JP4918374B2 - 軸受の潤滑構造 - Google Patents
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Description
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図4〜図32に示すように、半固体状潤滑剤(G)によって軸受(12)を潤滑する軸受の潤滑構造であって、前記半固体状潤滑剤が充填される充填室(14a)内で劣化後の半固体状潤滑剤(GO)と未劣化の半固体状潤滑剤(GN)とを入れ替える入替部(19)を備え、前記入替部は、前記充填室内で移動することによって前記軸受に近い側の前記劣化後の半固体状潤滑剤をこの軸受から離れる方向に移動させる可動板(20)と、前記可動板が前記軸受から離れる方向に移動したときに、この軸受から遠い側の前記未劣化の半固体状潤滑剤をこの軸受に向かって排出する排出部(26)とを備えることを特徴とする軸受の潤滑構造(18)である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える電動機枠体及びシャフトの断面図である。
シャフト1は、図示しないギア、車軸を介して主電動機の動力を車輪に伝えるものである。電動機枠体2は、フレーム3と、ブラケット4,5と、給脂栓6,7と、カラー8〜11と、軸受12,13と、軸受蓋14〜17などによって構成されている。
ガイド部28は、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって移動するようにこの未劣化のグリースGNをガイドする部分であり、図7に示すように軸受12に向かって立ち上がる壁部である。ガイド部28は、図4及び図6に示すように、排出口29の位置と軸受12の端面とが略一致するような高さに形成されている。ガイド部28は、図3(A)に示すように、未劣化のグリースGNの移動方向と直交する平面で切断したときの断面形状(孔形状)が可動板20の周方向に長く幅方向に短い長円形(長孔)であり、ガイド部28の断面形状は流入口27から排出口29に向かって同一の大きさで形成されている。ガイド部28は、図4及び図6に示すように、可動板20の軸受12側の表面に対して垂直(ストレート状)に形成されており、可動板20の幅方向及び周方向で切断したときの断面が直線状である。ガイド部28の厚さは、保持部21によって保持されるグリース量が低下しないように、このガイド部28の強度を確保可能な範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。ガイド部28は、図7に示すように、内側側面28a,28bと内側端面28c,28dとを備えている。内側側面28a,28bは、可動板20の幅方向で対向する一対の内面であり、保持部21に沿って僅かに湾曲し互いに平行な曲面状に形成されている。内側端面28c,28dは、可動板20の周方向で対向する一対の内面であり、内側側面28a,28bと連続して同一半径の曲面状に形成されている。
図2(A)に示すように、初期状態では外側充填室14c及び環状充填室14bにはグリースGが隙間なく充填されている。また、図3(A)及び図4(A)に示すように、可動板20と軸受12との間にもグリースGが充填され、環状充填室14bと可動板20との間にもグリースGが充填されている。この状態で軸受12が回転すると軸受12の端面付近のグリースGが徐々に劣化して、図4(A)及び図6(A)に示すように軸受12の端面付近のグリースGに摩耗粉などが混入する。図4(B)に示すように、入替給脂時(メンテナンス時)には、軸受12から離れる方向に可動板20が移動するように、緩み止め部25d,25eを緩めて雄ねじ部25aを回転させ、雄ねじ部25aによって延長部22を可動板20とともに移動させる。図6(B)に示すように、軸受12から離れる方向に可動板20が移動を開始すると、劣化後のグリースGOが保持部21に保持された状態で可動板20とともに移動し、可動板20によって未劣化のグリースGNが押圧される。このため、図6(B)の二点鎖線で示すように、未劣化のグリースGNが流入口27からガイド部28内に流入して排出口29から噴き出し、保持部21の先端面と軸受12の端面との間にこの未劣化のグリースGNが徐々に充填される。図6(C)に示すように、環状充填室14bの底部と接触するまで可動板20が移動すると、劣化後のグリースGOと軸受12との間に未劣化のグリースGNが完全に入替給脂されて、この未劣化のグリースGNによって軸受12が新たに潤滑される。軸受蓋15側の環状充填室15bにも同様の方法によって入替給脂される。
(1) この第1実施形態では、劣化後のグリースGOと未劣化のグリースGNとを充填室14a内で入替部19が入れ替えており、軸受12に近い側の劣化後のグリースGOを入替部19が軸受12から離し、軸受12から遠い側の未劣化のグリースGNを入替部19が軸受12に近づける。このため、例えば、鉄道車両の主電動機の軸受12を非分解の状態で、劣化後のグリースGOと未劣化のグリースGNとを入れ替えることができ、潤滑効果を十分に図り潤滑寿命を延伸させることができる。また、初期状態時には軸受12の近傍に十分な量のグリースGを充填させることができるため、入替給脂前に潤滑不良になるのを防ぐことができる。
図8は、この発明の第2実施形態に係る軸受の潤滑構造の駆動部の断面図であり、図8(A)は初期状態の断面図であり、図8(B)は入替給脂後の断面図である。図9は、この発明の第2実施形態に係る軸受の潤滑構造の駆動部を拡大して示す断面図である。
図8及び図9に示す貫通孔22aは、内周部に雌ねじ部が形成されており、雄ねじ部25aの回転量に応じて可動板20が駆動する。送りねじ機構部25は、雄ねじ部25aと、密封部25cと、緩み止め部25d,25eと、貫通孔25iと、軸部25jと、ストッパ部25kなどを備えている。雄ねじ部25aは、可動板20を進退可能に駆動するボルトであり、両端部に所定の長さで形成されている。雄ねじ部25aは、先端部が延長部22の貫通孔22aの雌ねじ部と噛み合っており、この貫通孔22aに回転自在に連結されている。雄ねじ部25aは、入替給脂時以外に不用意に回転しないように、後端部に緩み止め部25d,25eが装着されている。密封部25cは、貫通孔25iと軸部25jとの間の間隙部を密封する部分である。密封部25cは、貫通孔25iと軸部25jとの間に塗布される液状パッキンなどのコーキング材であり、環状充填室14bから外部にグリースG又はグリースGから滲み出た潤滑油が漏れ出すのを防止するとともに、外部から環状充填室14bに異物が浸入するのを防止する。貫通孔25iは、軸部25jが貫通する部分であり、軸受蓋14を貫通して形成されている。軸部25jは、貫通孔25iに回転自在に挿入される部分であり、雄ねじ部25aの中間部に形成されており、この中間部の外周部には雄ねじ部が形成されていない。ストッパ部25kは、雄ねじ部25aが後退する方向に移動するのを阻止する部分であり、軸部25jの外周部から突出してフランジ状に形成されている。この第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、雄ねじ部25aが回転操作されたときに、この雄ねじ部25aが長さ方向に移動して雄ねじ部25aの後端部が軸受蓋14の外側に抜け出すことがない。このため、軸受蓋14の外側に存在する部材と雄ねじ部25aとを干渉させずに、可動板20を簡単に移動させることができる。
図10は、この発明の第3実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図である。図11は、この発明の第3実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図である。以下では、図1〜図7に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示すガイド部28は、流入口27から排出口29に向かって徐々に細くなるようにノズル状に形成されており、断面形状が長円形である。ガイド部28は、可動板20の軸受12側の表面から立ち上がる両テーパ状に形成されている。図11に示す内側側面28a,28bは、保持部21に沿って僅かに湾曲し、排出口29側が狭くなるように傾斜して形成されている。内側端面28c,28dは、内側側面28a,28bと連続して同一半径の曲面状に形成されており、排出口29側が狭くなるように傾斜して形成されている。この第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、排出部26がノズル状に形成されているため、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって高圧で噴射することができるとともに、排出部26の先端部が細くなるためこの先端部の未劣化のグリースGNに摩耗粉などが混入するのをより一層低減することができる。
図12は、この発明の第4実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図である。図13は、この発明の第4実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図である。
図12及び図13に示すガイド部28は、流入口27から排出口29に向かって徐々に細くなるようにノズル状に形成されており断面形状が長円形である。ガイド部28は、可動板20の軸受12側の表面から立ち上がる片テーパ状に形成されている。図11に示す内側側面28a,28bは、保持部21に沿って僅かに湾曲し排出口29側が狭くなるように形成されており、内側側面28aは可動板20に対して垂直であり、内側側面28bは可動板20に対して傾斜している。内側端面28c,28dは、内側側面28a,28bと連続して同一半径の曲面状に形成されており、排出口29側が狭くなるように傾斜して形成されている。排出口29は、図12に示すように、軸受12の内輪12dと保持器12bとの間の間隙部S11に向かって未劣化のグリースGNを排出する。この第4実施形態では、第3実施形態の効果に加えて、未劣化のグリースGNが流入しやすい間隙部S11に向かってこの未劣化のグリースGNを噴射することができるため、より一層潤滑効果を向上させることができる。この第4実施形態では、間隙部S11に未劣化のグリースGNを給脂するため、軸受12が回転するとこの未劣化のグリースGNが遠心力によって内輪12d側から外輪12c側に移動するため、潤滑効果を向上させることができる。
図14は、この発明の第5実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図であり、図14(A)(B)は排出口が円形である場合の斜視図であり、図14(C)(D)は排出口が四角形である場合の斜視図である。
図14(A)(B)に示すガイド部28は、断面形状が円形であり、内周面28eは曲面状に形成されている。図14(C)(D)に示すガイド部28は、断面形状が四角形であり、内側側面28a,28b及び内側端面28c,28dは互に平行な平面状に形成されている。図14(A)(C)に示すガイド部28は、可動板20の表面に対して垂直(ストレート状)に形成されている。図14(B)(D)に示すガイド部28は、排出口29側が狭くなっており、可動板20の軸受12側の表面から立ち上がる両テーパ状に形成されている。この第5実施形態には、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果がある。
図15は、この発明の第6実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図であり、図15(A)〜(C)は誘導部がR面であるときの断面図であり、図15(D)〜(F)は誘導部が斜面であるときの断面図である。
図15に示す排出部26は、ガイド部28に向かって未劣化のグリースGNを誘導する誘導部30を備えている。誘導部30は、未劣化のグリースGNと接触する側の可動板20の表面(背面)とガイド部28の内面とが交差する部分に形成された面取りである、図15(A)〜(C)に示す誘導部30には、R面(丸み)が形成されており、図15(D)〜(F)に示す誘導部30には斜面が形成されている。誘導部30は、軸受12から離れる方向に可動板20が移動して、この可動板20と環状充填室14bとの間で未劣化のグリースGNが加圧されたときに、この未劣化のグリースGNを流入口27からガイド部28に容易に流入させる。この第6実施形態では、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、誘導部30によって未劣化のグリースGNをより一層スムーズにガイド部28へ押し出すことができる。
図16は、この発明の第7実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図であり、図16(A)は平面図であり、図16(B)は図16(A)のXVI-XVIB線で切断した状態を示す断面図である。図17は、この発明の第7実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図である。
図16及び図17に示す排出部26は、可動板20の周方向に間隔をあけてこの可動板20の外周部に配置されている。排出部26は、例えば、図16(A)に示すように、可動板20の外周部の周方向に等間隔で4個配置されており、軸受蓋14の中心軸から等距離に配置されている。ガイド部28は、断面形状が多角形に形成されており、ガイド部28の断面形状は流入口27から排出口29に向かって同一の大きさで形成されている。ガイド部28は、図16(B)に示すように、排出口29の位置と軸受12の端面とが略一致するような高さに形成されている。ガイド部28は、図17に示すように、可動板20の軸受12側の表面に対して垂直(ストレート状)に形成されており、内側側面28f〜28hとを備えている。内側側面28fは、環状充填室14bに沿って僅かに湾曲した曲面状に形成されており、内側側面28g,28hは内側側面28fの両縁部と可動板20の外側外周部とを接続し平面状に形成されている。この第8実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
図18は、この発明の第8実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図である。図19は、この発明の第8実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図である。
図18及び図19に示すガイド部28は、可動板20の軸受12側の表面に対して傾斜して形成されている。図19に示すように、内側側面28fは環状充填室14bに沿って僅かに湾曲し排出口29側が狭くなるように傾斜した曲面状に形成されており、内側側面28g,28hは排出口29側が狭くなるように傾斜した平面状に形成されている。排出口29は、図18に示すように、軸受12の外輪12cと保持器12bとの間の間隙部S12に向かって未劣化のグリースGNを排出する。この第9実施形態には、第3実施形態と同様の効果がある。
図20は、この発明の第9実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図であり、図20(A)は平面図であり、図20(B)は図20(A)のXX-XXB線で切断した状態を示す断面図である。図21は、この発明の第9実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図である。
図20及び図21に示す排出部26は、可動板20の周方向に間隔をあけてこの可動板20の内周部に配置されており、図20(B)に示すように軸受12の内輪12dと保持器12bとの間の間隙部S11に向かって未劣化のグリースGNを排出する。排出部26は、例えば、図20(A)に示すように、可動板20の内周部の周方向に等間隔で8個配置されており、軸受蓋14の中心軸から等距離に配置されている。図20及び図21に示すガイド部28は、図16及び図17に示すガイド部28とは異なり、図21に示すように内側側面28fの両縁部と可動板20の内側内周部とを内側側面28g,28hが接続している。この第9実施形態には、第4実施形態と同様の効果がある。
図22は、この発明の第10実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図である。図23は、この発明の第10実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図である。
図22及び図23に示すガイド部28は、可動板20の軸受12側の表面に対して傾斜して形成されている。図23に示すように、内側側面28fは可動板20に沿って僅かに湾曲し排出口29側が狭くなるように傾斜した曲面状に形成されており、内側側面28g,28hは排出口29側が狭くなるように傾斜した平面状に形成されている。この第10実施形態には、第4実施形態と同様の効果がある。
図24は、この発明の第11実施形態に係る軸受の潤滑構造のガイド部を概略的に示す斜視図であり、図24(A)(B)は排出口が半円形である場合の斜視図であり、図24(C)(D)は排出口が三角形である場合の斜視図である。
図24(A)(B)に示すガイド部28は、断面形状が半円形であり、内周面28eは曲面状に形成されている。図24(C)(D)に示すガイド部28は、断面形状が三角形であり、内側側面28a,28bは平面状に形成されている。図24(A)(C)に示すガイド部28は、可動板20の表面に対して垂直(ストレート状)に形成されている。図24(B)(D)に示すガイド部28は、排出口29側が狭くなるように形成されており、可動板20の軸受12側の表面に対して傾斜して形成されている。この第11実施形態には、第7実施形態及び第8実施形態と同様の効果がある。
図25は、この発明の第12実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の平面図である。
図25に示す可動板20の内側内周部は、環状充填室14bの内側外周部に嵌め込まれており、この環状充填室14bの内側外周部に移動自在にガイドされている。排出部26は、図25に示すように、可動板20の周方向に連続してこの可動板20の外周部に配置されており、図16又は図18に示すガイド部28と同様に、軸受12の外輪12cと保持器12bとの間の間隙部S12に向かって未劣化のグリースGNを排出する。この第12実施形態では、第7実施形態及び第8実施形態の効果に加えて、第1実施形態〜第4実施形態のような排出口29を可動板20に形成する必要がなくなるため入替部19を容易に製造することができる。
図26は、この発明の第13実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図である。
図26に示す可動板20の外側外周部は、環状充填室14bの外側内周部に嵌め込まれており、この環状充填室14bの外側内周部に移動自在にガイドされている。排出部26は、図26に示すように、可動板20の周方向に連続してこの可動板20の内周部に配置されており、図20又は図22に示すように軸受12の内輪12dと保持器12bとの間の間隙部S11に向かって未劣化のグリースGNを排出する。この第13実施形態には、第9実施形態、第10実施形態及び第12実施形態と同様の効果がある。
図27は、この発明の第14実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図であり、図27(A)は初期状態の断面図であり、図27(B)は入替給脂中の断面図であり、図27(C)は入替給脂後の断面図である。図28は、この発明の第14実施形態に係る軸受の潤滑構造の可動板及びガイド部を概略的に示す斜視図である。
図27及び図28に示す可動板20は、排出部26が貫通する貫通孔20aを備えている。排出部26は、環状充填室14b側に形成されており、この可動板20が軸受12から離れる方向に移動するときにこの可動板20を移動自在にガイドする。排出部26は、図28に示すように、軸受12から離れる方向に可動板20が移動したときに、可動板20の背面と環状充填室14bの底面との間で加圧された未劣化のグリースGNを軸受12に向かって二点鎖線で示すように排出する。排出部26は、環状充填室14bの周方向に間隔をあけて配置されており、軸受蓋14の中心軸から等距離になるように環状充填室14bの幅方向の中央部に配置されている。流入口27は、図27に示すように、排出部26の底部にこの排出部26の幅方向に対向してそれぞれ形成されており、図28に示すようにこの排出部26を貫通する四角形状の貫通孔である。ガイド部28は、図27及び図28に示すように、環状充填室14bの底部から軸受12に向かって立ち上がる壁部であり、断面形状が長円形に形成されており、流入口27から排出口29に向かって同一の大きさで形成されている。ガイド部28は、図27に示すように、排出口29の位置と軸受12の端面とが略一致するような高さに形成されている。ガイド部28は、図27及び図28に示すように、環状充填室14bの底面に対して垂直(ストレート状)に形成されており、図7に示すガイド部28と同一形状である。この第14実施形態では、第1実施形態〜第13実施形態のような可動板20に排出部26が形成されている構造とは異なり、環状充填室14bに排出部26が形成されている。このため、軸受12から離れる方向に可動板20が移動しても、排出口29の先端面と軸受12の端面との間の間隔が常に一定であり、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって正確に供給することができる。
図29は、この発明の第15実施形態に係る軸受の潤滑構造の入替部を概略的に示す断面図であり、図29(A)は初期状態の断面図であり、図29(B)は入替給脂中の断面図であり、図29(C)は入替給脂後の断面図である。図30は、この発明の第15実施形態に係る軸受の潤滑構造の可動板及びガイド部を概略的に示す斜視図である。
図29及び図30に示す可動板20は、排出部26の外周面と環状充填室14bの外側内周部との間に嵌め込まれており、これらによって移動自在にガイドされている。排出部26は、環状充填室14b側に形成されており、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって二点鎖線で示すように排出する。排出部26は、図30に示すように、環状充填室14bの周方向に連続して配置されており、軸受蓋14の中心軸から等距離になるように環状充填室14bの幅方向の中央部に配置されている。流入口27は、排出部26の底部にこの排出部26の周方向に間隔をあけて形成されており、この排出部26を貫通する四角形の貫通孔である。ガイド部28は、図29及び図30に示すように、環状充填室14bの底部から軸受12に向かって立ち上がる1枚の壁部であり、図29及び図30に示すように環状充填室14bの底面に対して垂直(ストレート状)に形成されている。この第15実施形態には、第14実施形態と同様の効果がある。
図31は、この発明の第16実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図であり、図31(A)は平面図であり、図31(B)は図31(A)のXXXI-XXXIB線で切断した状態を示す断面図である。
図31に示す排出部26は、環状充填室14b側に形成されており、ガイド部28は軸受12に向かって立ち上がる溝部である。排出部26は、環状充填室14bの外側内周部を切欠くように、環状充填室14bの周方向に間隔をあけて配置されており、図31(B)に示すように軸受12の外輪12cと保持器12bとの間の間隙部S12に向かって未劣化のグリースGNを排出する。排出部26は、例えば、図31(A)に示すように、環状充填室14bの外側内周部に4個配置されており、軸受蓋14の中心軸から等距離に配置されている。排出部26は、図31(B)に示すように、軸受12から離れる方向に可動板20が移動したときに、可動板20の背面と環状充填室14bの底面との間で加圧された未劣化のグリースGNを軸受12に向かって二点鎖線で示すように排出する。この第16実施形態では、第1実施形態〜第13実施形態のような可動板20に排出部26が形成されている構造とは異なり、環状充填室14bに排出部26が形成されている。このため、可動板20に排出部26を形成するための加工が不要になり、環状充填室14bに排出部26を機械加工などによって簡単に短時間で形成することができる。
図32は、この発明の第17実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図であり、図32(A)は平面図であり、図32(B)は図32(A)のXXXII-XXXIIB線で切断した状態を示す断面図である。
図32に示す排出部26は、環状充填室14bの内側外周部を切欠くように形成された溝部であり、この環状充填室14bの周方向に間隔をあけて配置されている。排出部26は、図32(B)に示すように、軸受12の内輪12dと保持器12bとの間の間隙部S11に向かって未劣化のグリースGNを二点鎖線で示すように排出する。排出部26は、例えば、図32(A)に示すように、環状充填室14bの内側外周部に4個配置されており、軸受蓋14の中心軸から等距離に配置されている。この第17実施形態には、第16実施形態と同様の効果がある。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、半固体状潤滑剤としてグリースGを例に挙げて説明したがグリースGに限定するものではなく、使用温度で半固体状であるギヤコンパウンド、ペトロラタム(ワセリン)などの他の半固体状潤滑剤についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、鉄道車両の主電動機のシャフト1を支持する軸受12,13を例に挙げて説明したがこれに限定するものではなく、発電所のタービンなどのシャフトを支持する軸受などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、軸受12,13が玉軸受又はころ軸受である場合を例に挙げて説明したが、他の形式の転がり軸受についてもこの発明を適用することができる。特に、鉄道車両の主電動機の軸受に限らず、長時間にわたり非解体で使用されグリースGによって潤滑される転がり軸受について、この発明を適用することができる。
2 電動機枠体
12,13 軸受
12a,13a 転動体
12b,13b 保持器
12c,13c 外輪
12d,13d 内輪
14〜17 軸受蓋
14a,15a 充填室
14b,15b 環状充填室
14c,15c 外側充填室
16e 供給口
18 潤滑構造
19 入替部
20 可動板
21 保持部
21a 挟み込み部
22 延長部
23 補強部
24 駆動部
25 送りねじ機構部
26 排出部
27 流入口
28 ガイド部
29 排出口
30 誘導部
G グリース
S11,S12 間隙部
GO 劣化後のグリース
GN 未劣化のグリース
Claims (18)
- 半固体状潤滑剤によって軸受を潤滑する軸受の潤滑構造であって、
前記半固体状潤滑剤が充填される充填室内で劣化後の半固体状潤滑剤と未劣化の半固体状潤滑剤とを入れ替える入替部を備え、
前記入替部は、
前記充填室内で移動することによって前記軸受に近い側の前記劣化後の半固体状潤滑剤をこの軸受から離れる方向に移動させる可動板と、
前記可動板が前記軸受から離れる方向に移動したときに、この軸受から遠い側の前記未劣化の半固体状潤滑剤をこの軸受に向かって排出する排出部とを備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記可動板と前記充填室との間で加圧された前記未劣化の半固体状潤滑剤を排出すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記未劣化の半固体状潤滑剤が前記軸受に向かって移動するようにこの未劣化の半固体状潤滑剤をガイドするガイド部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項3に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記可動板側及び/又は前記充填室側に形成されており、
前記ガイド部は、前記軸受に向かって立ち上がる壁部又は溝部であること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項3又は請求項4に記載の軸受の潤滑構造において、
前記ガイド部は、前記未劣化の半固体状潤滑剤の移動方向と直交する平面で切断したときの断面形状が長円形、円形、多角形、三角形、楕円形又はこれらの組み合わせであること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記ガイド部の内面は、平面状、曲面状、両テーパ状、片テーパ状又はこれらの組み合わせであること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記ガイド部に向かって前記未劣化の半固体状潤滑剤を誘導する誘導部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項7に記載の軸受の潤滑構造において、
前記誘導部は、前記未劣化の半固体状潤滑剤と接触する側の前記可動板の表面と前記ガイド部の内面とが交差する部分に形成された面取りであること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記軸受と対向する位置に前記未劣化の半固体状潤滑剤を排出する排出口を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項9に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出口は、前記軸受の保持器と内輪との間の間隙部及び/又は前記軸受の保持器と外輪との間の間隙部に前記未劣化の半固体状潤滑剤を排出すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記可動板の周方向に間隔をあけて又は前記可動板の周方向に連続して配置されていること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項11に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記可動板の内周部及び/又は前記可動板の外周部に配置されていること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記可動板の幅方向の中央部に配置されていること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記排出部は、前記充填室側に形成されており、前記可動板が前記軸受から離れる方向に移動するときにこの可動板を移動自在にガイドすること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記入替部は、前記可動板を駆動する駆動部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項15に記載の軸受の潤滑構造において、
前記駆動部は、回転駆動することによって前記可動板を駆動する送りねじ機構部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記入替部は、前記劣化後の半固体状潤滑剤を前記可動板に保持させる保持部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。 - 請求項17に記載の軸受の潤滑構造において、
前記保持部は、前記劣化後の半固体状潤滑剤を挟み込む挟み込み部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
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