以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
〔電子カメラの全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係る電子カメラの概略構成を模式的に示す断面図である。このカメラは、撮影レンズの交換が可能な一眼レフ方式のデジタルカメラである。
図1において、カメラCMは、カメラボディCB及びカメラボディCBに交換可能に装着される撮影レンズCLを備えて構成されている。撮影レンズCLは、レンズマウントLMを介して、カメラボディCBに装着される。カメラボディCBの上部には、ファインダ部FDが一体的に固定されている。但し、本発明は、レンズ交換式のカメラに用いて特に好適であるが、撮影レンズCLはカメラボディCBに一体的に固定されているカメラにも適用可能である。
カメラボディCBの内部には、高解像度(例えば、一千万画素)のCCDあるいはCMOS等の撮像素子10が取り付けられている。撮像素子10は、撮像面に結像される被写体の像を画像信号に変換して出力する。なお、撮像素子10の前面(撮影レンズCL側)には、赤外光をカットするための赤外カットフィルタ、画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタ、撮像面を保護するための保護ガラス等の光学部材としての、光学フィルタOFが設けられている。
光学フィルタOFには、異物除去手段の一例としての圧電素子(超音波振動子)PEが取り付けられている。この圧電素子PEは、自らが振動して光学フィルタOFに振動を付与することにより、光学フィルタOFの表面に付着している異物をはじき飛ばすためのものである。この実施形態では、圧電素子PEは、光学フィルタOFに接触した状態で、左右方向(図1で紙面に垂直な方向)に離間して、撮像素子10の撮像面の外側にそれぞれ1個ずつの計2つが設けている。但し、圧電素子PEは1個又は3個以上でもよく、光学フィルタOFを支持する支持枠等に取り付けてもよい。また、圧電素子PEは撮像素子10に振動を付与するように設けてもよい。
光学フィルタOFの表面(撮像面に対して反対側の面)には、帯電を防止し、その表面への異物の付着をできるだけ少なくするためのコーティング等が施されている。撮像素子10の撮像面と光学フィルタOFとの間の部分は密封空間となっており、外部からの異物の侵入により、撮像面に異物が付着してしまうことが防止されるようになっている。
撮像素子10は、電気的な制御により投影される被写体の像の露光時間を調節するための電子シャッタ(機能)を備えている。また、撮像素子10の前面側には、斜光部材を機械的に駆動して露光時間を調節するためのメカニカルシャッタ11が設けられている。このメカニカルシャッタ11は、詳細図示は省略するが、アクチュエータ等を備える駆動装置によって駆動される該斜光部材としての先幕及び後幕を有し、静止画の撮影のためのレリーズスイッチ(ボタン)が押下(全押し)されると、まず先幕が撮像素子10の撮像面を遮蔽している状態から該撮像面を開放する状態となるように走行され、予め設定されたシャッタ速度に相当する時間の経過後に、後幕が該撮像面を開放している状態から該撮像面を遮蔽する状態となるように走行される。先幕の走行後、後幕の走行が完了するまでの間、撮影レンズCLを介した被写体の像が撮像素子10の撮像面に結像されることになる。
ファインダ部FDは、撮影レンズCLや後述するクイックリターンミラーRM等を介して形成される被写体の光学像を目視観察するための光学式のファインダであり、フォーカシングスクリーン(焦点板)12、ペンタプリズム13、測光素子14、測光光学系15、接眼部(接眼レンズ)16等を備えて構成されている。測光素子14は、シャッタスピードや絞り値を決定するために、これに結像される像の明るさを測定する素子である。
カメラボディCBの背面には、撮像素子10に結像される画像を表示可能な画像表示モニタ(液晶パネル)17が設けられている。従って、被写体の像は、ファインダ部FDの接眼部16又は画像表示モニタ17の何れかを介して目視できるようになっている。なお、画像表示モニタ17には、画像の他に、後述する制御装置(101)による制御の下、各種のメニュー画面や選択画面等も表示されるようになっている。
カメラボディCB内において、撮像素子10の前面側(メカニカルシャッタ11よりも更に前面側)には、クイックリターンミラーRMが回動可能に軸支されている。クイックリターンミラーRMのメインミラー18の裏面側(下側)には、サブミラー19が設けられている。クイックリターンミラーRMは、図1中に2点鎖線で示すように、撮像素子10の撮像面に対して略45度で該撮像素子10の前面を遮断する、即ち撮影レンズCLの光路内に配置される位置に設定される第1姿勢(ミラーダウン状態)と、図1において時計方向に回動して撮像素子10の撮像面に対して略直交(フォーカシングスクリーン12の下側で略平行)となる、即ち撮影レンズCLの光路外に配置される位置に設定される第2姿勢(ミラーアップ状態)となるように、選択的に高速動作可能なミラーである。
クイックリターンミラーRMの駆動は、不図示の駆動装置により行われる。本実施形態では、クイックリターンミラーRMと上述したメカニカルシャッタ11の駆動は、同一の駆動装置によって行われるようになっている。但し、別の駆動装置によりそれぞれ駆動するようにしてもよい。クイックリターンミラーRMのメインミラー18はその一部(中央部近傍)がハーフミラー、その余の部分が全反射ミラーとなっており、クイックリターンミラーRMが第1姿勢にある状態で、撮影レンズCLからの光は、その殆どが該メインミラー18によってファインダ部FD(フォーカシングスクリーン12)側へ反射され、メインミラー18のハーフミラー部を透過した一部の光は、サブミラー19で反射されるようになっている。サブミラー19で反射された光は、不図示の光学系を介して、位相差検出方式のAF検出素子20に入射される。
なお、図1では、サブミラー19は、メインミラー18に一体的に固定されているように描かれているが、サブミラー19もその一端(メインミラー18側の一端)が回動可能に軸支されており、メインミラー18の動作に連動して回転して、クイックリターンミラーRMが第1姿勢にあるときには、メインミラー18のハーフミラーを透過した光を下方へ反射するような姿勢となり、クイックリターンミラーRMが第2姿勢にあるときには、メインミラー18とほぼ平行となるような姿勢となる。
クイックリターンミラーRMが第2姿勢に切り換えられると、撮影レンズCLからの光は上述したメカニカルシャッタ11を介して撮像素子10に入射される。位相差式AF検出素子20は、2つのラインセンサ及び入射される光を2つに分割して該ラインセンサにそれぞれ入射させるマスク等を備えて構成されている。マスクにより2つに分けられた光を2つのラインセンサ上にそれぞれ再結像させて、それぞれの像面位置の差を検出する。この差がピントのズレ量(デフォーカス量)に相当する。
撮影レンズCLは、被写体の像を撮像素子10の撮像面上に結像させるための撮影光学系である。図1では、撮影レンズCLは焦点距離が変更可能なズームレンズであるものとするが、単焦点レンズであってもよい。フィッシュアイレンズ、広角レンズ、望遠レンズ、マイクロレンズ等を任意に交換して装着することも可能である。
撮影レンズCLは、レンズ鏡筒内部に、メインレンズ、焦点距離調節レンズ、フォーカスレンズ(焦点調節レンズ)等を含む複数のレンズからなるレンズ係21,21、及び絞り22等を備えて構成されている。焦点距離調節レンズ及び焦点調節レンズは、それぞれ撮影レンズCLの光軸AXに沿う方向に移動可能に取り付けられている。
焦点距離調節レンズは、図示しないズーム環等を撮影者が手動で回すことにより、その光軸AX方向の位置が変化し、それに応じて撮影レンズCLの焦点距離を変化させることができるようになっている。焦点調節レンズは、駆動モータ(アクチュエータ)により光軸AXに沿う方向の位置が変化され、その位置の変化はエンコーダによりモニタされるようになっている。絞り22は、撮像素子10へ入射させる光の量を調節するための可変開口絞りであり、絞りの設定は、測光素子14の出力等に基づき、又は撮影者の手動操作により設定される。
カメラボディCBの上部又は背面には、図示は省略するが、撮影者が指示内容を手動入力するための各種のスイッチ、押しボタン、ダイヤル、十字キー等の操作部及び撮影モード等を含む各種の設定内容を表示するための情報表示パネル(画像表示モニタ17とは別の小型液晶パネル)等が配置されている。操作部としては、電源をオン/オフする電源ダイヤル、レリーズボタン、メニューボタン、項目選択十字キー、OKボタン(決定ボタン)等が設けられている。
クイックリターンミラーRMは、第1姿勢が基本姿勢であり、通常はこの姿勢となっていることにより、撮影者はファインダ部FDを介して、撮影レンズCLからの被写体の像を目視できるようになっている。静止画の撮影操作(レリーズボタンが全押しされる操作)がなされると、クイックリターンミラーRMが第2姿勢に切り換えられ、これとほぼ同時にメカニカルシャッタ11が作動された後、クイックリターンミラーRMは元の基本姿勢である第1姿勢に速やかに戻される。これにより、1枚の画像が撮像され、記録される。クイックリターンミラーRMが第2姿勢となることにより、ファインダ部FDへの被写体の像の供給は一瞬遮断される。なお、動画撮影や動画表示を行う場合には、クイックリターンミラーRMは、第2姿勢を継続的に維持するようになっている。
〔制御系の構成〕
図2は本実施形態に係る電子カメラの制御系の概略構成を示すブロック図である。同図において、101はマイクロコンピュータ等によって構成される制御装置(制御手段)であり、後述する各ブロックから出力される信号の入力を受けて所定の演算を行い、演算結果に基づいて制御信号を各ブロックへ出力する。なお、この制御装置101を含む各ブロックであって、電源を必要とするものには、不図示の電池(バッテリパック)から電力が供給されるようになっている。
SW1は上述した電源ダイヤルの回転位置に連動してオン/オフする電源スイッチである。SW2は上述したレリーズボタンの押下に連動して作動するスイッチであり、このレリーズスイッチSW2は、レリーズボタンを半押し位置まで押下することによりオンするスイッチと、該レリーズボタンを全押し位置まで押下することによりオンするスイッチとを有している。レリーズボタンは、半押し位置まで押下することにより焦点検出を指示し、全押し位置まで押下することにより撮影を指示するためのボタンである。
SW3はメニューボタンの押下に連動してオンされるメニュースイッチであり、メニューボタンが押下されることにより、画像表示モニタ17にメニュー画面が表示される。SW4は上述した項目選択十字キーの操作に連動して作動するスイッチであり、十字キーの上下左右の4箇所の押下にそれぞれ連動する4つのスイッチを有している。項目選択十字キーは、画像表示モニタ17に表示される選択項目を選択するためのカーソル移動キーである。SW5は上述したOKボタンに連動するスイッチであり、OKボタンは項目選択十字キーを用いて選択した項目を確定的に決定するためのボタンである。
撮像素子10は、撮影レンズCLを透過した被写体光を受光して画像信号(蓄積電荷としてのアナログ信号)を出力する。この撮像素子10の感度は、例えば、IS0100相当等の所定の感度SVが設定される。撮像素子10からの画像信号は、A/D変換回路(AFE)103に供給され、ゲイン調整などの処理が行われた後に、デジタル信号に変換され、画像処理回路105に送られる。タイミング回路104は、撮像素子10を駆動するタイミング信号及びA/D変換回路103に駆動するタイミング信号を出力する。
画像処理回路(画像処理エンジン)105は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成され、前述のA/D変換回路103から出力されるデジタル信号の原画像データ(RAW画像データ)を後述のバッファメモリ106へ出力する。また、デジタル信号である原画像データに対してホワイトバランス(WB)調整、輪郭補償、ガンマ補正などの画像処理、及び画像処理した後に所定の形式(JPEG、TIFFフォーマット等)で圧縮する圧縮処理(現像処理)等を行う。原画像データ又は圧縮処理後の画像データは、後述の記録媒体107へ出力される。
なお、原画像データを保存するか、圧縮後のデータを保存するかは、撮影者により入力指定された画質モード設定に従って行われる。後述するソフトウエア的に異物を除去するイメージダストオフの処理においては、圧縮処理は一般に不可逆圧縮であるため、原画像データ、即ちRAW画像データである撮影画像データ及び補正画像データが用いられる。また、記録媒体107に記録された画像は、このカメラにUSB等を介して接続されるパーソナルコンピュータ等に適宜転送し、あるいは記録媒体107をカメラから取り出して、読み取り装置を介してパーソナルコンピュータ等に読み込ませることができる。
バッファメモリ106は、原画像データや圧縮処理後の圧縮画像データを一時的に格納するためのメモリであり、SRAM、VRAM、SDRAM等を用いることができる。記録媒体107はフラッシュメモリなどから構成されるメモリカード等であって、圧縮処理後の画像データ又は原画像データを記録するものであり、カメラに対して着脱可能となっている。
表示駆動回路108は、入力された画像信号を画像表示モニタ17に出力して、当該画像を表示させるために画像表示モニタ17を駆動する回路である。画像表示モニタ17には、制御装置101による制御の下、表示駆動回路108を介して各種選択項目の表示画面等も表示される。シャッタ制御部109は、シャッタ11の先幕及び後幕の保持並びにそれぞれの解除を制御する。ミラー制御部110は、不図示のシーケンスモータの回転を制御して、クイックリターンミラーRMの第1姿勢と第2姿勢との間の切り換え動作を制御する。
測光制御部111は、撮影レンズCLを透過し、測光素子14の検出値に基づいてレンズ透過光量を算出する。焦点制御部112は、AF検出素子20の出力に基づいて、撮影レンズCLのフォーカスレンズを光軸AX方向に進退駆動する不図示のフォーカス駆動部に対する制御信号を出力する。ファインダ液晶113は、ファインダ部FD内に設けられ、接眼部16を介して目視可能な情報表示パネルである。
圧電素子制御部114は、撮像素子10の撮像面の前面に設けられた光学フィルタOFに振動を付与して、光学フィルタOFの表面に付着している異物を除去するための圧電素子PEの駆動を制御する。
〔ダストリムーバル〕
レンズ交換式の一眼レフカメラでは、レンズ交換作業中にカメラ外部から塵埃等の異物がカメラボディ内に侵入し、あるいはクイックリターンミラー等の可動部から削り粉等の異物が発生する場合がある。これらの異物が撮像素子の撮像面の前に設けられた光学フィルタOPの表面に付着した状態で、撮影を行うと、当該異物が撮影画像に写り込み、画質を低下させてしまうことになる。このような異物は、ブロアやクリーニングキットを用いて、撮影者自らが、あるいはサービスショップに持ち込んで、専門の担当者が清掃作業を行うことにより除去されることになるが、これらの作業は煩雑であり、撮影者が行う場合にはその技量により十分に清掃できなかったり、専門の担当者が行う場合には別途費用が発生し、頻繁には行い難いものである。
ダストリムーバル機能は、レンズを取り外すことなく、簡易な操作で、あるいは全自動で、フィルタ表面に付着した異物を除去する機能であり、上述したような清掃作業の頻度を減らし、あるいは不要とするための機能である。この実施形態の電子カメラでは、このダストリムーバル機能を実現するために、上述したように、撮像素子10の撮像面の前面に設けられた光学フィルタOFに振動を付与して、当該異物をはじき飛ばすことにより除去する圧電素子PEが設けられている。なお、この実施形態では、圧電素子により振動を与えて異物を除去する方式のものについて説明するが、ダストリムーバル機能を実現するための方式としては、これに限定されず、エアを吹き付け又は吸引する等により異物を除去するようなものであってもよい。
この実施形態では、ダストリムーバルは、カメラの電源オン時に自動的に起動し、又は撮影者の指示に応じて起動できるようになっている。まず、電源オン時に起動する場合について、説明する。
撮影者により電源ダイヤルがオン位置に設定され、これに連動する電源スイッチSW1がオンされると、制御装置101、画像処理回路105の初期化、撮影レンズCLが備えるレンズ制御系との通信の初期化等の各部の初期化、測光や焦点検出動作等が開始される。これらの動作と並行して、制御装置101による制御の下、圧電素子制御部114を介して、圧電素子PEの作動が開始、即ちダストリムーバルが開始され、圧電素子PEの振動により光学フィルタOF上に付着している異物が振るい落とされる。
圧電素子制御部114による圧電素子PEの駆動は、圧電素子PEの共振周波数で行われることが、異物の除去効率の観点から効果的であるが、圧電素子PEの共振周波数は温度等の変動に伴い変動する(ばらつく)ため、その変動範囲を網羅するように、共振周波数付近の周波数をスキャン、即ち共振周波数よりも低い周波数と高い周波数の範囲で周波数を順次ステップ変化させつつ駆動する。例えば、圧電素子PEの共振周波数が100KHzであるとした場合には、98KHzから102KHzの間を100Hzのステップで周波数を変化させつつ駆動する。各周波数における駆動時間は、例えば20mS(ミリ秒)とすることができる。
従って、この場合には、4KHzの範囲を100Hzのステップで、即ち40ポイントでそれぞれ20mSずつ駆動するので、全体として、約0.8秒を要することになる。通常、その他の初期処理に要する時間は、0.1S(秒)程度であり、ダストリムーバルの実行に伴い、その間撮影者は撮像の開始を待つ必要があるが、ダストリムーバルに要する時間は上述したように0.8S程度と短いので、操作上特に問題になることはないと考えられる。
但し、ダストリムーバル中に、レリーズボタンが押下される、即ち撮影の指示が撮影者からカメラに与えられる場合もあり得、その場合には、その他の初期化処理が終了していれば、撮影することが可能であるので、ダストリムーバルを中止して撮影動作に移行する。レリーズボタンの操作以外の操作、例えば、各種モードの設定変更等の場合には、ダストリムーバルは中止しない。
また、カメラは電源スイッチSW1がオンの状態のままで、所定の期間何らの操作も行われなかった場合には、省電力モードに移行するようになっている。省電力モードからの復帰(再起動)は、撮影者によるボタン操作等の何からの操作があった場合に行われ、この再起動の際にも、ダストリムーバルを実施するようにしてもよい。但し、この場合においては、再起動の要因がレリーズボタンの押下である場合には、速やかに撮影を行うことが求められるので、ダストリムーバルは最初から起動させないようにするのがよい。
上述した説明では、ダストリムーバルの自動起動は、電源がオンされた場合(又は省電力モードから復帰した場合)に一律に実施するようにしている。電源のオン/オフ操作は頻繁に行われることが多いので、こうすることにより、常に光学フィルタOFの表面を清浄な状態とすることができ、品質の高い画像を撮影することが可能となる。しかしながら、カメラ内での異物の発生は短期間で生じることはあまり無く、レンズ交換がなされた場合、即ち外気が進入した場合に発生することが多い。従って、撮影者による電源オン/オフの操作頻度によっては過剰となり効率的でない場合も考えられる。
このような場合には、制御装置101が備える時計に基づいて、前回のダストリムーバル実施日時(年月日時分をいう。以下同じ。)から予め決められた、あるいは撮影者により任意に設定された所定の期間が経過した後に、初めて電源がオンされた場合にダストリムーバルを実施し、所定の期間が経過していない場合には、電源がオンされても、ダストリムーバルを起動しないようにすることもできる。
また、これと併用し、あるいは単独で、レンズ交換の実施の有無を検出して、レンズ交換を実施した後、初めて電源がオンされた場合にダストリムーバルを実施し、レンズ交換が実施されていない場合には、電源がオンされても、ダストリムーバルを起動しないようにすることもできる。レンズ交換の有無の検出は、例えば、レンズマウントLMにレンズ装着の解除を検出するセンサを設け、あるいは撮影レンズCLが備えるレンズ情報に含まれる当該レンズの識別情報を検出して比較判断することにより行うことができる。
上述したダストリムーバルの自動起動(電源がオンされた場合に一律に行う、省電力モードからの復帰の際に行う、所定期間経過後に電源オンされた場合に行う、又はレンズ交換された後に電源オンされた場合に行う等)を選択可能なモードとして、撮影者が予め設定登録しておくことにより、それに応じて起動するようにしてもよい。
次に、撮影者が手動でダストリムーバルを起動させる方法について、撮影者による操作を中心に説明する。撮影者が、メニューボタンを押下すると、制御装置101は、所定のメインメニュー画面を画像表示モニタ17に表示する。このメインメニュー画面には、各種の選択項目の他に、「セットアップメニュー」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソル(項目のハイライト表示等)を当該項目の選択位置に設定し、OKボタンを押下する。この操作により、制御装置101は、所定のセットアップメニューを画像表示モニタ17に表示する。このセットアップメニュー画面には、各種のセットアップに関する選択項目の他に、「ダストリムーバルの起動」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソルを当該項目の選択位置に設定し、OKボタンを押下する。
この操作に応じて、制御装置101は、図3に示されているように、ダストリムーバルの起動画面を画像表示モニタ17に表示する。このダストリムーバルの起動画面には、同図に示されるように、「起動する」という項目と、「キャンセル」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソルを「起動する」に設定してOKボタンを押下する。図3では、「起動する」が選択されている状態(枠が太く表示され、且つ枠の横に三角形の選択指示表示が表示されている状態)が示されている。なお、この画面において、「キャンセル」を選択してOKボタンを押下した場合には、ダストリムーバルの起動画面を終了し、一階層上のセットアップメニュー画面若しくは更にその上の階層であるメインメニュー画面に戻り、又は通常のカメラ動作に復帰する。
撮影者によりダストリムーバルの起動の指示がなされた場合には、制御装置101は、図4に示されているように、ダストリムーバルが動作中であることを撮影者に通知するため、「DR動作中」という文字を画像表示モニタ17に表示するとともに、圧電素子制御部114を介して、圧電素子PEの駆動を開始して、ダストリムーバルを実施する。ダストリムーバルが終了したならば、図4の表示を終了し、一階層上のセットアップメニュー画面若しくは更にその上の階層であるメインメニュー画面に戻り、又は通常のカメラ動作に復帰する。
なお、ダストリムーバルの動作中に、他の操作ボタン等が操作された場合には、ダストリムーバル動作は継続したまま、ダストリムーバル起動画面の表示は終了し、当該操作に応じた処理に移行する。但し、ダストリムーバルの動作中に、レリーズボタンが押下された場合には、ダストリムーバルの動作を終了して、撮影動作に移行する。
また、ダストリムーバルの起動は、上述したような表示項目を選択することにより行うのではなく、ダストリムーバル専用の(又は他のボタン等と併用したものであってもよい)ボタン等を設け、これを操作することにより起動するようにしてもよい。
〔イメージダストオフデータの取得処理〕
上述したように、ダストリムーバルは、圧電素子を用いて光学フィルタの表面に振動を付与することにより機械的に付着している異物を振り落とす異物除去機能である。異物の中には、このような振動を付与することにより振り落とされるものもあるが、中には粘着性の高いものやそのような振動を与えてもなお光学フィルタOP上に残存する異物が存在する場合がある。このような場合に、予め異物のみが写し込まれた無地画像を補正画像として、異物が写り込んだ撮影画像を補正することにより、当該異物に相当する画像(ノイズ)を当該撮影画像からソフトウエア的に除去する機能が、イメージダストオフ機能である。
イメージダストオフを行うためには、異物のみが写し込まれた補正画像データ(以下、イメージダストオフデータとも言う)を、撮影の前又は後に取得する必要がある。以下、このイメージダストオフデータの取得処理について、撮影者による操作を中心として説明する。
撮影者が、メニューボタンを押下すると、制御装置101は、所定のメインメニュー画面を画像表示モニタ17に表示する。このメインメニュー画面には、各種の選択項目の他に、「セットアップメニュー」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソル(項目のハイライト表示等)を当該項目の選択位置に設定し、OKボタンを押下する。この操作により、制御装置101は、所定のセットアップメニューを画像表示モニタ17に表示する。このセットアップメニュー画面には、各種のセットアップに関する選択項目の他、「イメージダストオフ取得」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソルを当該項目の選択位置に設定し、OKボタンを押下する。
この操作に応じて、制御装置101は、図5に示されているように、イメージダストオフ取得画面を画像表示モニタ17に表示する。このイメージダストオフ取得画面には、同図に示されるように、ダストリムーバルを実施した後にイメージダストオフデータの取得を行うモード(第1モード)を意味する「DR後DF取得」という項目と、イメージダストオフデータを取得した後にダストリムーバルを実施するモード(第2モード)を意味する「DF取得後DR」という項目と、イメージダストオフデータのみを取得するモード(第3モード)を意味する「DF取得のみ」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソルを各選択項目の何れかに移動設定してOKボタンを押下する。
撮影者により、図5に示されているように、「DR後DF取得」が選択され、OKボタンが押下されると、制御装置101は、図6に示されているように、ダストリムーバルが動作中であることを撮影者に通知するため、「DR動作中」という文字を画像表示モニタ17に表示するとともに、圧電素子制御部114を介して、圧電素子PEの駆動を開始して、ダストリムーバルを実施する。
ダストリムーバルが終了したならば、画像表示モニタ17に、イメージダストオフデータの取得のための条件設定を促すメッセージを表示する。ここでは、図7に示されているように、「明るく白い紙などを撮影して下さい。」とのメッセージが表示される。撮影者は、このメッセージに従って、明るく白い紙等を被写体として撮影、即ちレリーズボタンを押下する。これにより、イメージダストオフデータが取得され、その原画像データが、イメージダストオフデータであることを示す識別情報及び取得日時を示す取得日時データとともに、記録媒体107に記録保存される。なお、この場合の被写体としては、ライトボックス等が均一性等の観点から好適である。画像記録が終了したならば、通常のカメラ動作に復帰する。
なお、イメージダストオフデータ取得時のカメラの設定としては、ピントは無限遠に、撮像感度は最低感度に、画質モードはRAW(原画像)に、露出モードは絞り優先に、絞りは最小にセットする。これらの設定は、カメラが自動で行うようにしてもよいし、撮影者によって手動で行われるようにしてもよい。なお、装着されている撮影レンズCLがズームレンズである場合には、望遠側にセットする。
次に、イメージダストオフ取得画面において、撮影者により、図8に示されているように、「DF取得後DR」が選択され、OKボタンが押下されると、制御装置101は、画像表示モニタ17に、ダストオフデータの取得のための条件設定を促すメッセージ、ここでは、図7に示されているように、「明るく白い紙などを撮影して下さい。」とのメッセージを表示する。撮影者は、このメッセージに従って、上記と同様に、明るく白い紙等を被写体として撮影することにより、イメージダストオフデータに係る原画像データが、識別情報及び取得日時データとともに、記録媒体107に記録保存される。
画像記録が完了したならば、制御装置101は、図6に示されているように、ダストリムーバルが動作中であることを撮影者に通知するため、「DR動作中」という文字を画像表示モニタ17に表示するとともに、圧電素子制御部114を介して、圧電素子PEの駆動を開始して、ダストリムーバルを実施する。ダストリムーバルが終了したならば、通常のカメラ動作に復帰する。
ダストリムーバルの動作中に、他の操作ボタン等の操作が行われた場合には、ダストリムーバルの動作を継続したまま、イメージダストオフ取得画面からは抜けて操作に応じた動作を行う。但し、この操作がレリーズボタンの押下である場合には、ダストリムーバルを中止して、撮影動作に移行する。なお、ここでは、イメージダストオフデータの記録媒体107への記録保存が完了した後に、ダストリムーバルを起動するようにしたが、イメージダストオフデータの記憶完了を待たずに、ダストリムーバルを起動するようにしてもよい。
次に、イメージダストオフ取得画面において、撮影者により、図9に示されているように、「DF取得のみ」が選択され、OKボタンが押下されると、制御装置101は、画像表示モニタ17に、ダストオフデータの取得のための条件設定を促すメッセージ、ここでは、図7に示されているように、「明るく白い紙などを撮影して下さい。」とのメッセージを表示する。撮影者は、このメッセージに従って、上記と同様に、明るく白い紙等を被写体として撮影することにより、イメージダストオフデータに係る原画像データが、識別情報及び取得日時データとともに、記録媒体107に記録保存される。イメージダストオフデータの記録が終了したならば、通常のカメラ動作に復帰する。
上述したように、ダストリムーバルを実施した後にイメージダストオフデータの取得するモードと、イメージダストオフデータを取得した後にダストリムーバルを実施するモードと、イメージダストオフデータのみを取得するモードとの3つのモードの中から、撮影者が任意に選択できるようにしたので、撮影者の意向に柔軟に対応できるとともに、撮影の状況等に応じて最適なイメージダストオフデータを取得することができる。
なお、上述した説明では、ダストリムーバルの起動画面(図3)とイメージダストオフ取得画面(図5)とは、それぞれ別の画面とした場合を例示しているが、イメージダストオフ取得画面(図5)に4番目の選択項目として、ダストリムーバルのみを実施するモード(第4モード)を意味する「DRのみ」という項目を追加して、これらの4の選択項目の中から任意に1つを選択できるようにしてもよい。また、イメージダストオフ取得画面(図5)では、3つの項目を表示して選択できるようにしているが、これらのうちの何れか2つの項目を表示して選択できるようにしてもよく、あるいは「DRのみ」を追加した4つの項目のうちから少なくとも2つを表示して選択できるようにしてもよい。
また、上述した説明では、イメージダストオフ取得画面(図5)では、3つの取得モードから撮影者の判断に従って選択するようにしているが、推奨手段を設けて、推奨モードを強調(ハイライト)表示する等により、撮影者による選択作業をアシストすることが、撮影者の操作性の観点から好ましい。なお、推奨手段は、制御装置101が対応するプログラムを実行することにより実現される機能である。
撮影者による選択作業をアシストするためのアシスト処理は、例えば、撮影者が上述した操作を行ってイメージダストオフ取得画面(図5)を表示させた時点からある期間内にレンズ交換がなされていた場合(即ち、「レンズ交換がなされた」という設定状態にある場合)には、新たな異物がカメラ内に進入した可能性があるので、第1モード、即ちダストリムーバル後にイメージダストオフデータを取得するモードを推奨モードとして強調表示し、あるいはイメージダストオフデータが長期間に渡って得られていないという設定状態にあるならば、異物が付着している状態で撮像された画像が既に存在する可能性があるから、第2モード、即ちイメージダストオフデータ取得後にダストリムーバルを実施するモードを推奨モードとして強調表示する処理である。
「レンズの交換がなされた」という設定状態にあるか否かは、レンズの交換日時を検出して、レンズ交換日時データを、記録媒体107又はバッファメモリ106に記憶しておき、上述したイメージダストオフ取得画面(図5)を表示させた時点と当該レンズ交換日時とを比較して、所定の期間内にレンズ交換がなされているか否かにより判断する。また、イメージダストオフデータが長期間に亘って得られていないという設定状態にあるか否かは、上述したイメージダストオフ取得画面(図5)を表示させた時点と当該イメージダストオフデータの取得日時とを比較して、所定の期間以上イメージダストオフデータの取得がなされていないか否かにより判断する。
なお、推奨モードは、前回のレンズ交換日時から図5に示すイメージダストオフ取得画面表示時点までの間に撮像の事実があるか否かにより決定するようにしてもよい。即ち、当該期間内に撮影の事実がない場合には第1モードを、当該期間内に撮影の事実がある場合には第2モードを強調表示するようにする。
〔イメージダストオフ処理(補正処理)〕
次に、イメージダストオフデータを用いて、撮影画像から異物に相当する画像を除去するための補正処理であるイメージダストオフ処理について、撮影者による操作を中心として説明する。
撮影者が、メニューボタンを押下すると、制御装置101は、所定のメインメニュー画面を画像表示モニタ17に表示する。このメインメニュー画面には、各種の選択項目の他、「画像編集」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソル(項目のハイライト表示等)を当該項目の選択位置に設定し、OKボタンを押下する。この操作により、制御装置101は、所定の画像編集メニューを画像表示モニタ17に表示する。この画像編集メニュー画面には、各種の画像編集に関する選択項目の他に、「イメージダストオフ処理」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソルを当該項目の選択位置に設定し、OKボタンを押下する。
この操作に応じて、制御装置101は、図10に示されているように、イメージダストオフ処理画面を画像表示モニタ17に表示する。このイメージダストオフ処理画面には、同図に示されるように、「処理画像選択」という項目と、「キャンセル」という項目が表示されているので、撮影者は項目選択十字キーを操作して、カーソルを「処理画像選択」に設定して(図10に示す表示状態)OKボタンを押下する。なお、この画面において、「キャンセル」を選択してOKボタンを押下した場合には、イメージダストオフ処理画面を終了し、一階層上の画像編集メニュー画面若しくは更にその上の階層であるメインメニュー画面に戻り、又は通常のカメラ動作に復帰する。
撮影者により処理画像の選択の指示がなされた場合には、制御装置101は、図11に示されているように、イメージダストオフ処理が可能な撮影画像データ(撮影者によって撮影し記録された撮影画像であって、前述のイメージダストオフデータ以外の撮影画像データのこと)を記録媒体107から読み出し、これらのサムネイル(縮小画像)を、画像表示モニタ17上に表示する。イメージダストオフ処理が可能な撮影画像データとは、ここでは、原画像(RAW画像)データを意味し、JPEG画像やTIFF画像等の不可逆圧縮処理された画像データは含まれない。なお、可逆圧縮された画像データである場合には、元の原画像データに復元する伸長処理を実施することにより、イメージダストオフ処理が可能な撮影画像データとして用いることができる。
ここでは、同図に示されているように、1画面に2×3に配列された6画像(画像1〜画像6)のマルチ表示を行っている。6画像以上の対象画像がある場合には、項目選択十字キーを操作して、画面切替又はスクロールさせることにより、他のサムネイルを表示することができるようになっている。マルチ表示は、ここでは、2×3の6画像としたが、画像表示モニタ17の大きさ等との関係で、他の配列、他の枚数であってもよい。
図11の処理画像選択画面において、撮影者が項目選択十字キーを用いて、表示された複数のサムネイルからイメージダストオフ処理を実施するべき対象画像を選択して、OKキーを押下すると、制御装置101は、記録媒体107に記録されたイメージダストオフデータのうち、図11の処理画像選択画面で選択された画像(ここでは、便宜的に画像1とする)の撮影日時の前後で最も近い撮影日時に係るイメージダストオフデータを読み出し、図12に示されているように、画像表示モニタ17にダストオフデータ選択画面を表示する。なお、図11の処理画像選択画面において、サムネイルのうちの一つを選択した状態で、拡大キーを押下することにより、当該画像の拡大表示ができるようになっている。この拡大表示の状態からは、縮小キーを押下することにより、当該サムネイル表示に戻ることができるようになっている。
ダストオフデータ選択画面には、ここでは、一例として、同図(図12)に示すように、図11の処理画像選択画面で選択された画像(処理対象画像)の撮影日時「2006.1.3 19:07」(これは「年.月.日 時:分」を示す)を中欄に表示し、上欄に、当該画像1の撮影日時よりも前に取得されたイメージダストオフデータのうちの最も近いものに係る情報を、下欄に、当該画像1の撮影日時よりも後に取得されたイメージダストオフデータのうち最も近いものに係る情報を表示している。
イメージダストオフデータに係る情報としては、同図では、イメージダストオフデータの取得モード(DR後DF取得、DF取得後DR、DF取得のみ)を伴うアイコンが左側に、その右側に、当該イメージダストオフデータの取得日時が表示されている。イメージダストオフデータに係るアイコンは、ダストリムーバルの実施との関係がアイコンの表示を見ることにより容易に判別できるようになっており、同図では、ダストリムーバルを「DR」と、イメージダストオフデータの取得を「NDF」と標記している。
これらのアイコン中、上段に「DR」下段に「NDF」を伴うアイコンは、第1モードで取得されたデータ、即ち、ダストリムーバルを実施した後に取得されたデータであることを示している。また、同図には示されていないが、上段に「NDF」下段に「DR」を伴うアイコンは、第2モードで取得されたデータ、即ちダストリムーバルを実施する前に取得されたデータであることを示している。さらに、第3モードで取得されたデータ、即ちダストリムーバルを実施することなく取得されたデータである場合には、アイコンの上段に「NDF」下段は無表示で表示する。なお、アイコンではなく、イメージダストオフデータに係る画像をサムネイル表示するようにしてもよいが、画像としては意味のないものであるので、上記のようなアイコン等で表示することが好ましい。
撮影者は、項目選択十字キーを用いて、イメージダストオフに使用するイメージダストオフデータ(ここでは、例えば、上欄のイメージダストオフデータ)を選択して、OKボタンを押下することにより、選択されたイメージダストオフデータを用いて、処理対象である画像1が補正されることにより、当該画像1から異物の写り込みが補正除去される。この補正処理では、処理対象の画像データからイメージダストオフデータを画素単位で差し引くことにより、写り込んだ異物に係る画像が消去される。このように、各イメージダストオフデータは、処理対象の画像の撮影日時との関係で、その先後関係、取得モード及び取得時間を一目で把握することができるように表示されているため、撮影者にとって非常に分かり易く、操作性に優れている。
この補正処理には、通常ある程度の時間を要するため、図13に示されているように、処理中は、ダストオフデータ処理の進捗状況を、プログレスバー等を用いて表示する。同図では、現時点で30%の処理が完了し、残り70%であることが示されている。処理が終了したならば、該処理が終了した画像データを、撮影者による事前の入力設定に応じて、記録媒体107に別途又は上書き保存する。イメージダストオフ処理が完了すると、通常のカメラ動作に復帰する。
なお、図12に示すダストオフデータの選択画面では、画像表示モニタ17のサイズ等との関係を考慮して、処理対象の画像の撮影日時の前後に取得されたイメージダストオフデータについての情報(2つ)を表示するようにしたが、イメージダストオフデータが更に複数存在する場合には、適宜に縮小表示する等により、図14に示されているように、複数のイメージダストオフデータについての情報を表示し、何れかを選択できるようにしてもよい。
この場合にも、イメージダストオフデータの取得モードや取得日時を、処理対象の画像の撮影日時との関係で、図14に示すように、一目で把握できるような表示構成とすることが望ましい。図14のアイコン中の表示の意味は、図12について説明したのと同様である。このように、イメージダストオフデータの選択項目を更に複数とすることにより、撮影者による選択の範囲を拡大することができ、撮影者の意向に、より柔軟に対応することができる。また、各イメージダストオフデータのアイコンは取得時間順に表示され、且つそれぞれ取得日時が併記されているため、撮影者にとって分かり易く、処理画像に最適なイメージダストオフデータを選択することが可能である。
なお、上述した説明では、図12において、処理対象の画像の撮影日時との関係で前後2つのイメージダストオフデータの中から1つを選択できるようにしているが、項目選択十字キーを操作に応じて、更に前又は後のイメージダストオフデータについての情報を、画面切替により、あるいはスクロール表示することにより、更に前又は後のイメージダストオフデータを選択できるようにしてもよい。
ところで、図12に表示されている例においては、処理対象の画像の撮影日時の前後に取得されたイメージダストオフデータの取得モードは、何れもダストリムーバル実施後にイメージダストオフデータを取得するモード(第1モード)となっている。通常は、ダストリムーバル実施後の異物の付着状態は、その実施前の異物の付着状態とは異なっている場合が多いので、後(後欄)のイメージダストオフデータよりも、前(前欄)のイメージダストオフデータの方が、処理対象の画像の補正に用いるデータとして、異物の付着状態が同等であると考えられるため、より適切であると言える。
従って、このような場合には、撮影画像の撮影時の異物の付着状況により近いと考えられる前欄のイメージダストオフデータをハイライト表示(強調表示)等により推奨データとして撮影者にわかるように表示することが望ましい。この推奨データの表示形式としては、ハイライト表示のみならず、色をその余のものと異なるものにする等、他の表示形式でもよいし、あるいは図12のダストオフデータ取得画面を表示する際に、カーソルを当該推奨データに設定して、それが推奨データであることを、撮影者にわかるようにしてもよい。
このような推奨に関し、取得モードとの関係で優劣がつかない場合に、あるいはこれとは無関係に、撮影画像の撮影日時に取得日時がより近いイメージダストオフデータを推奨データとし、あるいはレンズ交換の日時を検出して、レンズ交換日時データとして記録媒体107又はバッファメモリ106に記憶しておき、これとの関係でより適切な推奨データを決定する等、他の観点から推奨データを決定するようにしてもよい。
レンズ交換日時データを用いて推奨データを決定する場合には、レンズ交換により、新たな異物の侵入の可能性があり、異物の付着状態は、一般に変化すると考えられるので、撮影画像の撮影日時よりも前にレンズ交換がなされた場合には、当該レンズ交換後に取得されたイメージダストオフデータを、撮影画像の撮影日時よりも後にレンズ交換がなされた場合には、当該レンズ交換前に取得されたイメージダストオフデータを推奨データとする。この場合において、撮影画像の撮影日時の前後に、レンズ交換時期との関係でほぼ同等なイメージダストオフデータがある場合には、上述した撮影日時に取得日時が近いイメージダストオフデータを推奨データとする等、上述した各種の観点を総合的に判断して、推奨データを決定するとよい。
なお、図12に例示したような場合には、後欄のイメージダストオフデータを表示せずに選択できないようにしてもよい。但し、一般的な適切性としては、上述の通り前欄のイメージダストオフデータが優れていると考えられるが、後欄のイメージダストオフデータが全く使用できないかと言えば、そうでもなく、例えば、付着している異物が粘着性の高いものであり、ダストリムーバルによっても除去し得ないようなものである場合には、後欄のデータを用いることも可能である。一方、前欄のデータが必ずしも撮影画像の撮影時の異物の付着状態と一致しているとは限らない。従って、選択肢としては、このような後欄のデータも表示して選択できるようにしておいた方が、撮影者の意向に添った処理ができるため有利であると言える。
また、この実施形態では、複数のイメージダストオフデータがある場合に、撮影者に選択させたイメージダストオフデータを用いて補正処理を行うようにしているが、上述した推奨データの決定と同様な処理を用いて最適データを決定し、上述したようなイメージダストオフデータの選択を実施することなく、当該最適データを用いて自動的にダストオフデータ処理を実施するようにしてもよい。この場合には、図11の処理画像選択画面において、処理対象の画像を選択した後、図12を表示することなく、当該最適データを用いて直ちにダストオフデータ処理の実施を開始して、図13の処理の進捗を表示することになる。
また、図14に示すように、多数のイメージダストオフデータの中から1つを選択できるようにする場合には、上述したような推奨データの表示は特に効果的である。なお、図14に例示したものでは、処理対象の画像の撮影日時の直前に取得されたイメージダストオフデータの取得モードは、ダストリムーバル実施後にイメージダストオフデータを取得するモード(第1モード)であり、処理対象の画像の撮影日時の直後に取得されたイメージダストオフデータの取得モードは、イメージダストオフデータ取得後にダストリムーバルを実施するモード(第2モード)であり、取得モードの観点からは両データは同等であると言えるので、この場合には、処理対象の画像の撮影日時との関係で、より近い方(即ち直前のイメージダストオフデータ)を推奨データ又は最適データとすることになる。
なお、上述した図3〜図14等に示す画面は、画像表示モニタ17に表示するものとして説明したが、ファインダFD内部に設けられ、接眼部16を介して目視可能なファインダ内液晶113により表示するようにしてもよい。また、イメージダストオフデータは、記録媒体107に記録するものとしたが、バッファメモリ106又はカメラ内に設けられる他の専用メモリ等に記録するようにしてもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
CM…電子カメラ、CB…カメラボディ、CL…撮影レンズ、LM…レンズマウント、FD…ファインダ部、RM…クイックリターンミラー、OF…光学フィルタ、PE…圧電素子、SW1…電源スイッチ、SW2…レリーズスイッチ、SW3…メニュースイッチ、SW4…項目選択十字キー、SW5…OKボタン、10…撮像素子、11…メカニカルシャッタ、17…画像表示モニタ、101…制御装置、105…画像処理回路、106…バッファメモリ、107…記録媒体、113…圧電素子制御部。