と他方のベーンの先端との間の距離が前記ロータの直径より長尺な一定距離となるように支持する、所定長さの支持棒
    を備え、
    前記ロータの回転軸は、前記カムリングの内面を構成するエピトロコイド曲線上で前記一定距離だけ離れた任意の二点間を結ぶ直線が通る唯一の定点を通るように、位置決めされ、
    前記各ベーンは、一対のベーン構成体が回転方向の前後で重ね合わされた構成にされ、
    前記一対のベーン構成体は、対となるベーン構成体に接触する裏面から表面に向けて、前記対となるベーン構成体とは対称的に傾斜したテーパー部を、前記カムリング内面に接触する先端側に有して、前記裏面側に先端を有した尖形形状にされ、
    前記ロータが回転すると、前記各ベーンが、前記ロータの回転運動に連動して、前記ベーン溝から出入しつつ前記カムリング内面を摺動することにより、前記ロータが正回転している場合には、吸入口から前記ロータの外面と前記カムリングの内面との間に流体が流入して、当該流体が吐出口までポンプされ当該吐出口から外部に吐出され、前記ロータが逆回転している場合には、前記吐出口から前記ロータの外面と前記カムリング内面との間に流体が流入して、当該流体が前記吸入口までポンプされ当該吸入口から外部に吐出される
    ことを特徴とするベーンポンプ。
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