次に、本発明に係る遊技機の釘打の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は実施例の釘打システム10の概略を示す概略構成図、図2はこのシステムに含まれる釘打装置20の外観を概略的に示す斜視図、図3は釘打装置20における釘把持の様子を説明する説明図、図4は釘打装置20が有する遊技盤テーブル40の構成を概略的に示す斜視図である。
図示するように、釘打システム10は、複数の釘打装置20を統括管理するコンピュータであるサーバ12を、それぞれの釘打装置20とデータ通信可能に接続して有する。サーバ12は、付属のディスプレイ12a、キーボード12bの他、記憶装置14を備え、適宜な記憶媒体へのデータ書き込み・読出を行う。サーバ12と釘打装置20の接続は、有線ケーブルを用いたLAN接続の他、無線によるLAN、公衆回線を使った接続とすることもできる。本実施例では、釘打装置20を同一仕様として同じフロアに設置したが、これら釘打装置20は、総て同一仕様のものとする必要はないと共に、同一フロアに設置される必要もない。
釘打装置20は、図2に示すように、装置前面にモニタ22と操作盤24とを有する。モニタ22は、釘打の進行状況や種々の設定値等を表示する表示装置として機能するほか、釘打データの入力等を行うためのタッチパネルとしても機能する。つまり、モニタ22は、液晶表示装置にいわゆるマトリックススイッチ機構を組み込んで構成され、表示箇所の押圧によるパネル電極電位変動を生じさせ、これをスイッチ信号とする。操作盤24は、非常停止・電源入り切り・原点復帰・スタート・ストップ等の手動押圧スイッチを備え、一部のスイッチをランプスイッチとして備える。
釘打装置20は、装置後方に釘供給装置26を備え、この装置から釘を1本ずつ送り込む。送り込まれた釘は、釘打機構28の釘把持ハンド30に把持され、ハンマ装置32で打ち付けられる。この釘打機構28の側方位置には、先端が円錐形状とされたポンチ34を有するポンチ機構36が配設されている。ポンチ機構36は、ポンチ34を押し付けることで、遊技盤盤面にテーパ状下穴を形成する。この釘打機構28とポンチ機構36の駆動機構38は、装置上方に組み込み設置されており、カム機構或いはシリンダ等を用いて、釘打機構28のハンマ装置32の釘打込み動作や、ポンチ機構36のポンチ34の押し当て動作を可能とする。
釘把持ハンド30は、図3に示すように、左右のハンド30a、30bを備える。そして、ハンマ装置32のハンマ33から外れた把持位置にある釘をこの左右ハンドで把持し、把持した釘をハンマ33下方の釘打位置まで移動させる。
釘打装置20は、遊技盤をX−Y平面に沿って2次元的に移動させる遊技盤テーブル40を有する。この遊技盤テーブル40は、下段テーブル41と上段テーブル42を組み合わせたいわゆるXYテーブルとして構成されている。図4に示すように、下段テーブル41は、一対の案内シャフト43で図中X軸に沿って支持され、X軸サーボモータ44により回転するボールネジ45とテーブル下面の図示しないボールナットで係合されている。よって、この下段テーブル41は、ボールネジ45の正逆回転運動をボールナットを経て直線往復運動として受け、X軸に沿って往復移動する。なお、案内シャフト43およびボールネジ45は、テーブル両側で蛇腹状のカバーで覆われており、釘や粉塵等がシャフトやボールネジでの噛み込まないようにされている。
上段テーブル42は、下段テーブル41との間に2本の直線軌道案内レール46を介在させて当該テーブルに設置されており、図中Y軸方向に沿ってこの直線軌道案内レール46の案内を受ける。この上段テーブル42にあっても、テーブル下面にボールナットを備え、このボールナットにより、Y軸サーボモータ47により回転するボールネジ48の正逆回転運動を直線往復運動として受け、Y軸に沿って往復移動する。なお、ボールネジ48にあっても蛇腹状カバーにより釘や粉塵等の噛み込みが防止されている。
また、上段テーブル42は、その上面に、円柱形状の基準ピン50とダイヤ形状のタイヤピン51を備える。この両ピンは、遊技盤YGに空けられた位置決め用の穴にそれぞれは入り込むことで、遊技盤YGの位置決めを行う。従って、この上下のテーブルをそれぞれの軸に沿って往復移動することで、上段テーブル42およびこれに位置決め・載置された遊技盤YGは、固定されたポンチ機構36と釘打機構28に対してX−Y平面に沿って2次元的に移動することになる。
ここで、上記した遊技盤テーブル40のテーブル移動の様子について説明する。図5は釘打に関与する下段テーブル41や上段テーブル42と釘打機構28やポンチ機構36の位置関係を平面視して説明する説明図である。
基準ピン50とタイヤピン51で遊技盤YGを位置決めした上段テーブル42と下段テーブル41は、釘打に先だって、例えば図5に示す原点位置に復帰する。両テーブルが原点位置にあると、ポンチ機構36のポンチ34とハンマ装置32のハンマ33とは、両テーブルおよび遊技盤YGに対して常に定位置に位置する。よって、遊技盤YG中央の原点Gと、ポンチ位置(下穴位置)およびハンマ位置(釘打位置)との位置関係も定まるので、釘打座標KPを原点Gの座標(0,0)から規定すれば、当該釘打座標KPにポンチ34やハンマ33(詳しくは釘セット位置)が位置するよう、下段テーブル41と上段テーブル42を各軸方向に沿って移動できる。つまりは、遊技盤テーブル40をX−Y平面に沿って2次元的に移動できる。図示する釘打座標KP(kpx、kpy)に釘打ちする場合では、下段テーブル41を(kpx−Hx)の距離だけX−の方向に移動し、上段テーブル42を(Hy−kpy)の距離だけY−の方向に移動する。他の釘打座標についても同様である。なお、各テーブルの移動位置(X軸位置、Y軸位置)は、図7に示す各軸の位置センサ(図7参照)で検出され、その結果に基づいてサーボモータはフィードバック制御されている。こうしたX−Y平面に沿った2次元的なテーブルの移動を起こす下段テーブル41と上段テーブル42は、それぞれのモーターやボールネジ等と相まって、本発明の移動機構を具現化している。
上段テーブル42は、この他、その上面に載置された遊技盤YGを固定するためのジグ(図示省略)や、遊技盤YGの載置完了を検出するセンサを備える。そして、上段テーブル42は、遊技盤YG載置のため、図2に示すように、釘打装置20前方にまで進出できるだけのテーブルストロークを有する。
次に、上記した釘打装置20における釘打の手順に沿った各機器の駆動の様子について説明する。図6は釘打手順の概略を模式的に説明するための説明図である。
まず、釘打装置20の前方(図1参照)で、遊技盤YGを上段テーブル42に載置する。この際、基準ピン50とタイヤピン51で遊技盤YGの位置決めを図る。また、マイクロスイッチ・近接スイッチ・タッチセンサ等のデバイスで構成される複数の遊技盤検出センサ55で、遊技盤YGの載置完了を検出する。遊技盤検出センサ55は、複数箇所に設置されているので、各センサからの出力により、正常載置、異常載置(遊技盤傾斜・載置無し)を検出でき、異常載置であれば、載置不良としてその旨をモニタ22に表示したり、ランプ点灯等を図る。
遊技盤YG載置後は、上段テーブル42の装置内引き込みと遊技盤テーブル40の原点復帰を行い、下穴形成或いは釘打に備える。原点復帰後は、圧電素子等を用いた接触センサで構成された盤面高センサ56のプローグを、遊技盤YG表面の多点箇所に押し当て、遊技盤YGの反りや遊技盤の浮きの有無、或いは、遊技盤表面に貼着された絵柄印刷済みのセル板のめくれの有無等を検出する。ここで、浮き、反りやめくれがあると、シリンダ等を利用した押圧機器からなる反り矯正機器で浮きを除去したり、そりを矯正する。この際、盤面高センサ56からの検出信号が解除されない場合などには、この検出信号の出力状況に基づいて図示しない遊技盤高さ以上表示灯を必要に応じて点灯し、高さ異常が検出された遊技盤の交換要求を作業者に対して発信するようにする。
その後、遊技盤テーブル40の2次元移動を行いつつポンチ機構36のポンチ34を遊技盤YGに押し当て、下穴を形成する。次いで、改めて遊技盤テーブル40の2次元移動を行いつつ、釘打機構28の釘把持ハンド30による釘把持・移動と、ハンマ装置32のハンマ33による釘の打ち込み動作を行い、釘打を行う。この釘打に際しては、ハンマの空打ちを防止するために、釘検出センサ57による釘検出が実行される。上記したセンサ出力は釘打装置20の制御装置(コンピュータ)に入力され、制御装置は、センサ出力に応じて上記動作を実行制御する。なお、本発明に関与する動作については後述する。
ポンチ機構36による下穴形成の態様は、種々のものとすることができる。例えば、釘打ちする総ての釘についてポンチ機構36で下穴形成する態様を採ることができるほか、釘打に精度を要求する釘や後述するように釘傾きを釘打の際に調整する釘といった特定の釘についてのみポンチ機構36で下穴形成する態様を採ることもできる。この特定の釘についての態様を採る場合には、その他の釘については、図示しない下穴形成専用のポンチ装置にて予め下穴を形成し、その後に、釘打装置20でポンチ機構36による下穴形成を行えばよい。
次に、釘打システム10の制御系について説明する。図7は釘打システム10の制御系を概略的に表したブロック図である。
図示するように、それぞれの釘打装置20は、サーバ12と相互にデータ送受信を行うコンピュータ(クライアントコンピュータ)120を有する。このコンピュータ120は、CPU・ROM・RAM等の論理演算素子を有し、釘打装置20におけるテーブル移動制御、釘打制御を行い、その機能上、テーブル制御系ユニット122と釘打制御系ユニット124に分けられる。なお、コンピュータ120を両ユニットがそれぞれCPU・ROM・RAM等の論理演算素子を有するいわゆるデュアルコンピュータとして構成することもできる。
テーブル制御系ユニット122は、モニタ22の他、バーコードリーダ126と、遊技盤検出センサ55と、盤面高センサ56と、X軸位置センサ128と、Y軸位置センサ130と接続されている。このテーブル制御系ユニット122は、モニタ22からの後述の補正指示を入力して釘打座標補正をする他、これらセンサからのセンサ信号を入力して、テーブル移動に関する機器を制御する。
テーブル制御系ユニット122は、制御器機としての矯正機器駆動装置132と、ランプ・ホーン等の異常報知機器134と、既述したX軸サーボモータ44と、Y軸サーボモータ47と、遊技盤固定ジグ135等と接続されている。そして、このテーブル制御系ユニット122は、盤面高センサ56のセンサ入力に基づいて矯正機器駆動装置132を駆動して、盤面の反りや浮きを矯正する。また、遊技盤検出センサ55からのセンサ入力に基づいて遊技盤YGの載置状態を判定し、その結果に基づいて異常報知機器134に載置異常の旨(例えば、遊技盤傾斜載置、作業開始から所定時間内での載置無し等)を報知させる。モニタ22での載置異常報知を併用することもできる。この場合、遊技盤検出センサ55から信号により遊技盤載置が完了したと判定すると、テーブル制御系ユニット122は、遊技盤固定ジグ135を駆動制御して、遊技盤YGを上段テーブル42に固定する。
テーブル制御系ユニット122(コンピュータ120)は、バーコードリーダ126のバーコード情報に基づいて釘打対象となる遊技機機種を判別し、判別した機種に応じた釘打プログラムや釘打座標データ等を読み込み、後述するように釘打のためのテーブル移動制御・補正制御等を行う。ここでいう釘打プログラムは、釘打対象となる釘についての釘打順序や、釘打に際しての各種機器の駆動手順、釘打座標の参照先等を定めたものをいい、機種ごとに相違する。また、ポンチによる下穴形成を伴う場合には、下穴形成順序や、ポンチ打ちに際しての各種機器の駆動手順、下穴座標の参照先等を定める。
このように機種判別を行うことから、それぞれの釘打装置20が同一仕様であっても、それぞれの釘打装置20で異なる機種の遊技機の遊技盤に釘打を行ったり、総ての釘打装置20で同一機種の釘打を行うようにすることもできる。よって、釘打を経た遊技機製造を異機種同時製造としたり同一機種同時製造とすることができ、製造の汎用化をもたらすことができる。また、それぞれの釘打装置20が異なる仕様であっても、バーコード情報に基づく機種別の釘打実行が可能であることから、異なる仕様の釘打装置20での異機種同時製造・同一機種同時製造ができ、製造の汎用化を図ることができる。
バーコード情報に基づいたプログラム・データの読み込みは、コンピュータ120において、そのROMに記憶済みプログラム読み込み・ROM若しくはRAMに記憶済みデータの読み込みとできるほか、サーバ12に記憶済みのプログラム・データをコンピュータ120にて読み込む(ロード)ようにすることもできる。本実施例では、後述するように、釘打座標・ポンチ座標(下穴座標)を高い自由度で補正する点に特徴を有するので、釘打プログラムについては、製造対象となっている機種の釘打プログラムをコンピュータ120に予め記憶させておき、釘打座標データ等のデータについては次のようにした。
つまり、これらデータについては、サーバ12に(詳しくは、サーバ12に接続された記憶装置14)に機種ごとに格納し、コンピュータ120で読み込んだバーコード情報(機種)に基づいてこれらデータを機種に対応付けてコンピュータ120にロードするようにした。ロードされたデータは、後述の補正が有れば補正後のものがコンピュータ120に記憶されると共に、補正後のデータはサーバ12の側でも記憶される。こうすることで、ある釘打装置20で製造中の機種について補正したデータ(補正後データ)を、サーバ12を介して別の釘打装置20でもロードして利用できるので、補正の手間を省くことができる。
この場合、新機種の遊技機についての釘打プログラムやデータの追加が必要となった場合には、この新たな釘打プログラム・データをサーバ12にのみ追加更新して記憶させる。そして、釘打装置20で当該新機種をバーコード情報で読み込めば、サーバ12のプログラム・データをコンピュータ120にロードするようにする。こうすれば、釘打装置20ごとの新機種プログラム・データの個別入力を省略でき、好ましい。また、コンピュータ120は、新機種ごとのプログラム・データを予め記憶する必要がないにも拘わらず、多様な新機種の遊技機製造の処理を実行できる。
この他、テーブル制御系ユニット122は、盤面高センサ56からのセンサ信号或いは別途設けた遊技盤高さ位置センサからのセンサ信号に基づいて遊技盤盤面の高さも演算する。この盤面高さは、釘打制御系ユニット124に送られ、釘打制御系ユニット124における下穴形成のためのポンチ機構36のポンチストローク調整、釘打機構28のハンマストローク調整に用いられる。つまり、盤面高さが例えば1mm規定高さより低ければ、その分だけ余分のポンチ・釘打のストロークが不足するとして、釘打制御系ユニット124は、ポンチ・釘打に際し、規定のポンチストローク・ハンマストロークより長いストロークに調整する。
釘打制御系ユニット124は、操作盤24の各スイッチと接続される他、釘供給装置26や、釘打機構28、ポンチ機構36および両機構の駆動機構38と接続されている。この釘打制御系ユニット124は、釘供給装置26による釘供給制御を行う際、釘供給装置26が有する釘不足検出センサ、釘供給センサ、釘曲がりセンサ等からのセンサ入力を受ける。釘不足検出センサは、釘供給装置26における釘不足を検出する。釘打制御系ユニット124は、この釘不足信号を入力すると、釘補給を促す旨の信号をテーブル制御系ユニット122に出力し、テーブル制御系ユニット122の異常報知機器134を介して釘不足を報知する。モニタ22での釘不足報知を併用することもできる。
釘供給センサは、釘供給装置26から釘把持ハンド30による釘の把持位置に到る供給経路での釘つまり等の供給異常を検出する。釘曲がりセンサは、釘把持ハンド30での釘把持不良(釘の把持姿勢の不良・把持位置での把持ミス等)の把持異常を検出する。釘打制御系ユニット124は、これらセンサから供給異常信号や把持異常信号を入力すると、これらの異常解除を促すべく、その旨の信号をテーブル制御系ユニット122に出力し、異常報知機器134を介して釘の供給異常を報知する。モニタ22での釘供給異常報知を併用することもできる。
更に、釘打制御系ユニット124は、釘打機構28による釘打制御を行う際、釘検出センサ57からのセンサ入力を受ける。この釘検出センサ57は、釘把持ハンド30による把持済み釘の把持位置から釘打位置までの釘移動の完了並びに釘打位置での釘把持姿勢を検出する。釘打制御系ユニット124は、この釘検出センサ57から釘移動・釘把持姿勢の異常信号を入力すると、異常解除を促すべく、その旨の信号をテーブル制御系ユニット122に出力し、異常報知機器134を介して釘移動・釘把持姿勢の異常を報知する。モニタ22での釘移動・釘把持姿勢の異常報知を併用することもできる。なお、これら異常が生じた場合、コンピュータ120は、それまでの制御動作を一旦停止し、異常復旧を待って再開するようにされている。
この他、釘打制御系ユニット124は、駆動機構38を構成するハンマ駆動機構136やポンチ駆動機構138と、釘把持ハンド30のハンド駆動機器140と接続されている。ハンマ駆動機構136は、釘打制御系ユニット124による駆動制御を受けてハンマ装置32のハンマ33を槌打ちする。ハンド駆動機器140は、釘打制御系ユニット124による駆動制御を受けて、図3に示すように、釘把持ハンド30の左右ハンドルの開閉を経た把持位置での釘把持動作と、この把持した釘を把持位置から釘打位置まで移動させる移動動作とを実行する。
次に、釘打システム10のここの釘打装置20が実行する釘打処理について説明する。図8は座標補正処理の内容を表すフローチャート、図9はモニタ22が表示する補正実行時の処理画面を表す説明図、図10は座標補正処理におけるパネル表示の様子を説明するための説明図、図11は座標補正処理における座標補正設定の様子を説明する説明図、図12は座標補正処理における釘確認のパネル表示の様子を説明するための説明図、図13は座標補正処理における座標補正設定時のパネル表示の様子を説明する説明図、図14はこの座標補正処理での下穴座標補正の結果を説明するための説明図、図15は座標補正処理での釘打座標補正の結果を説明するための説明図である。
図8に示す座標補正処理は、モニタ22が表示する図9の初期画面においてプログラム画面の表示領域はタッチスイッチとされ、当該スイッチが押圧操作されると実行される。つまり、テーブル制御系ユニット122(コンピュータ120)は、このタッチスイッチの押圧操作によるモニタ22のパネル電極電位変動をトリガとして受け取り、座標補正処理を実行する。つまり、このテーブル制御系ユニット122は、図8の座標補正処理と協働して、釘打座標の補正や下穴座標の補正の入力を受ける本発明の手段や、これら座標補正をサーバ12に送信する本発明の手段を具現化している。当該処理の説明に先立ち、図9の初期画面について簡単に説明する。
この初期画面は、釘打装置20において現在釘打中の機種の機種番号の他、そのプログラム名、盤面高センサ56で検出した遊技盤厚さ、現在釘打対象となっている釘のX軸座標、Y軸座標、その釘のプログラムステップ数等を数値若しくは文字表示する。また、初期画面には、他のタッチスイッチの表示領域として、設定画面、稼働画面、検出確認画面、異常確認画面が設けられている。設定画面の表示領域が操作されると、コンピュータ120は、その信号を受けてモニタ22に後述する図11の設定画面を表示する。検出確認画面や異常確認画面の表示領域が操作されると、コンピュータ120は、これら信号を受けて釘供給時の釘検出の状況や異常の状況とその内容やエラーコード等を、それぞれモニタ22に表示する。これら表示は本願と直接と関連しないので、詳細な説明は省略する。
図9のプログラム画面の押圧操作を受けてこの座標補正処理が実行されると、図8に示すように、コンピュータ120は、まず、表示領域操作に応じてモニタ22の表示制御を行う(ステップS100)。このステップでは、まず図10に示すプログラム画面を表示する。当該画面は、過去に実行したプログラム名を一覧表示する。プログラム名と機種は一対一の対応がとれている。この一覧表示の際、現在実行中のプログラム名をハイライト表示することもできる。この一覧表示では、プログラム名の表示領域がタッチスイッチとされ、コンピュータ120は、各プログラム名の表示領域の押圧を待機する。ここで、補正を所望するプログラム名が押圧操作されると、コンピュータ120は、押圧操作されたプログラムでの座標補正を行うとして、図11に示すオフセット設定画面をモニタ22に表示制御する。
このオフセット設定画面は、図9に示す初期画面における設定画面操作によっても表示される。つまり、初期画面での設定画面操作を経たオフセット設定画面表示は、初期画面で表示した現行のプログラム名での座標補正であるとして、図10の画面表示がスキップされる。
コンピュータ120は、こうした表示制御に続き、下穴座標の補正有無を図11の表示画面のスイッチ操作状況で判断する(ステップS110)。図11の表示画面では、下穴座標を補正指示するための「ポンチ X軸」、「ポンチ Y軸」と、釘打座標を補正指示するための「釘データ X軸」、「釘データ Y軸」のスイッチ表示の他、釘位置確認のための「釘位置確認」、図9のメイン画面表示に戻るための「メイン画面」、図10のプログラム画面表示に戻るための「プログラム画面」のスイッチ表示がなされている。
このスイッチ表示の「ポンチ X軸」と「ポンチ Y軸」のいずれかが操作されれば、コンピュータ120は、下穴座標補正を行うと判断し、続くステップS120に移行する。この両ポンチスイッチのいずれのスイッチ操作もなく図11の「釘データ X軸」と「釘データ Y軸」のいずれかが先に操作されれば、コンピュータ120は、下穴座標補正は不要であると判断し、次の釘打座標補正に備えるべく、後述のステップS160に移行する。この場合、図11の画面表示に当たり、下穴座標補正を先に行うよう、「ポンチ X軸」と「ポンチ Y軸」をハイライト表示し、下穴座標補正完了後に「釘データ X軸」と「釘データ Y軸」をハイライト表示してこれらデータ補正を促すようにすることもできる。
座標補正に移行するための上記スイッチについてX軸とY軸に分けたのは、X軸だけの補正、Y軸だけについての補正を所望する場合に備えてのものである。
「釘位置確認」のスイッチ表示は、座標補正処理を一時的に中断して釘位置を操作者に画面表示で視認させる。当該スイッチが操作されると、コンピュータ120は、モニタ22の画面表示を図11のオフセット設定画面から図12の釘位置表示に変更する。この釘位置表示では、遊技盤における各釘の位置を概略的に示し、その釘のステップ数についても表示する。この画面は、画面右サイドのスクロールバー等の操作によりスクロール表示され、遊技盤全面の釘位置を示すことができる。よって、オペレータは、下穴座標補正を所望する釘についてのステップ数とその位置を視認でき、ステップ数指示を通した釘特定の信頼性を高めることができる。こうして釘位置を視認したオペレータが図12の「戻る」スイッチ表示を操作すれば、コンピュータ120は、画面表示を元のオフセット設定画面(図11)に戻し、補正値入力に備える。
図12の画面表示では、総ての釘についての釘位置・ステップ数表示を行うことができる他、次のようにすることもできる。既述したように下穴座標補正は、ある限られた釘についてしか行わない場合がある。こうした場合には、その補正が許されている釘(例えばステップ数5〜7の釘)についてしか釘位置・ステップ数を表示しないようにできる。また、この限られた釘を他の釘と区別してハイライト表示するようにすることもできる。こうすれば、補正できない釘についてその下穴座標を補正してしまうようなオペレータの誤操作を有効に回避できる。
「ポンチ X軸」と「ポンチ Y軸」の操作を経たステップS120では、モニタ22の画面表示を図13に示す補正入力画面に変更し、コンピュータ120は、オペレータからの補正値入力を待機する。図13の画面表示では、補正対象となる釘を特定するためのステップ数と、その釘についてのXY軸の補正値の入力値を表示すると共に、数値入力のためのテンキー、釘ごとの座標データ一覧が表示される。この座標データは、ステップS100において図10で指定されたプログラム名のものであり、スクロール表示される。
オペレータは、座標データ一覧を見ながら補正対象とする釘を特定するためのステップ数とそのXY軸補正値をテンキーにて入力する。図13は、ステップ数「7」とX軸補正値「−0.01」とY軸補正値「−0.02」がオペレータにより入力された結果を示している。こうした入力の様子について詳述する。なお、こうした数値入力は、図示しないハンディタイプのキー入力装置から行うようにすることもできる。
ステップS110で「ポンチ X軸」と「ポンチ Y軸」のいずれかが操作された当初の図13の画面では、ステップ数・X軸補正値・Y軸補正値の欄は、いずれも初期値ゼロとなっている。この状態で、オペレータは、まず、ステップ数として7を入力する。今、図13の画面表示が「ポンチ X軸」の操作を経たものであれば、X軸についてのみの下穴座標補正であるとして、X軸の補正値の入力(−0.01)を受け付け、Y軸補正値については初期値ゼロのままとする。「ポンチ Y軸」の操作を経たものであれば、Y軸についてのみの下穴座標補正であるとして、Y軸の補正値の入力を受け付け、X軸補正値については初期値ゼロのままとする。こうすれば、X軸或いはY軸だけの補正入力とできる。
本実施例では、こうした一方の軸についての補正入力とXY2軸の補正入力を適宜使い分けることができるようにした。つまり、「ポンチ X軸」の操作を経た場合で説明すると、X軸の補正値の入力(−0.01)後に、Y軸補正値の表示領域が押圧操作されれば、Y軸補正値の入力を受け付けるようにし、この押圧操作がなければY軸補正値を初期値ゼロとする。こうすれば、図11の「ポンチ X軸」と「ポンチ Y軸」のいずれが操作されても、XY両軸についての補正入力と、操作対象となった軸だけについての補正入力を使い分けることができる。
コンピュータ120は、このようにして入力された数値(補正値)を図13に示すように表示し(ステップS120)、この補正値を反映させた補正後の下穴座標の更新記憶を行う(ステップS130)。この更新記憶は、図13に示す「更新」スイッチの操作を経て実行され、RAMの所定アドレスに記憶済みの下穴座標値が補正後の下穴座標に更新される。その後、下穴座標補正が終了したか否かを図13の「完了」スイッチの操作に応じて判断する(ステップS140)。つまり、コンピュータ120は、この「完了」スイッチ操作があるまでの間に亘ってなされた補正後の下穴座標を総て更新記憶する。
この様子をオペレータの操作と関連付けて説明する。今、図13に示すようにステップ数7の釘についてその下穴座標の補正値入力がなされて「更新」スイッチが操作されたとする。コンピュータ120は、この更新スイッチ操作を受けて、ステップ数7について補正後の下穴座標を更新記憶する。この際、オペレータが引き続いて図13の「完了」スイッチを操作すれば、下穴座標の更新記憶は、このステップ数7についてのものだけとなる。一方、コンピュータ120は、「更新」スイッチ操作に伴い、新たなステップ数の釘についての下穴座標補正を可能とすべく、ステップ数・X軸補正値・Y軸補正値の欄をクリアして初期値ゼロとする。この状態で、オペレータは次の補正対象のステップ数・X軸補正値・Y軸補正値の数値入力と、「更新」スイッチ操作を行い、このステップ数のものについても下穴座標を更新記憶する。こうした操作がオペレータにより繰り返され「完了」スイッチが操作されれば、その間になされた補正後の下穴座標が総て更新記憶される。
図14はこの様子を示している。コンピュータ120は、ステップ数に対応するアドレスの記憶領域をRAMに振り分けており、各アドレスに現行設定座標データ(下穴座標データ)を記憶している。このデータと、入力補正値のテーブルとを参照し、記憶済みの現行設定座標データを補正後座標データ(補正後下穴座標データ)に更新して、これを記憶する。図14は、ステップ数5〜7について補正後下穴座標データが更新記憶された状況を示している。この図において、入力補正値テーブルでnullとされているのは、これらのステップ数の釘については下穴座標の補正が必要とされないから、当初から数値が入らないためである。なお、nullに替えて、数値ゼロを設定しておくこともできる。
こうして図13の「完了」スイッチの操作により下穴座標補正が終了したと判断すれば(ステップS140)、コンピュータ120は、更新記憶した補正後の下穴座標データをサーバ12に一括して転送する(ステップS150)。サーバ12は、この転送を受けた下穴座標データを記憶装置14に更新して書き込み、次回以降の釘打時にこれをコンピュータ120にロードして釘打装置20での釘打(下穴形成)に利用する。つまり、サーバ12は、本発明におけるサーバがなす釘打座標や下穴座標の更新をコンピュータ120からのデータ送信を経て行う。
上記した下穴座標補正が釘打装置20にて現在釘打実行中のプログラム名のものである場合は、次のようになる。
補正後座標データはコンピュータ120においても更新記憶されるので、補正された下穴座標の釘についてその下穴形成が未了であれば、下穴形成は補正後の下穴座標で行われる。その釘についての下穴形成が完了していれば、次のプログラム実行の際に補正後の下穴座標が下穴形成に用いられる。つまり、下穴座標補正を実行中のプログラムに拘わらずいつでも実行できるので、補正実行の自由度が高まる。
ステップS150のデータ転送に続いては、コンピュータ120は、モニタ表示を図11のオフセット設定画面に戻し、釘打座標の補正有無を図11のスイッチ操作状況で判断する(ステップS160)。この際、下穴座標補正は既に済んでいることから、「釘データ X軸」と「釘データ Y軸」をハイライト表示すれば、オペレータは次の操作を視認でき作業性が高まる。
このスイッチ表示の「釘データ X軸」と「釘データ Y軸」のいずれかが操作されれば、コンピュータ120は、釘打座標補正を行うと判断し、続くステップS170に移行する。これらスイッチについてX軸とY軸に分けたのは、下穴座標と同様、X軸だけの補正、Y軸だけについての補正を所望する場合に備えてのものである。
なお、この釘打座標補正の場合にあっても、「釘位置確認」スイッチ操作により、図12の釘位置表示を行う。こうすれば、オペレータに釘打座標補正を所望する釘についてのステップ数とその位置を視認させることができる。
「釘データ X軸」と「釘データ Y軸」の操作を経たステップS170では、既述したステップS120と同様、図13に示す補正入力画面を表示し、コンピュータ120は、オペレータからの補正値入力を待機する。この釘打座標補正でのステップ数入力と各軸の補正値入力は、既述した下穴座標補正の場合と全く同様であり、オペレータは、座標データ一覧を見ながら補正対象とする釘を特定するためのステップ数とそのXY軸補正値をテンキーにて入力する。
釘打座標補正では、その補正対象とする釘についての制約はないので、オペレータは、補正を所望する釘ここについて、ステップ数入力、X軸釘打座標補正値入力、Y軸釘打座標補正値入力を繰り返す。なお、この釘打座標補正にあっても、X軸或いはY軸だけの補正入力とできる。
そして、コンピュータ120は、このようにして入力された数値(補正値)を反映させた補正後の釘座標の更新記憶を、下穴座標補正と同様に「更新」ボタン操作ごとに行い(ステップS180)、これを、図13の「完了」スイッチの操作があるまで継続する(ステップS190)。
釘打座標補正では、補正対象に制約がないことから、図14に示す各アドレスの現行設定座標データ(釘打座標データ)を補正するための入力補正値テーブルは、下穴座標補正の場合と異なり次のようになる。つまり、釘打座標補正の場合の入力補正値テーブルは、図15に示すように、補正入力された釘のアドレスについては入力補正値を有し、補正されなかった釘のアドレスについては総て数値ゼロを有する。
次に、ステップS190で、図13の「完了」スイッチの操作により下穴座標補正が終了したと判断すれば、コンピュータ120は、更新記憶した補正後の釘打座標データをサーバ12に一括して転送する(ステップS200)。サーバ12は、この転送を受けた釘打座標データを記憶装置14に更新して書き込み、次回以降の釘打時にこれをコンピュータ120にロードして釘打装置20での釘打(釘打座標)に利用する。なお、ステップS150でのデータ転送は、ステップS200におけるデータ転送と同時に実行するようにすることもできる。
ところで、下穴座標補正と釘打座標補正とは、補正対象の釘が必ずしも一致するものではなく、補正入力値も同一とは限らない。よって、コンピュータ120およびデータ転送を受けたサーバ12は、一つのプログラムについて補正後の下穴座標データ(図14)と補正後の釘打座標データ(図15)とを異なる記憶領域に記憶(更新記憶)することになる。こうして更新された座標データは、新たな座標補正処理が必要となった場合の補正対象データ(現行設定座標データ)となる。
上記した釘打座標補正が釘打装置20にて現在釘打実行中のプログラム名のものである場合も、下穴座標補正の場合と同様であり、釘打座標補正の実行自由度が高まる。
ステップ200のデータ転送に続いては、コンピュータ120は、モニタ表示を図9のメイン画面に復帰させ(ステップS210)、本ルーチンを終了する。
次に、上記のように補正した座標データを用いた釘打制御を含む遊技機製造工程について説明する。図16は釘打制御を説明するためのフローチャートである。本実施例の遊技機製造工程では、図16の釘打制御に先だって、遊技盤YGの切り出し工程が実行される。
図16に示す釘打制御は、操作盤24のスタートスイッチ操作がなされると実行される。コンピュータ120は、まず、遊技盤検出センサ55(図5参照)からのセンサ信号に基づき、遊技盤載置が完了しているか否かを判定し(ステップS300)、肯定判定するまで待機する。ここで否定判定すれば、コンピュータ120は、載置異常としてモニタ22にその旨を表示する。
正常に遊技盤が載置されていれば、釘打前処理を行う(ステップS310)。この釘打前処理は、遊技盤固定用のジグを駆動して遊技盤を固定する処理と、装置前方に押し出されている遊技盤テーブル40(詳しくは上段テーブル42)を装置内に引き込む処理と、その後の遊技盤テーブル40を2次元移動して原点復帰させる処理と、盤面高センサ56(図5参照)を用いた遊技盤高さ検出の処理と、遊技盤高さに基づくハンマ・ポンチストローク調整の処理と、遊技盤のバーコード情報の読み込みと、読み込んだバーコード情報に基づく遊技機機種判別と、判別した機種に用いる釘打プログラムや座標データの選択とを含む。
釘打前処理に続いては、ポンチ打ちによる下穴形成の要否を判定する(ステップS320)。このポンチ打ち要否は、操作盤24が有する図示しないポンチ飛ばしスイッチの状況で判定される。ここでポンチ打ちが必要ないと判定すれば、後述のステップS350に移行し、釘打を行う。
ポンチ打ちを要すると肯定判定した場合は、選択した釘打プログラムと下穴座標データ(図14)に基づいた遊技盤テーブル40の2軸移動制御とポンチ機構36によるポンチ動作(ポンチ打ち付け)とを並行して実施する(ステップS330)。つまり、コンピュータ120は、下穴座標データを参照しつつ釘打プログラムで定まるポンチ打ち順序に従って順次ポンチ打ちを行い、テーパ状の下穴を形成する。この処理は、続くステップS340でポンチ打ちが完了したと判定するまで継続される。ポンチ打ち完了は、ポンチ打ちの都度にカウンタをインクリメントし、そのカウンタ値がステップ数と一致することで判定される。
ポンチ打ちが完了すれば、選択した釘打プログラムと釘打座標データ(図15)に基づいた遊技盤テーブル40の2軸移動制御と釘供給装置26による釘供給と釘打機構28による釘打動作とを並行して実施する(ステップS350)。つまり、コンピュータ120は、釘打座標データを参照しつつ釘打プログラムで定まる釘打ち順序に従って順次釘打ちを行う。この処理は、続くステップS360で釘が完了したと判定するまで継続される。この釘打完了にあっても、その判定にはカウンタを用いればよい。
なお、コンピュータ120は、既述した釘供給異常や釘把持異常、釘不足等の状況を監視し、正常な釘供給・その把持等ができている状態で、釘打を実行する。
釘打が完了すれば、装置内の遊技盤テーブル40(詳しくは上段テーブル42)を装置前面に送り出した後に、遊技盤固定用のジグの固定を解放して遊技盤を取り外し可能とする釘打後処理を行い(ステップS370)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように本実施例の釘打システム10によれば、釘打に際して、図8に示す下穴座標補正と釘打座標補正とを行って図14や図15に示す座標データを更新し、その補正後の座標で下穴形成と釘打を行う。従って、下穴座標補正をした釘については補正後の下穴座標位置に下穴を形成できると共に、釘打座標補正をした釘については補正後の釘打座標位置に打ち付けることができる。こうした補正はオペレータにより多種多様に設定できることから、遊技盤への下穴形成と釘打の汎用性を高めることができる。しかも、座標データの補正で済むことから、座標データ全体の交換は不要であるばかりか、釘配列変更への対応が簡便である。
また、座標補正に際してその補正値を入力するようにしたので、補正入力が簡便である。更に、釘打込みの下穴となるテーパ状下穴の形成位置についても補正するようにしたので、釘打精度を向上することもできる。
更に、本実施例では、それぞれの釘打装置20で座標補正を行い、その結果である下穴・釘打の両座標データをサーバ12で一括管理(更新記憶)すると共に、当該データをそれぞれの釘打装置20にロードするようにした。従って、釘打装置増設や装置更新等を行っても、補正後の座標データを増設装置・更新装置で利用でき、装置増設・更新に容易に対処できる。
また、本実施例では、釘打付けに際し、図14、図15に示すように下穴座標と釘打座標を一致させた釘(ステップ1〜3)と両座標が異なる釘(ステップ4等)とを設けた。よって、次のような利点がある。
両座標が一致した釘では、釘は下穴中心に打ち込まれるので、釘の曲がり等の打ち込み不良を起こしにくい。よって、釘の打ち込み位置精度を高めることができる。この場合の釘打ち込み姿勢は、釘把持ハンド30での把持姿勢で定まり、所定姿勢(例えば遊技盤上端側に僅かに傾斜した姿勢)となる。
ところが、下穴座標と釘打座標が異なる場合は、次のようになる。図17は下穴座標と釘打座標が異なる場合の釘打の様子を模式的に説明するための説明図、図18は下穴座標と釘打座標が異なる場合の釘打の結果を説明する説明である。
図示するように、この場合は、釘先端はテーパ状下穴のテーパ面に当たって打ち付けられるので、釘は釘打の際にテーパ面で釘先端の滑りを起こす。よって、釘は、その釘先端をテーパ面の当たり位置からテーパ面に沿った方向に向かわせて打ち込まれる。本実施例では、テーパ状下穴は円錐形状であることから、釘はテーパ状下穴の中心、即ち下穴座標(xs,ys)に向かって打ち込まれる。このように釘先端がテーパ面に当たる現象は、下穴座標(xs,ys)と釘打座標(xk,yk)の変位で起き、釘のテーパ面との当たり位置は、下穴中心である下穴座標(xs,ys)周りの全方位を採ることができる。このため、座標変位を釘の傾き方向に応じたものとすることで、釘を所定姿勢からその傾き方向に傾けて打ち込むことができる。
具体的に説明すると、図18に示すように、a〜hの釘のうち、釘aを−Y軸方向に傾けるには、下穴座標(xs,ys)と釘打座標(xk,yk)のx座標値を同じにしてy座標値を異なるものとし、釘打座標のy座標値ykを下穴座標のy座標値ysより小さくする。釘bを−X軸方向に傾けるには、両座標のy座標値を同じにして、釘打座標のx座標値xkを下穴座標のx座標値xsより小さくする。釘gを+X軸方向に傾けるには、両座標のy座標値を同じにして、釘打座標のx座標値xkを下穴座標のx座標値xsより大きくする。釘hを+Y軸方向に傾けるには、両座標のx座標値を同じにして、釘打座標のy座標値ykを下穴座標のy座標値ysより小さくする。この他、例えば下穴座標中心から見て2時の方向とか7時の方向等に釘を傾けるには、その傾き方向に応じてxy両座標値を異なるようにすればよい。従って、本実施例の釘打システム10によれば、所定姿勢からの種々の方向に傾けて釘打ちでき、汎用性が高まる。
次に他の実施例について説明する。この実施例は座標を一括補正する点に特徴がある。図19は他の実施例における座標一括補正処理を示すフローチャート、図20はこの座標補正処理によって行われる釘打の結果を説明する説明図である。
図19に示す座標一括補正処理は、モニタ22に表示した「一括補正」表示スイッチ或いは操作盤24に設けた一括補正スイッチが操作されると、実行される。このスイッチ操作を経ると、コンピュータ120は、まず、図9の初期画面を表示し、先の実施例と同様に、表示領域操作に応じたモニタ22の表示制御を行い、図10のプログラム画面を表示する(ステップS400)。その後、コンピュータ120は、補正対象となるプログラム名の指示(押圧操作)を待ち、当該操作を経て図13の補正入力画面をモニタ22に表示制御する(ステップS410)。この実施例では、座標を一括補正するので、下穴座標補正と釘打座標補正とを区別する特段の必要がない。このため、プログラム名指示の後に、補正値入力に備える。
コンピュータ120は、図13の補正入力画面でオペレータからの補正値入力を待機する。オペレータは、一括補正の対象となる釘をそのステップ数にて指定すると共に、そのXY軸補正値をテンキーにて入力する。この場合の補正値入力の様子は、既述した通りである。また、一方の軸についての補正入力とXY2軸の補正入力を適宜使い分ける点についても、先の実施例と同様である。
補正対象の釘の指定は、次のようにする。例えば、羽根車への球案内を行う一群の釘を、一括補正の対象とすると、オペレータは、図13の座標データ一覧を参照しつつ、ステップ数範囲を選択する。
コンピュータ120は、このようにして入力された数値(補正値)を図13に示すように表示し(ステップS410)、この補正値を補正対象とされた釘の下穴座標と釘打座標に共に反映させることで、補正対象の釘についての両座標を一括補正して、その結果を更新記憶する(ステップS420)。この一括補正並びに更新記憶は、図13に示す「更新」スイッチの操作を経て実行され、RAMの所定アドレスに記憶済みの総ての下穴座標値・釘打座標値が共に補正後の座標に一括更新される。この場合は、座標更新で補正は終了するので、図13の「完了」スイッチの操作は不要である。
こうした一括補正に際し、総ての釘について座標補正するようにすることもできる。この場合は、図13の画面表示では、ステップ数や座標データ一覧の表示は不要である。
ステップS420に続き、コンピュータ120は、更新記憶した補正後の下穴座標・釘打座標の両データをサーバ12に一括して転送して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。サーバ12は、この転送を受けた下穴座標下穴座標・釘打座標の両データを記憶装置14に更新して書き込み、次回以降の釘打時にこれをコンピュータ120にロードして釘打装置20での釘打に利用する。
なお、下穴座標と釘打座標を異なる補正値でそれぞれ一括補正するようにすることもできる。この場合には、ステップS410において、図11のオフセット設定画面表示を行って、「ポンチ X軸」と「ポンチ Y軸」の操作を待って、図13の補正入力画面に切り換える。そして、下穴座標についての補正値入力を待機し、下穴座標を一括補正して更新する。その後、「釘データ X軸」と「釘データ Y軸」の操作・釘打座標についての補正値入力を経て、釘打座標を一括補正して更新し、下穴座標・釘打座標の両座標データをサーバ12に一括転送すればよい。
こうした処理を行う本実施例によれば、図20に示すように、補正対象とした釘の釘位置を総て変更できるので、釘打の汎用性をより高めることができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、座標補正に際してその補正値を入力するようにしたが(図13〜図15)、座標そのものを補正するようにすることもできる。
また、実施例では、サーバ12と複数台の釘打装置20を有する釘打システム10としたが、釘打装置20単独で、釘打座標補正とその補正値更新記憶を図るようにすることもできる。この場合は、コンピュータ120が行う図8の座標補正処理を、ステップS150、200のデータ転送処理のないものとすればよい。
また、下穴座標については、図14に示すように、補正対象としない釘を設けるよう規制にしたが、こうした規制を受けず、総ての釘についてその下穴座標を補正できるようにすることもできる。
また、釘打に先だってポンチによる下穴形成を行う場合について説明したが、下穴形成を行わず遊技盤に直接釘打ちする装置に適用することもできる。
また、コンピュータ120からサーバ12への座標データ転送を一括転送するようにしたが、座標データの補正の都度に、補正後座標データを転送するようにすることもできる。