以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。各実施形態においては、大面積の処理基板の全面において、所定の照射位置にレーザ光を照射する処理を行うためのレーザ処理装置の構成を説明し、その後個のレーザ処理装置を用いたレーザ処理方法を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のレーザ処理装置の概略構成を示す斜視図である。この図に示す第1実施形態のレーザ処理装置1は、処理基板Wを支持するための基板支持部11と、基板支持部11に支持された処理基板にレーザ光を照射する複数の照射ヘッド13-1,13-2,…(ここでは4つ)とを備えている。
ここで、基板支持部11は、筒状体(または円柱体)として構成され、その円柱面の外面側が支持面11aとして構成されている。支持面11aは、処理基板Wを吸着保持する構成となっている。吸着保持の機構に特に限定はなく、例えば静電吸着方式や真空吸着方式であっても良い。またこの基板支持部11は、支持面11aが構成する円柱面の軸φを中心として一方向(ここでは反時計方向)に一定の回転速度v1で回転可能な構成となっている。さらに、基板支持部11は、支持面11aが構成する円柱面の軸φ方向に一定の速度で移動可能な構成となっていても良い。尚、図面においては、支持面11aを説明するために、処理基板Wの一部を切り欠いて図示している。
そして、照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部11の支持面11aに向かってレーザ光を照射するように配置されている。これらの照射ヘッド13-1,13-2,…は、例えば半導体レーザ発振器を用いて構成されていることとする。そして、各照射ヘッド13-1,13-2,…は、支持面11aが構成する円柱面の軸φを中心として、この支持面11aの全域を均等に囲む1つの螺旋軌道上に、所定の位置関係を保って配置されていることとする。
図2には、照射ヘッド13-1,13-2,…の配置状態と移動方向の一例を説明するための図を示した。この図2は、図1の白抜き矢印の方向からレーザ処理装置1を見た側面図である。この図に示す照射ヘッド13-1,13-2,…は、上述した1つの螺旋軌道上に配置されていることとする。そして、これらの照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部11に支持された処理基板Wを囲む1つの螺旋軌道を、照射ヘッド13-1,13-2,…の個数(4個)で等分割した間隔で配置されていることが好ましく、これにより、1つの照射ヘッドで処理する領域を均等に分担して効率的な処理が行われる。
そして、これらの図1,2に示すように、照射ヘッド13-1,13-2,…は、それぞれの配置関係を保ちながら、上述した螺旋軌道上を一方向に向かって一定の移動速度v2で移動する構成となっている。尚、このような螺旋軌道上における照射ヘッド13-1,13-2,…の移動は、基板支持部11に対する相対的な移動であって良く、基板支持部11も軸φ方向に移動する場合には、この移動と合わせた移動であることとする。このため、基板支持部11が、一定の回転速度v1で回転可能な構成となっている。尚、照射ヘッド13-1,13-2,…の移動速度v2は、レーザ処理の効率率を高めることを目的とした場合には、なるべく速い速度に設定されることが好ましい。そして、照射ヘッド13-1,13-2,…の移動速度v2の機械的な限界を補助するために、基板支持部11の回転速度v1および軸φ方向への移動速度を設定すれば良い。
尚、照射ヘッド13-1,13-2,…の基板支持部11に対する相対的な移動は、支持面11aの全域を均等に囲む螺旋軌道上であれば良い。このため、図3に示すように、各照射ヘッド13-1,13-2,…がそれぞれ個別の(例えば4重の)螺旋軌道を移動する構成であっても良い。この場合、これらの螺旋軌道によって、支持面11aの全域が均等に囲まれることとする。
また、以上の各照射ヘッド13-1,13-2,…には、実施形態の最後に述べるように、基板支持部11に支持された処理基板Wの被処理面Waに対するレーザ光の照射位置および焦点深度を微調整するためのレーザ照射機構が備えられていることとする。
以上のような構成のレーザ処理装置1を用いたレーザ処理方法は、次のように行われる。
先ず、基板支持部11に処理基板Wを巻き付け、基板支持部11の外面側の支持面11aに処理基板Wを吸着保持させる。この際、処理基板Wの被処理面Waを外側に向け、円柱面の外面側が被処理面Waとなるようにする。
次に、照射ヘッド13-1,13-2,…のうちの最上部の照射ヘッドが、基板支持部11に支持された処理基板Wの最上端よりも上部に配置されるように、各照射ヘッド13-1,13-2,…を設置する。
この状態で、上述した螺旋軌道上での照射ヘッド13-1,13-2,…の所定方向(ここでは下方向)へ向かう移動を開始させる。この際、必要に応じて基板支持部11の移動を開始させても良い。そして、基板支持部11に対する照射ヘッド13-1,13-2,…の移動速度v2が所定の一定速度となった後、さらに最上部の照射ヘッドが基板支持部11に支持された処理基板Wの最上端の所定位置に対向配置された時点から、各照射ヘッド13-1,13-2,…から処理基板Wの被処理面Waへのレーザ光の照射を開始する。
各照射ヘッド13-1,13-2,…から処理基板Wの被処理面Waへのレーザ光の照射は、レーザ光の照射領域に合わせてON/OFFを切り換えながら行う。
そして、以上のような円柱面の軸φを中心にした螺旋軌道上においての、被処理面Waに対する各照射ヘッド13-1,13-2,…の相対的な一方向への移動により、被処理面Waの全領域に対して照射ヘッド13-1,13-2,…から照射されたレーザ光を走査させる。また、最下部に配置された照射ヘッドが基板支持部11に支持された処理基板Wの最下端の所定位置を通過した後、基板支持部11に対する照射ヘッド13-1,13-2,…の移動を停止させる。
以上説明したように本第1実施形態によれば、円柱面の外面側を構成する状態で配置された処理基板Wの被処理面Waに対して、照射ヘッド13-1,13-2,…を相対的な一方向に移動させることにより、被処理面Waの全領域に対してレーザ光を走査させている。このため、基板支持部11に支持した処理基板Wの被処理面Waに対しての照射ヘッド13-1,13-2,…の相対的な移動は、これらの基板支持部11および照射ヘッド13-1,13-2,…の配置位置を移動させることなく、円柱面の軸を中心にした回転運動のみによって連続的に行われることになる。
したがって、被処理面Waに対するレーザ光の照射位置の移動に際して、基板に対してレーザ光の照射位置を等速で移動させる処理を行う場合であっても、基板またはレーザ光の照射ヘッドが等速運動の速度に達するまでの空間的な加速領域が不必要である。このため、このような処理を行う装置の小型化が図られる。
また、基板に対してレーザ光の照射位置を移動させつつ、レーザ光のON/OFFを制御して所望の位置のみにレーザ光照射する処理が行われる。このため、必要部分のみにレーザ光を照射することで基板に対する熱的負荷が軽減されたレーザ光の照射処理が行われる。
この結果、レーザ光Lhの移動速度を高速で調整することによって、基板Wに対する熱的負荷を軽減させたレーザ光の照射処理を行うことが可能になるため、例えば基板W上の半導体薄膜を結晶化するためのアニール処理において、さらに耐熱性の低いプラスチック基板等を用いることが可能になる。
尚、上述した第1実施形態のレーザ処理装置1は、処理基板Wにおける軸φと平行な高さ方向にわたって、レーザ光の照射間隔毎に照射ヘッドを配置した構成であっても良い。このような構成であれば、照射ヘッドを軸φの各高さに維持した円軌道上で移動させれば良い。この場合、基板支持部11に対して各照射ヘッドを相対的に1周させ、その間にレーザ光のON/OFFを行うことで、処理基板Wの被処理面Waの全領域に対してレーザ光の照射処理を完了させることができる。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態のレーザ処理装置の概略構成を示す斜視図である。この図に示す第2実施形態のレーザ処理装置2と、図1〜図3を用いて説明したレーザ処理装置1との相違点は、基板支持部21と照射ヘッドとの位置関係にある。
すなわち、このレーザ処理装置2における基板支持部21は、筒状体として構成され、その円柱面の内面側が支持面21aとして構成されており、これ以外は第1実施形態の基板支持部と同様である。すなわち、基板支持部21の支持面21aは、処理基板Wを吸着保持する構成となっている。吸着保持の機構に特に限定はなく、例えば静電吸着方式や真空吸着方式であっても良い。またこの基板支持部21は、支持面21aが構成する円柱面の軸φを中心として一方向(ここでは反時計方向)に一定の回転速度v1で回転可能な構成となっている。さらに、基板支持部21は、支持面21aが構成する円柱面の軸φ方向に一定の速度で移動可能な構成となっていても良い。尚、図面においては、支持面21aを説明するために、処理基板Wの一部を切り欠いて図示している。
そして、照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部21の支持面21aに向かってレーザ光を照射するように配置されている。これらの照射ヘッド13-1,13-2,…の配置状態および移動経路および速度は、第1実施形態と同様であることとする。
このような構成のレーザ処理装置2を用いたレーザ処理は、第1実施形態と同様の手順で行われる。すなわち、先ず基板支持部21の内面側の支持面21aに処理基板Wを吸着保持させる。この際、処理基板Wの被処理面Waを内側に向け、円柱面の内面側が被処理面Waとなるようにする。次に、照射ヘッド13-1,13-2,…のうちの最上部の照射ヘッドが、基板支持部11に支持された処理基板Wの最上端よりも上部に配置されるように、各照射ヘッド13-1,13-2,…を設置し、第1実施形態で説明した螺旋軌道上での照射ヘッド13-1,13-2,…の所定方向(ここでは下方向)へ向かう移動を開始させる。
そして、以上のような円柱面の軸φを中心にした螺旋軌道上においての、被処理面Waに対する各照射ヘッド13-1,13-2,…の相対的な一方向への移動により、被処理面Waの全領域に対して照射ヘッド13-1,13-2,…から照射されたレーザ光を走査させる。この際、被処理面Waに対してレーザ光の照射位置を移動させつつ、レーザ光のON/OFFを制御して所望の位置のみにレーザ光照射する。また、最下部に配置された照射ヘッドが基板支持部11に支持された処理基板Wの最下端の所定位置を通過した後、基板支持部11に対する照射ヘッド13-1,13-2,…の移動を停止させる。
以上説明した第2実施形態のレーザ処理装置およびレーザ処理方法では、円柱面の内面側を構成する状態で配置された処理基板Wの被処理面Waに対して、照射ヘッド13-1,13-2,…を相対的な一方向に移動させることにより、被処理面Waの全領域に対してレーザ光を走査させている。つまり、照射ヘッド13-1,13-2,…と被処理面Waとの相対的な移動方向を変化させることなく、被処理面Waの全域に対して連続的にレーザ光の照射を行っている。
したがって、第1実施形態と同様に、基板に対してレーザ光の照射位置を等速で移動させる処理を行う装置の小型化を図ることが可能である。そして、被処理面Waに対してレーザ光の照射位置を移動させつつ、レーザ光のON/OFFを制御して所望の位置のみにレーザ光照射する処理を行うことにより、基板Wに対する熱的負荷を軽減させたレーザ光の照射処理を行うことが可能になるため、例えば基板W上の半導体薄膜を結晶化するためのアニール処理において、さらに耐熱性の低いプラスチック基板等を用いることが可能になる。
尚、上述した第2実施形態のレーザ処理装置2においても、第1実施形態と同様に処理基板Wにおける軸φと平行な高さ方向にわたって、レーザ光の照射間隔毎に照射ヘッドを配置した構成であって良い。このような構成であれば、照射ヘッドを軸φの各高さに維持した円軌道上で移動させれば良く、第1実施形態と同様に、基板支持部21に対して各照射ヘッドを相対的に1周させることにより、処理基板Wの被処理面Waの全領域に対してレーザ光の照射処理を完了させることができる。
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態のレーザ処理装置の概略構成を示す上面図である。この図に示す第3実施形態のレーザ処理装置3と、図4を用いて説明した第2実施形態のレーザ処理装置3との相違点は、基板支持部31の構成、および本レーザ処理装置3が処理基板Wの供給ロール33と巻取ロール35とを供えている点にある。尚、図5は、筒状体として構成された基板支持部31を筒状底面側から見た上面図であることとする。
すなわち、このレーザ処理装置3における基板支持部31は、筒状体として構成され、その円柱面の内面側が支持面31aとして構成されている。そして特に、この基板支持部31の側壁には、円柱面の内面側からなる支持面31aに処理基板Wを差し込むためのスリット31bが設けられる。このスリット31bは、支持面31aが構成する円柱面の軸φと平行に設けられていることとする。
またこの支持面31aは、処理基板Wを吸着保持すると共に、支持面31aの周方向に向かって処理基板Wが摺動自在に構成されていることとする。
そして、供給ロール33は、処理基板Wを自在に巻き出し供給するものである。一方、巻取ロール35は、処理基板Wを自在に巻き取り回収するものである。そして、供給ロール33から供給された処理基板Wは、スリット31bから基板支持部31に挿入されて基板支持部31の支持面31aに吸着保持されると共にこの支持面31aを摺動し、スリット31bから導出されて巻取ロール35に巻き取られる構成となっている。
また、スリット31bの開口端部には、供給ロール33から基板支持部31の支持面31aへの処理基板Wの送り出しと、支持面31aから巻取ロール35への処理基板Wの巻き取りをスムーズにするたに、回動自在なローラ37は設けられていることとする。尚、このおうなローラ37は、必要に応じた配置状態で配置されていれば良い。
そして、照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部31の支持面31aに向かってレーザ光を照射するように配置されている。これらの照射ヘッド13-1,13-2,…の配置状態および移動は、第1実施形態と同様であることとする。
このような構成のレーザ処理装置3を用いたレーザ処理は、次のように行われる。
先ず、供給ロール33から供給された処理基板Wを、スリット31bから基板支持部31に挿入して基板支持部31の支持面31aに吸着保持させる。また処理基板Wの先端をスリット31bから導出して巻取ロール35に巻き取らせておく。この際、支持基板31に吸着保持させた被処理基板Wの被処理面Waを内側に向け、円柱面の内面側が被処理面Waとなるようにする。
次に、照射ヘッド13-1,13-2,…のうちの最上部の照射ヘッドが、基板支持部31に支持された処理基板Wの最上端よりも上部に配置されるように、各照射ヘッド13-1,13-2,…を設置し、第1実施形態で説明した螺旋軌道上での照射ヘッド13-1,13-2,…の所定方向(ここでは下方向)へ向かう移動を開始させる。そして、以上のような円柱面の軸φを中心にした螺旋軌道上においての、被処理面Waに対する各照射ヘッド13-1,13-2,…の相対的な一方向への移動により、被処理面Waの全領域に対して照射ヘッド13-1,13-2,…から照射されたレーザ光を走査させる。この際、被処理面Waに対してレーザ光の照射位置を移動させつつ、レーザ光のON/OFFを制御して所望の位置のみにレーザ光照射する。また、最下部に配置された照射ヘッドが基板支持部31に支持された処理基板Wの最下端の所定位置を通過した後、基板支持部31に対する照射ヘッド13-1,13-2,…の移動を停止させる。
以上のようにして基板支持部31の支持面31aに保持された処理基板Wの被処理面Wa部分の全面に対してレーザ光を照射する第1回目の処理を行った後、供給ロール33からの被処理基板Wの巻出し供給と、巻取ロール35への被処理基板Wの巻き取りを行う。そして、被処理基板Wの未処理部分を基板支持部31の支持面31aに吸着保持させる。
この状態で、第1実施形態で説明した螺旋軌道上での照射ヘッド13-1,13-2,…の所定方向へ向かう移動を開始させ、第2回目の処理を行う。この際、照射ヘッド13-1,13-2,…を、処理開始の位置に戻しておいた場合には、第1回目の処理と同様に照射ヘッド13-1,13-2,…を移動させる。一方、照射ヘッド13-1,13-2,…の位置が、第1回目の処理が終了した状態のままである場合には、第1実施形態で説明した螺旋軌道上で第1回目の処理とは逆方向に照射ヘッド13-1,13-2,…を移動させる。
以上のような第2回目の処理が終了した後には、再び供給ロール33からの被処理基板Wの巻出し供給と、巻取ロール35への被処理基板Wの巻き取りを行い、被処理基板Wの未処理部分にレーザ光を照射する第1回目の処理を繰り返し行う。
尚、このような第3実施形態のレーザ処理装置では、供給ロール33,巻き取りロール35,基板支持部31の回転による処理基板Wの移動速度と、照射ヘッド13-1,13-2,…の移動速度とを適宜組み合わせることで、処理基板Wの移動を停止させることなく連続して移動させながら、処理表面Waの全面に対して連続した処理を行うようにしても良い。
以上説明した第3実施形態のレーザ処理装置およびレーザ処理方法であっても、第2実施形態と同様に、円柱面の内面側を構成する状態で配置された処理基板Wの被処理面Waに対して、照射ヘッド13-1,13-2,…を相対的な一方向に移動させることにより、被処理面Waの全領域に対してレーザ光を走査させている。したがって、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、上述した第3実施形態のレーザ処理装置3においても、第1実施形態と同様に処理基板Wにおける軸φと平行な高さ方向にわたって、レーザ光の照射間隔毎に照射ヘッドを配置した構成であって良い。このような構成であれば、照射ヘッドを軸φの各高さに維持した円軌道上で移動させれば良く、第1実施形態と同様に、基板支持部31に対して各照射ヘッドを相対的に1周させることにより、基板支持部31に支持されている処理基板Wの被処理面Wa分部の全領域に対してレーザ光の照射処理を完了させることができる。またこの際、供給ロール33,巻き取りロール35,基板支持部31の回転によって処理基板Wを移動させることで、処理基板Wの移動を停止させることなく連続して移動させながら、処理表面Waの全面に対して処理を行うことが可能になる。
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態のレーザ処理装置の概略構成を示す上面図である。この図に示す第4実施形態のレーザ処理装置4と、図5を用いて説明した第3実施形態のレーザ処理装置3との相違点は、基板支持部41の構成にある。尚、図6は、筒状体として構成された基板支持部41を筒状底面側から見た上面図であることとする。
すなわち、このレーザ処理装置4における基板支持部41は、筒状体として構成され、その円柱面の外面側が支持面41aとして構成されている。そして特に、この基板支持部41は、石英などのレーザ光を透過する材料で構成されているところに特徴がある。
そして、この支持面41aが、処理基板Wを吸着保持すると共に、支持面41aの周方向に向かって処理基板Wが摺動自在に構成されていることとする。
また、このレーザ処理装置4にも、処理基板Wを自在に巻き出し供給する供給ロール43と、処理基板Wを自在に巻き取り回収する巻取ロール45とが設けられている。そして、供給ロール43から供給された処理基板Wは、基板支持部41の支持面41aに吸着保持されると共にこの支持面41aを摺動して巻取ロール45に巻き取られる構成となっている。尚、供給ロール43−基板支持部41間、および基板支持部41−巻取ロール45間には、処理基板Wの移動をスムーズにするための回動自在なローラ47が必要に応じた配置状態で配置されていることとする。
そして、照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部41の筒状体の内側に配置され、円柱面の内面側に向かってレーザ光を照射するように配置されている。そしてこれにより、照射ヘッド13-1,13-2,…から照射されたレーザ光が、石英などからなる基板支持部41の壁部を透過して円柱面の外面側で構成される支持面41aに照射される構成となっている。尚、これらの照射ヘッド13-1,13-2,…の配置状態および移動経路および速度は、第1実施形態と同様であることとする。
このような構成のレーザ処理装置4を用いたレーザ処理を行う際には、先ず、供給ロール43から供給された処理基板Wを、基板支持部41に巻き付ける状態で基板支持部41の支持面41aに吸着保持させる。また処理基板Wの先端を巻取ロール45に巻き取らせておく。この際、支持基板41に吸着保持させた被処理基板Wの被処理面Waを支持面41a側に向けた状態とする。
そして、以上のように基板支持部41に保持された処理基板Wに対するレーザ光の照射は、第3実施形態で説明した同様に行われる。
以上説明した第4実施形態のレーザ処理装置およびレーザ処理方法であっても、第2実施形態と同様に、円柱面の内面側を構成する状態で配置された処理基板Wの被処理面Waに対して、照射ヘッド13-1,13-2,…を相対的な一方向に移動させることにより、被処理面Waの全領域に対してレーザ光を走査させている。したがって、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第5実施形態>
図7は、第5実施形態のレーザ処理装置の概略構成を示す斜視図である。この図に示す第5実施形態のレーザ処理装置5は、図1を用いて説明した第1実施形態のレーザ処理装置1をロールtoロール構成とした装置である。
すなわち、このレーザ処理装置5においては、処理基板Wの幅よりも充分に長い筒状体からなる基板支持部51を備えている。そして、基板支持部51の円柱面の外面側が支持面51aとなり、この支持面51aに対して処理基板Wが螺旋状に巻き付けられる構成となっている。この、基板支持部51は、支持面51aが構成する円柱面の軸φを中心として一方向(ここでは時計方向)に一定の回転速度v1で回転可能な構成となっている。
また、このレーザ処理装置5にも、処理基板Wを自在に巻き出し供給する供給ロール53と、処理基板Wを自在に巻き取り回収する巻取ロール55とが設けられている。そして、供給ロール53から供給された処理基板Wは、基板支持部51の回転によって基板支持部51の支持面51aに螺旋状に巻き付けられ、さらにその先端が巻取ロール45に巻き取られる構成となっている。尚、ここでの図示は省略したが、供給ロール53−基板支持部51間、および基板支持部51−巻取ロール55間には、基板支持部51に対しての処理基板Wの供給と巻き出しスムーズにするための回動自在なローラが必要に応じた配置状態で配置されていることとする。
そして、照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部51の支持面51aに筒状体の外側に配置され、円柱面の外面側に向かってレーザ光を照射するように配置されている。各照射ヘッド13-1,13-2,…は、支持面51aが構成する円柱面の軸φに対して等距離に保たれた位置に配置されていることとする。また、各照射ヘッド13-1,13-2,…は、軸φの各高さ位置に対応して配置されることとする。尚、図中においては、4つの照射ヘッド13-1,13-2,…のみを図示したが、これらの照射ヘッド13-1,13-2,…は、基板支持部51の回転にともなって螺旋状に移動する処理基板51の被処理面Waの全面に対して、レーザ光が照射されるような配置状態で複数配置されていることとする。
このような構成のレーザ処理装置5を用いたレーザ処理を行う際には、先ず、供給ロール43から供給された処理基板Wを、基板支持部51に螺旋状に巻き付け、さらにその先端を巻取ロール55に巻き取らせておく。この際、支持基板51に巻き付けた被処理基板Wの被処理面Waを外側に向けた状態とする。
この状態で、巻き取りロール55,基板支持部51,および供給ロール53を回転速度を調整しながらそれぞれ回転させ、基板支持部51に巻き付けた処理基板Wを螺旋状に回転移動させる。また、基板支持部51の回転と反対方向に、軸φを中心にして照射ヘッド13-1,13-2,…を回転移動させる。この状態で、基板支持部51に巻き取られた処理基板Wの被処理面Waに対してレーザ光の照射位置を移動させつつ、レーザ光のON/OFFを制御して所望の位置のみにレーザ光照射する。
以上説明した第5実施形態のレーザ処理装置およびレーザ処理方法であっても、第2実施形態と同様に、円柱面の内面側を構成する状態で配置された処理基板Wの被処理面Waに対して、照射ヘッド13-1,13-2,…を相対的な一方向に移動させることにより、被処理面Waの全領域に対してレーザ光を走査させている。したがって、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
<レーザ照射機構>
次に、以上説明した各実施形態のレーザ処理装置における各照射ヘッドに設けられたレーザ照射機構の一例を、図8に基づいて説明する。尚、以下においては、各実施形態を代表して、第1実施形態のレーザ処理装置1のレーザ照射機構10を設けた構成を説明するが、第2実施形態および第3実施形態のレーザ処理装置においても同様に適用される。
図8は、照射ヘッド13-1,13-2,…(照射ヘッド13と記す)と、それぞれの照射ヘッド13の駆動を制御するためのレーザ照射機構10を示す構成図である。この図に示すレーザ照射機構10は、基板支持部11に支持された処理基板Wの被処理面Waに対して、照射ヘッド13からのレーザ光の照射位置および焦点深度を制御するための機構である。
まず、レーザ照射機構10の構成を説明するに先立ち、各照射ヘッド13の構成を説明する。各照射ヘッド13は、光源部102と、基板支持部11の支持面11aに対向配置された対物レンズ103とを備えている。尚、図面上においては基板支持部11の支持面11aを平坦なステージ状で示しているが、この基板支持部11は、第1実施形態で説明したように、筒状体(または円柱体)として構成され、その円柱面の外面側が支持面11aとして構成されているものである。
このうち、光源部102には、半導体レーザ発振器102aが設けられている。半導体レーザ発振器102aとしては、このレーザ処理装置を用いてどのような処理を行うかによって適切な波長のレーザ光Lhを発振するものが選択される。例えば、このレーザ処理装置を非晶質シリコンからなる半導体薄膜の結晶化および活性化に用いる場合、発振波長が350nm〜470nmの波長を含む、GaおよびNを含む化合物半導体レーザ発振器が用いられる。特に、結晶化及び活性化に必要なハイパワー(例えば連続照射で定格40mW以上)のGaN系化合物半導レーザ発振器が好適に用いられる。
また、この光源部102は、半導体レーザ発振器102aから発振されたレーザ光Lhの光路上に複数の部材を配置してなり、基板支持部11上に配置された基板Wの表面に対してその法線方向からレーザ光Lhが照射されるように構成されている。このような光源部102の構成を、レーザ光Lhの光路順に沿って説明する。
すなわち、半導体レーザ発振器102aから発振されたレーザ光Lhは、大きな広がり角で広がる。このため、半導体レーザ発振器102aの後段には、開口数NAの大きなコリメータレンズ102bが配置され、レーザ光Lhはコリメータレンズ102bに入射して平行光とされる。また、半導体レーザ発振器102aから発振されたレーザ光Lhは、半導体レーザの結晶成長方向とこれに平行な方向とで広がり角が異なるため、コリメータレンズ102bで平行光とされた状態でビーム形状が楕円となっている。このため、コリメータレンズ102bの後段には、2枚のプリズムを組み合わせたアナモルフィックプリズム102cが配置され、レーザ光Lhはアナモルフィックプリズム102cに入射してビーム形状が円形ビームに変換される。
そして、アナモルフィックプリズム102cの後段には、P波の透過率Tp=100%、S波の反射率Rs=100%となるように設計された偏光ビームスプリッタ102dが配置されている。ここで、紙面に対して平行な面を屈折面としたときに、予め半導体レーザ発振器102aから発振されるレーザ光Lhの方位を紙面に平行な方向に偏光するように設置しておくこととする。これにより、円形ビームに変換されたレーザ光Lh(例えば波長405nm)が、偏光ビームスプリッタ102dを透過する構成となっている。
そして、偏光ビームスプリッタ102dの後段にはλ/4板102eが配置され、このλ/4板102eを通過することでレーザ光Lhが円偏光となる。さらに、λ/4板102eの後段には、ダイクロイックプリズム102fが配置され、このダイクロイックプリズム102fによって、基板支持部11の支持面11a上に配置された処理基板Wの被処理面Waに対してその法線方向からレーザ光Lhが照射される構成となっている。
尚、被処理面Waで反射したレーザ光Lhは、さらにダイクロイックプリズム102fで反射してλ/4板102eに入射される。そして、このλ/4板102eにおいて入射時とは直交した直線偏光となり、偏光ビームスプリッタ102dで反射して、ビームダンパー102gにより吸収される。このような光路により、半導体レーザ発振器102aに戻る光を最小にすることができ、レーザ発振が安定に保たれる構成となっている。
そして、以上のような構成の光源部102と基板支持部11との間に配置された対物レンズ103は、光源部102から基板支持部11の支持面11aに向けって照射されるレーザ光Lhの光路上に配置されている。
この対物レンズ103は、ガラスあるいは樹脂で形成されており、レーザ光Lh(例えば波長405nm)、および次に説明する検査光(例えば波長830nm)に対して色収差補正されていることが望ましい。
そして特に、この対物レンズ103は、ここでの図示を省略した二軸アクチェータに搭載された状態で設けられていることとる。これにより、対物レンズ103は、次に説明する走査制御部104外部からの駆動信号により、レンズ軸(光軸)方向とこれに垂直な方向との2軸方向に動くように構成されている。尚、二軸アクチェータは、ボイスコイルやピエゾアクチュエーター等で良く、その形態が制限されることはない。
そして、以上のような光源部102と対物レンズ103とで構成された照射ヘッド13を制御するためのレーザ照射機構10には、対物レンズ103に接続された状態で、レーザ光Lhを走査するための走査制御部104が設けられている。また、このレーザ照射機構10には、検査光fhを照射するための検査光源部106、フォーカス制御部107、および位置制御部108が備えられている。
そして、このような対物レンズ103に設けられた走査制御部104は、対物レンズ103が搭載されている二軸アクチェータの駆動を制御する二軸デバイスドライバー(走査制御部)104として設けられている。この二軸デバイスドライバー(走査制御部)104は、以降に説明するフォーカス制御部107、および位置制御部108の一部を兼ねるものでもある。
ここで、対物レンズ103に入射するレーザ光Lhはコリメート光であり、焦点でのビーム形状はsinc関数で表される。そして、対物レンズ103の開口数NA、レーザ光Lhの波長λとした場合、ビーム径(振幅が0になる最小の円の径)φは次の式(1)で表される。φ=2.44×λ/(2×NA)…(1)
このようなレーザ光Lhにおいては、光軸(レンズ軸)と垂直な方向の強度がガウシアン分布となっている。このため、二軸デバイスドライバー(走査制御部)104による光軸と垂直方向への対物レンズ103の移動は、対物レンズ103が作る焦点でのパワー密度が5%以下の変化となる範囲で行われるように設定されていることとする。これにより、対物レンズ103の移動によってレーザ光Lhを走査させた場合に、各走査位置でのレーザ光Lhの照射強度の変化が小さく抑えられる構成となっている。一例として、開口数NAが0.85の対物レンズ103を用いた場合、対物レンズ103のレンズ軸(中心位置)から±50μmの範囲でレーザ光Lhが入射されるように対物レンズ103を移動させることで、対物レンズ103が作る焦点でのパワー密度の変化を5%以下に抑えることができる。尚、対物レンズ103の移動によるレーザ光Lhの走査範囲がなるべく広げられるように、レーザ光Lhの強度分布や対物レンズの開口の大きさが設計されていることが好ましい。
次に、検査光源部106には、検査光fhを発振する検査光発振器106aが設けられている。ここで検査光fhとしては、処理対象となる材料に対して吸収されない波長の光が用いられることとする。このため、例えば非晶質シリコンからなる半導体薄膜の結晶化および活性化にレーザ処理装置を用いる場合には、シリコン系半導体膜での吸収がわずかになる650nm以上の波長、好ましくは波長830nmのレーザ光が検査光fhとして用いられる。これにより、検査光fh照射による基板W表面への影響を防止する。このような検査光fhを発振する検査光源部106としては、例えば波長830nmのレーザ光を検査光fhとして発振するレーザ発振器が用いられる。
また、この検査光源部106は、検査光発振器106aから発振された検査光fhの光路上に複数の部材を配置してなり、上述したレーザ光Lhと共に対物レンズ103を介して基板支持部11上に配置された基板Wの表面に照射されるように構成されている。このような検査光源部106の構成は、上述した照射ヘッド13の光源部102とほぼ同様の構成となっている。
すなわち、検査光発振器106aから発振された検査光fhは、コリメータレンズ106bに入射して平行光とされ、アナモルフィックプリズムbに入射してビーム形状が円形ビームに変換される。そして、この検査光fhは、P波の透過率Tp=100%、S波の反射率Rs=100%となるように設計された偏光ビームスプリッタ106dを透過し、λ/4板106eを通過することで円偏光となる。そして、照射ヘッド13の光源部102におけるダイクロイックプリズム102fを透過してレーザ光Lhと合成され、対物レンズ103に入射される。
尚、基板Wで反射した検査光fhは、ダイクロイックプリズム102fを透過してλ/4板106eに入射される。そして、このλ/4板106eにおいて入射時とは直交した直線偏光となり、偏光ビームスプリッタ106dで反射して、フォーカス制御部107および位置制御部108に導かれる。
そして、偏光ビームスプリッタ106dにおいて反射した検査光fhが導かれたフォーカス制御部107には、検査光fhの進行方向に向かって、シリンドリカルレンズ107a、集光レンズ107b、および4分割ディテクター107cがこの順に配置されている。
シリンドリカルレンズ107aは、非点収差を発生させるためのものである。そして、4分割ディテクター107cは、処理対象物として基板支持部11上に配置される基板Wと結像関係にある。したがって、基板W上に対物レンズ103の焦点があるときは、検査光fhは4分割ディテクター107cの中央に焦点を結ぶ。一方、対物レンズ103の焦点が、基板W表面よりも上あるいは下にあるときは、シリンドリカルレンズ107aによる非点収差が発生し、4分割ディテクター107c上には、縦あるいは横方向に長軸をもつ楕円のビームが投影される。
そこで、下記のように4分割ディテクター107cの各ディテクター部分からの出力信号A〜Dを定義したときに、(A+C)−(B+D)なる信号は、対物レンズ103の焦点が物体の上か下かでプラスとマイナスの符号を変え、焦点が物体上にあるときにこの信号は0になる。したがって、この信号を、フォーカスサーボを行うときの誤差信号(focus error信号)として利用し、この誤差信号を対物レンズ103の走査制御部104にフィードバックして、信号が0となるように対物レンズ103をそのレンズ軸方向(図面上の上下方向)に移動してフォーカスサーボが行われる構成となっている。
また、上述した、偏光ビームスプリッタ106dにおいて反射した検査光fhが導かれた位置制御部108には、検査光fhの進行方向に向かって、フォーカス制御部107と画像信号位置認識部108aとがこの順に配置されている。ここで、フォーカス制御部107は、位置制御部108の一部を兼ねたものであることとする。
そして、フォーカス制御部107の後段に設けられた画像信号位置認識部108aは、処理対象となる基板Wの表面の情報と、4分割ディテクター107cの各ディテクター部分からの出力信号A〜Dとに基づいて、対物レンズ103を透過して検査光fhが照射される位置を認識するものである。
つまり、4分割ディテクター107cの各ディテクター部分からの出力信号A〜Dを定義したときに、(A+B+C+D)なる和信号は、露光対象物の反射率の変化を示す信号となる。そこで、処理基板Wにおける被処理面Wa上の二次元平面内において同一の基準点となるアライメント・マークをパターン形成しておくこととする。そして、画像信号位置認識部108aでは、予め得られている基板Wの表面の形状情報(アライメント・マークの配置情報)と、照射ヘッド13と基板支持部11との相対的な移動によって処理基板Wの被処理面Waにおいて検査光fhを走査させて得られた上記和信号の変化とから、被処理面Waにおける検査光fhの照射位置が認識される構成となっている。
また、このレーザ処理装置においては、画像信号位置認識部108aで認識された検査光fhの照射位置から、このレーザ処理装置を用いたアニール処理のための基準点を求める。そして、この基準点に基づいて、照射ヘッド13と基板支持部11とを相対的に移動させることにより、レーザ処理装置における処理基板Wの配置状態を所定状態にする。つまり、照射基板Wの表面においてアニール処理を施したい部分が、レーザ光Lhの照射位置となるように、照射ヘッド13と基板支持部11とを相対的に移動させるのである。
またさらに、この位置制御部108は、上述したようにレーザ光Lhが所定の照射位置となるように基板支持部11と照射ヘッド13とを相対的に移動させた状態で、半導体レーザ発振器102aからのレーザ光Lhの発振のオン/オフを制御することで、処理基板Wの被処理表Waにおいて目的とする部分のみにレーザ光Lhが照射される構成となっている。またさらに、二軸デバイスドライバー(走査制御部)104によって対物レンズ103をその軸に対して垂直方向に移動させることにより、基板支持部11上に載置された処理基板Wの処理表面Waに対するレーザ光Lhの照射位置を高精度に制御しても良い。
尚、以上のレーザ処理装置においては、基板支持部11および照射ヘッド13の駆動によるレーザ光Lhの照射位置の移動(走査)と、対物レンズ103の移動によるレーザ光Lhの走査とを組み合わせても良い。対物レンズ103の移動によるレーザ光Lhの走査を組み合わせた場合には、処理基板Wに対してレーザ光Lhを高速度で走査することが可能になる。これにより処理基板Wに対するレーザ光Lhの移動速度によって、処理基板Wに対する熱的負荷を軽減させると言ったアニール工程を行うことができる。また、このようなレーザ光Lhの照射を処理基板Wに対する必要部分のみに選択的に行うことにより、さらに処理基板Wに対する熱的負荷が軽減される。
また半導体レーザ発振器102aから発振させるレーザ光Lhの出力調整によってレーザ光Lhの強度変調行うことおよびAC駆動の場合ではDutyを変えることで、該基板上のXY二次元の領域内に任意のレーザ強度分布パターンを形成することも可能となる。
しかも、半導体レーザ発振器102aを設けたことにより、エキシマレーザー装置やYAGレーザーに比べて、照射ヘッド13-1を小型化して装置全体の小型化を図ることが可能となる。また、照射ヘッド13-1が小型されるため、照射ヘッド13-1を備えたレーザ照射機構10を複数設けて基板Wの各位置に対してレーザ光を多点照射する構成とすることもできる。これにより、レーザ照射を行う工程を短縮して生産性の向上を図ることが可能になる。
尚、このレーザ処理装置を非晶質シリコンからなる半導体薄膜の結晶化および活性化に用いる場合においては、基板Wに対するレーザ光Lhの連続照射とは、レーザ光Lhの移動に際して休止無く完全に連続である場合と共に、レーザ光Lhの照射によって溶融した半導体薄膜部分の凝固が完全に完了しない程度の休止が入る場合を含むこととする。このため、このような条件を満たせば、照射時間よりも短い休止時間が入る場合も連続照射に含まれ、一例として半導体薄膜部分への100nsの照射時間に対して10〜20ns程度の休止が入る場合も連続照射に含むこととする。尚、照射時間に対する休止時間は、半導体薄膜の材質および膜厚、レーザ光Lhのエネルギー密度、等によって適宜設計される。このような休止時間を入れることにより、レーザ光Lh照射による基板Wへの熱的影響を抑えることができる。尚、エキシマレーザ光は完全なパルス波であり、300Hz程度のパルス波であれば、25nsの照射時間に対して3300ns程度の休止が入ることになる。このため、エキシマレーザ光では、レーザ光Lhの照射によって溶融した半導体薄膜5部分の凝固が完全した状態で次のパルス照射が行われることになるため、上述したいわゆる「連続照射」を行うことはできない。
1,2,3,4,5…レーザ処理装置、11,21,31,41,51…基板支持部、11a,21a,31a,41a,51a…支持面、13-1,13-2,…照射ヘッド、31b…スリット、33,43,53…供給ロール、35,45,55…巻取ロール、W…処理基板、φ…軸