JP4930040B2 - 状態量推定装置及び角速度推定装置 - Google Patents

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Description

この発明は、状態量推定装置及び角速度推定装置の改良に関する。
同一次元オブザーバを用いて風車の角速度を推定するものがある(特許文献1参照)。
特開2004−64809号公報
ところで、一般的に入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルに基づいて設計される同一次元オブザーバは、モデル化誤差や確率的なノイズが無い状態を前提条件とし、制御対象モデルの観測可能な出力yと、同一次元オブザーバの出力であるyの推定値とを比較して両者の偏差eがゼロに収束するように設計される。
しかしながら、同一次元オブザーバを用いて実際の制御対象の状態変数x2を推定する場合、実際の制御対象と制御対象モデルとの間には少なからずモデル化誤差があるので、状態変数x2の推定値は必ずしも真値に収束しない。また、ノイズがある場合にはオブザーバゲインを十分大きくとることができない。
具体例として、制御対象を直流モータを有する回転体(例えばスロットルバルブ)とし、入力uをこの直流モータの駆動電流I、出力yを回転体の回転角度θ(例えばスロットル角度)(回転角度θは計測可能)とし、かつ状態変数x1を回転体の回転角度θ、状態変数x2を回転体の回転角度の微分値である回転角速度ωθとして、この回転角速度ωθを推定する事例を挙げると、回転角度θの推定誤差がゼロに収束するように同一次元オブザーバは設計されるが、制御対象の内部状態量である回転角速度ωθの推定精度は制御対象モデルの正確さに依存している。つまり、実際にはモデル化誤差があるため、制御対象モデルの出力である回転角度θの推定誤差に比べて、回転角速度ωθの推定誤差が大きく残り易いという問題がある。
そこで本発明は、状態変数x2の推定精度を高め得る状態量推定装置及び回転角速度ωθの推定精度を高め得る角速度推定装置を提供することを目的とする。
本発明は、入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルであって、状態変数x 2 の推定値より、出力であるyの推定値から前記制御対象モデルの出力yを差し引いた値に前記ゲインK 1 (ただし、K 1 は同一次元オブザーバのゲインベクトルにおけるx 1 の微分値に対応する部分である。)を乗算した値を差し引き、その差し引いた値を前記積分器で積分した値を状態変数x 1 の推定値としている同一次元オブザーバの状態方程式を、
とし、制御対象の内部状態量(x1、x2、…、ただしy=x1、x1の微分値=x2)を推定する状態量推定装置において、状態変数x2の推定値として、同一次元オブザーバ内部の変数であるx2の推定値ではなく、前記状態変数x1の推定値を微分した値を用いる。
また、本発明は、入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルであって、状態変数x 2 の推定値より、出力であるyの推定値から前記制御対象モデルの出力yを差し引いた値に前記ゲインK 1 (ただし、K 1 は同一次元オブザーバのゲインベクトルにおけるx 1 の微分値に対応する部分である。)を乗算した値を差し引き、その差し引いた値を前記積分器で積分した値を状態変数x 1 の推定値としている同一次元オブザーバの状態方程式を、前記(1)式とし、制御対象の内部状態量(x1、x2、…、ただしy=x1、x1の微分値=x2)を推定する状態量推定装置に対し、前記制御対象を直流モータを有する回転体(例えばスロットルバルブ)とし、前記入力uをモータ駆動電流I、前記出力yを前記回転体の回転角度θ(例えばスロットル角度)とし、かつ状態変数x1を前記回転体の回転角度θ、状態変数x2を前記回転体の回転角度の微分値である回転角速度ωθとして、この回転角速度ωθを推定する角速度推定装置において、前記回転角速度ωθの推定値として、同一次元オブザーバ内部の変数である回転角速度ωθの推定値ではなく、前記同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値を用いる。
一般に、同一次元オブザーバ内部の変数である状態変数x2の推定精度は、同一次元オブザーバの設計に使われる制御対象モデルの正確さに依存する。つまり、実際にはモデル化誤差があるため、制御対象モデルの出力であるyの推定誤差に比べて状態変数x2の推定誤差が大きく残り易いという問題がある。
これに対して本発明によれば、同一次元オブザーバ内部の変数であるx2の推定値の代わりに、同一次元オブザーバの出力であるx1の推定値を微分した値、すなわち
1の推定値を微分した値=x2の推定値−K1
・(制御対象モデルの出力yの推定値−制御対象モデルの出力y)
の式により得られる「x1の推定値を微分した値」を状態変数x2の推定値として用いるので、モデル化誤差の影響を軽減でき、推定精度を向上できることとなった。
なお、同一次元オブザーバの演算では、もともと「x1の推定値を微分した値」を積分計算してx1の推定値を算出しているので、演算を増やすことなく本発明を適用できる(図7(A)参照)。
また、入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルに基づいて設計される同一次元オブザーバの状態方程式を、上記(1)式とし、同一次元オブザーバ内部の状態量(x1、x2、…、ただしy=x1、x1の微分値=x2)を推定する状態量推定装置に対し、前記制御対象を直流モータを有する回転体(例えばスロットルバルブ)とし、前記入力uをモータ駆動電流I、前記出力yを前記回転体の回転角度θ(例えばスロットル角度)とし、かつ状態変数x1を前記回転体の回転角度θ、状態変数x2を前記回転体の回転角度の微分値である回転角速度ωθとして、この回転角速度ωθを推定する角速度推定装置において、一般に、同一次元オブザーバ内部の変数である回転角速度ωθの推定精度は、同一次元オブザーバの設計に使われる制御対象モデルの正確さに依存する。つまり、実際にはモデル化誤差があるため、制御対象モデルの出力である回転角度θの推定誤差に比べて回転角速度ωθの推定誤差が大きく残り易いという問題がある。
これに対して本発明によれば、同一次元オブザーバ内部の変数である回転角速度ωθの推定値の代わりに、同一次元オブザーバの出力である回転角度θの推定値を微分した値、すなわち
回転角度θの推定値を微分した値=回転角速度ωθの推定値
−K1(回転角度θの推定値−制御対象モデルの出力である回転角度θ)
の式により得られる「回転角度θの推定値を微分した値」を回転角速度ωθの推定値として用いるので、モデル化誤差の影響を軽減でき、回転角速度ωθの推定精度を向上できる(図8、図9参照)。
なお、同一次元オブザーバの演算では、もともと「回転角度θの推定値を微分した値」を積分計算して回転角度θの推定値を算出しているので、演算を増やすことなく本発明を適用できる(図7(B)参照)。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は一実施形態のスロットルバルブ位置決め制御装置の構成を示す機能ブロック図であり、本発明の角速度推定装置をスロットルバルブ位置決め制御装置に適用した例である。
スロットルアクチュエータ1は内燃機関(エンジン)の吸入空気流路に設けられたバタフライ型スロットルバルブ1Aを駆動する。すなわち、バルブシャフト1Bが減速機1C(2つのギア1D、1Eからなる)を介してモータ1Fの軸に連結されている。アクチュエータの駆動源には直流モータ1Fが用いられ、モータ1Fの出力を減速機1Cにより減速して、図示しないバネにより閉方向に付勢されているスロットルバルブ1Aを開方向に駆動する。
センサ2はスロットルバルブ1Aの開口角度(簡単に「スロットル角度」ともいう。あるいは「スロットル開度」ともいう。)を検出する。この実施形態ではアナログ信号を出力する安価なポテンショメータ式とするが、高精度な光学式エンコーダを用いてもよい。
センサ信号処理回路3は増幅器およびA/D変換器を有し、スロットル開度センサ2からのアナログ信号を増幅してディジタル信号に変換する。
スロットルバルブ位置決めコントローラ4はCPU、ROM、RAM、デジタルポート、A/Dポート、D/Aポート、各種タイマー機能を内蔵するワンチップマイコン(あるいは同機能を実現する複数チップのマイコン)と高速通信用回路等から構成され、スロットルバルブ開度検出値であるスロットル開度θがスロットル開度指令値θCOMに追従するようなモータ電流指令値ICOMを演算する。
電流制御アンプ5は、実際のモータ電流Iがモータ電流指令値ICOMに追従するようにパワートランジスタのスイッチング時間を制御する。
本実施例では、電流指令値ICOM、内部抵抗値、逆起電力推定値から有効電圧指令値を求め、電流制御用パワートランジスタのスイッチング時間を演算制御するフィードフォワード(F/F)式電流制御アンプを用いている。
図2は、スロットルバルブ位置決めコントローラ4の機能構成を示す制御ブロック図である。スロットルバルブ位置決めコントローラ4は、スロットル開度指令値θCOMに対し実際のスロットル開度θが所望の応答特性(規範応答)と一致するように電流指令値ICOM FFを算出するフィードフォワード補償部22と、外乱(パラメータ変動を含む)を推定し相殺するように補正することで制御対象21の動特性を一定化させる外乱補償器23と、外乱補償器23の補償遅れの影響として生じた規範応答値と実スロットル開度θの偏差を低減するためのフィードバック補償部24とで構成されている。さらに、フィードフォワード補償部22および外乱補償器23で用いられる入力制限値を逆起電力推定値や内部抵抗推定値、電源電圧から算出する入力制限値算出部25を有している。
なお、図1に示した電流制御アンプ5、直流モータ1Fとバルブ可動機構からなるスロットルアクチュエータ1、スロットル開度センサ2およびセンサ信号処理回路3がコントローラ4の制御対象21であり、また、スロットル開度指令値θCOMが上述したスロットルバルブ開度指令値(目標値)、電流指令値ICOMが上述した駆動指令値(操作量)、スロットル開度θが上述したスロットルバルブ開度検出値(制御量)である。
図3は、スロットルバルブ位置決めコントローラ4のマイコンが行う主なる制御動作を示している。図3のメインルーチンは一定周期(例えば10ms)ごとに実行する。
ステップ1では、マイコン内蔵のA/D変換器を用いて、スロットル開度を計測するためのセンサ信号および電源電圧を計測し、所定の物理単位に変換してスロットル開度θ、電源電圧VBを算出する。
ステップ2では、同一次元オブザーバを用いてスロットルバルブ1A(回転体)の角速度(以下、簡単に「スロットル角速度」という。)ωθを推定し、ステップ3でこのスロットル角速度ωθの推定値に基づいて直流モータ1Fの逆起電力VREVの推定値を算出する。すなわち、算出したスロットル角速度ωθの推定値に減速機1Cのギア比やモータ1Fのトルク定数から決まる定数KREVを乗じることにより、つまり次の式により逆起電力VREVの推定値を算出する。
この場合に、本発明では次のようにしてスロットル角速度ωθを推定する。本実施形態では電流指令値ICOMからスロットル開度θまでの制御対象21を2次振動系と仮定したときの連続系伝達特性Gp(s)を次の式で表している。
状態変数x1をスロットル角度、x2をスロットル角速度とし、(3)式を状態空間表現に直すと制御対象モデルの状態方程式は次式となる。
したがって、制御対象モデルに対し同一次元オブザーバを設計すると同一次元オブザーバの状態方程式は次の式のようになる。
ここで、(5)式において状態変数x1、x2の頭に付した記号「^」はオブザーバによる推定値を表している。K1、K2はオブザーバゲインである。なお、以下では、記号「^」の付してある変数には記号の後に「推定値」を付していう。例えば、状態変数x1の頭に記号「^」の付してあるものは「x1推定値」あるいは「x1の推定値」と、状態変数x2の頭に記号「^」の付してあるものは「x2推定値」あるいは「x2の推定値」という。また、上述したようにスロットル角速度ωθの頭に記号「^」の付してあるものは「スロットル角度推定値」あるいは「スロットル角速度ωθの推定値」、逆起電力VREVの頭に記号「^」の付してあるものは「逆起電力推定値」あるいは「逆起電力VREVの推定値」という。こうした使い方は他の記号(y)でも用いる。
上記(5)式を状態方程式とする同一次元オブザーバを図にして示したのが図7(A)である。図7(A)において、上方に示す制御対象モデル31は積分器(1/s)と行列関数A、B、Cとからなり、このうち、Aは2行2列の行列関数(要素はA11、A12、A21、A22)、Bは2行1列の行列関数(要素はB1、B2)、Cは1行2列の行列関数(要素はC1、C2)である。ただし、A11=0、A12=1、B1=0、C1=1、C2=0としてある。
こうした制御対象モデル31の行列関数の要素(A21、A22、B2)とゲイン行列Kの要素であるゲインK1、K2とを用いて下方に同一次元オブザーバ32が構成されている。
さて、一般的に制御対象モデル31に基づいて設計される同一次元オブザーバ32は、モデル化誤差や確率的なノイズが無い状態を前提条件とし、制御対象モデル31の観測可能な出力yと、モデル出力であるy推定値とを比較して両者の偏差e(=y推定値−y)がゼロに収束するように設計される状態量推定手法である。
しかしながら、同一次元オブザーバ32を用いて実際の制御対象の状態変数を推定する場合、実際の制御対象21と制御対象モデル31との間には少なからずモデル化誤差があるので、状態変数x2の推定値は必ずしも真値に収束しない。また、ノイズがある場合にはオブザーバゲイン(K1、Kスロットル開度センサ2)を十分大きくとることができない。
具体的にスロットル角速度ωθを推定し、このスロットル角速度の推定値に比例させてDCモータ1Fの逆起電力推定値を算出する場合で説明すると、制御対象の入力uである電流I、出力yであるスロットル角度θ(スロットル角度θは計測可能)、およびモータ1Fの線形モデルを用いた同一次元オブザーバを用いて状態量x2であるスロットル角速度ωθを推定する。すなわち、図7(B)に示したように同一次元オブザーバ32’を構成する。この場合に、スロットル角度θの推定誤差がゼロに収束するように同一次元オブザーバ32’は設計されるが、内部状態量であるスロットル角速度ωθの推定精度は制御対象モデル31’の正確さに依存している。つまり、実際には実際の制御対象21と制御対象モデル31’との間にはモデル化誤差があるため、出力yであるスロットル角度θの推定誤差に比べて、スロットル角速度ωθに大きな誤差が残り易いという問題がある。例えば、スロットル開度指令値をステップ変化させた場合に、従来手法で逆起電力推定値がどのように変化するのかを図8に示している。従来手法による同一次元オブザーバの用い方によれば、逆起電力推定値(実線)が逆起電力真値(一点鎖線)より大きく離れており(図8最下段参照)、これより、逆起電力推定値を算出した基となっているスロットル角速度ωθの推定誤差が大きいことがわかる。
そこで本発明者が今回改めて同一次元オブザーバ32’の設定を見直したところを、図7(A)、図7(B)を参照して次に述べると、図7(A)は制御対象を2次振動系としたときの同一次元オブザーバの構成を、図7(B)は制御対象を、直流モータを有するスロットルバルブ(回転体)としたときの同一次元オブザーバの構成を示している。すなわち、図7(A)において従来手法では、同一次元オブザーバ32による状態変数x2の推定値を積分器(1/s)により積分した値が状態変数x1の推定値、つまりモデル出力であるy推定値となり、このy推定値と制御対象モデル31の出力yとの偏差を誤差eとする構成である。ここで、発想を変えると、状態変数x1の推定値を微分した値が状態変数x2の推定値になっている。そこで、図7(A)、図7(B)を見比べて、同一次元オブザーバ32’の内部変数であるスロットル角速度ωθの推定値(状態変数x2の推定値)に代えて、スロットル角度θの推定値(状態変数x1の推定値)を微分した値を用いることができないか、と本発明者が発想し、この発想のもとスロットル角度θの推定値(状態変数x1の推定値)を微分した値に基づいて、つまりωθの推定値−K1・(θの推定値−θ)(x2の推定値−K1・(yの推定値−y))をスロットル角速度推定値(x2推定値)として採用し、逆起電力推定値を算出させてみた場合を、図8と同じ条件でシミュレーションしてみたのが図9である。角速度ωθの推定値として、スロットル角度θの推定値を微分した値を用いることとした本発明によれば、図9に示したように、逆起電力推定値(実線)が逆起電力真値(一点鎖線)とほぼ一致することとなり、これよりスロットル角速度ωθの推定誤差を小さくできていることがわかった。
このように、本発明は発明者の理論的解析による知見により得られたものであり、本発明手法によれば、本来、同一次元オブザーバ32’の内部変数として得られるスロットル角速度ωθの推定値(状態変数x2の推定値)の代わりに、スロットル角度θの推定値の純微分値(=ωθの推定値−K1・(θの推定値−θ)を用いることで、実際の制御対象21と制御対象モデル31との間のモデル化誤差の影響を軽減でき、スロットル角速度ωθの推定精度が向上するのである。なお、同一次元オブザーバ32’の演算では、もともとスロットル角度θの推定値(状態変数x1の推定値)を微分した値を積分計算してスロットル角速度ωθの推定値(状態変数x2の推定値)を算出しているところであるので、演算工数を増やすことなく本発明手法を適用できる。
図3に戻り、ステップ4では、電流駆動回路の内部抵抗RSIMを推定する。実際には、スロットル開度θ、電流指令値ICOM、および制御対象21の数式モデルを用いた適応デジタルフィルタや拡張カルマンフィルタを用いて推定を行う。具体的には次の3つの式を解くことにより内部抵抗RSIMを求めることができる。
(6)式はスロットル軸1B回りのトルクの釣合の式、(7)式は電圧の釣合の式、(8)式はオームの法則である。ここで、Jはスロットル軸1Bに換算したイナーシャ、Dはスロットル軸1Bに換算した粘性抵抗係数、Kmは直流モータ1Fのトルク定数、Nは減速機1Cの減速ギア比、Eは減速ギア効率、Iは実電流、Lは直流モータ1Fのコイルインダクタンス、Rは内部抵抗、Kspはスロットルバルブ1Aを閉弁方向に付勢するバネのバネ定数、Vは電流駆動部の有効電圧を示している。
ステップ5では、電流指令値(F/F項)ICOM FFを算出する。この電流指令値ICOM FFの算出については図4に示すフローに従って説明する。図4(図3のステップ5のサブルーチン)においてステップ51では電流制限値ILMTを算出する。すなわち、図3のステップ1で検出されている電源電圧VBから図3のステップ3で算出されている逆起電力VREVの推定値の絶対値を減じた差分を求め、この差分を図3のステップ4で推定している内部抵抗値RSIMで除することにより電流制限値ILMTを算出する。これにより逆起電力VREVや電源電圧VBの変動および内部抵抗値RSIMの変動を電流制限値に反映することが可能となる。
次にステップ52では、フィードフォワード補償部22が有する制御対象モデルの出力値(規範応答値)θSIMがスロットル開度指令値θCOMに対し所望の応答特性をもって一致するように電流指令値ICOM0を算出する。具体的には図5に示すようなモデルマッチング補償器により電流指令値ICOM0を算出する。ここで、図5を用いてモデルマッチング補償器について説明する。制御対象の連続系伝達特性Gp(s)を離散化した伝達特性はGp(z-1)となり、次の式で表わされる。
ここで、bp0、bp1、ap1、ap2は設計値として予め与える値である。
Gp(z-1)のゼロ点(−bp1/bp0)は、サンプリングタイムが小さいほど−1に収束するので、Gp(z-1)の逆系を補償器に用いると不安定になってしまう。これを避けるために、次のようにモデルマッチング補償器を設計する。まず、所望の応答特性を連続系規範モデル伝達特性GM0(s)(0次/2次)で与える。これを離散化した規範モデル伝達特性GM0(z-1)とすると、上記制御対象の伝達特性Gp(z-1)と同様に、サンプリングタイムを小さくすると−1に収束するゼロ点を有する。したがって、モデルマッチング補償器の設計の際に両者を相殺させる目的で、規範モデル伝達特性GM0(z-1)のゼロ点を制御対象伝達特性Gp(z-1)のゼロ点で置き換えたGM(z-1)を規範モデル伝達特性として用いる。なお、サンプリングタイムが充分小さければ、GM(z-1)とGM0(z-1)との差はほとんどなく、実用上問題はない。
(9)式、(11)式を用いると、モデルマッチング補償器の制御ブロック521はデジタルフィルタである1/R(z-1)、制御ブロック522はデジタルフィルタであるL(z-1)、制御ブロック523は係数Bmfで構成される。
したがって、図5に示したように、スロットル開度θにデジタルフィルタであるL(z-1)の処理を行った値とスロットル開度指令値θCOMに係数Bmfの処理を行った値との差分を求め、求めた差分にさらにデジタルフィルタである1/R(z-1)の処理を行った値が電流指令値ICOM0となる。
このようにして電流指令値ICOM0の算出を終了したら図4に戻りステップ53では、ステップ52で求めた電流指令値ICOM0にステップ51で求めている電流制限値ILMTによるリミッタ処理を行い、リミッタ処理後の値をフィードフォワード補償部の出力の一つである電流指令値(F/F項)ICOM FFとする。具体的には、電流指令値ICOM0の絶対値と電流制限値ILMTとを比較し、次のようにより小さい方を電流指令値(F/F項)ICOM FFとして出力する。
COM0<−ILMTの場合 ICOM FF=−ILMT
−ILMT≦ICOM0≦ILMTの場合 ICOM FF=ICOM
LMT<COM0の場合 ICOM FF=ILMT
ステップ54では、ステップ53において求めた電流指令値(F/F項)ICOM FFに対し、上記(9)式に示す制御対象の応答特性Gp(z-1)を施してスロットル開度規範応答値θSIMを算出する。この値がもう一つのフィードフォワード補償部22の出力値となる。
このようにして図4のフィードフォワード補償部22の演算を終了したら図3に戻りステップ6では、制御対象21に加えられる外乱や制御対象21自体が有する非線形性や生産ばらつきの影響を低減するために必要な電流指令値(F/B項)ICOM FBを算出し、この値とステップ5において算出した電流指令値(F/F項)ICOM FFとをステップ7で加算し、加算後の値を電流指令値ICOM1とする。具体的には、まずステップ5(図4のステップ54)において算出されたスロットル開度規範応答値θSIMとステップ1において検出されたスロットル開度θとが一致するように、スロットル開度規範応答値θSIMとスロットル開度θとの偏差に対して下式に示すフィードバック補償器を施し、電流指令値(F/B項)ICOM FBを算出する。
(15)式の制御定数Kp、KDは、ゲイン余裕や位相余裕を考慮して決める。
ここで、(15)式のTDIVは1次の近似微分フィルタの時定数であり、適切なロバスト安定性を確保できるように、ゲイン余裕や位相余裕などの評価指標を用いて決定する。また、(15)式は実際にはタスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
このようにして電流指令値(F/B項)ICOM FBを算出したら、次にはステップ5において算出した電流指令値(F/F項)ICOM FFを加算し電流指令値ICOM1とする。
ステップ8では、ステップ2で検出されたスロットル開度θと前回の電流指令値ICOMと制御対象モデルの伝達特性Gp(z-1)とを用いて制御対象21に加わる外乱を推定し、ステップ7において算出されている電流指令値ICOM1を補正するため外乱補償値IDISを算出し、ステップ9で電流指令値ICOM1からこの外乱推定値IDISを減算して補正し、外乱やパラメータ変動による影響を排除した電流指令値ICOMを算出する。
ここで、図6を用いて外乱補償器23について説明する。図6において、制御ブロック81は、定常ゲインが1であるローパスフィルタH0(z-1)に、Gp(z-1)のゼロ点を有するQ(z-1)を付加したフィルタH(z-1)である。この制御ブロック81は、前回の電流指令値ICOMをローパスフィルタ処理して電流指令値ICOM2を出力する。制御ブロック82はフィルタH(z-1)/Gp(z-1)である。したがって、−1に収束するゼロ点が相殺され、制御ブロック82は安定なデジタルフィルタとなる。この制御ブロック82は、電流指令値ICOMからスロットル開度θまでの制御対象21の離散系伝達特性Gp(z-1)と、スロットル開度θとに基づいて電流指令値ICOMを逆算し、さらにローパスフィルタ処理して電流指令値ICOM3を出力する。減算器84は、電流指令値ICOM3から電流指令値ICOM2を減算して、電流制御アンプ5からセンサ信号処理回路3までの制御対象21の外乱やパラメータ変動による電流指令値ICOMのずれ量IDIS(以下、「外乱推定値」と呼ぶ)を求める。
外乱推定値IDISは、制御対象21に外乱やパラメータ変動がない場合にゼロとなる。制御対象21に外乱dやパラメータ変動△がある場合には、
となり、H(z-1)のゲイン特性が1である周波数帯域では、
θ=Gp(z-1)・ICOM …(17)
となる。つまり、外乱やパラメータ変動の影響が完全にキャンセルされて、制御対象21の動特性がノミナルモデルGp(z-1)に一定化される。H(z-1)のカットオフ周波数を上げると高周波数域まで同様な効果が得られるが、逆にハイゲインフィードバックとなり、安定余裕が減少するのでトレードオフ設計が必要となる。制御ブロック83はモータ電流の上下限に相当するリミッタであり、実際の制御対象21の入力であるモータ電流が飽和したときに外乱補償器23の入力を制限することによって、外乱推定値IDISに誤差が溜まるのを防止して応答性能の劣化を防ぐ。なお、リミッタの制限値は図4のステップ51において算出した制限値ILMTを用いることにより、入力制限による誤差の蓄積をより正確に防止できる。
図3に戻りステップ10では、ステップ9で求めた電流指令値ICOMに対してステップ3で算出している逆起電力VREVの推定値を用いて逆起電力補正を行う。これについては図10により説明する。図10において加算器101では電流指令値ICOMに内部抵抗値RSIMを乗算した値に逆起電力推定値を加算し、割算器102ではこの値を電源電圧VBで除することにより、デューティ指令値Dutyを算出する。すなわち、次式よりデューティ指令値Dutyを算出する。
リミッタ103ではこのデューティ指令値Dutyを−100[%]から100[%]の間に制限する。このようにしてデューティ指令値Dutyを算出したら図3に戻り、ステップ11ではこのデューティ指令値Dutyを電流制御アンプ5へ出力する。
ここで本実施形態の作用効果を説明する。
入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルに基づいて設計される同一次元オブザーバの状態方程式を、上記(1)式とし、制御対象の内部状態量(x1、x2、…、ただしy=x1、x1の微分値=x2)を推定する状態量推定装置に対し、制御対象を直流モータ1Fを有するスロットルバルブ1A(回転体)とし、入力uを直流モータ1Fの駆動電流I、出力yをスロットル角度θ(回転体の回転角度)とし、かつ状態変数x1をスロットル角度θ、状態変数x2をスロットル角速度ωθ(回転体の回転角度の微分値である回転角速度)として、このスロットル角速度ωθを推定する角速度推定装置において、一般に、図7(B)に示される同一次元オブザーバ32’内部の変数であるスロットル角速度ωθの推定精度は、同一次元オブザーバ32’の設計に使われる制御対象モデル31’の正確さに依存する。つまり、実際にはモデル化誤差があるため、制御対象モデル31’の出力であるスロットル角度θの推定誤差に比べて、スロットル角速度ωθの推定誤差が大きく残り易いという問題がある。
これに対して本実施形態(請求項3、4に記載の発明)によれば、同一次元オブザーバ32’内部の変数であるスロットル角速度ωθの推定値の代わりに、同一次元オブザーバ32’の出力であるスロットル角度θの推定値を微分した値、すなわち
スロットル角度θの推定値を微分した値=スロットル角速度ωθの推定値
−K1・(スロットル角度θの推定値−スロットル角度θ)
…(19)
の式により得られる「スロットル角度θの推定値を微分した値」をスロットル角速度ωθの推定値として用いるので(図3のステップ2参照)、モデル化誤差の影響を軽減でき、スロットル角速度ωθの推定精度が向上する。
なお、同一次元オブザーバ32’の演算では、もともと「スロットル角度θの推定値を微分した値」を積分計算してスロットル角度θの推定値を算出しているので、演算を増やすことなく本発明を適用できる(図7(B)参照)。
ここで、従来手法による同一次元オブザーバを用いて得られるスロットル角速度の推定値に比例させて逆起電力推定値を算出させた場合の作用を図8に、同じく本発明手法による同一次元オブザーバを用いて得られるスロットル角速度の推定値に比例させて逆起電力推定値を算出させた場合の作用を図9に示している。スロットル開度指令値をステップ変化させた場合に、従来手法による同一次元オブザーバを用いて得られるスロットル角速度ωθの推定値に比例させて算出される逆起電力推定値(実線)は逆起電力真値(一点鎖線)より大きく離れているのに対して(図8の最下段参照)、本発明手法による同一次元オブザーバを用いて得られるスロットル角速度の推定値に比例させて算出される逆起電力推定値(実線)は逆起電力真値(一点鎖線)とよく一致していることがわかる(図9の最下段参照)。
従来手法によれば、逆起電力の推定値は、同一次元オブザーバの内部変数であるクランク角速度ωθ(回転角速度)の推定値に基づいて算出され、この逆起電力の推定値を用いて、図10に示されるように加算器101、割算器102により電流指令値ICOMの補正を行いデューティ指令値Dutyを算出している。
しかしながら、実際の制御対象21とコントローラ4が有する制御対象モデル31’との間には少なからずモデル化誤差が存在する。したがって従来手法を用いた場合、このモデル化誤差に起因したスロットル角速度ωθの推定誤差が生じ逆起電力の推定誤差の要因となる。すなわち、従来手法によれば誤差を有する逆起電力推定値を用いて電流指令値を補正することとなるので、図11に示したようにスロットル開度指令値(指令開度)をステップ変化させた場合に電流指令値(一点鎖線)と実電流値(実線)が乖離し、実際のスロットル開度(実開度)がスロットル開度指令値を超えるオーバーシュートが生じている。
これに対して本実施形態(請求項5に記載の発明)によれば、同一次元オブザーバ32’出力であるスロットル角度θの推定値を微分した値に比例して逆起電力の推定値を算出し(図3のステップ3参照)、制御対象モデル31’の出力であるスロットル角度θを目標値(スロットル開度指令値)に一致させるための電流指令値(ICOM FF)を算出し(図3のステップ5参照)、この電流指令値(ICOM FF)を前記逆起電力の推定値で補正してデューティ指令値Dutyを算出し(図3のステップ10参照)、このデューティ指令値Dutyで直流モータ1Fに流れる電流値を制御する(図3のステップ11参照)ので、スロットル角速度ωθの推定精度が向上している分、逆起電力の推定精度が良くなり、図12に示したように結果として電流指令値と実電流値の乖離を小さくできることから、スロットル開度(回転角度)の立ち上がり時のオーバーシュートを防止することができる。ここで、図12は従来手法による作用を示す図11と同じ条件でスロットル開度指令値をステップ変化させた場合に、本実施形態(請求項5に記載の発明)によれば逆起電力推定値(実線)がどのように変化するのかを示したものである。
図13には図4に示したフィードフォワード補償部22の構成とは異なるフィードフォワード補償器501を示している(特開2005−25852公報参照)。すなわち、この異なるタイプのフィードフォワード補償器501では、モデル規範型制御部504を設けて、入力制限部502を有する制御対象モデル503にフィードバック制御を施してモデル出力がスロットル開度指令値(目標回転角度)に一致するようにシミュレーションを行い入力制限部502の入力または出力を電流指令値(ICOM FF)とするものである。
図13に示されるようなフィードフォワード補償器501をスロットルバルブ位置決め制御に用いた場合、フィードフォワード補償器501内の入力制限部502における入力制限値(電流制限値)を逆起電力推定値で補正することにより、フィードフォワード補償器501内で行われるシミュレーションの精度を上げることができる。
そこで、従来手法による同一次元オブザーバを用いてスロットル角速度ωθの推定を行い、このスロットル角速度ωθの推定値に比例させて逆起電力推定値を算出することが考えられる。
しかしながら、従来手法による同一次元オブザーバを用いてスロットル角速度ωθを推定する場合、同一次元オブザーバが有する制御対象モデルのモデル化誤差に起因した推定誤差がスロットル角速度ωθの推定値に現れる。そしてこのスロットル角速度推定値に比例して算出される逆起電力推定値に誤差が発生することとなる。例えば逆起電力推定値が実際の逆起電力よりも大きい場合、この逆起電力推定誤差によりフィードフォワード補償器501内の入力制限部502における入力制限値(電流制限値)が下がる。この結果、図13に示されるようなフィードフォワード補償器501を用いた場合には、フィードフォワード補償器501内のシミュレーションが低電流で行われるので、出力される電流指令値はより大きな値となる。しかし、実際には逆起電力が推定値よりも小さいために大きな電流が流れることとなり、結果として、スロットル開度指令値をステップ変化させた場合に、図14に示したように実際のスロットル開度(実開度)がスロットル開度指令値(指令開度)を超えて大きくオーバーシュートする(第1のケース)。
一方、逆起電力推定値が実際の逆起電力よりも小さい場合には、フィードフォワード補償器501内の入力制限部502における入力制限値(電流制限値)が大きくなり、フィードフォワード補償器501からの電流指令値は小さくなる傾向にある。この結果、スロットル開度指令値をステップ変化させた場合に、図示しないが実際のスロットル開度の応答が緩慢になることが懸念される(第2のケース)。
これに対して本実施形態(請求項6に記載の発明)によれば、入力制限部502を有する制御対象モデル503にフィードバック制御を施してモデル出力が目標回転角度に一致するようにシミュレーションを行い入力制限部502の出力(または入力)を電流指令値(ICOM FF)とするフィードフォワード補償器501を備え、同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値に比例して逆起電力推定値を算出し(図3のステップ3参照)、フィードフォワード補償器501内の入力制限部502で使用する入力制限値(電流制限値)をこの逆起電力推定値で補正する。
具体的には、入力制限部502で使用する入力制限値(電流制限値)を逆起電力推定値で補正する方法は、図4のステップ51、53で説明したところと同様である。すなわち、入力制限部502では次の式により入力制限値(電流制限値)ILMTを算出する。
LMT=(VB−|逆起電力推定値|)/RSIM …(20)
ただし、VB:電源電圧、
SIM:内部抵抗値、
そして、モデル規範型制御部504からの電流指令値(例えばICOM0とする)の絶対値と電流制限値ILMTとを比較し、次のようにより小さい方を電流指令値(F/F項)ICOM FFとして出力する。
COM0<−ILMTの場合 ICOM FF=−ILMT
−ILMT≦ICOM0≦ILMTの場合 ICOM FF=ICOM
LMT<COM0の場合 ICOM FF=ILMT
このようにすることで、電流制限値を正しく算出できることとなり、上記第1、第2の二つのケースにおける問題点を低減することができる。
ここで、図15は図14と同じ条件で比較したもので、本発明(請求項6に記載の発明)によれば、実際のスロットル開度(実開度)がスロットル開度指令値(指令開度)を超えて大きくオーバーシュートすることが防止されている(図15最上段参照)。
最終的な操作量、実際の制御量、制御対象のノミナルモデル(代表する動特性モデル)に基づいて制御対象に加わる外乱(モデル化誤差や特性変動なども含む)を推定し、外乱を相殺するように操作量を補正し、制御対象の動特性をノミナルモデルに一致させる外乱補償器が広く知られている。図6はこうした中の一つの外乱補償器23を示している。この外乱補償器23内には、制御対象21が持つ入力制限の影響を外乱として補償しないように、実際の制御対象21が持つ入力制限が入力制限部83により予め行われている。この外乱補償器23内の入力制限部83における入力制限値は逆起電力推定値の影響を大きく受けるので、逆起電力の精度の良い推定および入力制限値の補正が必要である。
そこで、同一次元オブザーバを用いて従来手法によりスロットル角速度ωθの推定を行い、このスロットル角速度ωθの推定値に比例させて逆起電力推定値を算出することが考えられる。
しかしながら、上述してきたように同一次元オブザーバの従来手法を用いた場合、スロットル角速度ωθに推定誤差が生じ逆起電力推定誤差の要因となる。例えば逆起電力推定値が実際の逆起電力よりも大きい場合、この逆起電力推定誤差により外乱補償器23内の入力制限部83における入力制限値が下がるため、外乱推定値IDISが実際よりも大きく算出される。この結果、電流指令値ICOM(操作量)が小さくなるため、図16に示したようにスロットル開度指令値(目標値)をステップ変化させた場合にスロットル開度θ(制御量)のスロットル開度指令値(目標値)への収束時間が遅くなる(第3のケース)。
一方、逆起電力推定値が実際の逆起電力よりも小さい場合には、外乱補償器23内の入力制限部83における入力制限値が上がるため、電流指令値ICOM(操作量)は大きくなる傾向がある。電流指令値ICOMが大きくなると、図示しないが今度はスロットル開度θがスロットル開度指令値を超えてオーバーシュートすることが懸念される(第4のケース)。
これに対して本実施形態(請求項7に記載の発明)によれば、外乱を推定しこの推定した外乱がなくなるように電流指令値(ICOM)を補正することで制御対象21の動特性を一定化させる外乱補償器23を備え、同一次元オブザーバ出力であるスロットル角度θの推定値を微分した値に比例して逆起電力推定値を算出し(図3のステップ3参照)、外乱補償器23に含まれる入力制限部83から出力される入力制限値(電流制限値)をこの逆起電力推定値で補正する。
具体的には、入力制限部502で使用する入力制限値(電流制限値)を逆起電力推定値で補正する方法は、図4のステップ51、53で説明したところと同様である。すなわち、入力制限部83では次の式により入力制限値(電流制限値)ILMTを算出する。
LMT=(VB−|逆起電力推定値|)/RSIM …(21)
ただし、VB:電源電圧、
SIM:内部抵抗値、
そして、電流指令値ICOMの絶対値と電流制限値ILMTとを比較し、次のようにより小さい方を電流指令値ICOM4として制御ブロック81に出力する。
COM<−ILMTの場合 ICOM4=−ILMT
−ILMT≦ICOM≦ILMTの場合 ICOM4=ICOM
LMT<COMの場合 ICOM4=ILMT
このようにすることで、結果として外乱補償器23内の入力制限部83における入力制限値(電流制限値)を正しく算出できることとなり、上記第3、第4の二つのケースにおける問題点を防止することができる。
図17は図16と同じ条件で比較したもので、本実施形態(請求項7に記載の発明)によれば、スロットル開度指令値(目標値)をステップ変化させた場合にスロットル開度θ(制御量)がスロットル開度指令値(目標値)へと収束するまでの時間が短くされている。
本実施形態では2次の同一次元オブザーバを設計したが、本発明手法は同一次元オブザーバの次元によらず適用することができる。
実施形態では、回転体がスロットルバルブである場合で説明したが、これに限られるものでない。
本発明の第1実施形態のスロットルバルブ位置決め制御装置の概略構成図。 スロットルバルブ位置決めコントローラの構成図。 メインのフローチャート。 フィードフォワード補償部の演算を説明するためのフローチャート。 モデルマッチング補償器の構成図。 外乱補償器の構成図。 制御対象を2次振動系とするときの同一次元オブザーバの構成図。 制御対象を直流モータを有する回転体とするときの同一次元オブザーバの構成図。 従来手法による同一次元オブザーバを用いた逆起電力の推定を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 本発明手法による同一次元オブザーバを用いた逆起電力の推定を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 電流制御部の構成図。 従来手法による電流制御部の逆起電力補正を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 本発明手法による電流制御部の逆起電力補正を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 フィードフォワード補償器の構成図。 従来手法によるフィードフォワード補償器内における入力制限部の電流制限値の算出を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 本発明手法によるフィードフォワード補償器内における入力制限部の電流制限値の算出を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 従来手法による外乱補償器内における入力制限部の電流制限値の算出を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。 本発明手法による外乱補償器内における入力制限部の電流制限値の算出を説明するためのスロットル開度、電流、逆起電力の変化波形図。
符号の説明
1 スロットルアクチュエータ
1A スロットルバルブ(回転体)
1F 直流モータ
2 スロットル開度センサ
4 スロットルバルブ位置決めコントローラ
23 外乱補償器
31、31’ 制御対象モデル
32、32’ 同一次元オブザーバ
83 入力制限部
501 フィードフォワード補償器
502 入力制限部

Claims (7)

  1. 入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルに基づいて設計される同一次元オブザーバであって、状態変数x 2 の推定値より、出力であるyの推定値から前記制御対象モデルの出力yを差し引いた値に前記ゲインK 1 (ただし、K 1 は同一次元オブザーバのゲインベクトルにおけるx 1 の微分値に対応する部分である。)を乗算した値を差し引き、その差し引いた値を前記積分器で積分した値を状態変数x 1 の推定値としている同一次元オブザーバの状態方程式を、
    とし、制御対象の内部状態量(x1、x2、…、ただしy=x1、x1の微分値=x2)を推定する状態量推定装置において、
    状態変数x2の推定値として、同一次元オブザーバ内部の変数であるx2の推定値ではなく、前記状態変数x1の推定値を微分した値を用いることを特徴とする状態量推定装置。
  2. 前記状態変数x1の推定値を微分した値は、同一次元オブザーバ内部の変数である状態変数x2の推定値より、同一次元オブザーバ出力であるyの推定値から前記制御対象モデルの出力yを差し引いた値に前記ゲイン 1 乗算した値を差し引いた値であることを特徴とする請求項1に記載の状態量推定装置。
  3. 入力がu、出力がyである制御対象をモデル化した制御対象モデルに基づいて設計される同一次元オブザーバであって、状態変数x 2 の推定値より、出力であるyの推定値から前記制御対象モデルの出力yを差し引いた値に前記ゲインK 1 (ただし、K 1 は同一次元オブザーバのゲインベクトルにおけるx 1 の微分値に対応する部分である。)を乗算した値を差し引き、その差し引いた値を前記積分器で積分した値を状態変数x 1 の推定値としている同一次元オブザーバの状態方程式を、
    とし、制御対象の内部状態量(x1、x2、…、ただしy=x1、x1の微分値=x2)を推定する状態量推定装置に対し、前記制御対象を直流モータを有する回転体とし、前記入力uをモータ駆動電流I、前記出力yを前記回転体の回転角度θ(例えばスロットル角度)とし、かつ状態変数x1を前記回転体の回転角度θ、状態変数x2を前記回転体の回転角度の微分値である回転角速度ωθとして、この回転角速度ωθを推定する角速度推定装置において、
    前記回転角速度ωθの推定値として、同一次元オブザーバ内部の変数である回転角速度ωθの推定値ではなく、前記同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値を用いることを特徴とする角速度推定装置。
  4. 前記同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値は、同一次元オブザーバ内部の変数である回転角速度ωθの推定値より、同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値から前記制御対象モデルの出力である回転角度θを差し引いた値に前記ゲイン 1 乗算した値を差し引いた値であることを特徴とする請求項3に記載の角速度推定装置。
  5. 前記同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値に比例して逆起電力の推定値を算出する逆起電力推定値算出手段と、
    前記制御対象モデルの出力である回転角度θを目標値に一致させるための電流指令値を算出する電流指令値算出手段と、
    この電流指令値を前記逆起電力の推定値で補正してデューティ指令値を算出するデューティ指令値算出手段と、
    このデューティ指令値で前記直流モータに流れる電流値を制御する制御手段と
    を有することを特徴とする請求項3または4に記載の角速度推定装置。
  6. 入力制限部を有する制御対象モデルにフィードバック制御を施してモデル出力が目標回転角度に一致するようにシミュレーションを行い入力制限部の入力または出力を電流指令値とするフィードフォワード補償器を備え、
    前記同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値に比例して逆起電力推定値を算出する逆起電力推定値算出手段と、
    このフィードフォワード補償器内の入力制限部で使用する入力制限値を前記逆起電力の推定値で補正する入力制限値補正手段と
    を有することを特徴とする請求項3または4に記載の角速度推定装置。
  7. 外乱を推定しこの推定した外乱がなくなるように電流指令値を補正することで制御対象の動特性を一定化させる外乱補償器を備え、
    前記同一次元オブザーバ出力である回転角度θの推定値を微分した値に比例して逆起電力推定値を算出する逆起電力推定値算出手段と、
    前記外乱補償器に含まれる入力制限部から出力される入力制限値を前記逆起電力の推定値で補正する入力制限値補正手段と
    を有することを特徴とする請求項3または4に記載の角速度推定装置。
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