JP4936379B2 - 乳癌の肺及びまたは肝臓転移解析用動物モデル - Google Patents

乳癌の肺及びまたは肝臓転移解析用動物モデル Download PDF

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Description

本発明は、乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデル、該モデル作成用の高転移性マウス乳癌細胞、並びに該細胞からなる肺及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング用細胞材料及び同スクリーニング法に関する。
近年日本人女性に増えて来た乳癌は高率で骨髄、肺、肝臓等に転移を起こし、これらは患者に著しい苦痛を与え、患者の生活の質(QOL)を低下させ大きな社会問題となっているが、それにも関わらず、乳癌の転移のメカニズムの解明が進まないのは、これら組織への転移の動物モデルが存在しない事にその一因がある。また、このような転移の動物モデルは、新規な乳癌骨髄転移抑制薬のスクリーニング開発にとっても不可欠である。
これまでに存在する乳癌の転移モデルとしては、ヒトの乳癌(MDA-231)をヌードマウスに移植するモデルが広く使われて来た (非特許文献1参照)。
しかし、ヌードマウスでは免疫機構が低いため、最近注目されている癌細胞と宿主の免疫担当細胞の相互作用(非特許文献2参照)を解析する事ができないため、同系宿主のモデルの方が望ましい。また、このモデルは広く使われているが、左心室投与には熟練を要するという問題がある。一方、マウスモデルでよく用いられる4T1乳癌細胞は、ヒト乳癌によく類似した性質を有する事が知られている(非特許文献3参照)が、マウスの他の組織への転移能は必ずしも高くない(非特許文献3参照)。
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そこで、本発明の課題は、ヒト乳癌に類似した性質を有するとともに、肺、肝臓等の他の組織に対し高い転移能を有するマウスの乳癌細胞を用いて、新規な、乳癌の肺及び/または肝臓転移モデルを作成するとともに、該細胞を用いて乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング手段を新たに提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、マウス乳癌細胞4T1を高転移性に改良することを着想し、薬剤耐性遺伝子を導入したマウス乳癌細胞4T1をマウスに静注した後、骨髄細胞を採取し、該細胞から薬剤耐性株を取り出して該薬剤耐性株をマウスに投与する手段を繰り返し、ついにマウス乳癌細胞由来であって骨髄高転移性の細胞を得ることに成功した。そして、さらに種々の実験を繰り返した結果、意外にも、該細胞が骨髄転移能以外に、肺あるいは肝臓に対して高い転移能を有するという知見を得た。そして該細胞を投与した動物モデルは、乳癌の肺または肝臓の解析用モデルとして有用であり、また、該細胞は乳癌の肺および/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング手段として極めて有用であると確信し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)マウス乳癌細胞4T1由来の細胞であって、肺及び/または肝臓転移能がマウス乳癌細胞4T1に比較し亢進されたマウス乳癌細胞をマウスに投与して得られた、乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデル。
(2)以下のa)からd)のプロセスから得られた高転移性マウス乳癌細胞をマウスに投与して得られた、乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデル。
a)薬剤耐性遺伝子が導入されたマウス乳癌細胞4T1を、マウスに投与し、少なくとも10日経過後、マウス骨髄から細胞を採取するプロセス、
b)得られた細胞を、上記薬剤耐性遺伝子による耐性付与の対象薬剤を含有する培地で培養し、薬剤耐性細胞を採取するプロセス、
c)得られた薬剤耐性細胞をマウスに投与するプロセス、
d)得られた薬剤耐性細胞を用いて上記a)のマウスへの投与、細胞の採取及びb)の薬剤耐性細胞の採取の各プロセスを順次複数回繰り返し、高転移性マウス乳癌細胞を得るプロセス
(3)マウス乳癌細胞4TI由来の細胞であって、肺及び肝臓転移能がマウス乳癌細胞4T1に比較し亢進された高転移性マウス乳癌細胞からなることを特徴とする、乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデル作成用細胞材料
(4)以下のa)からd)のプロセスから得られた高転移性マウス乳癌細胞からなることを特徴とする乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデル作成用細胞材料
a)薬剤耐性遺伝子が導入されたマウス乳癌細胞4T1を、マウスに投与し、少なくとも10日経過後、マウス骨髄から細胞を採取するプロセス、
b)得られた細胞を、上記薬剤耐性遺伝子による耐性付与の対象薬剤を含有する培地で培養し、薬剤耐性細胞を採取するプロセス、
c)得られた薬剤耐性細胞をマウスに投与するプロセス、
d)得られた薬剤耐性細胞を用いて上記a)のマウスへの投与、細胞の採取及びb)の薬剤耐性細胞の採取の各プロセスを順次複数回繰り返し、高転移性マウス乳癌細胞を得るプロセス
(5)上記(3)または(4)に記載の高転移性マウス乳癌細胞からなることを特徴とする、乳癌の肺お及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング用細胞材料。
(6)マウスに、上記(3)または(4)に記載の高転移性マウス乳癌細胞、及び乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬の候補物質を投与し、乳癌の肺及び/または肝臓転移抑の有無、程度を指標として、上記候補物質をスクリーニングすることを特徴とする、乳癌の肺及び/または肝臓転移移抑制薬のスクリーニング方法。
本発明の転移性マウス乳癌細胞は、その親株であるマウス乳癌細胞4T1に比べて極めて肺、肝臓に対する転移性が高く、また、上記親株が保有するヒト乳癌に類似する性質をそのまま保有しているため、本発明の高転移性マウス乳癌細胞を投与したマウスは、ヒト乳癌細胞を投与した従来のマウスと比べ、ヒト乳癌細胞にたいするマウス免疫系の関与がないことと相俟って、極めて優れた乳癌の肺及び/または肝臓転移の動物モデルとなり、乳癌の及び/または肝臓転移の解析にとって有力な手段となる。
すなわち、本発明の高転移性マウス乳癌細胞を投与したマウスは、該細胞投与から死亡するまでの間、その生体産生タンパク質の変化を解析したり、あるいは各段階のマウスから高転移性マウス乳癌細胞を採取し、その親株あるいは投与前の高転移性マウス乳癌細胞との遺伝子の発現状態等の比較を通じて、肺あるいは肝臓組織への転移メカニズム、その原因等の解明にとっても有効な手段となりうる。
一方、本発明の高転移性マウス乳癌細胞は、マウスに対して静注あるいは皮下投与のみで肺及び/または肝臓組織に転移癌を形成させることが可能であり、特に肺に対する転移能は極めて高く、本発明の高転移性マウス乳癌細胞を使用することにより、容易かつ短期間に乳癌の肺及び/または肝臓転移状態を作りだすことが可能であるので、該高転移性マウス乳癌細胞と乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬の候補物質とをマウスに投与して、高転移性マウス乳癌細胞の肺、肝臓への転移状況をみることにより、乳癌の肺及び/または肝臓への転移抑制薬のスクリーニングを効率的に行うことが可能となる。
本発明において使用する高転移性マウス乳癌細胞(以下、単に4T1E/M3細胞あるいはFM3という場合がある。)は、マウス乳癌細胞4T1(以下、単に4T1細胞という場合がある。)由来の細胞であって、親株である4T1細胞(ATCC:CRL-2539)はATCC(American Type Culture Collection)から入手可能である。
4T1細胞は、ヒト乳癌細胞に転移能,増殖能,免疫学的特徴等の点で類似し、このような性質は本発明の高転移性マウス乳癌細胞も保有しているが、本発明の高転移性乳癌細胞は、肺、肝臓組織への転移能が高い点で特徴的である。本発明の高転移性マウス乳癌細胞の肺に対する転移能は、静注及び皮下移植の場合、親株であるマウス乳癌細胞4T1に比べ、1.5倍以上である。一方、本発明の高転移性マウス乳癌細胞の肝臓に対する転移能は、特にマウスに皮下投与した場合に顕著であり、この場合の転移能は、親株であるマウス乳癌細胞4T1に比べ、2倍以上である。
なお、この静注した場合の転移能倍率は、薬剤耐性遺伝子を導入した、高転移性マウス乳癌細胞とその親株である4T1細胞(各5×105個/マウス)をそれぞれマウス尾静脈に投与し、10日後に投与マウスを犠牲死させて、マウスの肺、肝臓組織を採取して、マウスの肺、肝臓組織における各被験細胞由来の薬剤耐性遺伝子の発現量(RNA量)に基づき算出されたものであり、親株である4T1細胞を試験した場合における肺、肝臓組織中の4T1細胞の同遺伝子発現量に対する、4T1E/M3細胞を試験した場合における肺、肝臓組織中の4T1E/M3細胞の遺伝子発現量の倍率である。
なお、この場合の転移能の倍率は、高転移性マウス乳癌細胞とその親株である4T1細胞(各2 X10/マウス)をそれぞれマウスに皮下投与(各2 X10/マウス)し、30日後に肺、肝臓組織を採取し、以下、上記と同様にして算出された倍率である。
本発明で使用する高転移性乳癌細胞は以下a)〜b)の方法で得られる。
a)まず、マウス乳癌細胞4T1に薬剤耐性遺伝子を導入し、得られた薬剤耐性遺伝子導入細胞をマウスに投与し、一定時間経過後、マウスを殺して骨髄を採取し、骸骨髄から細胞を採取する。このプロセスにおいて使用する薬剤耐性遺伝子としては、ネオマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ)、ゼオシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子が挙げられるが、これら耐性遺伝子の種類につては特に制限がなく、市販されているこれら遺伝子を担持したプラスミド等を適宜用いることができ、また耐性遺伝子導入手法も、常法に従えばよく、例えば、市販品に添付されるプロトコルに従えばよい。また、上記薬剤耐性遺伝子導入細胞をマウス投与後の経過時間は、該細胞がマウス骨髄に転移させるための時間で、特に制限はないが、少なくとも10日以上、好ましくは10〜12日である。
b)次いで、上記骨髄ら採取された細胞を、上記薬剤耐性遺伝子による耐性付与の対象となる薬剤を含有する培地で培養し、該培地で生残する薬剤耐性株を採取する。薬剤耐性遺伝子としてネオマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ)を使用した場合には、例えばG418が挙げられ、ゼオシン(Zeocin)耐性遺伝子、ブラストサイジン(Blasticidin) 耐性遺伝子を使用した場合にはゼオシン(Zeocin)、ブラストサイジン(Blasticidin)等が挙げられる。
c)上記b)プロセスで得られた薬剤耐性細胞はマウスに投与され、再び、骨髄から細胞を採取し、該細胞中の上記薬剤含有培地で培養し、生残した細胞を採取する。以後、この採集された細胞を用いて上記a)マウス投与、細胞採取及びb)の薬剤による細胞選択操作を複数回、例えば3回以上繰り返して、4T1細胞が変異した高転移性マウス乳癌細胞を得る。
このようにして得られた高転移性マウス乳癌細胞は、マウスに投与することにより、乳癌が肺あるいは肝臓に転移するあるいは転移した状態のマウスが作成できる。このマウスは、ヒト乳癌細胞をマウスに接種した場合とは異なり、ヒト乳癌細胞に対するマウス免疫系の関与がないため、より自然に近い状態の乳癌の肺及び/または肝臓転移を解析するための動物モデルとして有用である。
高転移性マウス乳癌細胞をマウスに投与形態は、静注あるいは皮下移植が好ましい。静注の場合には、例えばマウス尾静脈、皮下移植の場合は、例えば背部または腹部皮下移植である。
高転移性マウス乳癌細胞5×10個/マウスをマウス尾静脈投与の場合には、通常5〜10日で肺あるいは肝臓に転移し、高転移性マウス乳癌細胞2×10個/マウスをマウスの背部に移植する場合する場合、通常15〜20日で肺あるいは肝臓に転移するが、本発明はこれらの転移までの期間、あるいは投与する細胞数等には制限がなく、マウスが癌により自然死するまでの間、様々な状態の動物モデルを使用して、肺あるいは肝臓転移を解析することができる。
例えば、転移直前と直後の、マウスにおける各種生理活性物質、免疫系物質の産生状況、または肺あるいは肝細胞における各種遺伝子の発現状況を解析したり、あるいは投与してから死亡する間の様々な状態のマウスから高転移性マウス乳癌細胞を採取して、その親株である4T1細胞あるいは投与前の高転移性マウス乳癌細胞とにおける各種遺伝子の発現状況等を比較解析し、乳癌の肺あるいは肝臓転移のメカニズム、その原因を解析することが可能となる。また、投与する細胞数を様々に変化させて、同様な解析を行うことも可能である。
さらに、上記高転移性マウス乳癌細胞を投与したマウスに、様々な生理活性物質あるいはその阻害物質を投与して、転移の状況変化あるいはマウスにおける各種遺伝子の発現状態の変化、あるいは採取された高転移性マウス乳癌細胞における遺伝子発現状態況の変化を観測して、これら生理活性物質が与える影響をとおして、乳癌の肺あるいは肝臓転移のメカニズムあるいはその抑制手法を探ることも可能となる。
一方、より直接的には、本発明の高転移性マウス乳癌細胞は、乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング手段として有用である。これには、本発明の高転移性マウス乳癌細胞と乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬の候補物質とマウスに投与し、一定時間経過後マウスを殺し、肺または肝臓転移の状況を観察し、転移の有無、程度から、使用した候補物質の転移抑制効果を判別することにより、使用した候補物質の中から乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬をスクリーニングすることができる。また、以下に示す実施例3(5)および(6)に示される、本発明の高転移性マウス乳癌細胞は足場非依存的増殖能や傷修復能を利用して、in vitroにおいて、肺及び/または肝臓髄転移抑制薬の候補化合物がこれら能力を抑制するかどうかを指標にスクリーニングすることも可能であり、このような手法は、乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニングの予備実験系として簡便で効率的手法となる。
さらに、このようなスクリーニングあるいは、上記高転移性マウス乳癌細胞を使用する肺または肝臓転移メカニズムの解析に際しては、高転移性マウス乳癌細胞の作製において、薬剤耐性遺伝子の導入に加えて、ルシフェラーゼ遺伝子等の発光遺伝子を導入すれば、転移の状態は、発光強度を測定することにより把握できより効率的である。

以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
高転移性マウス乳癌細胞の作製
マウス乳癌細胞4T1(ATCC:CRL-2539)をATCC(American Type Culture Collection)から入手し、この細胞に,BD Biosciences Clontech社製のネオマイシン耐性遺伝子を含むpEGFP-F ベクターを,QIAGEN 社製のトランスフェクション試薬Effectenを使用して導入した。
4T1E/M3細胞の転移能の測定
(1)BALB/cマウスをそれぞれ5匹づつ2群に分け、一方の群に4T1E/M3細胞をそれぞれ静脈内投与(5 X10/マウス)し、他方の群に4T1E/M3細胞をそれぞれ静脈内投与(5 X10/マウス)し、投与後の時間経過に対する生残率を調べた。
結果を図1に示す。図1によれば、親株4T1を投与した場合に比べて明らかに生存率が低下し、悪性度が更新していることが明らかである。
(2)上記(1)と同様にして、4T1E 細胞と4T1E/M3細胞をそれぞれBALB/cマウスの各群に静脈内投与(5 X106/マウス)し、10日後に肺、肝臓、骨髄(大腿骨、脛骨)からそれぞれRNAを抽出し、各1μgのtotalRNAを用いて逆転写(Reverse Transcription)反応を行わせcDNAを得た。ついで、これを用い、ネオマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ)をプライマーとしてリアルタイムPCRを行なって、外から投与した癌細胞がどの程度、上記組織に存在するかを調べた。定量的RT-PCRを行なって、外から投与した4T1E/M3細胞がどの程度これら組織に存在するかを調べた。結果を図2に示す。これによれば4T1E/M3細胞は、特に肺に対する転移能が高いことが明らかとなった。
(3)上記(1)と同様にして、BALB/cマウスを2群に分け、4T1細胞と4T1E/M3細胞をそれぞれに皮下投与(2 X10/マウス)し、投与後の時間経過に対する生残率を調べた。結果を図3に示す。図3によれば、4T1E/M3細胞をBALB/cマウスに皮下投与(2 X10/マウス)した場合の生存率は、親株の生存率と変化がなかった。
(4)上記(1)と同様にして、BALB/cマウスを2群に分け、4T1細胞と4T1E/M3細胞をそれぞれに皮下投与(2 X10/マウス)し、30日後に肺、肝臓、骨髄(大腿骨、脛骨)からRNAを抽出し、上記(2)と同様にして、定量的RT-PCRを行なって、外から投与した癌細胞が各組織にどの程度存在するかを調べた。結果を図4に示す。これによれば、4T1E/M3細胞は親株に比べて、有意に各組織に対する転移能が亢進していることが明らかとなった。また、上記(2)の結果と対比すれば明らかなように、特に皮下投与の場合、4T1E/M3細胞は、その親株に比べ肝臓に対し転移能が増大する点が特徴的である。
4T1E/M3細胞のin vitroにおけるその他の性質についての検定
(1)高転移性乳癌細胞 4T1E/M3通常の増殖能
4T1E/M3細胞と親株4TIをそれぞれ96ウェルプレートに 2 X103個/well まいて、0〜4日間培養し、培養後の細胞数の増加を cell counting kit8(同人化学社製)を用いた改変MTT Assayにより測定した。結果を図5に示す。図5に明らかなように、4TIE/M3細胞は親株4TIと通常の増殖能にほとんど差はない。
(2)高転移性乳癌細胞4T1E/M3のプラスチック表面への接着能
4T1E/M3細胞と親株4TIをそれぞれをプラスチック製96 well plateにまいて細胞単層を形成し、次いで0.017% EDTA-PDSを加えて、5〜60分間培養後洗浄して剥がれた細胞を除去し、各培養時間後に接着している細胞数を cell counting kit8 を用いて測定した。結果を図6に示す。4TIE/M3細胞は親株4TIに比べ剥がれにくく、接着能が亢進していることが明らかである。
(3)高転移性乳癌細胞
4T1E/M3の骨髄由来内皮細胞への接着能
24 well plateに単層培養した内皮細胞の上にBCECF-AMで蛍光標識した4T1E/M3細胞及び親株4T1をそれぞれ加えて1hr 37℃ 5%CO2で培養後3回洗浄し、接着した細胞を蛍光プレートリーダー(励起波長480nm,蛍光波長:530nm)により測定した。AM で標識した各細胞を骨髄由来内皮細胞上にまき、15〜75分培養した。結果を図7に示す4T1E/M3細胞の骨髄由来内皮細胞への接着能は、親株より亢進していることが明らかである。
(4)高転移性乳癌細胞 4T1E/M3の接着分子遺伝子の発現
4T1E/M3細胞と4T1細胞とにおける発現遺伝子の比較を・2インテグリンと ICAM-1について、DNAマイクロアレイ解析と定量的RT-PCRにより行った。結果を図8に示す。
これによれば、これら遺伝子の発現は、ともに4T1E/M3細胞において亢進していることが明らかである。また、4T1細胞及び4T1E/M3細胞の各表面を・2インテグリンと ICAM-1 に対する抗体で染色し、フローサイトメトリーで解析した。結果を図9に示す。4TIE/M3細胞は親株に比べてβ2インテグリン及びICAM-1の細胞表面での発現が亢進していることが分かる。
(5)高転移性乳癌細胞 4T1E/M3の足場非依存的増殖能
4T1E/M3細胞と4T1細胞をそれぞれ6cm シャーレに0.3%軟寒天とともにまき12日間培養した。使用した細胞数は各シャーレにつきそれぞれ1x104個と2x104個である。培養後、各シャーレ内に見られるコロニー数を計数し、コロニーの形状・大きさを顕微鏡撮影した。コロニー数及び観察された顕微鏡写真は、図10および11に示す。これらによれば4TIE/M3細胞は親株に比べて足場非依存的増殖能が亢進していることが明らかである。
(6)高転移性乳癌細胞 4T1E/M3の運動能
4T1E/M3細胞をマウスに静脈投与した後の経過時間とマウス生残率との関係を示すグラフである。 4T1E/M3細胞をマウスに静脈投与後における、マウス各組織中の同細胞由来のRNA量を測定した結果を示すグラフである。 4T1E/M3細胞をマウスに皮下投与した後の経過時間とマウス生残率との関係を示すグラフである。 4T1E/M3細胞をマウスに皮下投与後における、マウス各組織中の同細胞由来のRNA量を測定した結果を示すグラフである。 4T1E/M3細胞と4T1細胞の通常の増殖能を比較したグラフである。 4T1E/M3細胞と4T1細胞のプラスチック表面に対する接着能を比較した結果を示すグラフである。 4T1E/M3細胞と4T1細胞の骨髄内皮細胞に対する接着能を比較した結果を示すグラフである。 4T1E/M3細胞と4T1細胞とにおける発現遺伝子の比較を・2インテグリンと ICAM-1について、DNAマイクロアレイ解析と定量的RT-PCRにより行った結果を示すグラフである。 4T1細胞及び4T1E/M3細胞の各表面を・2インテグリンと ICAM-1 に対する抗体で染色し、フローサイトメトリーで解析した結果を示すグラフである。 4T1E/M3細胞と4T1細胞の足場非依存的増殖能を比較した結果を示すグラフである。 4T1E/M3細胞と4T1細胞をそれぞれ足場非依存的に培養し、形成されたコロニーの顕微鏡写真である。 4T1E/M3細胞と4T1細胞の単層をそれぞれ傷つけ、修復される様子を観察した顕微鏡写真である。 4T1E/M3細胞と4T1細胞の単層をそれぞれ傷つけ、修復された傷部分の幅を計測した結果を比較した図である。

Claims (3)

  1. 以下のa)からd)のプロセスから得られた高転移性マウス乳癌細胞をマウスに皮下投与して得られた、乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデル
    a)薬剤耐性遺伝子が導入されたマウス乳癌細胞4T1を、マウスに投与し、少なくとも10日経過後、マウス骨髄から細胞を採取するプロセス、
    b)得られた細胞を、上記薬剤耐性遺伝子による耐性付与の対象薬剤を含有する培地で培養し、薬剤耐性細胞を採取するプロセス、
    c)得られた薬剤耐性細胞をマウスに投与するプロセス、
    d)得られた薬剤耐性細胞を用いて上記a)のマウスへの投与、細胞の採取及びb)の薬剤耐性細胞の採取の各プロセスを順次複数回繰り返し、高転移性マウス乳癌細胞を得るプロセス
  2. マウスに、以下のa)からd)のプロセスから得られた高転移性マウス乳癌細胞、及び乳癌の肺または肝臓転移抑制薬の候補物質を皮下投与し、乳癌の肺及び/または肝臓転移の有無、程度を指標として、上記候補物質をスクリーニングすることを特徴とする、乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング方法
    a)薬剤耐性遺伝子が導入されたマウス乳癌細胞4T1を、マウスに投与し、少なくとも10日経過後、マウス骨髄から細胞を採取するプロセス、
    b)得られた細胞を、上記薬剤耐性遺伝子による耐性付与の対象薬剤を含有する培地で培養し、薬剤耐性細胞を採取するプロセス、
    c)得られた薬剤耐性細胞をマウスに投与するプロセス、
    d)得られた薬剤耐性細胞を用いて上記a)のマウスへの投与、細胞の採取及びb)の薬剤耐性細胞の採取の各プロセスを順次複数回繰り返し、高転移性マウス乳癌細胞を得るプロセス
  3. 請求項1に記載の乳癌の肺及び/または肝臓転移解析用動物モデルマウスに乳癌の肺または肝臓転移抑制薬の候補物質を投与し、乳癌の肺及び/または肝臓転移の有無、程度を指標として、上記候補物質をスクリーニングすることを特徴とする、乳癌の肺及び/または肝臓転移抑制薬のスクリーニング方法。
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