JP4914684B2 - 蛍光観察方法および蛍光観察装置 - Google Patents
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Description
このレーザ顕微鏡は、細胞に遺伝子発現させる蛍光物質として、例えば、GFP(緑色の蛍光を発するタンパク:GREEN FLUORESCENT
PROTEIN)等の蛍光タンパクを投与し、GFPの励起効率が最大となる波長(488nm)のレーザ光を照射して、発生する蛍光を検出し観察することとしている。
このようにすることで、GFPから最大限の蛍光を発生させることができ、明るい観察画像を得ることができるという利点がある。
特に、励起光の励起効率が最大となる波長でGFPを励起する場合には、GFPに最大限のエネルギが吸収されることとなるため、GFPが早期に褪色してしまうという不都合もある。
本発明は、励起により発せられる蛍光の波長帯域に励起光の励起効率が最大となる波長を含む蛍光物質と、励起光の波長を含む所定の波長帯域の光の通過を遮断する励起光カットフィルタとを使用し、励起効率が最大となる波長よりも短波長側の波長の励起光であって、前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量が、励起効率が最大となる波長の励起光を照射したときに前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量以上となり、かつ、励起効率が最大となる波長から短波長側に向かって、前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量が極大となる波長以下の波長の励起光を照射し、該励起光により前記蛍光物質が励起されることにより発生し前記励起光カットフィルタを通過した蛍光を観察する蛍光観察方法を提供する。
また、その上で、全体として観察に供される蛍光量を増加させる励起波長に設定されているので、励起効率が最大となる波長の励起光を照射して得られる観察用の蛍光画像と同等以上の明るさの蛍光画像を取得することができる。
また、励起波長を励起効率が最大となる波長から短波長側にずらしていくと、励起光カットフィルタを通過する蛍光量が増加していき、ある励起波長で極大値をとり、さらに短波長側に向かうに従って低下していく。その結果、同じ蛍光量を観察に供し得る2つの励起波長が存在するので、より短波長側の励起光を選択することにより、蛍光物質の褪色をより効果的に防止することができる。
本実施形態に係る蛍光観察装置1は、レーザ顕微鏡であって、レーザ光を出射するレーザ光源(励起光源)2と、該レーザ光源2から発せられたレーザ光を走査するスキャナ3と、該スキャナ3により走査されたレーザ光を標本Aに集光する一方、標本Aに含まれる蛍光物質が励起されることにより発生した蛍光を集光する対物レンズ4と、対物レンズ4により集光された蛍光を通過させ、標本Aにおいて反射して戻るレーザ光を遮断する励起光カットフィルタ5と、該励起光カットフィルタ5を通過した蛍光を検出する光検出器6とを備えている。
前記スキャナ3は、例えば、ガルバノミラーであって、レーザ光を標本A上において2次元的に走査することができるようになっている。
PROTEIN)が用いられる。ここでは、特に、GFPに着目する。
励起波長488nmでGFPを励起して、発生した蛍光全てを検出することができれば、最も明るい蛍光画像を効率よく取得することができる。しかしながら、波長488nmのレーザ光を使用する場合には、488nm+17nmまでの波長帯域の蛍光がレーザ光とともに遮断されるため、488+17=505nm以下の波長帯域の蛍光は検出されることなく廃棄される。
図3によれば、励起波長を488nmから短波長側にシフトしていくと、GFPの励起効率は単純に低下していくが、励起光カットフィルタ5を通過する蛍光量は一旦増加しその後減少していく。
したがって、この波長帯域B内に配される励起波長のレーザ光を使用することにより、励起効率が最大となる波長488nmを使用する場合よりも明るい蛍光画像を取得することができる。しかも、この波長帯域B内に配される励起波長のレーザ光を使用する場合には、波長488nmのレーザ光を使用した場合よりも励起効率が低いので、蛍光物質に吸収されるエネルギが少なく、蛍光物質が早期に退職してしまう不都合の発生を防止することができるという利点がある。
すなわち、本実施形態に係る蛍光観察装置1を用いた蛍光観察方法によれば、上記極大値Cよりも短波長側の励起波長473nmのレーザ光を照射するので、励起波長488nmのレーザ光を照射する場合よりも十分に明るい蛍光画像を取得することができるとともに、GFPの早期褪色を効果的に防止することができるという利点がある。
しかしながら、図6に示されるように、559nmの方が、543nmの場合よりも蛍光効率が高く、かつ、GFPの蛍光をより高い波長範囲まで取得できるので、明るい画像を取得することができる点で好ましい。
また、蛍光物質としてGFPを例示して説明したが、これに代えて、励起波長が蛍光波長に近接しあるいは含まれる任意の蛍光物質に適用してもよい。
1 蛍光観察装置
2A,2B レーザ光源(励起光源)
5 励起光カットフィルタ
6 光検出器
Claims (3)
- 励起により発せられる蛍光の波長帯域に励起光の励起効率が最大となる波長を含む蛍光物質と、励起光の波長を含む所定の波長帯域の光の通過を遮断する励起光カットフィルタとを使用し、
励起効率が最大となる波長よりも短波長側の波長の励起光であって、前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量が、励起効率が最大となる波長の励起光を照射したときに前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量以上となり、かつ、励起効率が最大となる波長から短波長側に向かって、前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量が極大となる波長以下の波長の励起光を照射し、
該励起光により前記蛍光物質が励起されることにより発生し前記励起光カットフィルタを通過した蛍光を観察する蛍光観察方法。 - 前記蛍光物質は、励起光の励起効率が最大となる波長が488nmであるGFPであり、
前記励起光の波長が、約473nmであり、
前記励起光カットフィルタが、励起光の波長に対して長波長側に、15nm〜20nmの帯域幅の遮断帯域を備える請求項1に記載の蛍光観察方法。 - 標本に向けて照射する励起光を出射する励起光源と、
該励起光源から出射された励起光が標本に照射されることにより、標本内の蛍光物質が励起されて発生する蛍光を検出する光検出器と、
前記標本と前記光検出器との間に配置され、前記励起光の波長を含む所定の波長帯域の光の通過を遮断する励起光カットフィルタとを備え、
前記励起光源は、励起効率が最大となる波長よりも短波長側の波長の励起光であって、前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量が、励起効率が最大となる波長の励起光を照射したときに前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量以上となり、かつ、励起効率が最大となる波長から短波長側に向かって、前記励起光カットフィルタを通過する蛍光量が極大となる波長以下の波長の励起光を出射する蛍光観察装置。
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