JP4928695B2 - 環境対話式のコンテキスト指向デバイス、および、方法 - Google Patents

環境対話式のコンテキスト指向デバイス、および、方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、コンテキスト指向(context−aware)コンピューティングまたはユビキタスコンピューティングの領域に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワールドワイドウェブ(WWW)は、世界中のどんな位置にあるどんなソースからでもコンテンツを利用可能にするために生み出された。ウェブのユーザは一般にウェブを介して、無限の数に思われるリソースに広くアクセスすることができる。これに関しては、ウェブは非常にうまくいっている。しかしながら、ウェブが進化する中で、いくつかの必要性が多分に満たされないままになっている。具体的には、人々は、コンテキストの面を有する情報にアクセスする必要性を持ちつづけている。すなわち、個人はしばしば、何らかのコンテキストを伴うコンピューティング環境にいることに気付くことになる。それにもかかわらず、この環境のコンテキストを現在のコンピューティング環境に組み込むことは容易ではない。
【0003】
一例として、位置のコンテキストを考えてみる。人々は一般に、地理範囲を伴う情報、データ、リソースなどにアクセスする必要がある。例えばある個人が、自分が現在いる場所の近くにあるサービスまたは製品を利用したいと思う場合がある。これに関し、サービスや物品などをこの個人が利用できるようにするには、この個人のコンテキスト上の位置を理解することが望ましい。「電子商取引」の重要性が増大し続けるにつれて、人、場所、サービス、および物品を効率的な形で統合する必要性が、クリティカルに重要になってくるであろう。
【0004】
今日までに、人、場所、サービス、および物品を統合する多くの試みがなされてきた。これらの様々な試みは一般に、異なる方向から、しばしば相容れない形でこの問題に取り組んできた。一例として、位置のコンテキストを考えてみる。いくつかのサービスは、サービスに関する情報を保持する大規模なデータベースを定義することによって人とサービスを統合しようとしてきた。例えば、ウェブを介してアクセス可能なデータベース中にレストランのリストを保持し、各レストランを、それがある場所のzipコードに関連付ける。ユーザが特定のレストランの位置を突き止めたいときは、単にユーザがいる場所のzipコードを入力して、そのzipコードの中で対応するレストランのリストを見ればよい。このレストランリストから、当該のレストランを1つか2つ選択することができる。
【0005】
この手法は、いくつかの理由で望ましくない。第1に、システムの動作は中央サーバに依存し、この中央サーバが、ユーザ照会を受け取り、照会を実行してユーザに情報を返すことを担う。サーバ障害が起きた場合、サービスもまた障害をきたす。加えて、この特定のサービスは、レストランを見つけるのには適しても、おそらく他のビジネスには適さない場合がある。さらに、結果をユーザに返すときの細分性により、ユーザにいくらかの探索負荷が押し付けられる場合がある(すなわちユーザは、近くのzipコードに含まれるレストランのリストを得るが、さらにそのリストを探索して、どれが当該のレストランかを選択しなければならない)。さらに、レストランのリストは、最短距離で経路を定めることを不可能にする何らかのタイプの物理的障壁(すなわち川や山など)によって阻まれたレストランをいくつか含む場合もある。
【0006】
サービスおよび製品のプロバイダは、近くのエンドユーザに接続したい。エンドユーザは、これらのサービスおよび物品を最も近くて便利な位置で消費したい。虫歯を埋めるためまたは流しの詰まりを除くために歯医者または配管工を必要とする場合に、「ネット上の遠く離れた」どこかに住む歯医者または配管工のサービスを得ることは適切ではない。競技場にいながら最も近いホットドッグを探すには、競技場にいる必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
コンピューティングデバイスがそれらの特定のコンテキストに参与できるコンテキスト指向コンピューティングを生み出せるようにする、未だ解決されていない必要性がある。特定の状況では、公的と私的の両方の世界視野で、物理的位置間に関係的位置認識を形成する必要がある。しかし今日、コンテキスト指向コンピューティングの可能性を開くことになる標準化された1つの世界視野はない。コンテキスト指向コンピューティングは、それ自体かつそのままで非常に大きなフィールドではあるが、単なる位置認識以上のものである。
【0008】
本発明は、コンテキスト指向コンピューティングの可能性を開くための標準化されたコンテキスト指向インフラストラクチャおよびそれに関係するシステムの開発に関連する問題から生じたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
位置指向のハンドヘルド携帯用コンピューティングデバイス、これを操作する方法、およびコンピュータアーキテクチャについて述べる。述べる一実施形態では、ハンドヘルド携帯用コンピューティングデバイスがその位置を決定する。次いでこのデバイスは、デバイスのユーザが位置環境と対話できるようにするデジタルデータを獲得することができる。このデジタルデータは、環境対話を可能にする様々なタイプのデータを含むことができる。あるタイプのデータは、デバイスがロードして実行することのできる1つまたは複数のアプレットを含む。他のタイプのデータは、インターネットによってアクセス可能な位置を指すことのできるURLなどのコードダウンロードポインタを含み、この位置からアプレットを得ることができる。デバイスは、デバイス上で将来使用するために1つまたは複数のアプレットを保持できるアプレットキャッシュを備えることができる。デバイス位置が変化したとき、デバイスは、もはや必要でなくなったアプレットのキャッシュをフラッシュするか、そうでない場合は空にすることができる。ある特定の実施形態では、デバイスは、物理的または論理的な位置を表す複数のノードをそれぞれが含む1つまたは複数の階層ツリー構造にアクセスすることによってその位置を決定する。次いで、デバイス、またはデバイス上で実行されているソフトウェアコードは、1つまたは複数の階層ツリー構造上にある少なくとも1つのノードを走査して、デバイス位置を確認することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
概要
標準的な解決法を提供するために、この後に述べる実施形態は、世界の一様な定義を提供する。この一様な定義は、ノードの階層ツリーによって定義され、各ノードは、世界の何らかの局面を表す。各ノードは、ブランチによって他の少なくとも1つのノードに接続される。ノードの例示的な分類は、物理レベル(例えば政治的エンティティ、インフラストラクチャエンティティ、および公共の場所などの物理的位置)、ならびに非物理レベル(例えば軍のAPO(軍郵便局))で行う。この階層ノード構造をマスタ世界(Master World)と呼び、これは世界規模の標準化された視野である。マスタ世界の各ノードには、コンテキスト指向コンピューティングを補助する様々な属性を関連付ける。例示的な属性をわずかながら挙げると、固有ID、名前、地理エンティティクラス、緯度/経度、相対重要度、コンテキスト上の親が挙げられる。マスタ世界を使用すると、世界のどの場所でも、定義可能な任意の細分性でその相対位置を決定することができるので、マスタ世界は有用である。
【0011】
個人の位置、または個人が関心を持つ場所が決定されると、その位置を参照する様々なサービスを、その位置に基づいて個人に提供することができる。すなわち、マスタ世界の中のノード位置にサービスを結び付けることができる価値が、マスタ世界モデルから提供される。
【0012】
この概念に基づき、2つの追加概念が価値を追加する。すなわち、いわゆる副次世界(Secondary World)および「ジオゾーン(geozone)」の概念である。
【0013】
副次世界は強力なコンピューティング機構であり、これにより、個々のエンティティ(ビジネスや組織など)は、マスタ世界の世界視野に必ずしも従う必要のないそれら自体の特定の世界を定義することができる。すなわち、マスタ世界は本質的に、世界の物理的な階層表現であり、副次世界は、個々のエンティティそれぞれの世界視野の物理的かつ/または論理的表現とすることができる。副次世界の特に有用な面の1つは、副次世界が少なくとも1つの地点でマスタ世界にリンクすることである。したがって、いずれかの副次世界内では、副次世界内でのユーザ位置だけでなくマスタ世界内でのユーザ位置も決定することができる。副次世界のノードには、様々なサービスを結び付けることができる。計算されたユーザ位置に基づいて、副次世界ノードに関連するこれらの様々なサービスをユーザに提供することができる。さらに、ユーザのコンテキストがマスタ世界に対して相対的に決定されるので、特定の副次世界に関連しない場合のある他のサービスを提供することもできる。
【0014】
ジオゾーンは本質的に、マスタ世界を個々のゾーンに細分する空間索引付け機構である。述べる実施形態では、これらのゾーンは、密度関数に依存する4分木アルゴリズムを使用することによって細分される(ただし他の多くの空間索引手法も使用できる)。所望の密度レベルが達成されると(密度は1ゾーンあたりの当該地点によって定義することができる)、マスタ世界上の各ノードに特定のジオゾーンを割り当てる。ジオゾーンにより、近接計算を速く直接的な方式で計算することができる。
【0015】
マスタ世界および副次世界の有用な面の1つは、これらが固定コンピューティングデバイス(すなわちデスクトップデバイス)やモバイルコンピューティングデバイス(すなわちセルホン、ラップトップその他)など、様々なコンピューティングデバイスから「到達可能」なことである。すなわち、マスタ世界(または少なくともその一部)と1つまたは複数の副次世界は、コンピューティングデバイス上でローカルに維持することもでき、あるいは例えばウェブまたは他の何らかの機構を介してアクセスすることもでき、それにより、ユーザはユーザのコンテキストを引き出すことができる。例えば、ユーザが副次世界内でユーザのコンテキストを引き出せるように、副次世界をコンピューティングデバイス上にダウンロードすることができる。ユーザのコンテキストがマスタ世界と1つまたは複数の副次世界とから決定されると、様々なコンテキスト指向の解決法の堅固な集合がユーザに利用可能になる。例えば、特定の副次世界サービスまたはマスタ世界サービスを提供することができる。さらに、ユーザの位置を他の副次世界が知る(または他の副次世界に知らせる)ことができるので、他の副次世界からのサービスを提供することもできる。このようにして、マスタ世界は、2つ以上の副次世界を相互にリンクすることができる。
【0016】
もう1つの側面は、この実施形態が、デバイスの位置を決定する際に各コンピューティングデバイスの計算力を利用することである。このとき、デバイスから到達可能な(かつおそらくデバイス上でローカルに維持される)マスタ世界と1つまたは複数の副次世界があるおかげで、デバイスそのものがそれ自体のコンテキストを決定する。
【0017】
一実施形態では、前述したコンテキスト指向構造すなわちマスタ世界と1つまたは複数の副次世界とを利用するように構成された、クライアント側デバイスが提供される。マスタ世界またはその一部は、デバイス上でローカルに利用可能か、または例えばウェブを介して別の位置からアクセス可能とすることができる。この実施形態では、クライアントデバイスには位置サービスが組み込まれている。述べる位置サービスは、デバイスの位置を決定することができ、様々なアプリケーション(そのデバイス上またはそのデバイスから離れた所で実行されている)からの照会に答えることができるソフトウェアモジュールである。この位置サービスは、マスタ世界と1つまたは複数の副次世界を使用してデバイスの位置を決定する。アプリケーションは、1つまたは複数のアプリケーションプログラムインタフェース(API)またはイベントを介して位置サービスに照会して、アプリケーションがサービスを提供するのに用いる位置情報を得る。
【0018】
位置サービスは、デバイスに情報を伝える1つまたは複数の位置プロバイダを利用する。この情報は、位置プロバイダ固有の情報とすることもでき、マスタ世界または副次世界のノードに直接にマッピングできる情報とすることもできる。例示的な位置プロバイダには、全地球測位サービス(GPS)プロバイダ、セルホンプロバイダ(セルプロバイダ)、ブルートゥース(Bluetooth)プロバイダ、ユーザインタフェースプロバイダなどを含めることができる。位置プロバイダは、デバイスの現在位置の何らかの局面を示す情報を提供する。この情報を使用して、位置サービスがデバイスの位置を確認する。
【0019】
クライアントデバイスの特に有利な機構の1つは、標準的または共通の位置プロバイダインタフェースである。位置プロバイダインタフェースは、位置サービスがその情報を利用してその位置を決定することができるように、様々な位置プロバイダが位置サービスに情報を提供できるようにしている。本質的に、多重位置プロバイダインタフェースは、異なる複数の位置プロバイダが位置に関する位置情報(またはヒント)をデバイス上の位置サービスに提供できるようにする共通インタフェースである。位置プロバイダは、絶えず、または間隔を空けて、またはデバイスからポーリングを受けたときに、位置情報を提供することができる。位置情報は、位置サービスが情報を使用する前にその情報の相対的な質を評価できるように、信頼度および正確度の推定値と共に提供することができる。様々なプロバイダはまた、それら自体を自己監視する能力も有し、この能力は、情報をインテリジェントに位置サービスに伝えるプロバイダの能力を補助する。共通インタフェースを有することにより、位置プロバイダの集合は動的に拡張可能である。すなわち、位置サービスまたはデバイスによって実施される機能が介入することなく、位置プロバイダを集合に追加または集合から除去することができる。位置プロバイダは、デバイスが動作している間に追加または除去することができる。このことは、将来開発される位置プロバイダに対応する際に特に有用である。この特定の実施形態では、2つの抽象化レベルが提供される。すなわち、(1)位置プロバイダから情報を受け取るプロバイダインタフェース、および(2)アプリケーションが様々な情報を得ることを可能にするAPI/イベントレイヤである。
【0020】
この実施形態の焦点の1つは、異なる様々なソースからコンテキスト情報(例えば位置情報)を収集し、その情報からデバイスの現在コンテキストを決定し、現在コンテキストを何らかのレベルで1つまたは複数のアプリケーションに提供することのできるデバイスであり、アプリケーションは、デバイスのコンテキストを用いて、サービスを提供するか、またはデバイスがそのコンテキスト環境に参与できるようにする。
【0021】
この実施形態では、デバイスは、その位置に関する位置情報またはヒントを受け取る。この情報は、位置サービスによって照合され、マスタ世界および/または副次世界の中のノードにマッピングされる。次いで、階層ツリーを走査して、副次世界とマスタ世界の両方におけるデバイスの正確な位置を決定することができる。この時点で、デバイスはそのコンテキストを決定し終えている。よく信用できる情報だけを用いてコンテキストが決定されるように、収集された情報は調停を受けることができる。位置情報をキャッシュして「現在位置情報」を提供することができるが、これは、定義可能な期間にわたり、ある程度正確なものとなる。したがって、何らかの理由で他の位置プロバイダが利用不可能な場合に、このキャッシュを用いて位置を確認することができる。
【0022】
デバイスの位置が決定されると、デバイスは、セキュリティポリシーを情報に適用することができる。これを行った後で、デバイスは、様々なアプリケーションからの照会に答えることを開始することができる。
【0023】
この実施形態の一態様としては、「お気に入りの位置(favorite locations)」態様である。これは、デバイスがそのコンテキストを決定すると、デバイスは自動的に構成され、それにより種々の位置に適合することができるものである。
【0024】
さらに、様々なタイプの位置プロバイダが、異なるタイプの情報を伝えることができる。例えば、いわゆる「シンプロバイダ」は、位置サービスによって適切なノード情報に変換される情報を提供する。いわゆる「シックプロバイダ」は、位置情報を得て、それをマスタ世界または副次世界に直接にマッピングできる形で提供するロジックを含む。
【0025】
別の実施形態では、デバイスのコンテキストまたは位置をできるだけ正確に決定することに対処する位置変換サービスが提供される。この実施形態では、様々な位置プロバイダから情報を受け取る。この情報は、位置、正確度、信頼度(すべて位置プロバイダから提供される)、信用度(デバイスまたはユーザから位置プロバイダに割り当てられる)、タイムスタンプ(位置情報の古さを決定するのに役立つ)を含む。位置変換処理は、どの位置プロバイダが有効かつアクティブかを決定することを含む。位置プロバイダは、信頼度および信用度のレベルに従ってランク付けすることができる。これにより、位置プロバイダを順序付けしたリストが定義される。すべての位置プロバイダが非アクティブになる恐れのある状況に対しても備える。この場合、時が経つにつれて信頼度が低下する「現在位置」を位置プロバイダとして使用する。
【0026】
2つ以上の位置プロバイダからの情報が対立する場合は、信用度レベルのより高い情報を用いる基準を採用することができる。次いで、すべての位置プロバイダから提供される情報(対立がないと仮定する)を用いて、ツリー構造とノードのエンティティID(EID)とを決定することができる。ツリーはマスタ世界とすることができ、EIDはマスタ世界上のノードである。ツリーは副次世界とすることもでき、EID(または位置固有の識別子すなわち「LUID」)が副次世界上のノードである。この情報を収集した後は、単にツリーを走査するだけで完全な位置情報を決定することができる。デバイスの位置を決定すると、キャッシュを現在位置(タイムスタンプを含む)で更新することができる。
【0027】
別の実施形態では、コンテキスト指向コンピューティング環境におけるプライバシー問題に対処する。この実施形態では、位置サービスが、特定デバイスの位置に関係する位置情報を獲得している。プライバシーマネージャが、情報を要求するかもしれないアプリケーションにどのレベルの情報を提供するかを決定する。プライバシーマネージャは、コンピューティングデバイス自体に常駐してもよく、信用できる第三者が代理になってもよい。
【0028】
この実施形態によれば、プライバシーレベルの段階が定義される。各レベルは、特定のデバイスの位置に関して具体性がより高いまたは低い情報を含むように定義される。ユーザが、位置情報を要求するかもしれないエンティティにプライバシーレベルを割り当てることができる。加えて、マスタ世界および副次世界の各ノードにプライバシーレベルを関連付けることもできる。アプリケーションからの照会が受信されると、プライバシーマネージャはまず、その照会が誰からのものかと、そのアプリケーションまたはエンティティに関連するプライバシーレベルを決定する。次いでプライバシーマネージャは、マスタ世界および副次世界の1つまたは複数を評価して、対応するプライバシーレベルを有するノードを見つける。対応するノードが見つかったときは、その特定の細分性で要求側アプリケーションまたはエンティティに情報を提供する。
【0029】
別の実施形態では、位置ビーコンの形で位置プロバイダを提供するシステムおよび方法について述べる。この実施形態では、様々な領域(公共/私的領域)中に設置することのできる位置ビーコンが提供されて、伝送範囲内にあるどんなコンピューティングデバイスにもその位置が指示される。送信される情報により、デバイスがその位置またはコンテキストを決定することができる。位置ビーコンは、位置サービス固有の情報を送信することができ、位置サービスはその情報を用いる。送信する情報は、EID/URLの対、およびLUID/URLの対を含むことができる。EIDは、マスタ世界の中にあるノードのノード識別を提供し、関連するURLは、マスタ世界と通信するためのプロトコルを提供する。例えばこのURLは、そのEIDを使用する追加コンテキスト情報を提供することのできるサーバにリンクすることができる。LUIDは、現在位置に対応する副次世界上のノードを示し、URLは、副次世界と通信するためのプロトコルを提供する。例えばこのURLは、副次世界をホスティングするサーバとリンクすることができる。この場合、このサーバに照会して、副次世界に関するより多くの情報(すなわち副次世界ツリー構造、関連リソースの位置など)を発見することができる。EIDおよびLUIDを(URLと共に)使用することにより、デバイスは今や、マスタ世界または副次世界を走査してその位置を決定することができる。ビーコンは、様々な技術を使用して実装することができる(無線、RF、IR)。改ざんを防止するために、ビーコンは「1度だけプログラムできる」デバイスとすることができる。ただし、プログラム可能ビーコンを提供してもよい。送信される情報の真実性を確認するためにビーコン情報と共に提供される検証可能な署名の形でも、セキュリティを提供することができる。
【0030】
ビーコンのコンテキスト指向コンピューティングの有用な一面は、「位置イネーブルドアクセス(location−enabled access)」の概念である。すなわち、位置情報の受信に加えて(またはそれと別に)、ビーコンは、スマートデバイスがソフトウェアコードにアクセスすることを可能にするコードダウンロードポインタを送信することもでき、このソフトウェアコードにより、スマートデバイスはその現在コンテキストに参与することができる。
【0031】
例示的なコンピューティングシステム
この文書のコンテキストでは、任意のタイプのコンピューティングデバイスを一般的に指すのに、用語「コンピューティングデバイス」を使用する。例示的なコンピューティングデバイスの特徴は、これらが通常、1つまたは複数のプロセッサと、コンピュータ可読媒体(記憶装置やメモリなど)と、1つまたは複数のプロセッサ上で実行されてプロセッサにプログラム済みの機能を実施させるソフトウェアとを備えることである。特定の実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス(例えばラップトップコンピュータなど)、および/またはハンドヘルドコンピューティングデバイス(例えばパームPC、無線電話機など)のコンテキストで実装する。
【0032】
図1は、述べる実施形態との関連で使用するのに適したコンピューティングデバイスのほんの一例を構成する概略図である。特定の実施形態の利用を念頭に置いた1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えばパームPC、無線電話機など)に、図示のコンピューティングデバイスの一部を組み込むこともできることを理解されたい。
【0033】
コンピュータ130は、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッシングユニット132と、システムメモリ134と、システムメモリ134を含めた様々なシステムコンポーネントをプロセッサ132に結合するバス136とを備える。バス136は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、AGP(accelerated graphics port)、および様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサバスまたはローカルバスを含めた、いくつかのタイプのバス構造のうちのいずれか1つまたは複数を表す。システムメモリ134は、読出し専用メモリ(ROM)138およびランダムアクセスメモリ(RAM)140を含む。ROM138には、起動中などにコンピュータ130内の要素間で情報を転送するのを補助する基本ルーチンを含むBIOS(basic input/output system)142が記憶される。
【0034】
コンピュータ130はさらに、ハードディスク(図示せず)に対して読み書きするためのハードディスクドライブ144と、取外し可能磁気ディスク148に対して読み書きするための磁気ディスクドライブ146と、CD−ROMやその他の光学媒体など取外し可能光ディスク152に対して読み書きするための光ディスクドライブ150とを備える。ハードディスクドライブ144、磁気ディスクドライブ146、および光ディスクドライブ150は、SCSIインタフェース154または他の何らかの適したインタフェースによってバス136に接続される。ドライブおよびそれらに関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、およびコンピュータ130に対するその他のデータの、不揮発性記憶域を提供する。本明細書に述べる例示的な環境は、ハードディスク、取外し可能磁気ディスク148、および取外し可能光ディスク152を採用するが、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)など、コンピュータからアクセス可能なデータを記憶することのできる他のタイプのコンピュータ可読媒体をこの例示的な動作環境で使用することもできることを、当業者は理解されたい。
【0035】
ハードディスク144、磁気ディスク148、光ディスク152、ROM138、またはRAM140には、いくつかのプログラムモジュールを記憶することができるが、これらのプログラムモジュールには、オペレーティングシステム158、1つまたは複数のアプリケーションプログラム160、その他のプログラムモジュール162、およびプログラムデータ164が含まれる。ユーザは、キーボード166やポインティングデバイス168などの入力デバイスを介してコンピュータ130にコマンドおよび情報を入力することができる。その他の入力デバイス(図示せず)には、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星受信アンテナ、スキャナなどを含めることができる。これらおよび他の入力デバイスは、バス136に結合されたインタフェース170を介してプロセッシングユニット132に接続される。モニタ172または他のタイプの表示装置もまた、ビデオアダプタ174などのインタフェースを介してバス136に接続される。モニタに加え、パーソナルコンピュータは通常、スピーカやプリンタなど他の周辺出力デバイス(図示せず)も備える。
【0036】
コンピュータ130は一般に、リモートコンピュータ176など1つまたは複数のリモートコンピュータへの論理接続を用いて、ネットワーク化された環境で動作する。リモートコンピュータ176は、別のパーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、またはその他の一般的なネットワークノードとすることができ、これは、図1にはメモリ記憶装置178しか示していないが、通常はコンピュータ130に関して先に述べた要素の多くまたはすべてを備える。図1に示す論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)180およびワイドエリアネットワーク(WAN)182を含む。このようなネットワーキング環境は、オフィス、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットによくあるものである。
【0037】
LANネットワーキング環境で使用するときは、コンピュータ130は、ネットワークインタフェースまたはアダプタ184を介してローカルネットワーク180に接続される。WANネットワーキング環境で使用するときは、コンピュータ130は通常、モデム186を備えるか、あるいはインターネットなどのワイドエリアネットワーク182を介して通信を確立するための他の手段を備える。モデム186は内蔵でも外付けでもよく、シリアルポートインタフェース156を介してバス136に接続される。ネットワーク化された環境では、パーソナルコンピュータ130に関して示したプログラムモジュールまたはこれらの一部をリモートメモリ記憶装置に記憶することができる。図示するネットワーク接続は例示的なものであり、コンピュータ間に通信リンクを確立する他の手段も使用できることを理解されたい。
【0038】
一般に、コンピュータ130のデータプロセッサは、様々な時にコンピュータの様々なコンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令を使用してプログラムされる。プログラムおよびオペレーティングシステムは通常、例えばフロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROMなどで配布される。これらから、コンピュータの二次記憶域にインストールまたはロードされる。実行されるとき、プログラムおよびオペレーティングシステムは、少なくとも部分的にコンピュータの電子主記憶域にロードされる。これらおよび他の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体が、以下に述べるステップをマイクロプロセッサまたはその他のデータプロセッサと共に実施するための命令またはプログラムを含むとき、本明細書に述べる発明は、このような媒体を含む。本発明はまた、以下に述べる方法および技法に従ってコンピュータがプログラムされたとき、このコンピュータも含む。
【0039】
本明細書では例示のために、プログラムと、オペレーティングシステムなど他の実行可能プログラムコンポーネントとを別個のブロックとして示すが、このようなプログラムとコンポーネントは、様々な時にコンピュータの様々な記憶コンポーネント中にあり、コンピュータのデータプロセッサによって実行されることを理解されたい。
【0040】
世界の定義
今日、コンテキスト指向コンピューティングの問題を解決する試みに伴う問題の1つは、提案されるあらゆる解決法が独自の手法、データ構造、プロセスなどを有することである。様々な手法の間での標準化は、仮にあったとしてもごくわずかである。述べる実施形態では、ユニバーサルな地球視野を定義することにより、基礎的なレベルで標準化が達成される。すなわち、ユニバーサルに受け入れられる地球の定義を提案するが、この定義は、コンテキスト依存コンピューティングを可能にするために様々なコンピューティングシナリオで使用可能である。この文書では、コンテキスト依存コンピューティングの具体的な一例を位置依存コンピューティングの形で提供する。これは、以下に論じる様々な実施形態を採用できるコンテキストのほんの一例をなすだけであることを理解されたい。その他の「コンテキスト」には、階層構造にうまくはまる情報ならどんなものも含めることができる。これらには、組織内の役割/人員、デバイス範疇化、現在アクティビティ、現在環境、アクティブデバイスなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0041】
マスタ世界
マスタ世界は、地球の物理的位置または地理区分を分類整理した、政治的に公正かつ公的に受け入れられる階層ツリー構造として定義される。マスタ世界は、地球全体の様々な多くのクラスの政治的、行政的、かつ地理的なエンティティが含まれるようにして定義される。政治的競合の領域は、コンピューティングデバイスの言語/現場に基づく世界視野を提示することによって反映される。
【0042】
図2に、マスタ世界の一部を表す例示的な階層ツリー構造200を示す。マスタ世界は複数のノード202を含み、各ノードは、地球の何らかのタイプの地理区分(例えば政治的または自然エンティティ)を表す。図示の例では、マスタ世界のノードは次のグループに構成される。すなわち(1)政治的または自然エンティティ(例えば大陸、国、海洋、州、郡、市など)、(2)インフラストラクチャエンティティ(例えば郵便番号、市外局番、時間帯など)、(3)公共場所エンティティ(例えば公園、遊歩道、空港、競技場など)、および(4)非物理的エンティティ(軍事郵便番号地域、休暇地域、地理的に断続している可能性のあるテレビジョンネットワークの系列局受信エリアなど)である。
【0043】
図2の例では、ツリー構造の最上位ノードは地球を表す。最上位ノードの下にある各ノードは、地球の地理区分を表す。この例では、いずれかのビジネスまたはサービスとの関連を有するノードは1つもない。すなわち、マスタ世界の一部であるノードエンティティと、アクティビティが行われる非地理的場所との間に区別がある。マスタ世界は、公共の場所に対するノード(すなわち空港、遊歩道など)を含むものの、ビジネスまたはサービスのプロバイダの個別リストは含まない。各ノードは、ID(EIDすなわちエンティティID)で一意的に識別される。固有のEIDに加えて、URLもツリー構造に関連付けられ、後で明らかとなるようにツリー構造に対するコンテキストを提供する。
【0044】
一例として、次のことを考えてみる。すなわち、シアトル−タコマ国際空港(SeaTac)がマスタ世界に含まれるが、SeaTacにおける個々の航空会社のビジネス位置への参照は、SeaTac空港EIDでタグ付けされたツリーの「葉」とすることができる(以下の「副次世界」セクションおよび表を参照)。同様に、シアトルセンタをマスタ世界上のノードとすることができ、シアトルアートフェスティバル、バンパーシュート、シアトルソニックスNBAチーム、およびシアトルセンタのスターバックスコーヒーショップは、シアトルセンタEIDでタグ付けすることができる。別の例としては、マスタ世界はまた、すべての各州間(高速道路)出口に対するノードも含む。例えば、ワシントン州、出口109、I−90は、マスタ世界のノードの1つである。ワシントン州エレンズバーグ、キャニオンロード1700に位置するベストウェスタンインは、この出口のEIDでタグ付けすることができる。
【0045】
したがって、マスタ世界は、一様な位置定義方式を提供する。次いで、一様な位置定義をユニバーサルに使用して、物品またはサービスに属性を割り当てることができる。コンピューティングデバイスが特定の一様な位置定義に対応するようにその位置を決定したときは常に、その一様な位置定義を共有する位置依存の物品またはサービスを利用することができる。マスタ世界は、標準化された世界視野であるため有用である。その標準化された正確な地理範囲属性は、プロバイダと消費者の両方から容易にアクセスすることができる。サービスおよび製品のプロバイダ(またはサーチエンジン、ネットワークおよびイエローページデータベースディレクトリなどの第三者)は、標準化された永続的な地理参照をすべての商取引位置または当該地点に割り当てることによって、マスタ世界のノードを使用することができる。これらの商取引位置または当該地点は、ツリー構造上の「葉」と考えることができる。
【0046】
図示の例では、マスタ世界のノードは、その使用を容易にする1つまたは複数の属性を有する。このすぐ下の表に例示的な属性を述べる。
【0047】
【表1】
Figure 0004928695
【0048】
上に列挙した属性は、例示的な属性だけを構成するものである。上に参照したこれらの属性とは異なる、かつ/またはこれらに対する追加の、他の属性を使用することもできる。以下に、上の属性を採用したわずかな例示的エンティティまたはノードのレコードを示す。
【表2】
Figure 0004928695
【0049】
【表3】
Figure 0004928695
【0050】
マスタ世界はまた、それ自体と様々な「副次世界」との間の公分母リンクのリポジトリとしても働き、かつ副次世界を他の副次世界に接続する導管としても働く。内容、サービス、およびデバイスのプロバイダは、マスタ世界を用いて、公衆に利用可能なそれらの提供物を、地理的位置および対応する複数ブランチ階層構造に関連付けることができる。この位置は、ツリー構造内の単一エンティティと関連付けられることになり、したがって、地理的計算および時間/距離の計算と、必要な親/子関係のナビゲーションが可能になる。
【0051】
マスタ世界の索引(ジオゾーン)
定義により、マスタ世界は、地球全体をカバーするエンティティ(ノード)の階層構造を形成する。階層内での上方向へのナビゲーションはごく自然である。下方向への効率的なナビゲーションは、地理的近接の認識を必要とする。さらに、照会において値を首尾よく返すために、あるいは元のソースノード以外のノードに付いている近い「葉」への距離をより正確に計算するために、ブランチからブランチにジャンプすることが必要なシナリオもあり得る。マスタ世界は、地理的近接によってピアレベルのノードを識別できる索引方式を利用する。この索引付け方式は、4分木アルゴリズムを利用してマークし、いわゆる「ジオゾーン」を定義する。
【0052】
4分木は本質的に、規則的にサイズの減少する同質のセルに有効範囲を分割する空間索引である。ツリーの各象限が、4つまでの子を有する。4分木セグメント化プロセスは、各象限の中の項目(例えば当該地点)の数の密度を含めた多くの様々な最終結果基準に基づいて、マップ全体が分割されるまで継続することができる。この手法により、空間選択および内容識別を加速させる空間索引の一形式がもたらされる。
【0053】
空間索引付け方式を完了して定義済みジオゾーンを各ノードに提供するには、4分木アルゴリズムをノードに適用するが、この4分木アルゴリズムは、例えばいずれか1つのゾーン中で発生する当該地点の所望の密度に基づくことができる。すべてのゾーンが定義されると、各ゾーンに固有のID(例えば上/左と下/右の、緯度と経度の対)が与えられる。次いで、マスタ世界の各ノードに、それが位置するゾーンが割り当てられる。4分木アルゴリズムは当業者には周知であり、当業者には理解されるであろう。
【0054】
マスタ世界位置
理解できるように、標準化された一様な世界の表現を、走査可能な階層ツリー構造の形で有することにより、コンテキスト依存、より具体的には位置依存の物品およびサービスをリンクできる方式が大幅に容易になる。
【0055】
この実施形態では、コンピューティングデバイスが、マスタ世界の少なくとも一部にアクセスすることができる。例えばコンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスのオペレーティングシステムの一部を構成する内部記憶装置にマスタ世界が保存されるようにすることもでき、あるいはデバイスは、インターネットなどのネットワーク媒体を介してマスタ世界にアクセスすることもできる。マスタ世界ツリー構造が各コンピューティングデバイスからアクセス可能なので、各デバイスは、それ自体のコンテキストを、またはノードによって参照される位置を決定する力を有する。すなわち、コンピューティングデバイスは、実行しているソフトウェアを介してその特定の位置すなわちノードを決定することができる。コンピューティングデバイスは、関連ノードを決定した後は、単にツリーを走査するだけでその完全な位置を確認することができる。
【0056】
例えば、コンピューティングデバイスが現在、レドモンド市に対応するノードにそれ自体が位置していると決定した場合、マスタ世界ツリー構造を走査して、ワシントン州、米国、北アメリカ大陸にそれ自体があることを確認することができる。その正確な位置を確認することにより、コンピューティングデバイス(またはそのユーザ)は今や、提供されるであろう位置依存サービスを利用する立場にある。この特定のモデルは、中央サーバを利用して異なるいくつかのデバイスに対する位置を確認する現在のモデルに勝る、非常に大きな改善である。現在のモデルでは、各デバイス(またはユーザ)が、その位置に関する情報を提供し(例えばユーザはおそらく、そのデバイスが現在位置するzipコードまたは市を入力し)、ユーザのzipコードの中で例えばマクドナルドレストランを見つけるために照会を入力する場合がある。次いでサーバは、この情報を取り入れ、例えばそのzipコードまたは市に含まれるすべてのマクドナルドレストランの位置についてユーザに教える。このモデルでは、サーバが失敗した場合、コンピューティングデバイスはどれもそのサービスを利用することができない。
【0057】
本モデルでは、各コンピューティングデバイスは自立している。それぞれがそれ自体の位置を決定することができ、したがって各デバイスは位置依存サービスを利用することができる。例えば、コンピューティングデバイスがマスタ世界の特定ノード上に位置することを理解した場合、このコンピューティングデバイスは、それが位置するその特定ノードに対応するEIDを有するマクドナルドを見つけるための照会を実行することができる。前述のジオゾーンを使用することにより、特定のロバスト性がもたらされる。ジオゾーンにより、最も近い地理区分を効率的な方式で素早く探索することができる。例えば、ある個人がコピーをとるために最も近いキンコーズを探しており、そのコンピューティングデバイスの位置するノードに対応するジオゾーン中にキンコーズが1軒もない場合は、近隣のジオゾーンを素早く探索することができる。
【0058】
副次世界
この実施形態では、副次世界の概念を使用して、追加コンテキストに対するサポートを提供する。副次世界は、第三者の組織または会社によって定義することができ、その組織に固有の物理的かつ/または論理的エンティティを構成するノードを含む。副次世界は公的なものとすることも私的なものとすることもできるので、副次世界のノードは、副次世界を定義した特定組織の外部の多くのコンテキストを有してもよく、また有さなくてもよい。副次世界は、マスタ世界を複製するのではなく、マスタ世界を一意的かつ組織固有の形で補足する。マスタ世界は広く受け入れられる基準として定義されるが、各副次世界は、組織専有の世界視野が多様に表されたものとして定義される。この実施形態では、各副次世界は、マスタ世界のノードとリンクされたノードを少なくとも1つ有する。これにより、マスタ世界におけるコンテキストまたは位置が副次世界に与えられる。また、コンテキストアプリケーションの中には、いくつかの副次世界にアクセスすることができ、各副次世界が追加のコンテキスト固有位置データを提供するものもあることに留意されたい。
【0059】
図2は、複数のノード206を備えた例示的な副次世界204を示す。各ノード206は、物理的または論理的エンティティを構成する。例えばノードは、会社、その部門、地域、キャンパス、建物、様々な建物の中のフロア、および様々なフロア上の部屋を構成することができる。ノードの少なくとも1つは、マスタ世界のノードとリンクされる。副次世界のノードは、マスタ世界のノードと同じ属性を有することができる。
【0060】
副次世界の一例として、ボーイングが、その雇用者にとって重要なエンティティのリストを含む副次世界を定義すると考えてみる。ルートエンティティは「ボーイング社」となり、その子は会社の部門(セントルイス軍事部門、エヴェレットプラント、企業本部など)とすることができる。さらにツリー構造を下ると、個々のノードは、個々の建物(ハンガー12)、この建物内のオフィス(オフィス1001)、建物領域(ハンガー12の南西象限)などを表すように定義することができる。各エンティティまたはノードは、固有の識別子(ローカルな固有IDすなわち「LUID」)と、そのノードが発生するツリーに関連するURLとを有する。URLは、副次世界ツリー構造内にいるユーザがどのようにこの世界と対話するかを決定できるように、副次世界ツリー構造を一意的に識別する。この態様については、後でより詳細に論じる。次いでボーイングはLUIDを使用して、設備、サービス、部署、またさらには人員をも、物理的または論理的位置に関連付けることができる。
【0061】
より具体的な例として、図3を考察されたい。この図には、例示的なマスタ世界300の一部および副次世界302が示してある。マスタ世界300は、世界、米国、ワシントン、レドモンド、およびZip=98052のノードを含む。例示的な副次世界302は、Microsoft Corporationによって定義された階層ツリー構造であり、以下のノードを含む。すなわち、Microsoft、レドモンドキャンパス、1Microsoftウェイ、建物26、3階、会議室3173、建物24、2階、会議室1342である。この例では、副次世界302は、レドモンドノードからマスタ世界の中に「ポイント接触」する。この例では、ビデオプロジェクタがノード「会議室1342」に関連付けられて示されている。この場合、このビデオプロジェクタは副次世界の中のノードではない。そうではなく、このビデオプロジェクタは、他の何らかのリソース発見サービス(例えばアクティブディレクトリ)中の項目であり、「会議室1342」へのポインタの位置属性を含む。ただし、キーサービスの位置を表すためのノードをこれらの世界に生み出すことができるときもある。しかしノード自体がそれらのサービスを表すことにはならない。
【0062】
マスタ世界と同様、副次世界も、有利なことにユーザのコンピューティングデバイスからアクセス可能である。例えば副次世界は、完全にまたは部分的にダウンロードして記憶装置に記憶し、必要なときにアクセスすることもできる。これは、1回使用するためだけにしかダウンロードできないものとすることができる。副次世界により、コンピューティングデバイスは、副次世界内におけるそのコンテキストを確認することができる。この例では、コンピューティングデバイスは、副次世界を使用して副次世界内のその位置を計算することになる。コンピューティングデバイスはこれを、それ自体が現在位置するノードからルートノードへとツリー構造を走査することによって行うことができる。これにより、例えば、コンピューティングデバイス(したがってユーザ)は完全な副次世界コンテキストを得ることができる。副次世界位置がわかった後は、ユーザは、副次世界のノードに関連する物品またはサービスを利用する立場にある。すなわち、コンピューティングデバイスは、その副次世界コンテキストを決定すると、副次世界へのアクティブな参与者になる準備が整う。
【0063】
物品またはサービスを副次世界の個々のノードに関連付けることにより、非常に高い価値を獲得することができる。例えば、会議室1342にはビデオプロジェクタが関連付けられている。すなわち、ビデオプロジェクタの位置は会議室1342にある。会議室3173にいる個人が、会議室1342にあるようなビデオプロジェクタを使用する必要のあるプレゼンテーションを行うと仮定する。個人は通常、おそらく物理的にその建物にあちこち呼びかけて利用可能なビデオプロジェクタがあるかどうかチェックする以外に、ビデオプロジェクタの位置を確認する手段を有しないことになる。この例では、ユーザのコンピューティングデバイスは副次世界内におけるその位置を確認することができるので、会議室1342中のビデオプロジェクタを突き止めることができる。コンピューティングデバイスはこれを、単に副次世界ツリー構造を走査して当該リソースを見つけるソフトウェアを実行することによって行う。
【0064】
また、マスタ世界の中へのリンクがあるので、コンピューティングデバイスは両方の世界内のそのコンテキスト(位置)を引き出すことができることにも留意されたい。これにより、コンピューティングデバイス、したがってユーザは、副次世界に関連する物品およびサービスを利用することができ、かつ、マスタ世界におけるユーザ位置に基づいて消費することが可能な位置依存サービスに参与することもできる。
【0065】
図4は、この実施形態による方法のステップを記述した流れ図である。すぐ後に述べるこれらのステップはコンピューティングデバイスによって実施されるが、このコンピューティングデバイスは、図示の例ではハンドヘルドモバイルコンピューティングデバイスである。
【0066】
ステップ400で、コンピュータ可読媒体上にある第1および第2の階層ツリー構造にアクセスする。この例では、これらのツリー構造はデバイスに記憶してもよく、あるいはインターネットなどのネットワークを介してアクセス可能としてもよい。例示的な第1のツリー構造はマスタ世界であり、例示的な第2のツリー構造は副次世界である。あるいは、ツリー構造は両方とも副次世界とすることもできる。デバイスからツリー構造にアクセスがあると、ステップ402で、ツリー構造の複数のノードを走査して、コンピューティングデバイスのコンテキストを引き出す。この例では、コンピューティングデバイスは、一方のツリーのノードにおけるその位置について知らせる情報を受け取る。
【0067】
この情報は、適した任意の方法でコンピューティングデバイスに入来することができる。例えば、ユーザがユーザインタフェース(UI)を介してこの情報を入力してもよく、あるいは別のコンピューティングデバイスからこのコンピューティングデバイスに位置をブロードキャストしてもよい(例えばブルートゥース技術やユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnP)を介して)。どのようにこの情報をコンピューティングデバイスに伝えることができるかについての具体的な例を、以下により詳細に提供する。どのようにこの情報をコンピューティングデバイスに伝えるかにかかわらず、コンピューティングデバイスは、情報を得ると、一方または両方のツリー構造を走査してそのコンテキストを引き出すソフトウェアを実行する。コンテキストは、この例ではデバイスの位置である。
【0068】
副次世界の定義
前述のように、述べる実施形態の特に価値ある一面は、個々の組織がそれら自体の副次世界を定義できることである。これにより、物品およびサービスを提供する際の非常に高いフレキシビリティが組織に与えられ、より一般的に言えば、これらの組織の効率が上がる。一実施形態では、個々の組織がそれら自体の副次世界を定義および維持することを可能にするソフトウェアツールが提供される。
【0069】
一実施形態では、各副次世界は、名前空間(例えばXML名前空間)として一意的に識別することができる。これにより、副次世界とマスタ世界との間のどんな名前のオーバーラップも衝突を生じないことが保証される。一例として次のことを考えてみる。マスタ世界は、都市を指す「シカゴ」として識別されるエンティティを含む。全米プロバスケットボール協会(NBA)によって確立された副次世界と、キャタピラ社によって確立された異なる副次世界もまた、「シカゴ」という名のエンティティを有し、これらのエンティティは、マスタ世界の「シカゴ」とは完全に異なるエンティティを指す。例えば、NBAの「シカゴ」はNBA市場領域を指し、キャタピラの「シカゴ」は販売地区を指す。各名前空間は他のあらゆる名前空間と一意的に異なるので、マスタ世界と副次世界との間を名前空間で分離することにより、同一の名前の付いたエンティティ間の衝突がないことを保証することができる。
【0070】
図5は、コンテキスト指向データ構造を構築する方法のステップを記述した流れ図である。これらのステップは、コンピューティングデバイス上で実行されるソフトウェアツールによって実施される。
【0071】
ステップ500で、物理的かつ/または論理的エンティティに関係する情報を指定する入力をソースから受け取る。この例では、システム管理者が、定義したいと思う副次世界の構造に関する情報を物理的に入力することができる。この情報は、建物、部門、会議室などに関する情報を含むことができる。次いでステップ502で、この情報を処理して、コンテキストを有する階層ツリー構造を定義する。この例では、コンテキストは位置である。ただし、その他のコンテキストを採用することもできることを理解されたい。階層ツリー構造中の各ノードは、別々の物理的または論理的エンティティを表す。次いでステップ504で、階層ツリー構造の少なくとも1つのノードを、コンテキストを有する別のツリー構造とリンクする。この例では、この別のツリー構造はマスタ世界を構成することができる。ツリー構造が構築されてリンクされると、これらのツリー構造は、1つまたは複数のノードからコンテキストを引き出すことのできる方式で走査される準備が整う。
【0072】
サービスとしての位置
上の例では、コンピューティングデバイスは、それ自体の位置を決定することができる。これから述べる実施形態では、コンピューティングデバイスは、異なるいくつかの情報ソースから提供される位置情報を用いてその位置を決定する。デバイスは、提供される情報を取り入れ、その情報を処理して、1つまたは複数の階層ツリー上にある特定ノードを決定することができる。これを行うと、デバイスはその完全な位置を決定することができ、この位置は、特にデバイスのユーザが消費できる位置依存サービスがあるときにわかると有用なものである。
【0073】
図6は、例示的なコンピューティングデバイス600の高レベルの図を示すが、このコンピューティングデバイス600は、コンポーネントの中でもとりわけ、コンテキストサービスモジュール602と、1つまたは複数のコンテキストプロバイダ604とを備える。コンテキストサービスモジュール602は、適した任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せの中に実装することができる。この特定の例では、コンテキストサービスモジュールは、1つまたは複数のデバイスプロセッサによって実行されるソフトウェア中に実装される。コンテキストサービスモジュール602は、1つまたは複数のコンテキストプロバイダ604からコンテキスト情報を受け取り、その情報を処理して現在のデバイスコンテキストを決定する。この特定の例では、デバイスコンテキストはデバイスの位置である。したがって、コンテキストプロバイダは、位置情報を処理されるように様々な形でコンテキストサービスモジュール602に提供する位置プロバイダである。位置プロバイダ604は、コンテキスト情報(位置情報)の様々なソース606から情報を受け取る。
【0074】
この文書のコンテキストでは、コンテキストプロバイダは、デバイス上に実装してもデバイスから離れた所に実装してもよいソフトウェアコンポーネントを構成する。コンテキストプロバイダにはまた、適した任意のハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せを含めることができる。コンテキストプロバイダの役割は、ソース606から情報を受け取り、その情報をコンテキストサービスモジュール602に伝え、それによりコンテキストサービスモジュールがその情報を使用して現在のデバイスコンテキストを決定できるようにすることである。
【0075】
デバイスのコンテキストがデバイスの位置である場合、ソース606は、デバイスの現在位置に関係する様々な情報を位置プロバイダ604に提供する。一例として、情報ソースには、GPSシステム、セルホンまたはセルID、位置情報を送信する無線送信機、位置ビーコン、802.11送信機、およびその他の様々な情報ソースなど、様々な情報送信機を含めることができる。情報ソースにはまた、例えばブルートゥース技術を介して位置情報を提供することのできるその他のコンピューティングデバイスを含めることもできる。さらに、情報ソース606には、デバイスが情報を処理してその位置を決定できるように例えば物理的に位置情報をデバイス600に入力する人物を含めることもできる。
【0076】
デバイス600がソース606から位置情報を受け取ると、デバイス600は、位置プロバイダ604を使用してその情報を処理し、その情報を位置サービスモジュール602に提供する。位置サービスモジュール602は、位置情報を処理し、位置サービスモジュールからアクセスできる1つまたは複数の階層ツリー構造上で現在位置に対応する特定ノードを決定する。次いで位置サービスモジュール602は、ツリー構造を走査して、デバイスに対する完全な位置を決定する。完全な位置が決定されると、デバイス600は、1つまたは複数のアプリケーション608との対話を開始することができ、これらのアプリケーション608は、1つまたは複数の位置依存サービスをデバイスに提供できるように、デバイスの特定位置についてデバイスに照会することができる。この例では、アプリケーション608をデバイスとは別に示してある。しかし、例えばブラウザアプリケーションなどのように、アプリケーションはデバイス上で実行してもよいことを理解されたい。
【0077】
図示のように、アプリケーション608はデバイスを呼び出して、デバイスがどこにあるか尋ねることができる。デバイスは、呼出しを受け取って適切な仕方でアプリケーションに応答するように構成される。アプリケーションがデバイスの位置情報を得ると、アプリケーションは、位置固有サービスをデバイスに提供することができる。
【0078】
次の例を考えてみる。自分は旅行者であり、SeaTac国際空港に関するマスタ世界ツリーおよび副次世界ツリーを含んだハンドヘルドモバイルコンピューティングデバイスを有する。コンコースCから中国行きの飛行機で出発する予定である。SeaTac国際空港の副次世界は、「到着」、「出発」、「コンコース」、「航空会社」、「航空会社に割り当てられたゲート」、および「ゲート位置」のノードを有するように設計されている。空港に到着すると、あなたのコンピューティングデバイスは、空港に入るときに種々のソースから位置情報を受け取り、この情報を使用して、あなたの位置が到着ノードにあることを決定する。SeaTac国際空港は、あなたが空港にいる間にあなたを補佐するためのアプリケーションを実行しているサーバのバンクを有する。サービスを見つけるのに役立つアプリケーション、設備(例えば喫茶店やレストラン)を突き止めるのに役立つアプリケーション、方向(例えば自分の出発ゲートへの行き方)を示すアプリケーション、自分のフライトの状況に関する最新情報を提供するアプリケーション、さらには自分のフライトに対して自分を自動的にチェックインするアプリケーションがある。
【0079】
また、空港の中を歩くのに伴って自分の位置が変化することも考えてみる。しかし、あなたのコンピューティングデバイスは、連続する位置情報更新を受け取ることができ、したがって、空港の中を移動するのに伴ってその位置の決定を継続することができる。ある地点では、スターバックスコーヒーショップを通過するとき、あなたのハンドヘルドデバイスは、スターバックスでラテを購入してハンドヘルドデバイスを提示すればそれに50セントの値引きを受けることを知らせる。この例では、副次世界の有用性が実例によって示されている。特定の顧客が施設のどこにいるかを知ることにより、SeaTac国際空港は、以前は不可能だったサービスのホストを提供することができる。
【0080】
さらに、自分は空港にいて、自分のフライトがキャンセルされたと仮定する。あなたは今晩宿泊する場所を見つけなければならない。したがって、最も近いダブルツリーホテルに決定しようと思う。というのは、チェックインのときにそこで出される温かいチョコレートチップクッキーが大好きだからである。最も近いダブルツリーホテルを見つけるために、自分のコンピューティングデバイス上でサーチエンジンを実行する。サーチエンジンアプリケーションはまず、あなたの位置に対応するマスタ世界ノードのEIDで示される、マスタ世界におけるあなたの現在位置を決定する。サーチエンジンアプリケーションは、探索を実行して、あなたのEIDに合致するEIDを含む属性を有するダブルツリーホテルを探す。見つかった場合、サーチエンジンアプリケーションは、単に結果をあなたに示す。対応するEIDを有するダブルツリーホテルが見つからない場合は、近隣のジオゾーンを使用してダブルツリーホテルを探索することができる。サーチエンジンアプリケーションは、ホテルへの車での行き方も提供することができる。サーチエンジンアプリケーションは、マスタ世界におけるあなたの位置を確認することができたので、このことを行うことができた。サーチエンジンアプリケーションは、あなたからの労力をほとんどまたは全く要することなく、このことを素早く自動的に行った。
【0081】
さらに、空港からホテルへ車に乗っていくとき、朝に行うことになっているプレゼンテーションのコピーを100枚印刷できるように、最も近いキンコーズを見つけようとすると仮定する。自分のハンドヘルドコンピューティングデバイスがセルラーホンで、キャリアがスプリントであると考えてみる。スプリントは、例えばセルネットで示すことのできるそれ自体の副次世界を定義している。スプリントの副次世界が自分のコンピューティングデバイス上にあるおかげで、スプリントの副次世界における自分の位置を確認することができ、したがって、マスタ世界における自分の位置を確認することができる。キンコーズもまた、マスタ世界とリンクする副次世界を有すると考えてみる。サーチアプリケーションを自分のデバイス上で実行することにより、最も近いキンコーズの位置ならびにそこへの車での行き方を確認することができる。これはすべて、自分のデバイスがマスタ世界と1つまたは複数の副次世界とにアクセスできるので可能である。この例では、マスタ世界は、2つ以上の副次世界を共にデイジーチェーン接続する機構を提供する。これは、副次世界がマスタ世界の中への参照またはリンクを少なくとも1つ有するので可能である。
【0082】
例示的なデバイスアーキテクチャ
図7は、コンピューティングデバイス600をもう少し詳細に示す。この特定の実施形態では、デバイス600は、以下のコンポーネントを含むアーキテクチャを有する。すなわち、位置サービスモジュール602、位置プロバイダインタフェース700、アプリケーションプログラムインタフェース(API)/イベントモジュール702、プライバシーマネージャ704、位置変換モジュール706、1つまたは複数のアプリケーション608、および1つまたは複数の位置プロバイダ606である。このアーキテクチャにはまた、アクティブディレクトリ708、ウェブサービス710、位置データベース712、および個人場所714も含まれる。このアーキテクチャは、適した任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せの中に実装することができる。前述のアーキテクチャは、各コンピューティングデバイスがそれ自体のコンテキストまたは位置を決定することを可能にする点で有利である。
【0083】
共通の位置プロバイダインタフェース
この実施形態の特に有利な一面は、位置プロバイダ606がそれを介して通信する標準的なインタフェースを形成する、共通インタフェース700を採用することである。共通インタフェースを有することにより、位置プロバイダは、位置プロバイダの集合から動的に追加または除去することができるので、(将来のプロバイダをサポートするために)拡張可能である。特定の位置プロバイダ606に必要なのは、共通インタフェースをサポートするように書かれることだけである。
【0084】
この例では、いくつかの位置プロバイダ606がある。これらの位置プロバイダは、位置情報を種々の形で提供する。例えばGPS位置プロバイダは、GPS固有の位置情報を提供することができる。同様に、IP/サブネット位置プロバイダは、インターネットプロトコル固有の情報を提供することができる。移動電話位置プロバイダは、セルIDの形で位置情報を提供することができる。さらに、位置ユーザインタフェース(UI)は、市、通り、または建物を指定するユーザ入力の形で位置情報を提供することができる。様々な位置プロバイダから提供される位置情報はすべて、現在のデバイス位置を決定できるように位置サービスモジュール602によって処理される。現在のデバイス位置を決定するために、位置サービスモジュール602は、アクティブディレクトリ708、ウェブサービス710、または位置データベース712を調べなければならない場合がある。図示の例では、アクティブディレクトリ708は例えば、副次世界と、ネットワーキング接続性に基づいて位置を決定するのに役立つサブネットや「サイト」の情報など他のネットワーキングメタデータとを維持することができる。ウェブサービス710は、マスタ世界または副次世界を保持することができ、これらの属性を使用して位置を見つけることができる。例えば、セルホンがそのセルタワーIDを知っている場合、位置プロバイダは副次世界に照会して、そのセルタワーIDに合致するノードを確認することができる。位置データベース712は基本的に、ローカルにホスティングまたはキャッシュされるバージョンのウェブサービスである。
【0085】
位置プロバイダ
先に示したようにこのアーキテクチャでは、位置サービスモジュール602に位置情報を提供することのできる、様々な複数の位置プロバイダを企図している。この情報は、多くの様々な形および品質レベルで入来することができる。次いでこの情報は、位置サービスモジュール602によって処理されて、現在のデバイス位置が決定される。こうするために、サービスモジュール602は、位置情報から特定のノードID(EIDおよび/またはLUID)と、そのノードが関連付けられているツリー構造に関連するURLとを確認する。位置サービスモジュールは、ノードIDを確認すると、URLを使用してツリー構造(またはより正確にはツリー構造を管理するサーバ)に照会して、ツリー構造に関するより多くの情報を確認することができる。例えば、位置サービスモジュール602が特定の副次世界からLUIDを確認した場合、位置サービスモジュール602は、アクティブディレクトリ708(または別の位置データベースであるイントラネットサーバ)に照会して、ノードの親と子を発見することができる。これにより、次いで位置サービスモジュールは、副次世界を構築することができる。
【0086】
位置プロバイダ606は、位置サービスモジュール602に多くの様々な方式で位置情報を提供することができる。例えばいくつかの位置プロバイダ606は、情報を連続的に提供することができる(例えばGPSプロバイダはGPS座標を連続的に提供することができる)。あるいは位置プロバイダは、特定時刻や定義可能イベントの発生時などに位置情報を定期的に提供することもできる。例えばユーザが、位置情報を更新すべき特定時刻を定義することができる。あるいは位置情報は、デバイスの位置が変化したとき(すなわち位置変化イベント)だけ更新してもよい。さらに、位置プロバイダは、位置サービスモジュール602からポーリングを受けたときに位置情報を提供することもできる。例えば、位置サービスモジュール602が位置プロバイダインタフェース700を呼び出して、1つまたは複数の位置プロバイダに位置情報を要求することができる。
【0087】
具体的な位置プロバイダ606の1つをキャッシュとして示す。このキャッシュプロバイダは、本質的に、現在のデバイスコンテキストまたは位置を維持する。すなわち、位置サービスモジュール602がその現在位置を確認すると、位置サービスモジュール602は、この位置をキャッシュに書き込む。これによりデバイス600は、他のすべての位置プロバイダが位置情報を提供できない場合でも、ある程度の信頼度でその位置を確認することができる(例えばGPSプロバイダは、それに情報を供給するGPS送信機が必要数の衛星に接触できないためにGPS情報を受信できないことがある)。
【0088】
信頼度および正確度のパラメータ
この実施形態の重要かつ有用な特徴の1つは、1つまたは複数の位置プロバイダが、位置サービスモジュール602に提供する情報に信頼度パラメータおよび/または正確度パラメータを割り当てるように構成されることである。信頼度パラメータは、プロバイダが位置サービスモジュール602に提供する情報に対するプロバイダの信頼の程度を提供する。例えば、GPS送信機が、信頼性の高い情報を提供するために5台または6台の衛星から情報を受け取らなければならないと仮定する。このとき、3台の衛星しか利用可能でないと仮定する。この場合、GPS送信機は、3台の衛星だけに基づく情報を送信することになる。次いでGPSプロバイダは、GPS送信機から受け取る情報が所望の5台以上ではなく3台の衛星だけに基づいていたことを知る。この場合、GPSプロバイダは、所望の5台以上の衛星に基づく場合よりも低い信頼度レベルの位置情報であることを示すように、位置情報に関する信頼度パラメータを設定することができる。この場合、位置サービスモジュール602は、デバイスの位置を決定するときにすべての位置プロバイダに対する信頼度パラメータを考慮することができる。これについては後でより詳細に論じる。
【0089】
正確度パラメータに関しては、位置プロバイダから受け取る位置情報の正確さの程度が様々であると考えてみる。ある情報は1マイル以内の正確度であり、他の情報は100フィート以内の正確度である場合がある。位置プロバイダは、位置プロバイダが位置サービスモジュール602に提供する位置情報に正確度パラメータを割り当てるように構成することが望ましい。正確度パラメータは、情報の正確度の指標を位置サービスモジュールに与える。
【0090】
位置サービスモジュール602が信頼度および正確度のパラメータを使用するとき、モジュールは、各プロバイダから受け取る位置情報をどのように使用するか決定することができる。例えば、位置サービスモジュール602は、信頼度パラメータの低い情報はどれも完全に無視することができる。一方、情報の正確度とその信頼度との間のバランスをとることもできる。例えば、正確度レベルの低い情報を、その信頼度レベルが高いときだけ使用するようにプログラムすることもできる。モジュール602は、これらのパラメータを使用して情報に重みを割り当てることができ、したがって、情報の信頼度および正確度の重み付けに応じて位置が計算される。
【0091】
信頼度パラメータの別の使用法は次のようなものである。位置サービスモジュールがデバイス位置を決定し、その位置をキャッシュに書き込んだと仮定する。位置がキャッシュに書き込まれるとき、この位置にはおそらく高い信頼度レベルが割り当てられる。さらに、他のすべての位置プロバイダが位置情報を提供できないとも仮定する。ある期間にわたり、位置サービスモジュール602は、キャッシュ位置を現在位置として使用することができ、その情報が概して正確であると適度に確信することができる。この場合、位置サービスモジュールは、時の経過と共に直線的に低下する信頼度レベルを情報に割り当てることができ、したがってある時点で、その情報の使用を停止するか、その情報を保証できないことをユーザに通知する。
【0092】
位置、信用度、およびタイムスタンプ
位置プロバイダがそれらの情報を位置サービスモジュール602に提供するとき、この情報は、信頼度および正確度のパラメータに加えて、周知のフォーマットをとる実際の位置情報、信用度パラメータ、およびタイムスタンプを含むことができる。信用度パラメータは、位置サービスモジュール602から1つまたは複数の位置プロバイダに割り当てられる測定基準であり、位置サービスモジュールが特定の位置プロバイダに対して有する信用を定義する。タイムスタンプは、位置情報が位置プロバイダに提供された時刻を定義する測定基準である。これは、情報が古くなったかどうかを位置サービスモジュール602が確認するのを補助し、リフレッシュが必要である。
【0093】
位置サービスモジュール602は、すべての位置情報を得ると、デバイスの位置の決定を開始することができる。
【0094】
図8は、デバイスコンテキストを決定する方法のステップを記述した流れ図であり、デバイスコンテキストは、この例ではデバイス位置である。これらのステップは、位置サービスモジュール602によって実施される。
【0095】
ステップ800で、現在のデバイスコンテキストを得る。現在のコンテキストは、キャッシュに記憶されている、最後に計算されたデバイスコンテキストとすることができる。ステップ802で、いくつかのコンテキストプロバイダのうちのいずれかがコンテキスト情報の提供に利用可能かどうかを決定する。位置サービスモジュールはこれを、コンテキストプロバイダをポーリングして、どのプロバイダがアクティブかつ有効かを確認することによって行うことができる。ステップ804で、すべてのプロバイダが非アクティブかどうかを決定する。すべてのプロバイダが非アクティブである場合は、ステップ806で、現在のコンテキストに対する信頼度を時の経過と共に下げ、現在のコンテキストをデバイスコンテキストとして使用する。次いでステップ802で、現在アクティブかつ有効なプロバイダがあるかどうか監視を継続する。ステップ804で、1つまたは複数のコンテキストプロバイダがアクティブであると決定された場合は、ステップ808で、アクティブかつ有効なコンテキストプロバイダを順序付ける。コンテキストプロバイダを順序付けまたはソートするとき、位置サービスモジュール602は、プロバイダの情報の信頼度および/または位置サービスモジュールが位置プロバイダに対して有する信用度に応じて行う。これにより、位置プロバイダをランク付けしたリストがもたらされる。ステップ810で、コンテキスト情報が正しく見えるかどうかを確認するためにチェックする。例えば、コンテキストがデバイスの位置である場合、位置サービスモジュール602は、5秒前に現在位置がワシントンのレドモンドであったことを知っている場合がある。したがって、現在位置が中国の北京であることを示す位置情報は間違っていることになる。
【0096】
次いでステップ812で、コンテキスト情報のいずれかが、デバイスの現在コンテキストまたは他のプロバイダからのコンテキスト情報と対立するかどうかを決定する。例えば、位置サービスモジュール602は、各コンテキストプロバイダからのコンテキスト情報をキャッシュ中の情報と比較することができる。キャッシュされている情報と対立する情報がある場合は、そのコンテキストプロバイダからの情報を無視することができる。同様に、コンテキスト情報がコンテキストプロバイダ間で極端に異なる場合は、ステップ814で、事前定義済みの信用度レベルを有するコンテキストプロバイダを選択することができ、おそらくそれらの情報だけを使用することができる(ステップ816)。対立がない場合は、ステップ816で、すべてのコンテキストプロバイダから提供される情報に基づいて現在コンテキストを決定する。述べる実施形態では、このステップは、この情報を使用して前述の1つまたは複数の階層ツリー構造の特定ノードにマッピングすることによって実施する。例えば、デバイスの位置は、情報を特定ノードにマッピングし、次いでルートノードに到達するまでツリー構造を完全に走査することによって確認することができる。次いでステップ818で、おそらくキャッシュに書き込むことによって現在コンテキストを更新し、ステップ802に戻って、アクティブかつ有効なコンテキストプロバイダを決定する。
【0097】
前述の方法では、位置サービスモジュールが位置情報を受け取って、現在位置を表す可能性がほぼ高いと思われる位置情報だけを使用する方式が提供される。対立する情報は、割り引いて考えるか無視することができ、それにより、最も信用でき、正確であり、信頼できる情報を利用して、デバイスの現在位置が決定される。
【0098】
自己監視
信頼度および正確度のパラメータに加えて、1つまたは複数の位置プロバイダは有利にも、起こり得る様々な異常に備えてそれら自体の動作を自己監視するようにプログラムされる。位置プロバイダは、異常の発生時に位置サービスモジュール602に通知するように構成される。例えば、位置プロバイダが情報を受け取る先のソースがある期間にわたってオフラインになり、したがって位置プロバイダがどんな追加情報も受け取ることができない場合がある。この場合、位置プロバイダは「プロバイダアウト(provider out)」メッセージを生成し、それを位置サービスモジュール602に送ることができる。位置サービスモジュール602は、「プロバイダアウト」メッセージを受け取ると、それが行うどんな位置計算からもこのプロバイダからの位置情報を除外するステップを採用することができる。位置プロバイダのソースがオンラインに戻ったときは、位置プロバイダは、位置情報を位置サービスモジュール602に送信できることをモジュールに通知する「プロバイダオン(provider on)」メッセージを生成することができる。当然ながら、位置サービスモジュールは、その他の動作異常の発生時にも位置プロバイダから通知を受けることができ、前述の例は、ある特定の場合を構成するだけである。
【0099】
アプリケーション
位置サービスモジュール602は、デバイスの位置を決定すると、1つまたは複数のアプリケーション608から照会を受けることができる。図7の例では、アプリケーションには、ウェブサイトアプリケーション、アウトルック(Outlook)アプリケーション、およびサービス発見アプリケーションが含まれる。この例では、ウェブサイトアプリケーションは、位置固有のサービスを提供できるウェブサイトアプリケーションならどんなものでもよい。例えば、デバイス602のユーザが、アマゾンコムのウェブサイトにアクセスして気に入った本を買う場合がある。ユーザがアマゾンコムの本を買うとき、アマゾンコムはここで、ユーザが支払わなければならない税金を計算しなければならない。この例では、アマゾンコムのウェブサイト上で実行されるスクリプトが、ユーザの位置について知るためにデバイス602に照会することができる。この特定の例では、デバイスは照会に応答して、ユーザが購入しようとしている状態を返すことができる。次いで、アマゾンコムは自動的に課税することができる。アマゾンコムはまた、最適な発送方法(UPSまたはエクスプレスメール(Express Mail))を選択できるように、この個人がどこにいるかを知りたい場合もある。個人がどこにいるかに応じて、一方の方法が他方よりも好ましい場合がある。アウトルックアプリケーションは、位置サービスモジュールに照会して位置を確認する場合がある。というのは、アウトルックアプリケーション(またはオペレーティングシステム、例えばWindows(登録商標))がコンピューティングデバイスの位置に基づいてデバイス設定を変更することができるからである。
【0100】
例えばユーザは、仕事ではある特定のプリンタ上で印刷し、家では別の特定のプリンタ上で印刷する場合がある。ユーザがその日は家に帰っているとアウトルックアプリケーションが決定した場合、アウトルックアプリケーションは、ユーザの家のプリンタに関するデバイス設定を自動的に変更することができる。印刷設定は、個人場所データ記憶装置714から得ることができる。したがって、デバイスは、ユーザの位置に応じて使用されるように自動的に構成される。サービス発見アプリケーションは、デバイスがどこにあるかに応じて特定のサービスを提供できるように、デバイスに照会してその位置を決定することができる。例えば、ユーザが最も近いカラープリンタを突き止めるようアプリケーションに依頼する場合、サービス発見アプリケーションは、位置サービスモジュールに照会してデバイスの現在位置を確認することができ、したがってこの情報を用いて最も近いカラープリンタを見つけることができる。また、アウトルックアプリケーションは、職場の位置(個人が仕事中のとき)または家の位置(個人が家にいるとき)に電子メールを送るようにそれ自体を構成することができることも考慮されたい。さらに、アウトルックカレンダーを位置指向にすることもできる。例えば、時間帯を変更したときでも自分の日時の約束が正しい時間枠中に現れることになる。
【0101】
想像できるように、可能性は無限であると思われる。この機能は、マスタ世界と1つまたは複数の副次世界とを使用することによって可能となる。
【0102】
アプリケーションプログラムインタフェース/イベント
述べる実施形態では、アプリケーション608は、1つまたは複数のアプリケーションプログラムインタフェース(API)および/またはイベントを介して位置サービスモジュール602と通信する。アプリケーションは、APIに対する関数呼び出しを行って、位置サービスモジュールにその現在位置について照会することができる。同様に、アプリケーションは、イベント登録プロセスを用いて位置通知の登録をすることができる。例えば、アプリケーションは、ユーザが自分の位置を変更したときの通知の登録をすることができる。アプリケーションがデバイスの構成(プリンタ構成など)を変更できるように、ユーザが職場または家に着いたときに通知を受けるようアプリケーションが要求する場合を考察されたい。
【0103】
図9は、述べる実施形態による方法のステップを記述した流れ図である。記述されているこれらのステップは、デバイス600によって行われる。ステップ900で、デバイスの現在コンテキストに関係する情報を受け取る。この特定の例では、情報の一部を1つまたは複数のコンテキストプロバイダから受け取るが、コンテキストプロバイダは、この場合は位置プロバイダである。ステップ902で、デバイス上でデバイスによって情報を処理して、デバイスの現在コンテキストを確認する。図示の例では、デバイスは、マスタ世界と1つまたは複数の副次世界のうち、1つまたは複数を維持する(またはこれらにアクセスすることができる)。デバイスは、すべての位置情報を受け取ると、これらの世界を定義する階層ツリー構造中の特定ノードにこれらの情報をマッピングする。
【0104】
次いで、ツリー構造を走査して、デバイスの完全なコンテキスト(すなわち位置)を確認する。ステップ904で、デバイスの現在コンテキストすなわち位置に関係する情報を要求する呼び出しを、1つまたは複数のアプリケーションから受け取る。図示の例では、アプリケーションは、1つまたは複数のAPIを呼び出して情報を要求することもでき、あるいはイベント通知の登録をすることもできる。次いでステップ906で、現在のデバイス位置に関係する少なくともいくらかの情報をアプリケーションに供給する。後で論じるように、アプリケーションに情報を返す前にセキュリティポリシーまたはプライバシーポリシーを情報に適用することもできる。
【0105】
プライバシーマネージャ
一実施形態では、プライバシーマネージャ704(図7)が提供される。プライバシーマネージャはデバイス上に組み込まれたものとして示してあるが、信用できるサーバなど、モバイルコンピューティングデバイスの一部ではない信用できるエンティティによって実装することもできる。プライバシーマネージャは、適した任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せの中に実装することができる。図示の例では、プライバシーマネージャは、モバイルコンピューティングデバイスに組み込まれたソフトウェアモジュールを構成する。
【0106】
プライバシーマネージャ704は、コンピューティングデバイスによって収集された情報に関連するプライバシー問題に対処する。具体的には、位置サービスモジュールは、コンピューティングデバイスの位置に関する詳細な情報を計算することができる。場合によっては、様々なアプリケーションに提供される情報をフィルタリングすることが望ましいことがある。すなわち、信用できないアプリケーションに自分の具体的な位置情報を提供されたくないとユーザが思う場合がある可能性は、全面的に高い。これらの場合、ユーザは位置サービスモジュール602に、このようなアプリケーションにはユーザがワシントン州にいることだけを通知するよう望むことができる。
【0107】
図10に、述べる実施形態によるプライバシー保護方法のステップを記述した流れ図を示す。これらのステップは、プライバシーマネージャ704によって実施することができる。
【0108】
ステップ1000で、複数のプライバシーレベルを定義する。例示的なプライバシーレベルを、下表に示す。
【0109】
【表4】
Figure 0004928695
【0110】
上述した表では、異なる10個のプライバシーレベルが定義されており、それぞれにおよその段階が関連付けられている。例えば、プライバシーレベル0は、位置情報が返されないことを意味する。プライバシーレベル90は、非常に詳細な位置情報が返されることを意味する。
【0111】
ステップ1002で、1つまたは複数の階層ツリー構造中にある個々のノードに様々なプライバシーレベルを割り当てる。例えば、マスタ世界および副次世界の各ノードにプライバシーレベルを関連付けることができる。マスタ世界ツリー構造のルートノードはプライバシーレベル10を有することができ、副次世界中の現在位置を表すノードはプライバシーレベル90を有することができる。ステップ1004で、コンピューティングデバイスのコンテキストを決定する。この例ではコンテキストはデバイス位置であり、これをどのように行うかについての例は先に述べた。位置サービスモジュールを呼び出す個々のアプリケーションには、プライバシーレベルを関連付けることができる。これらのプライバシーレベルは、個々のユーザが割り当てることができる。例えば、信用できるアプリケーションはプライバシーレベル90を有し、信用できないアプリケーションはプライバシーレベル30を有する。
【0112】
ステップ1006で、1つまたは複数のアプリケーションからコンテキスト照会を受け取る。このときアプリケーションは、位置サービスモジュール602(図7)を呼び出してデバイスの位置を確認する。ステップ1008で、アプリケーションに関連するプライバシーレベルを決定する。例えば、信用できないアプリケーションが位置情報を要求する呼出しを行う場合、プライバシーマネージャ704は、このアプリケーションがプライバシーレベル30を有すると決定する。次いでプライバシーマネージャは、1つまたは複数の階層ツリー構造を走査(ステップ1010)して対応するプライバシーレベルを有するノードを見つけ、したがってそのノードに関連する情報を選択することができる。この例では、走査は、ユーザの位置する州に対応するノードを見つけるために副次世界からマスタ世界にジャンプすることを含むことがある。対応するノードが見つかると、ステップ1012で、このノードに関連するコンテキスト情報(例えば位置情報)を返す。この場合、位置サービスモジュールは、ユーザの位置がワシントン州であることをアプリケーションに通知することになる。
【0113】
一例として、次のことを考えてみる。様々な位置の詳細な天気まで提供するウェブサイトがある。したがって、自分の現在の完全な郵便番号に対応する地理領域に対する天気情報を受け取ることができるように、このウェブサイトにプライバシーレベル60を割り当てることができる。別のウェブサイトは、信用できるウェブサイトである企業イントラネットウェブサイトである。したがって、このウェブサイトに関連するどんなアプリケーションにもプライバシーレベル90が割り当てられ、それにより、これらのアプリケーションには自分の所在に関する正確な位置情報を提供することができる。
【0114】
したがってこの例では、コンピューティングデバイスは、その照会のソース(すなわちアプリケーション)を決定し、そのアプリケーションに返す情報をアプリケーションの識別に応じて調整することができる。コンピューティングデバイスは、マスタ世界と1つまたは複数の副次世界にアクセスできるので、これを行うことができる。上の記述は、この快挙を達成する方式のほんの一例を構成するにすぎない。
【0115】
位置プロバイダとしての位置ビーコン
一実施形態では、位置プロバイダの1つは、コンピューティングデバイスがその現在コンテキストにアクティブに参与できるようにするための情報を指示または送信する位置ビーコンを構成する。位置ビーコンは、電源が得られるように既存のインフラストラクチャ、例えば煙探知機や壁の排気口に後付けすることのできる、スタンドアロンデバイスを構成することができる。
【0116】
図11は、構造1102上に搭載された例示的なビーコン1100を示す。構造1102は、会議室や公共の場所の壁、煙探知機、電気ソケットなど、適した任意の構造とすることができる。述べる実施形態では、位置ビーコンは、会議室、建物ロビー、空港ゲート、公共の場所などの特別な位置に永続的に搭載することのできる、小型で安価なデバイスである。ビーコンは、ラップトップ、タブレットPC、ハンドヘルドコンピュータ、移動電話、装着型コンピュータなど、範囲内にあるすべての移動デバイスに物理的位置をEIDおよび/またはLUIDの形で通知する。
【0117】
この実施形態では、位置ビーコンは、モバイルコンピューティングデバイスに理解される標準情報を指示することにより、特定の位置を識別することができる。この例では、ビーコンは、EID/URLの対およびLUID/URLの対を含む1つまたは複数の位置識別子の対を送信することができる。ビーコンはまた、複数のLUIDを送信することもできる。EIDおよびLUIDは、マスタ世界と副次世界のそれぞれにおける現在のノード位置を提供する。URLは、マスタ世界および副次世界に対する到達可能な位置を提供する。例えば、副次世界に関連するURLは、デバイスが副次世界に関する情報を照会するのに使用できるサービス位置を提供することができ、したがってデバイスは、そのコンテキストを引き出して、副次世界の中のそのノードに関連するリソースまたはサービスを利用することができる。
【0118】
ビーコンはまた、ビーコンが有効かつ本物であることを確認するためにデバイスが使用できるデジタル署名を送信することもできる。適した任意の署名方法または検証方法を用いることができる。加えて、コンテキスト指向環境で特に役立つが、ビーコンは、範囲内のデバイスにコードダウンロードポインタを送信するようにプログラムすることもできる。コードダウンロードポインタにより、コンピューティングデバイスは、それらの環境と対話することを可能にするソフトウェアコードにアクセスすることができる。次の例を考えてみる。あなたが自分のセルホンコンピューティングデバイスを持って会議室の中に歩いていくと、会議室内のビーコンが、すぐにあなたの位置をEID/URLの対およびLUID/URLの対の形で送信する。あなたのデバイスは、その情報の対を使用して、前述のようにマスタ世界および副次世界におけるその位置を確認する。ビーコンはまた、あなたのハンドヘルドセルラーホンを使用して会議室内のビデオプロジェクタを操作できるようにするソフトウェアコードを指すコードダウンロードポインタも送信する。このようにして、ビーコンは単なる位置ビーコン以上の働きをする。ビーコンは、あなたが自分のコンピューティングデバイスを介して自分の周囲にアクティブに参与することを可能にする。
【0119】
ビーコンは、適した任意の方法、例えば赤外線や無線周波を含めた無線方法で情報を送信することができる。一実施形態では、ブルートゥース短距離無線周波通信を用いて、低コストかつ低電力の代替方法を提供することもできる。
【0120】
環境対話式のコンテキスト指向デバイス
図12に、いわゆる環境対話式のコンテキスト指向デバイスを採用したシステム1200を示すが、これらのデバイスの例を1202、1204、1206、および1208に示す。図示のデバイスは、適したコンピューティングデバイスならどんなものでもよい。図示の例では、デバイスは、ポケットPCなどのハンドヘルド携帯用デバイスを含む。デバイスは、デバイスの位置環境と位置固有の方式で対話できる点で「環境対話式」である。デバイスは、デバイスのコンテキストまたは位置を所望の程度の確実性で決定することができるように、前述のコンテキスト指向(位置指向)システムで強化できることが望ましい。これらのシステムは主世界と1つまたは複数の副次世界とを利用することを想起されたい。デバイスがその位置を決定すると、デバイスは、後述の技法によって有意義な方式でその直接の位置環境と対話することができる。ただし、前述のコンテキスト指向かつ位置指向のシステムは、後述する発明的原理と共に利用できる例示的なシステムを構成するにすぎないことを認識および理解されたい。したがって、特許請求する主題の趣旨および範囲を逸脱しない限り、他のコンテキスト指向かつ位置指向のシステムを利用することもできる。
【0121】
図示の例では、3つの例示的な位置が、1210、1212、および1214に示されている。これらの位置は、全く異なる位置を構成する。さらに、1つまたは複数のサーバ1216、1218を提供することもでき、これらは、インターネットなどのネットワークを介して無線でアクセス可能であることが望ましい。これらのサーバは、コンピューティングデバイス1202〜1208がそれらの現在環境と有意義な方式で対話するのに使用できるデジタルデータの記憶域へのアクセスを提供することができる。
【0122】
位置1210では、デバイス1202が、前述のような位置ビーコンと通信可能にリンクされている。デバイス1202は、位置ビーコンから受信した情報に基づいて、その位置またはコンテキストを決定することができる。加えて、位置ビーコンは、必要なことではないが、デバイスが位置環境と対話できるようにするデジタルデータをデバイスに提供することもできる。このデジタルデータは、適した任意のデジタルデータを含むことができ、これらは例えば、ウェブページを表すのに使用されるデジタルデータや、ソフトウェアコードを突き止めてダウンロードするのに使用されるコードダウンロードポインタや、アプリケーションまたはアプレットの形をとるソフトウェアコード自体である。あるいは、デバイス1202〜1208によって使用されるデジタルデータは、例えばサーバの1つから、ネットワークまたはインターネットを介してアクセスすることもできる。
【0123】
デバイス1206は、ブルートゥースを介してデバイス1204にリンクされ、デバイス1204からその位置を確認する。デバイス1206は、その位置を確認すると、前述のようなデジタルデータを獲得することができ、したがってその環境と対話することができる。デバイス1208は、セルタワーと通信可能にリンクされ、この方式でその位置情報を受信する。次いでデバイス1208は、デバイス1206と同様、この情報を使用してデジタルデータを獲得することができ、次いで、デジタルデータを使用してその位置環境と対話する。
【0124】
図13は、一実施形態による方法のステップを記述した流れ図である。これらのステップは、適した任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せの中で実施することができる。図示の例では、これらのステップはソフトウェア中で実施される。
【0125】
ステップ1300で、携帯用コンピューティングデバイスの位置を決定する。
適した任意の方法または技法を利用してデバイス位置を決定することができる。例えば先の考察では、発明的な技法は、物理的かつ/または論理的な位置に関連するノードを有する1つまたは複数の階層ツリー構造を利用する。デバイスに搭載された位置サービスモジュール(図7参照)の形をとるソフトウェアが、位置プロバイダからの情報を受け取って処理し、ツリー構造を使用してデバイス位置を確認することができる。各位置には固有の識別子を関連付けることができ、したがってデバイスは、確定可能な程度の確実性でその位置および位置識別子を確認することができる。ステップ1302で、この位置に関連するデジタルデータを獲得する。
【0126】
前述したように、このデジタルデータは、適した任意のデジタルデータとすることができ、適した任意の方式で獲得することができる。デジタルデータは例えば、ウェブページを表すのに使用できるデータや、ソフトウェアコードを突き止めてダウンロードするのに使用されるコードダウンロードポインタや、アプリケーションまたはアプレットの形をとるソフトウェアコード自体を含むことができる。この実施形態では、デジタルデータは、インターネットなどのネットワークを介して無線で獲得することができる。デジタルデータはまた、例えばその位置に配置されたビーコンから、無線で送信することもできる(例えば図12の位置1210を参照)。あるいは、デジタルデータは、インターネットなどの適したネットワークを介してアクセス可能なサーバコンピュータから得ることもできる。デジタルデータはまた、その位置にある別のコンピューティングデバイスから獲得することもできる(例えば図12の位置1212にあるデバイス1204、1206を参照)。
【0127】
デジタルデータを受け取る方式およびデジタルデータの性質にかかわらず、ステップ1304で、獲得したデジタルデータを使用して位置環境と対話する。このステップは、コンピューティングデバイスによって実施され、位置環境との適した任意の対話を含むことができる。例えば、ウェブページまたは他の何らかのタイプの表示をコンピューティングデバイス上に提供するためにデジタルデータが使用される場合、対話は、表示によって提供される空欄にデータを入力して、後で処理されるようにデータをコンピュータに送信することを含むことができる。例えば、デジタルデータがアプリケーションまたはアプレットを含む場合、対話は、アプリケーションまたはアプレットをローカルに実行して所望の結果を得ることを含むことができる。この場合、ユーザは、アプレットが実行されていることを認識する必要はない。
【0128】
一例として、次のことを考えてみる。あなたの携帯用コンピューティングデバイス中に、自分が達成したいとして示した項目を含む「予定事項(to do)」リストがある。自分が達成したい項目のうちの1つは、今度地元のスーパーマーケットに行ったときにいくつかの食品を買うことである。あなたの「予定事項」リストは、自分が買いたい品物を参照する。スーパーマーケットの中に歩いていくと、自分の携帯用デバイス上の位置サービスモジュールは、デバイスが今、サウスイースト通り29番地にあるセーフウェイスーパーマーケットに位置すると決定する。携帯用デバイスはこのとき、デバイス上で実行することができ、セーフウェイスーパーマーケットの位置に固有の、1つまたは複数のアプレットを得る(例えばローカル位置ビーコンから、あるいはセーフウェイに関連するURLまたはその他の識別子を使用しウェブを介して)。例えば、あるアプレットは、ユーザの「予定事項」リストを自動的に探索して、ユーザが買いたいと思っている購入品目を見つけることができる。次いでアプレットは、リスト中にある具体的な品目をユーザに知らせることができる。あるいは、ユーザがコーヒーを楽しんでいる間に、ユーザのリスト中で参照される品物がユーザのために集められて包装されるようにすることもできる。
【0129】
別の例として、次のことを考えてみる。ユーザが、自分の携帯用デバイスを持ってショッピングモールの中を歩いている。ユーザがスターバックスコーヒーショップに近づくと、店内の位置ビーコンがユーザの現在位置を指示する。ユーザの現在位置の指示に関連して、デバイスはデジタルデータを獲得する。このデジタルデータは、ユーザに対する今日のお勧め品と、位置指向デバイスを有する人々のための割引(おそらくラテの50セント引き)と、ユーザが自分のドリンク注文を入力できるフィールドとを表示するウェブサイトにデバイスを向け直す。ウェブサイトはサーバによって管理され、サーバはまた店と通信する。したがって、例えばユーザが自分の注文を入力すると、ユーザの注文データはまとめられて、周知の技法によってサーバに送信される。次いでサーバは、ユーザの位置する特定の店で注文をする。ユーザのコンピューティングデバイスは、その位置を認識していることにより、ユーザが自分の位置環境と対話できるようにすることができる。
【0130】
サービスに対する位置ベースの照会
例えばユーザが、ある位置に関して無線で提供される1つまたは複数のサービスを見つけたいと思う場合がある。この場合、ユーザのコンピューティングデバイスは、その位置を知っているおかげで、特定の位置に関連する1つまたは複数のサービスを見つけようとする照会を生成することができる。
【0131】
図14は、述べる一実施形態による方法のステップを記述した流れ図である。これらのステップは、適した任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せの中で実施することができる。図示の例では、これらのステップはソフトウェア中で実施される。
【0132】
ステップ1400で、携帯用コンピューティングデバイスの位置を決定する。これは、先に論じた方法のいずれでも実施することができる。ステップ1402で、位置に基づいてサービス照会を生成する。このステップでは、コンピューティングデバイスは、その位置と、位置に関連する固有の識別子とを知っている。サービス照会は、デバイスの現在位置の固有識別子に関連する任意のサービスを探す一般的なサービス照会とすることができる。ステップ1404で、1つまたは複数のサーバに照会を送信する。このステップは、コンピューティングデバイスが無線でサーバに照会を送信することによって実施することができる。次いでサーバは照会を実行する。ステップ1406で、この位置に対するサービスに関する応答を受信する。サーバからの応答は、コンピューティングデバイスが使用できる適した任意のデータを含むことができる。例えばこの応答は、このようなサービスに関連する他のウェブサイトを参照するURLや、コンピューティングデバイスが実行できるアプレットに関連するデジタルデータなどを含むことができる。次いでステップ1408で、サーバの応答に基づいて位置環境と対話する。このステップで、コンピューティングデバイスは、サーバから提供されたデジタルデータに作用して、例えば特定のURLを辿って別のウェブサイトに行ったり、受信した任意のアプレットをロードして実行したりする。
【0133】
一例として、図12に関して次のことを考えてみる。ユーザが位置1210にいて、その位置をLUIDの形で位置ビーコンから確認すると仮定する。また、サーバ1218は、URLと位置との関連を含んだグローバルな情報サーバであるとも仮定する。様々なデバイスがURLを使用して、それらに関連する位置で提供されるサービスにアクセスすることができる。このようなサーバの一例は、「UDDI.org」にあるUDDIサーバである。コンピューティングデバイスのユーザは、この位置に関して提供されるすべてのサービスについて知ることに興味がある。サービスを発見するために、ユーザは、<LUID,any service?>の形をとることのできる照会を生成し、これを無線でUDDIサーバに送信する。UDDIサーバ1218は、このLUIDを使用してそのデータベースを探索し、ソフトウェアコード(アプレットなど)へのポインタであるURLか、この位置に関連するサービスについての追加情報を提供する他のウェブサイトへのポインタであるURLを含む、デバイスへの応答を案出する。コンピュータデバイスは、UDDIサーバ1218から提供されたURLを使用してサーバ1216にアクセスする。サーバ1216は、ユーザのデバイスがロードして実行できる1つまたは複数のアプレットの形をとるデジタルデータを含む。次いで、アプレットにより、ユーザは位置環境と有意義な方式で対話することができる。
【0134】
追加の例
以下は、どのようにコンテキスト指向かつ位置指向の携帯用デバイスを使用してそれらの位置環境とより直接的に対話することができるかに関する、追加の非限定的な例を構成する。
【0135】
アプレットを使用して、ユーザが現在使用している会議室のオーディオ/ビジュアル機器および照明を制御することができる。ユーザのデバイスは、その位置を(会議室にあると)決定し、次いでその会議室に関連するアプレットを照会および受信することができる。
【0136】
アプレットを使用して、家の環境およびテレビジョンを制御し、VCRまたはデジタルレコーダをプログラムし、暖房および空調を調節することができる。ユーザのデバイスが、その位置が家であると決定すると、家の管理に関連するアプレットをロードして実行することができる。
【0137】
アプレットを様々な公共場所で使用して、ユーザの体験を向上させることができる。例えば、ユーザが空港に入るとき、ユーザのデバイスは現在位置を決定し、アプレットをロードして実行する。アプレットは、ユーザが自分のフライト予約を確認すること、座席割当てにアクセスしてそれを変更すること、および自分のフライト手配をより早いフライトに変更することを可能にする。アプレットはまた、ユーザのために地上交通機関を手配する(すなわち、ユーザが地上に到着して道中にあることをレンタル自動車会社に知らせるか、またはシャトルを送る)ことや、バス時刻表を示すことなどもできる。
【0138】
アプレットは、ユーザが自分の現在位置に関係する購入を行えるようにするためのユーザインタフェースとして働くことができる。例えば、ユーザのデバイスは、デバイスが地元の博物館にあると決定する。ユーザがチケットを購入することを可能にするアプレットが提供される。次いでユーザのデバイスは、ユーザの入場チケットとして機能することができ、異なるアプレットを介してセルフガイドツアーおよびイベント固有マップにアクセスすることができる。
【0139】
デジタル署名入りアプレット
セキュリティを促進し、不道徳な個人によって不正なアプレットがシステムに導入されるリスクを最小限に抑えるために、アプレットにデジタル署名を入れてそれらの信憑性を保証することができる。デジタル署名入りのアプレットが受信されたときは、当業者に理解および認識される技法によってそのアプレットをスクリーニングして、それが本物であることを確認することができる。
【0140】
アプレットキャッシュ
一実施形態では、コンピューティングデバイスは、アプレットキャッシュを利用して、頻繁に使用されるアプレットを再使用のためにローカルに保持することができる。アプレットキャッシュはまた、例えば所与の位置に対して複数のアプレットが利用可能なときに使用することもできる。アプレットキャッシュの特徴の一つは、例えばユーザデバイスが現在位置から離れて、アプレットがもはや位置との関係を有しなくなったときに、1つまたは複数のアプレットを取り除くか、そうでない場合はフラッシュすることができることである。この場合、ユーザデバイスは、その位置が変化したことを決定し、前の位置に関連するがもう必要でなくなった1つまたは複数のアプレットを除去する。
【0141】
例示的なソフトウェアアーキテクチャ
図15は、コンテキスト指向かつ位置指向の携帯用コンピューティングデバイスを実装するのに利用できる例示的なアーキテクチャ1500を示すブロック図である。図示のアーキテクチャは、使用できるアーキテクチャの一つを構成するにすぎず、特許請求する主題の適用を限定するものではないことを認識および理解されたい。
【0142】
このアーキテクチャは、位置サービスモジュール1502、アプレットマネージャ1504、アプレット実行環境1506、無線プロトコルを伴うネットワーク層1508、およびアプレットキャッシュ1510を備える。
【0143】
位置サービスモジュール1502については先に詳細に述べたので、ここでは追加の詳細は論じない。アプレットマネージャ1504は、位置サービスモジュール1502と対話し、アプレットキャッシュ1510(先に論じたもの)を管理し、ネットワーク層1508と通信する。アプレットマネージャ1504はまた、アプレットをしかるべく実行できるように実行環境1506を監督する。
【0144】
アプレット実行環境1506は、当業者には理解されるように、適した任意の実行環境とすることができる。図示の実行環境は、様々なアプレットをデバイス上で安全に実行できるようにするソフトウェアコードを含み、それらのアプレットに特に焦点を絞ったあるタイプのオペレーティングシステムと同様に考えることができる。この実装形態で利用できる例示的な実行環境には、Java(登録商標) VM(Virtual Machine)およびMicrosoftのURT(Universal Runtime Environment)が含まれるが、これらに限定しない。
【0145】
ネットワーク層1508は、インターネットなどのネットワークとの通信を無線で確立するように構成される。当業者には認識および理解されるように、適した任意のネットワーク層を使用することができる。
【0146】
結論
前述した実施形態は、コンテキスト指向コンピューティングの世界を向上させる、一様で標準化された方式を提供する。これらの実施形態は、個人の周りの世界における個人の位置を標準的な方式で確認することにより、周りの世界を独自に体験する方式を個人に提供する。これらの実施形態はまた、物品およびサービスの様々な消費者のコンテキスト(例えば位置)に反応しやすくそれらを理解する形で、サービスプロバイダが自分の物品およびサービスを独自に配置する方式も提供する。独自かつ有用なアーキテクチャおよびデータ構造を採用して、ユーザのコンピューティング体験を容易にし、個人中心の体験を提供する。
【0147】
本発明を構造上の特徴および/または方法論的ステップに特定した言葉で述べたが、頭記の特許請求の範囲に定義する本発明は、述べた特定の特徴またはステップに必ずしも限定されないことを理解されたい。そうではなく、これらの特定の特徴およびステップは、特許請求する本発明を実施するのに好ましい形として開示するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に適用可能な例示的なコンピューティングデバイスを示す図である。
【図2】本実施形態による、例示的なマスタ世界および例示的な副次世界を示す概念図である。
【図3】マスタ世界および副次世界とこれらの相互関係との例示的かつ具体的な図である。
【図4】本実施形態による、方法のステップを記述した流れ図である。
【図5】本実施形態による、方法のステップを記述した流れ図である。
【図6】例示的なコンピューティングデバイスアーキテクチャの高レベルを示す図である。
【図7】例示的なコンピューティングデバイスアーキテクチャのより具体的な図である。
【図8】本実施形態による、方法のステップを記述した流れ図である。
【図9】本実施形態による、方法のステップを記述した流れ図である。
【図10】本実施形態による、方法のステップを記述した流れ図である。
【図11】一実施形態による、例示的な位置ビーコンの側面図である。
【図12】本実施形態の1つまたは複数を実施できる例示的なシステムを示すブロック図である。
【図13】本実施形態による方法のステップを記述した流れ図である。
【図14】本実施形態による方法のステップを記述した流れ図である。
【図15】一実施形態による例示的なコンピュータアーキテクチャを示すブロック図である。
【符号の説明】
130 コンピュータ
132 プロセッサまたはプロセッシングユニット
134 システムメモリ
136 バス
138 ROM
140 RAM
142 BIOS
144 ハードディスクドライブ
146 磁気ディスクドライブ
148 磁気ディスク
150 光ディスクドライブ
152 光ディスク
154 SCSIインタフェース
156 シリアルポート
158 オペレーティングシステム
160 アプリケーションプログラム
162 その他のプログラムモジュール
164 プログラムデータ
166 キーボード
168 ポインティングデバイス
170 キーボード/マウスインタフェース
172 モニタ
174 ビデオアダプタ
176 リモートコンピュータ
178 メモリ記憶装置
180 ローカルエリアネットワーク
182 ワイドエリアネットワーク(WAN)
184 ネットワークインタフェース(LAN)
186 モデム
200 マスタ世界
202 ノード
204 副次世界
206 ノード
300 マスタ世界
302 副次世界
600 コンピューティングデバイス
602 コンテキストサービスモジュール
602 位置サービスモジュール
604 コンテキストプロバイダ
606 コンテキストソース情報
606 位置プロバイダ
608 アプリケーション
700 位置プロバイダインタフェース
702 アプリケーションプログラムインタフェース/イベントモジュール
704 プライバシーマネージャ
706 位置変換モジュール
708 アクティブディレクトリ
710 ウェブサービス
712 位置データベース
714 個人場所
1100 ビーコン
1200 環境対話式のコンテキスト指向デバイスを採用したシステム
1202 環境対話式のコンテキスト指向デバイス
1204 環境対話式のコンテキスト指向デバイス
1206 環境対話式のコンテキスト指向デバイス
1208 環境対話式のコンテキスト指向デバイス
1210 位置1
1212 位置2
1214 位置3
1216 サーバ
1218 サーバ
1500 アーキテクチャ
1500 コンピューティングデバイス
1502 位置サービスモジュール
1504 アプレットマネージャ
1506 アプレット実行環境
1508 ネットワーク層
1510 アプレットキャッシュ

Claims (15)

  1. ネットワークを介して複数の異なるコンテキスト情報を有する複数のソースと通信を行うコンピューティングデバイスにおいて情報を処理するための方法であって、
    前記コンピューティングデバイスにおいて、
    前記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、前記コンテキスト情報として、前記コンピューティングデバイスの位置情報を取得してメモリに記憶するステップと、
    前記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、前記コンテキスト情報として、物理的又は論理的位置を表す複数のノードから構成された第1の階層ツリー構造を取得してメモリに記憶するステップと、
    前記第1の階層ツリー構造の少なくとも1つのノードを走査して、前記取得した位置情報に対応する特定ノードを決定するステップと、
    前記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、前記コンテキスト情報として、第2の階層ツリー構造を取得してメモリに記憶するステップであって、前記第2の階層ツリー構造の各ノードは、前記コンピューティングデバイスの位置環境に対応した固有の物理的又は論理的エンティティを示すものであり、前記第2の階層ツリー構造は、前記第1の階層ツリー構造のノードにリンクする少なくとも1つのノードを有するものであるステップ
    記決定された特定ノードに基づいて前記第2の階層ツリー構造の前記ノードを走査して、走査された前記ノードが示す前記固有の物理的又は論理的エンティティから前記コンピューティングデバイスの前記位置環境を特定するステップと
    記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、特定された前記位置環境に関係付けられた位置依存サービスを提供する前記コンピューティングデバイス上でローカルに実行できる1つまたは複数のアプレットを取得してメモリに記憶するステップと
    前記アプレットを前記コンピューティングデバイス上で使用するためにキャッシュしておくことができるアプレットキャッシュを維持するステップと、
    前記コンピューティングデバイスの位置が変化し、それにより前記アプレットがもはや必要でなくなったときに、前記アプレットを除去するステップと
    を具えたことを特徴とする方法。
  2. 前記第1又は第2の階層ツリー構造を取得するステップは、前記1つまたは複数の階層ツリー構造に無線でアクセスするステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記決定するステップは、異なる複数の位置プロバイダから位置情報を受け取り、該位置情報に基づいて前記走査を実行するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記決定するステップは、異なる複数の位置プロバイダから位置情報を無線で受信し、該位置情報に基づいて前記走査を実行するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記アプレットを取得するステップは、インターネットを介して無線でアプレットを取得するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記コンピューティングデバイスは、携帯用コンピューティングデバイスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記コンピューティングデバイスは、ハンドヘルド携帯用コンピューティングデバイスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. コンピュータによって、請求項1から7のいずれかに記載の方法を実行することが可能なプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  9. ネットワークを介して複数の異なるコンテキスト情報を有する複数のソースと通信を行うことによって情報を処理するコンピューティングデバイスであって、
    前記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、前記コンテキスト情報として、前記コンピューティングデバイスの位置情報を取得してメモリに記憶する手段と、
    前記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、前記コンテキスト情報として、物理的又は論理的位置を表す複数のノードから構成された第1の階層ツリー構造を取得してメモリに記憶する手段と、
    前記第1の階層ツリー構造の少なくとも1つのノードを走査して、取得した前記位置情報に対応する特定ノードを決定する手段と、
    前記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、前記コンテキスト情報として、第2の階層ツリー構造を取得してメモリに記憶する手段であって、前記第2の階層ツリー構造の各ノードは、前記コンピューティングデバイスの位置環境に対応した固有の物理的又は論理的エンティティを示すものであり、前記第2の階層ツリー構造は、前記第1の階層ツリー構造のノードにリンクする少なくとも1つのノードを有するものである手段
    定された前記特定ノードに基づいて前記第2の階層ツリー構造の前記ノードを走査して、走査された前記ノードが示す前記固有の物理的又は論理的エンティティから前記コンピューティングデバイスの前記位置環境を特定する手段と、
    記ネットワークを介して前記ソースにアクセスすることによって、特定された前記位置環境に関係付けられた位置依存サービスを提供する前記コンピューティングデバイス上でローカルに実行できる1つまたは複数のアプレットを取得してメモリに記憶する手段と
    前記アプレットを前記コンピューティングデバイス上で使用するためにキャッシュしておくことができるアプレットキャッシュを維持する手段と、
    前記コンピューティングデバイスの位置が変化し、それにより前記アプレットがもはや必要でなくなったときに、前記アプレットを除去する手段と
    を具えたことを特徴とするコンピューティングデバイス。
  10. 前記第1又は第2の階層ツリー構造を取得する手段は、前記1つまたは複数の階層ツリー構造に無線でアクセスする手段を含むことを特徴とする請求項9記載のコンピューティングデバイス。
  11. 前記決定する手段は、異なる複数の位置プロバイダから位置情報を受け取り、該位置情報に基づいて前記走査を実行する手段を含むことを特徴とする請求項9記載のコンピューティングデバイス。
  12. 前記決定する手段は、異なる複数の位置プロバイダから位置情報を無線で受信し、該位置情報に基づいて前記走査を実行する手段を含むことを特徴とする請求項9記載のコンピューティングデバイス。
  13. 前記アプレットを取得する手段は、インターネットを介して無線でアプレットを取得する手段を含むことを特徴とする請求項9記載のコンピューティングデバイス。
  14. 前記コンピューティングデバイスは、携帯用コンピューティングデバイスであることを特徴とする請求項9記載のコンピューティングデバイス。
  15. 前記コンピューティングデバイスは、ハンドヘルド携帯用コンピューティングデバイスであることを特徴とする請求項9記載のコンピューティングデバイス。
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