JP4938558B2 - チタノシリケートの製造方法およびオキシムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、MWW構造を有するチタノシリケートの製造方法と、該製造方法により得られたMWW構造を有するチタノシリケートの存在下に、ケトンを過酸化物及びアンモニアによりアンモキシム化反応させてオキシムを製造する方法とに関する。オキシムは、例えば、アミドやラクタムの原料等として有用である。
従来、ケトンを過酸化物及びアンモニアによりアンモキシム化反応させてオキシムを製造する方法において、MWW構造を有するチタノシリケートが触媒の1つとして用いられている。
かかるMWW構造を有するチタノシリケートの製造方法として、ケイ素化合物、チタン化合物、ホウ素化合物、水及び構造規定剤を常温で混合した後、昇温して水熱合成反応に付す方法が提案されている(非特許文献1参照)。
ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)、(日本)、2000年、p.774−775
しかしながら、上記方法により製造されたチタノシリケートを、ケトンを過酸化物及びアンモニアによりアンモキシム化反応させるオキシムの製造において触媒として用いた場合、ケトンの転化率やオキシムの選択率の点で、充分に満足しうる性能を発揮しないことがあった。また、触媒寿命の点においても、必ずしも充分とは言えなかった。
そこで、本発明の目的は、ケトンのアンモキシム化反応における触媒として、ケトンの転化率、オキシムの選択率および触媒寿命の点で優れた性能を発揮するチタノシリケートを製造する方法を提供し、さらに、高い転化率でケトンをアンモキシム化反応させて、長期間にわたり触媒寿命を維持しつつ、良好な選択率でオキシムを製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ケイ素化合物、チタン化合物、ホウ素化合物、水及び構造規定剤を混合した後、所定の温度まで昇温して水熱合成反応を行うにあたり、特定温度から特定温度まで間の昇温速度(温度上昇速度)を一定以下にして該昇温を行うことにより、所望のチタノシリケートを製造しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のチタノシリケートの製造方法は、ケイ素化合物、チタン化合物、ホウ素化合物、水及び構造規定剤を混合した後、150〜200℃に昇温して水熱合成反応に付し、得られた結晶を焼成することによりMWW構造を有するチタノシリケートを製造する方法であって、50℃から150℃までの温度領域における温度上昇速度が45℃/時間以下であることを特徴とする。
また、本発明のオキシムの製造方法は、前記本発明のチタノシリケートの製造方法により得られたMWW構造を有するチタノシリケートの存在下に、ケトンを過酸化物及びアンモニアによりアンモキシム化反応させるものである。
本発明によれば、ケトンのアンモキシム化反応における触媒として、ケトンの転化率、オキシムの選択率および触媒寿命の点で優れた性能を発揮するチタノシリケートを製造することができる、という効果が得られる。そして、かかるチタノシリケートの存在下に、高い転化率でケトンをアンモキシム化反応させて、長時間にわたり触媒寿命を維持しつつ、良好な選択率でオキシムを製造することができる。
本発明のチタノシリケートの製造方法は、ケイ素化合物、チタン化合物、ホウ素化合物、水及び構造規定剤を混合して水熱合成反応に付し、得られた結晶を焼成するものである。
前記ケイ素化合物としては、例えば、テトラエチルオルソシリケートのようなテトラアルキルオルソシリケート、シリカ(ヒュームドシリカ)等が挙げられる。
前記チタン化合物としては、例えば、テトラ−n−ブチルオルソチタネートのようなテトラアルキルオルソチタネート、ペルオキシチタン酸テトラ−n−ブチルアンモニウムのようなペルオキシチタン酸塩、ハロゲン化チタン等が挙げられる。
前記ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、無水ホウ酸等が挙げられる。
前記構造規定剤は、層状構造を形成するためのテンプレートとして用いられるものであり、例えば、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の従来公知の構造規定剤が使用できる。
前記各原材料の使用割合は、ケイ素化合物中のケイ素を基準にして、チタン化合物はチタンとして0.01〜0.1モル倍であり、ホウ素化合物はホウ素として0.1〜2モル倍であり、水は3〜50モル倍であり、構造規定剤は0.3〜3モル倍であることが好ましい。
前記各原材料(ケイ素化合物、チタン化合物、ホウ素化合物、水及び構造規定剤)の混合は、50℃以下の温度で行うことが好ましく、より好ましくは0〜50℃、さらに好ましくは10〜50℃の温度で混合するのがよい。各原材料の混合時の温度が50℃を超えると、不活性な酸化チタン粒子の生成量が増加するおそれがある。
なお、前記各原材料の混合を50℃以下の温度(例えば室温)で開始し、原材料仕込時の溶解熱等による発熱により、混合物の温度が50℃を超える温度になった場合は、50℃以上となった時点から後述する範囲の温度上昇速度を満足する限り、特に冷却等の手段を講じることなく、その温度から後述する昇温を開始しても構わない。
前記各原材料の混合方法は、特に制限されないが、例えば、全ての原材料を一括して混合してもよいし、各原材料を順次混合していってもよい。特に、液体である原材料を先に混合した後に固体である原材料を混合することが、均一に攪拌でき、ひいては得られたチタノシリケート中のチタンの偏在を回避できる点で好ましい。
前記各原材料の混合物は、150〜200℃に昇温して水熱合成反応に付される。一般に、水熱合成とは、高温の水とくに高温高圧の水の存在の下に行われる物質の合成および結晶成長法をいい(「岩波 理化学辞典」、第4版、株式会社岩波書店、1987年、p.647参照)をいい、具体的には、前記各原材料を混合し、オートクレーブ中、自圧下に100〜200℃程度の温度で加熱して、数時間〜数日間、攪拌することにより行われる。
本発明においては、水熱合成反応の加熱温度を150〜200℃とすること、および昇温の際の温度上昇速度を後述するよう制御すること以外は、一般的な水熱合成反応における条件を採用することができる。
前記原材料の混合物を昇温させる際、50℃から150℃まで昇温させる間の温度上昇速度(昇温速度)は45℃/時間以下であり、好ましくは40℃/時間以下である。50℃から150℃までの特定の温度領域において45℃/時間を超える急激な温度上昇が起こると、得られるチタノシリケートの触媒活性が著しく低下することになる。50℃未満の温度領域や150℃を超えた温度領域では、温度上昇速度が45℃/時間を超えた場合であっても、チタノシリケートの触媒活性に重大な悪影響を及ぼすことはない。ただし、前記特定の温度領域(50℃から150℃までの温度領域)のみならず、前記原材料を混合した時点から水熱合成を終了する時点までの間で温度上昇している期間はどの期間であっても、温度上昇速度を前記範囲内とすることが好ましい。
本発明において、温度上昇速度は、1時間あたりの温度変化を示すものであり、すなわち、1時間あたりの平均の温度変化を意味する。1時間あたりの温度変化は、1時間の始めと終わりの温度差から求められる。なお、前記特定の温度領域(50℃から150℃までの温度領域)における温度上昇速度を求めるに際しては、1時間あたりの温度変化は、混合時もしくは昇温開始時を起点として1時間ごとに継続して測定することが好ましい。
前記特定の温度領域(50℃から150℃までの温度領域)および該温度領域以外における温度上昇速度の下限は、特に制限されるものではないが、工業的な生産性を考慮すれば、触媒活性の著しい低下を生じさせない温度上昇速度の範囲内において、速く内温を目的の温度に到達させるのが望ましく、前記温度上昇速度は、好ましくは1.5℃/時間以上、より好ましくは6℃/時間以上であるのがよい。ただし、昇温開始直後や、内温が目的温度に到達する直前には、加熱操作の特性上、前述した下限の好ましい範囲を下回ることもある。
前記水熱合成反応における加熱手段は、特に限定されるものではない。例えば、反応器の外側にジャケットを備えた反応器を用い、該ジャケットに高温流体を流通させることで反応器内の混合物を加熱する方法、反応器の外側にバンドヒータ等の固体加熱装置を接触させることで反応器内の混合物を加熱する方法、反応器内部に流体を流通させうる配管を設置し、該配管に高温流体を流通させることで反応器内の混合物を加熱する方法などを採用することができる。
温度上昇速度は、通常、加熱用媒体の温度(例えば、前記高温流体の温度や前記固体加熱装置の設定温度など)を一定の速さで徐々に上げていく方式(直線状方式)や、加熱用媒体の温度を一定時間ごとに上げていく方式(階段状方式)などで適宜調整することができる。このとき、加熱媒体の温度と内温(反応器内の混合物の温度)との間には、一般に温度差が生じ、加熱媒体の温度上昇を停止して一定温度を維持しても、内温が一定の温度になるまでには時間的ずれが生じる。そのため、通常、内温が目標とする温度よりも10〜20℃低い温度に達した時点で加熱用媒体の温度を一定に保持し、内温の上昇が止まって一定になるのを確認した後に、再度、加熱媒体の温度を調節し、最終的に内温が所望の温度になるようにする、といった手法が採られる。なお、反応液(混合液)が接する反応器表面の温度が高温であると、局所的に反応液の温度が上がり、得られたチタノシリケートの触媒活性が低下するおそれがあるので、加熱媒体の温度は240℃以下であるのが望ましい。
前記水熱合成反応により得られる結晶は、層状チタノシリケートである。この層状チタノシリケートの層構造は、具体的には、X線回折パターンにおける001面ないし002面のピークの存在により、確認することができる(例えば、前記非特許文献1のほか、第33回石油・石油化学討論会講演要旨;触媒、2001年、第43巻、p158−160;ケミカル・コミュニケーションズ(Chemical Communications)(英国)、2002年、p1026−1027;触媒、2002年、第44巻、p468−470;等参照)。そして、この層状チタノシリケートの層構造は、焼成により、結晶シートの層間脱水縮合が生じて三次元結晶構造が形成されることで、MWW構造に変換される。この構造変換は、具体的には、X線回折パターンにおいて、前記001面ないし002面のピークが消失することにより確認することができる(前記各文献参照)。
前記水熱合成反応により得られた結晶には、必要に応じて、後述する焼成に供する前に酸処理を施してもよい。酸処理を行うことにより、チタノシリケート骨格に導入されたホウ素および骨格外のチタンを除去することができ、得られたチタノシリケートの触媒活性を向上させることができる。
前記酸処理を行う場合、該酸処理は、通常、加熱還流下で1〜48時間行われる。また、前記酸処理に用いることができる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、炭酸、リン酸のような無機酸、ギ酸、酢酸のような有機酸が挙げられる。これらの中でも特に、硝酸、硫酸が好ましい。酸の使用量は、特に制限されるものではなく、チタノシリケート骨格に導入されたホウ素および骨格外のチタンを充分に除去できる範囲で適宜設定すればよい。
前記水熱合成反応により得られた結晶(層状チタノシリケート)には、焼成が施される。焼成条件は、特に制限されるものではなく、例えば、200〜700℃程度の温度で1〜24時間程度加熱すればよい。
前記焼成は、通常、結晶(層状チタノシリケート)を含む反応液から結晶を分離し、必要に応じて、洗浄、乾燥を施した後に行われる。このとき、分離、洗浄および乾燥の条件や方法は、特に制限されるものではなく、通常の条件や方法に従い行うことができる。例えば、濾過により分離し、濾残を水により洗液のpHが4〜10の範囲になる程度まで洗浄し、50〜150℃で1〜24時間程度乾燥すればよい。また、乾燥をスプレードライヤーを用いて行うと、乾燥と同時に、粒径1〜1000μm程度の粒子に成形することができる点で有利である。なお、このような分離、洗浄および乾燥は、必要に応じて、前記酸処理の前に、水熱合成反応により得られた結晶に対して行うこともできる。
本発明の製造方法で得られるチタノシリケートは、MWW構造を有する結晶性チタノシリケートであり(以下、MWW構造を有する結晶性チタノシリケートを「Ti−MWW」と称することがある)、ここで、MWWとは、国際ゼオライト学会〔International Zeolite Association(IZA)〕が定めるゼオライトの構造コードの1つである。なお、MWW構造を有する化合物の具体例としては、MCM−22、SSZ−25、ITQ−1、ERB−1、PSH−3等が挙げられる。
ここで言う、チタノシリケートとは、骨格を構成する元素として、チタン、ケイ素及び酸素を含むものであり、実質的にチタン、ケイ素及び酸素のみから骨格が構成されるものであってもよいし、骨格を構成する元素としてさらにホウ素、アルミニウム、ガリウム、鉄、クロム等、チタン、ケイ素及び酸素以外の元素を含むものであってもよい。
本発明の製造方法で得られるTi−MWWにおける、ケイ素に対するチタンの原子比(Ti/Si)は、通常0.005〜0.1、好ましくは0.01以上である。なお、このチタノシリケートがチタン、ケイ素及び酸素以外の元素を含む場合、ケイ素に対する含有元素の原子比は、通常0.05以下、好ましくは0.02以下である。また、酸素は、酸素以外の各元素の原子比及び酸化数に対応して存在しうる。かかるチタノシリケートの典型的な組成は、ケイ素を基準(=1)として、次式で示すことができる。
SiO2・xTiO2・yMOn/2
(式中、Mはケイ素、チタン及び酸素以外の少なくとも1種の元素を表し、nは該元素の酸化数であり、xは0.005〜0.1であり、yは0〜0.05である。)
本発明の製造方法で得られるTi−MWWに含まれるチタンがチタノシリケートに占める含有比率(Ti含有率)は、通常0.4%以上、好ましくは1%以上である。
かくしてMWW構造を有するチタノシリケートを得ることができる。そして、このチタノシリケートの存在下に、ケトンを過酸化物及びアンモニアによりアンモキシム化反応させることにより、長時間にわたり触媒寿命を維持しつつ、高い転化率でケトンをアンモキシム化反応させて良好な選択率でオキシムを製造することができる。なお、かかるチタノシリケートは、該反応以外のエポキシ化やオキシム化等の酸化反応における触媒としても優れた触媒活性が期待されるものである。
触媒として用いるTi−MWWは、バインダーを用いて又は用いずに、粒状やペレット状等に成形して使用してもよいし、担体に担持して使用してもよい。
触媒として用いるTi−MWWは、反応混合物の液相に懸濁させて固相として存在させるのがよく、その割合は、液相に対して通常0.1〜10重量%程度とするのがよい。また、Ti−MWWの触媒活性の低下を抑制すること等を目的として、シリカゲル、ケイ酸、結晶性シリカ等のチタノシリケート以外のケイ素化合物を共存させてもよい。
前記ケトンは、脂肪族ケトンであってもよいし、脂環式ケトンであってもよいし、芳香族ケトンであってもよく、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。また、前記ケトンは、例えば、アルカンの酸化により得られたものであってもよいし、2級アルコールの酸化(脱水素)により得られたものであってもよいし、アルケンの水和及び酸化(脱水素)により得られたものであってもよい。
前記ケトンの具体例としては、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトンのようなジアルキルケトン;メシチルオキシドのようなアルキルアルケニルケトン;アセトフェノンのようなアルキルアリールケトン;ベンゾフェノンのようなジアリールケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、シクロドデカノンのようなシクロアルカノン;シクロペンテノン、シクロヘキセノンのようなシクロアルケノン等が挙げられる。これら中でも、シクロアルカノンが好ましい。
前記過酸化物の具体例としては、過酸化水素のほか、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドのような有機過酸化物が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素が反応性の点で好ましい。
過酸化水素は、通常、いわゆるアントラキノン法により製造され、一般に濃度10〜70重量%の水溶液として市販されているので、この過酸化水素水溶液を用いることができる。また、過酸化水素は、金属パラジウムを担持した固体触媒の存在下に有機溶媒中で水素と酸素を反応させることにより製造することもでき、この方法による過酸化水素を使用する場合には、反応混合物から触媒を分離して得られる過酸化水素の有機溶媒溶液を使用することができる。
前記過酸化物の使用量は、ケトン1モルに対して、通常0.5〜3モル、好ましくは0.5〜1.5モルとするのがよい。なお、前記過酸化物には、例えば、リン酸ナトリウムのようなリン酸塩、ピロリン酸ナトリウムやトリポリリン酸ナトリウムのようなポリリン酸塩、ピロリン酸、アスコルビン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ニトロトリ酢酸、アミノトリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等が添加されていてもよい。
前記アンモニアは、ガス状のものを用いてもよいし、液状のものを用いてもよく、また、水や有機溶媒の溶液として用いてもよい。
前記アンモニアの使用量は、反応混合物の液相におけるアンモニア濃度が1重量%以上となるように調整するのがよい。このように、反応混合物の液相中のアンモニア濃度を1重量%以上とすることにより、原料のケトンの転化率と目的物のオキシムの選択率を高めることができ、ひいては目的物のオキシムの収率を高めることができる。反応混合物の液相におけるアンモニア濃度は、好ましくは1.5重量%以上となるようにするのがよく、一方、その上限は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるようにするのがよい。なお、アンモニア使用量の目安は、ケトン1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1.5モル以上である。
前記アンモキシム化反応は、溶媒中で行うこともできる。このときの反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンのような芳香族化合物、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコールのようなアルコール、水等が挙げられる。これらの中でも、アルコールや水が好ましく、特に、アルコールと水の混合溶媒が反応性の点でより好ましい。
前記アンモキシム化反応は、回分式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。特に、反応系内に、ケトン、過酸化物及びアンモニアを供給しながら、反応系内から反応混合物を抜き出すことにより連続式で行うことが、生産性および操作性の点からは、望ましい。
回分式反応は、例えば、反応器にケトン、アンモニア、触媒及び溶媒を入れ、攪拌下、この中に過酸化物を供給することにより行ってもよいし、反応器にケトン、触媒及び溶媒を入れ、攪拌下、この中に過酸化物及びアンモニアを供給することにより行ってもよいし、反応器に触媒及び溶媒を入れ、攪拌下、この中にケトン、過酸化物及びアンモニアを供給することにより行ってもよい。
連続式反応は、例えば、反応器内に触媒が懸濁した反応混合物を存在させるようにして、この中にケトン、過酸化物、アンモニア及び溶媒を供給しながら、反応器からフィルター等を介して反応混合物の液相を抜き出すことにより、好適に行うことができる。
なお、回分式、連続式のいずれの場合も、反応器には、過酸化物の分解を防ぐ観点から、グラスライニングされたものやステンレススチール製のものが好ましく用いられる。
前記アンモキシム化反応の反応温度は、通常50〜120℃、好ましくは70〜100℃とするのがよい。また、反応圧力は常圧でもよいが、反応混合物の液相にアンモニアを溶解させ易くするためには、通常、絶対圧で0.2〜1MPa、好ましくは0.2〜0.5MPaの加圧下に反応を行うのが好ましい。加圧下で行なう場合、窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いて、圧力を調整してもよい。
前記アンモキシム化反応で得られた反応混合物からオキシムを回収する際の後処理操作については、特に制限はなく、通常の方法に従って適宜行えばよい。例えば、反応混合物から触媒を濾過やデカンテーション等により分離した後、液相を蒸留に付すことにより、オキシムを分離、回収することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
ここで、各実施例および比較例で得られたチタノシリケート(Ti−MWW)のTi含有率(Ti−MWW中に占めるチタン量の含有比率)は、ICP分析により測定した。また、オキシムの製造における液相の分析は、ガスクロマトグラフィーにより行った。
なお、オキシムの製造におけるTi−MWWの触媒寿命は、オートクレーブ内の酸素濃度を目安に判断した。つまり、過酸化物として過酸化水素を使用した場合、触媒活性が低下してくると、過酸化水素の熱分解に伴う酸素生成量が増大し、系内の酸素濃度が急激に上昇するので、酸素濃度が急激に上昇する時点までの反応時間が長いほど、触媒寿命が長いと言える。
<ICP分析>
試料を白金皿に秤り取り、フッ化水素酸および硝酸を加え、加温して蒸発乾固させた後、炭酸ナトリウムおよびホウ酸を加えてバーナーで融解させ、得られた融解物に希塩酸を加えて加温し、定容として供試液を得た。この供試液中のTiをICP発光分析装置(セイコー電子工業製「SPS4000」)にてICP分析し、試料中のTi含有率を求めた。
(実施例1)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水445.87g、ピペリジン77.53g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート11.07gを入れ、空気雰囲気下、室温(20±10℃;以下に記載する「室温」も同様である。)で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸53.93gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.20gを加えて1時間攪拌した後、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、5時間かけて29.5℃から170℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。そして、50℃から150℃までの間に温度上昇速度が45℃/時間を超えないように、ヒータ温度を1時間ごとに手動で階段状に上げていく方式で加熱した。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表1に示す通りであり、昇温速度は最大でも39.1℃/時間であった。
オートクレーブの内温が170℃に到達した後、同温度で7.5日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末44.40gを得た。この白色粉末30gを2M硝酸900g中で16時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が2.1%のTi−MWW(1)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
容量1Lのオートクレーブを反応器として用い、この中に、シクロヘキサノンを19.63g/時間、含水t−ブチルアルコール(水12重量%)を34g/時間、及び50重量%過酸化水素水を15.64g/時間の速度で供給し、かつアンモニアを反応混合物の液相中に2重量%の濃度で存在するように供給しながら、反応器からフィルターを介して反応混合物の液相を抜き出すことにより、温度95℃、圧力0.35MPa(絶対圧)、滞留時間6時間の条件で連続式反応を行った。この間、反応器内の反応混合物中には、液相に対し0.2重量%の割合で上記Ti−MWW(1)を存在させた。
反応開始から5.5時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.3%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.6%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は98.8%であった。また、反応開始から96時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.5%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は99.0%であった。さらに、反応を継続したところ、反応開始から155時間後にオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、この時点で反応を終了した。
(実施例2)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水445.20g、ピペリジン77.83g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート11.20gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸53.68gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.70gを加えて1時間攪拌した後、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、10時間かけて28.9℃から173℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。そして、50℃から150℃までの間に温度上昇速度が45℃/時間を超えないように、ヒータ温度を1時間ごとに手動で階段状に上げていく方式で加熱した。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表2に示す通りであり、昇温速度は最大でも28.2℃/時間であった。
オートクレーブの内温が173℃に到達した後、同温度で7日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末43.83gを得た。この白色粉末30gを2M硝酸900g中で16時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が2.4%のTi−MWW(2)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
反応開始から17時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.8%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.6%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は99.4%であった。また、反応開始から125時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.1%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は98.3%であった。さらに、反応を継続したところ、反応開始から138時間後にオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、この時点で反応を終了した。
(実施例3)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水445.50g、ピペリジン77.48g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート9.01gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸53.65gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.85gを加えて1時間攪拌した後、実施例1で得られたTi−MWW(1)0.50gを種晶として混合液に加え、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、7時間かけて27.2℃から154℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。そして、50℃から150℃までの間に温度上昇速度が45℃/時間を超えないように、ヒータ温度を直線状に上げていく方式で加熱した。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表3に示す通りであり、昇温速度は最大でも33.5℃/時間であった。
オートクレーブの内温が154℃に到達した後、同温度で12時間加熱して水熱合成を行った。その後、引き続き、10時間かけて154℃から170℃まで再度昇温した後に、同温度で6.5日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末76.50gを得た。この白色粉末30gを2M硝酸900g中で16時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が1.1%のTi−MWW(3)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
反応開始から5.5時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.2%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.5%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は98.7%であった。また、反応開始から127時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は95.9%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は98.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は94.1%であった。さらに、反応を継続したところ、反応開始から131時間後にオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、この時点で反応を終了した。
(実施例4)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水450.16g、ピペリジン77.63g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート8.80gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸53.86gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.20gを加えて1時間攪拌した後、実施例1で得られたTi−MWW(1)0.35gを種晶として混合液に加え、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、7時間かけて24.5℃から175℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。そして、50℃から150℃までの間に温度上昇速度が45℃/時間を超えないように、ヒータ温度を直線状に上げていく方式で加熱した。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表4に示す通りであり、昇温速度は最大でも33.9℃/時間であった。
オートクレーブの内温が175℃に到達した後、同温度で7日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末44.90gを得た。この白色粉末7gを2M硝酸210g中で8時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が1.6%のTi−MWW(4)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
反応開始から6.5時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.7%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は99.4%であった。また、反応開始から70時間後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は99.9%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は99.6%であった。さらに、反応を継続したところ、反応開始から89時間後にオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、この時点で反応を終了した。
(比較例1)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水379.03g、ピペリジン120.05g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート13.95gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸82.82gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)60.23gを加えて1時間攪拌した後、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、7時間かけて22.3℃から184℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。加熱は、ヒータ温度を1時間ごとに手動で階段状に上げていく方式で行った。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表5に示す通りであり、昇温速度は最大で49.0℃/時間の時があった。
オートクレーブの内温が184℃に到達した後、同温度で7日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末43.21gを得た。この白色粉末30gを2M硝酸900g中で8時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が2.6%のTi−MWW(C1)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(C1)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
しかし、反応開始直後からオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、30分後に反応を終了した。
(比較例2)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水446.35g、ピペリジン77.93g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート8.86gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸54.81gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.40gを加えて1時間攪拌した後、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、7時間かけて24.6℃から163℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。加熱は、ヒータ温度を直線状に上げていく方式で行った。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表6に示す通りであり、昇温速度は最大で47.6℃/時間の時があった。
オートクレーブの内温が163℃に到達した後、同温度で14時間加熱して水熱合成を行った。その後、引き続き、4時間かけて163℃から176℃まで再度昇温した後に、同温度で7日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末41.05gを得た。この白色粉末30gを2M硝酸900g中で8時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が1.8%のTi−MWW(C2)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(C2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
しかし、反応開始直後からオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、30分後に反応を終了した。
(比較例3)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水446.04g、ピペリジン77.58g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート8.88gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸53.77gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.59gを加えて1時間攪拌した後、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、7時間かけて25.9℃から165℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。加熱は、ヒータ温度を直線状に上げていく方式で行った。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表7に示す通りであり、昇温速度は最大で48.2℃/時間の時があった。
オートクレーブの内温が165℃に到達した後、同温度で12時間加熱して水熱合成を行った。その後、引き続き、3時間かけて165℃から178℃まで再度昇温した後に、同温度で6日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末40.85gを得た。この白色粉末30gを2M硝酸900g中で8時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が1.5%のTi−MWW(C3)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(C3)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
しかし、反応開始直後からオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、1時間後に反応を終了した。反応終了後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は58.9%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は95.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は56.4%であった。
(比較例4)
[チタノシリケートの製造]
ビーカーに、純水450.16g、ピペリジン77.63g、テトラ−n−ブチルオルソチタネート8.80gを入れ、空気雰囲気下、室温で均一になるまで攪拌した後、室温でホウ酸53.86gを加えて均一になるまで攪拌した。得られた水溶液に室温でヒュームドシリカ(CABOT社製「CAB−O−SIL M−7D」)39.20gを加えて1時間攪拌した後、実施例1で得られたTi−MWW(1)0.35gを種晶として混合液に加え、混合液をオートクレーブに移してオートクレーブを密閉した。
この混合液を、攪拌しながら、オートクレーブをヒータで加熱することにより、5時間かけて27.9℃から163℃まで昇温した。この間、オートクレーブの内温を常時モニターし、少なくとも50℃から150℃までの温度領域では温度が上昇し続けていることを確認すると同時に、1時間ごとの内温から温度上昇速度(昇温速度)を求めた。加熱は、ヒータ温度を直線状に上げていく方式で行った。具体的には、50℃から150℃までの温度領域における1時間ごとの内温、昇温速度及びヒータ温度は表8に示す通りであり、昇温速度は最大で45.5℃/時間の時があった。
オートクレーブの内温が163℃に到達した後、同温度で16時間加熱して水熱合成を行った。その後、引き続き、3時間かけて163℃から174℃まで再度昇温した後に、同温度で7日間加熱して水熱合成を行った。得られた懸濁液をろ過し、濾残を洗液のpHが10以下になるまで洗浄した後、110℃で16時間乾燥し、白色粉末44.90gを得た。この白色粉末7gを2M硝酸210g中で8時間加熱還流した後、濾過し、濾残を洗液のpHが4以上になるまで洗浄した。得られた白色粉末を乾燥後、530℃で10時間焼成して、Ti含有率が1.6%のTi−MWW(C4)を得た。
Figure 0004938558
[オキシムの製造]
Ti−MWW(1)に変えて上記のTi−MWW(C4)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で連続式反応を行った。
しかし、反応開始直後からオートクレーブ内の酸素濃度が急激に上昇したため、1.5時間後に反応を終了した。反応終了後に抜き出した液相を分析した結果、シクロヘキサノンの転化率は62.2%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は85.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの収率は53.1%であった。

Claims (5)

  1. ケイ素化合物、チタン化合物、ホウ素化合物、水及び構造規定剤を混合した後、150〜200℃に昇温して水熱合成反応に付し、得られた結晶を焼成することによりMWW構造を有するチタノシリケートを製造する方法であって、50℃から150℃までの温度領域における温度上昇速度が45℃/時間以下であることを特徴とするチタノシリケートの製造方法。
  2. 請求項1に記載のチタノシリケートの製造方法により得られたMWW構造を有するチタノシリケートの存在下に、ケトンを過酸化物及びアンモニアによりアンモキシム化反応させる、オキシムの製造方法。
  3. アルコールと水との混合溶媒中でアンモキシム化反応を行う、請求項2に記載のオキシムの製造方法。
  4. 前記過酸化物が過酸化水素である、請求項2または3に記載のオキシムの製造方法。
  5. 前記ケトンがシクロアルカノンである、請求項2〜4のいずれかに記載のオキシムの製造方法。
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