JP4939712B2 - 金属溶湯脱ガス処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウムやアルミ合金などの金属材料を加熱溶解して得た溶湯の処理装置に関し、出湯室の溶湯の温度を高精度に制御でき、酸化物の生成を抑制して溶湯中の介在物を低減でき、また、溶湯に含まれるガス成分を低減して、溶湯の品質を高めることができる金属溶湯脱ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミニウムやアルミ合金等の金属材料のインゴット材やリターン材を加熱して溶解し、この金属溶湯を昇温して所定の温度に保持する金属溶湯脱ガス処理装置としては、例えば図6に示すアルミ溶解保持炉がある。
【0003】
即ち、この従来のアルミ溶解保持炉(51)は溶解室(52)と保持室(53)と脱ガス室(54)と出湯室(55)とを備えており、インゴット材などのアルミ材料は上記の溶解室(52)に投入され、溶解バーナ(56)で加熱されてアルミ溶湯に溶解される。このアルミ溶湯は溶湯流路(57)を経て保持室(53)に流入し、昇温バーナ(58)で昇温されて所定温度に保持される。この所定温度に昇温・保持されたアルミ溶湯は、導出路(59)から上記の脱ガス室(54)へ案内され、脱ガス装置(60)で溶湯に含まる水素ガス等のガス成分が除かれたのち、上記の出湯室(55)へ案内される。そして、この出湯室(55)から必要量の溶湯が汲み出されて、図外の鋳造装置により鋳造品にされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の金属溶湯脱ガス処理装置には、次のような問題点があった。
(1)出湯室の溶湯温度は保持室の昇温バーナによる加熱で温度制御されるが、保持室を出た溶湯は徐々に放熱されるので、出湯室の溶湯は保持室に比べて、例えば30℃以上も低温になっている。しかも、出湯室からの汲み出し時には保持室から高温の溶湯が流入して出湯室の溶湯温度が上昇しようとするが、汲み出し停止中は放熱されるだけであるので出湯室の溶湯温度は降下する。このため、出湯室の溶湯温度は例えば±5℃以上と大きく変動し易く、高精度に制御することが容易でない。
【0005】
(2)上記のように保持室の溶湯温度は、出湯室よりも高温に保持しなければならず、例えば出湯室で730℃の溶湯を必要とする場合は、保持室での溶湯を760℃以上の高温に保持する必要があり、しかも昇温バーナに面する液面近傍ではこれよりも更に高温となる。しかしながら、アルミ溶湯にあっては、約770℃以上になると急激に酸化が激しくなり、酸化物を多量に生成するうえ、この酸化物は高温になるほど急速にスピネル型から高硬度のコランダムに変態する。また、高温になるほど、大気や燃焼ガスとの接触による水素ガス等の溶湯への混入量も増加する。溶湯に酸化物が多く含まれると、これらがいわゆるハードスポットとなって鋳造品の機械加工時に加工不良を生じ易い。また、溶湯中に水素ガス等のガス成分が増大すると、鋳造時にこのガス成分が気泡となって鋳造品にスを生じ易い。
【0006】
(3)脱ガス室から出湯室に流入した溶湯は、大気との接触で水素ガス等のガス成分が溶湯へ混入し易く、汲み出し停止時間が長くなるほど、即ち、出湯室での滞留時間が長くなるほど、大気との接触によるガス成分の混入量が多くなる。
【0007】
(4)出湯室での大気との接触や放熱による温度低下を抑制するため、出湯室での溶湯の滞留時間を短くすると、溶湯に含まれる高硬度の酸化物や不純物などの介在物が充分に沈殿せず、汲み出される溶湯への含有量を低減できない。
【0008】
本発明は上記問題点を解消し、出湯室の溶湯の温度を高精度に制御でき、酸化物の生成を抑制して溶湯中の介在物を低減でき、また、溶湯に含まれるガス成分を低減して、溶湯の品質を高めることができる金属溶湯脱ガス処理装置を提供することを技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、例えば、本発明の実施の形態を示す図1から図5に基づいて説明すると、金属溶湯脱ガス処理装置を次のように構成したものである。
即ち、金属の溶湯(15)を所定の温度に保持する加熱室(5)と、この加熱室(5)に金属溶湯(15)を受け入れる導入部(17)と、金属溶湯(15)を取出す出湯室(7)とを備え、上記の出湯室(7)に第1出入口(23)と第2出入口(24)とを形成して、この両出入口(23・24)をそれぞれ介して出湯室(7)を上記の加熱室(5)に連通させ、上記の出湯室(7)内の金属溶湯(15)を一方の出入口(24)から加熱室(5)と他方の出入口(23)とを順に経て出湯室(7)へ循環させる循環手段(28)を設け、上記の出湯室(7)から一方の出入口(24)と加熱室(5)と他方の出入口(23)とを順に経て出湯室(7)に戻る循環経路に脱ガス室(6)を設け、上記の加熱室(5)が、上記の加熱室(5)の上部空間(5c)が区画されないよう、第1加熱分室(5a)と第2加熱分室(5b)とに隔壁(16)で区画されており、上記の導入部(17)を上記の脱ガス室(6)に上記の第1加熱分室(5a)を介して連通し、上記の第2加熱分室(5b)を出湯室(7)と脱ガス室(6)に連通したことを特徴とする。
【0010】
ここで、上記の金属溶湯は、この金属溶湯脱ガス処理装置に溶解室と保持室とを設けて、この保持室から上記の導入部に案内してもよく、或いは別の溶解保持炉などで集中的に溶解した金属溶湯を導入トンネルや搬送容器で上記の導入部に導入してもよい。従って、上記の導入部は、導入室で構成してこの導入室を上記の加熱室に連通させてもよく、或いは加熱室に設けた導入口で構成してもよい。
上記の加熱室は、ガスバーナのほか、電気浸漬ヒータ、ガス焚浸漬ヒータ、ガス直火加熱など、任意の加熱手段を設けることができる。
また、上記の循環手段による循環速度は、毎分1〜2回程度が好ましく、通常は一定方向に循環されるが、定期的或いは不定期的に循環方向を逆転させてもよい。
【0011】
【作用】
導入部から導入され加熱室に受け入れられた金属の溶湯は、加熱室で所定温度に加熱されて出湯室へ案内される。そしてこの出湯室内の溶湯は、循環手段により上記の一方の出入口から加熱室と他方の出入口を順に経て出湯室へ循環され、この間に加熱室で加熱されて所定温度に維持される。
【0012】
上記の出湯室から一方の出入口と加熱室と他方の出入口とを順に経て出湯室に戻る循環経路には、脱ガス室を設ける。この場合は、出湯室での大気との接触や加熱室での燃焼ガスとの接触により水素ガス等のガス成分が混入した溶湯は、上記の脱ガス室を通過する際にこれらのガス成分が除去される。上記の脱ガス室は、燃焼ガスと接触した溶湯から水素ガス等を除去できるように、加熱室の下流側に設ける。なお、前記の導入部はこの脱ガス室に設ける。
【0013】
上記の脱ガス室を設け、上記の加熱室を第1加熱分室と第2加熱分室とに区画し、前記の導入部を上記の脱ガス室に上記の第1加熱分室を介して連通し、上記の第2加熱分室を出湯室と脱ガス室に連通する。導入部から受け入れられた溶湯は、第1加熱分室で所定温度に加熱されたのち脱ガス室で確実に脱ガスされ、その後に循環経路を経て出湯室へ案内される。
【0014】
上記の加熱室を区画する隔壁は、下方の溶湯収容部にのみ設けて、上方は両加熱分室に区画しないので、加熱室内の上方に配置した加熱バーナ等の加熱手段により、導入部から導入された溶湯と出湯室から循環された溶湯との両者を加熱することができる。また、上記の隔壁の上端部を溶湯の液面よりも僅かに下方に位置させておくと、両加熱分室内の溶湯の液面に浮遊する酸化物等をメンテナンス口から一括して処理できるので、より好ましい。
【0015】
上記の循環手段は、電磁誘導装置や溶湯ポンプなどを用いても良いが、回転脱ガス装置で構成してもよい。
即ち、上記の回転脱ガス装置は、窒素ガスや希ガスなどの不活性ガスを案内する吹込みパイプとその下端に設けた回転体とを備えており、吹込みパイプから溶湯中に吹き込んだ不活性ガスの気泡を回転体で微細化するように構成してある。この回転体の回転力により、周囲の金属溶湯に慣性モーメントが生じるので、この回転脱ガス装置を上記の循環手段に用いることにより、溶湯を適度の流速で脱ガス室から出湯室や加熱室に循環することができる。
【0016】
上記の回転脱ガス装置の回転体は、速すぎると液面の酸化物や気泡を溶湯内に巻き込む惧れがあり、遅いと回転体で微細化される不活性ガスの気泡の分散状態が好ましくなく、また、溶湯が循環し難いので、例えば毎分300〜350回転程度に設定される。なお、この回転体の回転方向は、定期的あるいは不定期的に正逆回転させてもよい。
【0017】
上記の回転体は、脱ガス室内の任意の位置に配置することができるが、上記の回転体の回転中心を、脱ガス室の互いに隣接する2つの側壁の内面から回転体の直径の1.5倍以内の範囲に配置すると、この回転体と壁面との間の溶湯に適度の慣性モーメントを与えることができ、溶湯を良好に循環できるので好ましい。
【0018】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図4は、本発明の金属溶湯脱ガス処理装置をアルミ溶解保持炉に適用した第1実施形態を示し、図1はアルミ溶解保持炉の横断平面図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3はアルミ溶解保持炉の縦断正面図、図4は出湯室近傍を拡大した横断平面図である。
【0019】
図1に示すように、金属溶湯脱ガス処理装置(1)であるアルミ溶解保持炉(2)は、溶解室(3)と保持室(4)と加熱室(5)と脱ガス室(6)と出湯室(7)を備える。上記の溶解室(3)は溶湯流路(8)を介して上記の保持室(4)に連通してあり、この保持室(4)は導出路(9)を介して上記の加熱室(5)に連通してある。また、上記の溶解室(3)の側方には投入機(10)が配置してある。
【0020】
図2に示すように、上記の溶解室(3)の上方には投入口(11)が設けてあり、この投入口(11)に排気筒(12)を設けてある。
上記の溶解室(3)には溶解バーナ(13)が配置してあり、インゴット材やリターン材などのアルミ金属材料が上記の投入機(10)によって投入口(11)に投入されると、上記の溶解バーナ(13)で加熱されてアルミ溶湯に溶解され、このアルミ溶湯は前記の溶湯流路(8)を経て保持室(4)に流入する。
【0021】
図3に示すように、上記の保持室(4)の上面に昇温バーナ(14)が設けてあり、前記の溶湯流路(8)からこの保持室(4)に流入したアルミ溶湯(15)は、上記の昇温バーナ(14)により所定の温度、例えば出湯温度が725℃の場合、これに近い725℃〜735℃に昇温され、保持される。そして、前記の出湯室(7)からの汲み出し量に応じたアルミ溶湯(15)が、この保持室(4)から前記の導出路(9)を経て前記の加熱室(5)に案内される。
なお、上記の昇温バーナ(14)や前記の溶解バーナ(13)の加熱で生じた高温の排気ガスは、前記の排気筒(12)から排出されるが、このとき、前記の投入口(11)に投入された金属材料がこの排気で予熱されるようにしてある。
【0022】
図3及び図4に示すように、上記の加熱室(5)は、隔壁(16)により第1加熱分室(5a)と第2加熱分室(5b)とに区画されており、この第1加熱分室(5a)に、前記の導出路(9)に連通する導入口(17)を設けてある。
上記の隔壁(16)は上端がアルミ溶湯(15)の液面よりも僅かに下方に位置させてあり、加熱室(5)の上部空間(5c)は区画されていない。そしてこの上部空間(5c)に臨ませて、加熱バーナ(18)と排気路(19)とを設けてある。従って、上記の加熱バーナ(18)により両加熱分室(5a・5b)内のアルミ溶湯(15)が効率よく加熱されるうえ、1つのメンテナンス口(20)からの操作でアルミ溶湯(15)の液面に浮遊する酸化物等が簡単に除去される。
【0023】
図4に示すように、上記の第1加熱分室(5a)と第2加熱分室(5b)は、前記の脱ガス室(6)に第1連通口(21)と第2連通口(22)を介してそれぞれ連通してある。また前記の出湯室(7)には第1出入口(23)と第2出入口(24)とを形成してあり、出湯室(7)は、第1出入口(23)と脱ガス室(6)と上記の第2連通口(22)とを介して上記の第2加熱分室(5b)に連通されるとともに、上記の第2出入口(24)を介して直接上記の第2加熱分室(5b)に連通されている。これにより、前記の導入口(17)は上記の第1加熱分室(5a)と第1連通口(21)を順に介して上記の脱ガス室(6)に連通され、一方、上記の脱ガス室(6)から第1出入口(23)、出湯室(7)、第2出入口(24)、第2加熱分室(5b)、及び第2連通口(22)を順に経て脱ガス室(6)に戻る循環経路が形成される。
なお、上記の第1連通口(21)、第2連通口(22)、第1出入口(23)、及び第2出入口(24)は、いずれもアルミ溶湯(15)の液面よりも下方に設けてあり、液面に浮遊する酸化物が他の室内へ移動し難いようにしてある。
【0024】
上記の循環経路に形成される脱ガス室(6)には、吹込みパイプ(25)とその下端に固設した回転体(26)とを備える回転脱ガス装置(27)が配置してある。上記の吹込みパイプ(25)からは、アルミ溶湯(15)の下方寄り位置に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスが吹き込まれ、発生した気泡が上記の回転体(26)の回転により微細化される。この微細化した気泡がアルミ溶湯(15)中を上昇する間に、アルミ溶湯(15)に含まれる水素ガス等のガス成分がこの気泡に吸着され除去される。
【0025】
上記の回転脱ガス装置(27)は、出湯室(7)内のアルミ溶湯(15)を、第2出入口(24)から第2加熱分室(5b)と第2連通口(22)と脱ガス室(6)と第1出入口(23)とを順に経て出湯室(7)へ循環させる、循環手段(28)を構成している。即ち、上記回転体(26)の回転力により、回転体(26)の周囲のアルミ溶湯(15)が流動し、図4に示す矢印の方向に慣性モーメントが生じる。この結果、アルミ溶湯(15)が上記の循環経路に沿って移動していく。なお図4に示すように、上記の回転体(26)はその回転中心を、脱ガス室(6)の互いに隣接する2つの側壁内面から回転体(26)の直径程度の位置に配置してあり、この回転体(26)と上記の側壁との間のアルミ溶湯(15)が良好に循環経路に沿って移動していく。
【0026】
図4に示すように、上記の脱ガス室(6)の2つの隅部と、出湯室(7)の3つの隅部は、いずれも互いに隣接する側壁同士を凹曲面で滑らかに接続してあり、上記の循環手段(28)により循環するアルミ溶湯(15)が上記の隅部に滞留せず、脱ガス室(6)内や出湯室(7)内を円滑に移動するようにしてある。
【0027】
上記のように、出湯室(7)のアルミ溶湯(15)は加熱室(5)や脱ガス室(6)を循環するので、汲み出しの有無に影響されることなく、例えば725℃±2℃のように、所定の出湯温度に高精度に制御され、しかも、アルミ溶湯中の水素ガス濃度は、例えばアルミ100g中に0.10〜0.15cc程度と低く、良質のアルミ溶湯にすることができる。
上記の出湯室(7)のアルミ溶湯(15)は、図示しないロボットアーム等により必要量が搬送容器等で汲み出されるが、この出湯室(7)に出湯口を設けて、ここから出湯するように構成してもよい。なお、符号(29)は排出口を示し、メンテナンス時に出湯室(7)内に残存する溶湯等がこの排出口(29)から排出される。
【0028】
図5は 本発明の第2実施形態を示す、アルミ保持炉に適用した金属溶湯脱ガス処理装置の横断平面図である。
この第2実施形態では、アルミ溶解保持炉(2)で溶解されたアルミ溶湯が、導出トンネル(30)を介して1又は複数の、金属溶湯脱ガス処理装置(1)であるアルミ保持炉(31)の各導入口(17)に案内される。
【0029】
上記のアルミ保持炉(31)は、上記の第1実施形態と同様、加熱室(5)と脱ガス室(6)と出湯室(7)とを備えており、加熱室(5)は隔壁(16)で第1加熱分室(5a)と第2加熱分室(5b)とに区画され、上記の導入口(17)は第1加熱分室(5a)を介して脱ガス室(6)に連通され、出湯室(7)と第2加熱分室(5b)と脱ガス室(6)とを順に経由する循環経路が設けてあり、脱ガス室(6)に設けた回転脱ガス装置(27)が循環手段(28)を構成して、アルミ溶湯を循環経路に沿って循環させるように構成してある。その他の構成と作用も、前記の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
上記の実施形態ではいずれもアルミニウムやアルミ合金などのアルミ溶湯を処理する場合について説明したが、本発明に適用する溶湯は、他の金属溶湯であってもよい。また、上記の実施形態では、金属溶湯脱ガス処理装置を溶解保持炉や保持炉に適用した場合について説明したが、本発明は他の形式の金属溶湯脱ガス処理装置にも適用することができる。さらに、上記の加熱室や脱ガス室、出湯室の形状等は、上記の実施形態のものに限定されないことはいうまでもない。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
【0032】
(1)出湯室の溶湯は循環手段で循環されて加熱室で所定温度に加熱されることから、出湯室内の溶湯は均質で且つ均一に加熱された状態となり、出湯室からの汲み出しの有無に影響されることなく、出湯室の溶湯温度を、例えば±2℃以内のように、高精度に制御することができる。
【0033】
(2)出湯室の溶湯温度は、循環手段による循環と加熱室での加熱により高精度に制御されるので、導入部に導入される金属溶湯は出湯室での溶湯温度程度に加熱してあればよく、前記の従来技術と異なって、溶解保持炉の保持室等で過度に昇温させる必要がない。このため、加熱に要するエネルギーコストを低減できるうえ、酸化物の生成を抑制でき、また、水素ガス等のガス成分の溶湯への混入を低減することができる。
【0034】
(3)出湯室の溶湯は、所定の温度に高精度に維持されることから、この金属溶湯脱ガス処理装置内での溶湯の収容時間を長くすることができる。このため、溶湯に含まれる不純物や酸化物等の介在物を効果的に沈殿させて、汲み出される溶湯中の上記の介在物を低減することができる。
【0035】
(4)上記の出湯室から一方の出入口と加熱室と他方の出入口とを順に経て出湯室に戻る循環経路に脱ガス室を設けた場合には、出湯室や加熱室で水素ガス等が混入しても、溶湯の循環とともに脱ガス室でこれらのガス成分を良好に除去することができ、溶湯の品質を高めることができる。
【0036】
(5)上記の加熱室を第1加熱分室と第2加熱分室とに区画し、前記の導入部を上記の脱ガス室に上記の第1加熱分室を介して連通し、上記の第2加熱分室を出湯室と脱ガス室に連通した場合には、導入部から受け入れられた溶湯は第1加熱分室で所定温度に加熱されたのち脱ガス室で確実に脱ガスされるので、例えば汲み出し時に導入部と出湯室とで溶湯の液面に差を生じても、導入部から受け入れられたガス成分を多く含む溶湯が直接出湯室へ流入することが防止される。
【0037】
(6)上記の脱ガス室に、溶湯中に吹き込んだ窒素ガスや希ガスなどの不活性ガスの気泡を回転体で微細化する回転脱ガス装置を配置し、この回転脱ガス装置により前記の循環手段を構成した場合には、脱ガス装置とは別に新たな循環手段を設ける必要がないので、安価に実施することができる。
【0038】
(7)上記の回転脱ガス装置は、その回転体の回転中心を、脱ガス室の互いに隣接する2つの側壁の内面から回転体の直径の1.5倍以内の範囲に配置した場合には、この回転体と壁面との間の溶湯に適度の慣性モーメントを与えることができ、溶湯を良好に循環できるので好ましい。
【0039】
(8)上記の出湯室は、互いに隣接する側壁同士を凹曲面で滑らかに接続した場合には、この出湯室の隅部に溶湯が滞留することがなく、出湯室内の溶湯が良好に循環するので、溶湯を一層均質化でき、溶湯温度を一層高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す、アルミ溶解保持炉に適用した金属溶湯脱ガス処理装置の横断平面図である。
【図2】 図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】 アルミ溶解保持炉に適用した金属溶湯脱ガス処理装置の縦断正面図である。
【図4】 出湯室近傍を拡大した横断平面図である。
【図5】 本発明の第2実施形態を示す、アルミ保持炉に適用した金属溶湯脱ガス処理装置の横断平面図である。
【図6】 従来技術を示す、金属溶湯脱ガス処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…金属溶湯脱ガス処理装置、
5…加熱室、
5a…第1加熱分室、
5b…第2加熱分室、
6…脱ガス室、
7…出湯室、
15…金属溶湯(アルミ溶湯)、
17…導入部(導入口)、
23…第1出入口、
24…第2出入口、
26…回転体、
27…回転脱ガス装置、
28…循環手段。
Claims (4)
- 金属の溶湯(15)を所定の温度に保持する加熱室(5)と、この加熱室(5)に金属溶湯(15)を受け入れる導入部(17)と、金属溶湯(15)を取出す出湯室(7)とを備え、
上記の出湯室(7)に第1出入口(23)と第2出入口(24)とを形成して、この両出入口(23・24)をそれぞれ介して出湯室(7)を上記の加熱室(5)に連通させ、
上記の出湯室(7)内の金属溶湯(15)を一方の出入口(24)から加熱室(5)と他方の出入口(23)とを順に経て出湯室(7)へ循環させる循環手段(28)を設け、
上記の出湯室(7)から一方の出入口(24)と加熱室(5)と他方の出入口(23)とを順に経て出湯室(7)に戻る循環経路に脱ガス室(6)を設け、
上記の加熱室(5)が、上記の加熱室(5)の上部空間(5c)が区画されないよう、第1加熱分室(5a)と第2加熱分室(5b)とに隔壁(16)で区画されており、
上記の導入部(17)を上記の脱ガス室(6)に上記の第1加熱分室(5a)を介して連通し、
上記の第2加熱分室(5b)を出湯室(7)と脱ガス室(6)に連通したことを特徴とする、金属溶湯脱ガス処理装置。 - 上記の脱ガス室(6)に、溶湯中に吹き込んだ不活性ガスの気泡を回転体(26)で微細化する回転脱ガス装置(27)を配置し、この回転脱ガス装置(27)により前記の循環手段(28)を構成した、請求項1に記載の金属溶湯脱ガス処理装置。
- 上記の回転脱ガス装置(27)は、その回転体(26)の回転中心を、脱ガス室(6)の互いに隣接する2つの側壁の内面から回転体(26)の直径の1.5倍以内の範囲に配置した、請求項2に記載の金属溶湯脱ガス処理装置。
- 上記の出湯室(7)は、互いに隣接する側壁同士を凹曲面で滑らかに接続した、請求項1から3のいずれか1項に記載の金属溶湯脱ガス処理装置。
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