JP4933890B2 - 耐応力腐食割れ性に優れた溶接可能な鍛造用アルミニウム合金およびそれを用いた鍛造品 - Google Patents
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また請求項2の発明の鍛造用アルミニウム合金は、請求項1に記載の鍛造用アルミニウム合金において、さらにB0.001〜0.05%、C0.01〜0.5%のうちから選ばれた1種または2種を含むことを特徴とするものである。
Znは材料に強度を付与するための必須元素である。すなわちZnは析出効果により、またMgと結合して合金相を生成し、鍛造材の強度を保つ元素である。ここで、Znの含有量が2.0%未満では充分な強度が得られず、一方Zn量が3.9%を越えた場合、強度は向上するが、耐応力腐食割れ性が低下する。したがって、この発明におけるZnの添加量範囲は、2.0〜3.9%とした。なお構造部材、部品として高強度を保ちつつ良好な耐応力腐食割れ性を得るためのZn量の望ましい範囲は、2.5〜3.5%である。
MgもZnと同様に強度を付与する元素であり、析出効果により、またZnと結合して合金相を生成して鍛造材の強度を保つために寄与する。ここで、Mg含有量が0.1%未満では充分な強度が得られず、一方3.5%を越えれば、強度は向上するが、耐応力腐食割れ性が著しく低下する。したがってこの発明におけるMgの添加量範囲は、0.1〜3.5%とした。なお構造部材、部品として高強度を保ちつつ良好な耐応力腐食割れ性を得るためのMg量の望ましい範囲は、0.5〜3.0%である。
ZnおよびMgはいずれも前述のように強度に寄与すると同時に耐応力腐食割れ性に影響を与えるから、この発明ではZnおよびMgの合計量をも規制することとした。ZnおよびMgの合計量が4.0%未満では充分な強度が得られず、一方6.0%を越えれば、強度は向上するものの、耐応力腐食割れ性が著しく低下する。したがって、この発明においては、Zn+Mgの合計添加量を、4.0%以上、6.0%以下と規定した。なお構造部材、部品として高強度を保ちつつ良好な耐応力腐食割れ性を得るためのZn+Mgの望ましい範囲は、4.5%以上、5.5%以下であり、さらに望ましい範囲は、4.5%以上、5.0%以下である。
Cuは、アルミニウムマトリックスに固溶して、固溶体中の溶質の過飽和度を上げるなどして、強度を付与する元素である。Cuの含有量が0.02%未満では、充分な強度向上効果が得られず、一方0.2%を越えれば、強度は向上するが耐応力腐食割れ性が著しく低下し、さらには溶接割れを発生させる危険性も生じる。したがって構造部材、部品として高強度を保ちつつ良好な耐応力腐食割れ性を得、かつ溶接性も良好とするためには、Cu量は0.05〜0.20%の範囲内とする必要がある。
Mn、Cr、Zr、Vは、再結晶粒の微細化に有効であり、ひいては耐応力腐食割れ性の向上に寄与する元素である。すなわちこれらの元素はアルミニウムと結合して、Al−Mn、Al−Cr、Al−Zr、Al−Vの化合物を作り、これらの化合物が再結晶粒微細化に寄与し、耐応力腐食割れ性を向上させる。それぞれの含有量が下限(Mn0.20%、Cr0.10%、Zr0.05%、V0.01%)未満ではこれらの効果が充分に得られず、一方上限(Mn0.70%,Cr0.30%、Zr0.30%,V0.10%)を越えれば、巨大な金属間化合物を生成し、強度低下を招く原因となるから、それぞれの含有量の上限、下限を定めた。ここで、再結晶粒を微細化して耐応力腐食割れ性を向上させるためには、これらの元素のうち、1種または2種以上を添加すれば良い。なお、Cr、Zr、Vの各添加量の上限がMnの添加量上限と比べて低いのは、Cr、Zr、Vの添加量を多くすれば、焼き入れ感受性が敏感になり、強度低下を招くからである。またここで、Mn、Cr、Zr、Vの合計量も重要であり、これらの元素の合計量が0.25%未満では再結晶粒微細化、耐応力腐食割れ性の向上効果が充分に得られないから、これらのMn+Cr+Zr+Vの合計添加量を0.25%以上とする。さらに望ましくは、これらの合計量は0.40%以上とする。
Tiは通常のアルミニウム合金において鋳造組織の微細化のために添加される元素であるが、この発明の場合、Tiの添加は鋳造組織の微細化のみならず、再結晶粒の微細化、ひいては溶接後の耐応力腐食割れ性のためにも有効である。ここで、Tiが0.01%未満では、再結晶粒微細化の効果が充分に得られず、一方Tiが0.20%を越えれば、その効果は飽和するばかりでなく、粗大化合物の生成のおそれがあり、そこでTiは0.01〜0.20%の範囲内とした。
またBはTiとともに鋳塊組織微細化のために添加することが多い元素であるが、この発明の場合、Tiとともに添加することによって、鋳塊組織の微細化のみならず、再結晶粒の微細化にも寄与する。さらにCも、Tiとともに添加することにより再結晶粒微細化の効果が得られる。そこで、TiとともにBおよびCのいずれか一方又は双方を微量添加することは許容される。なおBが0.001%未満、Cが0.01%未満では、再結晶粒微細化の効果が充分に得られず、一方Bが0.05%、Cが0.5%を越えれば、その効果は飽和するばかりでなく、粗大化合物の生成のおそれがあり、そこでB、Cを添加する場合、Bは0.001〜0.05%、Cは0.01〜0.5%の範囲内とした。
Claims (6)
- Zn2.0〜3.9%(mass%、以下同じ)、Mg0.1〜3.5%を含有し、しかもZnおよびMgの合計量が4.0〜6.0%の範囲内にあり、さらにCu0.02〜0.20%、Ti0.01〜0.20%を含有し、またMn0.20〜0.70%、Cr0.10〜0.30%、Zr0.05〜0.30%、V0.01〜0.10%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、かつMn、Cr、Zr、Vの合計量が0.25%以上であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、耐応力腐食割れ性に優れた溶接可能な鍛造用アルミニウム合金。
- 請求項1に記載の鍛造用アルミニウム合金において、さらにB0.001〜0.05%、C0.01〜0.5%のうちから選ばれた1種または2種を含むことを特徴とする、耐応力腐食割れ性に優れた溶接可能な鍛造用アルミニウム合金。
- 請求項1もしくは請求項2に記載の鍛造用アルミニウム合金において、さらにZnおよびMgの合計量が4.3〜5.5%の範囲内とされていることを特徴とする、耐応力腐食割れ性に優れた溶接可能な鍛造用アルミニウム合金。
- 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の鍛造用アルミニウム合金を用いて製造したアルミニウム合金鍛造品であって、該アルミニウム合金鍛造品を溶接した後1ヶ月間の自然時効により鍛造品溶接材の引張強さが鍛造品母材の80%以上まで回復することを特徴とするアルミニウム合金鍛造品。
- 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の鍛造用アルミニウム合金を用いて製造したアルミニウム合金鍛造品であって、該アルミニウム合金鍛造品を溶接した鍛造品溶接材が、鍛造品母材と実質的に同等の耐応力腐食割れ性を有することを特徴とするアルミニウム合金鍛造品。
- 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の鍛造用アルミニウム合金を用いて製造したアルミニウム合金鍛造品であって、該アルミニウム合金鍛造品を溶接した後1ヶ月間の自然時効を行なった鍛造品溶接材の引張強さが209N/mm2以上、耐力が163N/mm2以上、かつ伸びが20%以上であることを特徴とするアルミニウム合金鍛造品。
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