JP4915987B2 - 回転軸に超音波振動を発生させる装置 - Google Patents
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Description
このため、各種の超音波発生技術が提案されている。
例えば、特許文献1として挙げた特開2003−145395号公報に記載された技術は、電歪素子から成る超音波振動子を回転軸に装着して超音波振動を発生させている。
また、特許文献2として挙げた特開2005−210863号公報に記載された技術は、固定的に設置された永久磁石と、回転軸に取り付けた永久磁石との間の磁力によって超音波振動を発生させている。
上述した特開2003−145395号公報の発明によると加工精度が向上し、かつ、組立工数が削減されたと報告されている。
(イ).電歪素子の耐久性が良くないので、しばしば電歪素子を交換しなければならない。このため交換部品のコストが高い上に、手数が掛かり、機械装置の稼働率を低下させている。
さらに、電歪素子に電気エネルギーを供給するためにブラシを用いなければならないのでメンティナンス性が良くない。
その上、振幅の制御が可能ではあるが容易でないという問題も有る。
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、
非接触で超音波駆動することができて、ブラシで給電する必要が無く、耐久性、制御性、およびメンテナンス性に優れた超音波振動発生技術を提供するにある。
回転軸7の中央部に、振動の節に相当する箇所付近に位置せしめて、磁性体からなるフランジ10が固着されている(振動の節付近に代えて、振動の腹付近に位置せしめても良い。また、節と腹との中間であっても良い)。
上記磁性体フランジ10の片方の側に電磁石11を、他方の側に電磁石12を、それぞれ配置する。
超音波振動発振回路Sで発振させた超音波サイクルの交流を、前記電磁石11と電磁石12とに交互に印加すると、磁性体フランジ10が超音波振動し、回転軸7が超音波振動する。
前記回転軸7は、その振動の節に相当する箇所をベアリングで支承する。上記の振動の節は理論的には点であるが、実際問題として点を支承することはできないので、本発明を実施する場合は節の近傍を支承すればよい。
(図1参照)回転軸(7)に軸心方向の超音波振動を発生させる装置において、
回転軸内における超音波の、縦波振動の波長をλとし、
回転軸の長さが3λ/2、またはλ+nλ/2(n=0以上の整数)であって、
両端からそれぞれλ/4、または(2n+1)λ/4の箇所をベアリングによって回転自在に支承されるとともに、
上記回転軸の振動の節に当たる、端から(2n+3)λ/2の箇所に、磁性体で構成されたフランジ(10)が固着されており、
かつ、上記磁性体フランジの片方側の面に対向離間させて電磁石(11)が設けられるとともに、該磁性体フランジの他方側の面に対向離間させて上記と異なる電磁石(12)が設けられていることを特徴とする。
(図3参照)回転軸(7)に超音波振動を発生させる装置において、
回転軸内における超音波の、縦波振動の波長をλとし、
回転軸の長さが3λ/2、またはλ+nλ/2(n=0以上の整数)であって、
振動の腹に当たる、両端からそれぞれλ/4の箇所、または(2n+1)λ/4の箇所をベアリング(9)によって回転自在に支承されるとともに、
該回転軸の両端からλ/2の箇所、または両端から(n+1)λ/2の箇所それぞれに、磁性体で構成されたフランジが固着されており、
かつ、上記の磁性体フランジの内、いずれか片方の磁性体フランジ(10C)に対向離間させて電磁石(11)が設けられるとともに、他方の磁性体フランジ(10E)に対向離間させて上記と異なる電磁石(12)が設けられていることを特徴とする。
前記片方の電磁石(11)と他方の電磁石(12)とが、それぞれ複数個設けられていて、
前記回転軸(7)と同心の仮想の円に沿って配列され、または該回転軸に関して対称に配列されていることを特徴とする。
(図2参照)前記回転軸(7)に固着されたリング状のフランジ(15a)と、前記ベアリング(9)の内側に嵌合するインナレース受(15b)とを一体に連設されたアダプタ(15)が設けられており、
かつ、前記回転軸(7)を回転させる駆動モータ(16)が、カップリング(14)を介して上記アダプタ(15)に連結されていることを特徴とする。
ベアリング及び磁性体フランジが「振動の節」に相当する箇所に設けられているので、ベアリングや磁性体フランジがほとんど振動しない。
ベアリングが振動しないので可聴周波数の騒音を発生せず、かつベアリングが振動によって早期に損耗する虞れが無い。
磁性体フランジの振幅が小さいので、電磁石との相対的な位置を正確に調節し易く、調整状態が狂わない。
さらに、磁性体フランジの振幅が小さいので、超音波エネルギーが該磁性体フランジから空中へ逃げることが無い。
ベアリングが振動しないので可聴周波数の騒音を発生せず、かつベアリングが振動によって早期に損耗する虞れが無い。
さらに2個の磁性体フランジが、それぞれ振動の腹に相当する箇所に設置されているので、電磁石の力が有効に振動に変換され、エネルギー効率が高い。
電磁石が円に沿って配列され、または対称に配列されているので、回転軸に対して余分な力を及ぼすことなく、回転軸に対してロス無く軸心方向の超音波振動を発生させることができる。
回転軸7の長さは3λ/2に設定されている。ここにλは、発生させる超音波が回転軸内を縦波として進行する場合の『伝播速度/周波数』である。すなわち、回転軸7の弾性的長さが3λ/2である。
このため、回転軸7は超音波に対して3λ/2で共振し、その波形はカーブWで示すごとくである。
回転軸7の両端それぞれからλ/4の箇所B,Fは振動の節に相当する。この箇所をベアリング9で回転自在に支承する。振動の節は、局部的に静止していると見做すことができるので、ベアリング9に対して振動が伝わらない。
これにより、
イ.ベアリングの耐久性に悪影響を及ぼさず、騒音を発生しない。
ロ.超音波振動がベアリング9へ逃げない。このため、発生させた超音波エネルギーが減 衰せず、有効に利用することができる。
上記のベアリング9で回転軸7を支承した箇所の、鎖線楕円で囲んで示した付近の詳細な構造は、図2を参照して後に詳しく説明する。
回転軸7の長さが3λ/2であるから、その中央部Dは振動の節に当たる。
本発明における磁性体製のフランジ10は、振動の節もしくは腹に設置される。この図1に描かれている第1の実施形態では振動の節に設置した。後に説明する図2に示した第2の実施形態においては振動の腹に設置される。
上記電磁石11,12を超音波振動発振回路Sに接続して、超音波サイクルの電流を供給すると、該電磁石が交互に超音波サイクルの間欠的な磁気吸引力を発生する。この力が回転軸7に与えられて、該回転軸が超音波振動する。
前記磁性体フランジ10自体が顕在的な振動をしないことは、周囲の空気に超音波振動を伝達しにくいという長所も有る。
超音波は不可聴であるが、サイクルによっては不快感を催したりするので、空気の伝わらない方が好ましい。さらに、僅少ではあるが、超音波エネルギーが周囲の空気中へ逃げないことも、この第1の実施形態(請求項1に対応)の長所である。
複数個の最少限は2個であるが、3個、4個というように多いほど望ましい。
上記複数個の電磁石電磁石11、同12は、それぞれ回転軸7の軸心Xと同心の円に沿って配列される。
これにより、該複数個の電磁石の力がバランスし、純粋なX軸方向の合力を形成して、純粋にX軸方向の超音波振動を発生することができる。
同様の理由により、前記複数個の電磁石を同心円に沿わせて配列する代りに、軸心Xに関して対称に配列しても良く、これによっても同様の作用効果(電磁力のバランス)が得られる。
而して本発明においては、前記の電磁石電磁石11、同12を回転軸7の軸心と同心に配列し、または軸心に関して対称に配列するという簡単な構成で、この課題を完全に解決したものである。
上述の構成・作用を考察すると、電磁石の設置個数が多数である場合、必ずしも1個の円に沿わせて配列しなくても、複数個の円に沿わせて分散配置することも可能であり、同様の作用効果が得られる。
振動の腹である点Gに砥石8を装着して、この回転軸7を回転駆動すると、該砥石8は円周方向に回転しながら軸心方向に超音波振動して、良好な仕上げ面あらさを得ることができる。
上述のごとく軸心方向に超音波振動している回転軸7に対して、軸心周りの回転を駆動するには、以下に述べるような工夫が必要である。
符号15を付して示したのはアダプタであって、次のように構成されている。
振動の節Bに位置せしめて幅狭リング状のフランジ15aが配置され、回転軸7に固着されている。該フランジ15aの外周側に、インナレース受15bが一体に連設されている。
そこで本実施形態においては、X軸方向の幅をゼロと見做し得る程度に薄いフランジ15aを回転軸7に固着するとともに、
軸心X方向に寸法Wの幅を有するインナレース受15bによって、ベアリング9のインナレースを安定的に支承した。
カップリング14は、X軸に同心の円盤状ディスク14aに、X軸方向のドライブバー14bの複数個を植設してある。
上記ドライブバー14bの先端を、アダプタ15のインナレース受15bに対して摺動可能に嵌合させてある。
図1の磁性体フランジ10は、回転軸に関する超音波振動の節Dに配置されていたが、
図3における磁性体フランジは、超音波振動の腹に当たる2箇所C、Eに1枚ずつ配置されている。
これらの磁性体フランジは、図1における磁性体フランジ10と類似の部材であるが、説明の便宜上、振動の腹Cに位置する磁性体フランジに符号10Cを付し、振動の腹Eに位置する磁性体フランジに符号10Eを付して区別する。
本例では磁性体フランジ10Cの内側に電磁石11を配置するととももに、磁性体フランジ10Eの内側に電磁石12を配置してある。
図示を省略するが、2枚の磁性体フランジ10C、同10Eの外側に電磁石電磁石11、同12を配置しても良い。
A.振動の節に当たる箇所が、ベアリングで回転自在に支承されている。
B.振動の節または腹に当たる箇所に、磁性体フランジが固着されている。
C.回転軸の両端が、振動の腹になっている(ただし、これは弾性柱の振動の原則であっ て、意図的に成立させた現象ではない)。
上記の条件を成立させるため、前掲の図1の実施形態(請求項1に対応)、及び図2の実施形態(請求項2に対応)は、いずれも回転軸の長さを3λ/2に設定してある。
これらを総括すると、回転軸の弾性的長さLは、
L=λ+nλ/2………………………(1)
で表される。ただし、Nは0以上の整数である。
L=λ(n+2)/2…………………(2)
と変形することもできる。
第1の実施形態及び第2の実施形態における回転軸7の、L=3λ/2という長さは、前記の式(1)または式(2)にn=1を代入したときの数値である。
前記の式(1)及び式(2)は、超音波領域に限らず可聴周波数領域にも適用し得る。
従って、本発明は可聴周波数領域の振動を発生させることもでき、可聴周波数領域の振動を発生させることも本発明の応用例として技術的範囲に属するものである。
回転軸の長さをnλ/2+λに設定した場合、アダプタ15およびベアリング9で回転軸7を支承する箇所は、振動の節の位置すなわち両端からλ/4、または(2n+1)λ/4の箇所となる。しかし、通常の場合、両端に最も近い節であるλ/4を支承することが望ましい。
磁性体フランジ10を設置する箇所(振動の節)が無い。
従って、この第1の実施形態における回転軸7の長さは3λ/2以上に設定しなければならない。
すなわち、nλ/2+λのnを2以上としたとき、
磁性体フランジ10を設置する箇所(振動の節)は、両端からλ/2の整数倍の箇所になる。
この場合、3枚またはそれ以上の磁性体フランジを設け得るようになる。しかし、必ずしも磁性体フランジの枚数を増やさなくても構わない。
また、回転軸の長さを図1の実施形態よりも延長すると、振動の節の数が増える(nの数だけ振動の節が現れる)ので、望むならばベアリングによる支承箇所の数を増やすこともできる。
3箇所以上をベアリングで支承しても本発明の技術的範囲に属する。しかし、必ずしもベアリングの数を増やさなくても良い。
磁性体フランジ10を設置する箇所(振動の節)は、両端からλ/2の箇所、すなわち回転軸の中央になる。
このため、与えられた一定の超音波振動数において、回転軸をできるだけ短く構成したい場合は、図1の実施形態(請求項1に対応)よりも図2の実施形態(請求項2に対応)の方が有利である。
磁性体フランジ10を設置する箇所(振動の節)は、両端からλ/2の整数倍の箇所になる(nの数だけ振動の節が現れる)。従って、磁性体フランジの設置個数を3個もしくはそれ以上とすることもできる。
磁性体フランジの設置個数を3個以上とした場合、それぞれの磁性体フランジに対向離間させて電磁石を設置する。
3b…本体スリーブ
4…超音波振動子
6…支持ホーン
6d…緩衝スリーブ
6e…周囲接フランジ
6f…軸接フランジ
6g…緩衝溝
7…回転軸
8…砥石
9…ベアリング
10…磁性体フランジ
10C…磁性体フランジ
10E…磁性体フランジ
11…電磁石
12…電磁石
14…カップリング
14a…ディスク
14b…ドライブバー
15…アダプタ
15a…フランジ
15b…インナレース受
16…駆動モータ16
A…回転軸の超音波振動の腹
B…回転軸の超音波振動の節
C…回転軸の超音波振動の腹
D…回転軸の超音波振動の節
E…回転軸の超音波振動の腹
F…回転軸の超音波振動の節
G…回転軸の超音波振動の腹
M…モータ
S…超音波振動発振回路
W…ベアリングの幅寸法
X…回転軸の軸心
Claims (4)
- 回転軸に超音波振動を発生させる装置において、
回転軸内における超音波の、縦波振動の波長をλとし、
回転軸の長さがλ+nλ/2(n=1以上の奇数)であって、
両端からそれぞれλ/4の箇所またはnλ/4の箇所をベアリングによって回転自在に支承されるとともに、
上記回転軸の両端から3λ/4の箇所付近または両端から(n+2)λ/4の箇所付近に、磁性体で構成されたフランジが固着されており、
かつ、上記磁性体フランジの片方側の面に対向離間させて電磁石が設けられるとともに、磁性体フランジの他方側の面に対向離間させて上記と異なる電磁石が設けられ、
上記電磁石に超音波サイクルの間欠的な磁気吸引力を発生させ、上記フランジを振動させる超音波振動発振回路が設けられていることを特徴とする、回転軸に超音波振動を発生させる装置。 - 回転軸に超音波振動を発生させる装置において、
回転軸内における超音波の、縦波振動の波長をλとし、
回転軸の長さがλ+nλ/2(n=0以上の整数)であって、
n=1以上の奇数の場合、両端からそれぞれλ/4の箇所またはnλ/4の箇所をベアリングによって回転自在に支承されるとともに、該回転軸の両端からλ/2の箇所付近または両端から(n+1)λ/4の箇所付近それぞれに、磁性体で構成されたフランジが固着され、
n=0または2以上の偶数の場合、両端からそれぞれλ/4の箇所または(n+1)λ/4の箇所をベアリングによって回転自在に支承されるとともに、該回転軸の両端からλ/2の箇所付近または両端から(n+2)λ/4の箇所付近それぞれに、磁性体で構成されたフランジが固着されており、
かつ、上記の磁性体フランジの内、いずれか片方の磁性体フランジに対向離間させて電磁石が設けられるとともに、他方の磁性体フランジに対向離間させて上記と異なる電磁石が設けられ、
上記電磁石に超音波サイクルの間欠的な磁気吸引力を発生させ、上記フランジを振動させる超音波振動発振回路が設けられていることを特徴とする、回転軸に超音波振動を発生させる装置。 - 前記片方の電磁石と他方の電磁石とが、それぞれ複数個設けられていて、
前記回転軸と同心の円に沿って配列され、または該回転軸に関して対称に配列されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載した回転軸に超音波振動を発生させる装置。 - 前記回転軸に固着され、かつ、前記ベアリングの内側に嵌合するインナレース受とを一体に連設されたアダプタが設けられており、
かつ、前記回転軸を回転させる駆動モータが、カップリングを介して上記アダプタに連結されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載した回転軸に超音波振動を発生させる装置。
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