JP4932249B2 - タンパク質固定化用金属微粒子分散液およびタンパク質固定化金属微粒子分散液 - Google Patents

タンパク質固定化用金属微粒子分散液およびタンパク質固定化金属微粒子分散液 Download PDF

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Description

本発明は、特定の安定化剤を所定量吸着しているために、抗体等の蛋白質等を高率で固定化(吸着)することができるとともに、蛋白質を固定化する際および/または固定化した後も凝集することなく安定に分散状態を維持することができ、このためバイオマーカー、イムノクロマト等に好適に用いることのできるタンパク質固定化用金属微粒子分散液およびタンパク質固定化金属微粒子分散液に関する。
従来、金属微粒子、特に貴金属微粒子は、バルク金属には見られない微粒子に特有の性質を活かして、化学的に安定な金属顔料、導電性ペースト、化学反応の触媒、タンパク質の染色、大腸癌や妊娠検査等の体外診断薬用イムノクロマト用発色試薬、組織染色試薬等に用いられている。
従来、タンパク質の染色(バイオマーカー)、イムノクロマト等には金属微粒子に抗体用タンパク質を固定化したAu、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cu等からなる金属微粒子が
用いられる。
しかしながら、従来の金属微粒子は、タンパク質を固定化する際、あるいは抗体用タンパク質を固定化した金属微粒子による検査の際、金属微粒子あるいは抗体用タンパク質を固定化した金属微粒子が凝集し、染色が不鮮明となり検査の精度が低下する等の問題があった。
本発明者等は鋭意検討した結果、金属微粒子に、予め特定の安定化剤を所定量吸着させておくと、金属微粒子を凝集させることなく蛋白質を高率で固定化することができるとともに、抗体あるいは蛋白質等を固定化した後も凝集することなく安定であることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]金属微粒子表面に二塩基性有機酸化合物および/または三塩基性有機酸化合物から選
ばれる1種以上の安定化剤を吸着してなり、
安定化剤のモル数(MMS)と金属微粒子の金属のモル数(MM)とのモル比(MMS)/
(MM)が2〜7の範囲にある金属微粒子を含むタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
[2]さらに、安定化剤としてアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤
を含んでなる[1]のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
[3]さらに、カチオン性成分および/またはアニオン性成分を含んでなり、カチオン性成
分のモル数(MC)と金属のモル数(MM)とのモル比(MC)/(MM)が0.5〜15の範囲にあり、アニオン性成分のモル数(MA)と金属のモル数(MM)とのモル比(MA
/(MM)が0.1〜10の範囲にある[1]または[2]のタンパク質固定化用金属微粒子分
散液。
[4]カチオン性成分としてアルカリ金属カチオン、NH4 +を含み、アニオン性成分として
、Cl-、SO4 -、NO3 -、PO4 2-、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、マレイン酸、フタル酸、アルギン酸、シュウ酸、L-アスコルビン酸、クエン酸を含む[3]のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
[5]前記金属微粒子がAu、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cuから選ばれる1種以上の金属からなる[1]〜[4]のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
[6]前記金属微粒子の平均粒子径が10〜200nmの範囲にある[1]〜[5]のタンパク質
固定化用金属微粒子分散液。
[7] 流動電位測定で求めた前記金属微粒子の表面電荷量が、100〜400μeq/gの範囲にある[1]〜[6]のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
[8金属微粒子にタンパク質が固定化されている][1]〜[7]のタンパク質固定化用金属微粒
子分散液。
[9]前記タンパク質が抗体、標準抗体、アルブミン、グロブリンから選ばれる1種以上で
ある[8]のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
[10]前記タンパク質の固定化量が金属微粒子1重量部当たり0.25〜0.75重量部の範囲にある[8]または[9]のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
本発明によれば、特定の安定化剤が金属微粒子に所定量吸着し、且つイオン性成分が所定量金属微粒子に吸着して含まれているので分散安定性に優れ、タンパク質を効率的に固定化(吸着)することができ、且つ、タンパク質を固定化した後も凝集することなく安定に分散状態を維持することができ、さらに、抗原タンパク質と接触させても凝集することなく固定化することができるので、抗原抗体反応例えばイムノクロマト用等に好適に用いることができる。
以下に、本発明に係る金属微粒子分散液について説明する。本発明で使用されるタンパク質固定化用金属微粒子とは、タンパク質が固定化される前のものも、固定化された後のものの双方とも含む。
金属微粒子
本発明に係る金属微粒子は、二塩基性有機酸化合物および/または三塩基性有機酸化合物から選ばれる1種以上の安定化剤を吸着した金属微粒子であって、安定化剤のモル数(MMS)と金属微粒子の金属のモル数(MM)とのモル比(MMS)/(MM)が2〜7の範囲にあることを特徴としている。
本発明に用いる金属微粒子としては、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cuから選ばれ
る1種以上の金属を主成分とする金属あるいは合金からなっている。2種以上の金属を主成分とする金属微粒子としてはAu-Ag、Au−Pd、Au−Pt、Au−Rh、Au
−Ru、Ag−Pd、Ag-Pt、Ag−Cu、Au-Ag-Pd等が挙げられる。
このような金属微粒子は、表面プラズモン共鳴に起因する可視領域での吸収ピークを示すため染色性が良好であるとともに、抗体並びに蛋白質との吸着性も高いので好ましい。
金属微粒子の平均粒子径は10〜200nm、さらには20〜100nmの範囲にあることが好ましい。金属微粒子の平均粒子径が小さすぎると、抗体あるいは蛋白質の吸着により、金属微粒子が凝集しやすく、分散液の安定性も劣化することがある。金属微粒子の平均粒子径が大きすぎても、金属微粒子が沈降しやすく、さらには抗体あるいは蛋白質が吸着できる表面積が低下するために染色性が劣ることがある。
安定化剤
このような金属微粒子表面に、安定化剤が吸着している。
本発明に用いる安定化剤としては、二塩基性有機酸化合物および/または三塩基性有機酸化合物から選ばれる1種以上が用いられる。(以下、これらを安定化剤(1)ということ
がある。)
これらの安定化剤は、金属微粒子表面に蛋白質が吸着させやすくする効果があり、この
ため、蛋白質の固定化を促進でき、染色性を高くすることができる。
二塩基性有機酸化合物としては酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、マレイン酸、フタル酸、アルギン酸、シュウ酸、L-アスコルビン酸等およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の化合物が挙げられる。
三塩基性有機酸化合物としては、クエン酸およびクエン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの安定化剤は、アニオン性安定化剤であるので、特に金属微粒子水分散液の表面電荷を中和しないので分散性、安定性を阻害し難く、さらに、低分子量の化合物のため抗体あるいは蛋白質の吸着を阻害し難いので好適に使用できる。
また、安定化剤の吸着量は、安定化剤のモル数(MMS)と金属微粒子の金属のモル数(MM)とのモル比(MMS)/(MM)が2〜7、さらには2〜6の範囲にあることが好ましい。
前記モル比(MMS)/(MM)が小さいと、分散液の安定性が不充分となり、抗体等の
蛋白質の吸着により凝集することがある。前記モル比(MMS)/(MM)が大きすぎても
、金属微粒子表面に蛋白質が吸着する場所が著しく減少し、固定化を阻害することがあり、染色性も不充分となることがある。
なお安定化剤の吸着量はキャピラリー電気泳動法により測定することができる。また、その測定によって、吸着量が少ない場合は、不足分を追加してもよい。
さらに、本発明に係る金属微粒子分散液は、前記安定剤(1)とともに安定化剤としてア
ニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を含んでなることが好ましい。(以下、安定化剤(2)ということがある。)
なお、カチオン性界面活性剤を用いると、i)金属微粒子の表面電荷が負であるので、静電的に凝集する傾向にあり、ii)アミノ酸等は通常酸性域では正電荷であるので蛋白質の
吸着を阻害することがあるので、通常使用されない。
アニオン性界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、脂肪酸等が挙げられる。
このような界面活性剤の含有量は、金属微粒子1重量部に対して0.025〜0.50重量部、さらには0.05〜0.25重量部の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤の含有量が0.025重量部未満の場合は、金属微粒子の流動電位が不充分となり、抗体あるいは蛋白質の吸着の際に金属微粒子が凝集することがある。
界面活性剤の含有量が0.50重量部を超えると、抗体あるいは蛋白質の固定化を阻害し、染色性も不充分となることがある。
本発明では、流動電位測定で求めた前記金属微粒子の表面電荷量が、100〜400μeq/g、さらには150〜390μeq/gの範囲にあることが好ましい。
表面電荷量が小さい場合は、金属微粒子表面の負電荷が不充分であり、金属微粒子が凝集することがある。表面電荷量が大きすぎると、負電荷が多すぎて静電反発によりタンパク質が接近し難く、このため固定化が困難となることがある。
流動電位は、金属微粒子濃度を25ppmに調整した分散液について、Particle Charg
e Detector(PCD)装置(Mutech製)にて高分子カチオン滴定液(高分子カチオン=Polydimethyl diallyl ammonium chloride、濃度 0.001N)を滴定し、滴定量
から表面電荷量を求めることによって測定することができる。
なお、流動電位は、安定化剤およびカチオン性および/またはアニオン性成分の吸着後に行われる。
カチオン性成分および/またはアニオン性成分
さらに、本発明に係る金属微粒子分散液は、金属塩、安定化剤、還元剤等に由来するカチオン性成分および/またはアニオン性成分を含んでなり、カチオン性成分のモル数(MC)と金属のモル数(MM)とのモル比(MC)/(MM)が0.5〜15、さらには1〜3の範囲にあり、アニオン性成分のモル数(MA)と金属のモル数(MM)とのモル比(MA
)/(MM)が0.1〜10、さらには0.2〜3の範囲にあることが好ましい。
カチオン性成分としては、Na+、K+等のアルカリ金属カチオン、NH4 +等が挙げられ
る。
アニオン性成分としては、Cl-SO 4 2- 、NO3 -PO 4 3- 、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、マレイン酸、フタル酸、アルギン酸、シュウ酸、L-アスコルビン酸、クエン酸などのカルボン酸イオン等が挙げられる。
通常これらは、塩やアルカリ塩、酸、有機酸、有機酸塩として添加され、たとえば塩としては、NaOH、KOH、NH4OH、NaCl、KNO3、HCl、H2SO4、HNO3などが用いられる。
カチオン性成分のモル数(MC)と金属のモル数(MM)とのモル比(MC)/(MM)が小さすぎると、金属微粒子表面の負電荷が増大しすぎて静電反発によりタンパク質が接近し難く、このため固定化が困難となることがある。カチオン性成分のモル数(MC)と金
属のモル数(MM)とのモル比(MC)/(MM)が大きすぎても、金属微粒子表面の負電
荷が中和されて凝集しやすくなり、色調の鮮明さが低下することがある。
アニオン性成分のモル数(MA)と金属のモル数(MM)とのモル比(MA)/(MM)が小さいと、金属微粒子表面の負電荷が減少するために抗体あるいはタンパク質の吸着により金属微粒子が凝集しやすくなり、色調の鮮明さが低下することがありり、またアニオン性成分のモル数(MA)と金属のモル数(MM)とのモル比(MA)/(MM)が大きすぎても、金属微粒子表面の負電荷が増大しすぎて静電反発により抗体あるいはタンパク質が接近し難く、このため固定化が困難となることがある。
本発明に係るタンパク質固定化用金属微粒子分散液は、金属微粒子にタンパク質が固定化されている。このように蛋白質が固定化されたものが、各種用途に適用される。
タンパク質固定化用金属微粒子分散液の濃度は、安定分散することができ、タンパク質を固定化する際に凝集しなければ特に制限はないが、通常、金属微粒子として5ppm〜5重量%、好ましくは10〜1000ppmの範囲にある。
また、タンパク質固定化用金属微粒子分散液は、タンパク質を固定化するに際して希釈あるいは濃縮されていてもよい。
タンパク質としては、タンパク質の染色、イムノクロマト等に用いられる従来公知のタンパク質を用いることができる。
具体的には、アルブミン、ヘモグロビン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、リパーゼ、アミラーゼ、グロブリン等が挙げられる。なかでも、アルブミン、グロブリンは好適に用いることができる。
前記タンパク質の固定化量が金属微粒子1重量部当たり0.25〜0.75重量部、さ
らには0.3〜0.6重量部の範囲にあることが好ましい。
タンパク質の固定化量が金属微粒子1重量部当たり0.25重量部未満の場合は、抗原タンパク質が少ないために抗原抗体反応の効率が低下する場合がある。
タンパク質の固定化量が金属微粒子1重量部当たり0.75重量部を超えると、金属微粒子が凝集することがあり、抗原抗体反応が阻害される場合がある。
添加されたタンパク質の全量が固定化することも可能であるが、一部が金属微粒子上に固定化され、他は分散液中に存在していてもよい。安定化剤、カチオン性成分、アニオン性成分の含有量によっても異なるものの、通常、固定化率は、35〜95重量%である。
固定化率を高めるためには、タンパク質が過剰とならないようにすることが重要であるが、さらに、安定化剤、カチオン性成分、アニオン性成分などの調整によって粒子凝集が起こらないようにすることが重要である。
タンパク質固定化金属微粒子分散液の濃度は、安定分散することができれば特に制限はないが、通常、金属微粒子として5ppm〜5重量%の範囲にある。分散液の濃度が低いと、抗原抗体反応に使用する場合、例えば基材に塗布して使用する際に金属量が低くなり所望の発色性が得られない場合がある。また、分散液の濃度が大きすぎると、抗原タンパク質を添加した際に凝集することがあり、発色が不鮮明になることがある。
したがって、タンパク質固定化金属微粒子分散液は、抗原抗体反応に使用するに、適宜好適な濃度となるように、希釈あるいは濃縮して用いることができる。
本発明に用いる金属微粒子分散液は以下の工程(a)〜(e)からなる製造方法により製造される。
(a)溶媒中で、前記安定化剤の存在下、前記1種以上の金属の塩に還元剤を添加してシード用金属微粒子分散液を調製する工程
(b)必要に応じて熟成する工程
(c)ついで、安定化剤の存在下、前記1種以上の金属の塩または前記1種以上の金属の塩と還元剤とを添加して金属微粒子を成長させる工程
(d)必要に応じて熟成する工程
(e)さらに安定化剤、界面活性剤およびカチオン性成分および/またはアニオン性成分の含有量を調整する工程。
工程(a)
本発明の工程(a)で用いる金属塩としては前記した金属の塩を用いることができ、具体的には、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cu等の硝酸塩、塩化物、硫酸塩、これらの
混合塩等が挙げられ、例えば、塩化金酸、亜硫酸金ナトリウム、塩化白金酸、ジニトロジアンミン白金、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硝酸銀、硝酸銅、塩化銅、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム等が用いられる。
中でもAu、Ag、Pd、Ptから選ばれる1種以上の金属はイオン化傾向が低いため、容易に還元されて微粒子が生成するので好適に用いることができる。
金属塩溶液の濃度は金属に換算して0.0005〜5重量%。さらには0.001〜3重量%の範囲にあることが好ましい。
金属塩溶液濃度が小さすぎると、収率が低下したり、濃度が低すぎて生産効率が低く経済性が低下する。
金属塩溶液の濃度が大きすぎると、濃度が高すぎて生成する金属微粒子が凝集する傾向があり、均一に分散した金属シード粒子が得られない場合がある。
溶媒としては、前記金属塩を溶解することができれば特に制限はなく、水、アルコール、グリコール等の有機溶媒およびこれらの混合溶媒を用いることができる。
なかでも有機溶媒としてはアルコールが好ましく、モノアルコール、多価アルコール例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノ
ン、エチレングリコールなどであれば、金属微粒子の還元生成が容易である。
溶媒として水を含んでいると、安定化剤の溶解度が高く、金属塩を還元した際に生成するシード用金属微粒子の表面に安定化剤が速やかにかつ充分に配位し、微粒子の凝集を抑制することができ、より均一なシード用金属微粒子を得ることができる。
このとき、溶媒中の水の割合は50重量%以上、さらには70〜100重量%の範囲にあることが好ましい。水の割合が少ないと、前記した安定化剤の溶解度が不充分となることがあり、より均一なシード用金属微粒子が得られないことがある。
安定化剤としては、前記したと同様の安定化剤が用いられる。なかでも、L-アスコルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウムは還元剤としても機能するので好適に用いることができる。
安定化剤のモル数(MMS)とシード用金属微粒子の金属のモル数(MM)とのモル比(
MS)/(MM)が2〜7、さらには2〜6の範囲にあることが好ましい。
前記モル比(MMS)/(MM)が小さいと、得られるシード用金属微粒子の分散安定性が
不充分で凝集することがあり、シード用金属微粒子としての機能を発揮することができず、最終的に得られる金属微粒子が不均一になり、例えば、大きすぎる金属微粒子が生成すると沈降することがあり、金属微粒子の粒子径が大きいと安定化剤吸着量が低下して分散安定性が不充分となることがある。また、モル比(MMS)/(MM)が大きすぎても、安
定化剤が多すぎて、前記安定化剤であっても後述する工程(c)での粒子成長が阻害されることがある。
さらに、安定化剤としてアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を用いることができる。アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤としては前記したと同様のものを用いることができる。
このような界面活性剤の使用量は、得られるシード用金属微粒子1重量部に対して0.025〜0.50重量部、さらには0.05〜0.25重量部の範囲となるように用いる
。界面活性剤の使用量が少ないと、表面電位が不十分であるため粒子成長させる場合に金属微粒子が凝集しやすく、界面活性剤の含有量が多すぎても、粒子成長させる場合に、金属塩の還元析出を阻害することがある。
還元剤としては、前記金属塩を還元することができれば特に制限はなく、具体的にはエタノール、メタノール、クエン酸、クエン酸ナトリム、L-アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、α-グルコース、硫酸鉄、塩化第一スズ等が挙げられる。中でも、L-アスコ
ルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウムは安定剤としても機能するので好ましい。なお、安定剤として、これらの還元剤を使用した場合、必ずしも還元剤の添加は必要としない。
還元剤の添加量は還元剤の種類によっても異なるが、前記溶媒としてのアルコールを除いて、金属塩のモル数(Mm)と還元剤のモル数(Mr)との比(Mr)/(Mm)が0.0
1〜10、さらには0.1〜8の範囲にあることが好ましい。前記モル比(Mr)/(Mm
)が小さいと、未還元の金属塩が残存する場合があり、均一な粒子が生成されない場合がある。前記モル比(Mr)/(Mm)が大きすぎても、還元剤が多すぎて、金属塩が急激に還元して析出し粗大な粒子が生成する場合がある。
次に、金属塩を還元する際の温度は0〜120℃、さらには5〜100℃の範囲にあることが好ましい。
金属塩を還元する際の温度が低い場合は、金属塩の種類および還元剤の種類によっても異なるが、還元に長時間を要したり、還元が不充分となることがある。
金属塩を還元する際の温度が高すぎても還元速度が速く、所望の粒子径のシード用金属微粒子を再現性よく得ることが困難である。
還元剤を添加する際は、還元剤が速やかに均一になるように添加することが好ましく、還元剤の種類によっても異なるが、金属塩溶液が乱流状態となるように撹拌を行うことが好ましく、例えば攪拌速度が200〜1000rpm、さらには300〜800rpmの範囲で撹拌することが好ましい。
撹拌速度が小さい場合は、金属微粒子の粒子径が不均一になる傾向がある。また撹拌速度を強くしてもシード用金属微粒子の粒子径変動係数がさらに小さくなることもないので、経済性、エネルギー効率などから適宜選択される。
なお、このような工程(a)は、不活性ガスまたは還元性ガス雰囲気下、通常は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
なお、本発明の金属微粒子(分散液)の製造方法では、添加順序は特に制限はなく、金属塩溶液に安定化剤、界面活性剤、還元剤を混合してもよく、還元剤溶液に金属塩溶液、安定化剤、界面活性剤を混合してもよい。
工程(b) (シードの熟成工程)
ついで、必要に応じて熟成を行う。なお、熟成工程はかならずしも必要がないものの、熟成することで均一なシード粒子が生成するとともに、未還元の塩も還元され残留することもない。
熟成する際の温度は80〜210℃、さらには90〜150℃の範囲にあることが好ましい。熟成温度が低いと、未還元の金属塩が残留しやすい上に小粒子の溶解析出反応が起きにくくなるため、均一な粒子が得られない場合がある。熟成温度が高すぎると、粒子同士の融着が生じ均一な粒子が得られない場合がある。
また、熟成時間は特に制限はないが、概ね1〜24時間である。
この工程(b)も、不活性ガスまたは還元性ガス雰囲気下、通常は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
こうして得られるシード用金属微粒子は平均粒子径が2〜30nm、さらには4〜20nmの範囲にある。
平均粒子径が前記範囲にあるものは、安定性が高く、粒子成長時に凝集することもなく、均一な成長粒子を得ることが可能となる。
工程(c) (粒子成長工程)
ついで、安定化剤の存在下、必要に応じて界面活性剤の存在下、前記1種以上の金属の塩または前記1種以上の金属の塩と還元剤とを、徐々にあるいは断続的に添加してシード用金属微粒子を成長させる。
シード用金属微粒子分散液は必要に応じて適宜金属微粒子の濃度を希釈または濃縮させてもよい。希釈には前記溶媒を加えればよく、濃縮するには溶媒を蒸発させたり、限外濾過膜法で濃縮することができる。
シード用金属微粒子分散液の濃度は、シード用金属微粒子の粒子径によっても異なるが
、金属として0.0005〜5重量%、さらには0.001〜1重量%の範囲にあることが好ましい。シード用金属微粒子分散液の濃度が低いとシード用金属微粒子が少なく、粒子成長が起きずに新たな金属微粒子が生じることがあり、得られる金属微粒子の粒子径分布が不均一になる傾向がある。また、シード用金属微粒子分散液の濃度が多すぎると、得られる金属微粒子に凝集粒子が混在することがある。
粒子成長工程で添加する金属塩は前記1種以上の金属の塩の中から所望の金属塩を添加することができる。このとき、金属種は金属微粒子と同種であってもよく、異なっていてもよい。
金属塩の添加量は、目的の粒子径となるように適宜調整されて添加される。
金属塩の添加速度は金属微粒子の粒子径、濃度および金属塩の種類等によって異なるが、1分〜48時間、さらには1〜24時間の範囲にあることが好ましい。
金属塩の添加速度が1分未満の場合は、全金属微粒子表面に金属塩が均一に吸着せず、
金属微粒子の粒子成長が不均一になると共に、新たな金属微小粒子が生成する場合がある。
金属塩の添加速度が48時間を越えてもさらに粒子径分布が均一になることもない。
工程(c)では、前記と同様の安定化剤を用いるが、安定化剤のモル数(MMS)と金属シード粒子と金属塩との金属の合計モル数(MM)とのモル比(MMS)/(MM)が2〜7、さらには2〜6の範囲にあることが好ましい。
前記モル比(MMS)/(MM)が小さいと、表面電位が不十分となり、粒子成長時に凝
集することがある。前記モル比(MMS)/(MM)が大きすぎても、還元される金属塩が
安定化して金属の析出が抑制され粒子成長が不充分となることがある。
なお、工程(c)では、モル比(MMS)/(MM)が前記範囲にあればよく、工程(b
)の後に残存する安定化剤の量を考慮し、合算量が上記範囲となるように必要量を新たに添加すればよい。
さらに、必要に応じて、前記工程(a)と同様の界面活性剤を用いることもできる。
また、還元剤も前記と同様の還元剤を用いることができる。シード用金属微粒子分散液に還元剤が残存している場合は、新たに添加する還元剤との合計のモル数(Mr)と工程(
c)で添加する金属塩のモル数(Mm)との比(Mr)/(Mm)が前記と同様0.1〜4、さらには0.2〜3の範囲にあることが好ましい。
工程(d) (粒径分布の均一化、分散安定性の向上)
ついで、必要に応じて熟成してもよい。熟成条件は、前記工程(b)と同様である。
このように熟成することによって、得られる金属微粒子の粒子径が均一となり、分散安定性が向上させることができる。
工程(e) (安定化剤等の調整)
ついで、必要に応じて工程(e)として、安定化剤、界面活性剤およびカチオン性成分および/またはアニオン性成分の含有量を調整してもよい。
カチオン性成分および/またはアニオン性成分は原料に由来するものも含まれる。
安定化剤、界面活性剤およびカチオン性成分および/またはアニオン性成分の含有量を調整する方法としては、安定化剤およびカチオン性成分および/またはアニオン性成分の含有量が所定の範囲となるように調整できれば特に制限はないが、例えばイオン交換樹脂法、限外濾過膜法等により、あるいはこれらを併用して減量する方法、あるいは新たに前
記した安定化剤、界面活性剤等を添加する方法が挙げられる。
安定化剤の含有量は、安定化剤のモル数(MMS)と金属微粒子の金属のモル数(MM
とのモル比(MMS)/(MM)は2〜7、さらには2〜6の範囲となるように調整される
界面活性剤は、金属微粒子1重量部に対して0.025〜0.50重量部、さらには0.05〜0.25重量部となるように濃度調整される。
カチオン性成分および/またはアニオン性成分は、カチオン性成分のモル数(MC)と
金属のモル数(MM)とのモル比(MC)/(MM)、アニオン性成分のモル数(MA)と金属のモル数(MM)とのモル比(MA)/(MM)が、前記範囲となるように調整される。
カチオン性成分および/またはアニオン性成分としては、前記したイオンの塩や、カルボン酸化合物が使用される。
このようにして得られる流動電位は100〜400μeq/g、さらには150〜390μeq/gの範囲にある金属微粒子の分散液が得られる。
次に、本発明に用いるタンパク質固定化金属微粒子分散液の製造方法について説明する。
上記タンパク質固定化用金属微粒子分散液を撹拌しながら所望の固定化用タンパク質を金属微粒子1重量部当たり0.25〜0.75重量部、好ましくは0.3〜0.6重量部の範囲となるように添加する。
タンパク質を固定化する際のタンパク質固定化用金属微粒子分散液の濃度は5ppm〜5重量%、さらには10ppm〜1重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が小さすぎると、抗原抗体反応に使用する場合、例えば基材に塗布して使用する際に金属量が低くなり所望の発色性が得られない場合がある。また、濃度が高すぎても、抗原タンパク質を添加した際に凝集することがあり、発色が不鮮明になることがある。
固定化用タンパク質を添加することによってタンパク質固定化金属微粒子分散液を得ることができるが、添加後、暫く放置することもできる。
このようにして得られたタンパク質固定化金属微粒子分散液は、タンパク質の固定化量が金属微粒子1重量部当たり0.25〜0.75重量部、さらには0.3〜0.6重量部の範囲にあることが好ましい。この範囲にあるものは抗原抗体反応の効率が高い。なお固定化量が少ない場合は、抗原タンパク質が少ないために抗原抗体反応の効率が低下することがある。固定化量が多すぎても、金属微粒子が凝集することがあり、抗原抗体反応が阻害される場合がある。
[実施例]
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1] (40nm金粒子)
タンパク質固定化用金属微粒子(M-1)分散液の調製
超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)9.5Kgにクエン酸3
ナトリウム(関東化学(株)製:試薬特級)2.3gを溶解させ、この溶液を、90℃に調整し、窒素雰囲気下、250rpmで攪拌しながら、これに、別途塩化金酸(和光純薬(
株)製:試薬特級)1gを超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)94gに溶解させた溶液を添加し、ついで、90℃で加熱熟成1時間することによってAuとしての濃度0.005重量%のシード用金属微粒子(M-1-1)分散液を得た。
このシード用金属微粒子(M-1-1)の平均粒子径は20nmであった。また、紫外可視分
光光度計(日本分光(株)製:U-vest560)で吸光スペクトルを調べたところ、吸収ピーク
が518nmであった。
ついでこのこのシード用金属微粒子(M-1-1)分散液983gに超純水(電気伝導度:0.
6μS/cm、TOC:10ppb)8518gを加え、クエン酸3ナトリウム(関東化学(株)製:試薬特級)2gを超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)205gに溶解させた溶液を添加し、98℃に昇温し、窒素雰囲気下、250rpmで攪拌しながら、これに、別途塩化金酸(和光純薬(株)製:試薬特級)0.6gを超純水(電
気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)85gに溶解させた溶液を4時間で添加し、ついで、100℃で1時間熟成し、Auとしての濃度0.003重量%の金属微粒
子(M-1-2)を得た。
ついで、限外濾過洗浄にて脱塩をした後に、金に対するクエン酸、Na、Clのモル比がそれぞれ6、15、5になるようにクエン酸、水酸化ナトリウム、塩酸を加えて調整し、Auとしての濃度0.0025重量%のタンパク質固定化用金属微粒子(M-1)分散液を得た。
このタンパク質固定化用金微粒子(M-1)の平均粒子径は41nmであった。また、紫外
可視分光光度計(日本分光(株)製:U-vest560)で吸光スペクトルを調べたところ、吸収
ピークが528nmであった。
得られた金属微粒子(M-1)分散液について、流動電位を測定し、結果を表に示した。
タンパク質固定化金属微粒子(M-1)分散液の調製
タンパク質固定化用金属微粒子(M-1)分散液80gにウシ血清アルブミン(BSA)2mgを添加し、室温にて10分間放置してタンパク質固定化金属微粒子(M-1)分散液を調製し
た。
タンパク質固定化金属微粒子(M-1)分散液について、以下のようにしてタンパク質の固
定化率および固定化量を求め、結果を表1に示した。
タンパク質固定化金属微粒子(M-1)分散液40gを遠心分離して固定化金属粒子を沈降
させ、上澄み液を採取した。採取した上澄み液1gとBCA試薬20gとを混合して60℃
にて30分攪拌したのち冷却した溶液の吸収スペクトルを測定した。一方、超純水80gとウシ血清アルブミン(BSA)2mgとを混合、遠心分離して得られた上澄み液1gとBCA
試薬20gとを混合して60℃にて30分攪拌したのち冷却した溶液を参照溶液として準備する。
吸収スペクトルの562nmの吸光度から固定化効率を算出する。固定化効率の算出式は下式のとおり。
[1−(固定化後上澄み液の吸光度)/(参照溶液の吸光度)]×100
安定性評価
タンパク質固定化金属微粒子(M-1)分散液について、以下のようにして安定性を評価し
、結果を表に示した。
タンパク質固定化金属微粒子(M-1)分散液40gにウシ血清アルブミン(BSA)1mgを添
加し室温にて10分間放置後、平均粒子径を測定して固定化前の平均粒子径と比較し、以下の基準で安定性を評価した。
金属微粒子は、通常、負の表面電位を有するのに対し、タンパク質は正の電位を有し、電位が中和されて、金属微粒子は凝集して平均粒子径として大きくなる。この度合いによって安定性を評価する。
変化倍率が1.2未満 :○
変化倍率が1.2以上、1.3未満 :△
変化倍率が1.3以上 :×
[実施例2] 60nm金粒子
タンパク質固定化用金属微粒子(M-2)分散液の調製
実施例1と同様に調製した金微粒子(M-1-2)分散液983gに超純水(電気伝導度:0.
6μS/cm、TOC:10ppb) 8517gを加え、クエン酸3ナトリウム(関東化
学(株)製:試薬特級)1gを超純水(電気伝導度:0.8μS/cm、TOC:10pp
b)206gに溶解させた溶液を添加し、98℃に昇温し、窒素雰囲気下、250rpm
で攪拌しながら、これに、別途塩化金酸(和光純薬(株)製:試薬特級)0.5gを超純水(電気伝導度:1.2μS/cm、TOC:15ppb)95gに溶解させた溶液を4時間
で添加し、ついで、100℃で1時間熟成してAuとしての濃度0.003重量%の金属
微粒子(M-2-2)分散液を得た。
ついで、限外濾過洗浄にて脱塩をした後に、金に対するクエン酸、Na、Clのモル比がそれぞれ5、14、4になるようにクエン酸、水酸化ナトリウム、塩酸を加えて調整し、Auとしての濃度0.0025重量%のタンパク質固定化用金属微粒子(M-2)分散液を得た。このタンパク質固定化用金属微粒子(M-2)の平均粒子径は58nmであった。また、紫外
可視分光光度計(日本分光(株)製:U-vest560)で吸光度を調べたところ、吸収ピークが
536nmであった。
タンパク質固定化金属微粒子(M-2)分散液の調製
実施例1において、タンパク質固定化用金属微粒子(M-2)分散液を用いた以外は同様に
してタンパク質固定化金属微粒子(M-2)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化金属微粒子(M-2)分散液について、タンパク質の固定化率、
固定化量を求め、また安定性を評価し、結果を表1に示した。
[実施例3] 100nm金粒子
タンパク質固定化用金属微粒子(M-3)分散液の調製
実施例2と同様に調製した金微粒子(M-2-2)分散液983gに超純水(電気伝導度:0.
6μS/cm、TOC:10ppb) 8517gを加え、クエン酸3ナトリウム(関東化
学(株)製:試薬特級)1gを超純水(電気伝導度:0.8μS/cm、TOC:10pp
b)206gに溶解させた溶液を添加し、98℃に昇温し、窒素雰囲気下、250rpm
で攪拌しながら、これに、別途塩化金酸(和光純薬(株)製:試薬特級)0.5gを超純水(電気伝導度:1.2μS/cm、TOC:15ppb)95gに溶解させた溶液を4時間
で添加し、ついで、100℃で1時間熟成し、Auとしての濃度0.003重量%の金属
微粒子(M-3-2)分散液を得た。
ついで、限外濾過洗浄にて脱塩をした後に、金に対するクエン酸、Na、Clのモル比がそれぞれ4、10、3になるようにクエン酸、水酸化ナトリウム、塩酸を加えて調整し、Auとしての濃度0.0025重量%のタンパク質固定化用金属微粒子(M-3)分散液を得た。このタンパク質固定化用金属微粒子(M-3)の平均粒子径は123nmであった。また、紫
外可視分光光度計(日本分光(株)製:U-vest560)で吸光度を調べたところ、吸収ピーク
が580nmであった。
タンパク質固定化金属微粒子(M-3)分散液の調製
実施例1において、タンパク質固定化用金属微粒子(M-3)分散液を用いた以外は同様に
してタンパク質固定化金属微粒子(M-3)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化金属微粒子(M-3)分散液について、タンパク質の固定化率、
固定化量を求め、また安定性を評価し、結果を表に示した。
[実施例4] 60nm金粒子+ノニオン界面活性剤
タンパク質固定化用金属微粒子(M-4)分散液の調製
実施例2と同様に調製したAuとしての濃度0.0025重量%のタンパク質固定化用
金属微粒子(M-2)分散液に非イオン性界面活性剤(花王(株)製)を濃度が10ppmと
なるように加えてタンパク質固定化用金属微粒子(M-4)分散液を調製した。
タンパク質固定化金属微粒子(M-4)分散液の調製
実施例1において、タンパク質固定化用金属微粒子(M-4)分散液を用いた以外は同様に
してタンパク質固定化金属微粒子(M-4)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化金属微粒子(M-4)分散液について、タンパク質の固定化率、
固定化量を求め、また安定性を評価し、結果を表1に示した。
[比較例1]低クエン酸、低Na、低Cl
タンパク質固定化用金属微粒子(RM-1)分散液の調製
実施例1と同様に調製したAuとしての濃度0.0025重量%のタンパク質固定化用
金属微粒子(M-1)分散液を、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂にて処理してタン
パク質固定化用金属微粒子(RM-1)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化用金属微粒子(RM-1)分散液の金に対するクエン酸、Na、Clのモル比がそれぞれ0.9、3.8.1.6であった。
タンパク質固定化金属微粒子(RM-1)分散液の調製
実施例1において、タンパク質固定化用金属微粒子(RM-4)分散液を用いた以外は同様にしてタンパク質固定化金属微粒子(RM-4)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化金属微粒子(RM-1)分散液について、タンパク質の固定化率、固定化量を求め、また安定性を評価し、結果を表1に示した。
[比較例2]高クエン酸、低Na
タンパク質固定化用金属微粒子(RM-2)分散液の調製
比較例1と同様に調製したタンパク質固定化用金属微粒子(RM-1)分散液に、金に対してクエン酸、Clのモル比がそれぞれ8、4となるようにクエン酸と塩酸を加えて調整し、タンパク質固定化用金属微粒子(RM-2)分散液を調製した。
タンパク質固定化金属微粒子(RM-2)分散液の調製
実施例1において、タンパク質固定化用金属微粒子(RM-2)分散液を用いた以外は同様にしてタンパク質固定化金属微粒子(RM-2)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化金属微粒子(RM-2)分散液について、タンパク質の固定化率、固定化量を求め、また安定性を評価し、結果を表1に示した。
[比較例3]
タンパク質固定化用金属微粒子(RM-3)分散液の調製
超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)9.5Kgに濃度80重
量%のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド(THPC)溶液(東京化成工業(株)製:THPC)2.0gを溶解させ、この溶液を、90℃に調整し、窒素雰囲気下、250rpmで攪拌しながら、これに、別途塩化金酸(和光純薬(株)製:試薬特級)1gを超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)94gに溶解させた溶液
を添加し、ついで、90℃で加熱熟成1時間することによってAuとしての濃度0.003重量%のシード用金属微粒子(RM-3-1)分散液を得た。
このシード用金属微粒子(RM-3-1)の平均粒子径は20nmであった。また、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製:U-vest560)で吸光スペクトルを調べたところ、吸収ピーク
が518nmであった。
ついでこのシード用金属微粒子(RM-3-1)分散液983gに超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)8518gを加え、安定剤として濃度80重量%のテト
ラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド溶液(東京化成工業(株)製:THPC)1.7gを超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)205gに溶解
させた溶液を添加し、98℃に昇温し、窒素雰囲気下、250rpmで攪拌しながら、これに、別途塩化金酸(和光純薬(株)製:試薬特級)0.6gを超純水(電気伝導度:0.6μS/cm、TOC:10ppb)85gに溶解させた溶液を4時間で添加し、ついで、
100℃で1時間熟成し、Auとしての濃度0.003重量%の金属微粒子(RM-3-2)を得
た。
ついで、限外濾過洗浄にて脱塩をした後に、金に対するテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、Na、Clのモル比がそれぞれ6、15、5になるようにテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、水酸化ナトリウム、塩酸を加えて調整し、Auとしての濃度0.0025重量%のタンパク質固定化用金属微粒子(RM-3)分散液を
得た。
このタンパク質固定化用金微粒子(RM-3)の平均粒子径は43nmであった。また、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製:U-vest560)で吸光スペクトルを調べたところ、吸収
ピークが528nmであった。
得られた金属微粒子(RM-3)分散液について、流動電位を測定し、結果を表に示した。
タンパク質固定化金属微粒子(RM-3)分散液の調製
実施例1において、タンパク質固定化用金属微粒子(RM-3)分散液を用いた以外は同様にしてタンパク質固定化金属微粒子(RM-3)分散液を調製した。
得られたタンパク質固定化金属微粒子(RM-3)分散液について、タンパク質の固定化率、固定化量を求め、また安定性を評価し、結果を表1に示した。
Figure 0004932249

Claims (8)

  1. 金属微粒子表面に、安定化剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、マレイン酸、フタル酸、アルギン酸、シュウ酸またはL-アスコルビン酸の化合物を吸着してなり、
    安定化剤のモル数(MMS)と金属微粒子の金属のモル数(MM)とのモル比(MMS)/(MM)が2〜7の範囲にある金属微粒子を含み、
    さらに、カチオン性成分および/またはアニオン性成分を含んでなり、カチオン性成分のモル数(M C )と金属のモル数(M M )とのモル比(M C )/(M M )が0.5〜15の範囲にあり、アニオン性成分のモル数(M A )と金属のモル数(M M )とのモル比(M A )/(M M )が0.1〜10の範囲にあり、
    流動電位測定で求めた前記金属微粒子の表面電荷量が、100〜400μeq/gの範囲にあることを特徴とするタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
  2. さらに、安定化剤としてアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
  3. カチオン性成分としてアルカリ金属カチオンまたはNH4 +を含み、アニオン性成分として、Cl-SO 4 2- 、NO3 - またはPO 4 3- を含むことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
  4. 前記金属微粒子がAu、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cuから選ばれる1種以上の金属からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
  5. 前記金属微粒子の平均粒子径が10〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
  6. 前記金属微粒子が下記の工程(a)〜(e)製造法により製造された金属微粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
    (a)溶媒中で、安定化剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、マレイン酸、フタル酸、アルギン酸、シュウ酸またはL-アスコルビン酸またはその塩の存在下、金属塩に還元剤を添加してシード用金属微粒子分散液を調製する工程、
    (b)前記分散液を熟成する工程、
    (c)前記熟成後の分散液に、前記安定化剤の存在下、金属塩と還元剤を添加して金属微粒子を成長させる工程、
    (d)前記分散液を熟成する工程、
    (e)熟成後の分散液の安定化剤、およびカチオン性成分および/またはアニオン性成分の含有量を調整する工程。
  7. 金属微粒子に、タンパク質としてアルブミンまたはグロブリンが固定化されていることを特徴とする請求項1〜6に記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
  8. 前記タンパク質の固定化量が金属微粒子1重量部当たり0.25〜0.75重量部の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載のタンパク質固定化用金属微粒子分散液。
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