JP4918716B2 - 水素発生設備及び燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギー密度を向上させた水素発生設備及び燃料電池システムに関し、特に水素発生反応を起こす反応部への水素発生用水溶液の投入量を消費電力を使用せずに制御でき且つ発電部での発電量に応じて水素発生用水溶液の投入量を増加させるための技術に関するものである。
近年のエネルギー問題や環境問題の高まりから、より高エネルギー密度で、排出物がクリーンな電源が要求されている。燃料電池は、既存電池の数倍のエネルギー密度を有する発電機であり、エネルギー効率が高く、また、排出ガスに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物が無い、もしくは、少ないといった特徴がある。従って次世代の電源デバイスとしての要求に見合った極めて有効なデバイスであると言われている。
燃料電池における電極反応は、水素と酸素による水生成反応である。従って燃料電池に水素を導入する必要があり、水素発生や水素量制御の機構やこれらに必要なエネルギーを低減するための水素貯蔵材料や機構の開発が行われている。
従来、反応物中の水素量(以下、水素貯蔵密度とする)が高い水素貯蔵材料として、ケミカルハイドライドと呼ばれる金属水素化物(例えば水素化ホウ素ナトリウム)が知られている。水素発生反応は金属水素化物と水とを混合して加水分解する反応であり、常温で反応が速やかに進行するため水素発生のためのエネルギーが非常に低い。つまり、水素貯蔵密度、水素発生エネルギーの観点から、金属水素化物は他の水素貯蔵材料より有利であると言える。
このような金属水素化物から水素を効率良く発生させる従来の方法として、例えば、金属水素化物のアルカリ水溶液に触媒を接触させる方法や、金属水素化物の固体と水とを同一容器に保持する方法がある。いずれも低エネルギーで水素を発生させる事が可能であるが、反応量の制御性、長期保存の観点から問題がある。前者では水素発生量の制御は困難であり、また、金属水素化物と水とが常に接しているため、徐々に自然分解して水素を発生してしまう。また後者では容器内が常に湿潤しており、水蒸気や飛沫により金属水素化物が加水分解して水素を発生してしまう弱点がある。
この問題を解決するために、必要な量の水を必要な時に金属水素化物に適宜供給する構造が提案されている(例えば特許文献1参照。)。これは、金属水素化物を保持した反応部、水を貯蔵した水タンク、水を反応部に送るためのポンプからなる水素発生装置であり、水をポンプにより反応部の金属水素化物に供給して両者を接触し、水素発生反応を起こす装置である。反応部と水タンクを分離させたことにより、燃料電池停止時に金属水素化物と水とが接触せず、水素発生反応が生じない利点がある。
特開2002−137903号公報(第4−6頁、第1図)
しかし、高水素貯蔵密度材料であり、且つ、低水素発生エネルギーの金属水素化物を用いた場合でも、従来の方法では、水の送液をポンプによっていたため、送液のために電力を消費することとなっていた。そのため燃料電池システムの正味の出力を減じる事となる。従って、水の送液に電力を用いない構造を得る事が課題である。
更に、送液のポンプは体積が大きく、燃料電池システムの体積エネルギー密度を低下させる大きな要因になっていた。従って、小体積で送液できる構造を得る事が課題である。
更に、燃料電池システムの立場から見ると、金属水素化物の投入量が全体体積に比較して極めて小さく、そのため実用上エネルギー密度を高くする事が困難であるという重大な問題がある。
金属水素化物の投入量が少なくなる原因は、反応生成物の形態である。つまり、所望の反応速度で反応させると発泡し、泡が反応物及び反応生成物、残留物を巻き込み体積が膨張する。そのため、反応部内に充分な空間がない場合、反応物及び反応生成物、残留物が反応部外部に漏洩してしまう。体積の膨張率は反応量で決定されるため、必要な空間体積は反応物の質量から決定でき、逆に、投入できる金属水素化物の量は反応部の容積から決定できる。現状では、最大に見積もっても金属水素化物の体積は反応器容積の8.5%程度しか投入できない状態である。
更に反応制御性を向上させた従来の水素発生装置は、反応部と水タンクのような液体貯蔵部で構成される装置であり、液体貯蔵部は反応部と同等の体積が必要である。従って、金属水素化物の体積は水素発生装置全体の4%程度となる。
以上から、水素発生装置内の空間を有効に利用し、デッドスペースを減少させる必要がある。従来の構造では、液体貯蔵部から水が反応部に供給されると、水タンク内は空となる。空となった液体貯蔵部内の空間は利用できず、デッドスペースとなる。このような液体貯蔵部内に生じるデッドスペースを有効に利用して、エネルギー密度を向上する事が課題である。
上記の通り、本発明は、電力を用いずに水素発生用水溶液を移動し、水素発生反応を起こす事ができ、且つ、液体貯蔵部のデッドスペースを低減することにより、高エネルギー密度の水素発生設備及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、水素反応用物質を格納すると共にこの水素反応用物質と反応する水素発生用水溶液を反応させる反応部と、前記水素発生用水溶液を貯蔵する液体貯蔵部と、この液体貯蔵部に貯蔵された水素発生用水溶液を前記反応部に供給する供給路と、前記反応部で発生した水素を排出する排出手段とを具備し、前記反応部内の圧力が前記液体貯蔵部内の水素発生用水溶液を加圧するようにすると共に圧力状態により流路を開閉する開閉手段を前記供給路の途中に設け、前記開閉手段が、前記供給路の上流側の圧力が所定値より高い場合に開となる圧力調整弁と、この圧力調整弁の下流側に設けられて下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁とを有し、前記圧力調整弁と前記逆止弁との間に前記水素発生用水溶液を一時貯留する一時貯留部を設けたことを特徴とする水素発生設備にある。
かかる第1の態様では、電力を消費することなく、反応部で発生した水素の圧力により水素発生用水溶液が反応部に供給されて水素が生成され、また、この水素の生成は排出手段に接続した燃料電池の発電部での水素の消費に応じて行われるので、高エネルギー密度の水素発生設備が提供できる。また、供給路の上流側、すなわち、反応部の圧力が所定より高い場合に圧力調整弁が開き、上流側の圧力が下流側より高い場合に水素発生用水溶液が圧力調整弁の下流側へ供給され、また、圧力調整弁の下流側の圧力が反応部内の圧力より高くなった際に水素発生用水溶液が反応部内へ供給される。さらに、圧力調整弁の供給路の上流側、すなわち、反応部の圧力が所定より高い場合に圧力調整弁が開き、上流側の圧力が下流側より高い場合に水素発生用水溶液が圧力調整弁を介して一時貯留部へ供給され、また、一時貯留部内の圧力が反応部内の圧力より高くなった際に水素発生用水溶液が反応部内へ供給される。
本発明の第の態様は、前記圧力調整弁の閉弁力として、当該水素発生設備外部の物質の圧力を駆動力として用いていることを特徴とする第の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第の態様では、水素発生設備の外部の物質の圧力、例えば、大気圧を用いて圧力調整弁を駆動することができ、例えば、反応部の内部の圧力が大気圧より高い場合に圧力調整弁が開となる。
本発明の第の態様は、前記圧力調整弁が、前記水素発生用水溶液を通す流路と、前記流路の隔壁の一部を形成すると共に圧力を受けて撓みを生じる薄膜若しくは薄板である可撓膜からなるシール部材と、前記シール部材と固定されて当該シール部材の撓みと連動して移動すると共に当該移動により前記流路を開閉して前記水素発生用水溶液を流通もしくは遮断する弁体と、前記流路と前記供給路との接続部とを有し、前記シール部材の外側に当該水素発生設備の外部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする第の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第の態様では、水素発生設備の外部の物質により圧力調整弁が閉弁する方向に弁体やシール部材にかかる応力より反応部内圧が高い時に圧力調整弁は開弁し、反応部内圧が大気圧より低い時閉弁する。
本発明の第の態様は、前記圧力調整弁が、前記水素発生用水溶液を通す可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外部に移動自在に設けられると共に当該移動により前記可撓性チューブを潰して内部を閉塞するか又は流通状態とする押圧部と、前記可撓性チューブと前記供給路との接続部とを有し、前記押圧部もしくは当該押圧部が設けられた前記可撓性チューブの外側には当該水素発生設備の外部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする第の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第の態様では、水素発生設備の外部の物質により圧力調整弁が閉弁する方向に押圧部にかかる応力より反応部内圧が高い時に圧力調整弁は開弁し、反応部内圧が大気圧より低い時閉弁する。
本発明の第の態様は、前記圧力調整弁の閉弁力として、当該水素発生設備外部の物質の圧力に加え、弾性部材による付勢力を用いていることを特徴とする第2乃至4のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第の態様では、外部の物質の圧力、例えば、大気圧に加えて弾性部材の付勢力を用いることにより、大気圧以上の動作圧でシステムを動作させることができる。
本発明の第6の態様は、水素反応用物質を格納すると共にこの水素反応用物質と反応する水素発生用水溶液を反応させる反応部と、前記水素発生用水溶液を貯蔵する液体貯蔵部と、この液体貯蔵部に貯蔵された水素発生用水溶液を前記反応部に供給する供給路と、前記反応部で発生した水素を排出する排出手段とを具備し、前記反応部内の圧力が前記液体貯蔵部内の水素発生用水溶液を加圧するようにすると共に圧力状態により流路を開閉する開閉手段を前記供給路の途中に設け、前記開閉手段が、前記供給路の上流側の圧力が所定値より高い場合に開となる圧力調整弁と、この圧力調整弁の下流側に設けられて下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁とを有し、前記圧力調整弁の閉弁力として、当該水素発生設備外部の物質の圧力を駆動力として用いており、前記圧力調整弁が、前記水素発生用水溶液を通す可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外部に移動自在に設けられると共に当該移動により前記可撓性チューブを潰して内部を閉塞するか又は流通状態とする押圧部と、前記可撓性チューブと前記供給路との接続部とを有し、前記押圧部もしくは当該押圧部が設けられた前記可撓性チューブの外側には当該水素発生設備の外部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする水素発生設備にある。
かかる第6の態様では、電力を消費することなく、反応部で発生した水素の圧力により水素発生用水溶液が反応部に供給されて水素が生成され、また、この水素の生成は排出手段に接続した燃料電池の発電部での水素の消費に応じて行われるので、高エネルギー密度の水素発生設備が提供できる。また、供給路の上流側、すなわち、反応部の圧力が所定より高い場合に圧力調整弁が開き、上流側の圧力が下流側より高い場合に水素発生用水溶液が圧力調整弁の下流側へ供給され、また、圧力調整弁の下流側の圧力が反応部内の圧力より高くなった際に水素発生用水溶液が反応部内へ供給される。さらに、水素発生設備の外部の物質の圧力、例えば、大気圧を用いて圧力調整弁を駆動することができ、例えば、反応部の内部の圧力が大気圧より高い場合に圧力調整弁が開となる。また、水素発生設備の外部の物質により圧力調整弁が閉弁する方向に押圧部にかかる応力より反応部内圧が高い時に圧力調整弁は開弁し、反応部内圧が大気圧より低い時閉弁する。
本発明の第7の態様は、前記圧力調整弁と前記逆止弁との間に前記水素発生用水溶液を一時貯留する一時貯留部を設けたことを特徴とする第の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第7の態様では、圧力調整弁の供給路の上流側、すなわち、反応部の圧力が所定より高い場合に圧力調整弁が開き、上流側の圧力が下流側より高い場合に水素発生用水溶液が圧力調整弁を介して一時貯留部へ供給され、また、一時貯留部内の圧力が反応部内の圧力より高くなった際に水素発生用水溶液が反応部内へ供給される。
本発明の第8の態様は、水素反応用物質を格納すると共にこの水素反応用物質と反応する水素発生用水溶液を反応させる反応部と、前記水素発生用水溶液を貯蔵する液体貯蔵部と、この液体貯蔵部に貯蔵された水素発生用水溶液を前記反応部に供給する供給路と、前記反応部で発生した水素を排出する排出手段とを具備し、前記反応部内の圧力が前記液体貯蔵部内の水素発生用水溶液を加圧するようにすると共に圧力状態により流路を開閉する開閉手段を前記供給路の途中に設け、前記開閉手段が、前記供給路の下流側の圧力が所定値より低い場合に開となる圧力調整弁を有し、前記圧力調整弁の閉弁力として、前記反応部の内部の物質の圧力を駆動力として用いており、前記圧力調整弁が、前記水素発生用水溶液を通す可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外部に移動自在に設けられると共に当該移動により前記可撓性チューブを潰して内部を閉塞するか又は流通状態とする押圧部と、前記可撓性チューブと前記供給路との接続部とを有し、前記押圧部もしくは当該押圧部が設けられた前記可撓性チューブの外側には前記反応部の内部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする水素発生設備にある。
かかる第8の態様では、電力を消費することなく、反応部で発生した水素の圧力により水素発生用水溶液が反応部に供給されて水素が生成され、また、この水素の生成は排出手段に接続した燃料電池の発電部での水素の消費に応じて行われるので、高エネルギー密度の水素発生設備が提供できる。また、供給路の下流側、すなわち、反応部の圧力が所定値より低い場合に圧力調整弁が開き、上流側の圧力が下流側より高い場合に水素発生用水溶液が圧力調整弁の下流側、すなわち、反応部内へ水素発生用水溶液が反応部内へ供給される。さらに、水素発生設備の内部の物質の圧力、すなわち、水素の圧力を用いて圧力調整弁を駆動することができ、例えば、反応部の内部の圧力が所定値より低い場合に圧力調整弁が開となる。具体的には、反応部の内部に存在する物質により圧力調整弁が閉弁する方向に弁体やシール部材にかかる応力が低くなり、相対的に流路の上流側の圧力が高くなったときに圧力調整弁は開弁し、反応部内圧が所定値より高い時閉弁する。
本発明の第9の態様は、前記圧力調整弁と前記液体貯蔵部との間に前記水素発生用水溶液を一時貯留する一時貯留部を設けたことを特徴とする第8の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第9の態様では、内部の物質の圧力、例えば、水素の圧力に加えて弾性部材の付勢力を用いることにより、最低限の動作圧を確保してシステムを動作させることができる。
本発明の第10の態様は、前記開閉手段が、さらに、下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁を有することを特徴とする第8又は9の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第10の態様では、水素や水素発生用水溶液の逆流が防止される。
本発明の第11の態様は、前記一時貯留部は、その内部に貯留される水素発生用水溶液が所定圧を受ける構造を有し、前記反応部の内圧が前記所定圧より小さくなった際に水素発生用水溶液を当該反応部へ供給するようになっていることを特徴とする第1〜5、7及び9のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第11の態様では、反応部への水素発生用水溶液の供給を、一時貯留部が受ける所定圧により設定可能である。
本発明の第12の態様は、前記一時貯留部は、その壁の少なくとも一部が移動可能な可動壁であると共に当該可動壁が所定圧を受けており、前記水素発生用水溶液の移動により、前記可動壁が可動して当該一時貯留部の容積が変化することを特徴とする第1〜5、7及び9のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第12の態様では、可撓壁が受ける所定圧により反応部へ供給される圧力を設定できる。
本発明の第13の態様は、前記一時貯留部の当該水素発生設備外部との境界の壁の一部もしくは全体が、前記一時貯留部の内外の圧力差により撓む事が可能な薄膜もしくは薄板からなる可撓膜であり、当該可撓膜が当該水素発生設備外部の圧力を受けていることを特徴とする第1〜5、7及び9のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第13の態様では、可撓膜が受ける所定圧により反応部へ供給される圧力を設定できる。
本発明の第14の態様は、前記供給路とは別に、前記一時貯留部と前記液体貯蔵部とを連結するバイパス管が設けられていることを特徴とする第1〜5、7、9及び10乃至13のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第14の態様では、圧力調整弁の閉弁圧より低い内圧においても一時貯留部へ水素発生用水溶液が供給される。
本発明の第15の態様は、前記バイパス管に、前記一時貯留部から前記液体貯蔵部への前記水素発生用水溶液の逆流を防止する第二の逆止弁が介装されていることを特徴とする第14の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第15の態様では、第二の逆止弁によりバイパス管を介しての水素発生用水溶液の逆流が防止される。
本発明の第16の態様は、前記液体貯蔵部は、その内部の容積が一定の容器からなり、上部に物質移動が可能な貫通孔を有することを特徴とする第1乃至15のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第16の態様では、貫通孔を介して反応部の内圧が液体貯蔵部内にかかるようになる。
本発明の第17の態様は、前記液体貯蔵部は、その内部の容積が貯蔵される水素発生用水溶液の量に応じて可変である容器からなることを特徴とする第1乃至15のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第17の態様では、容積が可変とである液体貯蔵部を反応部内に設けることにより、水素発生用水溶液が減少した際の反応部内の空間を広げることができる。
本発明の第18の態様は、前記容器は、外部と画成する壁の少なくとも一部に移動可能な可動壁を有し、この可動壁が内外の圧力差に応じて移動して当該容器の容積を可変させることを特徴とする第17の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第18の態様では、圧力差に応じて移動する可動壁により、液体貯蔵部の容積が変化する。
本発明の第19の態様は、前記容器は、外部と画成する壁の一部もしくは全体が、内外の圧力差により撓むことが可能な薄膜または薄板からなる可撓壁からなることを特徴とする第17の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第19の態様では、可撓壁の撓みにより液体貯蔵部の容積が変化する。
本発明の第20の態様は、前記水素反応用物質が、加水分解により水素を発生する金属水素化物を含むことを特徴とする第1乃至19のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第20の態様では、水素発生用水溶液と金属水素化物との反応により水素が生成する。
本発明の第21の態様は、前記水素反応用物質が、前記金属水素化物に、固体の有機酸もしくはその塩、金属塩化物、並びに、白金、金、銅、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、及びルテニウムからなる金属及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一種を混合したものであることを特徴とする第20の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第21の態様では、金属水素化物に添加物が添加され、水素の生成が促進される。
本発明の第22の態様は、前記水素発生用水溶液が、水、又は、水に、有機酸もしくはその塩、無機酸もしくはその塩、及び金属塩化物からなる群から選択される少なくとも一種を混合したものであることを特徴とする第20又は21の態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第22の態様では、水素発生用水溶液として、水、又は添加物を混合した水を用いることにより、効率的に水素を生成させることができる。
本発明の第23の態様は、前記水素発生用水溶液が酸もしくは塩基の水溶液であり、前記水素反応用物質が金属である事を特徴とする請求項1乃至19のいずれかの態様に記載の水素発生設備にある。
かかる第23の態様では、酸もしくは塩基の水溶液と金属との反応により、水素が生成される。
本発明の第24の態様は、燃料電池の発電部の負極室へ燃料を供給する燃料供給部として、第1乃至23のいずれかの態様に記載の前記水素発生設備を具備することを特徴とする燃料電池システムにある。
かかる第24の態様では、水素発生用水溶液の送液を、水素発生反応による反応部の圧力変化と燃料電池での水素消費による圧力低下により行う事ができるようになるため、電力を用いずに送液する事が可能となり、高エネルギー密度の燃料電池システムが提供できる。
本発明の第25の態様は、前記発電部が、水素と酸素とを電気化学反応して発電する高分子固体形燃料電池であり、前記燃料供給部から前記負極室に至る部位の内部と外部とで物質の移動が無いことを特徴とする第24の態様に記載の燃料電池システムにある。
かかる第25の態様では、内外で物質の移動がない高分子固体型燃料電池が提供される。
本発明の水素発生設備は、水素発生用水溶液と水素反応用物質とを反応させて必要な水素を生成して供給するものである。
ここで、水素発生用水溶液と水素反応用物質との組み合わせとしては、水素発生用水溶液として水又は水に添加物を添加した水溶液を用い、水素反応用物質として加水分解により水素を発生する金属水素化物又はこの金属水素化物に添加物を混合したものを用いるものが挙げられる。
かかる金属水素化物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錯金属と水素の化合物であり、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化アルミニウム、水素化マグネシウムなどが挙げられる。
また、金属水素化物に混合する添加物としては、固体の有機酸もしくはその塩、金属塩化物、又は、白金、金、銅、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、及びルテニウムからなる金属及びこれらの合金などを挙げることができ、これらから選択される少なくとも一種を用いればよい。これにより、金属水素化物中に水素発生反応の促進剤や触媒が混合されるため、反応速度が極めて速くなり、水が金属水素化物に供給されると反応部内圧を即座に上昇させる事ができるようになる。
一方、水素発生用水溶液としては、水そのものの他、水に、有機酸もしくはその塩、無機酸もしくはその塩、金属塩化物を混合した水溶液を用いるのが好ましい。これにより、水素発生反応を促進させる促進剤水溶液を得る事ができるため、反応速度が極めて速くなり、水素発生反応が起きると反応部内圧を即座に上昇させる事ができるようになる。
このような水に添加される物質としては特に限定されないが、有機酸もしくはその塩、無機酸もしくはその塩、金属塩化物などを挙げることができ、例えば、酸としては硫酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、金属塩化物としては塩化コバルト、塩化鉄、塩化ニッケル、白金族の塩化物などを挙げることができる。
さらに、水素発生用水溶液と水素反応用物質との組み合わせとしては、水素発生用水溶液が酸もしくは塩基水溶液を用い、水素反応用物質が金属である場合を挙げることができる。
ここで、好ましくは、酸として塩酸、硫酸などを用い、これらの酸に適用する金属は卑金属を用いる。一方、塩基水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液を挙げることができ、このような塩基水溶液に適用する金属は両性金属である。これらを混合する事により、速い速度で水素を得る事ができるようになる。
以上説明したように、本発明によれば、電力を用いることなく、もしくは、低電力で、水素発生用水溶液を送液する事ができるようになるため、必要に応じて燃料電池に供給する水素を得る事ができるようになり、高エネルギー密度の水素供給設備及び燃料電池システムを提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の燃料電池システムの構成図である。概略の構成は、水溶液を貯蔵し、送液する液体関連ユニットと、水素発生反応を生じ、発生した水素を発電のために消費する水素関連ユニットとの二部構成である。燃料電池システムは、原則的に内部と外部との物質交換がない構造となっている。
まず液体関連ユニットは、液体貯蔵部11、一時貯留部12、液体貯蔵部11と一時貯留部12を連結する供給管15a、一時貯留部12に接続され一端が開口している供給管15b、更に供給管15aには圧力調整弁14、供給管15bには逆止弁13が具備された構成となっている。
液体貯蔵部11内には水素発生用水溶液17が貯蔵されており、水素発生用水溶液17は、液体貯蔵部11から供給管15aを通り、圧力調整弁14を通過した後一時貯留部12に到り、一時貯留部12から供給管15bを通り、逆止弁13を通過した後、供給管15bの開口端より流出する。逆止弁13は、通常のチューブチェックバルブであり、供給管15bの開口端から一時貯留部12への逆流を防止している。
次に水素関連ユニットは、反応部10、負極室2、高分子固体形燃料電池の発電部1、および反応部10と負極室2とを接続する水素導管3から構成されている。なお、反応部10は、負極室2に連通して設けられて負極室2で消費される気体である水素を蓄える気体室として機能する。
以上の設備で発電部1、負極室2及び水素導管3を除いた設備が本発明の水素発生設備であり、水素発生設備の水素排出手段を水素導管3に接続した状態を図示したものである。よって、以下、水素発生設備を含む燃料電池システム全体の説明を行いながら、水素発生設備自体の説明を行うことにする。
水素発生設備の反応部10は水素反応用物質16を格納し、水素を発生させる部位である。また負極室2は、反応部10で発生した水素を滞留させ、高分子固体形燃料電池の発電部1の負極に水素を送る空間である。高分子固体形燃料電池の発電部1は、負極室2の水素及び空気中の酸素を電気化学的に反応させて電力を発生する部位である。
本実施形態では、上述した両ユニットを、次のように配置した。すなわち、液体貯蔵部11を反応部10内部に配置し、一時貯留部12を反応部10の外部に設置し、一時貯留部12に貯留される水素発生用水溶液17が外部の圧力を受けるようにした。但し、必ずしも一時貯留部12全体を反応部10の外部に設ける必要はなく、少なくとも一時貯留部12の壁の一部が反応部10の外部と接するように配置しても良い。更に、供給管15bの開口端は、反応部10の内部の水素反応用物質16の上方に開口するように配置した。尚、液体貯蔵部11、圧力調整弁14、一時貯留部12については、詳しく後述するが、圧力調整弁14は、反応部10の内部に設置し、圧力調整弁14の開閉動作のために大気を取り入れるため、図5に示すように、大気取込部38を設けて、圧力調整弁14の一部が大気と接するようにした。以上の通りに各部位を配置することにより、水素発生用水溶液17は、一時貯留部12から供給管15bを通過し、供給管15bの開口端から反応部10内に供給されるようにした。
このような構成とすることにより、反応部10内部の圧力が燃料電池システム外部の圧力より高くなった時、液体貯蔵部11に貯蔵された水素発生用水溶液17が一時貯留部12に移動し、反応部10内部の圧力が燃料電池システム外部の圧力より低くなった時、圧力調整弁14が閉弁するまで一時貯留部12内の水素発生用水溶液17が液体貯蔵部11に移動することとなる。従って、水素発生用水溶液17の送液を、水素発生反応による反応部の圧力上昇と燃料電池での水素消費による圧力低下により行う事ができるようになるため、電力を用いずに送液する事が可能となる。
以上の構造によると、燃料電池システムは液体貯蔵部11から負極室2が外部に対して閉じられた系であるため、内部に水素発生用水溶液17、及び、発生した水素がとどまる。そこで水素の発生により内部圧力が上昇し、燃料電池反応により水素消費により内部圧力が低下する。そこでまず、反応部内で水素発生反応が起きると、反応部10及び負極室2の内圧が上昇する。これにより液体貯蔵部11、及び、水素発生用水溶液17に圧力がかかるため、反応部10の圧力が燃料電池システム外部の圧力、例えば、大気圧より高くなると、水素発生用水溶液17が圧力調整弁14を通して一時貯留部12に移動する。その際、逆止弁13には反応部10側から圧力がかかるが、逆止弁13が閉鎖するため、一時貯留部12には水素が流入しない。従って一時貯留部12の内圧は圧力調整弁14の出力圧となる。
次に、燃料電池における発電により水素が消費されると、反応部10及び負極室2の内圧が低下する。液体貯蔵部11の内圧は反応部10の内圧と同等であるため、反応部10の内圧が低下すると、一時貯留部12と液体貯蔵部11とに圧力差が生じるため、一時貯留部12から液体貯蔵部11に水素発生用水溶液17が移動する。
しかし、反応部10内圧が圧力調整弁14の閉弁圧を下回ると、圧力調整弁14が閉鎖し、水素発生用水溶液17の液体貯蔵部11への移動は停止する。この時の一時貯留部12の内圧は圧力調整弁14の閉弁圧となる。更に、燃料電池により水素が消費され、反応部10及び負極室2の内圧が低下すると、反応部10内圧は一時貯留部12の内圧より低くなるため、逆止弁13を通して一時貯留部12から水素発生用水溶液17が反応部10に移動する事となる。その結果、反応部10内に格納された水素反応用物質16と水素発生用水溶液17とが接して、水素発生反応が起きる事となり、再度反応部10及び負極室2の内圧が上昇する。燃料電池の運転時水素が消費するため、この現象が繰り返し発生し、水素発生用水溶液17が反応部10に移動して、液体貯蔵部11中の水素発生用水溶液17の体積が低下する。それと共に反応部10内の空間、つまり、反応生成物や残留物を保持するための空間が増大することとなる。その結果反応部10内の空間の増大分を考慮に入れて、より多くの水素反応用物質16を反応部10に格納することができるようになる。
更に、一時貯留部12が、燃料電池システム外部に存在する物質の圧力を受けており、水素発生用水溶液17の移動により、一時貯留部12の体積が変化するようにするのが好ましい。これにより、圧力調整弁14の閉弁圧を燃料電池システム外部に存在する物質の圧力、例えば、大気圧相当とした場合でも、反応部10の内圧が大気圧より低下すると、大気圧を受けて一時貯留部12の体積が縮小しながら水素発生用水溶液17を一時貯留部12から反応部に送液できるようになる。従って、大気圧相当で燃料電池システムを運転する事が可能となり、その結果燃料電池の電解質膜に与える応力を小さくし、安全に燃料電池システムを運転する事が可能となる。
また、圧力調整弁14の閉弁力として、燃料電池システム外部の物質圧力を駆動力として用いるため、反応部10の内圧によらず一定の圧力で圧力調整弁14を閉弁する事が可能となる。
ここで、液体貯蔵部11について説明する。液体貯蔵部11と、それに接続された供給管15aの一部の具体例を図2〜図4にそれぞれ示した。図に示した部位は前記した通り、反応部10内に設けられている。
まず図2は、一例に係る液体貯蔵部11Aを示す構成図である。液体貯蔵部11Aは上部に開口部20を有する容器であり、この容器内に挿入されるように供給管15aが接続されており、供給管15aの端部は液体貯蔵部11の底部近くまで延設されるように設置されている。このような構成により、反応部10内で発生した水素が開口部20より液体貯蔵部11内に流入し、水素発生用水溶液17の液面を加圧することができるようになっている。この結果、後述する作用により供給管15bの開口端より水素発生用水溶液17が流出し、反応部10に供給される。また、このとき、水素圧により水素発生用水溶液17の液面が低下し、液体貯蔵部11内の空間が増加し、反応部10で発生した副生成物を保持するための空間が増大する。
また図3は、図2と異なる構造の液体貯蔵部11Bの斜視図である。液体貯蔵部11Bは可撓性フィルムにて構成される袋状の容器であり、この袋状の容器の内部と連通するように供給管15aが取り付けられている。このような構成により、供給管15bの開口端より水素発生用水溶液17が流出して、反応部10に供給されると水素が発生し、発生した水素が液体貯蔵部11Bの外面を加圧し、液体貯蔵部11Bの内部の体積が低下するように可撓性フィルムが変形し、内部の水素発生用水溶液17が供給管15aから供給される。また、この結果、液体貯蔵部11Bの全体の体積が低下するので、逆に反応部10内の空間を増大することとなる。
また図4は、図2、図3と異なる液体貯蔵部11Cの側面断面図である。液体貯蔵部11Cを固定形状の容器とし、その一面の壁を可動壁21としたものである。本図では液体貯蔵部11Cはシリンジのような円筒形容器であり、容器末端の底壁に供給管15aを取り付けたものである。可動壁21はプランジャであり、供給管15aが取り付けられた底壁と対向する位置に配置され、可動壁21と液体貯蔵部11に挟まれた空間に水素発生用水溶液17が貯蔵されるようになっている。水素発生用水溶液17が供給管15bの開口端より流出し、反応部10に供給されると、水素が発生し、水素圧により液体貯蔵部11Cの容積を低下させる方向に可動壁21が移動し、また、これに伴い、反応部10の空間体積が増大する。
以上の通り、液体貯蔵部11A〜11Cは、反応部10内の圧力の上昇により内部に内蔵された水素発生用水溶液17が供給管15aに導入され、供給管15bの開口端よりが流出するようになっており、電力を消費することなく、水素発生用水溶液17の供給が可能なものである。
また、このように水素発生用水溶液17が反応部10に供給されると、反応部10の空間体積が増大し、水素発生反応で発生した泡や残留物をより多く貯留できるという効果も奏するものである。すなわち、液体貯蔵部11から水素発生用水溶液17が反応部10に移動しても、デッドスペースが生じず、水素発生用水溶液17が反応部に移動した時の液体貯蔵部11内に存在する水素発生用水溶液17の体積減少分を、残留物や反応生成物を保持するための空間として利用する事ができるようになり、より多くの水素反応用物質16を反応部10に格納可能となる。
次に圧力調整弁について説明する。圧力調整弁14と、圧力調整弁14と液体貯蔵部11を接続する供給管15aの一部と、一時貯留部12に接続する供給管15bの一部とを図5、図6に示した。尚、反応部筐体の壁35a、35bは一体の壁であるが、図5、図6は共に断面図であるため、当該部位が開口しているために分離して描かれている。同様に、流路板39a、39b、39cは一体の部材であるが、断面の部位に流路34a、34b、開口部33が形成されているため、図では分離して描かれている。従って特に拘らない限り、反応部筐体の壁35、流路板39と記述する。
まず、図5は一例に係る圧力調整弁14Aの断面図である。圧力調整弁14Aは、流路34a、34bが形成された流路板39と弁体30で構成されている。流路34aは液体貯蔵部11と接続された供給管15cと、流路34bは一時貯留部12と接続された供給管15dとそれぞれ接続している。また、流路34aと流路34bとは開口部33を介して連通しており、液体貯蔵部11から送液された水素発生用水溶液17は、流路34a、開口部33、流路34bを通り、一時貯留部12に供給される。流路板39は反応部筐体の壁35と固定されている。尚、図5では反応部筐体の壁35の上方が燃料電池システム外部、下方が反応部10内部となっている。また、流路34aを画成する隔壁の一部が外部に開口した部位を設けており、開口部分の隔壁の一部には可撓性部材からなるシール部材31が取り付けられて、外部と流路34aとが仕切られている。流路34a内には、シール部材31と一体的に固定された弁体30が設置され、弁体30が動くことにより開口部33が開閉されるようになっている。更に、弁体30及びシール部材31を開口部33方向に付勢する加重を付加するために、ばね32を設置した。
ここで弁体30並びにシール部材31に大気圧がかかるようにするため、反応部筐体の壁35aと35bの間に大気取込部38を設けた。従って、シール部材31には、燃料電池システム外部の大気圧、及び、ばね32の付勢力が上面より加重されており、一方、流路34の内部側から水素発生用水溶液17の圧力がかかっている。なお、シール部材31はポリエチレンやポリプロピレン、シリコーンゴムのような樹脂やゴム、ニッケルやシリコン、セラミックのような固体薄板や薄膜により形成されており、シール部材31上下の圧力差に応じて撓み、弁体30を移動させる事が可能なものである。開口部33の閉鎖時のシール部材31上部からの加重は大気圧及びばね32による付勢力であるため、一定であり、従って、水素発生用水溶液17が所定の圧力を上回った時のみ開弁する事が可能となっている。
図5の圧力調整弁14Aの場合、閉弁する方向に弁体30やシール部材31に応力がかかっていない場合、反応部10の内圧が大気圧より高い時圧力調整弁14Aは開弁し、反応部内圧が大気圧より低い時閉弁する事となる。
詳しくは、反応部10の内圧が大気圧より高い場合、反応部10の内圧を受けて液体貯蔵部11から移動する水素発生用水溶液17により圧力調整弁14Aが開弁し、一時貯留部12に水素発生用水溶液17が送液される。一方、反応部10の内圧が低下した場合、反応部10の内圧が大気圧より高い時点では反応部10の内圧を受けて水素発生用水溶液17が圧力調整弁14Aを開弁し続ける。しかし反応部10の内圧が大気圧より低下すると、大気圧による弁体30への加重が水素発生用水溶液17による加重より大きくなるため、圧力調整弁14Aが閉鎖することとなる。
また、図6は図5と異なる圧力調整弁14Bの断面図である。圧力調整弁14B内には可撓性部材からなる樹脂チューブ37が設置されており、反応部筐体の壁35の下方に流路板39を設置した。尚、図6では反応部筐体の壁35の上方が燃料電池システム外部、下方が反応部10内部となっている。樹脂チューブ37は液体貯蔵部11と接続された供給管15cと、一時貯留部12と接続された供給管15dと接続されており、水素発生用水溶液17が供給されるようになっている。また反応部筐体の壁35の一部に大気取込部38を設け、樹脂チューブ37の一部が燃料電池システム外部と接するようにし、樹脂チューブ37の可撓性の隔壁の一部が大気圧を受けている。更に加えて、樹脂チューブ37の断面径方向に圧縮する押圧部36をばね32で圧縮方向に付勢した状態で設置している。従って、樹脂チューブ37内部の水素発生用水溶液17の圧力が所定値を下回った場合、押圧部36が下方に移動して樹脂チューブ37を押し潰し、水素発生用水溶液17の流通を遮断するようになっている。
図6の圧力調整弁14Bも図5の圧力調整弁14Aと同様に動作し、閉弁する方向に押圧部36にかかる大気圧より、反応部10の内圧が高い時、圧力調整弁14Bは開弁し、反応部10の内圧が大気圧より低い時閉弁する事となる。
次に一時貯留部12の構造を説明する。図7は一時貯留部12の断面図である。一時貯留部12に水素発生用水溶液17を流入もしくは流出させるために、一時貯留部12には供給管15が接続されている。この供給管15は反応部筐体の壁35の内方に設置した。尚、図7では反応部筐体の壁35の上方が燃料電池システム外部、下方が反応部10内部となっている。
一時貯留部12は、その隔壁の一面の壁を可撓性部材からなる自由壁40とし、これを反応部筐体の壁35に設けた開口部41に配置して燃料電池システム外部と接するようにし、自由壁40に上方(外部)より大気圧が、下方(内部)より水素発生用水溶液17の圧力がかかるようになっている。自由壁40は、ポリエチレンやポリプロピレン、シリコーンゴムのような樹脂やゴム、ニッケルやシリコン、セラミックのような固体薄板、薄膜により形成されており、自由壁40上下の圧力差に応じて撓み、これにより一時貯留部12の容積が可変となっている。
(実施例)
さて、以上説明した構造体を用いて図1の燃料電池システムを作製し、運転した。部品としては、液体貯蔵部11に図3の構造を、圧力調整弁14に図6の構造を用いた。使用した材質は、反応部筐体と供給管15にステンレスを、液体貯蔵部11にポリプロピレンを、圧力調整弁14の樹脂チューブ37にシリコーンゴムを、また、一時貯留部12の自由壁40にシリコーンシートを用いた。また、反応部10は内容積が90ccの矩形容器であり、液体貯蔵部11の内容積は40cc、供給管15は内径4mm、樹脂チューブの内径は2mm、自由壁40の厚みを0.5mm、一時貯留部の容積を2ccとした。
また、圧力調整弁14Bのばね32を調節して、大気圧及びばね32力による押圧部36上部からの加重を10kPaとし、反応部10内圧が10kPa(ゲージ圧)の時に閉鎖される設定にした。
更に、液体貯蔵部11内には水素発生用水溶液17としてリンゴ酸水溶液を貯蔵し、反応部10には水素反応用物質16として水素化ホウ素ナトリウムの粉末を保持した。
次に、作製した燃料電池システムの作用を図1に基づいて説明する。
発電部1が負荷と接続されると、燃料電池システム内部の水素と空気中の酸素が燃料電池反応を起こし、電力を発生する。発電は水素を消費しながら進行するため、負極室2、水素導管3、反応部10の内圧が低下する。ここで一時貯留部12は大気圧を受けているため、内圧が大気圧より低下すると一時貯留部12と反応部10とに差圧が生じ、一時貯留部12に貯留されているリンゴ酸水溶液が反応部10に移動する。反応部10に格納している水素化ホウ素ナトリウムは、リンゴ酸水溶液と接触することにより水素発生反応を生じる。発生した水素は、水素導管3を通り、負極室2に供給されることとなる。
水素の発生により反応部10、水素導管3、負極室2の内圧が大気圧より上昇すると、まず一時貯留部12より反応部10内圧の方が高くなるため、水素が供給管15bを逆流しようとする。しかし逆止弁13が供給管15b上に設置されているため、逆流を防止できる。
一方、液体貯蔵部11は反応部10内圧を受けて圧縮され、内部に貯蔵しているリンゴ酸水溶液が供給管15aを通り、圧力調整弁14まで移動する。圧力調整弁14は、開弁方向にリンゴ酸水溶液の圧力を、閉弁方向に10kPa(ゲージ圧)を受けている。反応部10内圧が10kPa(ゲージ圧)を超えると、リンゴ酸水溶液の圧力により開弁方向の力が上回り、圧力調整弁14が開弁し、リンゴ酸水溶液が一時貯留部12に供給される。
その後、水素発生速度が低下し発電部1での水素消費速度が上回ると、負極室2、水素導管3、反応部10の内圧が低下し始める。内圧が10kPa(ゲージ圧)より高い間は圧力調整弁14が開弁しているため、一時貯留部12から液体貯蔵部11にリンゴ酸水溶液が逆流する。しかし、内圧が10kPa(ゲージ圧)を下回ると圧力調整弁14は閉弁する。この時の一時貯留部12内圧は10kPa(ゲージ圧)である。更に反応部10内圧が低下すると、一時貯留部12と反応部10とに圧力差が発生し、逆止弁13が開弁して、リンゴ酸水溶液が水素化ホウ素ナトリウムに供給され、再度内圧が上昇することとなる。
本構造における実験結果を図8に示す。図8は、本発明による燃料電池システムの運転時の状況を示すグラフである。上段から順に、(a)圧力調整弁の開閉状態、(b)水素発生用水溶液の反応部への送液有無、(c)内圧の経時変化を示している。グラフの横軸は経過時間、縦軸は(a)圧力調整弁の開閉、(b)送液もしくは送液停止、(c)反応部10内のゲージ圧を示す。
反応部10内圧は全般的には、(c)によると、水素発生による圧力の急激な上昇と、発電による水素消費に伴う圧力低下が繰り返し起きた。初期は大気圧付近での運転であったが、開始後20分以上経過すると、圧力上限が25kPa(ゲージ圧)、圧力下限が5kPa(ゲージ圧)となり、ほぼ安定したプロファイルが得られるようになった。つまり電力を一切用いることなく、系内の圧力変動を利用して水素を発生し、燃料電池を運転する事が可能となった。
この現象を、(a)、(b)と関連付けて説明する。初期は大気圧であり、圧力調整弁14の開弁圧である10kPa(ゲージ圧)より低いため、(a)の通り圧力調整弁14は閉弁している。従って一時貯留部12の内圧と反応部10内圧との圧力差から、(b)の通りリンゴ酸水溶液が反応部10に送液される。反応部10内圧が上昇し始めると、反応部10内圧が一時貯留部12より圧力が高くなるため、逆止弁13が動作し、リンゴ酸水溶液の送液が停止する。更に、10kPa(ゲージ圧)を超えると、圧力調整弁14が開弁し、液体貯蔵部11から一時貯留部12にリンゴ酸水溶液が移動する。水素が常に消費されているため、これが繰り返される。
尚、長時間運転後でも連続運転を持続できたが、反応速度が低下し、安定した圧力上昇が見られない現象が生じた。高圧時でも10kPa(ゲージ圧)を超えなくなり、圧力調整弁14が開弁せず、液体貯蔵部11から一時貯留部12にリンゴ酸水溶液が送られなくなる事があった。
(他の実施例)
上述した実施例の現象を回避するための他の実施例としての燃料電池システムの一例を図9に示す。
図9は、図1の燃料電池システムにバイパス管19を付加した燃料電池システムの構成図である。バイパス管19は液体貯蔵部11と一時貯留部12を供給管15とは別に連結する管であり、間に逆止弁18を設置した。逆止弁18は一時貯留部12から液体貯蔵部11への水素発生用水溶液17の逆流を防止するものである。
このようにバイパス管19を設けることにより、反応部10内圧がゲージ圧を超えない場合でも大気圧より高い場合、圧力差により液体貯蔵部11から一時貯留部12に水素発生用水溶液17を移動することができるようになった。
さて、燃料電池システムにおける水素供給や水素貯蔵に関する要求は、水素を発電電流に見合った速度で供給すること、水素の発生を低電力で、好ましくは、電力を消費せずに行うこと、水素反応用物質16や水素発生用水溶液17を全体体積に対して高い比率で貯蔵すること、水素発生反応による反応生成物を発電部1側に流出させないことである。特に水素反応用物質16や水素発生用水溶液17を全体体積に対して高い比率で貯蔵することができれば、水素貯蔵量が増加し、エネルギー密度を向上する事ができるようになる。
しかしながら、従来、水素反応用物質16や水素発生用水溶液17を、全体体積に対して高い比率で貯蔵することができなかった。その理由は、水素発生反応による反応生成物が泡状に形成され、体積膨張し、発電部1側に流出してしまうためであった。
本実施例の燃料電池システムでは、反応部10の容積が90ccであり、その中に容積40ccの液体貯蔵部11が具備されている。運転の結果、反応の進行に伴い液体貯蔵部11の体積が低下し、反応部10内の空間が増加した。そのため、水素化ホウ素ナトリウムを8g程度投入しても、反応生成物が反応部10から流出する事がなかった。
(比較例)
従来の燃料電池システムの構成は、反応部10と液体貯蔵部11が分離した別々の容器であり、反応部10を小さくせざるを得ないため、反応生成物を反応部10内に収める空間が小さく、反応生成物の流出を早い段階で起こしてしまっていた。
全体体積を実施例1の燃料電池システムにあわせて比較例の燃料電池システムを作製すると、反応部10の容積が46ccであり、これと分離して容積40ccの液体貯蔵部11が具備される。
運転の結果、反応部10に格納する水素化ホウ素ナトリウムの重量が、たかだか4g程度で、反応部10から反応生成物があふれ出てしまっていた。
(他の実施形態)
さらに、図10には、本発明の燃料電池システムの他の実施形態例を示す。尚、図1に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
なお、上述した実施形態は、供給路に設けた開閉手段として、供給路の上流側の圧力が所定値より高い場合に開となる圧力調整弁を採用した例であったが、本実施形態では、開閉手段として、供給路の下流側の圧力が所定値より低い場合に開となる圧力調整弁を採用している。
図10の燃料電池システムの液体関連ユニットは、液体貯蔵部11、一時貯留部12、液体貯蔵部11と一時貯留部12を連結する供給管15a、一時貯留部12に接続され一端が開口している供給管15b、更に供給管15aには逆止弁23、供給管15bには圧力調整弁24が具備された構成となっている。
液体貯蔵部11内には水素発生用水溶液17が貯蔵されており、水素発生用水溶液17は、液体貯蔵部11から供給管15aを通り、逆止弁23を通過した後一時貯留部12に到り、一時貯留部12から供給管15bを通り、圧力調整弁24を通過した後、供給管15bの開口端より流出する。逆止弁23は、通常のチューブチェックバルブであり、一時貯留部12から液体貯蔵部11への逆流を防止している。
次に水素関連ユニットは、反応部10、負極室2、高分子固体形燃料電池の発電部1、および反応部10と負極室2とを接続する水素導管3から構成されている。なお、反応部10は、負極室2に連通して設けられて負極室2で消費される気体である水素を蓄える気体室として機能する。
以上の設備で発電部1、負極室2及び水素導管3を除いた設備が本発明の水素発生設備であり、水素発生設備の水素排出手段を水素導管3に接続した状態を図示したものである。
水素発生設備の反応部10は水素反応用物質16を格納し、水素を発生させる部位である。また負極室2は、反応部10で発生した水素を滞留させ、高分子固体形燃料電池の発電部1の負極に水素を送る空間である。高分子固体形燃料電池の発電部1は、負極室2の水素及び空気中の酸素を電気化学的に反応させて電力を発生する部位である。
ここで、液体貯蔵部11としては、図2乃至図4で説明した構成のものが採用でき、一時貯留部12としては、図7のものが採用できる。
また、圧力調整弁24は、反応部10の内圧が所定圧力以下になった時、開弁して一時貯留部12側からの水素発生用水溶液17が供給管15bを流通可能となるように動作する。一時貯留部12の内圧は送られた水素発生用水溶液17により加圧されて圧力調整弁24が開く圧力よりも高い状態(圧力調整弁24が開くための反応部10の所定圧力値を超える圧力)を生じており、一時貯留部12と反応部10の内圧差により水素発生用水溶液17が供給管15bから反応部10に送られる。その結果、水素発生用水溶液17と反応部10内に格納された水素反応用物質16が接触して反応部10内で水素生成反応が生じる。
このような圧力調整弁24を有する燃料電池システムにおいて、発電部1が負荷に接続されると、負極室2の内部の水素と空気中の酸素が燃料電池反応を起こして電力を発生する。発電は水素を消費しながら進行するため、負極室2、水素導管3、反応部10の内圧が低下する。ここで、一時貯留部12は大気圧を受けているため、内圧が大気圧より低下すると一時貯留部12と反応部10とに差圧が生じ、一時貯留部12に貯留されている水素発生用水溶液17(例えば、リンゴ酸水溶液)が供給管15bを通って反応部10に移動する。
水素発生用水溶液17が反応部10に移動すると、水素反応用物質16(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)と接触して水素発生反応を生じる。発生した水素は、水素導管3を通り、負極室2に供給される。水素の発生により反応部10、水素導管3、負極室2の内圧が大気圧より上昇し、反応部10の内圧が一時貯留部12より高くなる。このため、水素が供給管15bを逆流しようとするが、圧力調整弁24により逆流が防止される。
一方、液体貯蔵部11内の水素発生用水溶液17が反応部10の内圧を受けて加圧され、液体貯蔵部11の内部に貯蔵されている水素発生用水溶液17が供給管15aから逆止弁23を通って一時貯留部12に供給される。
その後、水素発生速度が低下し、発電部1での水素消費速度が上回ると、負極室2、水素導管3、反応部10の内圧が低下し始める。内圧が低下して一時貯留部12と反応部10とに圧力差が発生すると、圧力調整弁24が開弁して一時貯留部12から反応部10に水素発生用水溶液17が流入する。これにより、水素反応用物質16に水素発生用水溶液17が接触して水素発生反応が生じ、反応部10の内圧が再度上昇することとなる。
以上の繰り返しにより水素が生成され、燃料電池の負極室2に燃料である水素が供給される。
そして、液体貯蔵部11から反応部10に水素発生用水溶液17が供給されるにしたがって液体貯蔵部11の体積が減少する場合には、その分反応部10の容積が増加するので、デッドスペースがなくなり、少ないスペースで水素の発生を行う領域を増加させることができ、水素発生量を減らすことなく省スペース化が可能になる。また、スペースを増加させることなく水素発生量を増加させることが可能になる。
上述した燃料電池システムは、少ない体積で十分な量の水素を発生させることができる水素発生設備を備えた燃料電池システムとすることができる。
なお、この実施形態で用いた圧力調整弁24の具体的な構造は、図5や図6で説明した構造を採用することができる。
図5に示す圧力調整弁14Aを圧力調整弁24として用いる場合には、図面の上方側が反応部10の内部、下方側が燃料電池システム外部とし、大気取込部38とした場所に反応部10の内部の圧力がかかるようにすればよい。これにより、シール部材31には、反応部10内部の圧力、及び、ばね32の付勢力が上面より加重されており、一方、流路34の内部側から水素発生用水溶液17の圧力がかかっている。従って、反応部10の内圧が下がり、相対的に水素発生用水溶液17が上回った時のみ開弁する事が可能となっている。なお、ばね32を設けることにより、反応部10内の内圧が著しく低くても、水素発生用水溶液17の圧力がばね32の付勢力より大きくならないと開弁しないようになっているが、ばね32は必ずしも設ける必要はない。
また、図6の圧力調整弁14Bを圧力調整弁24として用いる場合も同様であり、図6において図面の上方側が反応部10内部、下方側が燃料電池システム外部とし、樹脂チューブ37の可撓性の隔壁の一部が反応部10の内圧を受けるようにすればよい。これにより、反応部10の内圧が高くなって、相対的に樹脂チューブ37内部の水素発生用水溶液17の圧力が下回った場合、押圧部36が下方に移動して樹脂チューブ37を押し潰し、水素発生用水溶液17の流通を遮断するようになり、逆に、反応部10の内圧が高くなると、開弁するようになっている。
本発明は、例えば、金属水素化物を分解して水素を発生させる水素発生設備及び水素発生設備で発生した水素を燃料とする燃料電池システムの産業分野で利用することができる。
本発明による燃料電池システムの構成図である。 液体貯蔵部の一例を示す構成図である。 液体貯蔵部の一例を示す斜視図である。 液体貯蔵部の一例を示す側面断面図である。 圧力調整弁の一例を示す断面図である。 圧力調整弁の一例を示す断面図である。 一時貯留部の一例を示す断面図である。 本発明による燃料電池システムの運転時における以下の状況を示すグラフである。(a)圧力調整弁の開閉状態 (b)水素発生用水溶液の反応部への送液有無 (c)燃料電池システム内圧の経時変化 図1にバイパス管を付加した燃料電池システムの構成図である。 他の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
符号の説明
1 発電部
2 負極室
3 水素導管
10 反応部
11、11A、11B、11C 液体貯蔵部
12 一時貯留部
13 逆止弁
14、14A、14B 圧力調整弁
15、15a、15b、15c、15d 供給管
16 水素反応用物質
17 水素発生用水溶液
18 逆止弁
19 バイパス管
20 開口部
21 可動壁
30 弁体
31 シール部材
32 ばね
33 開口部
34、34a、34b 流路
35、35a、35b 反応部筐体の壁
36 押圧部
37 樹脂チューブ
38 大気取込部
39、39a、39b、39c 流路板
40 自由壁
矢印 逆止弁の送液方向を示す

Claims (25)

  1. 水素反応用物質を格納すると共にこの水素反応用物質と反応する水素発生用水溶液を反応させる反応部と、前記水素発生用水溶液を貯蔵する液体貯蔵部と、この液体貯蔵部に貯蔵された水素発生用水溶液を前記反応部に供給する供給路と、前記反応部で発生した水素を排出する排出手段とを具備し、前記反応部内の圧力が前記液体貯蔵部内の水素発生用水溶液を加圧するようにすると共に圧力状態により流路を開閉する開閉手段を前記供給路の途中に設け、前記開閉手段が、前記供給路の上流側の圧力が所定値より高い場合に開となる圧力調整弁と、この圧力調整弁の下流側に設けられて下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁とを有し、前記圧力調整弁と前記逆止弁との間に前記水素発生用水溶液を一時貯留する一時貯留部を設けたことを特徴とする水素発生設備。
  2. 前記圧力調整弁の閉弁力として、当該水素発生設備外部の物質の圧力を駆動力として用いていることを特徴とする請求項記載の水素発生設備。
  3. 前記圧力調整弁が、
    前記水素発生用水溶液を通す流路と、
    前記流路の隔壁の一部を形成すると共に圧力を受けて撓みを生じる薄膜若しくは薄板である可撓膜からなるシール部材と、
    前記シール部材と固定されて当該シール部材の撓みと連動して移動すると共に当該移動により前記流路を開閉して前記水素発生用水溶液を流通もしくは遮断する弁体と、
    前記流路と前記供給路との接続部とを有し、
    前記シール部材の外側に当該水素発生設備の外部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする請求項記載の水素発生設備。
  4. 前記圧力調整弁が、
    前記水素発生用水溶液を通す可撓性チューブと、
    前記可撓性チューブの外部に移動自在に設けられると共に当該移動により前記可撓性チューブを潰して内部を閉塞するか又は流通状態とする押圧部と、
    前記可撓性チューブと前記供給路との接続部とを有し、
    前記押圧部もしくは当該押圧部が設けられた前記可撓性チューブの外側には当該水素発生設備の外部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする請求項記載の水素発生設備。
  5. 前記圧力調整弁の閉弁力として、当該水素発生設備外部の物質の圧力に加え、弾性部材による付勢力を用いていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の水素発生設備。
  6. 水素反応用物質を格納すると共にこの水素反応用物質と反応する水素発生用水溶液を反応させる反応部と、前記水素発生用水溶液を貯蔵する液体貯蔵部と、この液体貯蔵部に貯蔵された水素発生用水溶液を前記反応部に供給する供給路と、前記反応部で発生した水素を排出する排出手段とを具備し、前記反応部内の圧力が前記液体貯蔵部内の水素発生用水溶液を加圧するようにすると共に圧力状態により流路を開閉する開閉手段を前記供給路の途中に設け、前記開閉手段が、前記供給路の上流側の圧力が所定値より高い場合に開となる圧力調整弁と、この圧力調整弁の下流側に設けられて下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁とを有し、前記圧力調整弁の閉弁力として、当該水素発生設備外部の物質の圧力を駆動力として用いており、前記圧力調整弁が、前記水素発生用水溶液を通す可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外部に移動自在に設けられると共に当該移動により前記可撓性チューブを潰して内部を閉塞するか又は流通状態とする押圧部と、前記可撓性チューブと前記供給路との接続部とを有し、前記押圧部もしくは当該押圧部が設けられた前記可撓性チューブの外側には当該水素発生設備の外部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする水素発生設備。
  7. 前記圧力調整弁と前記逆止弁との間に前記水素発生用水溶液を一時貯留する一時貯留部を設けたことを特徴とする請求項に記載の水素発生設備。
  8. 水素反応用物質を格納すると共にこの水素反応用物質と反応する水素発生用水溶液を反応させる反応部と、前記水素発生用水溶液を貯蔵する液体貯蔵部と、この液体貯蔵部に貯蔵された水素発生用水溶液を前記反応部に供給する供給路と、前記反応部で発生した水素を排出する排出手段とを具備し、前記反応部内の圧力が前記液体貯蔵部内の水素発生用水溶液を加圧するようにすると共に圧力状態により流路を開閉する開閉手段を前記供給路の途中に設け、前記開閉手段が、前記供給路の下流側の圧力が所定値より低い場合に開となる圧力調整弁を有し、前記圧力調整弁の閉弁力として、前記反応部の内部の物質の圧力を駆動力として用いており、前記圧力調整弁が、前記水素発生用水溶液を通す可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外部に移動自在に設けられると共に当該移動により前記可撓性チューブを潰して内部を閉塞するか又は流通状態とする押圧部と、前記可撓性チューブと前記供給路との接続部とを有し、前記押圧部もしくは当該押圧部が設けられた前記可撓性チューブの外側には前記反応部の内部に存在する物質が接する構造であることを特徴とする水素発生設備。
  9. 前記圧力調整弁と前記液体貯蔵部との間に前記水素発生用水溶液を一時貯留する一時貯留部を設けたことを特徴とする請求項に記載の水素発生設備。
  10. 前記開閉手段が、さらに、下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁を有することを特徴とする請求項8又は9記載の水素発生設備。
  11. 前記一時貯留部は、その内部に貯留される水素発生用水溶液が所定圧を受ける構造を有し、前記反応部の内圧が前記所定圧より小さくなった際に水素発生用水溶液を当該反応部へ供給するようになっていることを特徴とする請求項1〜5、7及び9のいずれかに記載の水素発生設備。
  12. 前記一時貯留部は、その壁の少なくとも一部が移動可能な可動壁であると共に当該可動壁が所定圧を受けており、前記水素発生用水溶液の移動により、前記可動壁が可動して当該一時貯留部の容積が変化することを特徴とする請求項1〜5、7及び9のいずれかに記載の水素発生設備。
  13. 前記一時貯留部の当該水素発生設備外部との境界の壁の一部もしくは全体が、前記一時貯留部の内外の圧力差により撓む事が可能な薄膜もしくは薄板からなる可撓膜であり、当該可撓膜が当該水素発生設備外部の圧力を受けていることを特徴とする請求項1〜5、7及び9のいずれかに記載の水素発生設備。
  14. 前記供給路とは別に、前記一時貯留部と前記液体貯蔵部とを連結するバイパス管が設けられていることを特徴とする請求項1〜5、7、9及び10乃至13のいずれかに記載の水素発生設備。
  15. 前記バイパス管に、前記一時貯留部から前記液体貯蔵部への前記水素発生用水溶液の逆流を防止する第二の逆止弁が介装されていることを特徴とする請求項14記載の水素発生設備。
  16. 前記液体貯蔵部は、その内部の容積が一定の容器からなり、上部に物質移動が可能な貫通孔を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の水素発生設備。
  17. 前記液体貯蔵部は、その内部の容積が貯蔵される水素発生用水溶液の量に応じて可変である容器からなることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の水素発生設備。
  18. 前記容器は、外部と画成する壁の少なくとも一部に移動可能な可動壁を有し、この可動壁が内外の圧力差に応じて移動して当該容器の容積を可変させることを特徴とする請求項17記載の水素発生設備。
  19. 前記容器は、外部と画成する壁の一部もしくは全体が、内外の圧力差により撓むことが可能な薄膜または薄板からなる可撓壁からなることを特徴とする請求項17記載の水素発生設備。
  20. 前記水素反応用物質が、加水分解により水素を発生する金属水素化物を含むことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の水素発生設備。
  21. 前記水素反応用物質が、前記金属水素化物に、固体の有機酸もしくはその塩、金属塩化物、並びに、白金、金、銅、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、及びルテニウムからなる金属及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一種を混合したものであることを特徴とする請求項20記載の水素発生設備。
  22. 前記水素発生用水溶液が、水、又は、水に、有機酸もしくはその塩、無機酸もしくはその塩、及び金属塩化物からなる群から選択される少なくとも一種を混合したものであることを特徴とする請求項20又は21記載の水素発生設備。
  23. 前記水素発生用水溶液が酸もしくは塩基の水溶液であり、前記水素反応用物質が金属である事を特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の水素発生設備。
  24. 燃料電池の発電部の負極室へ燃料を供給する燃料供給部として、請求項1乃至23のいずれかに記載の水素発生設備を具備することを特徴とする燃料電池システム。
  25. 前記発電部が、水素と酸素とを電気化学反応して発電する高分子固体形燃料電池であり、
    前記燃料供給部から前記負極室に至る部位の内部と外部とで物質の移動が無いことを特徴とする請求項24記載の燃料電池システム。
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