以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
<表面増強振動分光分析用治具について>
図1は、本発明の一実施形態としての表面増強振動分光分析用治具の概略を示す図である。
図1(A)は下地膜上に突起が形成される場合で、図1(B)は下地膜12上に柱状構造体が形成される場合である。
下地膜12については、銀、金、銅、プラチウム、パラジウム、クロムなどの触媒活性を有する金属であることが好ましいが、触媒活性を有しない金属であってもよい。また、平坦性を持つ連続した膜状の膜であることが好ましい。
また、金属膜14付きの基板13については、可視光又は赤外線が透過する材料であることが好ましく、Si、Ge、ガラスなどの電解めっきに用いる水溶液に対する不溶解性を有する透過材料であることが好ましい。
また、CaF2、BaF2などの溶解性を有する赤外線透過材料もあるが、電解めっきなどに用いる水溶液に浸さないようにすれば良い。
図1(a)は、下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が形成され、さらに酸化亜鉛突起11の側面に銀、金などの金属膜14が形成される例の突起近傍の拡大側面図である。
また、図1(b)は、下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が形成され、さらに酸化亜鉛突起11の側面に金属微粒子15又は半導体微粒子15が付着される例の突起近傍の拡大側面図である。
その微粒子15の粒径は1nm以上1μm以下であることが好ましい。続いて、その上に金、銀などの金属膜14が形成されている。
また、酸化亜鉛突起11は酸化亜鉛針状結晶からなっているが、ここで針状結晶について説明する。
針状結晶とはいわゆるウィスカーであり、欠陥の無い針状単結晶又は螺旋転移などを含んだ針状結晶からなっている。
また、針状結晶は円柱及び円錐、円錐で先端が尖っているものや先端が平坦なものなどをすべて含む。
さらに、三角錐、四角錘、六角錘、それ以外の多角錘やその多角錘の先端が平坦なものも含む。また、三角柱、四角柱、六角柱、それ以外の多角柱状又は先端が尖った三角柱、四角柱、六角柱、それ以外の多角柱状やその先端が平坦なものなども含まれ、さらに、これらの折れ線状構造も含まれる。
また、生成された針状結晶のアスペクト比は2以上、さらに10以上であることが好ましく、針状結晶において最大直径を有する横切断面の重心を通る最小長さも1μm以下、さらに500μm以下であることが好ましい。
ここでいうアスペクト比とは、針状結晶の横切断面が円形又は円形に近い状態の形状の場合は直径に対する突起高さの比率をいう。針状結晶の横切断面が六角形などの角形の場合は切断面の重心を通る最小長さに対する突起高さの比率をいうものとする。
また、本実施の形態の表面増強ラマン分光分析用治具においては、各々の最も近接する突起11の間隔距離は100nm以上2μm以下であることが好ましい。ここでいう間隔距離とは、各々の突起11の最大直径を有する横切断面の重心の間隔距離をいうものとする。
図1(c)は、下地膜12付きの基板13上に多数の柱状構造体16が形成される例の柱状構造体近傍の拡大側面図である。
また、図1(d)は、下地膜12付きの基板13上に多数の柱状構造体16が形成され、さらに柱状構造体16の表面に金属膜14が形成される例の柱状構造体近傍の拡大側面図である。
また、柱状構造体16は貴金属からなっていることが好ましく、特に銀、金、銅、プラチウムのいずれかであることが好ましい。
また、柱状構造体16は平均直径rrが25nm以下であるが、好ましくは柱状構造体16の平均直径2rは1〜15nmであり、その中心間距離2Rは5〜30nmである。
もう一つ、平均直径2rは20nm以上500nm以下であり、中心間距離2Rが30nm以上1μm以下であることも好ましい。
また、アスペクト比が2以上であることが好ましく、長さは限定されるものではない。ここでいうアスペクト比とは、柱状構造体16の平均直径に対する高さの比率をいうものとする。
また、金属膜14は島状、微粒子状又は膜状の金属膜14からなっている。
図2は、各々の金属膜14を示す斜視図である。
金属膜14の材料は銀、金、銅、プラチウム、パラジウム、クロムなどの貴金属であることが好ましい。
また、島状の金属膜21は、図2(a)に示すように、不定形の島状の粒子から成っており、粒径は1nm以上10nm以下であることが好ましい。
また、図2(b)に示すような微粒子状の金属膜22は銀、金などの貴金属微粒子からなっており、粒径が1nm以上10nm以下であることが好ましい。
金属膜14は膜厚が1nm以上10nm以下であることが好ましい。
また、その微粒子状の金属膜22の粒径は、柱状構造体11の隙間距離つまり中心間距離2Rと平均直径2rとの差よりも小さいことが好ましい。
特に、金属膜14付きの柱状構造体11では、各々の柱状構造体11の間隔距離つまり中心間距離2Rと平均距離2rとの差が0nm以上数nm以下の距離であることが好ましい。
<表面増強振動分光分析用治具の製造方法について>
図3は、本発明の一実施形態としての表面増強ラマン分光分析用治具の製造方法の一例としての亜鉛針状結晶からなる突起11を電解めっきにより作製する方法を示す側面図である。
ここからは酸化亜鉛針状結晶を酸化亜鉛突起11とする。
少なくとも亜鉛イオンが含まれている電解液35中において、電解めっきを行うことにより、径が細く高アスペクト比を有する酸化亜鉛突起11を作製することができる。
亜鉛を含有する塩として使用できる化合物としては、例えば硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛などが挙げられる。
電解質としてこれらの化合物の中から選んだ一種類の化合物でも、二種類以上の混合させた化合物でも用いることができる。
酸化亜鉛突起11を作製する条件としては、高アスペクト比を得るためにより低濃度が好まれ、1mmol/L〜0.05mol/L程度の範囲が適しており、さらに1mmol/L〜0.01mol/L程度の範囲がより好ましい。
又、電解溶媒としては、エタノール等の有機媒体、水、酸素等の気体を溶かした水等を用いるが、扱いの容易さにより水が好ましい。
酸化亜鉛突起11を電解めっきにより作製する方法としては、3電極又は2電極を使用して、少なくとも亜鉛イオンが含有された電解液35に導電性を有する基板13(作用極33)を浸して電位を印加する。このようにすることにより、酸化亜鉛突起11を作製することができる。
図3は、3電極で電解めっきを行う例である。
参照極31、対極32及び作用極33をビーカー34中の電解液35に浸して電位を印加することにより、作用極33である基板13上に酸化亜鉛の突起11が成長する。
この作製条件として、少なくとも亜鉛塩が含有された電解質及びその電解質濃度、IPAや水等の電解溶媒、電解電位値、電解液の温度、電解めっき時間、酸素などの活性気体濃度、電解液の対流条件等を変える。それ以外には、添加する界面活性剤の種類、添加量も変えれば良い。
例えば、硝酸亜鉛水溶液を採用して電解めっきを行う場合は以下の条件で行うのが好ましい。
硝酸亜鉛濃度は1mmol/L以上10mmol/L以下
Ag/AgClの参照極31に対する作用極33の電位つまり電解電位は−0.9V以上−1.5V以下
電解液35温度はマントルヒーター36等を用いて85℃以上90℃以下
また、酸化亜鉛微粒子15の作製方法として、例えば電解液35は0.1mol/L〜1.0mol/Lの硝酸亜鉛のIPA溶液を用いてこの電解液35を50〜70℃の範囲内に設定する。
そして、酸化亜鉛突起11を作製した下地膜12付きの基板13を電解液35に浸して−3.0〜−7.0Vの電解電位を印加すればよい。
また、金属又は酸化亜鉛以外の半導体からなる微粒子15の作製方法として、レーザ加熱法、スパッタ法、ガス蒸着法、コロイド法などにより作製できる。
例えば、ガス蒸着法を用いて前記の酸化亜鉛突起11を作製した下地膜12付きの基板13上にアルゴンガスなどの不活性ガスの下で銀やアルミニウムなどの金属やSiなどの半導体を蒸着すればよい。
無電解めっきにより金属の柱状構造体16を作製する方法を、図4、図5を用いて詳細に説明する。
以下の説明で用いるat%とは、SiとAlの原子の数の割合を示す。atom%又はat%とも記載され、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法(ICP法)で(Al,Si)混合薄膜51中のSiとAlの量を定量分析したときの値である。
図4は、(Al,Si,Ge)混合薄膜51を形成した下地膜12付きの基板13の構成を示す図である。
図4において、42は柱状部材、41はSiを主成分とするマトリックス部分、12は下地膜、13は基板である。
(Al,Si,Ge)混合薄膜51には、マトリックス41中に複数の柱状部材42が分散していることになる。
また、柱状部材42の平均直径(平面形状が円の場合は直径)2r(図4)は、主として(Al,Si,Ge)混合薄膜51の製造条件により制御することが可能である。その平均直径2rは0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下である。
なお、楕円等の場合は、最も長い外径部の範囲内であればよい。ここで平均直径とは、例えば、実際のSEM写真で観察される柱状の部分を、その写真から直接又はコンピュータで画像処理して導出される値である。
なお、薄膜をどのようなデバイスに用いるか、又はどのような処理を行うかにもよるが、平均径の下限としては1nm以上、又は数nm以上であることが実用的な下限値である。
また、柱状部材32間の中心間距離2R(図4)は、30nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下である。
(Al,Si,Ge)混合薄膜51は、膜状の構造体であることが好ましく、柱状部材42は下地膜12及び基板13に対して垂直になるようにマトリックス41中に分散していることが好ましい。
(Al,Si,Ge)混合薄膜51の膜厚としては、特に限定されるものではないが、1nm以上100μm以下の範囲で適用できる。
図5は、金属の柱状構造体16の製造方法の一実施様態としての工程を示す断面図である。
混合薄膜51を形成した下地膜12付きの基板13をエッチング液及び無電解めっき浴に浸す。このようにすることで、多孔質体53の有する細孔51中に下地膜12付きの基板13上に垂直方向に金属の柱状構造体16を形成する。本実施の形態では、一例として(Si,Al)OX混合薄膜(0≦X≦2)を採用する。
混合薄膜51は、非平衡状態で成膜する方法を利用して作製することができる。
成膜方法としては、スパッタリング法が好ましいが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)、イオンプレーティング法をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
スパッタリング法で行う場合には、マグネトロンスパッタリング、RFスパッタリング、ECRスパッタリング、DCスパッタリング法を用いることができる。
一例として、(Si,Al)OX混合薄膜(0≦X≦2)51を用いた場合の表面増強振動分光分析用治具の製造方法を以下の(a)〜(e)の順に追って説明する。(図4、5)
(a)工程:下地膜12の形成工程(図5(a))
無電解めっきを行うには、基体上に触媒活性を有する下地膜12を形成する必要がある。触媒としては、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Rh、Irなどの貴金属元素などが好ましい。
触媒性を有する下地膜12を選択的に形成することで選択的に無電解めっき皮膜を形成させることが可能であるが、特に平坦性を有した連続した膜が好ましい。
また、膜厚は所望通りに制御してもよいが、100nm以下が好ましい。特に20nm以下が好ましい。
触媒活性を有する下地膜12の形成方法として、ゾルゲル法、蒸着法、スパッタリング法などが挙げられるが、本実施形態においてはスパッタリング法を採用し、膜厚20nm以下の触媒活性を有する連続した膜を形成する。
(b)工程:(Al,Si)混合薄膜51(ここでは(Si,Al)OX混合薄膜(X=0))の形成工程
次に、(a)工程で作製した下地膜12付きの基板13上に(Al,Si)混合薄膜51を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を説明する。(図5(b))
下地膜12付きの基板13上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、(Al,Si)混合薄膜51を形成する。(Al,Si)混合薄膜51は、Alを主成分とする柱状部材42と、その周囲のSiを主成分とするマトリックス41から構成される。
図8に示すように、下地膜12付きの基板13上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、(Al,Si)混合薄膜51を形成する(特開2003−266400号公報)。
原料としてのSi及びAlは、図8に示すようにAlのターゲット84上にSiチップ83を配置することで達成される。また、図8に示すように、Siチップ83は複数に分けて配置しているが、もちろんこれに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、一つであってもよい。
ただし、均一なAlを含む柱状部材42を、Siを主成分とするマトリックス41領域内に均一に分散させるには、Alターゲット84上にSiチップ83を対称に配置しておくのがよい。
また、所定量のAlとSiとの粉末を焼成して作製したAlSi焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。
また、AlターゲットとSiターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いてもよい。
形成される膜中のシリコンの量は、AlとSiの全量に対して20〜70at%であり、好ましくは25〜65at%、さらに好ましくは30〜60at%である。
Si量がかかる範囲内であれば、Siを主成分とするマトリックス41領域内にAlを主成分とする柱状部材42が分散した(Al,Si)混合薄膜51が得られる。
上記のようにして成膜された(Al,Si)混合薄膜51は、Alを主成分とする柱状部材42と、その周囲のSiを主成分とするマトリックス41領域を備える。また、基体温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
なお、このような方法で(Al,Si)混合薄膜51を形成すると、AlとSiが準安定状態の共晶型組織となり、AlがSiマトリックス41内に数nmレベルのナノ構造体(柱状部材42)を形成し、自己組織的に分離する。
そのときのAlはほぼ円柱状形状であり、その孔径は1nm以上15nm以下であり、中心間距離は2nm以上30nm以下である。
(Al,Si)混合薄膜51のSiの量は、例えばAlターゲット84上に置くSiチップ83の量を変えることで制御できる。
また、非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、Arガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度が好ましい。
また、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットでは、150〜1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、Arプラズマ82が安定に形成される圧力及び出力で成膜を行えばよい。
下地膜12付きの基板13においては、(Al,Si)混合薄膜51の形成に不都合がなければ、基体の材質、表面形状、機械的強度などは特に限定されるものではない。
(c)工程:細孔52形成工程(図5(c))
上記の(Al,Si)混合薄膜51中のAl領域(Alを主成分とする柱状部材42領域)のみを選択的にエッチングを行う。
その結果、細孔52を有するSiを主成分とするマトリックス41領域のみが残り、多孔質体53が形成される。
しかし、エッチングを行う度に(Al,Si)混合薄膜51は酸化される場合があるので、(Si,Al)OX多孔質体53(0≦X≦2)が形成されることにする。
なお、(Si,Al)OX多孔質体53(0≦X≦2)の細孔52は、中心間距離2Rが30nm以下、平均直径2rが20nm以下である。好ましくは、細孔52の平均直径2rは1nm以上15nm以下であり、その中心間距離2Rは5nm以上20nm以下である。
また、長さは1nm上100μm以下の範囲である。
エッチングに用いる溶液は、例えばAlを溶かしSiはほとんど溶解しない、
りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられる。
エッチングによる細孔52形成に不都合がなければ水酸化ナトリウムやアンモニア水などのアルカリを用いることができ、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。
また、数種類の酸溶液又は数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する(Si,Al)OX多孔質体41(0≦X≦2)に応じて、適宜設定することができる。
(d)工程:(b)
工程で作製した(Al,Si)混合薄膜51又は(c)工程で作製した(Si,Al)OX多孔質体41(0≦X≦2)の細孔52中に無電解めっきにより金属の柱状構造体16を充填させ、ナノ構造体44を形成する工程(図5(d))
無電解めっきにより作製する金属の柱状構造体16の材料としては、Au、Ag、Cu、Ptの貴金属が好ましい。
本発明における金属の柱状構造体16の製造方法として、無電解めっき浴に(c)工程で作製した(Si,Al)OX多孔質体(0≦X≦2)53及び下地膜12付きの基板13を浸す。こうすることで、(Si,Al)OX多孔質体53(0≦X≦2)の細孔52中に金属の柱状構造体16を形成させることが可能である。
無電解めっきに用いるめっき浴の主成分としては、析出させる金属を含む塩つまり金属塩、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボランなどの金属イオンを金属として析出させるために電子を与える還元剤がある。
また、めっき浴に金属の沈殿を生じさせないようにするのに必要な添加剤、つまり錯化剤もある。
クエン酸ナトリウムや酒石酸ナトリウムなどの錯化剤を添加することにより金属イオンを金属錯体にしてそのままの状態にすることが可能なので、錯化剤も添加するのが好ましい。
また、水酸化ナトリウムやアンモニア水などの塩基性化合物などのpH調整剤は、めっき速度、還元効率及びめっき皮膜の状態に大きく及ぼすが、無電解めっき浴のpHを安定させるためにpH調整剤を添加するのが好ましい。
無電解めっき浴のpHは、無電解めっきの種類によって違う。無電解めっき浴のpHは(Si,Al)OX多孔質体53(0≦X≦2)が高速で溶けない程度の範囲内であれば、酸性又はアルカリ性を有する無電解めっき浴を用いてもよい。
無電解めっきによる金属の柱状構造体16の作製条件として以下にあげるものがあげられる。
金属塩、還元剤、錯化剤、pH調整剤などのめっき浴における成分の種類の組み合わせ、各々の濃度、めっき浴温度、攪拌速度、pHの調整、基板を無電解めっき浴に浸す時間である。これらを制御することで所望通りのサイズを有する金属の柱状構造体16を作製することが可能である。
また、 (Al,Si)混合薄膜41を無電解めっき浴に浸すことにより、酸化されて形成した(Si,Al)OX多孔質体41(0≦X≦2)の細孔52中に金属の柱状構造体16を形成する方法については、以下の条件が必要である。
無電解めっき浴に(Al,Si)混合薄膜41を浸す間にSiを主成分とするマトリックス41を溶解させずにAlを主成分とする柱状部材42を下地膜12の表面の位置まで溶解させて(Al,Si)混合薄膜51に細孔52をあける。
このようにすることで、(Si,Al)OX多孔質体53(0≦X≦2)を形成する必要がある。
つまり、無電解めっきに用いるめっき浴は、Siを主成分とするマトリックス41が変化しない又は酸化する程度、又は少し溶ける程度、かつAlを主成分とする柱状部材42が溶ける程度のpHの範囲を有することが好ましい。
特に、pH3以上pH6以下の酸性、又はpH10以上pH12以下のアルカリ性であることが好ましい。
金属塩、還元剤、錯化剤、pH調整剤などのめっき浴における成分の種類の組み合わせ、各々の濃度、めっき浴温度、攪拌速度、pHの調整、混合薄膜51を無電解めっき浴に浸す時間を制御する。これによって、Alを主成分とする柱状部材42の溶かし具合を制御することが可能である。
攪拌速度や無電解めっき浴に前記混合薄膜51を浸す時間などを調整することで、Alを主成分とする柱状部材42を全て溶解させることにより細孔52を形成させ、多孔質体53を形成する。
続いて、前記多孔質体53を前記無電解めっき浴に浸した状態のままで、前記細孔52中に金属の柱状構造体16を形成すればよい。
(e)工程:(d)工程で作製したナノ構造体54中の多孔質体53を除去し金属の柱状構造体16を形成する工程(図5(e))
上記のナノ構造体54中のSiを主成分とするマトリックス41のみを選択的にエッチングを行う。
その結果、Siを主成分とするマトリックス41領域のみが溶解してなくなるが、下地膜12付きの基板13上に金属の柱状構造体16を形成できる。
なお、金属の柱状構造体16は、中心間距離2Rが30nm以下、平均直径2rが20nm以下であるが、好ましくは、金属の柱状構造体16の平均直径2rは1nm以上15nm以下である。中心間距離2Rは5nm以上20nm以下である。また、長さは0.5nm以上100μm以下の範囲である。
エッチングに用いる溶液は、Siを主成分とするマトリックス41を溶かし金属の柱状構造体16はほとんど溶解しないものが好ましい。りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの強酸性、水酸化ナトリウムやアンモニア水などの強アルカリ性を有するものが好ましく、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。
また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。
またエッチング条件においては、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する金属の柱状構造体16に応じて、適宜設定することができる。
金属の柱状構造体16が変化しない程度、又は少し溶ける程度、かつSiを主成分とするマトリックス41が溶ける程度のpHの範囲を有することが好ましい。特に、pH3以下の強酸性、又はpH12以上の強アルカリ性であることが好ましい。
また、(b)〜(e)工程においては、(Al,Ge)混合薄膜、(Al,Si,Ge)混合薄膜も同様にして、上述した(Al,Si)混合薄膜51の場合に用いたSiの代わりにそれぞれGe、SiGeを用いれば適用できる。
もう一つの例として、ベースであるAlのみからなる薄膜つまりAl薄膜71の陽極酸化及び電解めっきを行う場合の表面増強振動分光分析用治具の製造方法を以下の(a)〜(e)の順に追って説明する(図6、7)。
(a)工程:下地膜12の形成工程(図7(a))
電解めっきを行うには、無電解めっきを行う場合と同様に基板13上に触媒活性を有する下地膜12を形成しても良いが、触媒活性を有しない金属からなる下地膜12を形成しても良い。
特に平坦性を有した連続した膜が好ましい。また、膜厚は所望通りに制御してもよいが、100nm以下が好ましい。特に20nm以下が好ましい。下地膜12の形成方法として、ゾルゲル法、蒸着法、スパッタリング法などが挙げられるが、スパッタリング法を採用し、膜厚20nm以下の触媒活性を有する連続した膜を形成する。
(b)工程:Al薄膜71の形成工程(図7(b))
Al薄膜71の形成方法としては、ゾルゲル法、蒸着法、スパッタリング法などが挙げられるが、本発明においてはスパッタリング法を採用する。
また、所望通りの膜厚を有するAl薄膜71を形成することも可能であり、例えば膜厚100μmのAl薄膜71を下地膜12付きの基板13上に形成することが可能であるので、膜厚は限定されるものではない。
(c)工程:細孔52形成工程(図7(c))
Al薄膜71の陽極酸化について説明するが、まずAl又はAl合金の陽極酸化について説明する。
Al又はAl合金の陽極酸化では、細孔52の平均直径2rは20nm〜500nmの範囲で制御することが可能である。細孔52の中心間距離2Rは30nm以上で、さらに細孔52の平均直径2rより若干大きい値より約1μmまで制御することが可能である。
Al又はAl合金の陽極酸化にはシュウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸などの各種の酸性電解液が利用可能である。微細な間隔の細孔52を作製するためには硫酸浴、比較的大きな間隔の細孔52を作製するためにはリン酸浴、その間の細孔52を作製するためにはシュウ酸浴が好ましい。
また、細孔52の平均直径2rは陽極酸化後にリン酸などの溶液中でエッチングする方法により拡大させることが可能である。
(d)工程:(c)工程で作製したAl薄膜71の細孔52中に電解めっきにより金属の柱状構造体16を充填させ、本発明におけるナノ構造体72を形成する工程(図7(d))
本発明における電解めっきにより作製する金属の柱状構造体16の材料としては、無電解めっきの場合と同様に、Au、Ag、Cu、Ptの貴金属が好ましい。
また、本発明における電解めっきを行う方法としては、少なくとも析出させる金属を含む塩つまり金属塩が含有されためっき浴に電極基板つまりAl薄膜71及び下地膜12付きの基板13及び陽極を配置する。
この状態で電位又は電流を印加することで、Al薄膜71の細孔52中に金属の柱状構造体16を作製することが可能である。
また、電解めっきによる金属の柱状構造体16の作製条件としては以下のものがあげられる。少なくとも金属塩が含有されるめっき浴における成分の種類の組み合わせ、各々の濃度、めっき浴温度、攪拌速度、pHの調整、めっき時間、印加電流値、陽極の材料種類などである。これらを制御することで所望通りのサイズを有する金属の柱状構造体16を作製することが可能である。
(e)工程:(d)工程で作製したナノ構造体72中のAl多孔質体61を除去し金属の柱状構造体16を形成する工程(図7(e))
上記のナノ構造体72中の柱状構造体16を除いたAl多孔質体61を選択的にエッチングを行う。
その結果、柱状構造体16を除いたAl多孔質体61のみが溶解してなくなるが、下地膜12付きの基板13上に金属の柱状構造体16を形成できる。
なお、金属の柱状構造体16は、中心間距離2Rが30nm以下、平均直径2rが20nm以下である。好ましくは、金属の柱状構造体16の平均直径2rは20nm以上500nm以下であり、その中心間距離2Rは30nm以上1μm以下である。また、長さは0.5nm以上100μm以下の範囲である。
エッチングに用いる溶液は、Al多孔質体61を溶かし金属の柱状構造体16はほとんど溶解しない、りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの強酸性、水酸化ナトリウムやアンモニア水などの強アルカリ性を有するものが好ましい。
特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。
また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。
またエッチング条件においては、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する金属の柱状構造体16に応じて、適宜設定することができる。
金属の柱状構造体16が変化しない程度、又は少し溶ける程度のpHの範囲を有することが好ましい。
また、金属膜14の作製方法として、レーザ加熱法、スパッタ法、ガス蒸着法又はコロイド法などにより作製できる。
例えば、金属の柱状構造体16又は試料を付着させた金属の柱状構造体16を作製した下地膜12付きの基板13上に真空状態の下で銀や金などの金属を蒸着し金属の柱状構造体16の表面上に島状の金属膜14を付着させればよい。
また、膜の形状や粒径などは、真空度、蒸着速度、蒸着時間を調整することにより制御するが、膜厚は1nm以上10nm以下であることが好ましい。
また、蒸着速度が遅い方が好ましく、0.1nm/s以上0.5nm/s以下であることが好ましい。
特に、金属膜14付きの柱状構造体16では、各々の柱状構造体16の間隔距離つまり中心間距離2Rと平均距離2rとの差が0nm以上数nm以下の距離であるように、適切な膜厚を有する金属膜14を形成することが好ましい。
<本発明における表面増強振動分光分析用治具を用いた振動分光分析方法>
本発明における表面増強振動分光分析用治具とは、表面増強ラマン分光分析用治具と表面増強赤外分光分析用治具の二種類であって、以下に詳しく説明する。
本発明における表面増強振動分光分析用治具を用いたラマン・赤外分光分析方法については、スピンコート法や蒸着法等の金属膜14表面上に単分子層以上の試料を吸着させる方法がある。一例として金属膜14付きの基板13又は金属膜14を側面に形成した酸化亜鉛突起11付きの基板13を有機溶液中に浸してから、金属膜14付きの基板13とを対向し押し付けてラマン測定を行う方法を記載する。
有機溶液における有機物つまり溶質としてはチオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性のある有機物が好ましく、溶媒としては純水やエタノール、エチレングリコールなどの有機溶媒を用いるのが好ましい。
上記した基板13を有機溶液中に浸すことで金属膜14表面上に試料を吸着させる量は、金属膜14の金属元素、溶質、溶媒、濃度、溶媒温度の種類の組み合わせにより異なってくる。有機溶液における濃度は0.001mmol/L以上1mol/L以下であることが好ましく、特に0.001mmol/L以上1mmol/L以下であることが好ましい。
例えば、銅フタロシアニン(CuPc)水溶液を挙げて、0.1mmol/LのCuPc水溶液(室温25℃)を作製する。この水溶液中に金属膜14付きの基板13又は銀膜14を形成した酸化亜鉛突起11付きの基板13を必要な時間だけ浸し、CuPcを吸着させる。その基板13を前記水溶液から引き上げてから、数回純水超音波洗浄を行う。
次に、その基板13を窒素雰囲気の下で乾燥させる。
そして、酸化亜鉛突起11付きの基板13と、金属膜14付きの基板13とを対向して押し付ける。
続いて、この状態でレーザ光を金属膜付きの基板の裏側から照射させてラマン分光分析を行う(図1(a)、(b))。また、赤外分光分析の場合も同様である。
また、金属膜14表面上に試料を吸着させる量は、レーザ光が照射する点の空間領域つまり直径約1μmの球領域以内又は3μm以下の高さを有する酸化亜鉛突起11である方が好ましい。これは、酸化亜鉛突起11のラフネスファクターに左右される。酸化亜鉛突起11の径は500nm以下であることが好ましく、特に300nm以下であることが好ましい。
一方赤外分光分析の場合は、例えば反射法により分光分析を行う際に、赤外線の照射された領域は約10μm×約10μmの大きさ以上であることが好ましく、酸化亜鉛突起11の高さはどんな高さでも良い。
また、単分子層以上の厚さで吸着された試料は、強度が小さいレーザでも一ヶ所でレーザ光を照射され続けると損傷をうけてしまうこともあるので、これを避けるためにその試料を常に回転させ続ければよい。
また、酸化亜鉛突起11付きの基板13を有機溶液中に浸すだけでなく、酸化亜鉛突起11付きの基板13と対向して押し付けさせる金属膜14付きの基板13も有機溶液中に浸してから表面増強振動分光分析を行うこともできる。
また、一例として金属膜14を形成した金属の柱状構造体16を形成した下地膜12付きの基板13を有機溶液中に浸してから、金属膜14付きの基板13とを対向し押し付けてラマン・赤外分光分析を行う方法を説明する。
有機溶液における有機物つまり溶質としては、上記した酸化亜鉛突起11の場合と同様であるので、説明は省略する。
また、上記した基板13を有機溶液中に浸すことで金属膜14を形成した金属の柱状構造体16の表面上に試料を吸着させる量も酸化亜鉛突起11の場合と同様なので、この説明も省略する。
例えば、銅フタロシアニン(CuPc)水溶液を挙げて、0.1mmol/LのCuPc水溶液(室温25℃)を作製する。
この水溶液中にPdの金属膜14を形成した金柱状構造体16付きの基板13を必要な時間だけ浸し、Pdの金属膜14を形成した金柱状構造体16上にCuPcを吸着させる。
その柱状構造体16付きの基板13を水溶液から引き上げてから、数回純水超音波洗浄を行う。
次に、その柱状構造体16付きの基板13を窒素雰囲気下で乾燥させてから、もう片方のCuPcを付着させた金属膜14付きの基板13又はCuPcが付着していない金属膜14付きの基板13を対向して押し付ける。
続いて、この状態でレーザ光を金属膜14付きの基板13の裏側から照射させてラマン分光分析を行う(図1(c)、(d))。また、赤外分光分析の場合も同様である。
また、単分子層以上の厚さで吸着された試料は、強度が小さいラマンレーザでも一ヶ所でレーザ光を照射され続けると損傷をうけてしまうこともあるので、これを避けるためにその試料を常に回転させ続ければよい。
また、柱状構造体16の表面上に試料を吸着させる量は、ラマン分光分析の場合は、レーザ光が照射する点の空間領域つまり直径約1μmの球領域以内又は3μm以下の高さを有する柱状構造体で16ある方が好ましい。これは、柱状構造体16のラフネスファクターに左右される。
一方赤外分光分析の場合は、例えば反射法により分光分析を行う際に、赤外線の照射された領域は約10μm×約10μmの大きさ以上であることが好ましく、柱状構造体16の高さはどんな高さでも良い。
また、柱状構造体16又は金属膜14付きの柱状構造体16の表面に付着させた試料の上にさらに金属膜14を付着させる方法については、同様にレーザ加熱法、スパッタ法、ガス蒸着法又はコロイド法などにより作製できる。例えば真空蒸着法を用いて金属の柱状構造体16又は試料を付着させた金属の柱状構造体16を作製した基板13上に真空状態の下で銀や金などの金属を蒸着すればよい。
また、膜の形状や粒径などは、真空度、蒸着速度、蒸着時間を調整することにより制御するが、膜厚は1nm以上10nm以下であることが好ましい。また、蒸着速度が遅い方が好ましく、0.1nm/s以上0.5nm/s以下であることが好ましい。
以上に説明したとおり、表面増強振動分光分析用治具の試料付着部分は、高アスペクト比を生かして平らかな場合に比べて試料付着面積が極めて広くなってきたことで検出感度が向上してくる。また、強度が小さいレーザ光でも強度が小さい赤外線でも分光分析が感度良くできる。
また、試料が付着した金属膜14付きの突起11、試料が付着した金属の柱状構造体16又は試料が付着した金属膜14付きの柱状構造体16に、さらに金属膜14を付着させることで検出感度がさらに向上してくる。
また、上記した突起11又は柱状構造体16付きの基板13と金属膜14付きの基板13とを対向して押し付けることで、突起11又は柱状構造体16の先端部分と金属膜14付きの基板13とが接触又は接近する位置に配置する。つまり、ナノ金属構造体とナノ金属構造体との間隔距離を0nm以上数nm以下に配置する。このようにすることで、その接近部分で電場が増強し、検出感度がさらに向上してくる。
以下に、本発明の別の実施の形態について図を用いて詳しく説明する。
<本発明における表面増強ラマン分光分析用治具について>
本発明における表面増強ラマン分光分析用治具の概略図の例として、図9(a)、(b)、(c)に示す。
下地膜12については、銀、金、銅、プラチウム、パラジウム、クロムなどの触媒活性を有する金属であることが好ましいが、触媒活性を有しない金属であってもよい。
また、平坦性を持つ連続した膜状の膜であることが好ましい。下地膜12の膜厚は5nm以上100nm以下であることが好ましいが、特に10nm以上50nm以下であることが好ましい。
また、下地膜12付きの基板13については、可視光が透過する材料であることが好ましく、特にSi、Ge、ガラスなどの電解めっきに用いる水溶液に対する不溶解性を有する可視光の透過材料であることが好ましい。
図9(a)に示すように、二枚の下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が形成され、さらに前記酸化亜鉛突起11の側面に銀、金などの金属膜14が形成されている。
また、図9(b)に示すように、片方の下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が形成され、酸化亜鉛突起11の側面上に金、銀などの金属膜14が形成されている。
また、もう片方の下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が形成され、さらに前記酸化亜鉛突起11の側面に金属微粒子15又は半導体微粒子15が付着されている。
その微粒子15の粒径は1nm以上1μm以下であることが好ましい。
続いて、その上に金、銀などの金属膜14が形成されている。
また、図9(c)に示すように、二枚の下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が形成され、さらに酸化亜鉛突起11の側面に金属微粒子15又は半導体微粒子15が付着されている。
続いて、両方ともその上に金、銀などの金属膜14が形成されている。
金属膜14については、島状、微粒子状又は膜状の金属膜14(図10(a)、(b)、(c))が形成されており、金属膜14の材料は銀、金、銅、プラチウム、パラジウム、クロムなどの貴金属であることが好ましい。
また、島状の金属膜21は図10(a)に示すように、不定形の島状の粒子からなっており、大きさは30nm以上300nm以下であることが好ましい。
また、微粒子状の金属膜22は銀、金などの貴金属微粒子からなっており、粒径が1nm以上100nm以下であることが好ましい。金属膜14は膜厚が1nm以上100nm以下であることが好ましい。
また、酸化亜鉛突起11は酸化亜鉛針状結晶からなっているが、ここで針状結晶について述べる。
針状結晶とはいわゆるウィスカーであり、欠陥の無い針状単結晶又は螺旋転移などを含んだ針状結晶からなっている。
また、針状結晶は円柱及び円錐、円錐で先端が尖っているものや先端が平坦なものなどをすべて含む。
さらに、三角錐、四角錘、六角錘、それ以外の多角錘やその多角錘の先端が平坦なものが含まれる。また三角柱、四角柱、六角柱、それ以外の多角柱状も含まれる。また、先端が尖った三角柱、四角柱、六角柱、それ以外の多角柱状やその先端が平坦なものなども含まれる。さらに、これらの折れ線状構造も含まれる。
また、生成された針状結晶のアスペクト比は2以上、さらに10以上であることが好ましく、針状結晶において最大直径を有する横切断面の重心を通る最小長さも1μm以下、さらに500nm以下であることが好ましい。
ここでいうアスペクト比とは、針状結晶の横切断面が円形又は円形に近い状態の形状の場合は直径に対する突起高さの比率をいう。針状結晶の横切断面が六角形などの角形の場合は切断面の重心を通る最小長さに対する突起高さの比率をいうものとする。
また、表面増強ラマン分光分析用治具においては、各々の最も近接する突起11の間隔距離は100nm以上2μm以下であることが好ましい。
ここでいう間隔距離とは、各々の突起11の最大直径を有する横切断面の重心の間隔距離をいうものとする。
<本発明における表面増強ラマン分光分析用治具の製造方法について>
本発明における表面増強ラマン分光分析用治具の製造方法については、一例として、酸化亜鉛針状結晶からなる突起11を電解めっきにより作製する方法を、図11を用いて詳細に説明する。
ここからは酸化亜鉛針状結晶を酸化亜鉛突起11とする。
少なくとも亜鉛イオンが含まれている電解液35中において、電解めっきを行うことにより、径が細く高アスペクト比を有する酸化亜鉛突起11を作製することができる。
亜鉛を含有する塩として使用できる化合物としては、例えば硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛などが挙げられる。電解質としてこれらの化合物の中から選んだ一種類の化合物でも、二種類以上の混合させた化合物でも用いることができる。
酸化亜鉛突起11を作製する条件としては、高アスペクト比を得る為により低濃度が好まれ、1mmol/L〜0.05mol/L程度の範囲が適しており、さらに1mmol/L〜0.01mol/L程度の範囲がより好ましい。
又、電解溶媒としては、エタノール等の有機媒体、水、酸素等の気体を溶かした水等を用いるが、扱いの容易さより水が好ましい。
酸化亜鉛突起11を電解めっきにより作製する方法としては、3電極又は2電極を使用して、少なくとも亜鉛イオンが含有された電解液35に導電性を有する基板13(作用極33)を浸して電位を印加する。このようにすることにより、酸化亜鉛突起11を作製することができる。
その作製装置の一例として3電極で電解めっきを行う作製装置を図3に示した。参照極31、対極32及び作用極33をビーカー34中の電解液35に浸して電位を印加することにより、作用極33である下地膜12付きの基板13上に酸化亜鉛突起11が成長する。
この作製条件として、少なくとも亜鉛塩が含有された電解質及びその電解質濃度、IPAや水等の電解溶媒、電解電位値、電解液の温度、電解めっき時間、酸素などの活性気体濃度、電解液の対流条件等を変える。それ以外には、添加する界面活性剤の種類、添加量も変えれば良い。
例えば、硝酸亜鉛水溶液を採用して電解めっきを行う場合は、硝酸亜鉛濃度は1mmol/L以上10mmol/L以下、Ag/AgClの参照極31に対する作用極33の電位つまり電解電位は−0.9V以上−1.5V以下にする。そして、電解液35温度はマントルヒーター36等を用いて85℃以上90℃以下に設定するのが好ましい。
また、酸化亜鉛微粒子15の作製方法として、例えば電解液35は0.1mol/L〜1.0mol/Lの硝酸亜鉛のIPA溶液を用いてこの電解液35を50〜70℃の範囲内に設定する。そして、酸化亜鉛突起11を作製した下地膜12付きの基板13を電解液35に浸して−3.0〜−7.0Vの電解電位を印加すればよい。
また、金属又は酸化亜鉛以外の半導体からなる微粒子15の作製方法として、レーザ加熱法、スパッタ法、ガス蒸着法、コロイド法などにより作製できる。例えばガス蒸着法を用いて前記の酸化亜鉛突起11を作製した下地膜12付きの基板13上にアルゴンガスなどの不活性ガスの下で銀やアルミニウムなどの金属やSiなどの半導体を蒸着すればよい。
<本発明における表面増強ラマン分光分析用治具を用いたラマン分光分析方法>
本発明における表面増強ラマン分光分析用治具を用いたラマン分光分析方法については、スピンコート法や蒸着法などの金属膜14表面上に単分子層以上の試料を吸着させる方法がある。一例として金属膜14を形成した酸化亜鉛突起11付きの基板13を有機溶液中に浸してからラマン測定を行う方法を説明する。
有機溶液における有機物つまり溶質としてはチオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性のある有機物が好ましく、溶媒としては純水やエタノール、エチレングリコールなどの有機溶媒を用いるのが好ましい。
上記した基板13を有機溶液中に浸すことで金属膜14表面上に試料を吸着させる量は、金属膜14の金属元素、溶質、溶媒、濃度、溶媒温度の種類の組み合わせにより異なってくるが、有機溶液における濃度は0.001mmol/L以上1mol/L以下であることが好ましく、特に0.001mmol/L以上1mmol/L以下であることが好ましい。
また、上記した基板13を有機溶液中に浸すことで金属膜14表面上に試料を吸着させる量は、レーザ光が照射する点の空間領域つまり直径約1μmの球領域以内又は3μm以下の高さを有する酸化亜鉛突起11である方が好ましい。酸化亜鉛突起11の径は500nm以下であることが好ましく、特に300nm以下であることが好ましい。これは、酸化亜鉛突起11のラフネスファクターに左右される。
例えば、銅フタロシアニン(CuPc)水溶液を挙げて、0.1mmol/LのCuPc水溶液(室温25℃)を作製する。
この水溶液中に銀膜14を形成した酸化亜鉛突起11付きの基板13を必要な時間だけ浸し、銀膜14上にCuPcを吸着させる。その基板13を水溶液から引き上げてから、数回純水超音波洗浄を行う。
次にその基板13を窒素雰囲気の下で乾燥させる。
そして、もう片方の上記した付着方法でCuPcを付着させた酸化亜鉛突起11付きの基板13又はCuPcが付着していない酸化亜鉛突起11付きの基板13とを対向して押し付ける。
続いて、この状態でレーザ光を片方の基板13の裏側から照射させてラマン分光分析を行う(図9(a)、(b)、(c))。
また、単分子層以上の厚さで吸着された試料は、強度が小さいレーザでも一ヶ所でレーザ光を照射され続けると損傷をうけてしまうこともあるので、これを避けるためにその試料を常に回転させ続ければよい。
以上に説明したとおり、表面増強ラマン散乱分光分析用治具の試料付着部分は、高アスペクト比を生かして平らかな場合に比べて試料付着面積が極めて広くなってきたことで検出感度が向上してくる。また、強度が小さいレーザ光でも分光分析が感度良くできる。
また、上記した二枚の酸化亜鉛突起11付きの基板13を対向して押し付けることで、酸化亜鉛突起11の側面ともう片方の酸化亜鉛突起11の側面とが接近する位置に配置する。つまり、ナノ金属構造体とナノ金属構造体との間隔距離を0nm以上数nm以下に配置する。こうすることで、その接近部分で電場が増強し、検出感度がさらに向上してくる。
[実施例]
以下、実施例を用いて本発明を更に説明する。
[実施例1]
本実施例は、酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜14付きの基板13上に銀の蒸着を行い、この基板13を銅フタロシアニン水溶液に浸してから金属膜14付きの基板13を対向し押し付けてラマン分光分析を行った(図1(a))。
真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13を用意する。そして、この基板13を作用極33として85℃まで加熱した2mmol/L硝酸亜鉛水溶液35に浸し、−1.2V(v/s Ag/Cl:参照極31)の印加により電解めっきを5000秒間行った。
この時に用いた対極32は亜鉛板であった。この後、管状電気炉中に設置し酸素を1.67×10−3L/s流しながら500℃で熱処理を1時間行った。
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、その試料を形態観察した結果、酸化亜鉛突起11が金膜12付きの基板13から成長していたことが分かった。この酸化亜鉛突起11の径は100nm〜300nmであり、アスペクト比は10〜20であった。
続いて、銀ワイヤー(0.5mmΦ)を蒸着原料に、タングステンワイヤー(0.5mmΦ)を抵抗加熱用材料に用いて、上記した基板13上に銀の真空抵抗加熱蒸着を行った。
この時、真空度は4.0×10−4Pa以下、電流値は5A、蒸着時間は120秒間であった。
FE−SEMを用いてその試料を形態観察した結果、酸化亜鉛突起11の表面上に多数の粒径30〜50nmの銀微粒子状の膜22が形成されていたことが分かった。
さらに、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
また、FE−SEMを用いて形態観察したが、銀微粒子状の膜22付きの酸化亜鉛突起11の表面上にはCuPcがみられなかった。
また、もう一枚の真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜14付きのガラス基板13と前記銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸した酸化亜鉛突起16付きの基板13とを対向し押し付ける。そして、金膜14付きのガラス基板13の裏側からレーザ光を照射させてラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できた。
比較例として、真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13上に上記した同じ電解めっき条件下で酸化亜鉛突起11を作製する。さらに上記した同じ銀の真空蒸着条件で銀微粒子状の膜22を酸化亜鉛突起11の側面上に形成した。
続いて、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
この試料もラマン測定を行った。この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できたが、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約5/8に減少された。
この結果より、金膜14付きのガラス基板13と酸化亜鉛突起11付きの基板13とを対向し押し付ける。このようにすることで、金膜14付きのガラス基板13と前記酸化亜鉛突起11の先端との接触又は接近部分に配置された被測定試料つまりCuPcから表面増強ラマン散乱がさらに感度良く検出されてきた。
また、本実施例における表面増強ラマン分光分析用治具においては、電解溶媒、電解めっき時間、めっき電圧、めっき液温度などの酸化亜鉛の電解めっき条件を制御する。このようにすることで、酸化亜鉛突起11の表面積を制御し、表面増強ラマン散乱光強度を所望通りに制御することが可能である。
また、銀以外の金属膜14として、金、パラジウム、銅、プラチウムなどの金属を用いることも可能である。
また、上記したCuPc以外の測定する試料としては、チオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性又は表面増強赤外活性のある有機物を測定することも可能である。
また、赤外分光分析においても同様に、顕微鏡反射法などにより表面増強赤外を測定することが可能である。
また、本実施例においては、金属膜14を側面に形成した酸化亜鉛突起11のみを用いていたが、金属膜14を側面に形成した微粒子15付きの酸化亜鉛突起11も用いることも可能である(図1(b))。
[実施例2]
本実施例は、一例として、Al薄膜71を形成した下地Pt膜12付きのSi基板13の陽極酸化を行う。
さらにAl多孔質体61付きの基板13を銀電解めっきにより銀柱状構造体16を作製してからAl多孔質体61をエッチングする。
続いて、銀柱状構造体16付きの基板13を銅フタロシアニン水溶液に浸してから、金膜14付きのガラス基板13と対向し押し付けてラマン分光分析を行った例について説明する(図1(c)、図6、図7)。
まず、触媒活性を有する下地膜12として、スパッタリング法によりSi基板13上に膜厚20nmのPt薄膜を形成した(図7(a))。
さらに、下地Pt膜12付きのSi基板13上にスパッタリング法により膜厚5μmのAl薄膜71を形成した(図7(b))。
今後これを基体とする。
次に陽極酸化法として、例えば0.3mol/Lのシュウ酸水溶液を用意し、その溶液温度を16℃に設定した。
Al薄膜71付きの基板13を0.3mol/Lシュウ酸水溶液に浸し、この状態でそのAl薄膜71付きの基板13を陽極として、40Vの電圧を印加して陽極酸化を行った。
陽極酸化後、FE−SEMでこの試料を観察した結果、図6(図7(c))に示すようにAl薄膜71中に平均直径30nm、中心間距離50nmの細孔52が形成されていた。
また、その試料の断面もFE−SEM観察した結果、その細孔52は下地膜12付きのSi基板13までに達していた。
銀電解めっきによる銀柱状構造体16の作製方法として、まずPt基板を陽極として用いる。
加熱して55℃に設定したシルブレックス50(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(株)))にPt基板及びAl多孔質体61付きの基板13を設置する。そして、これらの電極の間に1A/dm2の電流を電源より2時間47分印加した。
この試料をFE−SEMで観察した結果、Al多孔質体61中の細孔52中に銀柱状構造体16が形成されていた(図7(d))。
銀柱状構造体16の平均直径は約30nmで、高さは約5μmとなっていた。
また、中心間距離は約50nmであった。
さらに、銀柱状構造体16を形成したナノ構造体72付きの基板13を25℃に設定したリン酸5wtを用いて10時間のエッチングを行った。
FE−SEMを用いてその試料を形態観察した結果、下地Pt膜12付きのSi基板13上に銀柱上構造体16が形成されており、Al多孔質体61が完全に除去されていた。
銀柱状構造体16の平均直径は約30nmで、高さは約5μmとなっていた(図7(e))。
さらに、この銀柱状構造体16付きの基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
FE−SEMを用いてその試料を形態観察したが、銀柱状構造体16の表面上にCuPcがみられなかった。
さらに、実施例1で作製した金膜14付きのガラス基板13と銀柱上構造体16付きの基板13とを対向し押し付けて、金膜14付きのガラス基板13の裏側からレーザ光を照射させてラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できた。
比較例として、金膜14付きのガラス基板13と対向して押し付けていない銀柱上構造体16付きの基板13のみをラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できたが、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約5/8に減少された。
この結果より、金膜14付きのガラス基板13と銀柱上構造体16付きの基板13とを対向し押し付ける。このようにすることで、金膜14付きのガラス基板13と銀柱状構造体16の先端との接触又は接近部分に配置された被測定試料つまりCuPcから表面増強ラマン散乱がさらに感度良く検出されてきた。
もう一つの比較例として、実施例1で作製した表面増強振動分光分析用治具で測定した表面増強ラマン散乱強度に比べて本実施例で測定した表面増強ラマン散乱強度は10倍と増大してきた。
この結果より、酸化亜鉛突起11の密度に比べて銀柱状構造体16の密度が高く、金膜14付きのガラス基板13との接触又は接近部分も多いため、CuPcから表面増強ラマン散乱がさらに感度良く検出されてきた。
また、本実施例における表面増強ラマン分光分析用治具においては、めっき浴、電解めっき時間、めっき電流、めっき浴温度などの柱状構造体16の電解めっき条件を制御する。このようにすることで、柱状構造体16の表面積を制御し、表面増強ラマン散乱光強度を所望通りに制御することが可能である。
また、銀以外の金属膜14として、金、パラジウム、銅、プラチウムなどの金属を用いることも可能である。
また、上記したCuPc以外の測定する試料としては、チオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性又は表面増強赤外活性のある有機物を測定することも可能である。
また、赤外分光分析においても同様に、顕微鏡反射法などにより表面増強赤外を測定することが可能である。
また、本実施例においては、柱状構造体16のみを用いていた。しかし、金属膜14付きの柱状構造体16、付着させた試料の上に金属膜14を形成した柱状構造体16又は付着させた試料の上に金属膜14を形成した金属膜14付きの柱状構造体16などを用いることも可能である(図1(d))。
[実施例3]
本実施例は、一例として、(Al,Si)混合薄膜51を形成した下地Pd膜12付きのSi基板13のエッチング後、前記基板13を金無電解めっき浴に浸してからエッチングを行うことにより金柱状構造体16を作製する。
さらに銅フタロシアニン水溶液に浸してから金膜14付きのガラス基板13と対向し押し付けてラマン分光分析を行った例について説明する。
まず、触媒活性を有する下地膜12として、スパッタリング法によりSi基板13上に膜厚20nmのPd薄膜を形成した(図5(a))。
さらに、下地Pd膜12付きのSi基板13上にスパッタリング法により膜厚2μmのAl:Siの組成比が3:2であることを有する(Al,Si)混合薄膜51を形成した(図5(b))。
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)で基板13の表面を観察した。その結果、平均直径が約5nm、中心間距離が約10nmであるAlを主成分とする柱状部材42がSiを主成分とするマトリックス41表面中に多数できていた(図4(a))。
また、断面の観察した結果、Alを主成分とする柱状部材42は下地膜12付きのSi基板13に対して垂直方向に形成されていた(図4(b))。今後これを基体とする。
また、基体を25℃に設定したリン酸5wt%中に6時間浸すことでエッチングを行った。このFE−SEMで断面観察した結果、Alを主成分とする柱状部材42は全て溶解されて平均直径が約5nm、中心間距離が約10nmである細孔52が形成されていた(図5(c))。
次に金無電解めっき浴の作製方法として、40mLのダインゴールドAC-5R(大和化成(株))、20mLのダインゴールドM−20(大和化成(株))、140mLのイオン交換水を混合させて金無電解めっき浴を作製した。
さらに、金無電解めっき浴を加熱して75℃に設定した。また、めっき浴のpHは7となっていた。
この状態で多孔質体53付きの基体をめっき浴に3時間20分間浸した。
この試料をFE−SEMで観察した結果、多孔質体53中のAlを主成分とする柱状部材42が溶解されてできた細孔52中に金柱状構造体16が形成されていた(図5(d))。
金柱状構造体16の平均直径は約5nmで、高さは約2μmとなっていた。また、中心間距離は約10nmであった。
さらに、金柱状構造体16を形成した多孔質体53つまりナノ構造体54付きの基体を1MのNaOH水溶液を用いて長時間のエッチングを行った。
この試料をFE−SEMで観察した結果、Siを主成分とするマトリックス41(多孔質体53)が完全に除去されて、金柱状構造体16が残されており、平均直径は約5nmで、高さは約2μmとなっていた。
上記したように、AlとSiとの組成比、膜厚を制御して形成した(Al,Si)混合薄膜51のAlを主成分とする柱状部材42をエッチングする。
続いて、無電解めっき浴に浸してからSiを主成分とするマトリックス41をエッチングすることで、下地膜12付きの基板13上に前記柱状構造体16を形成することが可能である。
また、エッチング液の種類の選択、エッチング時間、エッチング液の温度、攪拌速度、エッチング液のpHを制御する。このようにすることで、所望通りAlを主成分とする柱状部材42及びSiを主成分とするマトリックス41の溶かし具合を制御することが可能である。
さらに、金柱状構造体16付きの基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
また、FE−SEMを用いて形態観察したが、金柱状構造体16の表面上にはCuPcがみられなかった。
そして、実施例1で作製した金膜14付きの基板13と金柱状構造体16付きの基板13とを対向し押し付けて、ラマン分光分析を行った。この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できた。
比較例として、金膜14付きのガラス基板13と対向して押し付けていない金柱状構造体16付きの基板13のみをラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できたが、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約5/8に減少された。
この結果より、金膜14付きのガラス基板13と金柱状構造体16付きの基板13とを対向し押し付ける。このようにすることで、金膜14付きのガラス基板13と金柱状構造体16の先端との接触又は接近部分に配置された被測定試料つまりCuPcから表面増強ラマン散乱がさらに感度良く検出されてきた。
もう一つの比較例として、実施例2で作製した表面増強振動分光分析用治具で測定した表面増強ラマン散乱強度に比べて本実施例で測定した表面増強ラマン散乱強度は約10倍と増大してきた。
この結果より、実施例2で作製した柱状構造体16の密度に比べて本実施例で作製した柱状構造体16の密度が高く、金膜14付きのガラス基板13との接触又は接近部分も多い。このため、CuPcから表面増強ラマン散乱がさらに感度良く検出された。
また、本実施例における表面増強ラマン分光分析用治具においては、(Al,Ge)混合薄膜及び(Al,Si,Ge)混合薄膜の場合も同様である。Al,Si、Geとの組成比、膜厚を制御して形成した(Al,Si、Ge)混合薄膜51の膜厚に合わせて、無電解めっき浴に浸す時間、めっき浴のpH、めっき浴温度、攪拌速度を制御する。このようにことで、所望通りのサイズを有する柱状構造体16を形成することが可能である。
また、めっき浴、めっき時間、めっき浴温度などの柱状構造体16のめっき条件を制御することで、柱状構造体16の表面積を制御し、表面増強ラマン散乱光強度を所望通りに制御することが可能である。
また、上記したCuPc以外の測定する試料としては、チオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性又は表面増強赤外活性のある有機物を測定することも可能である。
また、赤外分光分析においても同様に、顕微鏡反射法などにより表面増強赤外を測定することが可能である。
また、本実施例においては、柱状構造体16のみを用いていたが、金属膜14付きの柱状構造体16、付着させた試料の上に金属膜14を形成した柱状構造体16又は付着させた試料の上に金属膜14を形成した金属膜14付きの柱状構造体16などを用いることも可能である(図1(d))。
[実施例4]
本実施例では、二枚の酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜12付きの基板13上に銀の蒸着を行い、片方の基板13を銅フタロシアニン水溶液に浸してから二枚の基板13を対向し押し付けてラマン分光分析を行った(図9(a))。
真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13を用意する。そして、この基板13を作用極33として85℃まで加熱した2mmol/L硝酸亜鉛水溶液35に浸し、−1.2V(vs.Ag/AgCl:参照極31)の印加により電解めっきを5000秒間行った。この時に用いた対極32は亜鉛板であった。
この後、管状電気炉中に設置し酸素を1.67×10−3L/s流しながら500℃で熱処理を1時間行った。走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、その試料を形態観察した結果、酸化亜鉛突起11が金膜12付きの基板13から成長していたことが分かった。この酸化亜鉛突起11の径は100nm〜300nmであり、アスペクト比は10〜20であった。
続いて、銀ワイヤー(0.5mmΦ)を蒸着原料に、タングステンワイヤー(0.5mmΦ)を抵抗加熱用材料に用いて、上記した基板13上に銀の真空抵抗加熱蒸着を行った。
この時、真空度は4.0×10−4Pa以下、電流値は5A、蒸着時間は120秒間であった。
FE−SEMを用いてその試料を形態観察した結果、酸化亜鉛突起11の側面上に多数の粒径30〜50nmの銀微粒子状の膜22が形成されていたことが分かった。
さらに、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
また、FE−SEMを用いて形態観察したが、銀微粒子状の膜22付きの酸化亜鉛突起11の側面上にはCuPcがみられなかった。
また、上記した同じ電解めっき条件下で、もう一枚の膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13上に酸化亜鉛突起11を作製した。さらに上記した同じ銀の真空蒸着条件下で銀微粒子状の膜22を酸化亜鉛突起11の側面上に形成した。
この基板13と前記銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸した基板13とを対向し押し付けて、片方の基板13の裏側からレーザ光を照射させてラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できた。
比較例として、真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13上に上記した同じ電解めっき条件下で酸化亜鉛突起11を作製した。さらに上記した同じ銀の真空蒸着条件で銀微粒子状の膜22を酸化亜鉛突起11の側面上に形成した。
続いて、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
この試料もラマン測定を行った。この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できたが、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約5/8に減少された。
もう一つの比較例として、真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13上に上記した同じ電解めっき条件で酸化亜鉛突起11を作製した。さらに上記した同じ銀の真空蒸着条件で銀微粒子状の膜22を前記酸化亜鉛突起11の側面上に形成した。
続いて、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
さらに、真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13を用意して、この基板13とCuPc水溶液に1分間浸した酸化亜鉛突起11付きの基板13とを対向し押し付けてラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できたが、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約3/5に減少された。
この結果より、二枚の酸化亜鉛突起11付きの基板13を対向し押し付けることで、被測定試料つまりCuPcに付着又は接近させる銀微粒子22の数を上記した二つの比較例に比べて増大させた。これは酸化亜鉛突起11のラフネスファクター及び各々の酸化亜鉛突起11の接触を利用したためである。そのため、表面増強ラマン散乱光強度をさらに感度良く測定できた。
また、本実施例における表面増強ラマン分光分析用治具においては、電解溶媒、電解めっき時間、めっき電圧、めっき液温度などの酸化亜鉛の電解めっき条件を制御する。このようにすることで、酸化亜鉛突起11の表面積を制御し、表面増強ラマン散乱光強度を所望通りに制御することが可能である。
また、銀以外の金属膜14として、金、パラジウム、銅、プラチウムなどの金属を用いることも可能である。
また、上記したCuPc以外の測定する試料としては、チオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性のある有機物を測定することも可能である。
[実施例5]
本実施例は、一例として、酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜12付きの基板13上に銀の蒸着を行い、さらにこの基板13を銅フタロシアニン水溶液に浸す。
続いて、酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜12付きの基板13上に銀の蒸着も行い、これらの基板13を対向し押し付けてラマン分光分析を行った例について説明する(図9(b))。
真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13を用意する。そして、この基板13を作用極33として85℃まで加熱した1mmol/L硝酸亜鉛水溶液35に浸し、−1.2V(vs.Ag/AgCl:参照極31)の印加により電解めっきを5000秒間行った。この時に用いた対極32は亜鉛板であった。
続いて、60℃まで加熱した0.1mol/L硝酸亜鉛のIPA溶液35に上記した基板13を浸し、−5.0Vの印加で電解めっきを100秒間行った。
この後、管状電気炉中に設置し酸素を1.67×10−3L/s流しながら500℃で熱処理を1時間行った。
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、その試料を形態観察した結果、基板13上から酸化亜鉛突起11が成長し、さらに前記酸化亜鉛突起11の側面上に酸化亜鉛微粒子15が付着していたことが分かった。
この酸化亜鉛突起11の径は100nm〜300nmであり、アスペクト比は10〜20であった。また、付着した酸化亜鉛微粒子15の径は30〜60nmであった。
続いて、銀ワイヤー(0.5mmΦ)を蒸着原料に、タングステンワイヤー(0.5mmΦ)を抵抗加熱用材料に用いて、上記した基板13上に銀の真空抵抗加熱蒸着を行った。この時、真空度は4.0×10−4Pa以下、電流値は5A、蒸着時間は120秒間であった。
FE−SEMを用いてその試料を形態観察した結果、酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の側面上に多数の粒径30〜50nmの銀微粒子状の膜22が形成されていたことが分かった。
さらに、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
また、FE−SEMを用いて形態観察したが、上記した銀微粒子状の膜22を側面に形成した酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の側面上にはCuPcがみられなかった。
また、実施例1の電解めっき条件下でもう一枚の膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13上に酸化亜鉛突起11を電解めっきにより作製した。さらに上記した同じ真空蒸着条件で銀微粒子状の膜22を前記酸化亜鉛突起11の側面上に形成した。
この基板13と銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸した銀微粒子状の膜22を側面上に形成した酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた基板13とを対向し押し付ける。そして、片方の基板13の裏側からレーザ光を照射させてラマン分光分析を行った。
この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できた。
比較例として、実施例4で作製した二枚の銀微粒子状の膜22付きの酸化亜鉛突起11を成長させた基板13を用意する。片方の基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行い、もう片方の基板13とを対向し押し付けてラマン分光分析を行った。
この結果、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約7/8に減少された。
この結果より、被測定試料つまりCuPcに付着又は接近させる銀微粒子22の数を上記した比較例に比べて増大させ、表面増強ラマン散乱光強度をさらに感度良く測定できた。この際、片方の酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11のラフネスファクター、各々の酸化亜鉛突起11の接触及び酸化亜鉛突起11の表面の粗さを利用した。
また、本実施例における表面増強ラマン分光分析用治具においては、電解溶媒、電解めっき時間、めっき電圧、めっき液温度などの酸化亜鉛の電解めっき条件を制御する。このようにすることで、酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の表面積及び粗さを制御し、表面増強ラマン散乱光強度を所望通りに制御することが可能である。
また、酸化亜鉛微粒子15以外の微粒子としては、例えばレーザ加熱法やガス蒸着法などにより1nm以上1μm以下の粒径を有するAg、Alなどの金属微粒子15を酸化亜鉛突起11の側面に付着させることも可能である。
また、銀以外の金属膜14として、金、パラジウム、銅、プラチウムなどの金属を用いることも可能である。
また、上記したCuPc以外の測定する試料としては、チオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性のある有機物を測定することも可能である。
[実施例6]
本実施例は、二枚の酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜12付きの基板13上に銀の真空蒸着を行う。さらに片方の酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜12付きの基板13を銅フタロシアニン水溶液に浸す。
続いて、もう片方の前記酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた下地膜12付きの基板13を対向し押し付けて、ラマン分光分析を行った例について説明する(図9(c))。
真空蒸着で形成した膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13を用意する。そして、この基板13を作用極33として85℃まで加熱した1mmol/L硝酸亜鉛水溶液35に浸し、−1.2V(vs.Ag/AgCl:参照極31)の印加により電解めっきを5000秒間行った。
この時に用いた対極32は亜鉛板であった。続いて、60℃まで加熱した0.1mol/L硝酸亜鉛のIPA溶液35に上記した基板13を浸し、−5.0Vの印加で電解めっきを100秒間行った。
この後、管状電気炉中に設置し酸素を1.67×10−3L/s流しながら500℃で熱処理を1時間行った。
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、その試料を形態観察した結果、基板13表面上から酸化亜鉛突起11が成長し、さらに前記酸化亜鉛突起11の側面上に酸化亜鉛微粒子15が付着していたことが分かった。
この酸化亜鉛突起11の径は100nm〜300nmであり、アスペクト比は10〜20であった。また、付着した酸化亜鉛微粒子15の径は30〜60nmであった。
続いて、銀ワイヤー(0.5mmΦ)を蒸着原料に、タングステンワイヤー(0.5mmΦ)を抵抗加熱用材料に用いて、上記した基板13上に銀の真空抵抗加熱蒸着を行った。
この時、真空度は4.0×10−4Pa以下、電流値は5A、蒸着時間は120秒間であった。
FE−SEMを用いてその試料を形態観察した結果、酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の側面上に多数の粒径30〜50nmの銀微粒子22が付着されていたことが分かった。
さらに、この基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸し、続いて純水の超音波洗浄も行った。
また、FE−SEMを用いて形態観察したが、上記した銀微粒子状の膜22を側面に形成した酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の表面上にはCuPcがみられなかった。
また、上記した同じ電解めっき条件下で、もう一枚の膜厚20nmの金膜12付きのガラス基板13上に酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を作製する。さらに上記した同じ蒸着条件下で酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の側面上に銀微粒子状の膜22を形成した。
続いて、この基板13と前記銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸した銀微粒子状の膜22を側面に形成した酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた基板13とを対向し押し付ける。そして、片方の基板13の裏側からレーザ光を照射させてラマン分光分析を行った。この結果、SERSであるラマン散乱光を観測できた。
比較例として、実施例5で作製した基板13と実施例1で作製した基板13を用意する。
片方の銀微粒子状の膜22を側面に形成した酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11を成長させた基板13を0.1mmolの銅フタロシアニン(CuPc)水溶液中に1分間浸す。続いて純水の超音波洗浄も行い、もう片方の銀微粒子状の膜22付きの酸化亜鉛突起11を成長させた基板13とを対向し押し付けてラマン分光分析を行った。
この結果、本実施例に比べてこの試料のラマン散乱光強度は約7/8に減少された。
この結果より、被測定試料つまりCuPcに付着又は接近させる銀微粒子22の数を上記した比較例に比べて増大させ、表面増強ラマン散乱光強度をさらに感度良く測定できた。この際、二枚の酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11のラフネスファクター、各々の酸化亜鉛突起11の接触及び酸化亜鉛突起11の表面の粗さを利用した。
また、本実施例における表面増強ラマン分光分析用治具においては、電解溶媒、電解めっき時間、めっき電圧、めっき液温度などの酸化亜鉛の電解めっき条件を制御する。このようにすることで、酸化亜鉛微粒子15付きの酸化亜鉛突起11の表面積及び粗さを制御し、表面増強ラマン散乱光強度を所望通りに制御することが可能である。
また、酸化亜鉛微粒子15以外の微粒子としては、例えばレーザ加熱法やガス蒸着法などにより1nm以上1μm以下の粒径を有するAg、Alなどの金属微粒子15を酸化亜鉛突起11の側面に付着させることも可能である。
また、銀以外の金属膜14として、金、パラジウム、銅、プラチウムなどの金属を用いることも可能である。
また、上記したCuPc以外の測定する試料としては、チオール基、アミノ基などの官能基を有する表面増強ラマン活性のある有機物を測定することも可能である。