JP4926966B2 - ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカーMsx1/2 - Google Patents

ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカーMsx1/2 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカーであるMsx1遺伝子およびMsx2遺伝子に関し、詳細には、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出手段、並びに該細胞の検出方法および検出キットに関する。
ドーパミン系は、哺乳動物の脳において重要な運動調節、ホルモン分泌調節、情動調節等に関与する非常に重要な系である。従って、ドーパミン作動性神経伝達における異常は、様々な神経系の障害を引き起こす。例えば、パーキンソン病は、中脳黒質のドーパミン産生ニューロンの特異的な脱落が原因で起こる錐体外路系の神経変性疾患である(HARRISON'S PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE 第2巻 第23版,Isselbacher et al.編McGraw-HillInc., NY(1994)pp.2275-7)。
パーキンソン病の治療法としては、産生されるドーパミン量の低下を補うためにL−ドーパ(3,4‐ジヒドロキシフェニルアラニン)を経口投与する方法が主に採られているが、効果の持続性が良くないことが知られている。
そこで、失われたドーパミン産生ニューロンを補う方法として、最近では、ドーパミン産生ニューロン前駆細胞を含む6〜9週齢の中絶胎児の中脳腹側領域を移植する治療法が試みられている(米国特許第5690927号;Spencer et al.(1992)N.Engl.J.Med.327:1541-8; Freed et al.(1992)N.Engl.J.Med.327:1549-55; Widner et al.(1992)N.Engl.J.Med.327:1556-63; Kordower et al.(1995)N.Engl.J.Med.332:1118-24; Defer et al.(1996)Brain 119:41-50; Lopez-Lozano et al.(1997)Transp.Proc.29:977-80)。しかし、現在のところ、この方法では細胞の供給面、倫理面(Rosenstain(1995)Exp.Neurol.33:106; Turner et al.(1993)Neurosurg.33:1031-7)で問題があるとともに、感染汚染の危険性、免疫学的な移植片拒絶(Lopez-Lozano et al.(1997)Transp.Proc.29:977-80; Widner and Brudin(1988)Brain Res.Rev.13:287-324)、胎児組織が糖分解よりも脂質代謝に主に依存しているための生存率の低さ(Rosenstein(1995)Exp.Neurol.33:106)等の様々な面で問題が指摘されている。
倫理面や供給不足の問題を解決する方法としては、例えば、ブタ由来の皮質、線条、および中脳細胞を用いる方法等も提案されている(例えば、特表平10−508487号公報;特表平10−508488号公報;特表平10−509034号公報)。しかし、この方法においては、拒絶反応を抑制するため、細胞表面上の抗原(MHCクラスI抗原)を改変するという煩雑な操作が必要とされる。移植片拒絶を解消する方法としては、例えば、セルトーリ細胞を同時に移植することにより、局在的に免疫抑制する方法も提案されている(特表平11-509170号公報;特表平11-501818号公報;Selawly and Cameron(1993)Cell Transplant 2:123-9)。MHCがマッチする血縁者、他人の骨髄、骨髄バンク、及び臍帯血バンク等から移植細胞を得ることも可能であるが、患者自身の細胞を用いることができれば、余計な操作や手間なしに拒絶反応の問題も解決することができる。
そこで、中絶胎児由来の細胞に代えて、胚性幹細胞(ES)細胞、骨髄間質細胞などの非神経系細胞からのイン・ビトロにおけるドーパミン産生ニューロンの分化系の移植材料としての利用が有望視されている。実際、ラットパーキンソン病モデルの病変線条へのES細胞移植により機能的なドーパミン産生ニューロンが形成されたとの報告もある(Kimetal.(2002)Nature 418:50-56)。将来的にはES細胞若しくは患者本人の持つ神経幹細胞からの再生治療の重要性が増してくるものと思われる。
一方で、神経組織の損傷の治療においては脳機能の再構築が必要となり、周囲の細胞と適切なリンクを形成する(ネットワーク形成)ために、成熟した細胞ではなくイン・ビボにおいてニューロンへと分化し得る前駆細胞を移植する必要がある。しかし、ニューロン前駆細胞の移植においては、上述した供給面以外に、前駆細胞が不均一な細胞集団へと分化する可能性があるという問題点がある。例えば、パーキンソン病の治療においては、カテコールアミン含有ニューロンの中でもドーパミン産生ニューロンを選択的に移植することが必要であり、これまでに、パーキンソン病の治療に用いる移植細胞として、線条体(Lindvall et al.(1989)Arch.Neurol.46:615-31; Widner et al.(1992)N.Engl.J.Med.327:1556-63)、ヒト胎児神経由来の不死化セルライン(特表平8−509215号公報;特表平11−506930号公報;特表2002−522070号公報)、NT2Z細胞の有糸分裂後ヒトニューロン(特表平9−5050554号公報)、ニューロン始原細胞(特表平11−509729号公報)、ドーパミン等のカテコールアミンを産生するように外来遺伝子によりトランスフェクトされた細胞、骨髄ストロマ細胞(特表2002−504503号公報;特表2002−513545号公報)、遺伝子改変されたES細胞(Kim et al(2002)Nature 418:50-56)等が提案されている。しかしながらいずれも、ドーパミン産生ニューロンまたはドーパミン産生ニューロンへと分化する細胞のみを含むものではない。
未分化な細胞集団からドーパミン産生ニューロンを選択的に濃縮・分離する方法としては、ドーパミン産生ニューロンで発現するチロシンハイドロキシラーゼ(TH)等の遺伝子のプロモーター/エンハンサーの制御下で蛍光蛋白質を発現するレポーター遺伝子を細胞集団の各細胞に導入し、蛍光を発する細胞を分離することにより、ドーパミン産生ニューロンを生きたまま可視化して濃縮・分離、または同定する方法(特開2002−51775号公報)が提案されている。しかしこの方法は、外来遺伝子の導入という煩雑な工程を不可欠とするものであり、さらに、遺伝子治療に用いることを日的とする場合、レポーター遺伝子の存在は毒性、免疫原性の面からも問題である。
以上のことから、現時点でのパーキンソン病移植治療における大きな問題の一つは、中絶胎児の中脳腹側領域由来あるいは分化誘導されるドーパミン産生ニューロン前駆細胞が、いずれも多種の細胞の混合物である点である。神経回路形成における安全性を考えると、目的の細胞種のみを分離してから用いるのが望ましい。さらに、細胞の移植先の脳内での生存や、正しくネットワーク形成する能力を考えると、より早期の増殖前駆細胞を分離し、移植することが治療効果の観点から望ましいと言える。
これまでに、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的に発現する遺伝子としてLrp4(WO2004/065599号公報)が報告されている。その他にも、ドーパミン産生ニューロン前駆細胞のマーカーがいくつか報告されており(WO2004/038018号公報、WO2005/052190号公報)、そのうちLmx1aについてはヒトおよびマウスのドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞、分裂停止後のドーパミン産生ニューロン前駆細胞、およびドーパミン産生ニューロンでの発現が確認されている(WO2005/052190号公報)。
ところで、Msx遺伝子は、器官形成に関与するホメオボックス遺伝子であり、マウスではMsx1、Msx2、Msx3が、ヒトではMsx1、Msx2が存在することが知られている(Davidson, D. (1995). Trends Genet 11:405-411)。これまでに、Msx1はあらゆる脳胞に発現することが報告されており(Ramos, C., et al. (2004). Dev Dyn 230:446-60)、Msx1/Msx2変異体マウスでは、神経管の背腹方向のパターニングに関与するWnt1の発現が、間脳の背側中線および吻側中脳において完全に消失することが報告されている(Bach, A., et al. (2003). Development 130:4025-36)。また、Msx1は神経管形成の初期段階における発生に関与していることが報告されている(Liu, Y., et al. (2004). Development 131:1017-28)。
しかしながら、Msx1およびMsx2がドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的に発現していることは報告されていない。
発明の概要
本発明者らは、今般、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子(本明細書において、単に「Msx1」および「Msx2」と言うことがある)がドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的に発現していることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
本発明は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出手段、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出方法、およびドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出キットを提供することを目的とする。
本発明はまた、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の分化誘導に有効な物質のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明はさらに、パーキンソン病の治療に用いられるドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択に用いられるポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマー(以下「本発明によるプローブ」または「本発明によるプライマー」ということがある)が提供される。
本発明によれば、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択に用いられる、Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部に対する抗体(以下「本発明による抗体」ということがある)が提供される。
本発明によればまた、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択方法(以下「本発明による検出方法」ということがある)が提供される。
本発明によれば更に、本発明によるプローブ、本発明によるプライマー、または本発明による抗体を少なくとも含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択するためのキットが提供される。
本発明によれば、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞分化誘導に有効な物質のスクリーニング方法が提供される。
本発明によれば、パーキンソン病の治療に用いられるドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の製造方法が提供される。
本発明によれば、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択のための、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドの使用が提供される。
本発明によれば、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択のための、Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部に対する抗体の使用が提供される。
本発明によるプローブ、プライマー、および抗体は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的なマーカーとして利用することができる。したがって、本発明は、移植材料の純度検定やイン・ビトロでのドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞分化誘導法の開発等において極めて有用であり、再生医療の実用化推進に大きく貢献することが期待される。
ドーパミン産生ニューロン関連マーカー遺伝子の発現時期を示した図である。 マウス12.5日胚の中脳を示した図である。中脳を背腹軸に沿って4領域に分けた(V:最腹側領域、VL:腹側側方領域、DL:背側側方領域、D:最背側領域)。 中脳の各領域における、Msx1、Msx2、DAT、Lmx1aおよびLrp4のmRNA発現をRT−PCR法により解析した結果を示した図である。 マウス11.5日胚の中脳における、Msx1、Nurr1およびTHのmRNA発現をin situハイブリダイゼーションにより解析した結果を示した図である。点線はドーパミン産生ニューロン発生領域を示し、破線はVZ(脳室領域)とML(外套層)の境界を示す。 マウス11.5日胚の中脳における、Msx1/2、Lmx1aのタンパク質発現およびこれらの共発現(二重染色)を免疫染色法により解析した結果を示した図である。 マウス11.5日胚の中枢神経系腹側領域における、Msx1/2、Lmx1aおよびTHのタンパク質発現を免疫染色法により解析した結果を示した図である。 ES細胞より分化誘導したドーパミン産生ニューロン前駆細胞における、Msx1、Msx2およびその他ドーパミン産生ニューロンマーカー遺伝子の発現をRT−PCR法により解析した結果を示した図である。 セルソーターによるLrp4陽性細胞と陰性細胞との分離を示した図である。 マウス12.5日胚(E12.5)の中脳由来細胞およびSDIA分化誘導細胞より分離したそれぞれのドーパミン産生ニューロン前駆細胞における、Msx1、Msx2およびその他ドーパミン産生ニューロンマーカー遺伝子の発現をRT−PCR法により解析した結果を示した図である。
発明の具体的な説明
以下、本発明を詳細に説明する。以下の記述は、本発明を説明するための例示であり、本発明を記述された実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本明細書中で使用される全ての技術的用語、科学的用語および専門用語は、本発明が属する技術分野の通常の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有し、単に特定の態様を説明することを目的として用いられ、限定することを意図したものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施をすることができる。本明細書において引用された全ての先行技術文献および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み入れられ、本発明の実施のために用いることができる。
[ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞]
本発明において検出または選択の対象である「ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞」は、分裂停止前のドーパミン産生ニューロン前駆細胞を意味する。
ドーパミン産生ニューロンは、神経上皮細胞から、増殖前駆細胞、分裂停止後の前駆細胞の分化段階を経て、成熟ドーパミン産生ニューロンに分化する。ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞は、ドーパミン産生ニューロンの最も初期の前駆細胞であるから、移植先の脳内での高い生存率や、高いネットワーク形成能が期待できる。従って、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞は、パーキンソン病等、ドーパミン産生ニューロンの変性脱落によるドーパミン減少に起因する疾患の移植治療に有用である。
本発明によるプローブ、プライマー、または抗体を指標として選択された細胞は、分裂停止前のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞であることから、従来の雑多な細胞集団または外来遺伝子を導入したドーパミン産生ニューロン前駆細胞と比べて、安全性、生存率、ネットワーク形成能の面でパーキンソン病等の神経変性疾患の移植治療に好ましいものである。該細胞は、分裂停止前、すなわち増殖中のドーパミン産生ニューロン前駆細胞であり、脳内の最適な場所で分化成熟していく可能性があり、また、イン・ビボにおいてさらにドーパミン産生ニューロン前駆細胞が増殖する可能性があることから、より長期的な治療効果も期待できる。従って、本発明は、パーキンソン病等の神経変性疾患の効果的な移植治療の実用化に途を拓くものであるといえる。
[ポリヌクレオチドプローブおよびポリヌクレオチドプライマー]
本発明によるプローブおよびプライマーは、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができる。前記のように、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現はドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の指標として有用である。従って、本発明によるプローブおよびプライマーは、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞検出用のマーカーとして用いることができる。
本発明によるプローブおよびプライマーは、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することができればよく、複数のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)等の塩基または塩基対からなる重合体を指す。二本鎖cDNAも組織in situハイブリダイゼーションにおいて利用可能であることが知られており、本発明のプローブおよびプライマーにはそのような二本鎖cDNAも含まれる。組織中のRNAの検出において特に好ましいプローブおよびプライマーとしては、RNAプローブ(リボプローブ)を挙げることができる。
本発明によるプローブおよびプライマーは、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個、さらに好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなるものが挙げられる。本発明によるプローブおよびプライマーは、また、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する10〜50個または10〜30個、15〜50個または15〜30個、20〜50個または20〜30個、25〜50個または25〜30個のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなるものが挙げられる。
本発明によるプローブおよびプライマーは、少なくとも10塩基長であることができ、好ましくは、少なくとも15塩基長、より好ましくは、少なくとも20塩基長、さらに好ましくは、少なくとも25塩基長である。本発明によるプローブおよびプライマーは、また、10〜50塩基長または10〜30塩基長、15〜50塩基長または15〜30塩基長、20〜50塩基長または20〜30塩基長、25〜50塩基長または25〜30塩基長である。
本発明によるプローブおよびプライマーの好ましい態様によれば、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個(好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個、さらに好ましくは、少なくとも25個)のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなり、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子にハイブリダイズすることができる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択に用いられる15〜30塩基長のプローブおよびプライマーが提供される。
本発明によるプローブおよびプライマーの好ましい態様によればまた、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列のうち、識別性の高い部分にハイブリダイズすることができるプローブおよびプライマーが提供される。このようなプローブおよびプライマーを用いることにより、増殖前駆細胞をより高い精度で検出することが可能となる。このようなプローブおよびプライマーとしては、例えば、配列番号:1で表される塩基配列の1番目〜710番目および963番目〜1713番目、配列番号:3で表される塩基配列の1番目〜677番目および943番目〜1546番目、配列番号:5で表される塩基配列の1番目〜484番目および736番目〜1316番目、配列番号:7で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1801番目、配列番号:9で表される塩基配列の1番目〜737番目および976番目〜1724番目、配列番号:11で表される塩基配列の1番目〜525番目および777番目〜1189番目、配列番号:13で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1810番目、配列番号:15で表される塩基配列の1番目〜754番目および994番目〜1754番目、配列番号:16で表される塩基配列の1番目〜744番目および996番目〜1935番目、配列番号:17で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1806番目、配列番号:19で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1785番目、配列番号:21で表される塩基配列の1番目〜1456番目および1710番目〜1905番目、配列番号:23で表される塩基配列の1番目〜625番目および891番目〜1062番目、配列番号:25で表される塩基配列の1番目〜709および963番目〜1895番目番目、配列番号:27で表される塩基配列の1番目〜520番目および786番目〜1310番目、配列番号:29で表される塩基配列の1番目〜510番目および767番目〜1259番目、配列番号:31で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2180番目、配列番号:33で表される塩基配列の1番目〜468番目および707番目〜1138番目、配列番号:35で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜1143番目、配列番号:37で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:39で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:41で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2048番目、配列番号:43で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2182番目、配列番号:45で表される塩基配列の1番目〜413番目および651番目〜804番目、配列番号:47で表される塩基配列の1番目〜431番目および670番目〜2605番目、配列番号:49で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜2136番目、配列番号:51で表される塩基配列の1番目〜778番目および1015番目〜1452番目、配列番号:53で表される塩基配列の1番目〜780番目および1017番目〜1453番目、配列番号:55で表される塩基配列の1番目〜370番目および609番目〜800番目、配列番号:57で表される塩基配列の1番目〜29番目および267番目〜420番目、配列番号:59で表される塩基配列の1番目〜1340番目および1578番目〜1731番目、配列番号:61で表される塩基配列の1番目〜541番目および778番目〜2225番目、配列番号:63で表される塩基配列の1番目〜404番目および651番目〜804番目、配列番号:65で表される塩基配列の1番目〜632番目、配列番号:67で表される塩基配列の1番目〜489番目および728番目〜1107番目、並びに配列番号:69で表される塩基配列の1番目〜487番目および708番目〜2569番目からなる群から選択されるヌクレオチド配列の一部または全部を含んでなるヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブまたはプライマーが挙げられる。
本発明によるプローブは、ノーザンブロット法、サザンブロット法、in situハイブリダイゼーション等の目的遺伝子を検出する公知の方法において、常法に従ってプローブとして使用することができる。
本発明によるプローブは、本明細書に開示したヌクレオチド配列に基づき、化学合成できる。プローブの調製は周知であり、例えば、『Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.』(Cold Spring Harbor Press(1989))、『Current Protocols in Molecular Biology』(John Wiley & Sons(1987-1997))に従って実施できる。
本発明によるプライマーは、二種以上の該プライマーからなる、プライマーセットとしても使用することができる。
本発明によるプライマーおよびプライマーセットは、PCR法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、in situ PCR法、LAMP法等の核酸増幅法を利用して目的遺伝子を検出する公知の方法において、常法に従ってプライマーおよびプライマーセットとして利用することができる。
本発明によるプライマーセットはMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列をPCR法等の核酸増幅法により増幅できるように選択することができる。核酸増幅法は周知であり、核酸増幅法におけるプライマーペアの選択は当業者に自明である。例えば、PCR法においては、二つのプライマー(プライマーペア)の一方がMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の二本鎖DNAのプラス鎖に対合し、他方のプライマーが二本鎖DNAのマイナス鎖に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択できる。また、LAMP法(WO00/28082号公報)においては、標的遺伝子に対して3’末端側からF3c、F2c、F1cという3つの領域を、5’末端側からB1、B2、B3という3つの領域を、それぞれ規定し、この6つの領域を用いて4種類のプライマーを設計することができる。
本発明によるプライマーは、本明細書に開示したヌクレオチド配列に基づき、化学合成できる。プライマーの調製は周知であり、例えば、『Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.』(Cold Spring Harbor Press(1989))、『Current Protocols in Molecular Biology』(John Wiley & Sons(1987-1997))に従って実施できる。
本発明においてドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の存在の指標となる「Msx1遺伝子」は、ヒト、マウス、ラット、チンパンジー、イヌ、ウシ、チキン等において、また「Msx2遺伝子」は、ヒト、マウス、ラット、チンパンジー、イヌ、ウシ、チキン、ウズラ等において公知である。それぞれの配列が開示されているGenBankアクセッション番号は下記の通りである。
Msx1遺伝子
ヒト:NM_002448(配列番号:1(塩基配列)、配列番号:2(アミノ酸配列)、以下同様の順に示す)、BC021285(配列番号:3、配列番号:4)、M97676(NM_002448と同一)、BC067353(配列番号:5、配列番号:6)
マウス:NM_010835(配列番号:7、配列番号:8)、BC016426(配列番号:9、配列番号:10)、AF308572(配列番号:11、配列番号:12)、X14759(配列番号:13、配列番号:14)、AK078600(配列番号:15(塩基配列))、AK077524(配列番号:16(塩基配列))、X59251(NM_010835と同一)
ラット:NM_031059(配列番号:17、配列番号:18)、D83036(配列番号:19、配列番号:20)
チンパンジー:XM_517087(配列番号:21、配列番号:22)
イヌ:XM_545946(配列番号:23、配列番号:24)
ウシ:NM_174798(配列番号:25、配列番号:26)、D30750(NM_174798と同一)
チキン:NM_205488(配列番号:27、配列番号:28)、D10372(NM_205488と同一)、M76985(配列番号:29、配列番号:30)
Msx2遺伝子
ヒト:NM_002449(配列番号:31、配列番号:32)、CR592938(配列番号:33、配列番号:34)、BC015509(配列番号:35、配列番号:36)、D31771(配列番号:37、配列番号:38)、S75308(配列番号:39、配列番号:40)、S75361(配列番号:41、配列番号:42)、D89377(配列番号:43、配列番号:44)、BT009814(配列番号:45、配列番号:46)、X69295(配列番号:47、配列番号:48)、D26145(配列番号:49、配列番号:50)
マウス:NM_013601(配列番号:51、配列番号:52)、X59252(配列番号:53、配列番号:54)
ラット:U12514(配列番号:55、配列番号:56)、NM_012982(配列番号:57、配列番号:58)
チンパンジー:XM_523807(配列番号:59、配列番号:60)
イヌ:NM_001003098(配列番号:61、配列番号:62)、AJ277753(配列番号:63、配列番号:64)
ウシ:XM_592489(配列番号:65、配列番号:66)
チキン:NM_204559(配列番号:67、配列番号:68)、S64478(NM_204559と同一)
ウズラ:M57611(配列番号:69、配列番号:70)
上記以外の動物(好ましくは、哺乳動物)についても、当業者であれば、公知のMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の全長配列に基づいて、その動物に内在するMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の配列を特定することができる。例えば、ヒトあるいはマウスのMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子に基づいて相同性検索を行い、その動物のMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子を検索し、特定することができる。相同性検索に当たっては後述するBLAST等を利用することができる。
Msx1遺伝子の例としては、
配列番号:2、配列番号:4および配列番号:6からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるヒトMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12および配列番号:14からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるマウスMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:18および配列番号:20からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるラットMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:22のアミノ酸配列からなるチンパンジーMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:24のアミノ酸配列からなるイヌMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:26のアミノ酸配列からなるウシMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:28および配列番号:30からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるチキンMsx1タンパク質をコードするポリヌクレオチド:
が挙げられる。
Msx1遺伝子の例としては、また、
配列番号:1、配列番号:3および配列番号:5からなる群から選択される少なくとも一つに記載のヒトMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15および配列番号:16からなる群から選択される少なくとも一つに記載のマウスMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:17および配列番号:19からなる群から選択される少なくとも一つに記載のラットMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:21のチンパンジーMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:23のイヌMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:25のウシMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:27および配列番号:29からなる群から選択される少なくとも一つに記載のチキンMsx1遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド:
が挙げられる。
Msx2遺伝子の例としては、
配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48および配列番号:50からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるヒトMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:52および配列番号:54からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるマウスMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:56および配列番号:58からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるラットMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:60のアミノ酸配列からなるチンパンジーMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:62および配列番号:64からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列からなるイヌMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:66のアミノ酸配列からなるウシMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:68のアミノ酸配列からなるチキンMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド;
配列番号:70のアミノ酸配列からなるウズラMsx2タンパク質をコードするポリヌクレオチド:
が挙げられる。
Msx2遺伝子の例としては、また、
配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:41、配列番号:43、配列番号:45、配列番号:47および配列番号:49からなる群から選択される少なくとも一つに記載のヒトMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:51および配列番号:53からなる群から選択される少なくとも一つに記載のマウスMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:55および配列番号:57からなる群から選択される少なくとも一つに記載のラットMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:59のチンパンジーMsx2遺伝子のDNA配列を含むヌクレオチド配列;
配列番号:61および配列番号:63からなる群から選択される少なくとも一つに記載のイヌMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:65のウシMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:67のチキンMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド;
配列番号:69のウズラMsx2遺伝子のDNA配列を含むポリヌクレオチド:
が挙げられる。
本発明によるMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子には、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質と機能的に同等のタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。ここで「機能的に同等」であるかどうかは、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現と関連する生体現象あるいは機能を評価することにより、例えば、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞において選択的に発現しているか否かを評価することにより決定することができる。
また、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質と機能的に同等のものとしては、アミノ酸配列(例えば、配列番号2のアミノ酸配列および配列番号32のアミノ酸配列)をコードする遺伝子が多型である場合、当該多型も含まれる。
Msx1タンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする遺伝子としては下記が挙げられる。
・ Msx1タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2のアミノ酸配列および配列番号8のアミノ酸配列)において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失またはその一方もしくは両末端への付加がなされたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)をコードする遺伝子;
・ Msx1タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2のアミノ酸配列および配列番号8のアミノ酸配列)をコードする遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子;および
・ Msx1タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2のアミノ酸配列および配列番号8のアミノ酸配列)と少なくとも70%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子。
また、Msx2タンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする遺伝子としては下記が挙げられる。
・ Msx2タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号32のアミノ酸配列および配列番号52のアミノ酸配列)において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)をコードする遺伝子;
・ Msx2タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号32のアミノ酸配列および配列番号52のアミノ酸配列)をコードする遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子;および
・ Msx2タンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号32のアミノ酸配列および配列番号52のアミノ酸配列)と少なくとも70%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子。
本願明細書において、「アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされた」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の技術的方法により、または天然に生じ得る程度の複数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされたことを意味する。
Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質の改変アミノ酸配列は、例えば1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜2個のアミノ酸の挿入、置換、もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされたものであることができる。改変アミノ酸配列は、好ましくは、そのアミノ酸配列が、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質のアミノ酸配列において1または複数個(好ましくは1もしくは数個または1、2、3、もしくは4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であることができる。
ここで「保存的置換」とは、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1または複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
本願明細書において「ハイブリダイズする」とは、ストリンジェントな条件下で標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることを意味する。具体的には、FASTA、BLAST、Smith−Waterman〔Meth. Enzym., 164, 765 (1988)〕などの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルト(初期設定)のパラメーターを用いて計算したときに、標的ヌクレオチド配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、そして最も好ましくは99%以上の同一性を有するポリヌクレオチドが挙げられる。また、「ストリンジェントな条件下」とは、当業者が通常使用し得るハイブリダイゼーション緩衝液中で、温度が40℃〜70℃、好ましくは60℃〜65℃などで反応を行い、塩濃度が15〜300mmol/L、好ましくは15〜60mmol/Lなどの洗浄液中で洗浄する方法に従って行なうことができる。温度、塩濃度は使用するプローブの長さに応じて適宜調整することが可能である。さらに、ハイブリダイズしたものを洗浄するときの条件は、0.2または2×SSC、0.1%SDS、温度20−68℃で行うことができる。ストリンジェント(high stringency)な条件にするかマイルド(low stringency)な条件にするかは、洗浄時の塩濃度又は温度で差を設けることができる。塩濃度でハイブリダイズの差を設ける場合には、ストリンジェント洗浄バッファー(high stringency wash buffer)として0.2×SSC、0.1%SDS、マイルド洗浄バッファー(low stringency wash buffer)として2×SSC、0.1%SDSで行うことができる。また、温度でハイブリダイズの差を設ける場合には、ストリンジェントの場合は68℃、中等度(moderate stringency)の場合は42℃、マイルドの場合は室温(20−25℃)でいずれの場合も0.2×SSC、0.1%SDSで行えばよい。
通常、プレハイブリダイズを実施する場合にはハイブリダイズと同じ条件で実施するが、ハイブリダイズとプレ(予備)洗浄は同じ条件で行うとは限らない。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
本願明細書において、アミノ酸配列について「同一性」(相同性という場合もある)とは、比較される配列間において、各々の配列を構成するアミノ酸残基の一致の程度の意味で用いられる。このとき、ギャップの存在及びアミノ酸の性質が考慮される(Wilbur, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:726-730 (1983))。相同性の計算には、市販のソフトであるBLAST(Altschul: J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990))、FASTA(Peasron: Methods in Enzymology 183:63-69 (1990))等を用いることができる。
Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも70%以上の同一性を有するアミノ酸配列は、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、そして最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列であることができる。
「同一性」の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えば全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、算出することができる。
[抗体]
本発明による抗体は、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質を特異的に認識することができる。前記のように、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現はドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の指標として有用である。従って、本発明による抗体は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞検出用のマーカーとして用いることができる。
本発明による抗体を得るためのMsx1タンパク質またはMsx2タンパク質は、Msx1またはMsx2の抗原性を有していればよく、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸残基が欠失、挿入、置換または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質が包含される。このようなタンパク質が元のタンパク質と同じ生物学的活性が維持されることは公知である(Mark et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:5662-6;Zoller and Smith(1982)Nucleic Acids Res. 10:6487-500;Wang et al.(1984)Science 224:1431-3;Dalbadie-McFarland et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6409-13)。あるタンパク質において、元のタンパク質の抗原性を維持した状態で、1若しくは複数個のアミノ酸を欠失、挿入、置換または付加させる方法は公知である。例えば、部位特異的変異誘発法により変異蛋白質をコードするポリヌクレオチドを調製し、適宜発現させて得ることができる(Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Press(1989);Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons,(1987-1997),Section8.1-8.5;Hashimoto-Goto et a1.(1995)Gene 152:271-5;Kinkel(1985)Proc.Nat1.Acad.Sci.USA 82:488-92;Kramer and Fritz(1987)Method.Enzymol 154:350-67;Kunke1(1988)Method.Enzymo1.85:2763-6)。
本発明による抗体には、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質の一部に対して特異的な抗体も含まれる。即ち、本発明の抗体を得るためのMsx1タンパク質またはMsx2タンパク質には、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質の全長アミノ酸配列を有するポリペプチドに加えて、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質の少なくとも6アミノ酸残基以上(例えば、6、8、10、12または15アミノ酸残基以上)と同一の配列を有するポリペプチド断片である。本明細書におけるMsx1タンパク質またはMsx2タンパク質のポリペプチド断片は、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質の抗原性さえ有すればどのような断片であってもよい。
好ましい断片としては、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質のアミノ末端、カルボキシル末端等のポリペプチド断片を挙げることができる。ポリペプチドの抗原決定部位は、タンパク質のアミノ酸配列上の疎水性/親水性を解析する方法(Kyte-Doolittle(1982)J.Mol.Biol. 157:105-22)、二次構造を解析する方法(Chou-Fasman(1978)Ann.Rev.Biochem. 47:251-76)により推定し、さらにコンピュータープログラム(Anal.Biochem. 151:540-6(1985))または短いペプチドを合成しその抗原性を確認するPEPSCAN法(特表昭60−500684号公報)等の手法により確認することができる。
Msx1タンパク質に対する抗体の例としては、
配列番号:2、配列番号:4および配列番号:6からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12および配列番号:14からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:18および配列番号:20からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:22のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:24のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:26のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:28および配列番号:30からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体:
が挙げられる。
Msx2タンパク質に対する抗体の例としては、
配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48および配列番号:50からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:52および配列番号:54からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:56および配列番号:58からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:60のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:62および配列番号:64からなる群から選択される少なくとも一つに記載のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:66のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:68のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体;
配列番号:70のアミノ酸配列またはその一部を有するタンパク質に対する抗体:
が挙げられる。
本発明による抗体の好ましい態様によれば、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質において識別性の高いポリペプチド部分を認識する抗体が提供される。このような抗体を用いることにより、増殖前駆細胞をより高い精度で検出することが可能となる。このような抗体としては、Msx1タンパク質において識別性の高いポリペプチド部分に対する抗体が挙げられ、例えば、配列番号:2で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:4で表されるアミノ酸配列の1番目〜216番目および315番目〜370番目、配列番号:6で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:8で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜299番目、配列番号:10で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:12で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜303番目、配列番号:14で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜323番目、配列番号:18で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:20で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:22で表されるアミノ酸配列の1番目〜472番目および571番目〜634番目、配列番号:24で表されるアミノ酸配列の1番目〜208番目および298番目〜353番目、配列番号:26で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:28で表されるアミノ酸配列の1番目〜138番目および237番目〜288番目、並びに配列番号:30で表されるアミノ酸配列の1番目〜100番目および199番目〜242番目からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基または全部を含んでなるタンパク質に対する抗体が挙げられる。増殖前駆細胞をより高い精度で検出することができる抗体としては、また、Msx2タンパク質において識別性の高いポリペプチド部分に対する抗体が挙げられ、例えば、配列番号:32で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜267番目、配列番号:34で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜268番目、配列番号:36で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:38で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:40で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:42で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:44で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:46で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:48で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:50で表されるアミノ酸配列の1番目〜119番目および218番目〜266番目、配列番号:52で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜268番目、配列番号:54で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜269番目、配列番号:56で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:58で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:60で表されるアミノ酸配列の1番目〜466番目および527番目〜576番目、配列番号:62で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:64で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:66で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目、配列番号:68で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目、並びに配列番号:70で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基または全部を含んでなるタンパク質に対する抗体が挙げられる。
本発明による抗体は、Developmental studies hybridoma bankのような抗体産生細胞供与機関から入手することができる。
本発明による抗体はまた、当業者に周知方法を用いて得ることができる(例えば、『Current Protocols in Molecular Biology』(John Wiley & Sons(1987))、Antibodies:A Laboratory Manual, Ed.Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory(1988))。
本発明による抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体、多特異性抗体、並びに、Fab、Fab’、F(ab’)、Fc、Fv等の抗体断片が含まれる。
ポリクローナル抗体であれば、抗原を感作した哺乳動物の血液を取り出し、この血液から公知の方法により血清を分離し、ポリクローナル抗体を含む血清とすることができる。
必要に応じてこの血清からポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離することもできる。
モノクローナル抗体であれば、上記抗原を感作した哺乳動物の脾臓あるいはリンパ節から得られた抗体産生細胞を取り出し、骨髄腫細胞などと細胞融合させ、得られたハイブリドーマをクローニングして、その培養物から抗体を回収しモノクローナル抗体とすることができる。
免疫抗原としては、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質のフラグメントを用いることができる。あるいは、上記アミノ酸配列に基づき合成したものを用いることができる。抗原はキャリア蛋白質との複合体として用いてもよい。抗原とキャリアタンパク質の複合体の調製には種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、マレイミド活性エステル等が使用できる。キャリアタンパク質は牛血清アルブミン、サイログロブリン、ヘモシアニン等の常用されているものでよく、通常1〜5倍量の割合でカップリングさせる方法が用いられる。
免疫される動物としてはマウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなどが挙げられ、接種方法は皮下、筋肉または腹腔内の投与が挙げられる。投与に際しては完全フロイントアジュバンドや不完全フロイントアジュバンドと混和して投与してもよく、投与は通常2〜5週毎に1回ずつ行われる。
免疫された動物の脾臓あるいはリンパ節から得られた抗体産生細胞は骨髄腫細胞と細胞融合させ、ハイブリドーマとして単離される。骨髄腫細胞としてはマウス、ラット、ヒト等由来のものが使用され、抗体産生細胞と同種由来のものであることが好ましいが、異種間においても可能な場合もある。
細胞融合の操作は既知の方法、例えば、Nature, 256,495, 1975に従って実施できる。
融合促進剤としてはポリエチレングリコールやセンダイウイルスなどが挙げられ、通常には、20〜50%程度の濃度のポリエチレングリコール(平均分子量1000〜4000)を用いて20〜40℃、好ましくは30〜37℃の温度下、抗体 産生細胞数と骨髄腫細胞数の比は通常1:1〜10:1程度、約1〜10分間程度反応させることにより細胞融合を実施することができる。
抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の免疫化学的方法が使用できる。例えば、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質をコートしたマイクロプレートを用いるELISA法、抗免疫グロブリン抗体をコートしたマイクロプレートを用いるEIA法、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質を含むサンプルを電気泳動後、ニトロセルロース転写膜を用いるイムノブロット法などが挙げられる。
このようなウェルから更に、例えば限界希釈法によってクローニングを行い、クローンを得ることができる。ハイブリドーマの選別、育種は、通常、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加して、10〜20%牛胎児血清を含む動物細胞用培地(例、RPMI1640)で行われる。このようにして得られたクローンはあらかじめプリスタンを投与したSCIDマウスの腹腔内へ移植し、10〜14日後にモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水を採取し、抗体精製の原料とすることができる。また、該クローンを培養し、その培養物を抗体精製の原料とすることもできる。
モノクローナル抗体の精製は免疫グロブリンの精製法として既知の方法を用いればよく、たとえば、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法、陰イオン交換体の利用、さらにMsx1タンパク質またはMsx2タンパク質を用いるアフィニティクロマトグラフィーなどの手段により容易に達成することができる。
血清からのポリクローナル抗体の精製も同様に行うことができる。
[検出方法]
Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の存在の指標となる。従って、本発明によれば、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択することができる。
ここで、「Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する」方法としては、被験細胞試料におけるMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出できる方法であれば特に限定されず、例えば、ハイブリダイゼーション法、核酸増幅法、抗原抗体反応法が挙げられる。
ここで、「被験細胞試料」とは、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含むと考えられる細胞試料であればよく、中脳腹側領域の細胞を用いることができる。中脳腹側領域の細胞は公知の方法により取得することができる(Studer, L., et al. Nature Neurosci (1998) 1:290-295)。好ましくは、胎児(好ましくは、ヒト中絶胎児)または患者自身の中脳腹側領域の細胞を被験細胞試料として用いることができる。また、イン・ビトロで分化誘導されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含む培養細胞を被験細胞試料として用いることができる。イン・ビトロにおけるドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導は、公知のES細胞(Kawasaki et al. Neuron(2000)28(1):31-40, Lee, SH., et al. Nature Biotech (2000) 18:675-579)、骨髄間質細胞、神経由来の不死化セルライン(特表平8−509215号公報;特表平11−506930号公報;特表2002−522070号公報)、ニューロン始原細胞(特表平11−509729号公報)等の細胞を出発材料として、公知の方法、例えば、SDIA法(Kawasaki et al. Neuron(2000)28(1):31-40)、5−stage法(Lee, SH., et al. Nature Biotech (2000) 18:675-579)等による分化させる処理を行うことにより実施することができる。好ましくは、SDIA法による分化させる処理が行われたES細胞を被験細胞試料として用いることができる。
ここで「SDIA法」は、無血清培地中で、ES細胞をストローマ細胞株PA6と共培養することにより行うことができる(Kawasaki et. al. Neuron. 2000 28(1):31-40)。また、「5−stage法」は、ES細胞を血清存在下で非付着性培養皿上で培養することによりembryoid body(EB)を形成させ、続いてEBを付着性培養皿上に付着させることで、神経前駆細胞を選択する。最後に、Shh、FGF2、FGF8等の成長因子を添加し、ドーパミン産生ニューロン前駆細胞を誘導することにより行うことができる(Lee, SH., et al. Nature Biotech (2000) 18:675-579)。
本発明による検出法の第一の態様によれば、本発明によるプローブを核酸試料(mRNAまたはその転写産物)とハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体、すなわちヌクレオチド二本鎖、を検出することにより細胞試料におけるMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することができる。
ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、『Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.』(Cold Spring Harbor Press(1989)、特にSection 9.47-9.58)、『Current Protocols in Molecular Biology』(John Wiley & Sons(1987-1997)、特にSection 6.3-6.4)、『DNA Cloning 1:Core Techniques, A Practical Approach 2nd ed.』(Oxford University(1995)、条件については特にSection 2.10)を参照することができる。
ハイブリダイゼーション法を利用したMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出は、例えば、下記工程により実施することができる:
(a)被験細胞試料由来のポリヌクレオチドと、本発明によるプローブとを接触させる工程;および
(b)ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程。
工程(a)において、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含むと考えられる被験細胞試料から調製されたmRNAまたはそのmRNAから転写された相補的DNA(cDNA)を、被験細胞試料由来のポリヌクレオチドとして、プローブと接触させることができる。
プローブを用いた検出法においては、プローブを標識して用いることができる。標識としては例えば、放射能活性(例えば、32P、14C、および35S)、蛍光(例えば、FITC、ユーロピウム)、化学発色のような酵素反応(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ)等を利用した標識が挙げられる。
ハイブリダイゼーション産生物の検出は、ノーザンハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション等の周知の方法を用いて実施できる。
ハイブリダイゼーション複合体が検出された細胞は、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子を発現している細胞であるので、該細胞を、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と判定することができる。
本発明による検出法の第二の態様によれば、本発明によるプライマーまたはプライマーセットを用いて核酸増幅法により核酸試料(mRNAまたはその転写産物)を増幅させ、増幅産物を検出することにより、細胞試料におけるMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することができる。
核酸増幅法を利用したMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現の検出は、例えば、下記工程により実施することができる:
(c)被験細胞試料由来のポリヌクレオチドを鋳型とし、本発明によるプライマーまたはプライマーセットを用いて核酸増幅法を実施する工程;および
(d)形成された増幅産物を検出する工程。
工程(c)において、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含むと考えられる被験細胞試料から調製されたmRNAまたはそのmRNAから転写された相補的DNA(cDNA)を鋳型として用いることができる。
増幅産物の検出は、PCR法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、LAMP法等の核酸増幅法を用いて実施できる。
増幅産物が検出される細胞は、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子を発現している細胞であるので、該細胞を、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と判定することができる。
本発明による検出法の第三の態様によれば、本発明による抗体と細胞試料とを接触させ、抗原抗体反応を検出することにより細胞試料におけるMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することができる。
抗原抗体反応を利用したMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現の検出は、例えば、下記工程により実施することができる:
(e)被験細胞試料由来のタンパク質と、本発明による抗体とを接触させる工程; および
(f)抗原抗体複合体を測定する工程。
抗原抗体反応の検出方法は当業者に周知であり、例えば、免疫学的方法により、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含むと考えられる被験細胞試料中のMsx1タンパク質またはMsx2タンパク質を検出することができる。免疫学的方法としては、細胞試料を必要に応じて適切な処理、例えば、細胞の分離、抽出操作などをした試料について、免疫組織染色法、酵素免疫測定法、ウェスタンブロット法、凝集法、競合法、サンドイッチ法など既知の方法を適用することができる。免疫組織染色法は、例えば標識化抗体を用いる直接法、該抗体に対する抗体の標識化されたものを用いる間接法などにより行うことができる。標識化剤としては螢光物質、放射性物質、酵素、金属、色素など公知の標識物質を使用することができる。
抗原抗体複合体が検出される細胞は、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子を発現している細胞であるので、該細胞を、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と判定することができる。
パーキンソン病の治療に用いるためには、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞は純度が高いことが望ましい。
前記の各検出工程は1回のみならず、同工程を繰り返し行うことにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択の精度を高めていくことができる。
従って、本発明による検出方法によれば、前記の工程を2回以上行うことにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞をより高精度に検出または選択することができる。
また、他のマーカー遺伝子、好ましくはMsx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子、を併用することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の検出または選択の精度を高めていくことができる。
従って、本発明による検出方法によればまた、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子や分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子等を併用し、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現のみならず、前記した他のマーカー遺伝子の発現をも検出することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞をより高精度に検出または選択することができる。
各分化段階において選択的に発現するドーパミン産生ニューロン関連マーカー遺伝子を図1に示す。
Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することを特徴とする検出方法においては、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子を併用し、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のみならず、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現をも検出することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を高精度に検出または選択することができる。
具体的には、工程(a)、工程(c)、または工程(e)において、被験細胞試料として、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出された細胞を使用することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を高精度に検出または選択することができる。この場合、工程(b)においてハイブリダイゼーション複合体が検出された細胞、工程(d)において増幅産物が検出された細胞、または工程(f)において抗原抗体複合体が検出された細胞は、いずれもMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子を発現し、かつ、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子を発現している細胞であるから、該細胞を、検出または選択されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と高精度に判定することができる。
また、工程(b)においてハイブリダイゼーション複合体が検出された細胞、工程(d)において増幅産物が検出された細胞、または工程(f)において抗原抗体複合体が検出された細胞について、それぞれ、(g−1)Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出する工程を更に実施することにより、高精度にドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択することができる。この場合、工程(g−1)において、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出された細胞は、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子を発現し、かつ、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子を発現している細胞であるから、該細胞を、検出または選択されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と高精度に判定することができる。
Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することを特徴とする検出方法においてはまた、分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子を併用し、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子は発現するが、分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出されないことを確認することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を高精度に検出または選択することができる。
具体的には、工程(a)、工程(c)、または工程(e)において、被験細胞試料として、分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出されなかった細胞を使用することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を高精度に検出または選択することができる。この場合、工程(b)においてハイブリダイゼーション複合体が検出された細胞、工程(d)において増幅産物が検出された細胞、または工程(f)において抗原抗体複合体が検出された細胞は、いずれもMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子は発現するが、分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子は発現しない細胞であるから、該細胞を、検出または選択されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と高精度に判定することができる。
また、工程(b)においてハイブリダイゼーション複合体が検出された細胞、工程(d)において増幅産物が検出された細胞、または工程(f)において抗原抗体複合体が検出された細胞について、それぞれ、(g−2)分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出する工程を更に実施することにより、高精度にドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択することができる。この場合、工程(g−2)において、分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出されない細胞は、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子は発現するが、分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子は発現しない細胞であるから、該細胞を、検出または選択されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞と高精度に判定することができる。
「Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子」としては、中脳最腹側脳室領域(VZ領域)に発現しているMsx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子が挙げられ、例えば、Lrp4遺伝子、Nato3遺伝子、Mash1遺伝子が挙げられる。
Lrp4遺伝子については、WO2004/065599号公報に記載されている。Mash1遺伝子については、Kele J, Simplicio N, Ferri AL, Mira H, Guillemot F, Arenas E, Ang SL.Neurogenin 2 is required for the development of ventral midbrain dopaminergic neurons. Development. 2006 Feb;133(3):495-505に記載されている。Nato3遺伝子については、本発明者らによってドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的に発現されることが確認されている(データ省略)。
Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の検出は、公知の遺伝子の発現を検出できる方法を用いて行うものであれば特に限定されず、例えば、上記のハイブリダイゼーション法、核酸増幅法、抗原抗体反応法が挙げられる。
「分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子」としては、中脳最腹側外套層(ML領域)に発現している遺伝子が挙げられ、例えば、Nurr1遺伝子、En1遺伝子、En2遺伝子、Ptx3遺伝子、TH遺伝子が挙げられる。また、中脳最腹側脳室領域(VZ領域)に発現している遺伝子が挙げられ、例えば、65B13遺伝子が挙げられる。
Nurr1遺伝子については、Science. 1997 11;276(5310):248-50に記載されている。En1遺伝子については、J. Neurosci.2001 21(9): 3126-34に記載されている。En2遺伝子については、J. Neurosci.2001 21(9): 3126-34に記載されている。Ptx3遺伝子については、Proc.Natl.Acad.Sci.1997 94: 13305-10に記載されている。TH遺伝子については、Science. 1997 11;276(5310):248-50に記載されている。65B13遺伝子については、WO2004/038018号公報に記載されている。
分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の検出は、公知の遺伝子の発現を検出できる方法を用いて行うものであれば特に限定されず、例えば、上記のハイブリダイゼーション法、核酸増幅法、抗原抗体反応法が挙げられる。
[検出キット]
本発明によれば、本発明による検出方法を実施するための検出キットが提供される。
本発明による検出キットの第一の態様としては、本発明による第一の態様の検出法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出するためのキットであって、本発明によるプローブを少なくとも含んでなるキットが挙げられる。このプローブは、標識したものであってもよい。この検出用キットはハイブリッド形成法によりMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する。従って第一の態様の検出方法は、所望により、ハイブリッド形成法を実施するための種々の試薬、例えば標識の検出に用いられる基質化合物、ハイブリダイゼーション緩衝液、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。
本発明による第一の態様の検出キットは、精度の高い検出を行うために、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現、または分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出可能なプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体を更に含んでいてもよい。これらのプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体は、標識したものであってもよい。この検出用キットはハイブリッド形成法、核酸増幅法、抗原抗体反応法のいずれかの方法により、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現、または分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を更に検出する。
本発明による検出用キットの第二の態様としては、本発明による第二の態様の検出法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出するためのキットであって、本発明によるプライマーまたは本発明によるプライマーセットを少なくとも含んでなるキットが挙げられる。この検出用キットは核酸増幅法によりMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する。従って第二の態様の検出方法は、所望により、核酸増幅法を実施するための種々の試薬、例えば緩衝液、PCRが正常に進行し得ることを示す内部標準、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。
本発明による第二の態様の検出キットは、精度の高い検出を行うために、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現、または分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出可能なプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体を更に含んでいてもよい。これらのプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体は、標識したものであってもよい。この検出用キットはハイブリッド形成法、核酸増幅法、抗原抗体反応法のいずれかの方法により、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現、または分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を更に検出する。
本発明による検出キットの第三の態様としては、本発明による第三の態様の検出法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、Msx1タンパク質またはMsx2タンパク質を検出するためのキットであって、本発明による抗体を少なくとも含んでなるキットが挙げられる。この抗体は、標識したものであってもよい。この検出用キットは抗原抗体反応を検出することによりMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する。
従って第三の態様の検出方法は、所望により、抗原抗体反応を実施するための種々の試薬、例えばELISA法等に用いる2次抗体、発色試薬、緩衝液、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。
本発明による第三の態様の検出キットは、精度の高い検出を行うために、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現、または分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出可能なプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体を更に含んでいてもよい。これらのプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体は、標識したものであってもよい。この検出用キットはハイブリッド形成法、核酸増幅法、抗原抗体反応法のいずれかの方法により、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現、または分裂停止後ドーパミン産生ニューロン前駆細胞マーカー遺伝子の発現を更に検出する。
[スクリーニング方法]
本発明による検出方法は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質のスクリーニングに適用することができる。すなわち、被験物質の添加により、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に分化誘導されたか否かを、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を指標として判定することにより、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞分化誘導に有効な物質をスクリーニングすることができる。
従って、本発明によれば、下記工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質のスクリーニング方法が提供される:
(i)ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に分化し得る細胞と、被験物質とを接触させる工程;および
(ii)被験物質を接触させた後の前記細胞におけるMsx遺伝子1またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程。
工程(i)において、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に分化し得る細胞は、好ましくは、胎児中脳腹側領域、またはES細胞より分化誘導した神経前駆細胞を含む培養細胞から採取することができる。
工程(i)において、「被験物質を接触させる」とは、例えば、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に分化し得る細胞を含む培養細胞に被験物質を添加することにより行うことができる。
「被験物質」としては、合成低分子化合物、タンパク質、合成ペプチド、精製または部分精製ポリペプチド、抗体、細菌放出物質(細菌代謝産物を含む)、核酸(アンチセンス、リボザイム、RNAi等)等が挙げられ、好ましくは、化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物(例えば、水和物)であるが、これらに限定されるものではない。「被験物質」は新規な物質であってもよいし、公知の物質であってもよい。
工程(ii)においては、本発明による検出法に従って、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することができる。
具体的には、ハイブリダイゼーション法を利用した検出については工程(a)および(b)を、核酸増幅法を利用した検出については工程(c)および(d)を、抗原抗体反応を利用した検出については工程(e)および(f)を、それぞれ実施することにより、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することができる。
工程(ii)において、被験物質を接触させて、細胞試料においてMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現が検出された場合に、該物質をドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質であると判定することができる。
本発明によるスクリーニング法により特定された物質は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質として用いることができる。
本発明によれば、更に下記工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質のスクリーニング方法が提供される:
(iii)被験物質を接触させた後の前記細胞における、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出する工程。
工程(ii)において、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現が検出され、かつ、工程(iii)において、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出された場合に、該物質をドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質であると高精度に判定することができる。
工程(iii)は、工程(i)の後に行われればよく、工程(ii)の前でも後でもよい。
「Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子」としては、中脳最腹側脳室領域(VZ領域)に発現しているMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子が挙げられ、例えば、Lrp4遺伝子、Nato3遺伝子、Mash1遺伝子が挙げられる。
Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の検出は、公知の遺伝子の発現を検出できる方法を用いて行うものであれば特に限定されず、例えば、上記のハイブリダイゼーション法、核酸増幅法、抗原抗体反応法が挙げられる。
[製造方法]
本発明による検出方法は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択することができる。ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞はパーキンソン病の治療に用いることができる。従って、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を指標として、検出または選択されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞から、パーキンソン病の治療に用いられるドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を製造することができる。
本発明によれば、下記工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の製造方法が提供される:
(iv)ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含み得る細胞を取得する工程;
(v)本発明による検出方法を用いて、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択する工程;および
(vi)(v)の工程で検出または選択された細胞を培養する工程。
本発明によれば、本発明による検出方法により検出または選択されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞、または本発明による製造方法により製造されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を、ヒトを含む哺乳動物に移植する工程を含んでなる、パーキンソン病の治療方法が提供される。
本発明の治療方法によれば、移植されたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞がドーパミンを産生することによって、パーキンソン病を予防および/または治療することができる。
本発明による治療方法の実施に当たっては、ヒトを含む哺乳動物、好ましくは移植を受ける個体自身または中絶胎児、からドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含み得る細胞を取得することができる。
ここで、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞は脳、好ましくは中脳、に移植することができる。
なお、本願明細書において「検出」には、「識別」も含まれる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、下記実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子の発現解析
(1)RT−PCR法による解析
Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子がドーパミン産生ニューロン系列の細胞に発現することを確認するため、以下のプロトコールによるRT−PCR法により、マウス胎児中脳各領域におけるMsx1、Msx2、DAT、Lmx1a、Lrp4のmRNAの発現を調べた。ここで、DATは、ドーパミン産生ニューロンのマーカー遺伝子であり(Development. 2004;131(5):1145-55.)、Lmx1aは、ドーパミン産生ニューロンおよびドーパミン産生ニューロン前駆細胞のマーカー遺伝子であり(WO2005/052190)、Lrp4は、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞のマーカー遺伝子である(WO2004/065599)。
マウス(SLCより入手)12.5日胚より図2に示した中脳の4領域(V領域:最腹側領域、VL領域:腹側側方領域、DL領域:背側側方領域、D領域:最背側領域)を切り出し、RNeasy mini kit(Qiagen)を用いて全RNAを調製し、cDNA synthesis kit (TAKARA)を用いて二本鎖cDNAを合成した。次に、合成したcDNAを制限酵素RsaI(TAKARA)で消化したのち、ad2を付加し、ad2Sをプライマーとして、PCRを行い、cDNAを増幅して、RT−PCRの鋳型に用いた。増幅条件は、72℃で5分インキュベートした後、94℃で30秒、65℃で30秒、及び72℃で2分の反応を15サイクル行い、最後に72℃で2分インキュベートした。
ad2S: cagctccacaacctacatcattccgt(配列番号71)
ad2A: acggaatgatgt(配列番号72)
次に、増幅したcDNA 4ng、0.4ng、0.04ng相当分のcDNAを鋳型に用いて、以下の反応系でPCRを行った。
10×ExTaq 1μl
2.5mM dNTP 0.8μl
ExTaq 0.05μl
100μM プライマー 各0.1μl
cDNA 1μl
蒸留水 6.95μl
94℃で2分インキュベートした後、94℃で30秒、65℃で30秒、及び72℃で2分の増幅反応を行い、最後に72℃で2分インキュベートした。PCRの増幅は、Lrp4、DAT、Lmx1aは26サイクル、Msx1は32サイクル、Msx2は27サイクルで行った。
下記プライマーをPCRに使用した。
Lrp4:tagtctaccactgctcgactgtaacg(配列番号73)
cagagtgaacccagtggacatatctg(配列番号74)
DAT :cagaatcctgtgctcacggtagttgc(配列番号75)
actaaagtggctgcaagctgaccagg(配列番号76)
Lmx1a:tggttcaggtgtggttccagaaccag(配列番号77)
tctgaggttgccaggaagcagtctcc(配列番号78)
Msx1 :tagcctacatgggcggtgtagagtcc(配列番号79)
caccgagacccaggtgaagatgatgg(配列番号80)
Msx2 :atatccaaccggcgtggcatagagtc(配列番号81)
tggttccagaaccgaagggctaaggc(配列番号82)
その結果、Msx1およびMsx2のmRNAは、ドーパミン産生ニューロンおよびドーパミン産生ニューロン前駆細胞のマーカー遺伝子が発現する中脳のV領域およびD領域に選択的に発現することが明らかになった(図3)。
(2)in situハイブリダイゼーションによる解析
さらに詳細に発現パターンを調べるために以下のプロトコールによるin situハイブリダイゼーションにより、Msx1、Nurr1及びチロシンヒドロキシラーゼ(TH)のmRNAの発現解析を行った。Nurr1およびTHは、ドーパミン産生ニューロン前駆細胞において、分裂停止後に初めて発現が誘導されることが知られているマーカー遺伝子である(Science. 1997 11;276(5310):248-50.)。
まず、以下の方法でDIG化プローブを作製した。
マウス(SLCより入手)12.5日胚より中脳後脳領域を切り出し、RNeasy mini kit(Qiagen)を用いて全RNAを調製し、cDNA synthesis kit (TAKARA)を用いて二本鎖cDNAを合成した。次に、合成したcDNAを鋳型に用いて、以下の反応系でMsx1、Nurr1、THのcDNAを増幅した。
10×ExTaq 5μl
2.5mM dNTP 4μl
ExTaq 0.25μl
100μM プライマー 各0.5μl
cDNA 1μl
蒸留水 38.75μl
増幅条件は、94℃で5分インキュベートした後、94℃で30秒、65℃で30秒、および72℃で2分の反応を35サイクル行い、最後に72℃で2分インキュベートした。
下記プライマーをPCRに使用した。
Msx1 :gccttcggcctctcttttcctcttgg(配列番号83)
ttcaaaagggatgcttgagagccacg(配列番号84)
TH :gctgtcacgtccccaaggttcattgg(配列番号85)
ggagcgcatgcagtagtaagatgtgg(配列番号86)
Nurr1:catatgatcgagcagaggaagacacc(配列番号87)
agtgcgaacaccgtagtgctgacagg(配列番号88)
増幅したcDNA断片をpCRII(Invitrogen)にクローニングし、これを鋳型に用いてDIG化プローブを以下の反応系で合成した(試薬は全てRocheより購入)。
RNA ポリメラーゼ バッファー 2μl
NTP ラベリング ミックス 2μl
RNase インヒビター 1μl
RNA ポリメラーゼ(T7またはSP6) 2μl
鋳型DNA 1μg
蒸留水 総量20μl
37℃2時間の後、DNaseI(Roche)処理を37℃で15分行い、DIG化RNAプローブをエタノール沈殿により回収した。
次に、マウス11.5日胚を摘出し、4%PFA(WAKO)/PBS(−)を用いて4℃で2時間固定した後、20%ショ糖(WAKO)/PBS(−)を用いて4℃で一晩置換し、OCT(サクラセイキ)で包埋した。厚さ12μmの切片を作製し、スライドガラス上で乾燥させた後に4%PFAを用いて室温で30分間再固定した。PBSで洗浄した後、ハイブリダイゼーション(1μg/ml DIG化RNAプローブ、50%ホルムアミド(ナカライテスク)、5xSSC、1%SDS、50μg/ml 酵母RNA(Sigma)、50μg/ml ヘパリン)を68℃で40時間行った。その後、洗浄(50%ホルムアミド、5xSSC、1%SDS)を68℃で行い、さらに洗浄(50%ホルムアミド、5xSSC)を68℃で行った。1xTBSTで、室温で洗浄ののち、ブロッキング(ブロッキング剤: Roche)を行った。アルカリフォスファターゼ標識抗DIG抗体(DAKO)を4℃で一晩反応させ、洗浄(1xTBST、2mM レバミソール)の後、NBT/BCIP (DAKO)を基質として発色させた。
その結果、ドーパミン産生ニューロンの発生する時期であるマウス11.5日胚において、Msx1のmRNAは、THおよびNurr1のmRNAと同様にV領域に強く発現することが明らかになった(図4)。また、THおよびNurr1のmRNAが分裂停止後のニューロンの存在する外套層(mantle layer;ML)領域のみに発現するのに対して、Msx1のmRNAは、ML領域には発現せず、増殖前駆細胞の存在する脳室領域(ventricular zone;VZ)のみに発現することも明らかになった(図4)。以上の結果から、Msx1のmRNAは、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的に発現することが明らかになった。
[実施例2]Msx1タンパク質およびMsx2のタンパク質発現解析
次に、抗Msx1/2抗体(Developmental studies hybridoma bank(http://www.uiowa.edu/~dshbwww/))を用いてMsx1/2タンパク質の発現を検討した。また、抗Lmx1a抗体を用いた二重染色も行った。
マウス11.5日胚を摘出し、4%PFA/PBS(−)を用いて4℃で2時間固定した後、20%ショ糖/PBS(−)を用いて4℃で一晩置換し、OCTで包埋した。厚さ12μmの切片を作製し、スライドガラスに貼り付けた後、室温で30分乾燥させ、PBS(−)で再び湿潤させた。その後、ブロッキング(ブロックエース(大日本製薬))を室温で30分間行い、一次抗体(Developmental studies hybridoma bank)を室温で1時間反応させた後、さらに4℃で一晩反応させた。0.1%Tween−20/PBS(−)を用いて室温で15分間の洗浄を3回行った。次に、蛍光標識した2次抗体(Jackson)を室温で1時間反応させ、同様に洗浄を行った後、PBS(−)によって室温で10分間洗浄し、封入した。
その結果、Msx1/2は、マウス11.5日胚の中脳においてmRNAだけでなくタンパク質としても発現していることが明らかになった(図5)。抗Lmx1a抗体との二重染色の結果から、Msx1/2タンパク質は、VZ領域において、Lmx1aと同一細胞で共発現することが確認され、発現領域も背−腹方向で完全に一致することが明らかになった(図5)。
また、上記の方法に従って、Msx1/2タンパク質の発現について中枢神経系における領域特異性を調べたところ、Msx1/2タンパク質は、ドーパミン産生ニューロンの産生される中脳の腹側領域、特にVZ領域に、選択的に発現することが明らかになった(図6)。
[実施例3]ES細胞より分化誘導したドーパミン産生ニューロンにおけるMsx1遺伝子およびMsx2遺伝子の発現
ES細胞をイン・ビトロでドーパミン産生ニューロンに分化誘導させた場合に、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子が発現するか否かを検討した。
まず、SDIA法(Kawasaki et. al. Neuron. 2000 28(1):31-40.)に従い、ES細胞(理研CDB西川氏から提供されたマウスCCE株、Kawasaki et. al. Neuron. 2000 28(1):31-40.)よりドーパミン産生ニューロンへの分化誘導を行った。誘導後4、6、8、10、12日後に細胞を回収し、RNeasy mini kit(Qiagen)を用いて全RNAを調製し、RT−PCRを行った。まず、1μgの全RNAに対して、RNA PCR kit(TAKARA)を用いてcDNA合成を行った。このうち10ng、1ng、0.1ng相当分のcDNAを鋳型に用いて以下の反応系でPCRを行った。
10×ExTaq 2μl
2.5mM dNTP 1.6μl
ExTaq 0.1μl
100μM プライマー 各0.2μl
cDNA 1μl
蒸留水 14.9μl
94℃で2分インキュベートした後、94℃で30秒、65℃で30秒、及び72℃で2分の反応を35サイクル行い、最後に72℃で2分インキュベートした。
下記のプライマーをPCRに使用した。
TH : gttcccaaggaaagtgtcagagttgg(配列番号89)
gaagctggaaagcctccaggtgttcc(配列番号90)
DAT : ctccgagcagacaccatgaccttagc(配列番号91)
aggagtagggcttgtctcccaacctg(配列番号92)
Nurr1: cactcctgtgtctagctgccagatgc(配列番号93)
agtgcgaacaccgtagtgctgacagg(配列番号94)
Ptx3 : tgagccgcaggtctgtggatccatcc(配列番号95)
tccctgttcctggccttagtcctagg(配列番号96)
En1 : atcctccgagtggacattcacatagg(配列番号97)
atgtccagcaaatagagatcgctacac(配列番号98)
なお、Msx1、Msx2、Lmx1aは実施例1のプライマーを使用した。また、Ptx3およびEn1は、分裂停止後のドーパミン産生ニューロン前駆細胞のマーカーとして知られている。
その結果、Msx1のmRNAは、ES細胞(CCE)においては発現が認められなかったが、分化誘導の結果、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞のマーカー遺伝子であるLmx1aと同様に、4日目から発現が誘導されることが明らかになった(図7)。一方、Msx2のmRNAは、ES細胞(CCE)においても発現が認められ、分化誘導後に発現が増加することが明らかになった(図7)。
[実施例4]Lrp4によりソーティングしたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞におけるMsx1遺伝子およびMsx2遺伝子の発現
次に、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子がドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に発現することを確認するために、マウス12.5日胚の中脳由来細胞およびSDIA分化誘導細胞より、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に選択的に発現するLrp4をマーカーとして、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞をそれぞれ分離し、これらの細胞におけるMsx1のmRNAおよびMsx2のmRNAの発現を調べた。
まず、Lrp4遺伝子のうち、細胞外領域(161−502アミノ酸)をコードする遺伝子配列を293E細胞(ATCC)に遺伝子導入して、Lrp4タンパク質の細胞外領域を発現させて回収した。回収したタンパク質をハムスター(SLCより入手)に免疫した後、リンパ球細胞を取り出してミエローマ細胞(ATCC)と細胞融合させ、抗Lrp4抗体産生ハイブリドーマを得た。
マウス12.5日胚中脳由来またはSDIA法によりイン・ビトロにおいてES細胞より分化誘導させたドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含む細胞群を、細胞分散バッファー(Invitrogen)を用いて分散させた後、固定・透過処理せずに、抗Lrp4モノクローナル抗体(ハイブリドーマ(受託番号FERM BP−10315および受託番号FERM BP−10316)から産生されたものを使用、培養上清 1/2希釈、1%ウシ胎児血清(JRH)、1mM EDTA/SDIA分化培地(Kawasaki et al. Neuron(2000)28(1):31-40))を用いて4℃で20分間染色した。その後、1%ウシ胎児血清、1mM EDTA/SDIA分化培地を用いて4℃で3分間の洗浄を3回行い、ビオチン標識抗ハムスターIgG抗体(Jackson、10μg/ml、1%ウシ胎児血清、1mM EDTA/SDIA分化培地)を用いて4℃で20分間染色し、同様に洗浄した。そして、PE標識ストレプトアビジン(Pharmingen、20μg/ml、1%ウシ胎児血清、1mM EDTA/SDIA分化培地)を用いて4℃で20分間染色し、同様に洗浄した。染色後、セルソーター(FACS vantage SE、 Becton Dickinson)によりLrp4陽性細胞および陰性細胞を分離した(図8)。分離直後の細胞からRNeasy mini kit(Qiagen)を用いて全RNAを調製し、cDNA synthesis kit (TAKARA)を用いて二本鎖cDNAを合成した。制限酵素RsaIで消化したのち、ad2を付加し、ad2Sをプライマーとして、15サイクルのPCRでcDNAを増幅して、RT−PCRの鋳型に用いた。増幅条件は、72℃で5分インキュベートした後、94℃で30秒、65℃で30秒、及び72℃で2分の反応を15サイクル行い、最後に72℃で2分インキュベートした。
次に、増幅したcDNA 4ng、0.4ng、0.04ng相当分のcDNAを鋳型に用いて以下の反応系でPCRを行った。
10×ExTaq 1μl
2.5mM dNTP 0.8μl
ExTaq 0.05μl
100μM プライマー 各0.1μl
cDNA 1μl
蒸留水 6.95μl
プライマーは上記配列を使用した。
94℃で2分インキュベートした後、94℃で30秒、65℃で30秒、及び72℃で2分の増幅反応を行い、最後に72℃で2分インキュベートした。PCRの増幅は、Lmx1a、Nurr1は24サイクル、それ以外は26サイクルで行った。
その結果、マウス12.5日胚の中脳由来細胞において、Msx1のmRNAおよびMsx2のmRNAは、Lrp4陽性細胞集団(すなわち、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞)で強く発現していた(図9)。また、SDIA分化誘導細胞においても、Msx1のmRNAおよびMsx2のmRNAは、Lrp4陽性細胞集団で強く発現していた(図9)。よって、Msx1のmRNAおよびMsx2のmRNAは、マウス胎児中脳由来の細胞ばかりでなく、SDIA分化誘導細胞においても、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞において発現していることが明らかになった。したがって、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子は、胎児中脳由来のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞だけでなく、イン・ビトロでES細胞より分化誘導したドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を識別するのにも有用なマーカーであることが明らかになった。

Claims (41)

  1. Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーからなる、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞検出または選択するのに用いるための検出剤。
  2. ポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーが、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなる、請求項1に記載の検出剤。
  3. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号:1で表される塩基配列の1番目〜710番目および963番目〜1713番目、配列番号:3で表される塩基配列の1番目〜677番目および943番目〜1546番目、配列番号:5で表される塩基配列の1番目〜484番目および736番目〜1316番目、配列番号:7で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1801番目、配列番号:9で表される塩基配列の1番目〜737番目および976番目〜1724番目、配列番号:11で表される塩基配列の1番目〜525番目および777番目〜1189番目、配列番号:13で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1810番目、配列番号:15で表される塩基配列の1番目〜754番目および994番目〜1754番目、配列番号:16で表される塩基配列の1番目〜744番目および996番目〜1935番目、配列番号:17で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1806番目、配列番号:19で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1785番目、配列番号:21で表される塩基配列の1番目〜1456番目および1710番目〜1905番目、配列番号:23で表される塩基配列の1番目〜625番目および891番目〜1062番目、配列番号:25で表される塩基配列の1番目〜709および963番目〜1895番目番目、配列番号:27で表される塩基配列の1番目〜520番目および786番目〜1310番目、配列番号:29で表される塩基配列の1番目〜510番目および767番目〜1259番目、配列番号:31で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2180番目、配列番号:33で表される塩基配列の1番目〜468番目および707番目〜1138番目、配列番号:35で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜1143番目、配列番号:37で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:39で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:41で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2048番目、配列番号:43で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2182番目、配列番号:45で表される塩基配列の1番目〜413番目および651番目〜804番目、配列番号:47で表される塩基配列の1番目〜431番目および670番目〜2605番目、配列番号:49で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜2136番目、配列番号:51で表される塩基配列の1番目〜778番目および1015番目〜1452番目、配列番号:53で表される塩基配列の1番目〜780番目および1017番目〜1453番目、配列番号:55で表される塩基配列の1番目〜370番目および609番目〜800番目、配列番号:57で表される塩基配列の1番目〜29番目および267番目〜420番目、配列番号:59で表される塩基配列の1番目〜1340番目および1578番目〜1731番目、配列番号:61で表される塩基配列の1番目〜541番目および778番目〜2225番目、配列番号:63で表される塩基配列の1番目〜404番目および651番目〜804番目、配列番号:65で表される塩基配列の1番目〜632番目、配列番号:67で表される塩基配列の1番目〜489番目および728番目〜1107番目、並びに配列番号:69で表される塩基配列の1番目〜487番目および708番目〜2569番目からなる群から選択されるヌクレオチド配列の一部または全部を含んでなるヌクレオチド配列である、請求項1または2に記載の検出剤。
  4. ポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーが、少なくとも15塩基長である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出剤。
  5. 二種以上のポリヌクレオチドプライマーからなるポリヌクレオチドプライマーセットである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出剤。
  6. Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部に対する抗体からなる、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞検出または選択するのに用いるための検出剤。
  7. Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:4で表されるアミノ酸配列の1番目〜216番目および315番目〜370番目、配列番号:6で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:8で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜299番目、配列番号:10で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:12で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜303番目、配列番号:14で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜323番目、配列番号:18で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:20で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:22で表されるアミノ酸配列の1番目〜472番目および571番目〜634番目、配列番号:24で表されるアミノ酸配列の1番目〜208番目および298番目〜353番目、配列番号:26で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:28で表されるアミノ酸配列の1番目〜138番目および237番目〜288番目、配列番号:30で表されるアミノ酸配列の1番目〜100番目および199番目〜242番目、配列番号:32で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜267番目、配列番号:34で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜268番目、配列番号:36で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:38で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:40で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:42で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:44で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:46で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:48で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:50で表されるアミノ酸配列の1番目〜119番目および218番目〜266番目、配列番号:52で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜268番目、配列番号:54で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜269番目、配列番号:56で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:58で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:60で表されるアミノ酸配列の1番目〜466番目および527番目〜576番目、配列番号:62で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:64で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:66で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目、配列番号:68で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目、並びに配列番号:70で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基または全部を含んでなるタンパク質である、請求項6に記載の検出剤。
  8. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択する方法。
  9. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程が、下記工程を含んでなる、請求項8に記載の方法:
    (a)被験細胞試料由来のポリヌクレオチドと、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブとを接触させる工程;および
    (b)ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程。
  10. 工程(a)において、被験細胞試料から調製されたmRNAまたはそのmRNAから転写された相補的DNA(cDNA)を、ポリヌクレオチドプローブと接触させる、請求項9に記載の方法。
  11. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程が、下記工程を含んでなる、請求項8に記載の方法:
    (c)被験細胞試料由来のポリヌクレオチドを鋳型とし、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプライマー、または二種以上の該ポリヌクレオチドプライマーからなるポリヌクレオチドプライマーセットを用いて核酸増幅法を実施する工程;および
    (d)形成された増幅産物を検出する工程。
  12. 工程(c)において、被験細胞試料から調製されたmRNAまたはそのmRNAから転写された相補的DNA(cDNA)を鋳型として用いる、請求項11に記載の方法。
  13. ポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーが、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号:1で表される塩基配列の1番目〜710番目および963番目〜1713番目、配列番号:3で表される塩基配列の1番目〜677番目および943番目〜1546番目、配列番号:5で表される塩基配列の1番目〜484番目および736番目〜1316番目、配列番号:7で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1801番目、配列番号:9で表される塩基配列の1番目〜737番目および976番目〜1724番目、配列番号:11で表される塩基配列の1番目〜525番目および777番目〜1189番目、配列番号:13で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1810番目、配列番号:15で表される塩基配列の1番目〜754番目および994番目〜1754番目、配列番号:16で表される塩基配列の1番目〜744番目および996番目〜1935番目、配列番号:17で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1806番目、配列番号:19で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1785番目、配列番号:21で表される塩基配列の1番目〜1456番目および1710番目〜1905番目、配列番号:23で表される塩基配列の1番目〜625番目および891番目〜1062番目、配列番号:25で表される塩基配列の1番目〜709および963番目〜1895番目番目、配列番号:27で表される塩基配列の1番目〜520番目および786番目〜1310番目、配列番号:29で表される塩基配列の1番目〜510番目および767番目〜1259番目、配列番号:31で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2180番目、配列番号:33で表される塩基配列の1番目〜468番目および707番目〜1138番目、配列番号:35で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜1143番目、配列番号:37で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:39で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:41で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2048番目、配列番号:43で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2182番目、配列番号:45で表される塩基配列の1番目〜413番目および651番目〜804番目、配列番号:47で表される塩基配列の1番目〜431番目および670番目〜2605番目、配列番号:49で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜2136番目、配列番号:51で表される塩基配列の1番目〜778番目および1015番目〜1452番目、配列番号:53で表される塩基配列の1番目〜780番目および1017番目〜1453番目、配列番号:55で表される塩基配列の1番目〜370番目および609番目〜800番目、配列番号:57で表される塩基配列の1番目〜29番目および267番目〜420番目、配列番号:59で表される塩基配列の1番目〜1340番目および1578番目〜1731番目、配列番号:61で表される塩基配列の1番目〜541番目および778番目〜2225番目、配列番号:63で表される塩基配列の1番目〜404番目および651番目〜804番目、配列番号:65で表される塩基配列の1番目〜632番目、配列番号:67で表される塩基配列の1番目〜489番目および728番目〜1107番目、並びに配列番号:69で表される塩基配列の1番目〜487番目および708番目〜2569番目からなる群から選択されるヌクレオチド配列の一部または全部を含んでなるヌクレオチド配列である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーが、少なくとも15塩基長である、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程が、下記工程を含んでなる、請求項8に記載の方法:
    (e)Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部に対する抗体と被験細胞試料由来のタンパク質とを接触させる工程; および
    (f)抗原抗体複合体を検出する工程。
  17. Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:4で表されるアミノ酸配列の1番目〜216番目および315番目〜370番目、配列番号:6で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:8で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜299番目、配列番号:10で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:12で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜303番目、配列番号:14で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜323番目、配列番号:18で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:20で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:22で表されるアミノ酸配列の1番目〜472番目および571番目〜634番目、配列番号:24で表されるアミノ酸配列の1番目〜208番目および298番目〜353番目、配列番号:26で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:28で表されるアミノ酸配列の1番目〜138番目および237番目〜288番目、配列番号:30で表されるアミノ酸配列の1番目〜100番目および199番目〜242番目、配列番号:32で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜267番目、配列番号:34で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜268番目、配列番号:36で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:38で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:40で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:42で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:44で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:46で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:48で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:50で表されるアミノ酸配列の1番目〜119番目および218番目〜266番目、配列番号:52で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜268番目、配列番号:54で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜269番目、配列番号:56で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:58で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:60で表されるアミノ酸配列の1番目〜466番目および527番目〜576番目、配列番号:62で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:64で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:66で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目、配列番号:68で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目、並びに配列番号:70で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基または全部を含んでなるタンパク質である、請求項16に記載の方法。
  18. 被験細胞試料が、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞へ分化させる処理が行われたES細胞である、請求項9〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 分化させる処理が、SDIA法によるものである、請求項18に記載の方法。
  20. 被験細胞試料が、胎児中脳腹側領域から得られた細胞である、請求項9〜17のいずれか一項に記載の方法。
  21. 工程(a)、工程(c)、または工程(e)において、被験細胞試料として、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現が検出された細胞を使用することを特徴とする、請求項9〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 工程(b)、工程(d)、または工程(f)の後に、
    (g)Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出する工程
    を更に含んでなる、請求項9〜20のいずれか一項に記載の方法。
  23. Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブを少なくとも含んでなる、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択するためのキット。
  24. Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出可能なプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体を更に含んでなる請求項23に記載のキット。
  25. Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプライマー、または二種以上の該ポリヌクレオチドプライマーからなるポリヌクレオチドプライマーセットを少なくとも含んでなる、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択するためのキット。
  26. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出可能なプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体を更に含んでなる請求項25に記載のキット。
  27. ポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーが、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなる、請求項23〜26のいずれか一項に記載のキット。
  28. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号:1で表される塩基配列の1番目〜710番目および963番目〜1713番目、配列番号:3で表される塩基配列の1番目〜677番目および943番目〜1546番目、配列番号:5で表される塩基配列の1番目〜484番目および736番目〜1316番目、配列番号:7で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1801番目、配列番号:9で表される塩基配列の1番目〜737番目および976番目〜1724番目、配列番号:11で表される塩基配列の1番目〜525番目および777番目〜1189番目、配列番号:13で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1810番目、配列番号:15で表される塩基配列の1番目〜754番目および994番目〜1754番目、配列番号:16で表される塩基配列の1番目〜744番目および996番目〜1935番目、配列番号:17で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1806番目、配列番号:19で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1785番目、配列番号:21で表される塩基配列の1番目〜1456番目および1710番目〜1905番目、配列番号:23で表される塩基配列の1番目〜625番目および891番目〜1062番目、配列番号:25で表される塩基配列の1番目〜709および963番目〜1895番目番目、配列番号:27で表される塩基配列の1番目〜520番目および786番目〜1310番目、配列番号:29で表される塩基配列の1番目〜510番目および767番目〜1259番目、配列番号:31で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2180番目、配列番号:33で表される塩基配列の1番目〜468番目および707番目〜1138番目、配列番号:35で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜1143番目、配列番号:37で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:39で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:41で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2048番目、配列番号:43で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2182番目、配列番号:45で表される塩基配列の1番目〜413番目および651番目〜804番目、配列番号:47で表される塩基配列の1番目〜431番目および670番目〜2605番目、配列番号:49で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜2136番目、配列番号:51で表される塩基配列の1番目〜778番目および1015番目〜1452番目、配列番号:53で表される塩基配列の1番目〜780番目および1017番目〜1453番目、配列番号:55で表される塩基配列の1番目〜370番目および609番目〜800番目、配列番号:57で表される塩基配列の1番目〜29番目および267番目〜420番目、配列番号:59で表される塩基配列の1番目〜1340番目および1578番目〜1731番目、配列番号:61で表される塩基配列の1番目〜541番目および778番目〜2225番目、配列番号:63で表される塩基配列の1番目〜404番目および651番目〜804番目、配列番号:65で表される塩基配列の1番目〜632番目、配列番号:67で表される塩基配列の1番目〜489番目および728番目〜1107番目、並びに配列番号:69で表される塩基配列の1番目〜487番目および708番目〜2569番目からなる群から選択されるヌクレオチド配列の一部または全部を含んでなるヌクレオチド配列である、請求項23〜27のいずれか一項に記載のキット。
  29. ポリヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプライマーが、少なくとも15塩基長である、請求項23〜28のいずれか一項に記載のキット。
  30. Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部に対する抗体を少なくとも含んでなる、Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択するためのキット。
  31. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出可能なプローブ、プライマー、プライマーセット、または抗体を更に含んでなる請求項30に記載のキット。
  32. Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:4で表されるアミノ酸配列の1番目〜216番目および315番目〜370番目、配列番号:6で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:8で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜299番目、配列番号:10で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:12で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜303番目、配列番号:14で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜323番目、配列番号:18で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:20で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:22で表されるアミノ酸配列の1番目〜472番目および571番目〜634番目、配列番号:24で表されるアミノ酸配列の1番目〜208番目および298番目〜353番目、配列番号:26で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:28で表されるアミノ酸配列の1番目〜138番目および237番目〜288番目、配列番号:30で表されるアミノ酸配列の1番目〜100番目および199番目〜242番目、配列番号:32で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜267番目、配列番号:34で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜268番目、配列番号:36で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:38で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:40で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:42で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:44で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:46で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:48で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:50で表されるアミノ酸配列の1番目〜119番目および218番目〜266番目、配列番号:52で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜268番目、配列番号:54で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜269番目、配列番号:56で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:58で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:60で表されるアミノ酸配列の1番目〜466番目および527番目〜576番目、配列番号:62で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:64で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:66で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目、配列番号:68で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目、並びに配列番号:70で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基または全部を含んでなるタンパク質である、請求項30または31に記載のキット。
  33. 下記工程を含んでなる、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞への分化誘導に有効な物質のスクリーニング方法:
    (i)ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞に分化し得る細胞と、被験物質とを接触させる工程;および
    (ii)被験物質を接触させた後の前記細胞におけるMsx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出する工程。
  34. (iii)被験物質を接触させた後の前記細胞における、Msx1遺伝子およびMsx2遺伝子以外のドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞マーカー遺伝子の発現を検出する工程
    を更に含んでなる請求項33に記載の方法。
  35. ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞の製造方法であって、
    (iv)ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を含み得る細胞を取得する工程;
    (v)請求項8〜22のいずれか一項に記載の方法を用いて、ドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞を検出または選択する工程;および
    (vi)工程(v)で検出または選択された細胞を培養する工程
    を含んでなる、方法。
  36. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞検出または選択するための、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドの使用。
  37. ハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドが、Msx1遺伝子もしくはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドからなる、請求項36に記載の使用。
  38. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号:1で表される塩基配列の1番目〜710番目および963番目〜1713番目、配列番号:3で表される塩基配列の1番目〜677番目および943番目〜1546番目、配列番号:5で表される塩基配列の1番目〜484番目および736番目〜1316番目、配列番号:7で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1801番目、配列番号:9で表される塩基配列の1番目〜737番目および976番目〜1724番目、配列番号:11で表される塩基配列の1番目〜525番目および777番目〜1189番目、配列番号:13で表される塩基配列の1番目〜612番目および864番目〜1810番目、配列番号:15で表される塩基配列の1番目〜754番目および994番目〜1754番目、配列番号:16で表される塩基配列の1番目〜744番目および996番目〜1935番目、配列番号:17で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1806番目、配列番号:19で表される塩基配列の1番目〜610番目および864番目〜1785番目、配列番号:21で表される塩基配列の1番目〜1456番目および1710番目〜1905番目、配列番号:23で表される塩基配列の1番目〜625番目および891番目〜1062番目、配列番号:25で表される塩基配列の1番目〜709および963番目〜1895番目番目、配列番号:27で表される塩基配列の1番目〜520番目および786番目〜1310番目、配列番号:29で表される塩基配列の1番目〜510番目および767番目〜1259番目、配列番号:31で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2180番目、配列番号:33で表される塩基配列の1番目〜468番目および707番目〜1138番目、配列番号:35で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜1143番目、配列番号:37で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:39で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜1164番目、配列番号:41で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2048番目、配列番号:43で表される塩基配列の1番目〜473番目および712番目〜2182番目、配列番号:45で表される塩基配列の1番目〜413番目および651番目〜804番目、配列番号:47で表される塩基配列の1番目〜431番目および670番目〜2605番目、配列番号:49で表される塩基配列の1番目〜435番目および674番目〜2136番目、配列番号:51で表される塩基配列の1番目〜778番目および1015番目〜1452番目、配列番号:53で表される塩基配列の1番目〜780番目および1017番目〜1453番目、配列番号:55で表される塩基配列の1番目〜370番目および609番目〜800番目、配列番号:57で表される塩基配列の1番目〜29番目および267番目〜420番目、配列番号:59で表される塩基配列の1番目〜1340番目および1578番目〜1731番目、配列番号:61で表される塩基配列の1番目〜541番目および778番目〜2225番目、配列番号:63で表される塩基配列の1番目〜404番目および651番目〜804番目、配列番号:65で表される塩基配列の1番目〜632番目、配列番号:67で表される塩基配列の1番目〜489番目および728番目〜1107番目、並びに配列番号:69で表される塩基配列の1番目〜487番目および708番目〜2569番目からなる群から選択されるヌクレオチド配列の一部または全部を含んでなるヌクレオチド配列である、請求項36または37に記載の使用。
  39. ハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドが、少なくとも15塩基長である、請求項36〜38のいずれか一項に記載の使用。
  40. Msx1遺伝子またはMsx2遺伝子の発現を検出することによりドーパミン産生ニューロン増殖前駆細胞検出または選択するための、Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部に対する抗体の使用。
  41. Msx1タンパク質もしくはMsx2タンパク質またはそれらの一部が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:4で表されるアミノ酸配列の1番目〜216番目および315番目〜370番目、配列番号:6で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:8で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜299番目、配列番号:10で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:12で表されるアミノ酸配列の1番目〜149番目および248番目〜303番目、配列番号:14で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜323番目、配列番号:18で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:20で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:22で表されるアミノ酸配列の1番目〜472番目および571番目〜634番目、配列番号:24で表されるアミノ酸配列の1番目〜208番目および298番目〜353番目、配列番号:26で表されるアミノ酸配列の1番目〜143番目および242番目〜297番目、配列番号:28で表されるアミノ酸配列の1番目〜138番目および237番目〜288番目、配列番号:30で表されるアミノ酸配列の1番目〜100番目および199番目〜242番目、配列番号:32で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜267番目、配列番号:34で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および218番目〜268番目、配列番号:36で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:38で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:40で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:42で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:44で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:46で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:48で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:50で表されるアミノ酸配列の1番目〜119番目および218番目〜266番目、配列番号:52で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜268番目、配列番号:54で表されるアミノ酸配列の1番目〜121番目および220番目〜269番目、配列番号:56で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:58で表されるアミノ酸配列の1番目〜9番目および99番目〜139番目、配列番号:60で表されるアミノ酸配列の1番目〜466番目および527番目〜576番目、配列番号:62で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:64で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目および219番目〜267番目、配列番号:66で表されるアミノ酸配列の1番目〜120番目、配列番号:68で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目、並びに配列番号:70で表されるアミノ酸配列の1番目〜112番目および211番目〜259番目からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基または全部を含んでなるタンパク質である、請求項40に記載の使用。
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