JP4931774B2 - 翼部材 - Google Patents
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Description
図4は、従来の翼部材の断面図である。図5は、図4に示す翼部材を一様な気流中に設置した状態を示す断面図である。
図4に示す翼部材100は、翼型中心線αが翼弦線βに対して背側の翼面110側に向かって反った翼型を有している。そして、翼部材100は、気流が流れる方向に対して所定の迎角γで設置される。
そして、翼部材100の周囲では、翼部材100の周囲に発生した気流の循環dと一様流とが重なることによって、図5(c)に示す定常な流れが形成される。
ここで、翼部材100に発生する揚力は、気流の循環dの速度に比例して増加する。
そこで、従来、翼部材の周りに循環流れを強制的に生成することによって揚力の増加を図る発明として、例えば、図6に示すものが知られている(特許文献1参照)。
図6に示す翼部材200は、前縁210及び後縁220に、それぞれ駆動軸230が設けられている。また、翼部材200の背側の翼面240及び腹側の翼面250に、それぞれ複数のローラ260が設けられている。また、両駆動軸230及び複数のローラ260には、ベルト270が掛け渡されている。
そして、翼部材200では、両駆動軸230を回転させることにより、ベルト270を介して複数のローラ260が回転される。これにより、翼部材200では、両翼面240,250の周囲に流体の循環を生成し、揚力を増大させている。
本発明は上記した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単な構造で揚力を増大させることが可能な翼部材を提供することにある。
本実施の形態では、本発明に係る翼部材を風力発電機用のブレードに適用した場合について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る風力発電機の側面図である。図2は、図1に示す風力発電機に備えられるブレードの断面図である。図3は、図2に示すブレードを一様な気流中に設置した状態を示す断面図である。
図1に示す風力発電機1は、発電機10に接続された円筒状の垂直回転軸20と、垂直回転軸20を中心にして一定角度ごとに複数配設されたブレード30とを備えている。本実施の形態では、風力発電機1は、4枚のブレード30を備えている。なお、図1では、手前側のブレード30の図示を省略している。
垂直回転軸20の上端部及び下端部には、それぞれハブ(図示せず)が配設されている。
そして、各ブレード30は、腹側翼板34を垂直回転軸20側に向けて、一対の支持部材50を介して、垂直回転軸20の両ハブに接続されている。
ここで、本発明の特徴は、各ブレード30の背側翼板33の背側翼面33aに、渦発生手段(図示せず)が設けられている点にある。ここで、渦発生手段とは、各ブレード30が一様流中に設置された際に、背側翼板33の背側翼面33aで、微小な気流の渦e(図3参照)を発生させるものをいう。
渦発生手段を有するブレード30が一様流中に配置されると、図5に示す翼部材100の場合と同様に、図3(a)に示すように、背側翼面33aを流れる気流aに対して同一の向き、腹側翼面34aを流れる気流bに対して逆の向きの気流の循環dが、ブレード30の周囲に発生する。ここで、各ブレード30では、切返し部37が設けられていることにより、気流の循環dが発生し易くなっている。
一方、一様流中に設置されたブレード30では、背側翼板33の背側翼面33aに形成された渦発生手段により、背側翼面33aに微小な気流の渦eが発生する。これにより、ブレード30では、ブレード30の周囲に発生した気流の循環dが、渦発生手段により発生した微小な渦e上を流れることとなる。したがって、ブレード30では、気流の循環dに背側翼面33aからの摩擦力が作用しないため、気流の循環dの速度が遅くなることを防止できる。
このように、ブレード30によれば、背側翼面33aに渦発生手段を設けるという簡単な構造で揚力を増大させることが可能となる。
第一の変形例に係るブレードは、ブレード30において、渦発生手段が、背側翼板33の背側翼面33aに形成された微小な半球状の凸部からなる。そして、渦発生手段は、背側翼面33aの全域にわたって複数設けられている。各渦発生手段の形状は、上下方向から見て円形、ダイヤ形、四角形、五角形、六角形等から適宜変更することができる。
第1の参考例に係るブレードは、ブレード30において、渦発生手段が、背側翼板33の背側翼面33aに形成された微小な凹溝からなる。そして、渦発生手段は、背側翼面33aの全域にわたって複数設けられている。この場合、背側翼面33aでは、翼長方向に延びる渦発生手段を、前後方向に複数設ける構成としても構わない。また、背側翼面33aでは、渦発生手段を網目状に設ける構成としても構わない。渦発生手段を網目状に設ける場合、蜻蛉目又は鱗翅目の翅脈の文様の網目状とすることにより、さらに大きな揚力を得ることが可能となる。
第2の参考例に係るブレードは、ブレード30において、渦発生手段が、背面翼板33の背側翼面33aに形成された微小な凸条からなる。そして、渦発生手段は、背側翼面33aの全域にわたって複数設けられている。この場合、背側翼面33aでは、翼長方向に延びる渦発生手段を、前後方向に複数設ける構成としても構わない。また、背側翼面33aでは、渦発生手段を網目状に設ける構成としても構わない。渦発生手段を網目状に設ける場合、蜻蛉目又は鱗翅目の翅脈の文様の網目状とすることにより、さらに大きな揚力を得ることが可能となる。
また、背側翼面33aに渦発生手段を設ける際には、アルミ、アルミ合金、チタン、チタン合金、炭素材、炭素繊維等により形成された線材又は網材を背側翼面33aに固着することにより、渦発生手段を容易に設けることが可能となる。
第3の参考例に係るブレードは、ブレード30において、渦発生手段が、背側翼板33の背側翼面33aに形成され、ブレード30内の空間A,Bと外部とを連通する微小な貫通孔からなる。そして、渦発生手段は、背側翼面33aの全域にわたって複数設けられている。各渦発生手段の形状は、上下方向から見て円形、ダイヤ形、四角形、五角形、六角形等から適宜選択することができる。
10 発電機
20 垂直回転軸
30 ブレード
31 前縁
32 後縁
33 背側翼板
33a 背側翼面
34 腹側翼板
34a 腹側翼面
35 ブレードリブ
36 切欠き部
37 切返し部
50 支持部材
A 空間
B 空間
Claims (2)
- 背側の翼面と腹側の翼面とを有し、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、樹脂等により形成され、前記背側の翼面側に向く揚力を生じさせる翼部材であって、
前記背側の翼面に、渦発生手段が設けられ、前記渦発生手段が前記背側の翼面の全域にわたって複数設けられた凹部又は凸部からなり、前記凹部又は前記凸部が半球状に形成され、前後方向に沿って延びて前記背側の翼面を有する背側翼板と、前後方向に沿って延びて前記腹側の翼面を有する腹側翼板と、前記背側翼板の前端部及び前記腹側翼板の前端部に連続する円弧状の前縁と、前記背側翼板の後端部に連続する鋭角状の後縁とを有して流線型に形成され、翼型中心線が翼弦線に対して背側翼板側に向って反っており、前記背側翼板と前記腹側翼板との間に空間が設けられ、前記空間の前後方向の中間に、前記背側翼板と前記腹側翼板とを連結する柱状の複数のブレードリブが、それらの間を気流が流れるように配置され、前記腹側翼板の前記後縁側には、前記空間のうちの後側の空間と外部とを連通する切欠き部が設けられ、前記後縁には、前記腹側翼板の後端部に向かって延びる切返し部が設けられたことを特徴とする翼部材。 - 風力発電用のブレードであることを特徴とする請求項1に記載の翼部材。
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