本発明は、ホイールリムの外周面に設けられ、タイヤ空気圧等の各種物理量を検知して、各物理量をデータ信号に変換し、これを車両側に配設されたデータ処理装置へ送信するタイヤ監視装置のデータ生成出力装置、及び、該データ生成出力装置とデータ処理装置とを備えたタイヤ監視装置に関するものである。
自動車やオートバイ等の車両にあっては、その走行性能、安全性、耐久性、燃費等の各性能を所望のレベルに維持するために、タイヤが適正な状態に保持されていることが必要とされている。このため、タイヤ空気圧等を適時検知するタイヤ監視装置が種々提案されている。かかるタイヤ監視装置としては、ホイールリムの外周面に配設され、タイヤ空気圧を検知してそのデータ信号を発信するデータ生成出力装置と、車両側に配設され、該データ生成出力装置からタイヤ空気圧のデータ信号を受信するデータ処理装置とを備えた構成が良く知られている。ここで、データ生成出力装置は、タイヤ空気圧を電圧等の物理量として検知する所定の圧力センサと、該センサが検知した空気圧の物理量(圧力量)を送信用のデータ信号に変換して発信する回路とを備えている。一方、データ処理装置には、タイヤ空気圧を運転手などに伝える機能などを備えている。
また、上記したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置としては、タイヤ空気圧の他にも、タイヤ内側空域の温度などのように、複数種類の物理量を検知する検知センサを備え、これら複数種類の物理量のデータにより、総合的にタイヤの状態を監視するようにした構成も提案されている。
ここで、自動車等の車両の走行中には、タイヤと共にデータ生成出力装置も回転することから、該データ生成出力装置と車両側に配設されたデータ処理装置との相対的な位置関係が周期的に変化する。このため、データ生成出力装置とデータ処理装置とで送受信可能な交信周領域と、送受信不能な領域とが存在することとなっている。また、データ生成出力装置は周期的に交信周領域を通過することから、車両の走行速度が増すに従って、該データ生成出力装置が交信周領域を通過する通過時間が短くなる。このため、比較的低速走行時に交信周領域で交信可能であった複数のデータ信号が、高速走行時には該交信周領域で交信不能となってしまうこともある。
そこで、例えば特許文献1のように、同じデータ信号を異なるビットレート(データ伝送速度)により発信するようにした装置が提案されている。これは、所定速度未満で充分に送受信可能なビットレートと、所定速度以上で充分に送受信可能なビットレートとによって、交互にデータ信号を発信することにより、低速走行中又は高速走行中のいずれでも複数のデータ信号を確実に送受信できるようにしたものである。ここで、高速走行中に送信可能となるように、ビットレートを上げる処理には、比較的多くの電力を要することから、このデータ生成出力装置は、充分な駆動電力を得ることができるように電池が配設されている。このため、データ信号の出力も高く、上述した交信周領域が交信不能な領域に比して広くなっている。
一方、タイヤ空気圧を検知して監視するタイヤ監視装置として、データ生成出力装置に、車両側のデータ処理装置から受信した交流電波を直流電流に変換する整流回路を設け、この直流電流により、当該データ生成出力装置の駆動電力を賄うようにした構成も提案されている(例えば、特許文献2)。これは、車両側に配したデータ処理装置から発信される電波を、タイヤ内側に配設したデータ生成出力装置が受信することにより、該データ生成出力装置が駆動し、タイヤ空気圧の検知、該空気圧のデータ信号への変換、該データ信号の発信を順次行うようにしたものであり、データ生成出力装置に電池等を備える必要がないという利点がある。
特開2003−272060号公報
特開平10−19710号公報
上述したように、データ生成出力装置からデータ処理装置へ送信するデータ信号にあっては、車両の走行速度が変化しても、確実に送受信できることが求められている。
上述した整流回路を備えたデータ生成出力装置(例えば、特許文献2)にあっては、駆動電流をデータ処理装置から受信する電波により得ることから、電池を配する必要が無く、装置重量の軽量化や小型化が可能である。ところが、電波によって変換された駆動電流は、電池等の電流に比して微弱であることから、このデータ生成出力装置では、電池を備えた構成に比して、データ処理装置と送受信可能な交信周領域が狭くなる。そして、このデータ生成出力装置は、データ処理装置からの電波を受信できないと、駆動電流を確保できないことから、交信周領域以外の領域ではほとんど駆動できない。尚、車両走行中にあって、データ生成出力装置が交信周領域を通過する時間は、上述したように、車両速度が増加するに従って短くなる。
このようにデータ生成出力装置が整流回路を備えたタイヤ監視装置にあって、タイヤ空気圧だけを監視するようにした構成では、当該空気圧のデータ信号を発信するために必要な時間は比較的短い。このため、タイヤ空気圧のデータ信号は、車両が比較的高速で走行中の場合も交信周領域で充分に発信可能である。ところで、上述したように、タイヤ空気圧、タイヤ内側空域の温度等の複数種類の物理量を検知して、各物理量のデータ信号を発信する構成では、一般的に、これら複数のデータ信号を時系列的に順次発信するようになっている。このため、全てのデータ信号を発信するために要する時間は、これら物理量の種類が多くなるに従って長くなる。したがって、データ信号が多ければ、高速走行時に、交信周領域で全てのデータ信号を発信できなくなってしまう。このように、タイヤの状態を複数種類の物理量から多角的に監視するようにした構成では、走行速度が比較的高速となると、全てのデータ信号を車両側へ送信できなくなっていた。ここで、一般的には、物理量から変換したデータ信号の前後に、先頭信号や終了信号を発信するようにしている。この場合、前記のように、データ信号の発信途中で交信周領域を外れると、終了信号が送信されないことから、データ処理装置では受信エラーとして処理されて、タイヤの状態を監視できないという問題も生じていた。
一方、上述したように、データ信号を異なるビットレートで交互に発信するようにした装置(例えば、特許文献1)にあっては、データ生成出力装置に電池を備えていることから、データ生成出力装置のアンテナと車両側のデータ処理装置のアンテナとの交信可能な領域は比較的広範囲であり、データ信号の発信に要する時間も比較的長くなっている。ところで、この従来構成を、上述したデータ生成出力装置が電波受信により駆動電流を得るものとすると、狭い交信周領域でデータ信号を発信可能とするように、ビットレートの設定をさらに上げる必要が生じる。このため、ビットレートを上げる処理に、さらに電力を要することとなってしまい、この従来構成は、データ生成出力装置を電波により駆動電力を得るものとする構成に適用できない。
また、データ生成出力装置を、複数種類の物理量に対応する各データ信号を圧縮するデータ圧縮処理を備えた構成とすることにより、車両が比較的高速で走行中の場合も交信周領域で充分に発信可能となる。しかし、このデータ圧縮処理には、比較的多くの電力を要すること、及び比較的長い処理時間を要することから、この構成も、電波により駆動電力を得るようにした構成に適用できない。
本発明は、データ処理装置から受信した電波から駆動電流を得るものであって、タイヤの状態を表す複数種類の物理量を検知し、これら物理量を変換したデータ信号を、車両側のデータ処理装置へ確実に送信可能であるタイヤ監視装置のデータ生成出力装置、及び、該データ生成出力装置とデータ処理装置とを備えたタイヤ監視装置を提案するものである。
本発明は、ホイールリムの外周面に配設され、タイヤの状態を表す複数種類の物理量を検知し、該物理量から生成したデータ信号を、車両側に配設されたデータ処理装置へ送信するタイヤ監視装置のデータ生成出力装置において、データ処理装置に設けられた外部アンテナと交信する内部アンテナと、各種物理量を夫々検知する各検知センサと、外部アンテナから送信されて内部アンテナで受信した電波を変換して、駆動電流を生成する整流回路と、各検知センサで検知した各種物理量から複数の送信用データ信号を生成する信号生成回路と、信号生成回路から得たデータ信号を内部アンテナから発信する信号発信回路と、タイヤ回転に伴って内部アンテナが周期的に通過して該内部アンテナと外部アンテナとが交信可能となる交信周領域の、その領域内で内部アンテナから発信可能なデータ数となるように、所要の物理量に対応する一又は複数のデータ信号からなる信号列を調製する調製制御処理と、該データ信号の発信を制御する発信制御処理とを行う制御処理回路とを備えたことを特徴とするものである。尚、検知センサが検知する物理量としては、例えば、該検知センサから出力する電圧量や電流量等であり、これによりタイヤ空気圧やタイヤ内側空域の温度等を測ることができる。また、タイヤの状態を検知する物理量としては、前記したタイヤ空気圧やタイヤ内側空域の温度等のように、ホイールリムとタイヤとにより囲まれた閉鎖空域の状態を検知するものや、タイヤが路面から受ける振動やタイヤ自身の温度などのように、タイヤ自体の状態を検知するものも含まれる。
ここで、制御処理回路の調製制御処理により調製する信号列は、そのデータ数に従って、信号列のデータ長さが異なる。さらに、この信号列は、該信号列を構成する複数のデータ信号が時系列的に順次発信されるものであるから、データ長さ(データ数)に従って、発信に要する時間が異なる。すなわち、データ数が多くなるに従って、信号列のデータ長さは長くなり、当該信号列の発信に要する時間も長くなる。逆にデータ数が少なければ、データ長さは短く、信号列の発信に要する時間も短くてすむ。
かかる構成にあっては、調製制御処理によって、交信周領域で発信可能なデータ長さとなる信号列を調製し、発信制御処理によって、該信号列を内部アンテナから発信するようにしたものである。この調製制御処理によって調製された信号列は、そのデータ数を、交信周領域で発信可能なデータ長さとなるように調整したものであるから、この信号列をなす複数のデータ信号は、内部アンテナが交信周領域を通過する間に、順次時系列的に発信され得る。したがって、車両の走行速度に応じて、交信周領域で発信可能な信号列を調製でき、低速走行から高速走行までのあらゆる速度域で、この信号列をなすデータ信号を、車両に配設したデータ処理装置へ確実に送信できる。例えば、走行速度が比較的低速である場合には、全ての物理量に対応する複数のデータ信号からなる信号列を調製し、交信周領域で発信する。一方、走行速度が比較的高速である場合には、内部アンテナの交信周領域通過時間が短いことから、比較的少数のデータ信号からなる信号列を調製し、交信周領域で発信する。
また、本発明は、上述のように、複数のデータ信号からなる信号列を、交信周領域で発信可能なデータ長さとなるデータ数により調製するようにした構成であるから、信号列の生成と、その複数のデータ信号を時系列的に順次発信することとを、比較的小さな駆動電力により行うことが可能である。したがって、タイヤの状態を表す物理量を比較的多種類検知する構成とした場合にも、大きな駆動電力を要せず、電波から駆動電流を得る構成に適用され得る。さらにまた、本構成の調製制御処理及び発信制御処理は、上述したように比較的シンプルな処理を行うことから、その処理時間も充分に短いため、電波から駆動電流を得る構成に適用できるものである。すなわち、電波から得た駆動電流は、一般的にその電力も微弱であることから、該電波を受信できない状態(交信周領域以外の領域)では、データ生成出力装置もほぼ停止した状態となる。このため、交信周領域で、電波から駆動電流を得て、各物理量の検知、データ信号への変換、信号列の生成、信号列の発信等を行わなければならず、これらの制御処理を比較的短い時間で実行できる本構成が適している。
而して、本発明のタイヤ監視装置のデータ生成出力装置は、比較的小型軽量なものとなると共に、車両の極低速走行から高速走行までの速度域で、タイヤの状態を示す複数種類の物理量をデータ信号として、車両側に配したデータ処理装置へ確実に送信可能である。そして、このタイヤ監視装置は、複数種類の物理量により、タイヤの状態を適正に監視できるものである。
またここで、上述したように、車両の高速走行時のように、交信周領域を内部アンテナが通過する時間が短い場合には、交信周領域で発信可能なデータ数も少なくなることから、各検知センサにより検知した物理量に対応する複数のデータ信号を、全て一度に発信できない。この場合には、例えば、発信可能なデータ数に従って、特定の物理量のデータ信号を選択して信号列を調製する処理や、予め定めた優先順序により全て又は特定の物理量のデータ信号を、複数の信号列に順次割り当てることにより、信号列を調製する処理等を行うものとすることが可能である。尚、このように所要の物理量のデータ信号を、データ数に従って割り当てた複数の信号列を調製した場合には、内部アンテナが交信周領域を通過する毎に、この複数の信号列を順次発信する処理を行うことが好適である。
上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、制御処理回路の調製制御処理が、データ処理装置に具備された、車両の走行速度データを発信制御する速度データ発信手段により、該データ処理装置から送信された走行速度データを、内部アンテナを経て入力し、この走行速度により回転する内部アンテナが交信周領域を通過する間に、発信可能となるデータ数を設定する処理内容と、所要の物理量に対応する一又は複数のデータ信号を、当該データ数に基づいて、予め定められた優先順序に従って一又は複数の信号列に順次割り当てる処理内容とを備えた構成が提案される。
ここで、データ処理装置の速度データ発信手段としては、車両の走行速度を計測する装置等から、該走行速度データを得てデータ信号として発信する構成であり、正確な走行速度をデータ生成出力装置へ送信することができるものである。また、車両の走行速度を表す走行速度データとしては、この走行速度を直接的に表現する速度データを用いる場合の他、タイヤ回転速度等のように走行速度を適正に表現するデータを用いることも可能である。
かかる構成にあっては、車両の走行速度から、交信周領域で発信可能であるデータ数を設定し、このデータ数に基づいてデータ信号を割り当てた一又は複数の信号列を調製するようにしたものであるから、当該信号列を、交信周領域で発信できるデータ長さに正確に調製することができ得る。そして、この信号列は、交信周領域で、そのデータ信号が順次時系列的に発信されて、確実にデータ処理装置へ送信され得る。したがって、走行速度が増減した場合にも、該走行速度に応じて、交信周領域で確実に発信可能な信号列を安定して生成することができ得る。また、このように生成される信号列は、そのデータ数に関わらず、予め定められた優先順序に従ってデータ信号が列んだ構成となる。尚ここで、データ信号を信号列に割り当てる処理を、データ信号の優先順序の高い順に行うようにすれば、優先順序の高いデータ信号を先に発信することができるため、好適に用い得る。
この調製制御処理としては、走行速度から設定したデータ数に従って、全てのデータ信号をその優先順序により、一又は複数の信号列に順次割り当てる処理や、特定のデータ信号を選択して、一又は複数の信号列に割り当てる処理等とすることができる。ここで、複数の信号列を生成した場合には、発信制御処理により、内部アンテナが交信周領域を通過する毎に、複数の信号列を順次発信するように制御する。この複数の信号列を発信する順序としては、前記優先順序に従うようにすることが好適である。例えば、タイヤの安全性を監視するために重要な物理量のデータ信号を優先して発信するように制御することにより、車両側のデータ処理装置は、より重要な物理量を監視する機会が多くなるため、タイヤ監視装置として、タイヤを監視して安全性を確保する機能を効率的かつ充分に発揮することができ得る。
本構成にあって、車両の走行速度から、交信周領域で発信可能なデータ数を設定して、信号列を生成する処理としては、例えば、所定速度範囲毎に、信号列をなす、物理量に対応するデータ信号の構成数を夫々設定しておき、受信した走行速度の該当する速度範囲を判定して、この構成数を決定し、これに従って信号列を生成する処理が好適である。この場合には、物理量に対応するデータ信号の構成数を、信号列のデータ数として扱うようにしている。
また、上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、信号生成回路が、信号列の先頭に先頭信号を生成し、かつ、最後尾に終了信号を生成する処理を備えていると共に、制御処理回路の調製制御処理が、前回通過した交信周領域で終了信号を発信不能であった場合に、前回の信号列に、予め定められた優先順序に従って所定のデータ信号を追加又は削除することにより、信号列を生成する処理内容を備えた構成が提案される。
ここで、本発明は、上述したように、データ処理装置から受信する電波によってデータ生成出力装置の駆動電流を得るものであるから、この比較的微弱な電力では、該電波を受信可能な交信周領域内でしか駆動電流を得ることができず、この交信周領域以外でデータ生成出力装置はほとんど駆動できない。すなわち、交信周領域以外の領域では、データ信号の生成や発信を行うことができない。
かかる構成では、交信周領域で、信号列をなす先頭信号から終了信号までの各信号を順次時系列的に発信している時に、内部アンテナが当該交信周領域を外れると、終了信号が発信さえず、この信号列を完全にデータ処理装置へ送信できないこととなる。このように交信周領域で終了信号が発信できなかった場合には、内部アンテナが次に交信周領域を通過している間に、前回送信完了しなかった信号列に、所定のデータ信号を追加又は削除することにより、交信周領域で発信可能なデータ数の信号列を生成して、この信号列を発信するように制御する。したがって、本構成によれば、車両の走行速度が増減した場合に、その時々の走行速度に応じたデータ数の信号列を生成でき、当該信号列を交信周領域で安定かつ確実に発信できる。
ここで、車両が加速した場合には、内部アンテナが交信周領域を通過する時間が短くなることから、終了信号が発信できなくなり、前回の信号列から所定のデータ信号を削除して、新たな信号列を生成する。一方、車両が減速する場合の制御処理としては、例えば、信号列を発信後、連続して信号列を発信するように制御することにより、対応可能である。すなわち、車両の走行速度が減速すると、交信周領域の通過時間が長くなることから、信号列を発信後、引き続き次の信号列が発信され、この二回目に発信された信号列の終了信号が発信できず、発信中断することとなる。この場合には、前回の信号列に、所定のデータ信号を追加して、新たな信号列を生成する処理を行う。
この所定のデータ信号を追加又は削除する処理にあっては、各データ信号に予め優先順序を設定し、この優先順序により所定のデータ信号を追加又は削除する。例えば、追加する場合には、優先順序の高い順にデータ信号の追加処理を行い、削除する場合には、追加処理と逆順となる優先順序の低い順に、データ信号の削除処理を行うようにする。これにより、各データ信号がその優先順序の高い順に列んだ信号列を構成することができ、該優先順序の高いデータ信号を先に発信することができ得る。
ここで、データ信号を追加又は削除する処理としては、前回発信できなかった信号列に、所定のデータ信号を追加又は削除するようにする処理を行う。これにより、発信エラーとなった前回の信号列のデータ信号を、正確に発信できることとなる。尚、上記した減速時には、一回目の信号列は正しく発信され、二回目の信号列が発信エラーとなるため、この二回目(前回)のデータ信号を確実に発信することができる。
尚、本構成にあって、データ信号を追加又は削除して新たな信号列を生成した場合には、この信号列のデータ数に従って、次回以降の信号列を生成することとなる。また、信号列の終了信号が、連続して発信できなかった場合には、その度毎に、上述したデータ信号の追加又は削除する処理が実行される。
また、上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、制御処理回路に接続され、時間計測するタイマーを備えてなり、制御処理回路の調製制御処理が、内部アンテナが交信周領域を通過する間に、信号列を発信するためのデータ発信時間をタイマーにより計測し、前回の交信周領域で計測したデータ発信時間内で発信可能となるデータ数を設定する処理内容と、所要の物理量に対応する一又は複数のデータ信号を、当該データ数に基づいて、予め定められた優先順序に従って一又は複数の信号列に順次割り当てる処理内容と備えた構成が提案される。
ここで、信号列のデータ発信時間としては、例えば、信号列の発信開始から内部アンテナが交信周領域から外れるまでの経過時間である。また、車両速度が減速する場合に、信号列の発信終了から内部アンテナが交信周領域から外れるまでの経過時間とすることもできる。
かかる構成にあっては、交信周領域を通過中の内部アンテナから発信可能となるデータ発信時間をタイマーにより計測すると共に、前回通過した交信周領域で計測したデータ発信時間内で発信可能なデータ長さとなるデータ数を設定する。そして、このデータ数に従って、信号列を調製する。走行速度が増減した場合にも、その時々の走行速度に応じたデータ発信時間が計測されるため、交信周領域で発信可能な信号列を安定して生成することができ、該信号列をなすデータ信号をデータ処理装置へ確実に送信でき得る。
この調製制御処理としては、上述した走行速度からデータ数を設定する構成と同様に、データ発信時間から設定したデータ数に従って、一又は複数の信号列に順次割り当てる処理を行う。そして、複数の信号列を生成した場合には、発信制御処理により、内部アンテナが交信周領域を通過する毎に、複数の信号列を、前記優先順序に従って順次発信するように制御する。
また、上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、制御処理回路の調製制御処理が、所要の物理量に対応する一又は複数のデータ信号を、予め定められた優先順序に従って循環するように、一又は複数の信号列に順次割り当てる処理内容を備えると共に、制御処理回路の発信制御処理が、複数の信号列に各データ信号を割り当てた場合に、各信号列を、前記データ信号の割り当て順序に従って、内部アンテナが交信周領域を通過する毎に順次発信する処理内容を備えている構成が提案される。
かかる構成にあっては、例えば、優先順序の最も高い物理量のデータ信号から順に、発信可能なデータ数に基づいて、複数の信号列を構成していき、優先順序の最も低い物理量のデータ信号までくると、再び優先順序の最も高い物理量のデータ信号に戻るように、所要の物理量に対応する一又は複数のデータ信号が循環的に複数の信号列を構成するようにしている。尚、データ信号の割り当て順は、前記のように優先順序の高い方から低い方へ向かう順の他、逆に低い方から高い方へ向かう順とすることもできる。
ここで、車両の走行速度がほぼ一定であり、発信可能なデータ数が一定である場合には、所要のデータ信号が、内部アンテナが交信周領域を通過する毎に順次発信する複数の信号列により、周期的にデータ処理装置へ送信されることとなる。また、車両の走行速度が高速である場合に、発信可能なデータ数に従って信号列を構成する所要のデータ信号の構成数が、この所要データ信号の個数に比して少数であっても、これら所要データ信号を確実かつ安定的にデータ処理装置へ送信することができ得る。特に、タイヤの状態を表す複数種類の物理量を全て、車両側のデータ処理装置に送る構成にあっては、複数の信号列により全ての物理量がデータ処理装置へ送信されるため、該データ処理装置は全ての物理量を得て、タイヤの状態を一層適切かつ明確に監視することが可能である。
尚、発信制御処理が、複数の信号列を、データ信号の割り当て順序に従って、順次発信するようにしていることから、この優先順序に従ってデータ信号をデータ処理装置へ送信している。これにより、複数の信号列が生成されている場合に、これら信号列が全て発信される前に走行速度が増減しても、優先順序に従って先に割り当てたデータ信号の方がデータ処理装置へ送信され易くなっている。したがって、例えば、優先順序の高い順にデータ信号を割り当てるようにした場合には、優先順序の高いデータ信号が、走行速度の増減に関係なく、その送信回数が多くなる傾向にあることから、タイヤの状態を効率的に監視することができるものとなる。
一方、本発明のタイヤ監視装置にあっては、上述した各構成のいずれかのデータ生成出力装置と、データ処理装置とを備えたものであることを特徴とする。かかる構成のタイヤ監視装置にあっては、上述した各構成のデータ生成出力装置により生ずる作用効果を発揮できるものである。而して、タイヤの状態を複数種類の物理量により監視するようにした装置として、車両の走行速度が変わった場合にも、充分かつ確実に監視機能を発揮し得る。
上述したタイヤ監視装置にあって、データ処理装置が、データ生成出力装置の内部アンテナと電波の送受信を行う外部アンテナと、該外部アンテナから発信する電波を制御すると共に、外部アンテナから受信したデータ信号から各種物理量のデータを演算処理する演算制御回路とを備えた構成が提案される。
このデータ処理装置は、データ生成出力装置へ、その駆動電力に変換される電波を送信すると共に、該データ生成出力装置から受信したデータ信号の各種物理量を夫々示すデータを処理し、タイヤの状態を適正に得ることができるものである。
本発明のタイヤ監視装置のデータ生成出力装置は、上述したように、データ処理装置から送信されて内部アンテナで受信した電波を、整流回路により駆動電流に変換するものであって、制御処理回路が、内部アンテナが交信周領域を通過する間に、発信可能なデータ数となるように、所要の物理量に対応する一又は複数のデータ信号からなる信号列を調製する調製制御処理と、当該信号列を発信する発信制御処理とを備えた構成であるから、車両の走行速度が増減して、内部アンテナが交信周領域を通過する通過時間が変化した場合にも、その交信周領域で確実に発信可能なデータ長さの信号列を調製することができ得る。したがって、この信号列をなす各データ信号を、車両に配設したデータ処理装置へ確実に送信することができる。また、このようにデータ数を調整することにより、該信号列を調製する処理を行う構成は、比較的微弱な駆動電流でも信号列を生成して発信可能である。これにより、このデータ生成出力装置は、電波から駆動電流を得る小型軽量のものとできる。
上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、制御処理回路の調製制御処理が、データ処理装置から送信された走行速度データを入力し、この走行速度により回転する内部アンテナが交信周領域を通過する間に発信可能となるデータ数を設定する処理内容と、所要の物理量のデータ信号を、当該データ数に基づいて、予め定められた優先順序に従って一又は複数の信号列に順次割り当てる処理内容とを備えた構成とした場合には、車両の走行速度に応じたデータ数を設定できることから、交信周領域で確実に発信できる信号列を安定的に生成でき得る。また、所要の各データ信号をその優先順序に従って一又は複数の信号列に割り当てることにより、比較的重要なデータ信号を優先して割り当てることも可能であるから、タイヤ監視装置として、タイヤの状態を効率的に監視することもでき得る。
また、上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、信号生成回路が、信号列の先頭に先頭信号を生成し、かつ、最後尾に終了信号を生成する処理を備えてなり、制御処理回路の調製制御処理が、前回信号列の終了信号が発信不能であると、前回の信号列に所定のデータ信号を追加又は削除して、信号列を生成する処理内容を備えた構成とした場合には、車両の走行速度の増減に伴って変化する、交信周領域で発信可能なデータ長さに、データ信号を追加又は削除することにより合わせることができるため、交信周領域で確実にデータ処理装置へ送信できる信号列を安定的に生成することができ得る。
また、上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、時間計測するタイマーを備えると共に、制御処理回路の調製制御処理が、タイマーにより計測したデータ発信時間で発信可能となるデータ数を設定する処理内容と、所要の物理量のデータ信号を、当該データ数に基づいて、予め定められた優先順序に従って一又は複数の信号列に順次割り当てる処理内容とを備えた構成とした場合には、データ発信時間内で発信できるデータ長さとなるように、データ数を設定することができるため、車両の走行速度が変わった場合にも、その走行速度に応じて、交信周領域で確実に発信できる信号列を安定的に生成することができ得る。また、所要の各データ信号をその優先順序に従って一又は複数の信号列に割り当てることにより、比較的重要なデータ信号を優先して割り当てることも可能であるから、タイヤ監視装置として、タイヤの状態を効率的に監視することもでき得る。
また、上述したタイヤ監視装置のデータ生成出力装置にあって、制御処理回路の調製制御処理が、所要の物理量のデータ信号を、予め定められた優先順序に従って循環するように、複数の信号列に順次割り当てる処理内容を備えると共に、制御処理回路の発信制御処理が、複数の信号列に各データ信号を割り当てる場合に、各信号列を、前記データ信号の割り当て順序に従って、交信周領域の通過毎に順次発信する処理内容を備えた構成とした場合には、所要の物理量のデータ信号を全て、データ処理装置へ送信する複数の信号列を生成することができ得る。したがって、このタイヤ監視装置は、データ処理装置が順次受信する各データ信号により、タイヤの状態を確実かつ充分に監視できるものである。
一方、本発明のタイヤ監視装置にあっては、上述した各構成のいずれかのデータ生成出力装置と、データ処理装置とを備えてなるものであるから、上述したデータ生成出力装置の作用効果を発揮でき、タイヤの状態を複数種類の物理量により監視するようにした装置として、車両の走行速度が増減した場合にも、その監視機能を充分かつ確実に発揮し得るものである。
上述したタイヤ監視装置にあって、データ処理装置が、データ生成出力装置の内部アンテナと電波の送受信を行う外部アンテナと、該外部アンテナから発信する電波を制御すると共に、外部アンテナから受信したデータ信号から各種物理量のデータを演算処理する演算制御回路とを備えた構成にあっては、データ生成出力装置から受信したデータ信号から、タイヤの状態を示す各物理量のデータを得ることができ、車両側でタイヤの状態を適正に監視可能となっている。
本発明の実施例を添付図面を用いて詳述する。
このタイヤ監視装置1は、図1のように、自動車51の各タイヤ52のホイール54毎に夫々に配設されたデータ生成出力装置2と、車体の各タイヤハウス53毎に外部アンテナ11を配設してなるデータ処理装置3とから構成されている。ここで、自動車51は、本発明にかかる車両である。
上記したデータ生成出力装置2は、ホイール54のホイールリム55のドロップ部56(図2)の外表面に配設されており(図示省略)、後で詳述するように、タイヤ52内の状態を様々に検知できるようになっている。また、このデータ生成出力装置2は、図2のように、自動車51の走行中、タイヤ52と共に回転することとなる。一方、データ処理装置3の外部アンテナ11は、タイヤ52の一回転毎に、前記データ生成出力装置2と対向可能となる位置に配設されている。すなわち、データ生成出力装置2の内部アンテナ21は、タイヤ52の一回転毎に、タイヤハウス53に配置した外部アンテナ11と対向する位置を回転通過する。そして、内部アンテナ21と外部アンテナ11とは、両者の距離が所定範囲内となる周領域で、電波の送受信を行うことができる。この内部アンテナ21と外部アンテナ11とが送受信可能な周領域が、本発明にかかる交信周領域Sであり、この交信周領域Sで、内部アンテナ21と外部アンテナ11とが、自動車51の走行中、定期的かつ断続的に交信可能となる。この交信周領域Sでは、後述するように、内部アンテナ21が、外部アンテナ11からの駆動電流用の電波を適正に受信できると共に、タイヤ52内の状態を示すデータ信号を該外部アンテナ11へ適正に送信できる。
ここで、データ生成出力装置2は、後述するように、外部アンテナ11から受信した電波を電力として駆動するものであるため、内部アンテナ21から発信する電波が比較的弱く、外部アンテナ11との交信可能距離に制限がある。このため、上記した交信周領域Sも制限された領域となる。本実施例にあって、この交信周領域Sは、タイヤ52の一回転する360度に対して、約60度〜約90度の範囲となっている。
次に本発明にかかるデータ生成出力装置2の構成を、図3に従って説明する。
このデータ生成出力装置2は、内部アンテナ21と、プリント基板(図示省略)上に各実装要素を配置してなる基板装置部20とを備えたものである。この基板装置部20には、内部アンテナ21と接続され、該アンテナ21から受信した電波を所定量に制限する送電制御回路23が配設されている。尚、この送電制御回路23はダイオードから構成されてなる(図示省略)。この送電制御回路23は、整流回路24と接続しており、上述したデータ処理装置3の外部アンテナ11から内部アンテナ21を経て入力した交流電波を所定量に制限して、該整流回路24へ出力するようになっている。この整流回路24は、半導体片上に、四個のダイオードとコンデンサとによりブリッジ回路を形成してなるものであり(図示省略)、送電制御回路23から入力した交流電波を直流電流に整流して、駆動電流を生成する。また、この整流回路24は、電流貯留回路25に接続されており、生成した駆動電流を該電流貯留回路25に順次出力するようになっている。この電流貯留回路25は、整流回路24から入力した駆動電流を充電するコンデンサから構成されている(図示省略)。
この電流貯留回路25は、プリント基板(図示省略)上に配置した増幅回路33にも接続されており、駆動電流を出力可能となっている。
また、この電流貯留回路25は、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31、記憶回路32にそれぞれ接続されており、充電した駆動電流をこれら各回路へ出力できるようになっている。ここで、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31、記憶回路32は、上記した整流回路24と共に半導体片(図示省略)上に設けられている。また、この半導体片上には制御処理回路26も配設されており、該制御処理回路26は電流貯留回路25と接続されている。この制御処理回路26は、電流貯留回路25に蓄積された駆動電流量が前記各実装回路の作動電力に達したか否かを判定し、該作動電力に達していると、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31に夫々送られた駆動電流により、所定の作動を開始する指示信号を出力する。
上記したように、整流回路24、制御処理回路26、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31、記憶回路32は、半導体片(図示省略)上に形成され、半導体集積回路部22を構成している。この半導体集積回路部22の半導体片はプリント基板上に設置されており(図示省略)、該半導体集積回路部22に形成した各実装回路と、上述した送電制御回路23、電流貯留回路25、増幅回路33とを、ワイヤーボンディングにより接続している(図示省略)。そして、このワイヤーボンディング以外では、半導体集積回路部22を、送電制御回路23、電流貯留回路25,増幅回路33から絶縁している。これは、半導体集積回路部22の半導体片が短絡して比較的大きい電流が流れることを防止するためである。
一方、上記した半導体集積回路部22に設けられた圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29はそれぞれ、所定の半導体チップから構成されている(図示省略)。この圧力センサ27はタイヤ空気圧を検知するためのものであり、温度センサ28はタイヤ内側空域の温度を検知するためのものである。さらに振動センサ29はタイヤ(又はホイール)に掛かる径方向の振動を、ホイールリム55を介して間接的に検知するためのものである。これら各センサ27,28,29は、電流貯留回路25から得た駆動電流が流れた場合に各入出力端子間で変化した電圧量を、それぞれ圧力量、温度量、振動量として検知するようにしたものである。これら圧力量、温度量、振動量が、本発明にかかる物理量であり、これら各物理量は、上記したA/Dコンバータ30へ出力される。尚、圧力センサ27、温度センサ28は、各検知部位がタイヤ内側空域に露出するように配設されている。一方、振動センサ29は、その検知部位が密閉された空間に設けられてなり、タイヤ空気圧の影響を受けないようになっている。この圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29が、本発明にかかる検知センサである。
このような圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29は、上記したA/Dコンバータ30に夫々に接続されている。A/Dコンバータ30は、上述した電流貯留回路25から得た駆動電流により駆動して、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29から夫々入力した圧力量、温度量、振動量の各物理量を夫々デジタル化する。そして、デジタル化した各データを、このA/Dコンバータ30と接続されている変調回路31に出力する。この変調回路31は、上述した電流貯留回路25から得た駆動電流により駆動して、デジタル化した各データを無線送信用のデータ信号に夫々変調する。このように、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29により検出した圧力量、温度量、振動量の各物理量は、A/Dコンバータ30と変調回路31とによって、それぞれ圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号に変調される。また、この変調回路31には、後述する記憶回路32に記憶保持されている識別データも入力され、識別データ信号に変調される。ここで、圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号、識別データ信号を、以下タイヤデータ信号として表す。さらに、この変調回路31では、前記タイヤデータ信号の前後に発信する先頭信号と終了信号とが生成され、先頭信号、タイヤデータ信号、後述する正誤確認データ信号、終了信号の順に、上述した増幅回路33へ出力する。この正誤確認データ信号は、タイヤデータ信号が正確であるか否かを判定するための信号であり、詳しくは後述する。尚、A/Dコンバータ30及び変調回路31が、本発明にかかる信号生成回路である。また、変調回路31から出力される複数のデータ信号が列んだものが、本発明にかかる信号列(図6参照)である。
上記の変調回路31は、増幅回路33に接続されている。この増幅回路33は、上述した電流貯留回路25から得た駆動電流により、変調回路31から入力した各データ信号を増幅して内部アンテナ21から発信するものである。ここで、増幅回路33は、変調回路31から、上記のように列んだ複数のデータ信号を入力すると、この各データ信号を順次時系列的に発信する。尚、この増幅回路33が、本発明にかかる信号発信回路である。
また、半導体集積回路部22に設けられた記憶回路32は、記憶保持されたデータを書き換え不能な領域と、データの書き換え可能な領域とを備えてなる。そして、この記憶回路32の書き換え可能領域には、タイヤ52やホイール54の各識別番号を示す識別データが記憶保持されている。さらに、この記憶回路32の書き換え不能領域には、後述するように、制御処理回路26が制御処理する演算プログラムを記憶保持している。この記憶回路32は、制御処理回路26に接続されており、該制御処理回路26の指示に従って、所定データを読み書きできるようになっている。
一方、半導体集積回路部22に配設された制御処理回路26は、上記した電流貯留回路25、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31と夫々接続されている。この制御処理回路26は、中央制御装置CPUから構成されており、様々な演算制御処理を行うものである。この演算制御処理として、電流貯留回路25から各実装回路の作動電流量を蓄積したことを示す信号を入力すると、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31に各作動の実行を指示する作動開始信号を出力する。また、電流貯留回路25から、蓄積された駆動電流が所定の作動電流量より低下したことを示す信号を入力すると、前記各実装部品に作動停止を指示する作動停止信号を出力する。このように、制御処理回路26は、電流貯留回路25が、各実装回路を作動させるに必要な作動電流量まで蓄積しているか否かにより、該各実装回路に作動開始信号又は作動停止信号を出力し、夫々作動の実行又は停止を指示する制御処理を行う。
ここで、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29、A/Dコンバータ30、変調回路31は、制御処理回路26から作動開始信号を入力すると、電流貯留回路25から得た駆動電流により上述した各作動を実行するようになっている。そして、作動停止信号を入力すると、各作動を停止する。一方、電流貯留回路25では、上述した整流回路24からの充電と、前記各実装部品への放電とが行われている。
さらに、この制御処理回路26は、上述した交信周領域Sで内部アンテナ21から発信する、複数のデータ信号からなる信号列を生成する調製制御処理と、この信号列を発信する発信制御処理とを実行する。ここで、信号列は、上述したように、該信号列を構成する各信号が順次時系列的に内部アンテナ21から発信されるものである。このため、信号列のデータ数に従って、信号列のデータ長さが異なり、このデータ長さに従って、発信に要する時間も異なる。したがって、上記した調製制御処理では、信号列を、交信周領域Sで発信可能なデータ長さとなるデータ数に調整している。尚、制御処理回路26の調製制御処理は、交信周領域Sで発信可能なデータ数に基づいて信号列の設定を行い、この設定に従って信号列の生成指示を変調回路31に出力することにより、該変調回路31を制御して信号列を生成する。一方、発信制御処理は、変調回路31の生成した信号列を、その順列に従って増幅回路33に出力し、内部アンテナ21から発信する制御を行う。特に、複数の信号列が設定された場合には、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過する毎に、変調回路31から増幅回路33へ順次信号列を出力し、内部アンテナ21から発信する制御を行う。尚、この制御処理回路26による各制御処理は、本発明の要部にかかり、詳しくは後述する。
このようなデータ生成出力装置2は、図示しない、所定の封止樹脂によって、全体的に被覆されて、ホイールリム55のドロップ部56の外表面に配設されている。この封止樹脂は、データ生成出力装置2に実装される各回路の絶縁性を確保して保護するものである。但し、上記した圧力センサ27、温度センサ28にあっては、タイヤ空気圧、タイヤ内側空域の温度を夫々正確に測定できるように、各検知部位には封止樹脂を被覆していない。
次に、データ処理装置3について、図4に従って説明する。
このデータ処理装置3は、各タイヤハウス53に夫々配設され、電波を発信する外部アンテナ11と、電波の生成やデータ信号の演算などの処理を行う処理装置部10とを備えている。この処理装置部10は、外部アンテナ11から発信する電波を生成する発振回路12と、該発振回路12で生成した電波を増幅する増幅回路13と、外部アンテナ11で受信した各タイヤデータ信号をデジタルデータに復調する復調回路14と、この各データに従って、タイヤ空気圧、タイヤ内側空域の温度、タイヤの振動を算出し、これらが適正範囲にあるか否かを判定処理する演算制御回路15とを備えている。また、この処理装置部10にはバンドパスフィルタ19も設けられており、外部アンテナ11で受信したデータ信号を、該バンドパスフィルタ19を経由して復調回路14へ入力するようになっている。また、自動車51の運転者に、タイヤ空気圧、タイヤ内側空域の温度、タイヤの振動から得たタイヤの状態をデジタル表示して報知すると共に、タイヤの状態が異常である場合には警報を発する報知装置16も備えている。さらに、この処理装置部10には、外部インターフェイス17が配設されており、前記したタイヤの、空気圧、温度、振動の適正範囲を示す各データが記憶保持された記憶カード等の記憶媒体をセットできるようになっている。すなわち、演算制御回路15は、外部インターフェイス17から読み込んだ適正範囲データを基準として、タイヤ内側空域の空気圧、温度、振動が適正であるか否かを判定して、タイヤの現状を良否判断するようになっている。尚、この外部インターフェイス17にセットされる記憶カード等の記憶媒体は、タイヤを交換した場合等に、各タイヤに応じた適正範囲データを書き込みできるようになっている。
ここで、演算制御回路15は、中央制御装置CPU(図示省略)と記憶装置ROM(図示省略)と記憶装置RAM(図示省略)とを備えてなる。この記憶装置ROMには、復調回路14から入力した圧力データ、温度データ、振動データからそれぞれ空気圧、温度、振動を算出し、基準値と比較判定するための演算プログラムや、この処理装置部10に配設されている各実装回路を制御するプログラムや、報知装置16を作動するプログラム等が記憶保持されている。また、演算制御回路15は、発振回路12による、電波の発振制御も行っている。この電波の発振は、本実施例にあって、自動車のエンジン駆動中は定常的に行うように制御している。尚、エンジン駆動中であっても、自動車51の停車中に、データ信号を所定時間受信できない場合、電波の発振を停止する制御を行う。これは、自動車51の停車中に、データ生成出力装置2の内部アンテナ21が交信周領域Sに存在しない場合である。
この演算制御回路15は、タイヤ空気圧を、上記した圧力データと温度データとから算出するように演算処理している。すなわち、上記したデータ生成出力装置2の圧力センサ27の圧力温度関係を予め設定し、温度データを用いて温度補償することにより、適正なタイヤ空気圧を算出するようにしている。この圧力温度関係を示す固定データは、演算制御回路15の記憶装置ROMに記憶保持されている。
このようなデータ処理装置3には、該装置3に実装された各回路へ駆動電流を流す電源回路18が配設されている。この電源回路18は、自動車51のバッテリーから電力を得て、所定量の駆動電流を各回路へ流すようにしているものである。すなわち、このデータ処理装置3は、エンジンの作動中だけでなく、エンジンが停止している状態でも、上述したように、駆動電力用の電波を発信する処理及びデータ信号を受信して演算する処理等を行い得るようになっている。尚ここで、エンジン停止中は、予め設定した所定時間毎に、電源回路18から駆動電流を各回路に流すように制御し、電力消費を制限している。
次に、上述したデータ生成出力装置2から出力するデータ信号の、生成及び発信の制御について、以下の実施例1〜実施例4に従って夫々説明する。
上述したように、データ生成出力装置2の内部アンテナ21と、データ処理装置3の外部アンテナ11との交信周領域Sは、制限された領域である。そして、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過する通過時間は、自動車の走行速度に伴って変わる。このため、この交信周領域Sで内部アンテナ21から発信できる信号列は、そのデータ長さが交信周領域Sの通過時間に従って制限されたものとなる。すなわち、比較的低速走行時には、信号列のデータ長さが長くても充分に発信可能であるが、高速走行時には、交信周領域Sの通過時間も短くなるため、信号列のデータ長さを短くしなければ発信できない。
本実施例にあっては、自動車の走行速度に応じて、交信周領域Sで発信可能な信号列を調製し、発信するように制御している。この信号列の生成及び発信を行う制御処理方法の具体例として、実施例1〜実施例4を以下詳細に説明する。尚、各実施例で信号列を構成するデータ信号としては、上述した先頭信号、タイヤデータ信号、正誤確認データ信号、終了信号である。ここで、タイヤデータ信号は、上述したように、圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号、識別データ信号の四種類としている。
実施例1のデータ生成出力装置2は、データ処理装置3から自動車51の走行速度を表す走行速度データ信号を受信し、この走行速度データ信号の示す走行速度で内部アンテナ21が交信周領域Sを一回通過する間に、該交信周領域Sで発信可能な信号列を生成し発信するようにしたものである。以下、図5に示すタイヤ52の状態を監視するフロー図に従って、各構成及び制御の流れを順次説明する。
本実施例1のデータ処理装置3は、自動車51のメインコンピュータから走行速度を表す走行速度データを連続的に入力し、この走行速度データの信号を外部アンテナ11から発信する制御処理を行っている。このデータ処理装置3の演算制御回路15は、自動車51のメインコンピュータと接続されており(図示省略)、メインコンピュータから連続的に入力される走行速度データを、発振回路12により送信用信号(走行速度データ信号)に変調して、増幅回路13を経て外部アンテナ11から発信するように制御処理している。ここで、演算制御回路15は、エンジンが駆動している間、この走行速度データ信号と上述した駆動電力用の電波とを交互に連続して発信するように制御している。すなわち、データ生成出力装置2は、交信周領域Sを通過する毎に、データ処理装置3から発信された信号と電波とを受信できるようになっている。ここで、データ処理装置3の演算制御回路15により、走行速度データを自動車51のメインコンピュータから得て、当該データを送信用信号に変調して発信する制御処理を行うことが、本発明にかかる速度データ発信手段である。
一方、データ生成出力装置2は、上述したように、交信周領域Sで、内部アンテナ21が駆動電流用の電波と走行速度データの信号とを順次受信する。ここで、駆動電流用の電波は、上述したように、送電制御回路23を経て整流回路24により駆動電流に変換される。そして、この駆動電流は、電流貯留回路25に充電される。この電流貯留回路25に、データ生成出力装置2の各回路及びセンサを作動可能となる所定の作動電流量が蓄積されると、当該電流貯留回路25から各回路及びセンサに駆動電流が流れる。また、上述したように、所定の作動電流量が蓄積したことを示す信号を制御処理回路26へ出力する。これにより、制御処理回路26は、上述したように各回路及びセンサに、夫々作動開始を指示する作動開始信号を出力する。
制御処理回路26から作動指示を受けた圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29により、それぞれ検知された圧力量、温度量、振動量は、A/Dコンバータ30でデジタル化されて、変調回路31へ入力される。また、記憶回路32から識別データが、変調回路31へ入力される。尚、A/Dコンバータ30は、各圧力量、温度量、振動量をデジタル化した各データを制御処理回路26へも出力する。
また、このデータ生成出力装置2には、図3のように、バンドパスフィルタ34と復調回路35が配設されており、内部アンテナ21で受信した走行速度データ信号を、該バンドパスフィルタ34及び復調回路35により復調して、その走行速度データを制御処理回路26へ入力するようになっている。尚、このバンドパスフィルタ34及び復調回路35は、上述したデータ処理装置3と同様のものであり、詳細説明は省略する。
このように走行速度データを入力した制御処理回路26は、所定の演算プログラムに従って、交信周領域Sで発信可能なデータ長さとなるデータ数を設定する。ここで、信号列には、上述したように、先頭信号、正誤確認データ信号、終了信号を備えたものである。このため、この信号列のデータ長さを変えるためには、圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号、識別データ信号のタイヤデータ信号のなかの、いくつの信号から信号列を構成するかということとなる。したがって、本実施例で設定されるデータ数は、信号列を構成する前記タイヤデータ信号の構成数を表すものとしており、「1」〜「4」までの数のいずれかである。
上記データ数を設定する処理は、入力した速度データが、予め所定速度毎に複数範囲に区分けされて設定されている各速度範囲のいずれに該当するかを判定し、各範囲毎に設定されているデータ数を選定するようにした処理である。本実施例1にあっては、図6のように、速度範囲を四区分設定しており、各速度範囲毎に、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過する間に発信可能となるデータ数が設けられている。尚、このデータ数は、上述したように、信号列をなすタイヤデータ信号の構成数を表している。
そして、上記のようにタイヤデータ信号のデータ数が設定されると、該データ数に基づいて、上記四種のタイヤデータ信号を、一又は複数の信号列に割り当てる処理が実行される。ここで、タイヤデータ信号は、圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号、識別データ信号の順序で、予め優先順序が定められている。そして、この優先順序の、最も優先度の高い圧力量に対応する圧力データ信号から、最も優先度の低い識別データ信号までの順に、各タイヤデータ信号を一又は複数の信号列に割り当てる。このようにして、一又は複数の信号列を構成するタイヤデータ信号が設定され、この設定に従って、変調回路31へ信号列の生成を指示する信号を出力して、変調回路31により信号列を生成する制御を行う。さらに、変調回路31に、信号列を、該信号列を構成する各データ信号が順次時系列的に発信されるように、増幅回路33への出力を指示する発信指示信号も出力する。増幅回路33へ出力された各データ信号は、その順に内部アンテナ21から順次発信されることから、制御処理回路26は、前記発信指示信号により、信号列の発信を制御している。尚、複数の信号列が設定された場合には、タイヤデータ信号を信号列に割り当てた割り当て順に従って、信号列を生成及び発信するように指示する。例えば四つの信号列が設定された場合、最初の信号列を生成及び発信制御し、残りの設定データは、上述した記録回路32に記憶保持する。そして、次に内部アンテナ21が交信周領域Sを通過している間に、二番目の信号列を生成及び発信制御する。同様に、三番目、四番目の信号列が、順次生成及び発信するように制御する。
尚、この優先順序は、信号列にタイヤデータ信号を割り当てる場合に、循環するように設定している。すなわち、圧力データ信号から順に信号列に割り当てていき、識別データ信号まで割り当てると、再び圧力データ信号から割り当てるようにしている。具体的には、上記したタイヤデータ信号の構成数を表すデータ数が「3」に設定された場合、図6(B)のように、四種類の信号列が生成されることとなる。すなわち、設定したデータ数が、タイヤデータ信号の総数を割り切れない場合(約数でない場合)には、各タイヤデータ信号を優先順序に従って循環するようにして、複数の信号列に割り当てるようにしている。
また、上述したように、信号列をなす正誤確認データ信号は、この信号列を構成するタイヤデータ信号のタイヤデータが正しいか否かを判定するための正誤確認データを送信用信号に変調したものである。この正誤確認データは、制御処理回路26により、A/Dコンバータ30から入力した圧力データ、温度データ、振動データと、記憶回路32から入力した識別データとから算出される。制御処理回路26は、上述のように、タイヤデータ信号のデータ数を設定し、各タイヤデータ信号を割り当てることにより一又は複数の信号列を設定すると、各信号列に割り当てたタイヤデータの正誤確認データを算出する。本実施例にあって、正誤確認データは、信号列に割り当てたタイヤデータを合計したデータ値としている。例えば、全てのタイヤデータを一信号列に割り当てた場合には、全タイヤデータを合計することにより正誤確認データを算出する。また、二信号列に割り当てた場合には、各信号列を構成する夫々二個毎のタイヤデータをそれぞれ合計して、二つの正誤確認データを算出する。そして、このように算出された正誤確認データは、変調回路31へ出力されて、変調回路31で正誤確認データ信号に変調され、上述した信号列を生成する指示信号に従って、信号列を構成する。尚、複数の信号列を生成する場合には、信号列の発信順序に従って、正誤確認データを変調回路31へ入力するようにしている。例えば、四信号列を生成する場合には、最初の信号列に割り当てた正誤確認データを変調回路31へ出力し、これ以外の正誤確認データは記憶回路32へ出力する。そして、次に信号列を生成する時に、二番目の正誤確認データを記憶回路32から変調回路31へ出力する。三番目、四番目の正誤確認データも同様に処理される。
上述したように、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過する間に発信できる信号列を生成する制御処理が、本発明にかかる調製制御処理であり、信号列を発信する制御処理が、本発明にかかる発信制御処理である。
本実施例1にあっては、図6(A)のように、走行速度が25km/h未満である場合、タイヤデータ信号のデータ数を「4」と設定し、全てのタイヤデータ信号が一信号列を構成するように設定される。さらに、この全てのタイヤデータの正誤確認データを算出する。この設定に従って、変調回路31で、先頭信号、圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号、識別データ信号、正誤確認データ信号、終了信号からなる信号列を生成する。そして、この信号列を、その先頭信号から順に増幅回路33に出力し、該増幅回路33は、これらデータ信号を時系列的に内部アンテナ21から発信する。
また、図6(B)のように、走行速度が25km/h以上かつ50km/h未満である場合には、データ数を「3」と設定し、各タイヤデータ信号を順次割り当てた四信号列を設定する。この場合、第一の信号列には、圧力データ、温度データ、振動データが割り当てられ、第二の信号列には、識別データ、圧力データ、温度データが割り当てられる。このように、上述した優先順序に従って循環するように、各タイヤデータが割り当てられ、四種類の信号列が設定される。また、各信号列毎に、正誤確認データが算出される。そして、変調回路31により第一の信号列を生成し、増幅回路33を経て内部アンテナ21から当該信号列を発信する。このように第一の信号列を発信すると、内部アンテナ21が交信周領域Sから外れてしまうため、次以降の信号列は、交信周領域Sを通過する毎に順次発信する。このように、各タイヤデータを優先順序に従って割り当てることにより、一又は複数の信号列を生成して発信する。尚、複数の信号列を生成する場合には、この割り当て順で信号列を発信するように制御することにより、優先順序の高いタイヤデータを先にデータ処理装置3へ送信されるようにしている。
また、図6(C)のように、走行速度が50km/h以上かつ100km/h未満である場合には、データ数を「2」と設定し、各タイヤデータを二個毎に二信号列に割り当てる。すなわち、二種類の信号列が設定される。さらに、上述と同様に、各信号列毎に正誤確認データが夫々算出される。そして、変調回路31により、第一の信号列が生成され、増幅回路33から発信される。また、第二の信号列は、次に交信周領域Sを通過する時に生成し発信する。
さらにまた、図6(D)のように、走行速度が100km/h以上である場合には、データ数を「1」と設定し、各タイヤデータを一個毎に順次信号列に割り当て、四種類の信号列を設定する。ここで、各正誤確認データは、各タイヤデータとなる。そして、交信周領域Sを通過する毎に、タイヤデータの優先順序に従って、各信号列を発信する。
ここで、制御処理回路26は、タイヤデータ信号のデータ数の設定値が「3」、「2」、「1」の場合、この設定したデータ数と、タイヤデータ信号を夫々割り当てた複数の信号列の設定パターンと、各タイヤデータ及び正誤確認データとを記憶回路32に記憶保持するように処理する。そして、交信周領域Sを通過する毎に、これら各データを読み込んで、順次信号列を生成して発信するように制御している。尚、これら記憶保持された各データは、車両速度が変化し、上述した速度範囲が変わった場合、新たにデータ数や信号列等を設定し、随時書き換るようにしている。
さらに、制御処理回路26が複数の信号列を設定した場合には、この複数の信号列を発信終了するまで、記憶回路に保持した各タイヤデータにより各信号列を生成するようにしている。すなわち、上述した同じデータ数を設定する速度位置で走行している場合には、内部アンテナ21が、そのデータ数から設定される信号列数だけ周回する毎に、新たな物理量を検知するようにしている。例えば、二種類の信号列を設定する速度域で走行している場合には、二周回毎に、圧力量、温度量、振動量を検知して、新たなタイヤデータ信号を発信するようになっている。同様に、一種類の信号列を設定する場合には、毎周回毎に新たなタイヤデータ信号を発信し、四種類の信号列を設定する場合には、四周回毎に新たなタイヤデータ信号を発信する。
このように、制御処理回路26が走行速度データに応じて信号列の生成及び発信を制御処理することにより、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過している間に、該内部アンテナ21から信号列を確実に発信することができる。そして、データ処理装置3が、この信号列を外部アンテナ11で受信すると、上述したようにバンドパスフィルタ19から復調回路14を経由して演算制御回路15へ入力する。この演算制御回路15は、圧力データ、温度データ、振動データ、識別データの各タイヤデータと、正誤確認データとを読み込み、所定の演算プログラムにより、タイヤ空気圧、タイヤ内側空域の温度、振動状態等を算出する。さらに、各タイヤデータを合計し、この合計値が正誤確認データと等しいか否かの判定を行う。そして、正誤確認データを等しい場合には、各タイヤデータを正しいと判断し、各タイヤデータが、予め設定されている正常範囲内に収まっているか否かを判定し、タイヤの状態が正常か異常かを判断する。ここで、正常と判断すると、報知装置16が、タイヤの状態が正常であるグリーン表示を表出させて、自動車の運転者に報知する。一方、異常と判断すると、報知装置16がレッド表示するととも、所定の警報音をスピーカ等から出力するようになっている。このように、各タイヤ52の状態を監視している。
上記した正誤確認データによる判定から各タイヤデータが正しくないと判断すると、このタイヤデータを破棄し、次に信号列を受信するまで待機する。また、タイヤデータが正しくないという判断が、所定回数連続すると、タイヤ監視装置1が異常であると判断し、当該異常を示す所定表示を報知装置16で表出し、タイヤ監視装置1の異常を運転手に報知するようにしている。尚、データ処理装置3が、信号列を構成する先頭信号、終了信号を受信できなかった場合には、この信号列のデータ信号を破棄し、次の信号列を受信するまで待機する。
一方、データ生成出力装置2は、停車中や駐車中のように走行速度が0km/hである場合にも、上述したように各物理量を検知し、信号列を生成して発信する制御を実行することにより、タイヤの状態を監視している。この場合、データ生成出力装置2の内部アンテナ21が交信周領域S内に位置していると、上述したように、データ数を「4」と設定して信号列を生成し発信する(図6(A))。尚、走行速度が0km/hの場合は、データ処理装置3から電波及び走行速度データの信号を、所定時間間隔毎に発信するようにしており、データ生成出力装置2による信号列の生成及び発信も、この所定時間間隔毎に行われる。一方、内部アンテナ21が交信周領域S内に位置していないと、データ生成出力装置2から信号列が発信されないため、データ処理装置3は、駆動電力用の電波と走行速度データの発信を停止する。自動車51は、四本のタイヤ52が装着されているため、その内一本のタイヤ52の内部アンテナ21が交信周領域S内に位置していれば、上述したタイヤを監視する制御を実行するようにしている。
上述したように、本実施例1は、走行速度データの該当する速度範囲を判定する演算処理によりデータ数を設定し、このデータ数のタイヤデータ信号からなる信号列を生成して、該信号列の各信号を順次時系列的に発信するようにした制御処理及び作動を行う構成である。このような制御処理及び作動は、比較的単純なものであることから、比較的少ない電力量で行うことができ、データ処理装置3から送信された電波を変換して得た駆動電流により、充分かつ確実に実行可能なものである。
この本実施例1にあっては、信号列を構成するタイヤデータ信号のデータ数及び信号列を設定する処理に、自動車51の走行速度を示す走行速度データを用いた構成であるが、この他、走行速度と相対的に比例関係にあるタイヤ回転数を走行速度データとして用いることも可能である。
また、本実施例1のように、走行速度を所定速度毎に複数範囲に区分して、各速度範囲毎に夫々定められたデータ数から信号列を生成する制御処理方法にあって、走行速度の速度範囲を区分する数は、様々に設定することが可能である。例えば、自動車51の停止中と走行中との二区分として、停止中には、図7(A)のように、全てのタイヤデータからなる信号列を生成して発信し、走行中には、図7(B)のように、一タイヤデータからなる信号列を生成して発信するように制御処理する構成とすることも可能である。この構成では、自動車の走行中、最もデータ長さが短い信号列を発信することから、低速走行から高速走行までの速度域で、交信周領域Sで当該信号列を確実に送信できる。また、例えば、八区分の速度範囲を設定して、より緻密にデータ数を設定して、交信周領域Sで一層適正化した信号列を生成し発信する制御を行うようにすることも可能である(図示省略)。
また、本実施例1にあって、各タイヤデータ信号を複数の信号列に割り当てる処理を行う場合に、この処理により設定した複数の信号列を、交信周領域Sの通過毎に新たに検知した物理量からタイヤデータを更新して、この更新したタイヤデータのタイヤデータ信号から信号列を生成するように制御することもできる。これにより、複数の信号列により各タイヤデータ信号を発信する場合にも、随時検知した物理量をデータ処理装置3へ送ることができる。
実施例2にあっては、信号列が交信周領域Sで発信中断した場合に、交信周領域Sで信号列を発信可能となるように、当該信号列に所定のデータ信号を追加又は削除することにより、新たな信号列を生成し発信するように制御処理するものである(図9,図10)。したがって、上述した実施例1のように走行速度データの信号を発信する処理を、本実施例2のデータ処理装置3では行わない。また、図8のように、本実施例2のデータ生成出力装置2aは、その基板装置部20aに設けられている半導体集積回路部22aに、上述した実施例1のようにバンドパスフィルタ34や復調回路35を備えていない構成である。このデータ生成出力装置2aは、内部アンテナ21で受信した電波を、上述したように送電制御回路23を経て整流回路24に入力して駆動電流に変換する。
以下に、本実施例2の、データ信号を生成し発信する制御処理を順に説明する。
上述したように、データ処理装置3から送信された駆動電流用の電波を、データ生成出力装置2aが交信周領域Sで受信すると、駆動電流を得て、各回路に該駆動電流が流れる。ここで、データ処理装置3は、上述した実施例1と同様に、自動車51の停車中又は駐車中にあっても駆動電流用の電波を発信するようにしている。
自動車51の停止中又は走行開始直後の極低速走行時にあって、データ生成出力装置2は、駆動電流用の電波を受信し、所定の作動電力量に達すると、制御処理回路26の指示により、各回路及びセンサが作動する。制御処理回路26は、図9(A)のように、上述した圧力データ信号、温度データ信号、振動データ信号、識別データ信号の全てのタイヤデータ信号からなる信号列を生成して発信するように制御処理している(図6(A)の「信号列」項目参照)。ここで、停止中又は極低速走行中は、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過中に、駆動電流用の電波を受信して、全てのタイヤデータ信号からなる信号列を、その各データ信号を時系列的に順次発信することにより、データ処理装置3へ確実に送信可能である。
ここで、変調回路31により生成する信号列は、上述した実施例1と同様、先頭信号、タイヤデータ信号、正誤確認データ信号、終了信号の順に構成される。本実施例2にあっては、この信号列の先頭信号を、増幅回路33から内部アンテナ21を経て発信すると、該増幅回路33から発信開始を示す信号が制御処理回路26に出力され、制御処理回路26は発信フラグをオンする。その後、当該信号列の終了信号を発信すると、増幅回路33から発信終了を示す信号が出力され、制御処理回路26は発信フラグをオフとする。
自動車51が加速して走行速度が上がっていくと、図9(B)のように、全てのタイヤデータ信号からなる信号列を、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過している間に発信できなくなってしまう。ここで、内部アンテナ21が交信周領域Sから外れると、該内部アンテナ21は駆動電力用の電波を受信できなくなり、電流貯留回路25の蓄積する電流量が作動電流量より少なくなる。これにより、制御処理回路26は、データ生成出力装置2aの各実装要素の作動を停止するように制御する。したがって、信号列の発信が中断し、上記した発信フラグはオン状態で維持されることとなる。尚、この信号列を受信したデータ処理装置3は、終了信号を受信できないことにより、受信エラーとして、当該信号列の各データ信号を破棄する処理を行う。
そして、図9(C)のように、次に内部アンテナ21が交信周領域Sを通過すると、駆動電力用の電波を受信し、各物理量の検知と、信号列の生成及び発信の制御処理が実行される。制御処理回路26は、発信フラグがオン状態である場合、前回の信号列から識別データ信号を削除し、新たな信号列を設定する。尚、この信号列設定に伴って、発信フラグをオフとする。さらに、この新しい信号列をなすタイヤデータ信号の構成数からデータ数を「3」に設定し、このデータ数に従って、各タイヤデータを優先順序に従って順次割り当ててなる四種類の信号列を設定する(図6(B)の「信号列」項目参照)。ここで、この最初の信号列は、前記のように、識別データ信号を削除することによって既に設定されていることから、二番目以降の信号列を新たに設定することとなる。そして、変調回路31により信号列を生成し、増幅回路33から内部アンテナ21を経て発信する。
このようにタイヤデータ信号を一削除した信号列が、交信周領域Sの通過中に発信完了すれば、この終了信号の発信により発信フラグがオフとなるため、次回以降の交信周領域S通過毎に、上記のように設定した各信号列を順次生成し発信することとなる。
また、自動車51が加速している場合には、再び信号列の発信が中断されることもある。このように連続して信号列の発信が中断されると、再度上述と同様に、制御処理回路26は、発信フラグがオン状態であることから、前回の信号列から振動データ信号を削除し、新たな信号列を設定する。さらに、この信号列のデータ数「2」に従って、二種類の信号列を設定する(図6(C)の「信号列」項目参照)。そして、これに従って変調回路31及び増幅回路33により信号列を生成し発信する。さらにまた、このデータ信号の発信が中断された場合、制御処理回路26は、前回の信号列から温度データ信号を削除して、信号列を構成するタイヤデータ信号が圧力データ信号だけである信号列を設定すると共に、四種類の信号列を設定する(図6(D)の「信号列」項目参照)。そして、この信号列の生成と発信との制御処理を実行する。
このように、自動車51が加速する場合には、信号列を交信周領域Sで発信できない毎に、信号列を構成するタイヤデータ信号を順次一個毎削除して、発信可能な信号列を生成するようにしている。そして、信号列を交信周領域Sで発信完了することができると、次回以降、そのデータ数に基づいて設定された信号列を、順次発信するようにしている。ここで、上述のように、信号列からタイヤデータ信号を削除する処理は、上述した優先順位の低い方から順に削除するように行うようにしている。
一方、自動車51が減速した場合には、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過中に、信号列を発信した後に時間が余ることとなる。本実施例2にあっては、制御処理回路26により、データ数「1」〜「3」のタイヤデータ信号からなる複数の信号列を設定している場合に、この信号列を連続的に発信するように制御処理している。尚、連続して信号列を発信する場合には、前の信号列の発信終了後、所定時間間隔をおいて、次の信号列を発信するようにしている。この所定時間間隔は、一個のタイヤデータ信号の発信に要する時間として設定している。
例えば、図10(A)のように、タイヤデータ信号のデータ数が「1」であり、各タイヤデータ信号からなる四種類の信号列を生成し発信するように制御しているとする。この場合に、自動車51が減速すると、図10(B)のように、一信号列を発信終了後も、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過中となり、上述した所定時間間隔をおいて次の信号列を発信する。そして、この二回目の信号列は、その発信中に内部アンテナ21が交信周領域Sから外れることにより、発信中断することとなる。この交信周領域Sでは、発信フラグがオン作動後オフ作動し、さらにオン作動する。尚、この二回目の信号列は、データ処理装置3で受信エラー処理される。
上記図10(B)の次に、図10(C)のように、内部アンテナ21が交信周領域Sに進入すると、制御処理回路26は、発信フラグがオン状態であり、かつ前回通過中に二回オン作動したことを確認する。これにより、前回(二回目)の信号列に所定のタイヤデータ信号を追加することにより、新たな信号列を設定する。さらに、このデータ数「2」に従って、各タイヤデータ信号を割り当てた二種類の信号列を設定する。そして、この信号列の設定に従って、変調回路31及び増幅回路33によりデータ信号の生成と発信とを制御する。
さらに、走行速度が減速すると、上述した加速の場合と同様に、発信フラグの二回オン作動が確認され、信号列に再び所定タイヤデータ信号を追加して新たな信号列を設定し、このデータ数に従って、各タイヤデータ信号を割り当てた信号列を設定する。そして、この信号列を生成し発信する。尚、信号列が全タイヤデータから構成されたものとなると、この信号列を連続して発信しないように制御している。一方、交信周領域Sで信号列が連続して発信開始されなければ、次回以降の交信周領域S通過毎に、このデータ数に従って設定した信号列を順次生成し発信するように制御処理する。
このような減速時に信号列にタイヤデータ信号を追加する処理は、前回の信号列をなすタイヤデータ信号の次に優先順序の高い信号を追加する。例えば、前回の信号列が、圧力データ信号、温度データ信号から構成されている場合には、振動データを追加することとなる。
また、自動車51が加減速を繰り返す場合には、上述したように、制御処理回路26は、発信フラグがオン状態であるか否かを判断し、オン状態であれば、オン作動が一回か二回かを判断する。そして、各判断に従って、上述したように、前回の信号列に所定のタイヤデータ信号を追加又は削除する処理を行い、新たな信号列を生成する制御と発信する制御とを行っている。
上述したように本実施例2にあっては、交信周領域Sで発信する信号列を、走行速度の加減速に伴って発信中断した場合に、この信号列に所定のタイヤデータ信号を追加又は削除することにより、新たな信号列を生成し発信するように制御処理した構成である。したがって、走行速度に応じて、交信周領域Sで発信可能な信号列を随時生成することができ、タイヤの状態を表す複数の物理量を、データ処理装置3へ適正かつ確実に送信することができる。尚、この実施例2では、上述した実施例1のように速度データをデータ処理装置3から送信する処理を要しないことから、データ生成出力装置2aの構成も簡素化されたものとなるという優れた利点も有する。
さらに、信号列に、所定のタイヤデータ信号を追加又は削除する処理を行った場合には、そのデータ数に基づいて、タイヤデータ信号を優先順序に従って一又は複数の信号列に割り当てることにより、次回以降の信号列を設定する処理を行うようにしている。これにより、データ数の増減に伴って、該データ数に基づく信号列を適正に生成するようにしている。ここで、本実施例にあっても、上述した実施例1と同様に、データ数を、信号列のタイヤデータ信号の構成数として扱っている。
この本実施例2にあっては、データ処理装置から走行速度データを送信せず、データ生成出力装置がデータ信号の発信中断に応じて、データ数を加減算する演算処理を行うようにした構成であり、これ以外の構成及び処理方法は、実施例1と同じであり、同じ構成及び処理方法については説明を省略している。
尚、本実施例2にあって、信号列が発信中断した場合に、追加又は削除するタイヤデータ信号の数は、一個として設定するだけでなく、二個に設定することも可能である。特に、タイヤの状態を検知する物理量が、もっと多数の場合には、信号列が発信中断する毎に、二個や三個のタイヤデータ信号を追加又は削除する処理を行うことで、急速な増減後の走行速度に適応する信号列に早く到達できることともなり得る。
また、上述した実施例2の追加又は削除処理方法の他の方法として、前回の信号列が発信中断した場合には、前回の信号列から所定のタイヤデータ信号を追加又は削除し、この信号列のデータ数に基づいて、上記した優先順序の最も高い圧力データ信号から順に、一又は複数の信号列に割り当てることにより、新たな信号列を設定するようにしても良い。この構成では、前回までの信号列の構成をリセットして、新たに、圧力データ信号から順に構成した信号列を生成し、順次発信することができるようにしている。
さらにまた、上記した実施例2の別例として、信号列の発信が中断した場合に、信号列を構成するタイヤデータ信号のデータ数を所定数加算又は減算して、新たなデータ数を設定し、当該データ数に従って、各タイヤデータ信号を割り当てた一又は複数の信号列を設定し、この信号列を生成して発信するように制御処理するようにしても良い。この構成にあっても、上述と同様、走行速度に最適な信号列を生成して発信するという作用効果を発揮し得る。
実施例3にあっては、図11のように、データ生成出力装置2bが、その基板装置部20bに設けられている半導体集積回路部22bに、時間計測するタイマー38を備えてなる構成である。このデータ生成出力装置2bは、内部アンテナ21が交信周領域Sを通過している間に、前記タイマー38により、信号列を発信するためのデータ発信時間を計測し、このデータ発信時間に従って、信号列を構成するタイヤデータ信号の構成数を設定する処理を行う。この実施例3でも、信号列のデータ数を、タイヤデータ信号の構成数として扱っている。そして、このデータ数に基づいて、各タイヤデータ信号を一又は複数の信号列に割り当てることにより、信号列を設定し、この信号列を生成して発信する制御処理を行う。ここで、タイマー38は、制御処理回路26に接続されており、該制御処理回路26の指示に従って時間計測を実行する。本実施例3にあっては、制御処理回路26が、増幅回路33により信号列の先頭信号の発信開始に同期して時間計測開始し、電流貯留回路25に貯留する電力量が所定の作動電流量より少なくなると、作動停止信号を出力するのと同期して計測終了するように制御している。尚、自動車51が停車中では、タイマー38の時間計測が長時間化することから、計測時間の上限値を予め定めており、この上限値に達すると、時間計測を停止するように制御している。
尚、本実施例3にあっては、交信周領域Sの通過毎に、一信号列を発信するように制御している。すなわち、交信周領域Sを通過中に、連続して複数の信号列を発信しない。
ここで、データ生成出力装置2bに配設された記憶回路32には、「1」〜「4」のデータ数のタイヤデータ信号から構成された信号列を発信可能とするデータ発信時間が、それぞれ所定時間範囲毎に予め設定されている。そして、制御処理回路26は、タイマー38で計測したデータ発信時間が該当する時間範囲を判定し、当該時間範囲に定められたデータ数を選定する処理を行う。この制御処理回路26によるデータ数の選定処理は、前回交信周領域Sを内部アンテナ21が通過した時に計測したデータ発信時間を用いて行われる。したがって、走行速度の変化に追従するように、交信周領域Sで発信可能なデータ信号が生成され、該データ信号が順次発信されるようになっている。
このように本実施例3にあっても、上述した実施例1と同様に、走行速度に応じたデータ信号が随時生成されることとなり、圧力データ、温度データ、振動データ、識別データの各タイヤデータを交信周領域Sで適正かつ確実に発信することができるようになっている。尚、このタイマー38により計測したデータ発信時間に従ってデータ数を算出する処理の演算プログラムは、上述した実施例1の走行速度データに従ってデータ数を設定する演算プログラムと、その演算過程がほぼ同様に実行されるものである。而して、この実施例3は、上述した実施例1と同様の作用効果を発揮し得るものである。
この本実施例3にあっては、データ処理装置が速度データを送信せず、データ生成出力装置がタイマーによりデータ発信時間を計測し、このデータ発信時間に従ってデータ数を算出する処理を行うようにした以外は、上述した実施例1と同じであり、同じ構成及び処理方法については説明を省略している。
実施例4にあっては、上述した実施例3と同様にタイマー38を備えたデータ生成出力装置2b(図11参照)が、自動車51が減速した場合に、図12のように、データ信号の発信終了から内部アンテナ21が交信周領域Sを外れるまでの非処理時間を測定し、この非処理時間に従って、信号列をなすタイヤデータ信号のデータ数(構成数)を追加する処理を行うようにしたものである。ここで、本実施例4では、交信周領域Sで、一信号列を発信するように発信制御している。
一方、自動車51が加速した場合には、上述した実施例2と同様に、データ信号の発信中断によって発信フラグがオン状態であると、前回信号列から所定のタイヤデータ信号を削除して、新たな信号列を生成する処理を行う。すなわち、図9のように、走行速度が上がり、交信周領域Sで信号列の発信が中断されると、当該信号列の先頭信号の発信に伴う発信フラグのオン状態が残ることとなる。このため、次回の交信周領域Sの通過時に、制御処理回路26が発信フラグのオン状態を確認し、前回の信号列から所定のタイヤデータ信号を一削除して、新たな信号列を設定する。さらに、この信号列のデータ数に従って、各タイヤデータ信号を割り当ててなる一又は複数の信号列を設定する。そして、この設定に従って、信号列を生成して発信する制御処理を行う。このように、走行速度が増すことに従って、交信周領域Sで発信可能な信号列を随時生成するように制御処理している。
また、上述した減速時の処理としては、図12のように、交信周領域Sで信号列を発信した場合に、当該信号列の終了信号の発信に伴って発信フラグがオフとなると、タイマー38が時間計測を開始し、電流貯留回路25に貯留する電力量が所定の作動電流量より少なくなることにより、作動停止信号を出力することに伴って、時間計測を終了するように制御している。すなわち、図12(A)のように信号列を発信している場合に、自動車51が減速すると、図12(B)のように、タイマー38により非処理時間を計測する。そして次に交信周領域Sへ進入すると、図12(C)のように、制御処理回路26は、この非処理時間が予め設定された加算時間以上であるか否かを判定する。ここで、この非処理時間が加算時間以上であると判断した場合、制御処理回路26は、前回の信号列を構成するタイヤデータ信号のデータ数に、一加算して新たなデータ数を設定する処理を行う。この加算時間は、一タイヤデータ信号の発信に要する時間に設定している。すなわち、信号列のタイヤデータ信号を増やすか否かの判定に用いる非処理時間は、タイヤデータ信号を追加した信号列が発信可能か否かを判断するものであり、所謂本発明にかかるデータ発信時間となっている。
ここで、タイマー38により計測された非処理時間(データ発信時間)が、上記した加算時間より短い場合には、前回の信号列と同様に、順次信号列を生成発信する処理結果が継続して実行される。尚、この減速時には、発信フラグはオフとなっていることから、加速時のようにデータ信号を削除する処理は行われない。逆に、上記した加速時には、タイマー38が計測開始できないことから、この減速時の処理は行われない。
このように本実施例4にあっては、交信周領域Sで発信する信号列を、走行速度の加速時と減速時とで夫々異なる制御処理により生成及び発信制御するようにしたものである。そして、この構成にあっても、上述した実施例1〜実施例3と同様に、タイヤの状態を表す複数種類の物理量を、車両側のデータ処理装置へ、走行速度に応じて適正かつ確実に送信可能とするという作用効果を発揮できるものである。尚、本実施例4にあっても、上述した実施例1〜実施例3と同じ構成及び同じ処理方法については、その説明を省略している。
本実施例4にあって、走行速度の加速時の制御処理を、上述した実施例2の別例のように、前回の信号列のデータ数から一減算して、新たなデータ数を設定し、該データ数に従って信号列を設定するようにした構成とすることもでき得る。この構成にあっても、上述した実施例1〜実施例3と同じ作用効果を発揮できる。
上述した実施例1〜実施例4は、圧縮データ、温度データ、振動データ、識別データの全タイヤデータを発信するように制御処理した構成であるが、この他の構成として、信号列を構成するタイヤデータ信号のデータ数が所定数以下となると、特定のタイヤデータを選択して、信号列を生成するように制御処理することも可能である。例えば、走行速度が比較的高速となり、タイヤデータ信号のデータ数が三個以下となると、圧力データ、温度データ、振動データを発信するように、データ信号を生成するように制御処理する。これは、識別データが、ホイールやタイヤの識別番号等の情報を記録したデータであるため、比較的低速走行時のみ発信だけとして、高速走行時にはタイヤ状態を表すのに重要な圧力データ、温度データ、振動データを発信するようにしたものである。
また、上述した実施例1〜実施例4の構成にあっては、交信周領域Sで発信可能なデータ数に基づいて、四種類のタイヤデータ信号を、優先順序に従って循環するように、複数の信号列に割り当てるように処理した構成であるが、他の処理方法として、常に優先度の高い方から順に信号列を構成する処理を行うものとすることもできる。この場合には、データ数が同じであると、毎回、優先度の高い同じデータ信号から信号列が生成されることとなる。このため、走行速度が比較的高速の場合には、優先度の高いデータ信号が毎回送信されることとなる。そして、優先度の低いデータ信号は、走行速度が比較的低速の場合にのみ送信される。さらにまた別方法として、夫々異なる処理を、所定条件に応じて選択的に実行したり、所定回数毎に交互に実行するように制御することも可能である。
また、実施例1〜実施例4では、データ数を、信号列を構成するタイヤデータ信号の構成数として制御処理するようにした構成であるが、他に、データ数を、信号列を構成する全ての信号の数として制御することも可能である。
また、実施例1〜実施例4にあって、タイヤの状態を検知する物理量として、圧力量、温度量、振動量の他に、加速度量やタイヤ自体の温度等を検知するようにしても良い。この加速度量は、所定の加速度センサをデータ生成出力装置に配設することにより検知可能である。この加速度センサは、上述した振動センサとほぼ同じ構成であり、周方向の振動を検知するものである。また、タイヤ自体の温度量は、所定の温度センサをタイヤ内側面に接触するように配設することにより検知可能である。尚、この加速度センサやタイヤ自体の温度を検知する温度センサは、上記した実施例1〜実施例4に追加するように設置しても良いし、また、圧力センサ27、温度センサ28、振動センサ29のいずれかに代わって設置するようにしても良い。
本発明のタイヤ監視装置1を、自動車51に配設した状態を示す説明図である。
同上のタイヤ監視装置1の、外部アンテナ11と内部アンテナ21との交信周領域Sを表す説明図である。
実施例1のデータ生成出力装置2を表すブロック図である。
本実施例のデータ処理装置3を表すブロック図である。
実施例1の、タイヤの状態を表す物理量を検知し、該物理量に対応する各タイヤデータを発信する一連の過程を表すフロー図である。
同上の、走行速度に応じて設定されたデータ数と信号列とを表す説明図である。
実施例1の別例として、走行速度に応じて設定されたデータ数と信号列とを表す説明図である。
実施例2のデータ生成出力装置2aを表すブロック図である。
同上のデータ生成出力装置2aによる、走行速度が増した場合に信号列を生成し発信する制御処理過程を表す説明図である。
同上のデータ生成出力装置2aによる、走行速度が減じた場合にデータ信号を生成する演算処理過程を表す説明図である。
実施例3のデータ生成出力装置2bを表すブロック図である。
実施例4のデータ生成出力装置2bによる、走行速度が減じた場合にデータ信号を生成する演算処理過程を表す説明図である。
符号の説明
1 タイヤ監視装置
2,2a,2b データ生成出力装置
3 データ処理装置
11 外部アンテナ
15 演算制御回路
21 内部アンテナ
24 整流回路
26 制御処理回路
27 圧力センサ(検知センサ)
28 温度センサ(検知センサ)
29 振動センサ(検知センサ)
30 A/Dコンバータ(信号生成回路)
31 変調回路(信号生成回路)
33 増幅回路(信号発信回路)
38 タイマー
51 自動車(車両)
52 タイヤ
54 ホイール
55 ホイールリム
S 交信周領域