JP4927530B2 - エポシロン誘導体および照射による増殖性疾患の処置 - Google Patents

エポシロン誘導体および照射による増殖性疾患の処置 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、有機化合物、特に増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍疾患の進行の遅延または処置のために、電離放射線と組み合わせて使用するための医薬組成物に関する。
我々は、本発明により、ある種のエポシロン誘導体が、電離放射線と組み合わせて使用したときに、増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍疾患の進行の遅延または処置に有効であることを発見した。
したがって、本発明は、処置を必要とする対象における増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍疾患の進行の遅延または処置の方法であり、該対象に、遊離形または薬学的に許容される塩形の有効量の式I
Figure 0004927530
〔式中、AはOまたはNRNであり、ここで、RNは水素または低級アルキルであり、Rは水素または低級アルキルであり、そしてZはOまたは結合である。〕
のエポシロン誘導体と、所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体を;電離放射線と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
AがOであり、Rが水素であり、そしてZがOである式Iの化合物は、エポシロンAとして既知である;AがOであり、Rがメチルであり、そしてZがOである式Iの化合物は、エポシロンBとして既知である;AがOであり、Rが水素であり、そしてZが結合である式Iの化合物は、エポシロンCとして既知である;AがOであり、Rがメチルであり、、そしてZが結合である式Iの化合物は、エポシロンDとして既知である。
さらに、本発明は、増殖性疾患の処置において、電離放射線と組み合わせて使用するための医薬の製造のための、式Iの化合物(またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグエステル)の使用を提供する。
さらなる局面において、本発明は、増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍の処置のために、電離放射線と組み合わせた、式Iのエポシロン誘導体(またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグエステル)の使用を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍の処置のために、電離放射線と組み合わせて使用するための、活性成分としての式Iのエポシロン誘導体(またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグエステル)を提供する。
なおさらに別の局面において、本発明は、式Iのエポシロン誘導体(またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグエステル)を、増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍の処置のために電離放射線と組み合わせた使用のための指示書と共に含む、包装物を提供する。
本明細書の上記およびその他すべてにおいて、下記の用語は下に定義の意味を有する:
上記および下記で、有機基または有機化合物と合わせて言及される“低級”なる用語は、最大7個(7個を含む)、好ましくは最大4個(4個を含む)の炭素原子を有する、分枝または非分枝であってよい化合物または基を各々意味する。
低級アルキル基は分枝または非分枝であり、1個から7個の炭素原子、好ましくは1−4個の炭素原子を含む。低級アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルまたはイソブチルである。
本明細書で使用する“進行の遅延”なる用語は、処置すべき増殖性疾患の早期相にある患者に対する組み合わせの投与を意味する。
本明細書で使用する“固形腫瘍疾患”なる用語は、神経膠腫、甲状腺癌、乳癌、卵巣癌、結腸および一般にGI管の癌、頸癌、肺癌、特に小細胞肺癌、および非小細胞肺癌、頭頚部癌、膀胱癌、前立腺の癌またはカポジ肉腫を含むが、これらに限定されない。本発明の一つの好ましい態様において、処置すべき腫瘍疾患は神経膠腫、前立腺の癌または甲状腺癌である。本発明の組み合わせは固形腫瘍の増殖だけでなく、液体腫瘍の増殖も阻害する。さらに、腫瘍のタイプおよび使用する特定の組み合わせに依存して、腫瘍容積の減少を得ることができる。本明細書に記載の組合せはまた腫瘍の転移の拡散ならびに微小転移の増殖または発症の予防に適している。
組み合わせは、一定量の式Iのエポシロン誘導体を、一定量の電離放射線(電離放射線の投与は連続的、断続的または散発的であってよい)と、式Iのエポシロン誘導体を電離放射線と別々に、同時にまたは連続して投与しないときには得られない効果である、または、投与が連続的、断続的または散発的であってよい電離放射線を、式Iのエポシロン誘導体と別々に、同時にまたは連続して投与しないときには得られない効果である、相乗効果が存在するように投与することを意味する。
好ましくは、組み合わせは、一定量の式Iのエポシロン誘導体を、一定量の電離放射線と、
a)電離放射線の前もっての、同時のまたは連続した投与なしでの式Iのエポシロン誘導体の投与(ここで、該投与は連続的、断続的または散発的であってよい);
b)式Iのエポシロン誘導体の、前もっての、同時のまたは連続した投与なしでの電離放射線の投与(ここで、該投与は連続的、断続的または散発的であってよい):
では得られない、相乗的な抗増殖性効果および/またはクローン的(clonogenic)細胞殺傷効果が得られるように、投与することを意味する。
“電離放射線”なる用語は、上記および後記で、電磁波(例えばX線およびガンマ線)または粒子(例えばアルファおよびベータ粒子)のいずれかから発生する電離放射線を意味する。電離放射線は、放射線療法にて施行されるが、これに限定されず、当分野で既知である(Hellman, Principles of Radiation Therapy, Cancer, in Principles and Practice of Oncology, 248-275 (Devita et al., ed., 4th Ed., V1, 1993)。
AがOまたはNRNであり、ここで、RNが水素または低級アルキルであり、Rが水素または低級アルキルであり、そしてZがOまたは結合である式Iのエポシロン誘導体、および、このようなエポシロン誘導体の製造法は、特に一般的におよび具体的に、特許および特許出願WO93/10121、US6,194,181、WO98/25929、WO98/08849、WO99/43653、WO98/22461およびWO00/31247に記載され、いずれの場合も、特に化合物を対象とした請求項および作業実施例の最終産物、最終産物の対象、医薬製剤および特許請求の範囲を、これらの刊行物を引用して本明細書に包含させる。同様に、それらに記載されている対応する立体異性体ならびに対応する結晶修飾、例えば、溶媒和物および多形態を含む。
エポシロンBの対応するラクタムへの変換は、WO99/02514のスキーム21(31、32頁)および実施例(48−50頁)に記載されている。エポシロンBと異なる式Iの化合物の、対応するラクタムへの変換は、同様に達成できる。RNが低級アルキルである対応する式Iのエポシロン誘導体は、RNが水素であるエポシロン誘導体から出発して、還元的アルキル化のような当分野で既知の方法により製造できる。
式Iのエポシロン誘導体、とりわけエポシロンBは、WO99/39694に記載の医薬組成物の部分の通りに投与できる。
(a)遊離形または薬学的に許容される塩形で存在し得る、式Iのエポシロン誘導体(式中、AはOまたはNRNであり、ここで、RNは水素または低級アルキルであり、Rは水素または低級アルキルであり、そしてZはOまたは結合である)と、所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体および(b)電離放射線を含む組み合わせを、以下、本発明の組み合わせと呼ぶ。
固形腫瘍疾患のような増殖性疾患の性質は多因性である。ある状況下で、異なる作用機構の薬剤と組み合わせ得る。しかしながら、同じ分野で作用するが、異なる作用機構を有する薬物の任意の組み合わせを単に考慮することは、必ずしも有利な効果の組合わせをもたらさない。
本発明の組み合わせにおいて、式Iのエポシロン誘導体および薬学的に許容される塩およびプロドラッグ誘導体は、好ましくは、適切な治療的有効量の活性成分を、所望により、投与に適した、無機または有機、固体または液体の、薬学的に許容される担体と共に含む、医薬製剤の形で使用する。
好ましい態様において、各患者は電離放射線の投与を受け、一方で式Iのエポシロン誘導体を週に1回、3週間、静脈内投与し、続いて1週間休薬日とする。4週間の各期間を1サイクルとみなす。各サイクルの1日目を、式Iのエポシロン誘導体および電離放射線の投与日と定義する。処置の効果を、これらの試験において、例えば、6週間毎の腫瘍の放射線学的評価により、18週間または24週間後に決定できる。
別の態様において、電離放射線を、前処置として、すなわち、本発明の組み合わせを開始する前に投与する;電離放射線単独は、患者に、決められた期間投与し、例えば、2、3日または数週間、電離放射線単独を毎日投与する。
他の好ましい態様において、式Iのエポシロン誘導体を、週に1回、3週間静脈内投与し、続いて1週間休薬する。4週間の期間各々を1サイクルとみなす。処置の効果を、これらの試験において、例えば、6週間毎の腫瘍の放射線学的評価により、18週間または24週間後に決定できる。
エポシロン誘導体医薬組成物は、例えば、経腸、例えば、経口、直腸、エアロゾール吸入または経鼻投与用組成物、非経腸、例えば、静脈内または皮下投与用組成物、または、経皮投与用(例えば受動的またはイオン泳動的(iontophoretic))組成物、または局所投与用組成物であってよい。
好ましくは、エポシロン誘導体医薬組成物は、経口投与に適する。
本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法で製造でき、治療的有効量の少なくとも1個の薬理学的に活性な組み合わせパートナー単独で、または1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、ヒトを含む、哺乳類(温血動物)への経腸、例えば、経口または直腸、および、非経腸投与に適したものであり、とりわけ経腸または非経腸投与に適する。
新規医薬組成物は、例えば、約10%から約100%、好ましくは約20%から約60%の活性成分を含む。組み合わせ治療のための、経腸または非経腸投与用医薬製剤は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセルまたは坐薬、および、さらにアンプルのような単位投与形のものである。特記しない限り、これらはそれ自体既知の方法で、例えば混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥法の手段により製造できる。各投与形の個々の薬に含まれる単位用量は、必要な有効量に複数の薬剤単位の投与により到達できるため、それ自体、有効量を構成する必要はない。
経口投与形の組成物の製造において、通常の医薬媒体のいずれか、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤;または、例えば、粉末、カプセルおよび錠剤のような経口固形製剤の場合、担体、例えばデンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてよく、固形経口製剤が液体製剤よりも好ましい。投与の容易さのために、錠剤およびカプセルは、最も有利な経口投与単位形であり、この場合、固体製剤担体を明らかに用いる。
特に、本発明の組み合わせの各組み合わせパートナーの治療的有効量を、同時にまたは連続的に、かつ任意の順番で、投与してよく、該組成物を別々にまたは固定された組み合わせとして投与してよい。例えば、本発明の増殖性疾患の進行を遅延するまたは処置する方法は、(i)第一組み合わせパートナーの投与、および(ii)第二組み合わせパートナーの投与を含み、組み合わせパートナーの投与は、同時であるか、任意の順番で連続的であり、一緒になって治療的有効量で、好ましくは相乗的有効量で、例えば、本明細書に記載の量に対応する一日、または1週間の投与量で投与してよい。本発明の組み合わせの個々の組み合わせパートナーは、別々に、治療の経過中に異なる時点で、または同時に投与できる。さらに、投与なる用語はまた、インビボで組み合わせパートナーそれ自体に変換する式Iのエポシロン誘導体のプロドラッグの使用を含む。本発明は、したがって、同時または交互の処置のすべてのこのようなレジメンを含み、“投与”なる用語はそれにしたがって解釈されるべきである。
電離放射線および式Iのエポシロン誘導体のお互いの投与量は、好ましくは相乗的である比率である。
温血動物がヒトであるとき、式Iの化合物の投与量は、成人の患者の場合、好ましくは1週間に1回約0.25から75、好ましくは0.5から50の範囲、例えば2.5mg/mを、2週間から4週間、例えば3週間投与し、その後、6から8日間の休薬日とする。本発明の態様において、エポシロンBは、引用によりその記載を本明細書に包含させるUS6,302,838に記載の処置スケジュールにしたがい、投与する。
式Iの化合物の具体的な投与形態および投与量は、患者の特徴、特に、年齢、体重、ライフスタイル、活動レベルなどを考慮して、担当医が選択し得る。
式Iのエポシロン誘導体の具体的な投与の形態および投与量は、活性成分の効果および作用時間、投与の形態、電離放射線の効果および作用時間および/またな処置すべき対象の性別、年齢、体重および個々の状態のような種々の因子に依存し得る。
電離放射線の投与量は、電離放射線の効果および作用時間、投与の形態、投与部位、式Iのエポシロン誘導体の効果および作用時間および/または処置すべき対象の性別、年齢、体重および個々の状態のような種々の因子に依存し得る。電離放射線の投与量は、一般に、放射線吸収線量、時間および部分量(フラクション)の観点から規定され、担当医により慎重に決定されなければならない。
式Iの化合物の塩形成基は、塩基性または酸性特性を有する基またはラジカルである。少なくとも1個の塩基性基または少なくとも1個の塩基性ラジカル、例えば遊離アミノ基、ピラジニルラジカルまたはピリジルラジカルを有する化合物は、酸付加塩の形で、例えば無機酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸と、または適当な有機カルボン酸またはスルホン酸、例えば脂肪族モノ−またはジ−カルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸またはシュウ酸、またはアミノ酸、例えばアルギニンまたはリシン、芳香族性カルボン酸、例えば安息香酸、2−フェノキシ−安息香酸、2−アセトキシ−安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、芳香族性−脂肪族カルボン酸、例えばマンデル酸またはケイヒ酸、ヘテロ芳香族性カルボン酸、例えばニコチン酸またはイソニコチン酸、脂肪族スルホン酸、例えばメタン−、エタン−または2−ヒドロキシエタン−スルホン酸、または芳香族性スルホン酸、例えばベンゼン−、p−トルエン−またはナフタレン−2−スルホン酸との塩を形成できる。複数個の塩基性基が存在するとき、1価または多価酸付加塩を形成できる。
単離または精製目的で、ならびに、さらに中間体として使用する化合物の場合において、薬学的に許容されない塩の使用も可能である。しかしながら、薬学的に許容される、非毒性塩が治療目的で使用され、故に、これらの塩が好ましい。
式Iにおいて、好ましくはAがOである。Rが低級アルキル、例えばエチルまたは最も好ましくは、メチルである。Zが好ましくはOである。
本発明の好ましい態様において、組み合わせはエポシロンBと電離放射線から成る。
さらに、本発明は、増殖性疾患を有する温血動物の処置法であり、該動物に、本発明の組み合わせを、増殖性疾患に対して併用で治療的に有効となる方法で投与する(ここで、組み合わせパートナーはまたそれらの薬学的に許容される塩の形で存在できる)ことを含む、方法に関する。
さらに、本発明は、増殖性疾患の進行の遅延または処置のための、および、増殖性疾患の進行の遅延または処置のための医薬の製造のための、本発明の組み合わせの使用に関する。
本発明の一つの態様において、下痢止めを、エポシロン、とりわけエポシロンBの投与に時々付随する下痢を予防し、コントロールし、または排除するために、本発明の組み合わせと組み合わせて投与する。故に、本発明はまた式Iのエポシロン誘導体の投与に付随する下痢を予防し、またはコントロールする方法であり、有効量の下痢止めを、本発明の組み合わせの処置を受けている患者に投与することを含む、方法に関する。下痢止めおよびその投与プロトコールは、当業者に既知である。本発明の方法および組成物において使用するのに適した下痢止めは、天然オピオイド、例えばアヘンチンキ、パレゴリック、およびコデイン、合成オピオイド、例えばジフェノキシレート、ジフェノキシンおよびロペラミド、次サリチル酸ビスマス、オクトレオチド(例えばSANDOSTATINTMとして入手可能)、モチリンアンタゴニストおよび伝統的下痢止め治療、例えばカオリン、ペクチン、ベルベリンおよびムスカリン性薬剤を含むが、これらに限定されない。
下記実施例は本発明を説明することを意図し、それに限定するものと見なしてはならない。
実施例1
腫瘍細胞増殖を、代謝物活性の検出に基づく、比色分析のMTT−様alamarBlueアッセイにより評価した。クローン的生存を決定するために、培養した単一細胞の数を、約100コロニー/皿が、決められた処置で得られるように調節した。24時間異なる薬剤に暴露した後、細胞を照射し、8から10日間増殖させ、その後メタノール/酢酸(75%/25%)に固定し、クリスタル・バイオレットで染色した。50細胞/コロニー以上のコロニーのみを計数した。非処置細胞の平板効率(PE)を決定し、PE(%)=(記録したコロニー/播いた細胞数)×100として計算した。決められた処置での生存フラクション(SF)は、SF=(記録したコロニー)/(播いた細胞数×PE/100)により決定した。クローン的アッセイを少なくとも2回行い、エラーバーが無いのは、極小の標準偏差によるものである。細胞培養の照射は、室温で細胞培養皿(100×100mm)または96ウェルプレート中、Pantak Therapax 3,300kV X線ユニットを使用して、0.7Gy/分で行った。線量測定は、Vigilant−線量計で制御した。

最初の増殖アッセイを、電離放射線との組み合わせ処置に適用すべき、エポシロンBの投与量範囲を決定するために行った。明白な抗増殖性用量反応が、72時間にわたり、2種の細胞系(E1A/ras形質転換p53−/− MEF;ヒト結腸腺癌細胞系SW480)に対して、エポシロンBのナノモル以下および低いナノモル範囲で観察された。ヒトSW480細胞は、エポシロンBに対して、遺伝子的に定義された癌遺伝子形質転換MEFよりも感受性が高いことが示される(添付書類エポシロンB−1)。エポシロンBと電離放射線(5Gy)の組み合わせ処置は、これらの2種の細胞系に対して、少なくとも相加的な抗増殖効果を示す(添付書類エポシロンB−2、エポシロンBの代表的濃度と共に示す)。この組み合わせ処置モダリティーに関して、細胞を照射に先立ち、エポシロンBで24時間前処置した。
これらの結果に基づき、クローン的生存アッセイを、エポシロンBと電離放射線を組み合わせて行った。クローン的アッセイは、ペトリ皿に低密度で播いた単一細胞からのコンパクト・クローンの生長に基づく。異なる処置条件下のクローン生長を定量し、比較できる。
添付書類エポシロンB−3は、SW480およびE1A/ras−形質転換MEFで、電離放射線およびエポシロンB各々単独および組み合わせで処置により行った、クローン的生存を要約する。増殖アッセイと同様に、SW480細胞は、エポシロンBにMEFよりも感受性であり、組み合わせ処置はまた両方の細胞系において少なくとも相加的効果を示した(エポシロンBの投与量範囲は、各々のグラフに示すように、SW480およびMEFで異なる)。これらの結果に基づき、組み合わせ処置の効果を、インビボで腫瘍同種移植片/異種移植片モデルを使用して試験すべきである。
エポシロンBが、(幾分かの)パクリタキセル−不応腫瘍細胞系に対して抗増殖性であるべきであるという興味深い特性に基づき、我々は、これらの2種の細胞系に対するエポシロンBおよびパクリタキセルの効果を、電離放射線と組み合わせて比較した。ヒトSW480結腸癌細胞系は、パクリタキセルに対して不応であることが証明された(投与量500nMまで、添付書類4a)。
しかし、パクリタキセルおよびエポシロンBは単独で、および電離放射線と組み合わせて、マウス線維肉腫細胞系で同程度に増殖活動を減少させた(低ナノモル範囲で、添付書類4b)。
我々は、エポシロンB/IRおよびパクリタキセル/IRの組み合わせ処置の効果を、クローン的細胞生存アッセイで比較した。両方の細胞系とも、エポシロンB/IRおよびパクリタキセル/IRの各々に少なくとも相加的な効果を示したが、パクリタキセル−耐性細胞系SW480に対しては、非常に高濃度のパクリタキセルのみであった(添付書類エポシロンB−5)。
パクリタキセル−耐性は、しばしば腫瘍細胞のMDR−P−糖タンパク質−過剰発現によるものであり、MDR−拮抗剤(reversal agent)ベラパミルにより阻害できる。したがって、増殖実験を、ベラパミルで前処置したSW480細胞において、異なる処置モダリティーで行った。ベラパミルの低用量(5μg/ml、パクリタキセル−処置30分前に添加)は、SW480細胞を低用量のパクリタキセル単独および電離放射線との組み合わせ処置モダリティーに対して再び感受性にし、MDR−P−糖タンパク質−過剰発現がこの細胞系のパクリタキセル−不応作用を担うことを示唆する(添付書類エポシロンB−6)。ベラパミルはこの濃度でそれ自体単独で抗増殖効果を有さず、エポシロンBに対する反応をわずかに変化させるのみであった(示していない)。我々は、現在、免疫ブロッティングにより、SW480細胞におけるMDR−P−糖タンパク質のレベルを直接的な方法で厳密に調査している。
これらの結果の全体から、エポシロンBおよびパクリタキセルの両方とも、電離放射線との組み合わせで、少なくとも相加的な、増殖性およびクローン的細胞殺傷効果を有することが示される。エポシロンBは、パクリタキセル−耐性ヒト結腸腺癌細胞系細胞系SW480に、単独でおよび電離放射線と組み合わせて、完全な活性を維持する。故に、エポシロンが、IRおよび微小管阻害剤との組み合わせ処置レジメンにおいて、パクリタキセル耐性腫瘍(例えば結腸直腸腫瘍)における有望な代替剤であるはずである。経験的に、次の段階は、同種移植片/異種移植片マウス腫瘍モデルでのエポシロンB/IRのインビボ試験を含む。

Claims (6)

  1. 電離放射線と組み合わせて使用するための増殖性疾患の処置用医薬であり、エポシロンBを含む、医薬。
  2. 増殖性疾患を有する温血動物に投与するための請求項1に記載の医薬であり、エポシロンBが増殖性疾患に対して電離放射線との併用で治療的に有効な量で含まれている、医薬。
  3. 少なくとも1種の薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1または2に記載の医薬。
  4. 処置が増殖性疾患の進行の遅延である、請求項1、2または3のいずれかに記載の医薬。
  5. 増殖性疾患が固形腫瘍である、請求項1、2、3または4のいずれかに記載の医薬。
  6. 増殖性疾患の処置用の、電離放射線と組み合わせて使用するための医薬の製造のための、エポシロンBの使用。
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