JP4918589B2 - チャンバを有する流路部位を含む基板、およびそれを含む多段送液装置 - Google Patents

チャンバを有する流路部位を含む基板、およびそれを含む多段送液装置 Download PDF

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Description

本発明は、チャンバを有する流路部位を含む基板、およびそれを含む送液装置に関する。特に本発明は、微量な液体の流れを制御して、基板の流路部位が有するチャンバからチャンバへ段階的に送液するための多段送液装置に関する。
近年、様々な健康診断チップが開発されている。これら健康診断チップのほとんどは、マイクロタス(μ−TAS:Micro Total Analysis System)と呼ばれる微小な流路部位を有するカード型のデバイスである。流路を微細化すると、生体から抽出するサンプル量の必要量は微量となる点で、非常に有用である。また、流路の微細化により健康診断チップを含む装置全体を小型化できれば、比較的大規模の病院だけでなく、診療所や家庭での診断を行うPOCT(Point of care test:その場診断)用途に適用できる。
マクロな系では、送液手段としてポンプが一般的に用いられる。しかしながら、極少量の流体を扱う微小流路では、ポンプに接続したチューブで発生する無効体積(デッドボリューム)の影響を無視することができない。したがってポンプは、POCT用途で用いられるチップの送液手段としては適さないことが多い。
POCT用途で好適に用いられる送液方法の一つに、遠心力を駆動源とした方法がある(例えば、特許文献1〜5)。遠心力による送液方法には、デッドボリュームが発生せず、同時かつ並列に多数の処理を実行できるなどの長所がある。
例えば非特許文献1に記載の基板は、複数の微小チャンバとマイクロ流路を有し、各微小チャンバをつなぐマイクロ流路の幅を調整している。具体的には、約10μmから約100μmの範囲で、回転中心から遠いマイクロ流路ほど、その幅を狭くしている。それにより、回転中心線から遠いマイクロ流路ほど、大きな毛細管力を発生する。
マイクロ流路に発生する毛細管力によって送液が阻止されている微小チャンバ内の液体を、基板の回転により発生する遠心力によって、隣接する遠心方向の微小チャンバへと送液する。微小チャンバ内の液体を送液するのに必要な遠心力は、マイクロ流路に発生する毛細管力に相当する。前述の通りマイクロ流路に発生する毛細管力は、回転中心線から遠ざかるに従って大きくされている。よって、回転速度を上げなければ、一つの微小チャンバから隣接する遠心方向の微小チャンバへと液体を送液することができない。その結果、段階的な送液を実現している。
特開2000−065778号公報 特表2001−503854号公報 特表2002−503331号公報 特許第3356784号公報 特許第3469585号公報 Micro Total Analysis Systems 2000,pp.311−314
しかしながら、非特許文献1に開示されたチャンバ多段送液基板では、流路の幅に関して2つの制約がある。
第一の制約は、チャンバの部位(回転中心からの距離)に応じて可変させる流路の幅を
、流路の深さと同等か、またはそれ以下とすることである。本発明者らは、前記第一の制約に反して、流路幅が流路深さよりも大きい扁平流路を含む基板を用いて、多段送液を試みた。チャンバ段数を3段として、内周側の流路幅を750μm;外周側の流路幅を300μm;流路深さを15μmとしたが、多段送液をすることができなかった。具体的には、第一の回転速度で基板を回転すると、最内周のチャンバの溶液は、次に接続されているチャンバで留まることなく、最外周のチャンバまで一気に送液された。
上記実験において所望の送液動作が実現しなかった理由は、流路幅(750μm、300μm)を、流路深さ(15μm)よりも大きくしたためであると考えられる。流路断面にかかる毛細管力による圧力は、流路断面の周囲長に比例し、流路の断面積に反比例する。したがって、流路断面にかかる毛細管力を大きく増加させるためには、断面積の増加分よりも、周囲長の増加分を大きくする必要がある。そのためには、幅・深さで構成される流路の断面のうち、一番短い寸法を小さくしなければならない。
第二の制約は、回転中心線から遠いマイクロ流路ほど、その幅をより狭くすることである。約10μmから約100μmの幅もしくは深さを有する流路は、一般にフォトリソグラフィー技術を用いて作製される。流路の幅は、フォトマスクの線幅を変えることにより調整されうるが、流路幅を狭くするには作製限界がある。チャンバの段数が増加するにしたがって、より狭い幅の流路の作製が必要となる。しかしながら、流路深さが100μmの流路において、流路の幅を約1μm以下に、すなわちアスペクト比を100以上とすることは、現状の技術では不可能である。また、流路の深さはエッチング深さによって決定されるため、各流路に相当する局所的な領域を異なる深さに形成することは難しい。
以上の通り、マイクロ流路の断面積を調整して、段階的な送液を実現する基板を作製するプロセスは負荷が大きい。さらに、多段階的な送液を実現する基板を作製することは、不可能な場合もある。
しかも、非特許文献1において送液試料として電解質水溶液を用いて実験がされているが、生体試料(たとえば、ヒト血漿)は電解質水溶液に比べて粘度が高く、マイクロ流路を流れにくい。また、多種のタンパクが混在した溶液は、マイクロ流路の内壁に付着性タンパクを吸着させやすく、マイクロ流路を閉窄しかねない。
そこで本発明の目的は、微小チャンバどうしを連通するマイクロ流路の断面積を、流路毎に変えることなく、微小チャンバから微小チャンバへと、基板の回転速度に応じて段階的に送液することができる基板を提供することである。さらに本発明の目的は、当該基板を負荷の少ないプロセスで作製することである。
また本発明の目的は、吸着抑制処理などをマイクロ流路に加えることなく、生体試料を滞りなく流すことができる基板を提供することである。
さらに本発明の目的は、本発明の基板を用いて、微小チャンバから微小チャンバへと段階的に送液する方法を提供することである。
本発明の第一は、以下に示す微少量の溶液を段階的に送液することができる基板に関する。
[1] 回転中心線まわりに回転可能であり、その内部に形成された流路部位を含む基板であって、
前記流路部位は、A)注入口を有する第1チャンバと、B)前記第1チャンバよりも前
記回転中心線から離れた部位に配置された第2チャンバと、C)空気口を介して基板の外部雰囲気と接続するチャンバであって、前記第2チャンバよりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第3チャンバと、D)前記第1チャンバと前記第2チャンバとを連通させ、前記第1チャンバと接続し、前記注入口よりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第1流路端部、および前記第2チャンバと接続する第2流路端部を備える第1流路と、E)前記第2チャンバと前記第3チャンバとを連通させ、前記第2チャンバと接続し、前記回転中心線と前記第2流路端部とを結ぶ直線上に配置されない第3流路端部、および前記第3チャンバと接続し、前記空気口および第2流路端部よりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第4流路端部を備える第2流路とを有し、
前記第1、第2、第3チャンバの順に、微少量の溶液を段階的に送液することができ、
前記第1流路端部の近傍における第1チャンバの底面の断面積が、前記第1流路端部の近傍における前記第1流路の断面積よりも大きく、
前記第1チャンバに一定量の溶液を収容して、前記回転中心線まわりに回転させたときの、前記第1流路端部から、前記回転中心線へ向かう求心方向に沿った前記溶液の液面までの距離である第1仮想チャンバ長さが、前記第2チャンバに前記一定量の溶液を収容して、前記回転中心線まわりに回転させたときの、前記第3流路端部から、前記回転中心線へ向かう求心方向に沿った前記溶液の液面までの距離である第2仮想チャンバ長さよりも長い、基板。
本発明の第二は、以下に示す微少量の溶液を段階的に送液することができる多段送液方法に関する。
前記第1チャンバに液体が収容された前記本発明の基板を準備する工程;
前記基板を回転中心線まわりに、第1回転速度rpmで回転させる工程;
前記基板を前記第1回転速度rpmより大きな第2回転速度rpmで回転させる工程を含む、多段送液方法。
本発明の第三は、以下に示す微少量の溶液を段階的に送液することができる多段送液装置に関する。
前記本発明の基板、および前記基板を前記回転中心線まわりに回転させる回転駆動部を備える、多段送液装置。
本発明の基板により、流路部位のチャンバからチャンバへと基板の回転速度に応じて段階的に送液することができる。この段階的送液は、流路部位のチャンバの形状を、回転中心線から遠ざかる距離に応じて調整することで「仮想チャンバ長さ」を制御していることにより実現される。したがって、チャンバどうしをつなぐ流路の断面積や形状を、流路ごとに変化させる必要がなく、同様の流路幅や流路深さに設計できる。
本発明の基板において、チャンバの流路端部に作用する遠心力を発生させる溶液の体積を、より外周に配置されたチャンバほど小さくしている。遠心力は回転中心線からの距離に応じて増加する性質を有するが、本発明の基板では、より外周に配置されたチャンバほど、毛細管力を超えるための遠心力を発生させる回転速度が高くされている。その結果、チャンバからチャンバへと基板の回転速度に応じて段階的に送液することができる。
また、マイクロ流路の形状(端部付近の断面積)を調整することで、生体試料をより確実に段階的にチャンバ間を送液することができる。本発明の基板は実用性が高く、基板に種々の機能を持たせることも可能である。さらに、送液する溶液の体積が微量であっても、段階的送液が実現される。本発明の基板の作製は容易であり、作製プロセスの負荷が少
ない。
1.本発明の基板について
本発明の基板は流路部位を有する。基板の内部に流路部位が形成されており、1または2以上の流路部位が形成されている。流路部位のそれぞれは、2以上のチャンバおよびチャンバ同士を連通させる流路を有する。
本発明の基板を、回転中心線周りに回転させることによって、流路部位に提供された溶液は、各チャンバに段階的に送液されうる。基板の回転方向は、前記回転中心線に対して直交する仮想の線に対して直交し、かつこの仮想の線と同一の平面上にある方向と定義される。例えば、基板が回転軸に固定される場合に、回転軸の半径方向に対して直交する接線方向が回転方向である。回転方向は、平面視で回転中心線に対して時計方向および反時計方向のいずれでもよい。
基板の外形形状は円盤形に限定されず、立方体、直方体、五角形などの多角形、または星形などであってもよい。
流路部位は、第1チャンバ、第2チャンバおよび第3チャンバを有し、いずれのチャンバも基板の内部に形成されている。第1チャンバ、第2チャンバ、第3チャンバの外形形状は限定されず、略長方形状、円柱など任意に設定される。
第1チャンバは注入口を有し、前記注入口から溶液を供給される。第1チャンバは、注入口以外は、空間的に密閉されていることが好ましい。注入口は、第1チャンバの任意の部位に配置されうる。第2チャンバは第1チャンバよりも前記回転中心線から離れた位置に配置され、空間的に密閉され得る。第3チャンバは空気口を有し、前記空気口を介して基板の外部雰囲気と接続している。第3チャンバは、第2チャンバよりも前記回転中心線から離れた位置に配置される。
したがって、回転中心線から第1チャンバ、第2チャンバ、第3チャンバの順に配置される。
第2チャンバは空気口を備え、空気口を除いて空間的に閉じられていてもよい。空気口を備えない第2チャンバに、第1チャンバから溶液が送液されると、第2チャンバに存在していた気体は、第2流路を介して通じる第3チャンバに設けられた空気口から排出される。しかし、空気口を備えない第2チャンバがある程度の溶液で満たされると、第2チャンバに接している第2流路の入口端部(第3流路端部)が溶液で塞がれてしまうため、空気の逃げ道がなくなる。そのため、第2チャンバへの溶液の流入が止まってしまうことがある。よって、第2チャンバに空気口を設けることで、第2チャンバに確実に送液することができる。
各チャンバに形成される注入口または空気口の断面形状は、円形、楕円形、多角形、または他の形状であってもよい。空気口は、空気を透過させるが溶液は透過させない材料を用いて形成してもよい。この場合、基板の回転時の溶液の漏れを考慮する必要がないので、空気口を比較的大きな面積とすることができる。
流路部位は、第1チャンバと第2チャンバを連通させる第1流路、および第2チャンバと第3チャンバを連通させる第2流路をさらに有する。
第1流路は、第1チャンバと接続する第1流路端部を有し、第1流路端部は前記注入口
よりも回転中心線から離れた部位に配置される。また第1流路は、第2チャンバと接続する第2流路端部をも有し、第2流路端部は第2チャンバの回転中心線側にあることが好ましい。
第2流路は、第2チャンバと接続する第3流路端部を有し、第3流路端部は第2チャンバのうち回転中心線から離れた部位に配置されることが好ましい。第3流路端部は、回転中心と第2流路端部とを結ぶ直線上にないことを特徴とする。また第2流路は、第3チャンバと接続する第4流路端部も有する。
第1流路の第1流路端部(第1チャンバとの接続部)の断面積に対して、第2流路の第3流路端部(第2チャンバとの接続部)の断面積を、同じかまたは大きくすることができる。従来の基板では、回転中心から遠い流路ほど、その断面積を小さくして毛細管力を高めた。しかしながら本発明の基板は、チャンバの形状を適切に変更することによって、チャンバ内の溶液が受ける遠心力を調整するので(後述)、回転中心から遠い流路ほど、流路の断面積を小さくする必要がなく、一定にすることも、大きくすることもできる。ただし、流路の断面積を調整することは、一般的に作製プロセスの負荷を高めるので、同じ断面積にすることが好ましい。
「流路端部の断面積」とは、流路端部近傍の断面積が一定でない場合には、最小の断面積を意味する。
本発明の基板の流路部位は「第1仮想チャンバ長さ」が「第2仮想チャンバ長さ」よりも長いことを特徴とする。
「第1仮想チャンバ長さ」とは、第1チャンバに一定量(「仮想チャンバ体積」ともいう)の溶液を収容して、基板を回転中心線まわりに回転させて液面を形成させたときの、第1流路端部から、基板の回転中心に向かう方向(求心方向)に沿った前記液面までの距離を意味する。
同様に「第2仮想チャンバ長さ」とは、第2チャンバに一定量の溶液を収容して、基板を回転中心線まわりに回転させて液面を形成させたときの、前記第3流路端部から、基板の回転中心に向かう方向(求心方向)に沿った前記液面までの距離を意味する。
つまり、第1チャンバおよび第2チャンバに同一量の溶液を収容した場合に、第1仮想チャンバ長さは、第2仮想チャンバ長さよりも長くなる。
詳細は後述するが、チャンバに収容された溶液は、基板の回転による遠心力を受けて流路に流入しようとする。該遠心力を受ける溶液の体積は、前記「仮想チャンバ長さ」が長いほど大きくなる。よって、仮想チャンバ長さが長いほど、チャンバ内の溶液が流路へ流入しやすくなる。
本発明の基板は「第1仮想チャンバ長さ」が「第2仮想チャンバ長さ」よりも長いので、第1チャンバ内の溶液を第1流路へ流入させるために必要な力(遠心力)よりも、第2チャンバ内の溶液を第2流路へ流入させるために必要な力(遠心力)を大きくすることができる。したがって遠心力(基板の回転速度)を制御することによって、溶液を、第1チャンバから第2チャンバ、次に第2チャンバから第3チャンバへと段階的に送液することが可能となる。
「第1仮想チャンバ長さ」を「第2仮想チャンバ長さ」よりも長くする手段の例には、1)第1チャンバの幅を、第2チャンバの幅よりも狭くする;2)第1チャンバの深さを、第2チャンバの深さよりも浅くする、ことが含まれる。もちろん当該手段が、前記2つの手段に限定されるわけではなく、例えば1)と2)を組み合わせてもよい。
1)第1チャンバの幅を、第2チャンバの幅よりも狭くする場合
第1チャンバ全体の幅を、第2チャンバの幅よりも狭くする必要は必ずしもない。第1
仮想チャンバ長さを、第2仮想チャンバ長さよりも長くすればよいので、少なくとも第1流路端部の近傍における第1チャンバの幅が、第3流路端部の近傍における第2チャンバの幅よりも狭いことが好ましい。また、第1流路端部の近傍における第1チャンバの幅は、第1流路端部の近傍における第1流路の幅よりも広くすることが好ましい。
2)第1チャンバの深さを、第2チャンバの深さよりも浅くする場合
第1チャンバ全体の深さを、第2チャンバの深さよりもする必要は必ずしもない。第1仮想チャンバ長さを、第2仮想チャンバ長さよりも長くすればよいので、少なくとも第1流路端部の近傍における第1チャンバの深さが、第3流路端部の近傍における第2チャンバの深さよりも浅いことが好ましい。また、第1流路端部の近傍における第1チャンバの深さを、第1流路端部の近傍における第1流路の深さよりも深くすることが好ましい。
チャンバは、流路よりも大きな容積を有するので、チャンバの幅や深さの調整は、流路の幅や深さの調整と比べて容易である。
本発明の基板の各流路は、微細な流路である必要がある。適度な毛細管力を発生させて、溶液をチャンバに保持するためである。具体的には、第1流路および第2流路の幅を、例えば4μm以上2000μm以下とすることが好ましい。
第1流路の断面積と、第2流路の断面積とは同一であってもよく、同じ流路幅や流路深さを有していてもよい。同じ流路幅や流路深さとすれば、流路の作製が容易であり、作製プロセスに負荷がかからない。
本発明の基板の各流路の形状は特に限定されず、適宜調整される。
例えば血漿などの生体試料を、微細なマイクロ流路(例えば、4μm以上60μm以下の幅を有するマイクロ流路)に流すと、その粘性などによって流れにくく、さらに混在するタンパク質が、マイクロ流路の内壁に付着してマイクロ流路を閉窄することがある。そのため、微細なマイクロ流路の形状を適切に調整して、血漿などの生体試料であっても、滞りなく確実に段階送液することが好ましい。
生体試料などを確実に送液するため、本発明の基板の第1流路端部の近傍における第1流路の断面積、および第3流路端部の近傍における第2流路の断面積のそれぞれを、遠心方向へいくにしたがって一定にするかまたは大きくし;かつ、第2流路端部の近傍における第1流路の断面積、および第4流路端部の近傍における第2流路の断面積のそれぞれを、遠心方向へいくにしたがって大きくすることが好ましい。
第1流路の断面積を、第1流路端部から第2流路端部に至るまで徐々に大きくしてもよく;また第2流路の断面積を、第3流路端部から第4流路端部に至るまで徐々に大きくしてもよい。
このように、各流路の端部の形状(断面積の大きさ)を調整することによって、第1流路端部と第2流路端部を除く第1流路の幅、および第3流路端部と第4流路端部を除く第2流路の幅が4μm以上60μm未満であっても、本発明の基板の流路部位に生体試料を確実に送液することができる。
同様に、各流路の端部の形状(断面積の大きさ)を調整することによって、第1流路端部近傍と第2流路端部近傍を除く第1流路の深さ、および第3流路端部と第4流路端部を除く第2流路の深さが、4μm以上60μm未満であっても、本発明の基板の流路部位に生体試料を確実に送液することができる。
第1流路端部および第3流路端部、ならびに存在するのであれば(後述する)第5流路端部(つまり「各流路の上流側の端部」)の内壁は、疎水性を有することが好ましい。チャンバ内の溶液が、流路端部で自発的に濡れることによって、遠心力を受けることなく各
流路へ流入することを防止するためである。
疎水性を付与するには、各流路端部を構成する材料を疎水性材料とするか、または各流路端部の内壁面に疎水性を付与する処理を施せばよい。
各流路の上流側の端部が疎水性を有していれば、各チャンバに収容された溶液を、当該端部において保持することができる。具体的には、流路の断面積が十分に小さく、かつ流路端部が疎水性を有していれば、溶液は表面張力により流路へ浸入せず、流路端部に保持される。
また各流路の内壁の全面が疎水性を有していてもよい。流路の内壁の全面が疎水性であれば、チャンバ内の溶液を、流路端部だけでなく流路全体で保持できるので、保持力が高まる。
流路全体が疎水性を有していれば、基板の所定時間の回転により、所望量のチャンバ内の溶液を次のチャンバに送液することができる。つまり、回転時間を制御することにより、より正確に所望量の溶液をチャンバからチャンバに送液することができる。また、所定量の溶液をチャンバからチャンバに送液するために必要な時間を制御できるので、各チャンバにおける反応時間を制御することができる。
さらに流路部位(チャンバを含む)の内壁の全面が疎水性を有していてもよい。また、基板の材料を疎水性材料にすれば、流路部位の内壁の全面に疎水性を容易に付与することができる。よって、基板の生産性が向上する。
疎水性材料の例には、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素等に代表される半導体材料;アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素の群から選ばれる無機絶縁材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド及びポリスルホン等の群から選ばれる有機材料が含まれる。好適に用いられる疎水性材料は、PET、PCである。
疎水性を付与する処理の例には、フッ素系樹脂の塗布、シリコン系物質の塗布などがある。好適には、フッ素系樹脂を塗布する。
本発明の基板の流路部位は、複数の第2チャンバ、例えば第2チャンバAおよび第2チャンバBを有していてもよい。第2チャンバAは、第2チャンバBよりも回転中心の近くに配置され、第3流路を介して互いに連通している。
第3流路は、第2チャンバAと接続する第5流路端部、および第2チャンバBと接続する第6流路端部とを有する。第5流路端部は、第2チャンバAの、回転中心から離れた部位に配置され、かつ回転中心線と第2流路端部とを結ぶ直線上に配置されないことを特徴とする。
基板の流路部位に、第2チャンバAおよび第2チャンバBがある場合は「第2A仮想チャンバ長さ」を「第2B仮想チャンバ長さ」よりも長くする。
「第2A仮想チャンバ長さ」とは、第2チャンバAに一定量(「仮想チャンバ体積」ともいう)の溶液を収容して、基板を回転中心線周りに回転させて液面を形成させたときの
、第5流路端部から、基板の回転中心に向かう方向(求心方向)に沿った前記液面までの距離を意味する。
「第2B仮想チャンバ長さ」とは、第2チャンバBに一定量(「仮想チャンバ体積」ともいう)の溶液を収容して、基板を回転中心線周りに回転させて液面を形成させたときの、第6流路端部から、基板の回転中心に向かう方向(求心方向)に沿った前記液面までの距離を意味する。
第2チャンバの数を増やすことにより、送液の段数を増やすことができる。したがって、送液する溶液を混合したり、化学物質と反応させたりするなどの機能を増やすことができる。よって、一つの流路部位で複雑な処理を簡便に行うことが可能となる。
本発明の基板は、2以上の流路部位を有していてもよい。前記の通り各流路部位は、第1〜第3チャンバ、および前記第1〜第2流路を有する。さらに各流路部位は、複数の第2チャンバを有する場合は、第3流路を備える。
2以上の流路部位を有する基板を用いれば、基板の回転により2以上の流路部位に同時に遠心力を作用させることができる。例えば、第1回転速度の印加によって、各流路部位の第1チャンバ内の溶液を同時に第2チャンバに送液することができる。よって、並列処理数を増加させて、多数の検体を短時間で処理することができる。したがって、流路部位を集積化により並列処理数を増加させて、多数の検体を短時間で処理することができる。
また流路部位ごとに、それに含まれるチャンバや流路の構造を変えてもよく、それにより、流路部位ごとに異なる回転速度で独立に送液を制御することができる。したがって、一の基板で複数種類の測定シーケンスを同時に実施できる。例えば、流路部位1では1段反応のグルコース測定を、流路部位2では3段反応のコレステロール測定を実施でき、多項目化に適する。
一つの基板に複数の流路部位を形成することは、基板の製造コスト面からみても、一つの検体の処理コストを下げることに貢献する。
本発明の基板は、回転中心線として作用する中心軸を備えていてもよい。中心軸を備えていれば、基板を回転駆動部に取り付ける機構を準備する必要がなく、基板自体をそのまま回転させることができ、送液装置が簡便になる。また、この構成は、基板の製造コスト面から見ても、一の検体の処理コストを下げる。
2.本発明の送液方法について
本発明の送液方法は、本発明の基板の流路部位に含まれる各チャンバに、溶液を送液する方法である。本発明の送液方法を、その簡単なメカニズムを含めて以下に説明する。
本発明の送液方法は、A)本発明の基板を回転中心線まわりに、第1回転速度rpmで回転させる工程、B)基板を第1回転速度rpmより大きな第2回転速度rpmで回転させる工程を含み、基板の流路部位のチャンバに段階的に送液する方法である。
本発明の基板の流路部位の第1チャンバに注入口を通して注入された溶液は、毛細管力によって、第1流路の第1流路端部で保持される。このときの毛細管力を「第1毛細管力」とする。
基板を第1回転速度で回転方向に回転させると、第1流路端部で保持されている溶液に、遠心方向(すなわち回転中心線から遠ざかる方向)の「第1遠心力」が作用する。第1遠心力が作用する溶液の体積は、第1流路端部の断面を底面積として、第1仮想チャンバ長さ(前述)を高さとした立方体領域に相当する。第1遠心力が、第1毛細管力を上回る
と、第1チャンバ内の溶液が、第1流路に流れ込み、第2チャンバに送液される。第2チャンバ内の空気は空気口を介して外部に排出される。
第2流路の入口端部である第3流路端部は、第1流路の出口端部である第2流路端部と回転中心とを結ぶ直線上に配置されない。よって、第1流路から第2チャンバに流れ込んだ溶液は、第3流路端部で「第2毛細管力」を受ける。
第1流路の断面積と第2流路の断面積を等しくすれば、「第2毛細管力」と「第1毛細管力」を等しくすることができる。一方、第3流路端部にかかる「第2遠心力」は、回転軸からの距離が遠いため「第1遠心力」よりも、通常は大きくなる。
前述の通り、第2チャンバの「第2仮想チャンバ長さ」は、第1チャンバの「第1仮想チャンバ長さ」より短い。「第2遠心力」がかかる溶液の体積は、第3流路端部を底面積として第2仮想チャンバ長さを高さとした立方体領域に相当するため、第1チャンバにおいて「第1遠心力」を受けた溶液の体積と比べて小さくなる。
第1チャンバにおいて「第1遠心力」を受ける溶液の体積と、第2チャンバにおいて「第2遠心力」を受ける溶液の体積との差が大きければ、回転軸からの距離の差による「第1遠心力」と「第2遠心力」との差を相殺することができる。よって、第2チャンバに流入した溶液は、第1回転速度によっては第2流路に流入せず、いったん第2チャンバに保持される。
そして、第1回転速度rpmより大きい第2回転速度rpmで回転することにより発生する「第2遠心力」が「第2毛細管力」を上回る。その結果、第2チャンバ内の溶液が第2流路に流れ込み、第3チャンバに送液される。第3チャンバ内の空気は空気口を介して外部に排出される。
このように、第1チャンバに注入された溶液は、第1回転速度rpmで基板を回転すると、第1チャンバから第2チャンバへ送液され、第2チャンバ内に保持される。次に基板の回転速度を、第1回転速度rpmよりも高い回転速度である第2回転速度rpmにすると、第2チャンバから第3チャンバへと送液される。このように回転速度を制御して、基板の流路部位の各チャンバへ、溶液を段階的に送液することができる。第1回転速度rpmおよび第2回転速度rpmは、600rpmから10000rpmの範囲に設定されることが望ましく、より好適には1000rpmから5000rpmの範囲で設定される。
第1回転速度rpmおよび第2回転速度rpmの差は、200rpm以上に設定されることが好ましく、より好適には400rpm以上に設定される。生体試料であるヒト血漿試料の溶液物性は個人差、日間差によるばらつきを内在する。回転速度の差を400rpm以上に設定することで、前述のばらつきに依存しない一様な制御が可能となり、装置による回転制御が容易となる。もちろん、送液の開始を検出して、回転制御機構にフィードバックする手段を装置に設けることで前述のばらつきは解消されうる。その場合にも、フィードバック制御の応答性の観点から回転速度の差を200rpm以上に設定することが好ましく、溶液のより確実な送液が実現される。
回転速度の差を減少させる(例えば400rpmから200rpmに減少させる)と、後述する実施の形態3に示されるように、複数の第2チャンバを配置しても溶液の送液の開始を制御できるため、多段階送液を実現させやすくなる。それにより、溶液に多段階の処理を施すことができる。
3.本発明の送液装置について
本発明の送液装置は、前述の基板と、基板を前記回転中心線まわりに回転させる回転駆動部を有する。送液装置を用いて、基板の流路部位の各チャンバに、溶液を段階的に送液することができる。
送液装置の回転駆動部は、基板を回転中心線まわりに回転させるモータと、モータに速度特性を与える速度特性印加部とを含んでいてもよい。基板に所定の回転速度を印加することができ、より確実に溶液を多段送液することができる。
基板を回転させるモータの例には、DCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータおよびステッピングモータなどが含まれる。ステッピングモータは、基板の急回転と急制動を外部の駆動信号を印加するだけで、容易に実現することができるため好適である。また、DCモータは駆動回路を特に必要としない(図1参照)。DCブラシレスモータを採用する場合は、駆動回路(図1参照)が逆回転電圧を印加する機能を有していれば、より素早い急制動を実現できる。
送液装置の回転駆動部は、さらに、回転中の基板の回転速度を検出する回転速度検出器;および回転速度検出器の検出した前記回転速度に基づいて、速度特性印加部がモータに与える速度特性を補正する回転速度補正部、を備えていることが好ましい。実際の回転速度をフィードバックして速度特性を補正しつつ、基板を回転駆動させることができるため、送液量が安定し、かつ送液量の繰り返し再現性も向上する。
次に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1〜図4は本発明の送液装置1を示す。送液装置1は基板2および回転駆動部4を含む。図2には「第1仮想チャンバ長さY」および「第2仮想チャンバ長さY」を説明するために、溶液10を図示している。
図1に示される送液装置1は、基板2;基板2を固定する回転軸3を回転させる回転駆動部4を備える。回転軸3の回転中心線(軸線)Sは、鉛直線に延びている。回転軸3の上端側に基板2が固定されている。基板2は平面視で円形であり、基板2の中心は、回転軸3の回転中心線S上にある。一方、回転軸3の下端側はモータ31に連結されている。基板2の外形は、流路部位5を形成できるように任意に設定されうるが、例えば円形であれば直径を約10mm以上150mm以下に設定される。また基板2の厚みは、0.1mm以上30mm以下に設定されることが好ましい。
基板2は、回転軸3と共に回転する。回転軸3の回転方向は、図2に示される矢印R1またはR2のように、回転軸3の半径方向rに対して直交する方向と定義される。つまり前記回転方向は、回転軸3の回転中心線Sに対して直交する仮想の線に対して直交し、かつ前記仮想の線と同一の平面上にある方向と定義される。基板2は、平面視で時計方向R1および反時計方向R2のいずれにも回転可能である。
図1に示される回転駆動部4は、回転軸3と機械的に連結する。回転駆動部4は、回転軸3;回転軸3に固定された基板を回転させるモータ31;モータ31の駆動回路32を備える。さらに回転駆動部4は、制御信号を出力する制御信号出力部33;制御信号出力部33から入力される制御信号に基づいて、所望の速度特性(例えば図9参照)をモータ31の駆動回路32に与える速度特性印加部34を備える。制御信号出力部33は、送液装置1とは別の外部のコンピュータであってもよい。
回転駆動部4は、回転中の基板2の回転速度を検出する回転速度検出部35;速度特性印加部34を補正する回転速度制御部36を備えていてもよい。回転速度検出部36が検出した基板2の実際の回転速度が、回転速度制御部36に送信される。回転速度制御部36は、送信された実際の回転速度と、速度特性印加部34によりモータ31に与えるべき速度特性に「ずれ」があれば、速度特性印加部34が与える速度特性を補正する。このように、実際の基板2の回転速度をフィードバックして速度特性を補正しつつ、基板2を駆動することにより、安定した送液を実現し、かつ送液の繰り返し再現性を向上することができる。
図1に示される基板には、複数の流路部位5が含まれる。流路部位5は、回転軸3の周囲に放射状に配置される。
図2には、流路部位5の一つが模式的に示される。流路部位5は、第1チャンバである供給チャンバ6;第2チャンバである被供給チャンバ7;第3チャンバである最終段チャンバ8;および第1流路9A;第2流路9Bを備える。
[供給チャンバ6について]
供給チャンバ6は、各チャンバへ送液する対象である溶液10が注入されるチャンバである。供給チャンバ6は、基板2の内部に形成され、空間的に閉じられている。ただし、供給チャンバ6の内部と基板2の外部とを連通させる断面円形の注入口11が形成されている。この注入口11は供給チャンバ6への溶液10の注入に使用される。
図2に示される供給チャンバ6は、平面視で略長方形状である。回転軸3から遠い側の側壁に、第1流路9Aと接続する第1流路端部13A(開口部)が配置される。注入口11は、第1流路端部13Aよりも回転軸3に近い位置に設けられ、具体的には図2における供給チャンバ6の上隅に設けられる。注入口11の平面視での面積は、供給チャンバ6の平面視での面積よりも十分に小さい。
注入口11の位置や面積をこのように設定すれば、基板2の回転により作用する遠心力(半径方向rで外向きの方向の力)によって、注入口11からの溶液10の漏れや飛散を抑制することができる。そのため、溶液10を供給チャンバ6に注入して、注入口11を開放したまま基板2を回転させることができる。
逆に、注入口11が、第1流路端部13Aよりも回転軸3から遠い位置に設けられている場合や、注入口11の面積が供給チャンバ6の面積に対して比較的大きい場合には、基板2を回転させるときに、注入口11を封止することが好ましい。供給チャンバ6内の溶液10が、注入口11から漏れたり飛散したりするのを防止するためである。
供給チャンバ6の寸法や体積は、試料(溶液10)の液量に応じて決定すればよいが、0.1μL以上100μL以下であることが好ましい。
[被供給チャンバ7について]
被供給チャンバ7は、供給チャンバ6から第1流路9Aを経て溶液10が送液されるチャンバである。被供給チャンバ7は、供給チャンバ6と半径方向rに並んで、かつ供給チャンバ6よりも回転軸3から遠い位置に配置されている。被供給チャンバ7は基板2の内部に形成され、空間的に閉じられていてもよいが、空気口12を設けられていてもよい。
平面視で被供給チャンバ7の回転軸3に近い側の側壁に、第1流路9Aの出口端部(第2流路端部)14Aが配置される。さらに平面視で被供給チャンバ7の回転軸3から遠い側の側壁に、第2流路9Bの入口端部(第3流路端部)13Bが配置される。
図2に示される被供給チャンバ7は平面視で略長方形状である。被供給チャンバ7のチャンバ幅22は、供給チャンバ6のチャンバ幅21より大きい(図3B参照)。
被供給チャンバ7の寸法及び体積は、試料(溶液10)の液量に従って決定する必要があるが、0.1μL以上100μL以下であることが好ましい。
[最終段チャンバ8について]
最終段チャンバ8は、被供給チャンバ7から第2流路9Bを経て溶液10が送液されるチャンバである。また最終段チャンバ8は、被供給チャンバ7と半径方向rに並んで、かつ被供給チャンバ7よりも回転軸3から遠い位置に配置されている。
最終段チャンバ8は基板2の内部に形成され、空間的に閉じられているが、最終段チャンバ8の内部と基板2の外部とを連通させる断面円形の空気口12が形成されている。この空気口12は被供給チャンバ7および最終段チャンバ8に溶液10が流入する際に、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8内の空気を基板2の外部に排出する機能を有する。
空気口12は、図2において最終段チャンバ8の左上隅に設けられている。基板2の回転中に作用する遠心力によって、空気口12からの溶液10の漏れや飛散を抑制するべく、空気口12の平面視での面積を、最終段チャンバ8の平面視での面積よりも十分小さくする。
最終段チャンバ8は平面視で略長方形状である。最終段チャンバ8のチャンバ幅23は、被供給チャンバ7のチャンバ幅22より大きい(図3B参照)。ただし、最終段チャンバ8の幅および深さは特に限定されず、最終段チャンバ8に流入する溶液10が収容できる体積を有していれば任意に設定される。平面視で最終段チャンバ8の回転軸3側の側壁に、流路9Bの出口端部(第4流路端部)14Bを配置する。
最終段チャンバ8の寸法及び体積は、試料(溶液10)の液量に応じて決定すればよいが、0.1μL以上100μL以下であることが好ましい。
さらに、複数の第3チャンバ8を、複数の流路9Bで連通させて配置してもよい。
[第1流路9Aについて]
第1流路9Aは、供給チャンバ6と被供給チャンバ7を流体的に互いに連通させる流路である。第1流路9Aは基板2の内部に形成され、空間的に閉じられている。また、流路9Aの両端、すなわち第1流路端部13Aと第2流路端部14Aは、それぞれ供給チャンバ6と被供給チャンバ7に接続されている。
第1流路9Aを経て、供給チャンバ6から被供給チャンバ7に、溶液10を確実に送液するため、第1流路9Aを微細な流路とする必要がある。具体的には、第1流路9Aの体積は、供給チャンバ6および被供給チャンバ7の体積と、同等またはそれよりも小さくすることが好ましい。
また第1流路9Aの幅は、供給チャンバ6および被供給チャンバ7の幅よりも狭いことが好ましい。例えば流路9Aの幅は、4μm以上2000μm以下程度であることが好ましく、100μm以上300μm以下程度であることがより好ましい。
流路9Aの深さは、供給チャンバ6および被供給チャンバ7よりも浅いことが好ましい。例えば、流路9Aの幅が約10μm以上500μm以下である場合、流路9Aの深さは約10μm以上100μm以下であることが好ましい。流路の幅および深さは、作製手法
上の限界と、適切な毛細管力の発生の視点から調整されればよい。
供給チャンバ6と接続している第1流路9Aの第1流路端部13Aは、供給チャンバ6に収容された溶液10のバルブとして機能する。第1流路9Aは、第1流路端部13Aから遠心方向に延びているので、基板2を回転させたときに溶液10に作用する遠心力によって、供給チャンバ6内の溶液10を第1流路9A内に流入させることができる。
供給チャンバ6の注入口11よりも遠心外側にある溶液の全てを、遠心力で流路9Aに流入させるために、第1流路端部13Aを、回転中心から最も離れたチャンバ6の最外周辺に配置することが好ましい。
第1流路9Aは、回転軸3に近い方から遠心方向に延びて、第2流路端部14Aに接続している。それにより、いったん被供給チャンバ7に流入した溶液が、供給チャンバ6に向かって流路9Aを逆流するのを防止する。このように、第1流路9Aは遠心方向に延びていればよいので、設計の自由度が高く、生産性等の面で好ましい。
[第2流路9Bについて]
第2流路9Bは、被供給チャンバ7と最終段チャンバ8を流体的に互いに連通させる流路である。第2流路9Bは基板2の内部に形成され、空間的に閉じられている。第2流路9Bの両端、すなわち第3流路端部13Bと第4流路端部14Bは、それぞれ被供給チャンバ7と最終段チャンバ8に接続されている。
第3流路端部13Bは、回転軸3と第2流路端部14Aとを結ぶ直線上に配置されない。第3流路端部13Bを前記直線上からずらすことにより、第1流路9Aを通って被供給チャンバ7に流入した溶液10は、そのまま第2流路9Bに流れ込むことができず、いったん被供給チャンバ7に留まる。
流路9Bを通って被供給チャンバ7から最終段チャンバ8に溶液10が確実に送液されるためには、流路9Bを微細な流路とする必要がある。第3流路端部の断面積は、第1流路端部の断面積と同じでとしても、大きくしてもよく、小さくしてもよい。好ましくは、流路9Bの体積・幅・深さを、流路9Aのそれらと同等程度とする。
被供給チャンバ7と接続している第2流路9Bの第3流路端部13Bは、被供給チャンバ7に収容された溶液10を保持するバルブとして機能する。第2流路9Bは、第3流路端部13Bから、遠心方向に延びているので、基板2の回転数を上げて、溶液10に遠心力を作用させることにより、被供給チャンバ7の溶液10を、第2流路9Bに流入させることができる。
第2流路9Bは、回転軸3に近い方から遠心方向に延びて、第4流路端部14Bに接続している。それにより、いったん最終段チャンバ8に流入した溶液が、被供給チャンバ7に向かって流路9Bを逆流するのを防止する。
[流路部位5を構成する壁面について]
第1流路9Aの第1流路端部13Aの流路壁、および第2流路9Bの第3流路端部13Bの流路壁は、疎水性材料により構成されているか、疎水化処理が施されていることが好ましい。第1流路端部13A、および第3流路端部13Bに疎水性を付与すれば、供給チャンバ6、および被供給チャンバ7のそれぞれに収容された溶液を、毛細管力で保持しやすくなる。
第1流路9Aの第1流路端部13Aの流路壁、および第2流路9Bの第3流路端部13Bの流路壁の水の静止接触角は、約35°以上120°以下が好ましい。流路壁が約35
°以下の接触角を有すると、基板が回転していなくても、毛細管現象により溶液が第1流路端部13A、および第3流路端部13Bから流路内に自発的に浸入する。一方、流路壁が約120°以上の接触角を有すると撥水性が高過ぎるため、最高回転速度印加時においても、溶液が第1流路端部13A、および第3流路端部13Bから流路内に浸入しない。
第1流路9Aの第1流路端部13Aの流路壁、および第2流路9Bの第3流路端部13Bの流路壁の水の静止接触角は、好適には66°以上90°以下である。一例を挙げると、流路壁の水の静止接触角を82°から66°にすると、回転開始回転速度が45%減少する。よって、チャンバ段数を多くするためには、流路壁の疎水性は接触角で90°とすることがより望ましい。
第1流路端部13Aの流路壁、および第3流路端部13Bの流路壁以外の流路部位5の内壁(「残りの部分」ともいう)は、疎水性を有していてもよいが、親水性を有していてもよい。「残りの部分」には、供給チャンバ6の壁面、被供給チャンバ7の壁面、最終段チャンバ8の壁面、及び第1流路9Aの第1流路端部13Aを除く全体(第2流路端部14Aを含む)の壁面、第2流路9Bの第3流路端部13Bを除く全体(第4流路端部14Bを含む)の壁面が含まれる。
前記「残りの部分」が親水性を有していれば、供給チャンバ6から第1流路9Aに流入した溶液、または被供給チャンバ7から第2流路9Bに流入した溶液は、湿潤効果と毛細管現象によって、確実に被供給チャンバ7、または最終段チャンバ8へ流入する。
ここで、供給チャンバ6の壁面、被供給チャンバ7の壁面、最終段チャンバ8の壁面の水の静止接触角は、約45°以上105°以下を有することが好ましい。チャンバ壁面の接触角が45°以下であると、チャンバ側壁の親水性により、チャンバ内に蓄えられた溶液の水面は平面視で凹形状を持つ円弧となる。そのような凹形状の水面となると、仮想チャンバ長さが小さくなる。水面の凹形状の曲率は、チャンバ幅が狭いほど大きくなり、低速回転時に顕著になる。このため、第1仮想チャンバ長さと第2チャンバ長さの差が小さくなり、段階送液を実現しにくくなる。
一例として、チャンバ幅2mmの供給チャンバ6に5μLの溶液を注入した場合、接触角が65°であると、水面曲率によって第1仮想チャンバ長さは0.4mm減少し、第1回転速度と第2回転速度の差は80rpm減少する。
一方、チャンバ幅2mmの供給チャンバ6に5μLの溶液を注入した場合、接触角が45°であると、第1回転速度で供給チャンバ6から流れ出した溶液は、被供給チャンバ7にとどまらずに最終段チャンバにまで送液されるので、段階送液が実現されない。
さらに、チャンバ幅2mmの供給チャンバ6に5μLの溶液を注入した場合、接触角が105°以上であると、凸形状の水面曲率による第1仮想チャンバ長さは0.3mm減少し、第1回転速度が200rpm小さくなり、段階送液が実現されない。
親水性を付与するには、その部位を親水性材料により構成するか、その部位に親水化処理を施せばよい。親水性材料の例には、ガラス、石英ガラス;アルミ、銅、ステンレスなどの金属材料等が含まれる。ただし、金属材料は事前に表面に付着する有機物を取り除いて表面を清純にする。親水化処理の例には、TritonXに代表される界面活性剤;水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基等の親水基を持つ高分子化合物の塗布などが含まれる。好適には、界面活性剤を塗布する。ただし、上記親水化剤が第1流路9Aの第1流路端部13A、および第2流路9Bの第3流路端部13Bの流路壁を親水化しないように留意するべきである。特に、第1流路9Aの第1流路端部13Aの前段に配置された供給チャンバ6の壁面から、親水化材が溶出して、第1流路9Aの第1流路端部13Aの流路壁を親水化する可能性があるので留意する。そこで、付着面から離れにくい親水化材が好適に用いられる。
[基板2の積層構造の第1例]
基板2は、図3Aおよび図4に示されるように、積層構造を有していてもよい。基板2は4層構造を有し、上面板材41;流路板材42;チャンバ板材43;および下面板材44を含む。
上面板材41には、板厚方向に貫通する注入口11および空気口12が設けられる。流路板材42には板厚方向に貫通する溝孔46が設けられる。溝孔46は、供給チャンバ6、被供給チャンバ7、最終段チャンバ8および流路9A、流路9Bに対応する形状を有する。チャンバ板材43には板厚方向に貫通する溝孔47が設けられる。溝孔47は、供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8に対応する形状を有する。下面板材44は供給チャンバ6、被供給チャンバ7及び最終段チャンバ8の底面を構成し、溝や孔は設けられない。
4層構造を有する基板2は、各板材を接合することで製作できるので、生産性に優れる。流路9Aおよび9Bの深さは流路板材42の厚みで決定される。また、供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8の深さは、流路板材42の厚みとチャンバ板材43の厚みの合計で決定される。
したがって、流路9Aおよび流路9Bの深さを、供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8の深さよりも、容易に浅くすることができる。かつ流路9Aおよび9Bの深さと、供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8の深さを、独立に設定することができる。
例えば、流路9Aおよび9Bの深さが約100μmであれば、流路9Aおよび流路9B、ならびに供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8の形状を有する溝孔46を形成した流路板材42を使用して、基板を容易に作製できる。そのため、生産性の面から好ましい。
さらに、供給チャンバ6および被供給チャンバ7の底部となる下面板材44は、他の板材とは別体であるので、接合前の下面板材44に、反応試薬等を容易に担持させることができる。例えば、被供給チャンバ7の底部に、供給チャンバ6から送液された溶液と反応させる目的で反応試薬を担持させておくことができる。
各板材の接合は、任意の方法を採用して行なえばよい。例えば、各板材の間に接着性材料または接着性を有するシートを介在させてもよいし、超音波接合、熱圧着接合またはラミネータ加工などの他の接合方法を採用してもよい。
流路とチャンバの形成方法も、任意の方法を採用して行なえばよい。例えば、半導体微細加工技術に代表されるフォトリソグラフィー加工、プラスチック成型に代表されるインジェクションモールド、切削加工、マスター基板から複製をつくる転写加工等が挙げられる。好適に用いられるのは、フォトリソグラフィー加工が適用される。
[基板2の積層構造の第2例]
基板2は、図5に示されるように3層構造を有しうる。図5に示される基板2は、注入口11と空気口12が設けられた上面板材41;供給チャンバ6、被供給チャンバ7、最終段チャンバ8、および流路9A、流路9Bに対応する形状の溝孔46が設けられた流路板材42;および供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8に対応する有底の凹部47が設けられチャンバ板材43を含む。
[基板2の積層構造の第3例]
基板2は、図6に示されるように3層構造を有しうる。図6に示される基板2は、注入口11と空気口12を設けた上面板材41;チャンバ6〜8に対応する板厚方向に貫通す
る溝孔と、流路9Aおよび9Bに対応する凹部とを設けた流路板材49;供給チャンバ6、被供給チャンバ7及び最終段チャンバ8の底部となる下面板材44を含む。
[基板2の積層構造の第4例]
基板2は、図7に示されるように2層構造を有しうる。図7に示される基板2は、注入口11と空気口12を設けた上面板材41;供給チャンバ6、被供給チャンバ7、及び最終段チャンバ8、及び流路9A、流路9Bに対応する凹部を設けた下部板材50を含む。
図7に示される2層構造の基板2は、例えばフォトリソグラフィー加工を用いて製作されうる。この製作工程は、1)下部板材50にフォトレジストを塗布し、リソグラフィーにより流路9A、9Bを形成する工程;2)供給チャンバ6、被供給チャンバ7及び最終段チャンバ8を形成する工程;3)上面板材41に注入口11および空気口12を形成する工程;並びに4)下部板材50の流路部位の上部を、上面板材41で封止する工程を含む。
具体的な例を説明する。清浄化処理されたガラス基板に、ネガ型厚膜フォトレジストを塗布する。用いるフォトレジストは、流路のサイズに適したレジストを選択する。例えば、KMPR1030(化薬マイクロケム)などが形成される膜の厚さ、流路のアスペクト比などの面から好ましい。また、スピンコーターなど回転塗布型のレジストが用いられる。スピンコーターにてKMPR1030を回転塗布する場合には、プレ回転として500rpmで10秒、本回転として1000rpmで30秒行う。本回転の回転速度を変化させることにより、膜厚を変化させることができる。一例を示すと、本回転を1000rpmとすると57μmの膜厚が;1070rpmとする48μmの膜厚が得られる。
その後、95℃で20分間のプレベークを行い、流路とチャンバが描かれたマスクを露光する。露光強度と露光時間は膜厚によって適正に調整すればよい。一例を挙げると、露光強度は、約1700mJ/cmが好ましい。95℃で6分間のPEB(Post Exposure Bake)をして現像を行い、流路とチャンバパターンをフォトリソグラフィーにより形成させる。
次に、下部板材50のチャンバ部位を切削加工もしくはサンドブラスト加工により形成する。最後に、注入口11と空気口12を開けた上面板材41を下部板材50に貼り付ける。
[流路部位のチャンバに溶液を送液する方法]
図1に示される送液装置1を使用して、基板2の流路部位のチャンバに溶液を送液する方法とメカニズムを、図8のフローチャート、および図9を参照して説明する。
送液方法には、A)基板2を第1回転速度rpmで回転駆動する工程A、およびB)第2回転速度rpmで回転駆動する工程Bが含まれる。工程Aの前に、C)溶液10を基板2の注入口11から注入して、供給チャンバ6に充填する工程Cを含みうる。工程Cで、供給チャンバ6に注入する溶液10の容量を、仮想チャンバ体積とする。
基板2の回転時に溶液10が飛散するのを防止するために必要であれば、注入口11を封止する(工程C’)。回転軸3に近い位置に注入口11を設ければ、回転に伴う溶液の飛散は起こりにくい。また、注入口11の開口面積が供給チャンバ6に比べ十分に小さいほど飛散が起こりにくいが、反面、工程Cにおいて供給チャンバ6内を溶液10で充たすことが困難となる。よって、工程C’を行うことで、供給チャンバ6への溶液10の確実な注入と、基板2の回転時の溶液10の飛散防止を両立することができる。
図9Aおよび図9Bの、供給チャンバ6と接続する第1流路9Aの第1流路端部13Aは、疎水性を有し、かつ流路9Aは微細な流路である。第1流路端部13Aの流路壁面は疎水性を有するので溶液10で濡れず、溶液10と流路壁面の接触角θc1は鈍角となる
。そのため、毛細管現象による流路9Aへの流入が生じず、溶液10を供給チャンバ6に保持しようとする毛細管力Fcが発生する。よって、溶液10は毛細管力Fcにより第1流路端部13Aで保持され、流路9Aに溶液10が流入しない。
詳細には、流路9Aの壁面と溶液10の界面には表面張力T〜Tが生じる。その合力である毛細管力Fcは、求心性の方向(第1流路端部13Aから供給チャンバ6の内部に向かう方向)に発生する。一般に、毛細管力Fcの大きさ、および毛細管力Fcが流路端部13に作用する圧力Pcは、以下の式(1)および式(2)で表される。符号「T」は水の表面張力;「θc」は溶液の流路壁面に対する接触角;「c」は流路の周囲長;「S」は流路の断面積を示す。
Figure 0004918589
Figure 0004918589
供給チャンバ6の溶液10を、第1流路端部13Aで保持する力である毛細管力Fcは、非湿潤性の現象に基づく力であるので、第1流路端部13Aが疎水性を有することにより生じる。また、毛細管力Fcにより第1流路端部13Aに溶液10を保持するためには、流路9Aが微細な流路である必要がある。
前述のように流路9Aの幅を約4μm以上2000μm以下とし、かつ流路9Aの深さを供給チャンバ6、被供給チャンバ7および最終段チャンバ8の深さよりも浅く設定すれば、毛細管力Fcにより第1流路端部13Aに溶液10を確実に保持することができる。
基板2を第1回転速度rpmで回転駆動する(工程A)。図9Bに示すように、基板2が回転しているときに、第1流路端部13Aで毛細管力Fcにより保持される溶液10に対して、外向きの半径方向rの遠心力Fgが作用する。
遠心力Fgの大きさは、1)遠心力が作用する溶液の体積に比例し、2)回転軸から第1の流路端部13Aまでの距離である回転半径に比例し、かつ3)回転速度の2乗に比例する。
遠心力Fgによる第1流路端部13Aにかかる遠心圧力Pgが、毛細管力Fcによって第1流路端部13Aにかかる毛細管圧力Pcより大きくなると、第1流路端部13Aの溶液10が、流路9Aに浸入する。遠心圧力Pgが、毛細管圧力Pcよりも小さい場合は、遠心力Fgが作用しても、溶液10は第1流路端部13Aで保持される。
前述のように、遠心圧力Pgの大きさは回転速度の2乗に比例する。遠心圧力Pgが毛細管圧力Pcを上回るときの回転速度を「第1回転速度rpm」とする。つまり、基板2を第1回転速度rpmで回転駆動することによって、第1チャンバ6の溶液10を流路9A内へと浸入させることができる。回転方向は、時計方向、反時計方向のいずれでもよい。
停止している状態から、第1回転速度rpmにいたる時間や、加速度は任意に設定さ
れる。第1回転速度rpmよりも低い回転速度で基板2を回転駆動させている間は、第1チャンバ6に溶液10は保持されたままである。そこで、溶液10が血液の場合には、所定の時間、第1回転速度rpmよりも低い回転速度で基板2を回転させて、血液内に含まれる血球を遠心分離してもよい。
第1流路端部13Aを除く流路9Aの全体、第1チャンバ6、および第2チャンバ7が親水性を有していれば、遠心圧力Pgによる第1流路端部13Aでの溶液10の保持が解除されると、湿潤性効果または毛細管現象により、第1チャンバ6の溶液10が流路9Aを通って第2チャンバ7へ流入する。このとき、流路9Aや第2チャンバ7の空気は、空気口12を通って基板2の外部に排出される。溶液10は毛細管現象により流路9A及び第2のチャンバ7の隅々まで行き渡るので、第2のチャンバ7に確実かつ定量的に溶液10が注入されうる。
毛細管現象について、図9Cを参照して説明する。親水性を有する流路9Aの流路壁面が濡れると、溶液と流路壁面の接触角θc1’が鋭角になる。流路壁面と溶液10の界面には表面張力S〜Sが図の方向に生じ、その合力である毛細管力Fc'は遠心性の方向に生じる。従って、いったん第1流路端部13Aによる保持が解除されて流路9Aに流入した溶液10には、溶液10が流路9Aを充たす方向に毛細管力Fc'が作用する。毛細管力Fc'の大きさは、前述の式(1)と同様に表される。
次に、いったん流路9Aの第2流路端部14Aから第2チャンバ7に流入した溶液10は、引き続き遠心力Fgを受けるが、第3流路端部13Bは、回転軸3と第2流路端部14Aとを結ぶ直線上にないので、溶液10は第2チャンバ7の外周側の側壁にぶつかる。そして、前述のように第2チャンバ7と接続する流路9Bの第3流路端部13Bは、疎水性を有し、かつ流路9Bは微細な流路であるので、第3流路端部13Bにおける溶液10は、表面張力による毛細管力Fcを受ける(図9E)。
前述したように、遠心力Fg'は回転半径に比例して式(3)に示すように大きくなる。符号「ρ」は溶液の密度、「V」は遠心力Fgが作用する溶液の体積、「r」は回転半径、「ω」は回転角速度をそれぞれ表す。
Figure 0004918589
ただし、回転速度rpmと回転角速度ωには次の式(4)の関係が成り立つ。
Figure 0004918589
第2チャンバ7は、第1チャンバ6より外周側に配置されるので、「回転軸3から第3流路端部13Bまでの距離(回転半径)r2d」は「回転軸3から第1流路端部13Aまでの距離(回転半径)r1d」よりも大きい(図9Aや図9Eを参照)。したがって、式(3)から導かれるように、他の条件(溶液の密度;作用する溶液の体積;回転角速度)が同じであれば、第2チャンバ7の第3流路端部13Bに作用する遠心力Fgは、第1チャンバ6の第1流路端部13Aに作用する遠心力Fgよりも大きくなる。
第2流路9Bの断面積と第1流路9Aの断面積とが等しく、第3流路端部13Bにかかる毛細管力Fcが第1流路端部13Aにかかる毛細管力Fcと等しい場合には、第1回転速度rpmで基板2を回転駆動させて第2チャンバ7に流入させた溶液10は、遠心力との力の釣り合いから、第2チャンバ7に留まることなく流路9Bへ流入して、最終段チャンバ8へ流入する(図9F)。
そこで第2チャンバ7の幅22(図3参照)を、第1チャンバ6の幅21(図3参照)よりも大きくすることによって、遠心力が作用する溶液の体積Vを調整する。
まず、第1チャンバ6の第1流路端部13Aに作用する遠心圧力Pgを厳密に求める。仮想チャンバ体積の溶液10を第1チャンバ6に満たし、基板2を回転駆動させたときの溶液状態が、図9A〜図9Dに示される。回転に伴い、溶液10の全体が遠心力Fgを受け、第1チャンバ6の外周側に偏る(図9A)。平面視で第1流路端部13Aから液面まで長さを「第1仮想チャンバ長さY」とする(図9A)。第1流路端部13Aにおいて遠心圧力Pgに寄与する溶液10の体積を「第1寄与体積V」で示す(図9B)。「第1寄与体積V」は、底面積を第1流路端部13Aの断面;高さを第1仮想チャンバ長さYとする直方体、として表される。
遠心圧力Pgは、図9Bに示す微小体積dvと、微小体積dvが発生する微小遠心圧力dpを用いて、式(5)のように示される。式(5)を、回転半径r1uから回転半径r1dまでの仮想チャンバ長さY方向の全体にわたって積分すると、遠心圧力Pgが求められる(図9A参照)。
Figure 0004918589
「2r1d−Y」は、r1d>>Yであるので、2r1dと近似してよい。すなわち遠心圧力Pgは、仮想チャンバ長さYに比例する。
同様にして、遠心圧力Pgを求めることができる(図9Eを参照)。「第2寄与体積V」が及ぼす遠心圧力Pgは、図9Eに示す微小体積dvと、微小体積dvが発生する微小遠心圧力dpを用いて、回転半径r2uから回転半径r2dまでの仮想チャンバ長さY方向の全体にわたって積分し、式(8)のように表される。
Figure 0004918589
「2r2d−Y」は、r2d>>Yであるので、2r2dと近似できる。すなわち遠心圧力Pgは、仮想チャンバ長さYに比例する。
第1流路端部13Aと第3流路端部13Bの断面積は等しく、流路端部にかかる毛細管圧力PcとPcが等しい場合には、Pg≧Pgであり、ω<ωを満たす必要がある。
Pg=Pgのとき、ω<ωの関係を満たすためには、仮想チャンバ長さYとYは、式(9)の関係が必要となる。
Figure 0004918589
前述のように、r1d>>Y、かつr2d>>Yの仮定のもとで近似すると、式(9)で示される仮想チャンバ長さYとYの関係は、式(10)に簡略化される。
Figure 0004918589
第1チャンバ6と第2チャンバ7の関係が、式(9)または式(10)を満足していると、基板が第1回転速度rpmで回転することによって、第1流路9Aから第2チャンバへ流入した溶液10は、第1回転速度rpmによっては第2流路9Bへ流入できない。
工程Aの後であって所定時間後に、基板2を「第2回転速度rpm」以上で回転させる(工程B)。第2回転速度rpmは、第1回転速度rpmよりも大きい。第2回転速度rpmを基板2に印加したときの第2遠心力Fgは、式(3)で導かれるとおり、Fgより大きくなる。よって、遠心力Fgによって第3流路端部13Bにかかる遠心圧力Pgが、毛細管力Fcによって第3流路端部13Bにかかる毛細管圧力Pcを相殺する。その結果、第3流路端部13Bの溶液10が、流路9Bに流入する。
つまり、基板2を第2回転速度rpmで回転駆動することによって、第2チャンバ7内の溶液10を、流路9Bに流入させることができる。回転方向は、時計方向Rおよび反時計方向Rのいずれでもよい。
第2回転速度rpmにいたる時間、加速度は任意に設定される。第2回転速度rpm以下の回転速度で基板2を回転駆動している限りは、第2チャンバ7内に溶液10は保持される。そこで、溶液10が化学物質を含む水溶液の場合には、あらかじめ第2チャンバ7に化学物質と反応する試薬を保持しておき、第2チャンバ7において化学物質を含む水溶液を、所定時間反応させることができる。
ここで、式(9)で示される仮想チャンバ長さYとYは、それぞれ約0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。仮想チャンバ長さが0.1mm以下を保つようにチャンバ内に溶液を配置することは、液体の凝集力により困難である。一方、通常の基板2の直径は約10mmであるので、第1仮想チャンバ長さを5mm以上にすると、被供給チャンバ8を配置するスペースがなくなることがある。
前述した生体試料に内在する溶液物性のばらつきを考慮して、式(10)に示される第
2仮想チャンバ長さYを約0.3mm大きく見積もり、式(10)の関係を満足するようにチャンバの幅および深さを決定することが望ましい。かかる設計により、第1回転速度と第2回転速度の差を200rpm以上にすることができ、段階的な送液をより確実に実現する。
第1回転速度と第2回転速度の差を適切に設けるためには、第1仮想チャンバ長さYと、第2仮想チャンバ長さYとの比率Y/Yを、1.6以上とすることが好ましい。
第3流路端部13Bを除く流路9B全体、第2のチャンバ7および第3のチャンバ8が親水性を有していれば、第3流路端部13Bでの溶液10の保持が解除されると、湿潤性効果または毛細管現象によって、第2チャンバ7内の溶液10が、流路9Bを通って第3チャンバ8へ流入する。流路9Bおよび第3チャンバ8内の空気は、空気口12を通って基板2の外部に排出される。溶液10は、毛細管現象により流路9Bおよび第3チャンバ8の隅々まで行き渡るので、第3チャンバ8内に確実かつ定量的に溶液10を注入することができる。
以上のように、基板2を第1回転速度rpmで回転駆動することで、第1チャンバ6から第2チャンバ7へ選択的に溶液10を送液することができ、次に基板2を第2回転速度rpmで回転駆動することで、第2チャンバ7から第3チャンバ8へ選択的に溶液10を送液することができる。このようにして、段階的な送液が実現される。
本発明の送液装置1は、以下に列挙するように種々の利点を有する。
第1に、微小チャンバの形状を回転中心線から遠ざかる距離に応じて変化させることで、微小チャンバからチャンバへと基板の回転速度に応じて段階的に送液する。従って、微小チャンバどうしをつなぐマイクロ流路の断面積および形状は変化させる必要がなく、同じ流路幅・流路深さに設計できる。かかる構成により、微小流路の作製が容易であり、作製プロセスに負荷がかからない。
第2に、流路端部に作用し、毛細管力と相対する遠心力を発生させる溶液の体積を外周のチャンバほど減少させる。それにより、通常は回転中心線からの距離に応じて増加する性質を有する遠心力が毛細管力を上回るために必要な回転速度が、外周に行くほど高くなる。それにより、微小チャンバからチャンバへの、基板の回転速度に応じた段階的な送液を実現する。従って、作製実現度も高く、かつ送液に種々の機能を持たせることも可能である。送液する溶液の体積が小さくなっても、実現可能な方法である。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る送液装置1は、図1に示される回転駆動装置;図10および図11に示される基板2を含む。以下の説明においてこれらの図面を参照する。
実施の形態2の基板2は、その流路部位5が実施の形態1の基板2と異なる。相違を概説すると、実施の形態1では「チャンバの幅」を変化させることによって、式(9)または式(10)に示した仮想チャンバ長さの関係を満たし、段階的な送液を実現した。一方、実施の形態2では「チャンバの深さ」を変化させる。
実施の形態2の基板2の流路部位5を、図10および図11を用いて説明する。平面視で第1チャンバ6の幅21と第2チャンバ7の幅22はほぼ等しい(図11B)。一方、第1チャンバ6の深さ24は、第2チャンバ7の深さ25より小さい(図11A)。
注入口11から第1チャンバ6に満たされた溶液10には、第1流路端部13Aで第1
流路9Aに溶液10が入るのを妨げる向きの第1毛細管力Fcが作用する。基板2を回転駆動すると、遠心力Fgが半径方向rの遠心方向に生じる。回転速度が第1回転速度rpmに達すると、溶液10のうちの寄与体積Vにより第1流路端部13Aに作用する遠心圧力Pgが、毛細管力Fcによる毛細管圧力Pcを上回る。すると、溶液10が流路9Aに流れ込み、第2チャンバ7に流入する。
第1チャンバ6の深さ24は、第2チャンバ7の深さ25より浅いので、第2チャンバ7に溶液10が満たされたときの第2仮想チャンバ長さYは、第1仮想チャンバ長さYより短くなる。実施の形態2の基板2の、第1仮想チャンバ長さYと第2仮想チャンバ長さYの関係が、式(9)または式(10)を満たせば、第2寄与体積Vが発生させる遠心圧力Pgは、第3流路端部13Bに作用する第2毛細管圧力Pcよりも小さくなる。よって、溶液10は第2チャンバ7に留まることができる。
その後に、第1回転速度rpmより大きい第2回転速度rpmで、基板2を回転駆動する(工程B)。第2回転速度rpmによって発生する第2遠心力Fgは、式(8)で表され、第2毛細管圧力Pcを初めて上回るため、第2チャンバ7の溶液10は、流路9Bへ流れ込み、第3のチャンバ8に流入する。
以上のように、実施の形態2の基板2は、第1回転速度rpmで回転駆動することで、第1チャンバ6から第2チャンバ7へ選択的に溶液10を送液することができる。さらに、第2回転速度rpmで回転駆動することで、第2チャンバ7から第3チャンバ8へ選択的に溶液10を送液することができる。このようにして段階的な送液が実現される。
実施の形態2の基板2は、実施の形態1の基板のように、チャンバ幅を調整する必要がないので、平面視上の流路部位5の形成面積を小さくすることができる。よって、基板2に、複数の流路部位5を集積化する場合に有利であり、製造コストを下げることができる。
第3チャンバ8の深さ26は、第2チャンバ7の深さ25より大きくしているが、第3チャンバ8の深さ26の深さは任意に設定され、仮想チャンバ体積15が漏れることなく収まる体積を有していればよい。また、第3チャンバ8の数も1つに限定されず、2以上の第3チャンバ8を流路で連通させて配置してもよい。
また、チャンバ幅の調整(実施の形態1参照)と、チャンバ深さの調整(実施の形態2参照)を組み合わせて、両者を調整してもよい。
[実施の形態3]
実施の形態3に係る送液装置1は、図1に示される回転駆動装置;図12および図13に示される基板2を含む。以下の説明においてこれらの図面を参照する。実施の形態3の基板2は、その流路部位5のチャンバの数が、実施の形態1の基板2と異なる。つまり、流路部位5が、複数の第2チャンバ(第2チャンバ7Aおよび第2チャンバ7B)を有する。第2チャンバ7Aは内周側に配置され、第2チャンバ7Bは外周側に配置され、互いに流路9Cを介して連通し、半径方向に直列に配置されている。
図12に示されたように、第2チャンバ7Aと第2チャンバ7Bは流路9Cで連通され、流路9Cは第5流路端部13C、および第6流路端部14Cを有する。平面視で第2チャンバ7Aの幅22Aは、第2チャンバ7Bの幅22Bより小さい。
また、図13Aに示されたように、第2チャンバ7Aの深さ25Aは、第2チャンバ7Bの深さ25Bより小さい。
実施の形態3の基板2を用いて送液駆動をするためのフローチャートを図14に示した
。注入口11から第1チャンバ6に注入された溶液10には、第1流路端部13Aで、流路9Aに溶液が入るのを妨げる向きの第1毛細管力Fcが作用する。基板2を回転駆動すると、遠心力Fgが半径方向rの遠心方向に生じる。回転速度が第1回転速度rpmに達すると、溶液10のうちの寄与体積Vにより第1流路端部13Aに作用する遠心圧力Pgが、毛細管力Fcによる毛細管圧力Pcを上回り、溶液10は流路9Aに流れ込み、第2チャンバ7Aに流入する。
第2チャンバ7Aの幅22Aは、第1チャンバ6の幅21より大きいので、第2チャンバ7Aに溶液10が満たされたときの仮想チャンバ長さY2Aは、第1仮想チャンバ長さYより小さくなる。実施の形態3の基板2の、仮想チャンバ長さYと仮想チャンバ長さY2Aの関係が、式(9)または式(10)を満たせば、第2の寄与体積V2Aが発生させる遠心圧力Pg2Aは、第5流路端部13Cに作用する毛細管圧力Pc2Aより小さくなる。よって第2チャンバ7Aに流入した溶液10は、第2チャンバ7Aに留まることができる。
次に、第1回転速度rpmより大きい第2回転速度rpm2Aで、基板2を回転駆動する(工程B)。第2回転速度rpm2Aによって発生する第2遠心力Fg2Aは、式(8)で表され、第2の毛細管圧力Pc2Aを初めて上回る。よって、第2チャンバ7Aの溶液10は、流路9Cへ流入し、第2のチャンバ7Bに到達する。
第2チャンバ7Bの幅22Bは、第2チャンバ7Aの幅22Aより大きいので、第2チャンバ7Bに溶液10が満たされたときの仮想チャンバ長さY2Bは、第2仮想チャンバ長さY2Aよりも小さくなる。実施の形態3の基板2の仮想チャンバ長さY2AとY2Bの関係が、式(9)もしくは式(10)を満たせば、第2の寄与体積V2Bが発生する遠心圧力Pg2Bは、第3流路端部13Bに作用する毛細管圧力Pc2Bを上回らない。
次に、回転速度rpm2Aより大きい第2回転速度rpm2Bで基板2を回転駆動する(工程B’)。回転速度rpm2Bによって発生する第2遠心力Fg2Bは、式(8)で表され、第2の毛細管圧力Pc2Bを初めて上回る。よって、第2チャンバ7Bの溶液10は、流路9Bへ流入し、第3チャンバ8に到達する。
以上のように、実施の形態3の基板2は、第1回転速度rpmで回転駆動することで、第1チャンバ6から第2チャンバ7Aへ選択的に溶液10を送液することができ;第2回転速度rpm2Aで回転駆動することで、第2チャンバ7Aから第2チャンバ7Bへ選択的に溶液10を送液することができ;第2回転速度rpm2Bで回転駆動することで、第2チャンバ7Bから第3チャンバ8へ選択的に溶液10を送液できる。このように3段階に送液することができる。
実施の形態3の基板2の第2チャンバの配置数は増えているので、送液の段数が増えている。したがって、基板2で行なう工程(溶液の混合や化学物質との反応など)の数を増やすことができ、複雑な処理を簡便に行うことが可能となる。
[実施の形態4]
実施の形態4の送液装置1は、図1に示される回転駆動装置;図15に示される基板2を含む。以下の説明においてこれらの図面を参照する。
実施の形態4の基板2は、その流路部位5の流路9Aおよび9Bの形状が、実施の形態1の基板2と異なる。この違いを概説すると、各流路(9Aおよび9B)の内周側のチャンバと接続する入口(13Aおよび13B)の断面積と、外周側のチャンバと接続する出口(14Aおよび14B)の断面積が異なる。具体的には、出口端部近傍での流路の幅や
深さが変化している。
図15に示されるように、第1流路9Aの出口端部である第2流路端部14A、および第2流路の出口端部である第4流路端部14Bの近傍における出口断面積が徐々に大きくなり、それぞれ第2チャンバ7および第3チャンバ8との接続点で最大となる。図15には平面視で、流路とチャンバとの接続付近で、角丸め形状を持つように徐々に大きくなる例が示される。もちろん、断面積を増加させる形状はこれに限定されず、例えば、流路深さが変化してもよい。断面積の増加量、および増加率も限定されない。
一方、第1流路の入口端部である第1流路端部13A、および第2流路の入口端部である第3流路端部13Bの近傍における入口断面積は一定にされている。
一例を挙げると、第2流路端部14A近傍以外の第1流路9Aの深さが0.04mm、幅が0.2mmであるときに、第2流路端部14Aでの流路の深さを0.04mm(不変)、幅を0.6mmとすることができる。より具体的には、第2流路端部14Aから0.2mm手前の地点から、角丸めの半径0.2mmで徐々に大きくすればよい。この場合は、流路の断面積の増加率は3倍となる。溶液量が約5μLである場合には、第2チャンバの幅が好適には1mm以上5mm以下となるので、流路の構造を上記構造とする場合には、流路の断面積の増加率を25倍以下とする。
別の例では、第2流路端部14A近傍以外の第1流路9Aの深さが0.04mm、幅が0.2mmであるときに、第2流路端部14Aでの流路の深さを0.04mm(不変)、幅を2mmとすることができる。より具体的には第2流路端部14Aから1mm手前の地点から、半円がチャンバに接するような曲率をもって徐々に大きくする。この場合は、流路の断面積の増加率は10倍となる。
流路の形状を適切に制御することによって、段階的な送液を滞りなく確実にすることができる。特に、送液する溶液が生体試料の場合には、マイクロ流路を流れにくいことがある。例えば、生体試料の一つである血漿は、電解質水溶液に比べて粘度が高く、マイクロ流路を流れにくい。また血漿は、多種のタンパクが混在した溶液であるので、マイクロ流路の内壁に付着性タンパクが吸着しやすく、マイクロ流路を閉窄させることがある。特に、約60μm以下のマイクロ流路であると、生体試料の送液が困難なことがある。
実施の形態4の基板の流路は、出口端部近傍の断面積が、出口に近づくにつれて大きくなるので、粘性による溶液の抵抗力を減らし、タンパク吸着による流路の閉窄も起こりにくい。よって、安定に、再現良く生体試料溶液を送液できる。よって、4μm以上60μm以下のマイクロ流路を含む基板であっても、段階的な送液を実現することができる。
もちろん、実施の形態4の基板の流路の入口端部は、実施の形態1の基板と同様であるので、実施の形態4の基板を用いて段階的な送液を実現することができる。
[実施の形態5]
実施の形態5の送液装置1は、図1に示される回転駆動装置;図16Aおよび図16Bに示される基板2を含む。実施の形態5の基板2は、回転基板本体51;および回転基板本体51に対して着脱可能なチップ体52を備える。流路部位5は、回転基板本体51ではなく、各チップ体52に形成される。
回転基板本体51の上面側には、各チップ体52を収容するための収容孔53が形成されている。複数の収容孔53が、回転軸3に対して放射状に形成される。チップ体52を、収容孔53内に配置して保持する。特に回転基板2の回転時には、遠心力によってチッ
プ体52が付勢されるので、チップ体52を確実に回転基板本体51に保持して、収容孔53から脱落を防ぐ。
以下の実施例を参照して、本発明をより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
実施例1は、実施の形態1に対応する実施例である。実施例1として、図2から図4(特に図2参照)に示される流路部位5を有する基板2を作製した。
基板2の設計
まず、図17に示した基板2の流路部位5を式(9)、式(10)を満足するよう設計した。各設計値を表1に示す。一方、比較例1として、表2に示す各設計値の基板2も設計した。
Figure 0004918589
Figure 0004918589
実施例1の基板2に対して、想定される第1回転速度rpm、および第2回転速度rpmを計算した結果を図18に示す。第1回転速度rpmとは、第1チャンバ6から第2チャンバ7へ送液される最小回転速度を意味する。第2回転速度rpmとは、第2チャンバ7から第3チャンバ8へ送液される最小回転速度を意味する。
図18に示したように、第1回転速度が、第2回転速度よりも低いことがわかる。したがって、第1回転速度で第1チャンバ6から第2チャンバ7へ溶液を送液して、いったん
第2チャンバ7に保持し;その後、第2回転速度で第2チャンバ7から第2チャンバ8へ送液することができることがわかる。
一方、比較例1の基板2に対し、同様に想定される第1回転速度rpm、および第2回転速度rpmを計算した結果を図19に示す。図19に示したように、第1回転速度が第2回転速度より大きくなる。よって、第1回転速度で第1チャンバから第2チャンバ7に溶液を送液すると、第2チャンバ7に留まらずに、第3チャンバ8まで流れてしまうことがわかる。
基板2の作製
表1の設計値を反映させた実施例1の基板2、および表2の設計値を反映させた比較例1の基板2を作製し、段階送液挙動を確認した。
清浄に処理されたガラス基板に、ネガ型厚膜フォトレジストKMPR1030(化薬マイクロケム)を塗布した。プレ回転として500rpmで10秒;本回転として1000rpmで30秒間、スピンコーターにてKMPR1030を回転塗布した。本回転の回転速度を変化させることにより、膜厚を変化させることが可能となった。
その後、95℃で20分間プレベークを行い、流路とチャンバが描かれたマスクを露光した。露光強度を、約1700mJ/cmとした。95℃で6分間PEB(Post Exposure Bake)し、現像を行って、流路とチャンバパターンをフォトリソグラフィーにより形成させた。さらに、下部基板50のチャンバ部位を切削加工により形成した。
最後に、注入口11と空気口12を開けた流路板材49を下部基板50に貼り付けた。
段階送液試験
試料溶液として純水、もしくは視認性を確保する目的で青色色素を混入させた純水を用いた。実施例1の基板2の注入口11から第1チャンバ6に、ピペットで15μLの試料溶液を注入した。その後、送液装置1に基板2を取り付け、回転速度892rpmで回転駆動させたところ、第1チャンバ6から第2チャンバ7への試料溶液の送液が観測された。試料溶液は第3チャンバ8には流れず、第2チャンバ7に留まった。
その後、回転速度を回転速度1383rpmまで上昇させ、回転駆動させたところ、第2チャンバ7から第3チャンバ8への試料溶液の送液が観測された。
同様に、比較例1の基板2でも同様の試験を行った。その結果、第1チャンバ6の溶液10は、回転速度1400rpmまで流路9Aに流れず、いったん流路9Aに流れ出した溶液は、第2のチャンバを通り越し、同回転速度のまま、第3チャンバ8まで流れた。
このように、実験的に段階的送液が確認された。また、計算された理論値と実験において観測された回転速度は合致した。
[実施例2]
実施例2は、第2の実施形態に対応する実施例である。
実施例2が実施例1と違う点の一つは、チャンバの幅ではなく、チャンバの深さを変化させていることである。基板2の設計方法、および作製方法、段階送液実験の手順は実施例1と同様であるので省略する。実施例2の基板2の各設計値を表3に示す。第1回転速度および第2回転速度の計算結果を図20に示す。
Figure 0004918589
一方、比較例2として、チャンバの深さを変えていない基板2の各設計値を表4に示す。第1回転速度および第2回転速度の計算結果を図21に示す。
Figure 0004918589
実施例2の基板2においても、第1回転速度rpmが、第2回転速度rpmを下回っているので、段階的な送液を実現できることは確認された。また、実施例2の基板2を作製して、実験的に段階送液を確認した。実施例2の基板2の注入口11から第1チャンバ6に、ピペットで5μLの試料溶液を注入した。その後、送液装置1に基板2を取り付け、回転速度960rpmで回転駆動させたところ、第1チャンバ6から第2チャンバ7への試料溶液の送液が観測された。試料溶液は第3チャンバ8には流れず、第2チャンバ7に留まった。その後に、回転速度を回転速度1448rpmまで上昇させて回転駆動させたところ、第2チャンバ7から第3チャンバ8への試料溶液の送液が観測された。
同様に、比較例2の基板2でも同様の試験を行った。その結果、第1チャンバ6の溶液10は回転速度1890rpmまで流路9Aに流れず、いったん流路9Aに流れ出した溶液は第2チャンバを通り越して、同回転速度のまま第3チャンバ8まで流れた。
このように、実験的に段階的送液が確認された。また、計算された理論値と実験において観測された回転速度は合致した。
[実施例3]
実施例3は、実施の形態3に対応する実施例である。
実施例3が実施例1と違う点の一つは、チャンバの段数が多いことである。基板2の設
計方法、および作製方法、段階送液実験の手順は実施例1と同様であるので省略する。基板2の各設計値を表5に示す。5段のチャンバを持つ流路部位5を設計した。第1回転速度rpm、ならびに第2回転速度rpm2A、第2回転速度rpm2Bおよび第2回転速度rpm2cの計算結果を図22に示す。
「rpm<rpm2A<rpm2B<rpm2c」の関係を満たすので、段階的な送液が実現されることが確認された。さらに基板2を作製して、実験的に段階送液を確認した。
実施例3の基板2の注入口11から第1チャンバ6に、ピペットで15μLの試料溶液を注入した。その後、送液装置1に基板2を取り付けて、回転速度888rpmで回転駆動させたところ、第1チャンバ6から第2チャンバ7Aへの試料溶液の送液が観測された。試料溶液は第2チャンバ7Bには流れず、第2チャンバ7Aに留まった。
15秒間、回転速度888rpmで回転を維持した後、回転速度を回転速度1180rpmまで上昇させて回転駆動させたところ、第2チャンバ7Bから第2チャンバ7Cへの試料溶液の送液が観測された。
15秒間、回転速度1180rpmで回転を維持した後に、回転開始から30秒の時点で回転速度を回転速度1347rpmまで上昇させたところ、第2チャンバ7Bから第2チャンバ7Cへの試料溶液の送液が観測された。第2チャンバ7Bの全量が、送液開始から4秒後(回転開始から34秒後)に第2チャンバ7Cへ移送された。
その後、回転開始から75秒後に回転速度を回転速度1635rpmまで上昇させたところ、第2チャンバ7Cから第3チャンバ8への試料溶液の送液が観測された。第2チャンバ7Cの全量が、送液開始から3秒間(回転開始から78秒後)に第3チャンバ8へ移送された。
このように、実験的に4段の段階的送液が確認された。また、計算された理論値と実験において観測された回転速度はrpm、rpm2A、rpm2Bにおいて合致した。rpm2cについては、理論値より実験値が小さくなった。チャンバ幅が15mmに対し、仮想チャンバ長さが理論上1mmとなるが、第3チャンバ8が疎水性であり、液体が横長のチャンバで水面の部分でも表面張力が支配的となり、平面視で水面の曲率を持った様に位置し、実際には1.2mmとなったためであると推測される。rpmとrpm2Bにおいて実施例1の実験における回転速度が再現した。
Figure 0004918589
[実施例4]
実施例4は、実施の形態4に対応する実施例である。本実施例が実施例1と違う点の一つは、第1流路および第2流路の両方の出口流路端部の流路幅を変化させる(拡大させる)点である。具体的には、出口流路端部の流路幅が0.6mmであり、端部以外の中央部の流路幅が0.2mmである。図15に示したように、平面視で出口流路端部の手前0.2mmの部分から流路幅が角丸め半径0.2mmを満たす用に緩やかに拡大して、0.6mmとなっている。なお、実施例4および以下に述べる比較例4Aから4Cの流路深さは0.04mmとし、出口端部や入口端部においても変化させていない。
一方、比較例4Aでは、実施例1と同様に、入口端部付近および出口端部付近の流路幅とも0.2mmで一定の形状とした。比較例4Bでは、出口端部付近を0.2mmで一定の形状とし、かつ入口端部付近を変化させる(収縮させる)形状とした。収縮形状は、平面視で実施例と鏡像関係にあり、具体的には、第1流路および第2流路における、流路の入口流路端部の流路幅が0.6mmであり、端部以外の中央部の流路幅が0.2mmとされている。
図15に示したように、平面視で入口流路端部の奥(外周側)0.2mmの部分へ流路幅が角丸め半径0.2mmを満たすように緩やかに減少している。比較例4Cは出口端部付近も入口端部付近も変化させる形状とした。
試験日に採血したヒト血漿試料を用いて、段階送液試験を行った結果を表6に示す。試験は、溶液量5μLのヒト血漿を第1チャンバに投入し、3重から9重測定を行った。試験した回数に対する、実際に血漿試料が段階的に送液できた回数の割合を示した。比較例4A〜4Cに示した流路端部形状を持つ基板2の送液成功確率は40%以下であった。一方、実施例4の基板2の送液成功確率は100%であり、確実にヒト血漿試料を段階送液できる結果となった。
Figure 0004918589
送液実験手順は、回転速度1200rpmから基板を回転させて;回転開始から30秒後に、毎秒10rpmの上昇率でモータの限界である回転速度3500rpmまで回転速度を増加させた。
比較例4Aの基板2の段階送液成功確率は、3回中1回(33%)であった。成功した1回では、回転速度2051rpmで第1チャンバ6から第2チャンバ7へ送液されたが、その後の第2チャンバ7から第3チャンバ8への送液は、回転速度が3500rpmに至るまで起こらなかった。
比較例4Bの基板2の段階送液成功確率は、9回中2回(22%)であった。成功した2回では、回転速度1542rpm(2回の平均)で第1チャンバ6から第2チャンバ7へ送液されたが、そのC.V.(変動係数)は4.2%と、各回の開始回転速度にばらつきがみられた。その後の第2チャンバ7から第3チャンバ8への送液は、回転速度が3500rpmに至るまで起こらなかった。
比較例4Cの基板2の段階送液成功確率は、5回中2回(40%)であった。成功した
2回では、回転速度2160rpm(2回の平均)で第1チャンバ6から第2チャンバ7へ送液されたが、そのC.V.(変動係数)は5.8%と、各回の開始回転速度にばらつきがみられた。その後の第2チャンバ7から第3チャンバ8への送液は、回転速度が3500rpmに至るまで起こらなかった。
一方、実施例4の基板2の送液成功確率は、3回中3回(100%)であった。回転速度1512rpm(3回の平均)で、第1チャンバ6から第2チャンバ7へ送液され、そのC.V.(変動係数)は0.5%と比較例4A〜4Cと比較して、開始回転速度のばらつきが小さい。その後の第2チャンバ7から第3チャンバ8への送液は、回転速度1950rpm(3回の平均)で起こり、そのC.V.(変動係数)は0.5%と安定していた。
以上の通り、実施例4の基板2は、確実にヒト血漿試料を段階送液できるだけでなく、その回転開始の回転速度も常に一定である結果となった。
本出願は、2007年5月10日出願の特願2007−125908に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の基板および送液方法は、生体試料、特に血液等に含まれるタンパク質等の生体構成成分を分析するデバイスの駆動源として有用である。血液試料は、前段階で血球血漿分離を行って得られる血漿に含まれるタンパク質を被測定試料とする。しかも、その分離は、遠心力を用いた遠心分離で行うことが好ましい。このため、基板を使った送液方式は遠心力を使った血球血漿分離と容易に組み合わせることができる。さらに、各チャンバに試薬等を担持、または各チャンバで加温などの物理的操作を施すことで、反応、精製、検出などを行うことができる。このため、血液試料中に含まれるタンパクや健康指標物質を分離、精製、反応、検出するPOCT(Point of care test その場診断)診断バイオセンサ等の用途にも応用できる。
実施の形態1に係る送液装置を示す模式的な構成図である。 実施の形態1に係る基板の部分拡大平面図である。 図2のI−I線での部分断面図(図3A)と、それに対応する平面図(図3B)である。 第一の例の基板の分解斜視図である。 第二の例の基板の分解斜視図である。 第三の例の基板の分解斜視図である。 第四の例の基板の分解斜視図である。 実施の形態1に係る送液装置を用いて段階的送液を行なうためのフローチャートである。 実施の形態1に係る送液装置の基板において、段階的送液の回転操作における溶液に作用する力を説明するための概略平面図。第1チャンバに溶液が保持されている状態を示す。 実施の形態1に係る送液装置の基板において、段階的送液の回転操作における溶液に作用する力を説明するための概略平面図である。第1チャンバから第1流路に溶液が流入するときの状態を示す。 実施の形態1に係る送液装置の基板において、段階的送液の回転操作における溶液に作用する力を説明するための概略平面図である。第1流路を溶液が流れるときの状態を示す。 実施の形態1に係る送液装置の基板において、段階的送液の回転操作における溶液に作用する力を説明するための概略平面図である。第2チャンバへ溶液が流入する状態を示す。 実施の形態1に係る送液装置の基板において、段階的送液の回転操作における溶液に作用する力を説明するための概略平面図である。第2チャンバに溶液が保持されている状態を示す。 実施の形態1に係る送液装置の基板において、段階的送液の回転操作における溶液に作用する力を説明するための概略平面図である。第3チャンバに溶液が流入している状態を示す。 実施の形態2に係る基板の部分拡大平面図である。 図10のII−II線での部分断面図(図11A)と、それに対応する平面図(図11B)である。 実施の形態3に係る基板の部分拡大平面図である。 図12のIII−III線での部分断面図(図13A)と、それに対応する平面図(図13B)である。 実施の形態3に係る送液装置を用いて段階的送液を行なうためのフローチャートである。 実施の形態4に係る基板の部分拡大平面図である。 実施の形態5に係る基板を示す模式的な構成図である。 実施例で作製した基板の流路部位を説明するための基板平面図である。 実施例1の基板における、送液する溶液量と、チャンバから送液が開始される回転速度を計算した結果を示すグラフである。 比較例1の基板における、送液する溶液量と、チャンバから送液が開始される回転速度を計算した結果を示すグラフである。 実施例2の基板における、送液する溶液量と、チャンバから送液が開始される回転速度を計算した結果を示すグラフである。 比較例2の基板における、送液する溶液量と、チャンバから送液が開始される回転速度を計算した結果を示すグラフである。 実施例3の基板における、送液する溶液量と、チャンバから送液が開始される回転速度を計算した結果を示すグラフである。
1 送液装置
2 回転基板
3 回転軸
4 回転駆動部
5 流路部位
6 第1チャンバ(供給チャンバ)
7,7A,7B 第2チャンバ(被供給チャンバ)
8 第3チャンバ(最終段チャンバ)
9A,9B,9C 流路
10 溶液(または生体試料溶液)
11 注入口
12 空気口
13A 第1流路端部(入口端部)
13B 第3流路端部(入口端部)
13C 第5流路端部(入口端部)
14A 第2流路端部(出口端部)
14B 第4流路端部(出口端部)
14C 第6流路端部(出口端部)
21 第1チャンバの幅
22 第2チャンバの幅
23 第3チャンバの幅
24 第1チャンバの深さ
25 第2チャンバの深さ
26 第3チャンバの深さ
27A,27B,27C 流路深さ
31 モータ
32 駆動回路
33 制御信号出力部
34 速度特性印加部
35 回転速度検出器
36 回転速度制御部
41 上面板材
42 流路板材
43 チャンバ板材
44 下面板材
46,47 溝孔
48 窪み
49 流路板材
50 下部板材
51 回転基板本体
52 チップ本体
53 収容孔
第1仮想チャンバ長さ
第2仮想チャンバ長さ
時計方向
反時計方向
S 回転中心線(軸線)
r 半径方向
1d 第1チャンバの回転半径
1u 第1チャンバの仮想液面回転半径
2d 第2チャンバの回転半径
2u 第2チャンバの仮想液面回転半径
Fc 第1毛細管力
Fc2A,Fc2B 第1毛細管力
Pc 第1毛細管圧力
Pc2A、Pc2B 第2毛細管圧力
Fg 第1遠心力
Fg2A,Fg2B 第2遠心力
Pg 第1遠心力圧力
Pg2A,Pg2B 第2遠心力圧力
−T 表面張力
θc 第1の接触角
θc 第2の接触角
第1寄与体積
第2の寄与体積
dv 微小体積要素
dp 微小遠心圧力

Claims (19)

  1. 回転中心線まわりに回転可能であり、その内部に形成された流路部位を含む基板であって、
    前記流路部位は、
    A)注入口を有する第1チャンバと、
    B)前記第1チャンバよりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第2チャンバと、
    C)空気口を介して基板の外部雰囲気と接続するチャンバであって、前記第2チャンバよりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第3チャンバと、
    D)前記第1チャンバと前記第2チャンバとを連通させ、
    前記第1チャンバと接続し、前記注入口よりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第1流路端部、および
    前記第2チャンバと接続する第2流路端部を備える第1流路と、
    E)前記第2チャンバと前記第3チャンバとを連通させ、
    前記第2チャンバと接続し、前記回転中心線と前記第2流路端部とを結ぶ直線上に配置されない第3流路端部、および
    前記第3チャンバと接続し、前記空気口および第2流路端部よりも前記回転中心線から離れた部位に配置された第4流路端部を備える第2流路とを有し、
    前記第1、第2、第3チャンバの順に、微少量の溶液を段階的に送液することができ、
    前記第1流路端部の近傍における第1チャンバの底面の断面積が、前記第1流路端部の近傍における前記第1流路の断面積よりも大きく、
    前記第1チャンバに一定量の溶液を収容して、前記回転中心線まわりに回転させたときの、前記第1流路端部から、前記回転中心線へ向かう求心方向に沿った前記溶液の液面までの距離である第1仮想チャンバ長さが、前記第2チャンバに前記一定量の溶液を収容して、前記回転中心線まわりに回転させたときの、前記第3流路端部から、前記回転中心線へ向かう求心方向に沿った前記溶液の液面までの距離である第2仮想チャンバ長さよりも長い、基板。
  2. 前記第3流路端部の断面積が、前記第1流路端部の断面積と同じかまたは大きい、請求項1に記載の基板。
  3. 前記第1流路端部の近傍における第1チャンバの幅が、前記第3流路端部の近傍における前記第2チャンバの幅よりも狭い、請求項1に記載の基板。
  4. 前記第1流路端部の近傍における第1チャンバの深さが、前記第3流路端部の近傍における第2チャンバの深さよりも浅い、請求項1に記載の基板。
  5. 前記第1流路端部と第2流路端部を除く前記第1流路の幅、および前記第3流路端部と第4流路端部を除く前記第2流路の幅が4μm以上60μm未満であり、
    前記第1流路端部の近傍における前記第1流路の断面積、および前記第3流路端部の近傍における前記第2流路の断面積が、遠心方向へいくにしたがって、変わらないかまたは大きくなり、かつ
    前記第2流路端部の近傍における前記第1流路の断面積、および前記第4流路端部の近傍における前記第2流路の断面積が、遠心方向へいくにしたがって大きくなる、請求項1に記載の基板。
  6. 前記第1流路端部と第2流路端部を除く前記第1流路の深さ、および前記第3流路端部と第4の流路端部を除く前記第2流路の深さが4μm以上60μm未満であり、
    前記第1流路端部の近傍における前記第1流路の断面積、および前記第3流路端部の近
    傍における前記第2流路の断面積が、遠心方向へいくにしたがって、変わらないかまたは大きくなり、かつ
    前記第2流路端部の近傍における前記第1流路の断面積、および前記第4流路端部の近傍における前記第2流路の断面積が、遠心方向へいくにしたがって大きくなる、請求項1に記載の基板。
  7. 前記第2チャンバは空気口を備え、かつ前記空気口を除いて空間的に閉じられている、請求項1に記載の基板。
  8. 前記流路部位は、第2チャンバAおよび第2チャンバBを含む二以上の第2チャンバを有し、第2チャンバAは第2チャンバBよりも前記回転中心線の近くに配置され、
    前記基板に形成された、第2チャンバAと、第2チャンバBとを連通させ、
    前記第2流路端部よりも前記回転中心線から離れた部位にて、第2チャンバAと接続し、前記回転中心線と前記第2流路端部とを結ぶ直線上に配置されない第5流路端部と、
    前記第2チャンバBと接続する第6流路端部とを有する第3流路を備え、
    前記第2チャンバAに一定量の溶液を収容して、前記回転中心線まわりに回転させたときの、前記第5流路端部から、前記回転中心線へ向かう求心方向に沿った前記溶液の液面までの距離である第2A仮想チャンバ長さが、
    前記第2チャンバBに一定量の溶液を収容して、前記回転中心線まわりに回転させたときの、前記第3流路端部から前記回転中心線へ向かう求心方向に沿った前記溶液の液面までの距離である第2B仮想チャンバ長さよりも長い、請求項1に記載の基板。
  9. 前記基板は二以上の流路部位を含む、請求項1に記載の基板。
  10. 前記基板は、前記回転中心線として作用する中心軸を備える、請求項9に記載の基板。
  11. 前記第1流路端部および前記第3流路端部が疎水性である、請求項1に記載の基板。
  12. 前記第1流路端部、前記第3流路端部および前記第5流路端部が疎水性である、請求項8に記載の基板。
  13. 前記第1流路および前記第2流路の全体が疎水性である、請求項1に記載の基板。
  14. 前記第1流路、前記第2流路の全体および前記第3流路の全体が疎水性である、請求項8に記載の基板。
  15. 前記流路部位の全体が疎水性である、請求項1に記載の基板。
  16. 前記第1チャンバに液体が収容された請求項1に記載の基板を準備する工程;
    前記基板を回転中心線まわりに、第1回転速度rpmで回転させる工程;
    前記基板を前記第1回転速度rpmより大きな第2回転速度rpmで回転させる工程を含む、多段送液方法。
  17. 請求項1に記載の基板、および前記基板を前記回転中心線まわりに回転させる回転駆動部を備える、多段送液装置。
  18. 前記回転駆動部は、前記基板を前記回転中心線まわりに回転させるモータと、前記モータに速度特性を与える速度特性印加部とを含む、請求項17に記載の多段送液装置。
  19. 前記回転駆動部は、回転中の前記基板の回転速度を測定する回転速度測定器と、前記回転速度測定器の測定した回転速度に基づいて、前記速度特性印加部が前記モータに与える速度特性を補正する回転速度補正部とをさらに含む、請求項18に記載の多段送液装置。
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