JP4940096B2 - 電子機器冷却システム - Google Patents
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Description
しかしながら、従来のものでは、空気−水熱交換器には、熱負荷の大小にかかわらず、常時、一定温度に冷却されたチラー水が当該空気−水熱交換器の全域を循環しているため、段積みされた電子機器を効果的に冷却することはできなかった。さらに、常時、一定温度に冷却されたチラー水を空気−水熱交換器に循環させていたため、エネルギ消費量が大きくなるといった問題があった。
そこで、本発明の目的は、キャビネット内に段積みで収納された電子機器を効果的に冷却するとともに、冷却時のエネルギ消費量の低減化を図った電子機器冷却システムを提供することにある。
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器冷却システムを示す図である。
この電子機器冷却システム1は、コンピュータルーム2に配設される複数の電子機器3(図2参照)を冷却するシステムである。このコンピュータルーム2は、二重床に構成され、この二重床の上にサーバラック10が床置きされる。
本構成では、電子機器冷却ユニット20の蒸発器21には、冷凍サイクルを循環する冷媒が供給されるため、万一冷媒が循環する経路から冷媒の漏れが生じたとしても、この冷媒は即座に蒸発し、電子機器3のショートもしくは漏電といった損傷を防止することができる。
各蒸発部22、23の出口は1本の合流冷媒配管(ガス管)29に配管接続され、この合流冷媒配管29の端部に設けたガス管接続部POUTにフレキシブルガス管26が接続される。これによって、電子機器冷却ユニット20内の各蒸発部22、23に冷媒を選択的に流通可能に冷媒配管が接続される。
このように、フレキシブル液管25及びフレキシブルガス管26を介して電子機器冷却ユニット20の蒸発器21を接続したため、この蒸発器21が内蔵されるリアドア12を開閉した際に上記フレキシブル配管25、26が撓んでリアドア12の開閉を妨げない。また、これら配管を接続したままでもサーバラック10の位置の微調整が可能である。
また、キャビネット11の上方に配置された電子機器3のファン4から送風される空気温度(排気温度)が高く、当該キャビネット11の下方に配置された電子機器3から排出される排気温度が低い場合には、上側蒸発部22の出口冷媒温度G1が下側蒸発部23の出口冷媒温度G2に比べて高くなる。このため、電装ユニット51は、膨張弁28Aを膨張弁28Bよりも開度を大きく制御して、各蒸発部22、23の出入り口温度差が適正な過熱度に調整する。これによれば、上側蒸発部22に対応する熱負荷の大きいエリアA(図2)を下側蒸発部23に対応する熱負荷の小さいエリアB(図2)に比べて重点的に冷却することができるため、キャビネット11内に段積みされた電子機器3を効果的に冷却することができる。
圧縮機32は、定速運転用のAC圧縮機(能力一定型の圧縮機)32Aと、周波数可変運転用のインバータ圧縮機(能力可変型の圧縮機)32Bとを有し、これらは並列に接続され、冷却の負荷に応じてこれら圧縮機32A、32Bの運転のオンオフ制御及び圧縮機32Bの運転周波数を可変制御することによって熱源機30全体の冷却能力が可能に構成される。
また、高圧側配管42には、膨張弁36と並列に逆止弁44が接続され、この逆止弁44により熱源側熱交換器35からレシーバタンク37への流れを許容すると共に逆方向の流れを禁止する。また、上記逆止弁42A、42Bとオイルセパレータ33の間には、冷媒戻し管45が接続され、この冷媒戻し管45の先端は圧縮機32A、32Bの吸込側に接続される。この冷媒戻し管45には開閉弁46が設けられ、この開閉弁46を開けることによって圧縮機32A、32Bから吐出された冷媒の一部を圧縮機32A、32Bの吸込側に戻すことができ、圧縮機32A、32Bの吐出能力を低減することができる。
この場合、圧縮機32A、32Bから吐出された高温高圧冷媒は、熱源側熱交換器35で凝縮されて液化された後、熱源機30から延びるメイン液管31Aを通ってコンピュータルーム2内の電子機器冷却ユニット20に供給される。
そして、各蒸発部22、23でガス化した冷媒は、ガス管29で合流した後にフレキシブルガス管26を通ってメインガス管31Bに流れ、熱源機30に戻る。以上のようにして冷凍サイクルが行われる。
図4はサーバラックの外観図であり、図5はリアドアを開いた状態を示す斜視図である。サーバラック10は、電子機器3(図2参照)を収納するためのキャビネット11と、このキャビネット11の後面開口65を閉塞自在に開閉するリアドア12とを備える。
キャビネット11は、収納される電子機器の規格に合致した大きさを有し、板金性の天板11A、底板11B及び側板11C,11Dを備えて矩形状に形成されている。このキャビネット11の前面及び後面にはそれぞれ前面開口64(図1参照)及び後面開口65が形成され、この開口64、65を通じてキャビネット11内にコンピュータルーム2の室内空気が流通する。また、キャビネット11は、天板11Aと底板11Bとの間に、これら天板11A及び底板11Bと略平行に配置された仕切り板(棚部)11Eを備える。この仕切り板11Eは、キャビネット11内を区分けするものであり、仕切り板11E上に電子機器3が配置される。この仕切り板11Eは、両側板11C,11Dに形成された支持部(不図示)によって支持されており、この支持部は上下方向に所定間隔ごとに複数設けられている。これによって、仕切り板11Eを所望の位置の支持部に配置したり、複数の当該仕切り板11Eをキャビネット11内に配置することができる。
また、リアドア12の外面の略中央部には、図4に示すように、開口部12Aが形成されており、この開口部12Aには、所定径の孔68が略一面に形成された表面材69が配置されている。この表面材69は、各孔68を通じてリアドア12を通風可能とするとともに、このリアドア12の内部に配置される蒸発器21を外部に露出させないように機能し、サーバラック10の美観の向上を図っている。
ここで、表面材69の各孔68は、通風を阻害しないように開口率が例えば60パーセント以上となるように形成されている。さらに、この孔68孔の径は、人の手指よりも小さな径に設定されている。これによれば、例えば、サーバラック10に配置される電子機器3のオペレータ)がこの孔68を通じて蒸発器21に触れることが防止され、この蒸発器21のフィンで手指をけがするといった事故を未然に防ぐことができる。
蒸発器21は、図6及び図7に示すように、キャビネット11に予め設けられた仕切り板11Eを境に上側蒸発部22と下側蒸発部23とに分割されている。上側蒸発部22及び下側蒸発部23は、それぞれ各蒸発部22、23に繋がる細径の液分岐管27A、27Bと、太径のガス管29とを備え、これら液分岐管27A,27B及びガス管29は、リアドア12のヒンジ66側にまとめて配置されている。本構成では、図6に示すように、ガス管29を液管27(液分岐管27A,27B)よりもリアドア12のヒンジ66側に配置されている。このため、ガス管29のガス管接続部POUTに繋がる太径のフレキシブルガス管26は、ヒンジ66のより近い位置に配置されるため、リアドア12を開閉する際に、フレキシブルガス管26の撓み量を小さく抑えることができ、このリアドア12を小さな力で開閉することができる。
蒸発器21は、図7に示すように、冷媒が流れる冷媒管70と、この冷媒管70に積層配置される複数の放熱用のフィン71とを備えて構成されるフィンチューブ型の熱交換器であり、この蒸発器21の両端には、フィン71を押さえる管板72が配置されている。この管板72は、蒸発器21をリアドア12(図6参照)に配置する場合に、このリアドア12側に当該リアドア12と略平行に延びる取付部72Aを備えて略L字状に形成されている。本実施形態では、この取付部72Aを用いてリアドア12にねじ止めされることにより、蒸発器21がリアドア12内に固定されている。
カバー材74は、リアドア12を開放した場合であっても、電子機器冷却ユニット20のサービスマン以外が誤って蒸発器21のフィンに触れることを防止するものである。このカバー材74は、周囲に形成されたねじ孔(不図示)を通じてリアドア12にねじ止めで固定されている。ここで。ねじ孔の一部をダルマ孔として、カバー材74をリアドア12に仮止めしたねじに引掛けられるようにすることが望ましい。これによれば、メンテナンス時にカバー材74をリアドア12に仮固定することができるため、このカバー材74をリアドア12に容易に着脱することができる。
また、カバー材74は、このカバー材74を取り扱うための一対のハンドル75を備える。このハンドル75は、カバー材74の高さ方向の略中央の縁部にそれぞれ取り付けられており、通風を阻害するものではない。
また、カバー材74には、図5に示すように、このカバー材74をリアドア12に取り付けた際に、膨張弁28A、28Bに相当する位置に開口76が形成されている。この開口76は、カバー材74を取り外すことなく、膨張弁28A、28Bをメンテナンスするためのものであり、例えば、膨張弁28A,28Bの動作を確認したり、当該膨張弁28A,28Bのコイル部が不良の場合には、この開口76を通じてコイル部の交換が可能である。
本構成では、コンピュータルーム2は別個の空気調和装置(不図示)により所定の温度及び湿度(例えば、25℃50%)を維持するようになっており、この温度及び湿度の条件下では、極力結露しないように電装ユニット61が圧縮機32の運転を制御している。
従って、通常の運転状態では、ドレンパン77にドレン水が溜まることは想定されていないが、何らかの原因によって蒸発器21に結露が生じたとしても、この結露した水(ドレン水)が電装ユニット51に落ちないようになっている。
このドレンパン77は、図8及び図9に示すように、蒸発器21の下方に位置する本体部77Aと、この本体部77Aに連なり、リアドア12のヒンジ66側に延びる延出部77Bを備える。この延出部77Bは、本体部77Aよりもリアドア12の厚み方向に幅広に形成されている。この延出部77Bには、図8に示すように、上記液管27が貫通する細径の液管貫通孔部78と、ガス管29が貫通する太径のガス管貫通孔部79とが形成されている。これら各孔部78,79は、孔の周囲に円筒状に形成された土手78A,79Aを備え、この土手78A,79Aの高さはドレンパン77と略同じ高さに設定されている。
また、液管貫通孔部78は、リアドア12に対向した際にガス管貫通孔部79と重ならず、かつ、ヒンジ66からの距離を極力短くした位置に形成されている。具体的には、ガス管貫通孔部79から蒸発器21及びリアドア12に近づいた位置に形成されている。これによれば、この液管貫通孔部78を通過した液管27は、当該液管貫通孔部78の略真下に位置するため、この液管27の液管接続部PIN(図7参照)にフレキシブル液管25を接続する際に、ガス管貫通孔部79を貫通したガス管29が邪魔にならず、配管の接続作業を容易に行うことができる。さらに、液管27もヒンジ66から極力近い位置に配置されるため、この液管27の液管接続部PINに繋がる細径のフレキシブル液管25についてもヒンジ66のより近い位置に配置することができる。このため、リアドア12を開閉する際に、フレキシブル液管25が撓んでリアドア12の開閉を妨げない。
これら各フロートスイッチ82,82は、延出部77Bにねじ止めされたブラケット83に取り付けられており、各フロートスイッチ82,82は上記した電装ユニット51に直列に接続されている。これによれば、フロートスイッチ82の一方でも動作すると、電装ユニット51を介して熱源機30の電装ユニット61に検出信号が送信され、この電装ユニット61が圧縮機32の運転を強制的に停止するようになっている。このため、ドレンパン77上には、それ以上のドレン水が溜まることが防止され、このドレン水がドレンパン77から溢れるような事態が防止される。
さらに、本構成では、フロートスイッチ82,82を直列に接続しているため、例えば、一方のフロートスイッチ82がゴミ噛み等で動作不良である場合であっても、他方のフロートスイッチ82によって、圧縮機32の運転を停止できる。このため、フロートスイッチ82の動作不良によってドレン水が溢れる事態の発生を最小限に抑制することができる。
この切り欠き部84は、上記したように、電装ユニット51から最も離れた壁部77B1に形成されているため、万一、ドレンパン77から水が溢れるといった事態が生じたとしても、当該切り欠き部84を通じて溢れた水は、液管27、ガス管29及びドレンホース80等を通じて上床2Aに形成された開口穴2Cに流れるため、この水が電装ユニット51にかかることを防止することができる。
また、上記した実施形態では、キャビネット11内を上下に2分割する仕切り板11Eを境に蒸発器21を上側蒸発部22と下側蒸発部23との2つに分割する構成について記載したが、これら上側蒸発部22及び下側蒸発部23をそれぞれ複数の蒸発部に更に分割し、これら各蒸発部にそれぞれ膨張弁をつなぐ構成としても良い。この構成によれば、キャビネット11内に収納された電子機器3の稼動状態に合わせて、より細かな冷媒の流れ制御を実施することができ、熱源機30での消費エネルギの低減化を図ることができる。
更に、上記実施形態では、キャビネット11内に収納される電子機器3が横長であったため、仕切り板11Eを水平に配置し、キャビネット11の内部を上下方向に分割する構成について説明したが、例えば、縦長の電子機器(不図示)をキャビネット内に収納する場合には、仕切り板を垂直配置して、キャビネット内部を左右方向に分割した構成としても良い。この場合、蒸発器は垂直配置された仕切り板を境に左右方向に分割することが望ましい。
また、上記した熱源機30,30Xは、四方弁34を有しない冷房(冷却)サイクル専用機の構成としても良い。また、上記熱源機30,30Xが備える圧縮機32は、電動機で駆動される形式、いわゆるEHP(電気式ヒートポンプ)形式のものであったが、これに限るものではなく、ガスエンジンの駆動によって圧縮機を駆動させるGHP(ガスヒートポンプ)形式の熱源機としても良い。
また、本実施形態では、サーバラック10が備えるリアドア12は片開きのドアであったが、これに限るものではなく、両開きのドアを用いる構成としても良い。この構成によれば、例えば、電子機器の横幅が大きくなることに伴い、キャビネットの幅が広くなったとしても、片開きに比べてドアの可動範囲を小さくすることができるため、メンテナンス時の作業を容易に行うことができる。
2 コンピュータルーム
2A 上床
2B 下床
2C 開口穴
3 電子機器
4 ファン
10 サーバラック
11 キャビネット
11E 仕切り板(棚部)
12 リアドア
20 電子機器冷却ユニット
21 蒸発器
22 上側蒸発部
23 下側蒸発部
28A、28B 膨張弁
27 液管(冷媒管)
29 ガス管(冷媒管)
30 熱源機
30X 熱源機
51 電装ユニット(電装箱)
62 内外通信線
64 前面開口
65 後面開口
66 ヒンジ
74 カバー材
77 ドレンパン
77A 本体部
77B 延出部
78 液管貫通孔部
79 ガス管貫通孔部
80 ドレンホース
81 ホース接続口
82 フロートスイッチ
83 ブラケット
Claims (3)
- ファン付きの複数の電子機器を段積みで収納するための前面及び後面が開口したキャビネットを備え、
該キャビネットの後面開口には通気可能なリアドアを備え、
該リアドアには冷凍サイクルを構成する蒸発器を該リアドアの略全域に備え、前記蒸発器は、前記キャビネットに予め設けられた棚部を境に複数の蒸発部に分割され、各蒸発部に冷媒を選択的に流通可能に形成するとともに、各蒸発部につながる冷媒管及び複数の蒸発部に夫々設けられる膨張弁を前記リアドアのヒンジ側にまとめて配置し、前記膨張弁制御用の電装箱を前記リアドアの下方域に配置し、
前記ファンで送風される空気を前記リアドアの蒸発器で冷却して室内に戻すことを特徴とする電子機器冷却システム。 - 前記蒸発部を上下に分割したことを特徴とする請求項1に記載の電子機器冷却システム。
- 前記棚部を境に分割された蒸発部は、更に複数に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器冷却システム。
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