JP4939661B1 - タイヤ加硫機およびその輸送・梱包方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫機の全高さ方向寸法が国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えるような場合でも、その制限を簡易にクリアして加硫機を輸送・梱包することができるタイヤ加硫機およびその輸送・梱包方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ベースプレートから上方に延長され、タイヤ加硫時、ボルスタプレートおよび上金型にかかる加圧反力を受けるとともに、上金型開閉時にボルスタプレートおよび上金型の昇降をガイドするタイロッド8A,8Bを備えているタイヤ加硫機において、タイロッド8A,8Bは、その長さ方向位置で上下に少なくとも2分割以上に分割可能な構成とされている。
【選択図】図2

Description

本発明は、タイロッドを介して、タイヤ加硫時の加圧反力を受けるとともに、ボルスタプレートおよび上金型の昇降をガイドするタイヤ加硫機およびその輸送・梱包方法に関するものである。
生タイヤ(グリーンタイヤ)を加硫して製品タイヤとするタイヤ加硫機において、ベースプレートから上方に延設され、タイヤ加硫時に、ボルスタプレートおよび上金型にかかる加圧反力を分担するとともに、上金型開閉時に、ボルスタプレートおよび上金型の昇降をガイドする一対のタイロッド(コラム)を備えた、コラム型と称されているタイヤ加硫機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記タイロッドは、生タイヤを加硫する時、ボルスタプレートおよび上金型を上金型全閉位置にロックし、タイヤ加硫時の加圧反力を受ける機能を担うため、強度部材とされている。また、加硫が終了し、加硫済みタイヤを取り出す上金型開時に、ボルスタプレートおよび上金型を上金型全開位置まで上昇させるガイドを兼ねていることから、そのストロークに見合った長さを持つ長尺のロッドとされている。
特開2008−221554号公報
上記のようなタイヤ加硫機において、一対のタイロッドは、それぞれ長尺の強度部材とされた1本もののロッドとされていることから、タイヤ加硫機の大きさによっては、ベースプレート上にタイロッドを立設した最終組み立て状態において、加硫機全体の上下方向寸法(全高さ方向寸法)が、非常に高くなってしまう場合がある。
このため、工場で折角組み立て調整しても、加硫機の全高さ方向寸法が、国内輸送あるいは輸出梱包の制限寸法を超えてしまい、そのままでは出荷できないことがあった。このような場合、タイヤ加硫機の主要部分であるタイロッド、ベースプレート、ボトムプレートおよびボルスタプレート等を解体してタイヤ製造工場に搬送した後、現地において再組立てし、芯だし調整等を行うようにしているが、余計な作業の発生により費用が嵩む等の課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、加硫機の全高さ方向寸法が国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えるような場合でも、その制限を簡易にクリアして加硫機を輸送・梱包することができるタイヤ加硫機およびその輸送・梱包方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明のタイヤ加硫機およびその輸送・梱包方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるタイヤ加硫機は、ベースプレートから上方に延長され、タイヤ加硫時、ボルスタプレートおよび上金型にかかる加圧反力を受けるとともに、上金型開時に前記ボルスタプレートおよび前記上金型の昇降をガイドするタイロッドを備えているタイヤ加硫機において、前記タイロッドは、その長さ方向位置で上下に少なくとも2分割以上に分割可能な構成とされ、その分割位置は、タイヤ加硫時の前記加圧反力を分担する部分と、前記ボルスタプレートおよび前記上金型等が昇降する時のガイド機能のみを分担する部分との間とされていることを特徴とする。
本発明によれば、上下方向に長尺寸法とされているタイロッドが、その長さ方向位置で上下に少なくとも2分割以上に分割可能な構成とされているため、加硫機の上下方向寸法が高く、輸送あるいは梱包するに当たり、国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えてしまうような場合でも、上下に少なくとも2分割以上に分割されているタイロッドの上方部分のみを取り外すことにより、簡単にかかる制限寸法をクリアすることができる。従って、加硫機の輸送・梱包に当たり、タイロッド、ベースプレート、ボトムプレート、ボルスタプレート等を解体することなく、輸送あるいは梱包することが可能となる。また、搬送先での再組立てや調整作業が不要となり、それに要する費用等を省くことができるとともに、高さに制限がある建屋等に対する加硫機の搬入をも容易化することができる。更に、分割されたタイロッドの個々の長さが短くなることから、それぞれの加工を容易化することができる。また、分割されるタイロッドの分割位置が、タイヤ加硫時の加圧反力を分担する部分と、ボルスタプレートおよび上金型等が昇降する時のガイド機能のみを分担する部分の間とされているため、タイロッドを長さ方向位置で上下に分割しても、加硫時の加圧反力を分担する部分の強度に対して全く影響を与えることはなく、タイロッドとして必要な強度を確保することができる。従って、分割構造のタイロッドでありながら、必要な強度を十分に確保し、タイヤ加硫時の精度を維持することができる。
さらに、本発明のタイヤ加硫機は、上述のいずれかのタイヤ加硫機において、少なくとも2分割以上に分割された前記タイロッド(A)およびタイロッド(B)は、互いに嵌合されていることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも2分割以上に分割されたタイロッド(A)およびタイロッド(B)が、互いに嵌合されているため、分割されたタイロッド(A)およびタイロッド(B)を連結して一体化する際、その芯だしおよび強度を容易に再現することができる。従って、タイロッド上をスライドして昇降される昇降ガイド部を円滑にガイドすることができる。
さらに、本発明のタイヤ加硫機は、上記のタイヤ加硫機において、前記嵌合部は、前記タイロッド(A)またはタイロッド(B)のいずれか一方の端部外周に切欠き部を設けて形成された座面を介して互いにボルト等の締結部品によって結合されていることを特徴とする。
本発明によれば、嵌合部が、タイロッド(A)またはタイロッド(B)のいずれか一方の端部外周に切欠き部を設けて形成された座面を介して互いにボルト等の締結部品によって結合されているため、分割されたタイロッド(A)およびタイロッド(B)を互いに嵌合した上で、ボルト等の締結部品を介して強固に連結することができ、しかもボルト等の締結部品は切欠き部により形成された座面にて締結されることから、ボルト等の締結部品が昇降ガイド部等の昇降を阻害することもない。従って、タイロッドとして必要な強度を十分確保することができるとともに、昇降ガイド部を円滑にガイドすることができる。
さらに、本発明のタイヤ加硫機は、上記のタイヤ加硫機において、前記嵌合部は、その凸部および凹部の先端に設けられた雄ネジおよび雌ネジを介して互いにネジ締結されていることを特徴とする。
本発明によれば、嵌合部が、その凸部および凹部の先端に設けられた雄ネジおよび雌ネジを介して互いにネジ締結されているため、分割されたタイロッド(A)およびタイロッド(B)を互いに嵌合した上で、嵌合される凸部および凹部の先端に設けられている雄ネジおよび雌ネジを介して、互いを強固にネジ締結することができる。しかも、そのネジ締結部がタイロッド内部に位置されることから、昇降ガイド部等の昇降に及ぼす影響を皆無とすることができる。従って、タイロッドとして必要な強度を十分確保することができるとともに、昇降ガイド部を円滑にガイドすることができる。
さらに、本発明のタイヤ加硫機は、上述のいずれかのタイヤ加硫機において、前記嵌合部の凸部および凹部は、それぞれ結合面がテーパー面とされていることを特徴とする。
本発明によれば、嵌合部の凸部および凹部の結合面が、それぞれテーパー面とされているため、分割されたタイロッド(A)およびタイロッド(B)を互いに嵌合する際の芯だし精度を高めることができる。従って、分割構造のタイロッドでありながら、一体物のタイロッドと遜色のない精度を確保し、昇降ガイド部を円滑にガイドすることができる。
さらに、本発明のタイヤ加硫機は、上述のいずれかのタイヤ加硫機において、少なくとも2分割以上に分割された前記タイロッドは、タイヤ加硫時の前記加圧反力を分担するタイロッド側の外径をD1、前記ボルスタプレートおよび前記上金型が昇降時の前記ガイド機能のみを分担するタイロッド側の外径をD2としたとき、互いの連結時において、D1>D2とされていることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも2分割以上に分割されたタイロッドが、タイヤ加硫時の加圧反力を分担するタイロッド側の外径をD1、ボルスタプレートおよび上金型が昇降時のガイド機能のみを分担するタイロッド側の外径をD2としたとき、互いの連結時において、D1>D2とされているため、少なくとも2分割されたタイロッドを連結して1本化したとき、常に加圧反力を分担するタイロッド側の外径内に、ガイド機能のみを分担するタイロッド側の外径が納まるようになる。従って、分割されたタイロッドを一体化した上で同時加工することによって、芯だし調整する等の作業を不要化し、加工を容易化することができる。
さらに、本発明にかかるタイヤ加硫機の輸送・梱包方法は、上述のいずれかのタイヤ加硫機を輸送または梱包するタイヤ加硫機の輸送・梱包方法において、前記ボルスタプレートおよび前記上金型等を上金型全閉位置となし、少なくとも上下に分割された前記タイロッドの上方部分のみを取り外した状態として、輸送または梱包することを特徴とする。
本発明によれば、ボルスタプレートおよび上金型等を上金型全閉位置となし、少なくとも上下に分割されたタイロッドの上方部分のみを取り外した状態として、輸送または梱包することができるため、最終組み立てした状態で加硫機の全高さ方向寸法が、国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えてしまう場合でも、ボルスタプレートおよび上金型等を上金型全閉位置とし、上下に分割されているタイロッドの上方部分のみを取り外すことにより、かかる制限寸法をクリアすることができる。従って、タイロッドの上方部分のみを取り外す簡易な処置によって、加硫機をそのまま輸送または梱包することが可能となり、余計な作業や費用を省くことができる。
本発明のタイヤ加硫機によると、加硫機の上下方向寸法が高く、輸送あるいは梱包するに当たり、国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えてしまうような場合でも、上下に少なくとも2分割以上に分割されているタイロッドの上方部分のみを取り外すことによって、簡単にかかる制限寸法をクリアすることができるため、加硫機の輸送・梱包に当たり、タイロッド、ベースプレート、ボトムプレート、ボルスタプレート等を解体することなく、輸送あるいは梱包することが可能となる。また、搬送先での再組立てや調整作業が不要となり、それに要する費用等を省くことができるとともに、高さに制限がある建屋等に対する加硫機の搬入をも容易化することができる。更に、分割されたタイロッドの個々の長さが短くなることから、それぞれの加工を容易化することができる。また、分割位置が加圧反力を分担する部分と、ガイド機能のみを分担する部分の間とされていることから、タイロッドをその長さ方向位置で上下に少なくとも2分割以上に分割可能としても、加圧反力を分担する部分の強度に影響を及ぼすことはなく、必要な強度を確保できるため、分割構造のタイロッドでありながら、必要な強度を十分に確保し、タイヤ加硫時の精度を維持することができる。
本発明のタイヤ加硫機の輸送・梱包方法によると、最終組み立てした状態で加硫機の全高さ方向寸法が、国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えてしまう場合でも、ボルスタプレートおよび上金型等を上金型全閉位置とし、上下に分割されているタイロッドの上方部分のみを取り外すことにより、かかる制限寸法をクリアすることができるため、タイロッドの上方部分のみを取り外す簡易な処置によって、加硫機をそのまま輸送または梱包することが可能となり、余計な作業や費用を省くことができる。
本発明の第1実施形態に係るタイヤ加硫機の正面視図である。 図1に示すタイヤ加硫機のタイロッドの構成図で、(A)図は、分割した状態の正面視図、(B)図は、(A)図のA−A断面相当図、(C)図は、(A)図のB−B断面相当図、(D)図は、分割したタイロッドの連結状態の正面視図、(E)図は、(D)図の平面視図である。 本発明の第2実施形態に係るタイロッドの構成図で、(A)図は、分割した状態の正面視図、(B)図は、分割したタイロッドの連結状態の正面視図である。 本発明の第3実施形態に係るタイロッドの構成図で、(A)図は、分割した状態の正面視図、(B)図は、分割したタイロッドの連結状態の正面視図である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係るタイヤ加硫機の正面視図が示され、図2には、そのタイロッドの構成図が示されている。
タイヤ加硫機1は、水平方向に配置されるベースプレート2を備えている。このベースプレート2は、タイヤ製造工場のタイヤ加硫機1を据付けるピットP内に、複数本の支柱3を介して水平に支持されるようになっている。
ベースプレート2上には、左右一対のタイヤ加硫機構3A,3Bが、各々独立して作動可能に設置されている。左右一対のタイヤ加硫機構3A,3Bは、同一構成とされているため、以下においては、一方のタイヤ加硫機構3Aの構成のみを説明し、他方のタイヤ加硫機構3Bの構成は、Bが添え字された符号のみを付して説明は省略する。
タイヤ加硫機構3Aは、下金型(図示省略)が取付けられるボトムプレート4Aを備えており、該ボトムプレート4Aは、ベースプレート2上に、複数本の昇降ネジ5Aおよび該昇降ネジ5Aの上端部に設けられた加圧シリンダ6Aを介して、高さ調整と型締めができるように、昇降可能に支持されている。
ボトムプレート4Aの中心部には、生タイヤをシェーピング(整形)および加硫するときに、タイヤの内方に挿入されるブラダと称されるゴム袋の挿入、取出しを操作する中心機構7Aが組み付けられている。中心機構7Aは、ベースプレート2を貫通して下方に延長されており、ボトムプレート4Aと共に昇降可能とされている。
ベースプレート2上には、対角位置に一対のタイロッド(コラムとも称される)8Aが上方に延長されて立設されている。このタイロッド(コラム)8Aは、ボルスタプレート9Aおよび上金型(図示省略)を、上金型全閉位置と上金型全開位置との間において、上下方向に昇降するガイドとなるものであり、また、タイヤ加硫時には、ボルスタプレート9Aおよび上金型を上金型全閉位置にロックし、それに作用する加圧反力を受けるためのものである。
ボルスタプレート9Aは、上金型(図示省略)が取付けられるもので、一対のタイロッド8Aに対して、昇降ガイド部10Aを介して上下方向に昇降可能に組み付けられ、ベースプレート2との間に介装されている昇降シリンダ11Aを介して昇降されるようになっている。また、ボルスタプレート9Aの昇降ガイド部10Aには、タイロッド8Aに設けられている括れ部12Aに係合し、ボルスタプレート9Aおよび上金型を上金型全閉位置にロックするロック装置13Aが設けられている。
上記タイヤ加硫機構3Aに対して、タイヤ加硫機1の正面側には、上下の金型間に生タイヤを搬入するためのタイヤローダ機構14Aが、上下方向に昇降自在に、かつ水平面内において生タイヤを受け渡しする位置との間を回動自在に設置されている。また、タイヤローダ機構14Aの反対側面には、タイヤ加硫機構3Aで加硫された加硫済みタイヤを金型間から取出し、それをコンベア上に搬出するタイヤアンローダ機構15Aが、上下方向に昇降自在で、かつ水平面内においてタイヤを受け渡しする位置との間を回動自在に設置されている。
以上のタイヤ加硫機1において、タイロッド8A,8B以外は、公知のものである。以下に、本発明の特徴部分であるタイロッド8A,8Bの構成について、図2を参照して詳しく説明する。
タイロッド8A,8Bは、上記の如く、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型(図示省略)が、上金型全閉位置と上金型全開位置との間において上下方向に昇降される際のガイドとなるものであるため、上下方向に長尺のロッドとなり、最終組み立て状態において、タイヤ加硫機1の全高さ方向の寸法を支配することになる。
そこで、タイロッド8A,8Bを、図2に示されるように、長さ方向位置において上下に少なくともタイロッド(A)20とタイロッド(B)21とに分割し、それを着脱自在に連結して一体化可能な構成としている。つまり、本実施形態においては、タイロッド8A,8Bは、ロック装置13A,13Bが係合する括れ部12A,12Bを含み、タイヤ加硫時に加圧反力を分担する部分、すなわちタイロッド(A)20と、その上方部に連結され、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型等が昇降する時のガイド機能のみを分担する部分、すなわちタイロッド(B)21との間で上下方向に少なくとも2分割された構成とされている。
この2分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21は、その一方側、本実施形態ではタイロッド(A)20側の端部に設けられている凹部22と、他方側、本実施形態ではタイロッド(B)21側の端部に設けられている凸部23とが嵌合(インロー結合)されることによって、一体化されるように構成されている。
また、上記嵌合部には、図2(B)に示されるように、タイロッド(A)20側の凹部22周りに等間隔で複数(6個)の締結用穴24が設けられる一方、タイロッド(A)21側の端部外周に、図2(C)に示されるように、切欠き部25によって貫通穴26付きの座面27が等間隔で複数箇所(6箇所)に形成されることにより、ボルト等の締結部品28を介してタイロッド(A)20とタイロッド(B)21とが一体に締結されるように構成されている。なお、図2(D),(E)には、工具Rを介してボルト等の締結部品28を締結し、タイロッド(A)20とタイロッド(B)21とを連結している状態が示されている。
さらに、タイロッド(A)20およびタイロッド(B)21は、タイヤ加硫時の加圧反力を分担するタイロッド(A)20側の外径をD1、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型が昇降時のガイド機能のみを分担するタイロッド(B)21側の外径をD2としたとき、各々の外径寸法公差および凹部22と凸部23による公差等を考慮した上で連結時に、D1>D2を満たすように設定されている。
斯くして、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
タイロッド(A)20およびタイロッド(B)21は、凹部22と、凸部23とが嵌合されるとともに、締結用穴24と座面27間がボルト等の締結部品28を介して締結されることにより一体化され、1本の長尺のタイロッド8A,8Bとしてタイヤ加硫機1に組み込まれる。そして、このタイロッド8A,8Bは、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型が昇降シリンダ11A,11Bを介して上下方向に昇降される際、そのガイドとして機能するとともに、タイヤ加硫時、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型がロック装置13A,13Bを介して括れ部12A,12Bにロックされたとき、加圧反力を分担するように機能する。なお、タイヤの加硫方法自体は公知故、ここでの説明は省略する。
長尺のタイロッド8A,8Bが、ベースプレート2上に組み込まれることにより、タイヤ加硫機1の上下方向寸法(全高さ方向寸法)が、非常に高くなることがある。工場で最終組立てしたタイヤ加硫機1をユーザー側に納める場合、国内輸送あるいは輸出梱包する必要があるが、加硫機1の全高さ方向寸法が高いと、国内輸送あるいは輸出梱包するに当たって、その制限寸法を超えてしまうことがある。然るに、本実施形態においては、タイロッド8A,8Bが、その長さ方向位置で上下に少なくとも2分割以上、すなわちタイロッド(A)20とタイロッド(B)21とに分割可能とされている。
このため、加硫機1の全高さが、国内輸送や輸出梱包の制限寸法を超えてしまうような場合であっても、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型を、タイロッド8A,8Bの下方部分に当たるタイロッド(A)20側の括れ部12Aにロック装置13A,13Bを介して型閉め位置にロックした上で、タイロッド8A,8Bの上方部分に当たるタイロッド(B)21のみを取り外すだけの簡易な処置によって、タイロッド(B)21の寸法相当分だけ、加硫機1の高さ方向寸法を低くすることができ、簡単にかかる制限寸法をクリアし、輸送・梱包を可能ならしめることができる。
従って、上記制限寸法を超えるような加硫機1の輸送あるいは梱包に際しても、その主要部分であるタイロッド8A,8B、ベースプレート2、ボトムプレート4A,4Bおよびボルスタプレート9A,9B等を解体することなく、輸送あるいは梱包することが可能となる。また、搬送先での再組立てや調整作業が不要となるため、それに要する費用等を省くことができるとともに、高さに制限がある建屋等に対する加硫機1の搬入をも容易化することができる。更には、分割されたタイロッド(A)20とタイロッド(B)21の個々の長さが短くなることから、それぞれの加工を容易化することができる。
また、少なくとも2分割されるタイロッド(A)20とタイロッド(B)21の分割位置が、タイヤ加硫時の加圧反力を分担する部分、すなわちタイロッド(A)20と、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型等が昇降する時のガイド機能のみを分担する部分、すなわちタイロッド(B)21の間とされている。このため、タイロッド8A,8Bを長さ方向位置で上下に分割したとしても、加硫時の加圧反力を分担する部分の強度に対して全く影響を与えることはなく、タイロッド8A,8Bとして必要な強度を確保することができ、従って、分割構造のタイロッド8A,8Bでありながら、必要な強度を十分に確保し、タイヤ加硫時の精度を維持することができる。
さらに、少なくとも2分割されたタイロッド(A)20とタイロッド(B)21とが、タイロッド(A)20側に設けられている凹部22と、タイロッド(B)21側に設けられている凸部23とを介して互いに嵌合されているため、分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を連結して一体化する際、その芯だしおよび強度を容易に再現することができる。従って、タイロッド8A,8B上をスライドして昇降される昇降ガイド部10A,10Bを円滑にガイドすることができる。
また、上記により嵌合された部分が、タイロッド(A)20側に設けられている締結用穴24と、タイロッド(B)21側に設けた切欠き部25により形成されている座面27とを介して互いにボルト等の締結部品28で締め付け固定されているため、少なくとも2分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を互いに嵌合した上で、ボルト等の締結部品28を介して強固に連結することができる。しかも、ボルト等の締結部品28は、切欠き部25により形成された座面27にて締結されることから、ボルト等の締結部品28が昇降ガイド部10A,10B等の昇降を阻害することもない。従って、タイロッド8A,8Bとして必要な強度を十分確保することができるとともに、昇降ガイド部10A,10Bを円滑にガイドすることができる。
さらに、本実施形態においては、少なくとも2分割可能とされたタイロッド8A,8Bが、タイヤ加硫時の加圧反力を分担するタイロッド(A)20側の外径をD1、ボルスタプレート9A,9Bおよび上金型が昇降時のガイド機能のみを分担するタイロッド(B)21側の外径をD2としたとき、互いの連結時において、D1>D2とされている。このため、分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を連結して1本化したとき、常に加圧反力を分担するタイロッド(A)20側の外径D1内にガイド機能のみを分担するタイロッド(B)21側の外径D2が納まることになる。従って、分割されたタイロッド(A)20とタイロッド(B)21とを一体化した上で同時加工することによって、芯だし調整する等の作業を不要化し、加工を容易化することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、嵌合部の締結構造が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、図3(A),(B)に示されるように、嵌合部を構成しているタイロッド(A)20側の凹部22およびタイロッド(B)21側の凸部23の先端に、互いに螺合される雌ネジ29および雄ネジ30を設け、タイロッド(A)20とタイロッド(B)21とが、嵌合されるとともに、雌ネジ29および雄ネジ30を介してネジ締結されるように構成されている。
このように、嵌合部を、その凹部22および凸部23の先端に設けられている雌ネジ29および雄ネジ30を介して互いにネジ締結することによって、少なくとも2分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を、互いに嵌合した上で強固にネジ締結することができる。しかも、そのネジ締結部が分割されたタイロッド20,21の内部に位置されることから、昇降ガイド部10A,10B等の昇降に及ぼす影響を皆無とすることができる。従って、タイロッド8A,8Bとして必要な強度を十分確保することができるとともに、昇降ガイド部10A,10Bを円滑にガイドすることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1および第2実施形態に対して、嵌合部を構成する凹部22および凸部23の結合面の形状が異なっている。その他の点については、第1および第2実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、図4(A),(B)に示されるように、嵌合されるタイロッド(A)20側の凹部22およびタイロッド(B)21側の凸部23の結合面を、それぞれテーパー面31,32とするとともに、凹部22および凸部23の先端に、互いに螺合される雌ネジ29および雄ネジ30を設けることにより、タイロッド(A)20とタイロッド(B)21とが、テーパー面31,32で嵌合されるとともに、雌ネジ29および雄ネジ30を介してネジ締結されるように構成されている。
このように、嵌合部の凹部22および凸部23の結合面がテーパー面31,32とされているため、少なくとも2分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を互いに嵌合する際の芯だし精度を高めることができ、従って、一体物のタイロッドと遜色のない精度を確保し、昇降ガイド部10A,10Bを円滑にガイドすることができる。しかも、タイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を、雌ネジ29および雄ネジ30を介して互いにネジ締結することにより、強固に連結することができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、タイロッド8A,8Bを上下に少なくとも2分割にしているが、本発明においては、3分割以上に分割することを妨げるものではない。また、2分割されたタイロッド(A)20およびタイロッド(B)21を互いに嵌合によって連結するため、タイロッド(A)20側に凹部22、タイロッド(B)21側に凸部23を設けた構成としているが、タイロッド(A)20側に凸部、タイロッド(B)21側に凹部を設けた構成としてもよい。
さらに、上記第3実施形態では、第2実施形態における嵌合部の凹部22および凸部23の結合面をテーパー面31,32とした実施形態について説明したが、第1実施形態における嵌合部の凹部22および凸部23の結合面をテーパー面とした構成としてもよいことはもちろんである。この場合、凹部22および凸部23の先端の雌ネジ29、雄ネジ30は不要であることは云うまでもない。
1 タイヤ加硫機
2 ベースプレート
8A,8B タイロッド
9A,9B ボルスタプレート
20 タイロッド(A)
21 タイロッド(B)
22 凹部
23 凸部
24 締結用穴
25 切欠き部
26 貫通穴
27 座面
28 ボルト等の締結部品
29 雌ネジ
30 雄ネジ
31,32 テーパー面

Claims (7)

  1. ベースプレートから上方に延長され、タイヤ加硫時、ボルスタプレートおよび上金型にかかる加圧反力を受けるとともに、上金型開閉時に前記ボルスタプレートおよび前記上金型の昇降をガイドするタイロッドを備えているタイヤ加硫機において、
    前記タイロッドは、その長さ方向位置で上下に少なくとも2分割以上に分割可能な構成とされ、その分割位置は、タイヤ加硫時の前記加圧反力を分担する部分と、前記ボルスタプレートおよび前記上金型等が昇降する時のガイド機能のみを分担する部分との間とされていることを特徴とするタイヤ加硫機。
  2. 少なくとも2分割以上に分割された前記タイロッド(A)およびタイロッド(B)は、互いに嵌合されていることを特徴とする請求項に記載のタイヤ加硫機。
  3. 前記嵌合部は、前記タイロッド(A)またはタイロッド(B)のいずれか一方の端部外周に切欠き部を設けて形成された座面を介して互いにボルト等の締結部品により締結されていることを特徴とする請求項に記載のタイヤ加硫機。
  4. 前記嵌合部は、その凹部および凸部の先端に設けられた雌ネジおよび雄ネジを介して互いにネジ締結されていることを特徴とする請求項に記載のタイヤ加硫機。
  5. 前記嵌合部の凸部および凹部は、それぞれ結合面がテーパー面とされていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のタイヤ加硫機。
  6. 少なくとも2分割以上に分割された前記タイロッドは、タイヤ加硫時の前記加圧反力を分担するタイロッド側の外径をD1、前記ボルスタプレートおよび前記上金型が昇降時の前記ガイド機能のみを分担するタイロッド側の外径をD2としたとき、互いの連結時において、D1>D2とされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のタイヤ加硫機。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載のタイヤ加硫機を輸送または梱包するタイヤ加硫機の輸送・梱包方法において、
    前記ボルスタプレートおよび前記上金型等を上金型全閉位置となし、少なくとも上下に2分割以上に分割された前記タイロッドの上方部分のみを取り外した状態として、輸送または梱包することを特徴とするタイヤ加硫機の輸送・梱包方法。
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