JP4936195B2 - 光透過性フィルムの欠陥検出装置 - Google Patents

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本発明は、光学用途、建築用途、車載用途などの用途において、反射防止、飛散防止、熱線防止(遮断)、断熱、防汚、耐久性(保護)などの目的で使用される光透過性フィルム(光透過性を有するフィルム)の欠陥を検出するための装置に関する。
光学用途、建築用途、車載用途等に用いられる上記のような光透過性フィルムとしては、例えば、複数のコーティング層を備えることで波長透過特性が調整された反射防止フィルムが挙げられる。このような光透過性フィルムは、例えばプラズマディスプレイや液晶ディスプレイなどのディスプレイの表面に反射防止フィルターとして使用される。前記コーティング層は、例えば厚み1μm以下に形成される。
このようなコーティング層を備える光透過性フィルムの欠陥を検出するにあたっては、フィルムとコーティング層との間に異物が入り込んで生じる欠陥(核有り欠陥)については目視でも検出し得るが、コーティング層の厚みのばらつきによって周囲の色目とは微妙に違う部分が生じる欠陥(核無し欠陥)は、目視による検出がきわめて困難であり、目視検査では90%ほどの不良を見逃してしまうこともある。
そこで従来、特許文献1に開示されているように、黒色のガイドローラの表面に位置する光透過性フィルムに対して、この光透過性フィルムに形成されたコーティング層の表裏面で反射した光が干渉するように照明をあて、その干渉模様を撮像することで欠陥を検出することが提案されている。この場合、核有り欠陥だけでなく核無し欠陥も検出されるようになる。
しかし、特許文献1に記載のような従来技術では、光透過性フィルムとガイドローラの外面との間に空気が介在することがあり、このため、光透過性フィルムからの反射光に欠陥の検出に不要な反射光も混在して欠陥の検出精度が低くなるという問題があった。
特開2006−208196号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、欠陥検出を高精度で行うことができる光透過性フィルムの欠陥検出装置を提供することを課題とする。
本発明に係る光透過性フィルムの欠陥検出装置は、検査対象である光透過性フィルムAを搬送する搬送手段5、前記光透過性フィルムAの一面A1(表面)側からこの光透過性フィルムAの外観を撮像する撮像部1、前記撮像部1で撮像される前記光透過性フィルムAの他面A2(裏面)側に配された観察用補助部材2、前記光透過性フィルムAの他面A2と前記観察用補助部材2との間に液体4を介在させることでこの前記光透過性フィルムAと前記観察用補助部材2とを密着させる液体充填手段7、並びに撮像後の前記光透過性フィルムAに付着している前記液体4を前記光透過性フィルムAから除去する液体除去手段8を備え、前記液体除去手段8として、前記光透過性フィルムAの他面A2に向けて気流を噴射する気流式噴射手段9と、前記気流式噴射手段9により気流が噴射される前記光透過性フィルムAの一面A1側に配されるガイド押さえ10とで構成される噴射式除去手段8aを備え、前記光透過性フィルムAは、前記ガイド押さえ10の一側から搬送されてこのガイド押さえ10の下方から他側に回り込むと共に前記他側で前記ガイド押さえ10から離れて上方に搬送され、前記気流噴射手段9は、前記光透過性フィルムAが前記ガイド押さえ10から離れる位置に向けて気流を噴射するように設けられている。
このため、撮像部1による撮像時に液体4により光透過性フィルムAを観察用補助部材2の表面に密着させ、光透過性フィルムAの観察用補助部材2側の他面A2と観察用補助部材2との間の空気を排除して、光透過性フィルムAの観察用補助部材2側の他面A2からの反射光を抑えることができ、欠陥の検出に不要な反射光の混在を減少して欠陥の検出精度を高くすることができるものであり、しかも検査後の光透過性フィルムAに液体4が付着して残存することが防止されるものである。
また、光透過性フィルムAの一面A1側がガイド押さえ10によって支持された状態で、気流式噴射手段9で噴射された気流により光透過性フィルムAの他面A2に付着していた液体4が除去され、光透過性フィルムAが気流によって揺動するようなことがなく、光透過性フィルムAと気流式噴射手段9との位置関係が保持されて液体4が安定して除去されると共に、光透過性フィルムAの一面A1側はガイド押さえ10によって保護されて、気流で吹き飛ばされた液体4が光透過性フィルムAの一面A1側に回り込んで付着するようなことが防止される。さらに、気流の噴射を受ける光透過性フィルムがガイド押さえによって安定して支持され、また、光透過性フィルムは気流の噴射位置から上方に向けて搬送されるため、気流によって吹き飛ばされた液体が光透過性フィルムに再付着しにくくなる。
また本発明では、前記液体除去手段8として、前記光透過性フィルムAの他面A2と接触することでこの光透過性フィルムAの他面A2に付着している液体4を転写除去する接触式除去手段8bを備えることも好ましい。
この場合、接触式除去手段8bによって光透過性フィルムAの他面A2に付着している液体4を除去することができる。
また本発明では、前記液体除去手段8で除去された液体4を回収する液体回収手段11を備えることが好ましい。
この場合、液体回収手段11で回収した液体4を液体充填手段7で再利用することができる。
本発明によれば、欠陥検出のための撮像時に液体により光透過性フィルムを観察用補助部材の表面に密着させることで欠陥検出を高精度で行うことができ、且つ前記光透過性フィルムに付着した液体を液体除去手段で除去することで、検査後の光透過性フィルムに液体が残存して付着することを防止することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1及び図2に示される本実施形態に係る欠陥検出装置は、光学用途、建築用途、車載用途などの用途において、反射防止、飛散防止、熱線防止(遮断)、断熱、防汚、耐久性向上(保護)などの目的で使用される光透過性フィルムA(光透過性を有するフィルム)Aの欠陥を検出するために用いられる。光透過性フィルムAとしては、例えば、液晶ディスプレイなどのディスプレイの反射防止フィルム(ARフィルム)等として使用されるものが挙げられるが、これに限定されない。
この光透過性フィルムAは、例えばポリエステルフィルムなどの合成樹脂製のベースフィルムの表面に、複数のコーティング層を積層して形成される。この光透過性フィルムAの作製時には、コーティング層を形成するために塗布されるコーティング剤がゲル化し、このゲル化物が光透過性フィルムAの一面A1に異物として付着して欠陥が生じたり、ベースフィルムの表面におけるコンタミネーション(コンタミ)や異物の付着によるハジキ等によってコーティング剤の塗布不均一が生じて欠陥が生じることがある。本実施形態に係る欠陥検出装置は、前記のような欠陥を検出するために好適に用いられる。
欠陥検出装置は、図1に示すように、搬送手段5、撮像部1、観察用補助部材2、照明手段6、検出手段3、液体除去手段8、液体回収手段11などを備える。
搬送手段5は長尺帯状(シート状)の光透過性フィルムAを一定の速度で連続的に搬送するために設けられる。搬送手段5は、例えば光透過性フィルムAをロール状に巻き付けた繰り出しドラム12と、ドラム12を回転駆動させて光透過性フィルムAを順次繰り出すためのモータなどの駆動手段13と、欠陥検出後の光透過性フィルムAを巻き取るための巻き取りドラム14とで構成される。
撮像部1は搬送手段5により一定の速度で連続的に搬送される帯状の光透過性フィルムAの外観を一面A1(表面)側から撮像するために設けられる。撮像部1として、例えば、CCDカメラなどで形成され、光透過性フィルムAの外観を全幅にわたって撮像するラインカメラなどが用いられる。
照明手段6は撮像部1による撮像時に光透過性フィルムAに一面A1側から光を照射するために設けられる。照明手段6としては、例えば三波長蛍光灯などの照明具6aと色調フィルター6bとの組み合わせが使用されるが、この他に照明手段6として赤色などの特定波長の光を照射する有色照明灯や、無色照明灯(白色照明灯)などが使用される。
観察用補助部材2は撮像部1による撮像時に光透過性フィルムAの他面A2(裏面)側に配置される。この観察用補助部材2が撮像時に光透過性フィルムAを支持することで、光透過性フィルムAにおける皺の発生が防止され、また撮像部1と光透過性フィルムAとの間の位置決めがなされてピントずれの発生が防止される。観察用補助部材2は光透過性フィルムAの上記他面A2に接触しながら回転するローラで構成される。
液体充填手段7は、光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2との間に液体4を介在させることで、光透過性フィルムAと観察用補助部材2とを密着させるために設けられる。前記液体4としては、光透過性フィルムAと観察用補助部材2との間に容易に充填され、且つ光透過性フィルムAの最終品質に影響を与えない適宜の液体4が使用される。このような液体4としては、例えば水(純水)、メチルエチルケトンなどの揮発性溶剤、エッセンシャルオイルなどの油脂系液体等が挙げられる。
本実施形態では、図2にも示されるように、液体充填手段7はロールで構成される観察用補助部材2と貯留容器15で構成される。液体4は貯留容器15に貯留され、この貯留容器15内の液体4に観察用補助部材2の一部(下部)が浸漬している。
このように構成される液体充填手段7では、観察用補助部材2が回転すると、それに伴って観察用補助部材2の表面に液体4が供給され、更にこの観察用補助部材2が回転することで液体4が光透過性フィルムAと観察用補助部材2との間に充填されて、この光透過性フィルムAと観察用補助部材2とが液体4を介して密着する。このため、光透過性フィルムAと観察用補助部材2との間への空気の侵入が抑制され、両者の間に隙間が生じることが抑制される。
前記貯留容器15は、供給路16を介して貯留槽17に接続されている。この貯留槽17には液体4が貯留され、液体充填手段7で使用される液体4が貯留槽17から供給路16を通じて貯留容器15に供給されるようになっている。供給路16にはポンプ18が設けられ、このポンプ18による圧送力により液体4が貯留容器15に供給される。また供給路16にはフィルタ19が設けられ、液体4がこのフィルタ19を通過することで濾過される。
前記貯留槽17には、外部から貯留槽17へ液体4を補給するための補給路20が接続されており、この補給路20には開閉弁21及びフィルタ22が設けられている。開閉弁21は通常時は閉じているが、貯留槽17内の液面位置を計測するレベルセンサ23による計測結果に基づいて制御される。貯留槽17から貯留容器15へ液体4が供給されることによりレベルセンサ23による計測結果が所定の値を下回ると開閉弁21が開き、補給路20を介して貯留槽17に液体4が補給される。この液体4はフィルタ22を通過することで濾過された後に貯留槽17へ供給される。
尚、観察用補助部材2や液体充填手段7は上記構成に限られず、適宜の構造とすることができる。
上記観察用補助部材2の表面と液体4とは、少なくとも一方が黒色などの有色であっても良い。この場合、光透過性フィルムAを通過した光が観察用補助部材2や液体4で吸収され、この光が反射しにくくなる。その結果、光透過性フィルムAの観察用補助部材2側の他面A2からの反射光が抑制される。このとき、例えば観察用補助部材2の表面が塗装されるなどして黒色等の有色に着色される場合は無色透明な水等の液体4が使用され、液体4として顔料等を含有する黒色などの有色の液体4が使用される場合には観察用補助部材2の表面の色は特に制限を受けない。
検出手段3は撮像部1によって得られた画像から光透過性フィルムAの欠陥を検出するために設けられる。検出手段3は例えばディスプレイを備えた汎用の電子計算機などで構成される。検出手段3は、例えば一般的に広く行われている画像処理により、撮像部1で得られた画像に演算処理を施したり、人が目視で確認したりすることにより、光透過性フィルムAの欠陥を分析して検出することができるものが用いられる。
液体除去手段8は、撮像後の光透過性フィルムAに付着している液体4を光透過性フィルムAから除去するために設けられる。
この液体除去手段8は、例えば撮像後の光透過性フィルムAの他面A2に向けて気流を噴射する気流式噴射手段9と、この気流式噴射手段9から噴射された気流が吹き付けられる光透過性フィルムAの一面A1側に配されるガイド押さえ10とで構成される。以下、この液体除去手段8を噴射式除去手段8aという。ガイド押さえ10は、例えばローラ等で構成される。また気流式噴射手段9は例えばエアーを噴射するエアノズルやエアブロア等で構成される。この気流式噴射手段9には外気から気流式噴射手段9へ気流を供給する二系統の通気路24が接続されている。この各通気路24には通気路24内で気流を流通させるためのブロア25と、通気路24内の気流を清浄化するためのフィルタ26がそれぞれ設けられている。
この場合、気流式噴射手段9で噴射された気流により光透過性フィルムAの他面A2に付着していた液体4が除去される。このとき光透過性フィルムAの一面A1がガイド押さえ10によって支持されるため、光透過性フィルムAが気流によって揺動するようなことがなく、光透過性フィルムAと気流式噴射手段9との位置関係が保持されて液体4が安定して除去される。また、光透過性フィルムAの一面A1がガイド押さえ10によって保護され、気流で吹き飛ばされた液体4が光透過性フィルムAの一面A1に回り込んで付着するようなことが防止される。
気流式噴射手段9、ガイド押さえ10、及び光透過性フィルムAのレイアウトは適宜設定される。本実施形態では、ガイド押さえ10の一側から搬送される光透過性フィルムAがガイド押さえ10と接触しながらこのガイド押さえ10の下方から他側に回り込み、更にこのガイド押さえ10の他側でガイド押さえ10から離れて上方に搬送される。気流式噴射手段9は、ガイド押さえ10の他側におけるガイド押さえ10と光透過性フィルムAとが接触する位置であって、光透過性フィルムAがガイド押さえ10から離れる直前の位置に向けて、気流を噴射するように設けられている。この場合、気流の噴射を受ける光透過性フィルムAがガイド押さえ10によって安定して支持される。また光透過性フィルムAは気流の噴射位置から上方に向けて搬送されるため、気流によって吹き飛ばされた液体4が光透過性フィルムAに再付着しにくくなる。気流式噴射手段9による気流の噴射方向は、ガイド押さえ10の径に沿った水平方向であって且つガイド押さえ10から離れた光透過性フィルムAの搬送方向と直交する方向(前記ガイド押さえ10から離れた光透過性フィルムAの搬送方向と気流の噴射方向とが成す角度θが直角となる方向;図4、6参照)であることが好ましく、或いは前記角θが搬送方向上流側に向けてやや鋭角となる方向であることが好ましい。また、気流式噴射手段9からは常温の気流が噴射されても良いが、熱風が噴射されても良く、その場合は気流によって液体4が吹き飛ばされるだけでなく、液体4が加熱されて粘度が低下し、液体4の除去効率が高くなる。また気流式噴射手段9における気流の噴射口と光透過性フィルムAとの間の距離は近接していることが好ましく、例えばこの距離が2mmとなるようにする。
また液体除去手段8として、光透過性フィルムAの他面A2と接触することでこの光透過性フィルムAの他面A2に付着している液体4を転写除去するものが設けられても良い。以下、この液体除去手段8を接触式除去手段8bという。この接触式除去手段8bは例えば表面が液体4が付着しやすい材質で形成された接触ロール27と、この接触ロール27に付着した液体4を除去するドクターブレード28で構成される。光透過性フィルムAは例えば前記接触ロール27の一側がわからこの接触ロール27に向けて横方向に搬送され、この接触ロール27に支持されて接触ロール27の他側から下方に搬送されるように配置される。ドクターブレード28は接触ロール27の一側がわで接触ロール27と接触するように配置される。この場合、光透過性フィルムAが搬送されるのに伴って接触ロール27が順回転し、光透過性フィルムAの他面A2に付着していた液体4が接触ロール27の表面に転写される。この接触ロール27に付着した液体4はドクターブレード28によって掻き取られて接触ロール27から除去される。この接触ロール27の表面は適宜の材質で形成されるが、例えばこの接触ロール27の表面がSUS304等のステンレス鋼材で形成され、且つこの表面の中心線平均粗さ(Ra;JIS B0601:1982)が0.25μm以下となるように鏡面仕上げされていることが好ましい。
また、液体除去手段8として、光透過性フィルムAの他面A2に付着している液体4を吸引除去するものが設けられても良い。例えば光透過性フィルムAの他面A2側に液体除去手段8として吸引ノズル29を設け、光透過性フィルムAに付着した液体4を非接触で吸引しても良い。以下、この液体除去手段8をノズル吸引除去手段8cという。吸引ノズル29はブロア30、ミストセパレータ31及びフィルタ32を備える排気路33に接続されている。このため、吸引ノズル29で吸引された液体4を含む気流はブロア30によって圧送されて排気路33内を流通し、ミストセパレータ31で気流内の液体4の粒子が除去された後、フィルタ32を通過して清浄化されて、外気に排出される。
このノズル吸引除去手段8cは、上記噴射式除去手段8aと組み合わせて設けられても良い。例えば本実施形態のように吸引ノズル29がガイド押さえ10の下方に配置するなどして、吸引ノズル29をガイド押さえ10の近傍に配置すると、光透過性フィルムAの他面A2に付着している液体4を吸引するだけでなく、気流式噴射手段9によって吹き飛ばされた液体4も吸引し、光透過性フィルムAへの液体4の再付着が防止される。
この吸引ノズル29の吸引口は、ガイド押さえ10の周面から30〜120mm離れた位置に対向して設けられていることが好ましい。また、吸引ノズル29からの気流の吸引量は、ノズル吸引除去手段8cにおける気流式噴射手段9からの気流の噴射量の4〜12倍であることが好ましい。また、この吸引ノズル29の吸引口の両側縁は、光透過性フィルムの幅方向の両側縁よりもそれぞれ外側方に20mm以上突出していることが好ましく、この場合、気流式噴射手段9からの気流で吹き飛ばされた液体4が光透過性フィルムAの一面A1側に回り込んで付着するようなことが、更に確実に防止される。また、吸引ノズル29の吸引口に更にフードを設ければ、液体4の飛散が更に確実に防止されると共に、液体4が吸引除去されるために必要とされる吸引ノズル29からの気流の吸引量を低減することができる。
また、液体除去手段8をマスロール(登録商標)等の吸引ロールで構成し、この吸引ロールを光透過性フィルムAの他面A2に接触させることで、吸引ロールにて光透過性フィルムAを支持しながら、この光透過性フィルムAの他面A2に付着した液体4を吸引除去しても良い。
欠陥検出装置には一つの液体除去手段8のみが設けられていても良いが、複数の液体除去手段8が設けられても良い。複数の液体除去手段8が設けられる場合は、本実施形態のように構成の異なる複数種の液体除去手段8が設けられても良い。本実施形態では、撮像後の光透過性フィルムAの経路に、まず接触式除去手段8bが設けられ、その後段には上述のように噴射式除去手段8aとノズル吸引除去手段8cとが組み合わせて設けられている。
液体回収手段11は、液体除去手段8で光透過性フィルムAから除去された液体4を回収して液体充填手段7で再利用するために設けられる。本実施形態では、接触式除去手段8bに対して、回収容器36と返送路37から構成される液体回収手段11が設けられている。回収容器36は接触ロール27とドクターブレード28の下方に設けられており、接触ロール27及びドクターブレード28から下方に落下する液体4が回収容器36で受け止められる。返送路37は回収容器と貯留槽17とを接続しており、回収容器36で回収された液体4が返送路37を通じて貯留槽17に送られて、再利用されるようになっている。貯留槽17から液体充填手段7へ送られる液体4は供給路16を流通する際にフィルタを通過して濾過されるため、回収された液体4が再利用される場合でも清浄な液体4が液体充填手段7で使用される。
また、撮像後、液体除去手段8により液体4が除去される前の光透過性フィルムAから脱落する液体4を回収する回収手段を設け、この回収した液体4も再利用するようにしても良い。本実施形態では、回収手段として、液体充填手段7の貯留容器15に対する光透過性フィルムAの搬送方向側に、回収容器38が設けられており、この回収容器38は分岐路39を介して返送路37に接続されている。このため、撮像後、液体除去手段8により液体4が除去される前の光透過性フィルムAから液体4が脱落しても、この液体4は回収容器38で回収され、この回収された液体4は分岐路39及び返送路37を介して貯留槽17に送られて、再利用される。
このような本実施形態に係る欠陥検査装置を用いた光透過性フィルムAの欠陥の検出工程について説明する。
まず、駆動手段13で繰り出しドラム12を回転駆動することで、ドラム12にロール状に巻かれた光透過性フィルムAが順次繰り出され、一定の速度で巻き取りドラム14にまで搬送される。この繰り出しドラム12と巻き取りドラム14との間で、光透過性フィルムAが観察用補助部材2の表面(外面)に接触しながら搬送される。光透過性フィルムAの搬送速度は撮像部1や搬送手段5の能力などに応じて適宜設定されるが、例えば、5〜3000m/分とすることができる。
光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2には液体充填手段7により液体4が供給され、この液体4を介して光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2とが接触する。この場合、光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2との間に液体4を滞留させるように充填したり、あるいは光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2との間で液体4を流通させるように充填したりすることができる。液体4を流通させる場合、光透過性フィルムAの搬送方向と同方向に流通させる場合と反対方向に流通させる場合とがある。光透過性フィルムAの搬送方向と同方向に液体4を流通させる場合は観察用補助部材2を光透過性フィルムAの搬送方向と同方向に回転(正回転)するように駆動し、光透過性フィルムAの搬送方向と反対方向に液体4を流通させる場合は観察用補助部材2を光透過性フィルムAの搬送方向と反対方向に回転(逆回転)するように駆動する。観察用補助部材2の回転速度は液体4が光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2との間に十分に供給されるように、液体4の粘度や光透過性フィルムAの搬送速度などに応じて適宜設定可能であるが、例えば、周速0.05〜100m/分とすることができる。
上記のようにして搬送している光透過性フィルムAに対して照明手段6で光を照射しながら、照明手段6で光が照射されている部分において光透過性フィルムAの一面A1を撮像部1で撮像する。次に、撮像部1で撮像した光透過性フィルムAの一面A1の画像を検出手段3に取り込んでその画像に基づいて欠陥を検出する。このとき光透過性フィルムAを全長にわたって搬送することにより、光透過性フィルムAの全体の欠陥を検出することができる。
上記の通り本実施形態では液体4を介して光透過性フィルムAを観察用補助部材2の表面に密着させ、光透過性フィルムAの観察用補助部材2側の他面A2と観察用補助部材2との間の空気を排除するようにしている。従って、光透過性フィルムAの観察用補助部材2側の他面A2からの反射光を抑えることができる。つまり、図3(a)に示すように、光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2の外面との隙間Sに液体4が介在せずに空気が存在している場合は、光透過性フィルムAの一面A1で反射する光L1と、光透過性フィルムAを通過して他面A2で反射する光L2とが生じ、これらの光L1、L2が混在して互いに干渉し合いながら撮像部1に入射するために、欠陥の検出精度が低くなるおそれがある。一方、図3(b)に示すように、光透過性フィルムAの他面A2と観察用補助部材2の外面との隙間の空気を排除して液体4を介在している場合は、光透過性フィルムAを通過した光L2は液体4の方に進んで観察用補助部材2に吸収されることになって光透過性フィルムAの他面A2で反射する光がほとんど生じない。従って、光透過性フィルムAの一面A1で反射する光L1が干渉されることなく撮像部1に入射し、欠陥の検出精度が高くなる。
また、撮像後の光透過性フィルムAに付着している液体4は既述の通り液体除去手段8によって光透過性フィルムAから除去されるため、撮像時に使用した液体4が光透過性フィルムAに残存することが防止される。また、既述の通り液体除去手段8で除去された液体4が液体回収手段11で回収されると、装置内で液体4が飛散することが防止され、更にこの液体4の再利用が可能となる。
また、本実施形態のように複数の液体除去手段8が設けられ、或いは更に複数種の液体除去手段8が設けられる場合には、光透過性フィルムAからの液体4の除去効率が高くなってより確実に液体4が除去される。また光透過性フィルムAの搬送速度が速い場合であっても液体4を確実に除去することが可能となり、光透過性フィルムAの欠陥検査効率も向上する。
このような液体4の除去効率及び欠陥検査効率の向上について、実例を挙げて詳述する。図4では液体除去手段8として噴射式除去手段8aのみが設けられ、図5では液体除去手段8として接触式除去手段8bと噴射式除去手段8aが設けられ、図6は液体除去手段8として噴射式除去手段8aと吸引除去手段とが組み合わせて設けられている。
図4では、直径100mmのロール状のガイド押さえ10が設けられ、光透過性フィルムAはこのガイド押さえ10の一側から搬送される光透過性フィルムAがガイド押さえ10と接触しながらこのガイド押さえ10の下方から他側に回り込み、更にこのガイド押さえ10の他側でガイド押さえ10から離れて鉛直上方に搬送されるようになっている。気流式噴射手段9としてはエアノズルが設けられ、このエアノズルはガイド押さえ10の他側におけるガイド押さえ10と光透過性フィルムAとが接触する位置であって、光透過性フィルムAがガイド押さえ10から離れる寸前の位置に向けて、ガイド押さえ10の径に沿った水平方向であって、且つガイド押さえ10から離れた光透過性フィルムAの搬送方向と直交する方向にエアを噴射するように設けられている。このエアノズルの噴射口と光透過性フィルムAとの間は2mmの間隔があけられている。
この図4に示す構成において、実際にこの光透過性フィルムAの他面A2に水を付着させ、この光透過性フィルムAを搬送すると共にエアノズルからエアを噴射した。光透過性フィルムAとして、厚み150μmのPETフィルムからなるベースフィルムの一面側に厚み20μmのシロキサン系反射防止膜が積層して形成されたものを用いた。また光透過性フィルムAの他面A2への水の付着量は、PETフィルムと水との表面張力によれば、3〜40cm3/m2の範囲となる。また、エアノズルからのエアの噴射条件は、風速120m/分、風量0.8m3/分、風温56℃とした。光透過性フィルムAの搬送速度は0.5m/分から0.5m/分刻みで増大させた。この場合、光透過性フィルムAの搬送速度が12.0m/分以下であれば光透過性フィルムAには水の残存は認められなかった。一方、この搬送速度が12.5〜14.5m/分ではエアノズルにより塞き止められた水溜まりから時折噴霧水滴が搬送方向下流側に流れる現象が現れ始め、搬送速度が15.0m/分に達すると光透過性フィルムAに若干の水の残存が認められるようになった。
また、図5では、図4に示すものと同一の噴射式除去手段8aの前段に接触式除去手段8bを設けている。この接触式除去手段8bの接触ロール27の表面はSUS304で形成され、且つこの表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.25μm以下となるように鏡面仕上げされている。光透過性フィルムAは水平方向に搬送された後、接触ロール27に支持されて鉛直下方に搬送され、更に噴射式除去手段8aのガイド押さえ10に支持されるようにしている。また、接触式除去手段8bの接触ロール27とドクターブレード28の下方には水受け34を配置している。
この図5に示す構成において、実際に光透過性フィルムAの他面A2に水を付着させた状態でこの光透過性フィルムAを搬送すると共に噴射式除去手段8aのエアノズルから上記と同一条件でエアを噴射した。また、光透過性フィルムAの搬送速度は0.5m/分から0.5m/分刻みで増大させていった。この場合、光透過性フィルムAの搬送速度が18.0m/分以下であれば光透過性フィルムAには水の残存は認められず、図4の場合よりも水の除去効率が向上した。一方、この搬送速度が18.5〜19.5m/分ではエアノズルにより塞き止められた水溜まりから時折噴霧水滴が搬送方向下流側に流れる現象が現れ始め、搬送速度が20.0m/分に達すると光透過性フィルムAに若干の水の残存が認められるようになった。
また、図6では、図4に示すものと同一の噴射式除去手段8aに、ノズル吸引除去手段8cを組み合わせている。このノズル吸引除去手段8cの吸引ノズル29の吸引口は、ガイド押さえ10の周面における、噴射式除去手段8aのエアノズルによる噴射位置に対する中心角(ガイド押さえ10の中心を基準とする中心角)が60°〜120°に亘る範囲の部分と対向する位置に配置され、且つこの吸引口とガイド押さえ10との間の寸法が30〜120mmの範囲に収まるように配置されている。また、ガイド押さえ10の近傍には水の飛散の有無の確認のため、黒色板35を配置している。
この図6に示す構成において、実際に光透過性フィルムAの他面A2に水を付着させた状態でこの光透過性フィルムAを搬送すると共に噴射式除去手段8aのエアノズルからの上記と同一条件でのエアの噴射と、吸引ノズル29による吸引を行った。吸引ノズル29によるエアの吸引量は8.0m3/分とした。また、光透過性フィルムAの搬送速度は6.0m/分から1.5m/分刻みで増大させていった。この場合、光透過性フィルムAの搬送速度が20.0m/分に達しても、光透過性フィルムAには水の残存は認められず、図4及び図5の場合よりも水の除去効率が向上した。また、黒色板35には水滴の付着は認められず、水の飛散が防止されていることが確認された。
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。 同上の実施の形態の一部を示す概略図である。 (a)(b)は本発明の作用を示す拡大した概略図である。 液体除去手段の設置例を示す概略図である。 液体除去手段の他の設置例を示す概略図である。 液体除去手段の更に他の設置例を示す概略図である。
符号の説明
A 光透過性フィルム
A1 一面
A2 他面
1 撮像部
2 観察用補助部材
4 液体
5 搬送手段
7 液体充填手段
8 液体除去手段
8a 噴射式除去手段
8b 接触式除去手段
9 気流式噴射手段
10 ガイド押さえ

Claims (3)

  1. 検査対象である光透過性フィルムを搬送する搬送手段、
    前記光透過性フィルムの一面側からこの光透過性フィルムの外観を撮像する撮像部、
    前記撮像部で撮像される前記光透過性フィルムの他面側に配された観察用補助部材、
    前記光透過性フィルムの他面と前記観察用補助部材との間に液体を介在させることでこの前記光透過性フィルムと前記観察用補助部材とを密着させる液体充填手段、並びに
    撮像後の前記光透過性フィルムに付着している前記液体を前記光透過性フィルムから除去する液体除去手段を備え
    前記液体除去手段として、前記光透過性フィルムの他面に向けて気流を噴射する気流式噴射手段と、前記気流式噴射手段により気流が噴射される前記光透過性フィルムの一面側に配されるガイド押さえとで構成される噴射式除去手段を備え、
    前記光透過性フィルムは、前記ガイド押さえの一側から搬送されてこのガイド押さえの下方から他側に回り込むと共に前記他側で前記ガイド押さえから離れて上方に搬送され、
    前記気流噴射手段は、前記光透過性フィルムが前記ガイド押さえから離れる位置に向けて気流を噴射するように設けられていることを特徴とする光透過性フィルムの欠陥検出装置。
  2. 前記液体除去手段として、前記光透過性フィルムの他面と接触することでこの光透過性フィルムの他面に付着している液体を転写除去する接触式除去手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光透過性フィルムの欠陥検出装置。
  3. 前記液体除去手段で除去された液体を回収する液体回収手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光透過性フィルムの欠陥検出装置。
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