JP4995435B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
更に付け加えて、自動車や携帯機器向けのような可搬式燃料電池においては、水素や水素源といった燃料は、貯蔵量を使用すると補給することとなり、断続的な燃料補給に成らざるを得ない。そのため、燃料補給の際、燃料電池の運転を一旦停止しなくてはならなくなり、不便である。
無機水素化物には、例えば、アルカリ金属、もしくは、アルカリ土類金属の水素化物を用いる事が可能である。
更に付け加えて、水素排出口と接続口との切り離し時、水素供給部及び供給管から水素が流出せず、水素排出口と接続口との接続時、水素が流動可能となる機能を有するカプラーを水素供給部と供給管との間に具備したことを特徴としている。
加水分解により水素を発生させる事が可能な無機水素化物を貯蔵する水素発生器を複数接続し、無機水素化物に供給するための水溶液を貯蔵する液体タンクと、液体タンクと複数の水素発生器の間に、液体タンクから水素発生器の向きを水溶液の送液方向とする逆止弁を具備した水素供給部と、
一端が負極室と連結され、他端が水素発生器から水素を排出する排出口と接続して水素が流通する供給管とから成り、
水素発生器の少なくとも1つが供給管と連結されて、水素発生器で発生した水素が負極室に移動可能になっており、逆止弁から負極室までの空間を外部と遮断された閉空間とすることを特徴としている。
これにより、逆止弁から負極室までの水素空間が閉空間である事から、水素空間と液体タンクの圧力関係で水溶液の無機化合物への送液、送液停止を行えるようになり、発電電流に応じた水素量を自動的に発生させる事が出来るようになる。加えて、複数の水素発生器を、単一の液体タンクで運転させる事が可能となる。
無機水素化物には、例えば、アルカリ金属、もしくは、アルカリ土類金属の水素化物を用いる事が可能である。
もしくは、複数の水素発生器がそれぞれ連結され、水素発生器間で水素、及び、内部の物質が移動することが可能であり、唯一の水素発生器が負極室と接続されていることを特徴としている。
また、有効な速度で水素発生しなくなった水素発生器にも水溶液が送られてしまうが、この水溶液は有効に利用できなくなる。しかし上記の通り、複数の水素発生器がそれぞれ連結されていると、水素発生器に送られても未使用の水溶液を、他の水素発生器に送る事が出来るようになる。
水素発生器の前後にて、水素発生器を経路から切り離した際、水素や水溶液が流出せず、また、水素発生器を経路と接続した際、水素や水溶液が流動可能となる機能を有するカプラーを水素発生部に具備したことを特徴としている。
更に、水素供給部から負極室までの空間を外部と遮断された閉空間とし、水素供給部の水素排出口に隣接して、圧力調整弁を具備し、各圧力調整弁の出力圧が異なるようにした。また、水素供給部の切り離し時水素が外部に流出せず、水素供給部接続時、水素が流動可能となる機能を有するカプラーを具備した。
各圧力調整弁20a、20b、20c、20dの出力圧は異なっている。具体的には、圧力調整弁20aが20kPaG、圧力調整弁20bが15kPaG、圧力調整弁20cが10kPaG、圧力調整弁20dが5kMPaGとした。単位PaGはゲージ圧であることを示す。
燃料電池システムの運転の結果、まず、水素供給部aから水素が負極室1に供給され続け、負極室1の内圧は圧力調整弁20aの出力圧である20kPaGを示していた。しかし、時間と共に水素供給部10aの内圧が徐々に低下し、それと共に負極室1の内圧が15kPaGとなると、水素供給部10bから水素が供給されるようになった。この時の負極室1の内圧は15kPaGであった。更に時間が経過すると、同様の作用で、水素供給部10c、水素供給部10dから水素が供給されるようになり、水素供給部10dから水素が供給されるようになった時点で負極室1の内圧が5kPaGとなった。
水素発生器12a、12b、12c、12d内には、固体の水素化ホウ素ナトリウムを格納した。また、液体タンク11a、11b、11c、11d内には、リンゴ酸水溶液を貯蔵した。尚、液体タンク11a、11b、11c、11dには、大気流入口を設け、内圧が大気圧一定になるようにした。ここでリンゴ酸は、水素化ホウ素ナトリウムと水が接触して水素を発生する時の触媒作用を示す物質である。
水素発生器12a、12b、12c、12d内には、固体の水素化ホウ素ナトリウムを格納した。また、液体タンク11内には、リンゴ酸水溶液を貯蔵した。尚、液体タンク11には、大気流入口を設け、内圧が大気圧一定になるようにした。ここでリンゴ酸は、水素化ホウ素ナトリウムと水が接触して水素を発生する時の触媒作用を示す物質である。
水素発生はリンゴ酸水溶液が水素化ホウ素ナトリウムに供給されることで生じる。リンゴ酸水溶液が送液されるための原動力は、液体タンク11と、水素発生器12a、12b、12c、12dの差圧である。この差圧は、液体タンク11内圧が大気圧であるが、燃料電池が発電して負極2において水素が消費されることにより、負極室1内圧が減圧されることにより発生する。ここで、水素は、リンゴ酸の触媒作用により急激に発生するため、水素発生器12a、12b、12c、12dの内圧が急激に上昇し、水素発生器12a、12b、12c、12d内圧が液体タンク11より高くなるため、逆止弁21a、21b、21c、21dの作用により、リンゴ酸水溶液の水素化ホウ素ナトリウムへの供給が停止する。水素発生器12a、12b、12c、12d内圧上限値や増加速度は、リンゴ酸水溶液の供給量及び供給速度によって決まるファクターである。これらはリンゴ酸水溶液を供給する配管の管径、及び、管長によってほぼ固定できる。本実施例では、この配管の管内径を200μm、管長を最短2cm、最長5cmとした。
尚、水素発生の開始は、大気圧0kPaGから、逆止弁21a、21b、21c、21dの開弁圧を差し引いた値に対し、負極室1及び水素発生器12a、12b、12c、12d内圧が2kPaG下回った時であった。これは、リンゴ酸水溶液の送液と、送液後の水素発生による内圧上昇に時間が掛かり、それに対し、その間も燃料電池が発電し続けたためである。
本構成によれば、例えば長時間運転後、水素発生器12aからの水素供給速度が遅くなり、リンゴ酸水溶液が水素発生器12bに送られて水素発生器12bから水素発生をする事になっても、水素発生器12aに送られることとなる。
燃料電池システム運転中、水素発生器12aからの水素供給が遅くなり、水素発生器12bから水素が発生しても、尚、水素発生器12aにリンゴ酸水溶液が供給され続けるのは、上記した通りである。この時、水素発生器12a内は、リンゴ酸水溶液が過剰に供給された状態であるため、内部の残留物質の液性が高かった。水素発生器12aから水素発生器12bに液状物質が移動し、これにより水素発生器12bから水素発生反応が発生した。従って、リンゴ酸水溶液を有効に用いる事ができるため、液体タンク11の容積を小さく出来た。エネルギー密度が向上することとなった。
尚、カプラーを設ける際は、接続部7、接続部8が設置箇所となる。
水素発生器12a、12b、12c、12d内には、固体の水素化ホウ素ナトリウムを格納した。また、液体タンク11内には、リンゴ酸水溶液を貯蔵した。尚、液体タンク11には、大気流入口を設け、内圧が大気圧一定になるようにした。ここでリンゴ酸は、水素化ホウ素ナトリウムと水が接触して水素を発生する時の触媒作用を示す物質である。
水素発生はリンゴ酸水溶液が水素化ホウ素ナトリウムに供給されることで生じる。リンゴ酸水溶液が送液されるための原動力は、液体タンク11と、水素発生器12a、12b、12c、12dの差圧である。差圧発生原理を以下に説明する。燃料電池が発電して負極2において水素が消費されることにより、負極室1内圧が減圧される。水素発生器12a、12b、12c、12d内圧と負極室1内圧とは、排出弁22a、22b、22c、22dの開弁圧相当の圧力差が生じ、負極室1内圧が低下すると、水素発生器12a、12b、12c、12d内圧も圧力差を維持しながら低下する。その結果、液体タンク11内圧が大気圧であることから、水素発生器と液体タンク11とに差圧が発生することとなる。
次に、リンゴ酸水溶液供給停止について説明する。差圧が発生してリンゴ酸水溶液が供給されると、水素はリンゴ酸の触媒作用により急激に発生するため、水素発生器12a、12b、12c、12dの内圧が急激に上昇し、水素発生器12a、12b、12c、12d内圧が液体タンク11より高くなるため、逆止弁21の作用により、リンゴ酸水溶液の水素化ホウ素ナトリウムへの供給が停止する。水素発生器12a、12b、12c、12d内圧上限値や増加速度は、リンゴ酸水溶液の供給量及び供給速度によって決まるファクターである。これらはリンゴ酸水溶液を供給する配管の管径、及び、管長によってほぼ固定できる。本実施例では、この配管の管内径を200μm、管長を最短2cm、最長5cmとした。
燃料電池システムの運転の結果を以下に示す。負極室1内圧は初期大気圧と同じ0kPaGであった。運転が開始すると、内圧が−4kPaGの時に、まず、開弁圧が低い逆止弁21aと接続された水素発生器12aから水素が発生し、負極室1に水素が供給され、内圧最大値は1kPaGとなった。時間の経過にかかわらず、負極室1及び水素発生器12a内圧は、−4〜3kPaGの範囲内で上下していたが、水素化ホウ素ナトリウムが70%程度反応した時点以降において、水素発生速度が低下し、負極室1及び水素発生器12a内圧の下限値が低下し始め、内圧下限値−6kPaGに達すると、水素発生器12bから水素が発生し始めた。その後内圧は−6〜1kPaGを上下していたが、やはり、水素発生器12bでの水素発生速度が低下し始めると、水素発生器12c、次に水素発生器12dから水素が供給されるようになった。また、発電電流を増大させると複数の水素発生器から水素が供給され、発電電流を低下させると水素発生する水素発生器の数が低下した。こういった作用には、電力を一切用いていない。
また、接続部6、接続部7にカプラーを取り付けて水素発生器12a、12b、12c、12dを着脱できるようにした。液体タンク11内のリンゴ酸水溶液が全て送液された後、水素発生器12aを取外し、水素発生器12aの生成物を取り除き、水素化ホウ素ナトリウムを格納した後、再度着脱部に取り付けた。その結果、水素は水素発生器12aから発生するようになり、負極室1の内圧下限値は−4kPaGを示すようになった。またその後の運転は、上記した運転結果と同様であった。従って燃料補給を、燃料電池を運転しながら行う事が出来た。また着脱時、カプラーにより供給管5及び水素発生器12aから水素が漏れず、安全に燃料補給ができた。
2 負極
3 高分子電解質膜
4 正極
5 供給管
6 接続部
7 接続部
8 配管
9 接続部
10、10a、10b、10c、10d 水素供給部
11、11a、11b、11c、11d 液体タンク
12、12a、12b、12c、12d 水素発生器
20、20a、20b、20c、20d 圧力調整弁
21、21a、21b、21c、21d 逆止弁
22、22a、22b、22c、22d 排出弁
Claims (15)
- 水素及び酸化剤を反応して発電し、水素が存在する空間である負極室を有する固体高分子形燃料電池と、
前記水素、または水素源となる反応物質を貯蔵し、水素発生反応を行い、前記水素を排出する水素排出口を有する複数の水素供給部と、
前記負極室と複数の前記水素排出口とを接続し、前記水素を流通する供給管と、
複数の前記水素排出口に隣接して設けられた複数の圧力調整部とを有し、
複数の前記圧力調整部の出力圧が異なることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記圧力調整部は、圧力調整弁であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記圧力調整部は、逆止弁であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記水素排出口と前記接続口との切り離し時は、前記水素供給部及び前記供給管から前記水素が流出せず、
前記水素排出口と前記接続口との接続時は、前記水素が流動可能となる機能を有するカプラーを前記水素供給部と前記供給管との間に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。 - 水素及び酸化剤を反応して発電し、水素が存在する空間である負極室を有する固体高分子形燃料電池と、
加水分解により前記水素を発生させる無機水素化物を貯蔵する複数の水素発生器と、
前記無機水素化物に供給するための水溶液を貯蔵する液体タンクと、
前記液体タンクと複数の前記水素発生器との間に、設けられた複数の圧力調整部とを有し、
複数の前記圧力調整部の出力圧が異なることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記圧力調整部は、圧力調整弁であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 前記圧力調整部は、逆止弁であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 複数の前記水素発生器全てが、前記供給管と接続されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 複数の前記水素発生器がそれぞれ連結され、前記水素発生器間で水素、及び、内部の物質が移動することを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
- 唯一の前記水素発生器が前記供給管と接続されている請求項9記載の燃料電池システム。
- 前記供給管と接続された前記水素発生器に接続された圧力調整部の出力圧が、その他の圧力調整部の出力圧より高いことを特徴とする請求項9または10記載の燃料電池システム。
- 前記水素発生器から前記排出口、または、前記排出口に連結された配管に、排出弁を設置したことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 複数の前記配管が、前記排出弁の前記水素発生器と反対側で合流し、前記負極室と連結することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
- 前記排出弁の前記水素発生器と前記負極室との差圧が所定の開弁圧以上になったときに開く開弁圧がそれぞれ異なっていることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池システム。
- 前記水素発生器の前後にて、前記水素発生器を経路から切り離し時は、前記水素や前記水溶液が流出せず、
前記水素発生器と経路との接続時は、前記水素や前記水溶液が流動可能となる機能を有するカプラーを前記水素発生部に備えることを特徴とする請求項6乃至14のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
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