JP2019198252A - 近位尿細管上皮細胞株及びその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]Gamma−Glutamyltransferase 1(Ggt1)、Tight Junction Protein ZO−1(ZO−1)、E−Cadherin、β−Catenin及びMegalinを発現しており、アルブミン取り込み能を有しており、培地へのアルブミン又はTransforming growth factor−β(TGF−β)の添加により上皮間葉移行を誘導することができ、細胞外マトリックス中で3次元培養することによりスフェロイドを形成することができる、近位尿細管上皮細胞株。
[2]不死化しやすい遺伝的背景を有している、[1]に記載の近位尿細管上皮細胞株。
[3]前記遺伝的背景がp53遺伝子のノックアウトである、[2]に記載の近位尿細管上皮細胞株。
[4]受託番号がNITE BP−02674である、[1]〜[3]のいずれかに記載の近位尿細管上皮細胞株。
[5]腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下で、[1]〜[4]のいずれかに記載の近位尿細管上皮細胞株を培養する工程と、前記近位尿細管上皮細胞株における、Ggt1又はMegalinの発現量を測定する工程と、を含み、被験物質の存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下における、Ggt1又はMegalinの発現量の低下量が、前記被験物質の非存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下における発現量の低下量と比較して減少することが、前記被験物質が腎線維症の予防又は治療剤であることを示す、スクリーニング方法。
[6]腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング方法であって、被験物質及びアルブミンの存在下で、[1]〜[4]のいずれかに記載の近位尿細管上皮細胞株を培養する工程と、前記近位尿細管上皮細胞株による前記アルブミンの取り込みを測定する工程と、を含み、被験物質の存在下における前記アルブミンの取り込み量が、前記被験物質の非存在下における取り込み量と比較して低下することが、前記被験物質が腎線維症の予防又は治療剤であることを示す、スクリーニング方法。
[7]近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下、細胞外マトリックス中で、[1]〜[4]のいずれかに記載の近位尿細管上皮細胞株を3次元培養する工程と、前記近位尿細管上皮細胞株のスフェロイド形成率を測定する工程と、を含み、被験物質の存在下におけるスフェロイド形成率が、前記被験物質の非存在下におけるスフェロイド形成率と比較して有意に変化することが、前記被験物質が近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子であることを示す、スクリーニング方法。
[8][1]〜[4]のいずれかに記載の近位尿細管上皮細胞株を備える、腎線維症の予防若しくは治療剤又は近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニングキット。
1実施形態において、本発明は、Ggt1、ZO−1、E−Cadherin、β−Catenin及びMegalinを発現しており、アルブミン取り込み能を有しており、培地へのアルブミン又はTGF−βの添加により上皮間葉移行を誘導することができ、細胞外マトリックス中で3次元培養することによりスフェロイドを形成することができる、近位尿細管上皮細胞株を提供する。これらの特性は、近位尿細管の性質を正確に反映している。このため、本実施形態の細胞株は、基礎研究や医薬品のスクリーニング等に有用である。
(第1実施形態)
1実施形態において、本発明は、被験物質の存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下で、上述した近位尿細管上皮細胞株を培養する工程と、前記近位尿細管上皮細胞株における、Ggt1又はMegalinの発現量を測定する工程と、を含み、被験物質の存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下における、Ggt1又はMegalinの発現量の低下量が、前記被験物質の非存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下における発現量の低下量と比較して減少することが、前記被験物質が腎線維症の予防又は治療剤であることを示す、腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、被験物質及びアルブミンの存在下で、上述した近位尿細管上皮細胞株を培養する工程と、前記近位尿細管上皮細胞株による前記アルブミンの取り込みを測定する工程と、を含み、被験物質の存在下における前記アルブミンの取り込み量が、前記被験物質の非存在下における取り込み量と比較して低下することが、前記被験物質が腎線維症の予防又は治療剤であることを示す、腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、被験物質の存在下、細胞外マトリックス中で、上述した近位尿細管上皮細胞株を3次元培養する工程と、前記近位尿細管上皮細胞株のスフェロイド形成率を測定する工程と、を含み、被験物質の存在下におけるスフェロイド形成率が、前記被験物質の非存在下におけるスフェロイド形成率と比較して有意に変化することが、前記被験物質が近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子であることを示す、近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニング方法を提供する。
スフェロイド形成率(%)=内腔を有するスフェロイドの数/顕微鏡下で観察した細胞又は細胞塊の数×100 …(1)
1実施形態において、本発明は、上述した近位尿細管上皮細胞株を備える、腎線維症の予防若しくは治療剤又は近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニングキットを提供する。本実施形態のキットを用いることにより、上述した腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング、近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニング等を行うことができる。
(近位尿細管上皮細胞株の樹立)
p53遺伝子ノックアウトマウスの腎臓から細胞株を樹立した。具体的には、まず、8週齢のp53遺伝子ノックアウトマウスから腎臓を摘出した。続いて、摘出した腎臓を、カルシウム、マグネシウム不含有のリン酸バッファー(PBS)で洗浄してペトリディッシュに入れ、カミソリを用いて腎皮質を切り取った。続いて、腎皮質を細断しミンチ状にした。
(MuRTE細胞株への遺伝子導入効率の検討)
実験例1で樹立したMuRTE細胞株への遺伝子導入効率を検討した。MuRTE細胞株を8ウェルチャンバースライドに播種し、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現ベクター(型式「pEGFP−C1」、アドジーン社)を0.7μg/mLの終濃度でリポフェクションした。リポフェクションには市販のキット(型式「Lipofectamine 3000 #L3000001」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いた。
(MuRTE細胞株の上皮間葉移行の検討)
実験例1で樹立したMuRTE細胞株が上皮間葉移行を示すか否かを検討した。上述したように、近位尿細管上皮細胞の培地にアルブミン又はTGF−βを作用させると上皮間葉移行が生じることが知られている。
(MuRTE細胞株によるアルブミンの取り込みの検討)
実験例1で樹立したMuRTE細胞株がアルブミンの取り込みを示すか否かを検討した。まず、ウシ血清アルブミン(BSA)を蛍光色素であるHiLyte Fluor555(Anaspec社)で標識した。
(MuRTE細胞株によるスフェロイド形成能の検討)
実験例1で樹立したMuRTE細胞株をマトリゲル中で3次元培養し、スフェロイド形成能を有するか否かを検討した。また、比較のために、代表的なヒト尿細管上皮細胞株であるHK−2細胞株についても同様の検討を行った。
(MuRTE細胞株における排出輸送体(efflux transporter)遺伝子の発現の検討)
(MuRTE細胞株へのシスプラチンの投与の検討)
癌化学療法では、高い頻度で患者が急性腎症を発症し、薬物の減量や中止を余儀なくされる。また、最も頻用される抗癌剤であるシスプラチンの投与によって、しばしば急性尿細管壊死が生じる。
Claims (8)
- Gamma−Glutamyltransferase 1(Ggt1)、Tight Junction Protein ZO−1(ZO−1)、E−Cadherin、β−Catenin及びMegalinを発現しており、
アルブミン取り込み能を有しており、
培地へのアルブミン又はTransforming growth factor−β(TGF−β)の添加により上皮間葉移行を誘導することができ、
細胞外マトリックス中で3次元培養することによりスフェロイドを形成することができる、近位尿細管上皮細胞株。 - 不死化しやすい遺伝的背景を有している、請求項1に記載の近位尿細管上皮細胞株。
- 前記遺伝的背景がp53遺伝子のノックアウトである、請求項2に記載の近位尿細管上皮細胞株。
- 受託番号がNITE BP−02674である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の近位尿細管上皮細胞株。
- 腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング方法であって、
被験物質の存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下で、請求項1〜4のいずれか一項に記載の近位尿細管上皮細胞株を培養する工程と、
前記近位尿細管上皮細胞株における、Ggt1又はMegalinの発現量を測定する工程と、を含み、
被験物質の存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下における、Ggt1又はMegalinの発現量の低下量が、前記被験物質の非存在下且つアルブミン又はTGF−βの存在下における発現量の低下量と比較して減少することが、前記被験物質が腎線維症の予防又は治療剤であることを示す、スクリーニング方法。 - 腎線維症の予防又は治療剤のスクリーニング方法であって、
被験物質及びアルブミンの存在下で、請求項1〜4のいずれか一項に記載の近位尿細管上皮細胞株を培養する工程と、
前記近位尿細管上皮細胞株による前記アルブミンの取り込みを測定する工程と、を含み、
被験物質の存在下における前記アルブミンの取り込み量が、前記被験物質の非存在下における取り込み量と比較して低下することが、前記被験物質が腎線維症の予防又は治療剤であることを示す、スクリーニング方法。 - 近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニング方法であって、
被験物質の存在下、細胞外マトリックス中で、請求項1〜4のいずれか一項に記載の近位尿細管上皮細胞株を3次元培養する工程と、
前記近位尿細管上皮細胞株のスフェロイド形成率を測定する工程と、を含み、
被験物質の存在下におけるスフェロイド形成率が、前記被験物質の非存在下におけるスフェロイド形成率と比較して有意に変化することが、前記被験物質が近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子であることを示す、スクリーニング方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の近位尿細管上皮細胞株を備える、腎線維症の予防若しくは治療剤又は近位尿細管の管腔構造の形成に関与する因子のスクリーニングキット。
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CN114045255A (zh) * | 2021-11-23 | 2022-02-15 | 广州华越肾科再生医学科技有限公司 | 一种肾小管上皮细胞分离与培养方法 |
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