JP4914041B2 - ガリック酸からの2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の製造方法とこれに使用するガリック酸から2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドならびにガリック酸からの2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の生産能を具備した形質転換細胞 - Google Patents
ガリック酸からの2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の製造方法とこれに使用するガリック酸から2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドならびにガリック酸からの2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の生産能を具備した形質転換細胞 Download PDFInfo
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しかしながら、リグニンの酸化分解によるバニリン酸、シリンガ酸の収量はきわめて低く、したがってリグニンという木質原料の効率的利用を実現できないばかりかコスト上も問題がある。
acid)がタンニンやカテキンとの複合体として多量に存在しているが、その効果的な利用は実現していない。 すなわち、例えば茶葉、発酵茶葉中にもカテキンとの複合体として存在しており、その量は乾燥茶葉中の約10%を占めるとされている。
この成分は茶を煎じることにより約30%が可溶化して飲用されるが残りの70%はそのまま廃棄されてしまうのが現状である。しかし、この残りの70%からガリック酸を取り出すことは容易である。したがって、ガリック酸を有用物質に変換できれば、これまでガリック酸を多量に有しながら有効利用されていない植物系材を新たなバイオマス資源として利用することができる。しかしながら、これまでのところガリック酸から工業原料となりえるPDCを安定的に高生産する技術は実現していない。
イ:いずれもSphingomonas paucimobilis SYK-6株に由来する遺伝子すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ遺伝子と4,5-ジオキシゲナーゼ遺伝子の連結プラスミドを作成する工程、
ロ:前記連結プラスミドを広い宿主域を有するプラスミドへ挿入してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドを得る工程、
ハ:前記組み換えプラスミドを宿主微生物に導入して4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼと4,5-ジオキシゲナーゼを同調的に発現してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産することが出来る形質転換細胞を得る工程、
ニ:前記形質転換細胞を培養して得られた培養物により、ガリック酸を4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸に変換し、この4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸をさらに2−ピロン-4,6−ジカルボン酸に変換させる工程を具え、前記工程ハにおける宿主微生物は、ガリック酸の細胞内取り込み可能であるがガリック酸の分解能を有しないPseudomonas属細菌であるPseudomonas putida PpY1100で構成してなる2−ピロン-4,6−ジカルボン酸の製造方法である。
イ:いずれもSphingomonas paucimobilis SYK-6株に由来する遺伝子すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ遺伝子と4,5-ジオキシゲナーゼ遺伝子の連結プラスミドを作成する工程、
ロ:前記連結プラスミドを広い宿主域を有するプラスミドへ挿入してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドを得る工程、
ハ:前記組み換えプラスミドを宿主微生物に導入して前記遺伝子に係る4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼと前記遺伝子に係る4,5-ジオキシゲナーゼを同調的に発現してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産することが出来る形質転換細胞を得る工程、
ニ:前記形質転換細胞を培養して得られた培養物により、ガリック酸を4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸に変換し、この4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸をさらに2−ピロン-4,6−ジカルボン酸に変換させる工程を具えてなり、4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼをコードする遺伝子は4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼの生産能を有するSphingomonas paucimobilis SYK-6株の菌株を用いて組み換えDNA技術により取得するようになすとともに、前記工程ハにおける宿主微生物は、ガリック酸の細胞内取り込み可能であるがガリック酸の分解能を有しないPseudomonas属細菌であるPseudomonas putida PpY1100で構成したことを特徴とする2−ピロン-4,6−ジカルボン酸の製造方法を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ酵素活性を有するタンパク質である。
これらのうち、4,5-ジオキシゲナーゼおよび3,4-ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子は公知でありすでに遺伝子も取得されている。
ことが出来る。
すなわちDNA供与体として4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼを生産する能力を有する微生物を用い、該微生物からゲノムDNAを抽出し、制限酵素などにより切断しDNA断片を作成する。
他方、ファージ、プラスミド等のベクターDNAを制限酵素等を用いて、ゲノム断片が挿入可能な制限酵素末端を作成する。これらゲノムDNA断片と直鎖上にしたベクターDNAをDNAリガーゼを用いて結合させ組み換えベクターを得る。
該組み換えベクターを宿主細胞に移入し、目的の組み換えベクターを保持する形質転換細胞を選択し、該形質転換細胞より目的の組み換えベクターを分離することにより製造される。
該遺伝子の分離のDNA供与体としては、4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸を2-ピロン-4,6-ジカルボン酸に変換する4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼを生産する能力を有する微生物であれば特に制限されない。
Molecular Cloning Second Edition (1989))を用いることが出来る。
抽出される組み換えベクターは、必要に応じて再びDNA技術を利用して組みかえることが出来る。得られる組み換えベクターから、本発明遺伝子に含まれる4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼをコードする遺伝子(chmc遺伝子)を切り出すには制限酵素等を用いることが出来る。
配列表の配列番号1に、4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼをコードする遺伝子の塩基配列を、また、配列表の配列番号2に4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列を示す。
まず、以下により4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼをコードする遺伝子chmcを取得した。
すなわち、Sphingomonas paucimobilis SYK-6株のゲノムライブラリーから4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼをコードする遺伝子chmcを単離した。そのDNA配列は配列表の配列番号1に示される。
そして、この遺伝子から生産される4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼにより4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸は速やかに2-ピロン-4,6-ジカルボン酸へと変換される。
Sphingomonas paucimobilis SYK-6株のゲノムライブラリーから単離したchmsをpBluescriptのマルチクローニングサイトに連結したpBchmcを作成した(図1参照)。4,5-ジオキシゲナーゼ酵素をコードするligA,
ligBをマルチクローニングサイト上に保持したプラスミドpUCligAB から制限酵素XbaI 消化により得られるligA-ligB 断片をpBchmc のXbaIサイトに挿入し、pBchmcligABを作成した(図1参照)。
Fragment(TAKARA co.LTD)により平滑化し、更に制限酵素KpnI消化により、Lac promotorを含むchmc-ligA-ligB断片を得た。
さらに、高範囲宿主ベクターpKT230MCを制限酵素EcoRIにより消化し、Klenow Fragmentによる切断部位の平滑化後、制限酵素KpnIにより切断した遺伝子断片とLac promotorを含むchmc-ligA-ligB断片をligase(TOYOBO)によりligationし、pKchmcligABを得た(図2)。
得られたpKchmcligABは大腸菌DH5α株に導入し、さらに三親接合伝達法
によりpKchmcligABをPseudomonas putida PpY1100株に導入した。得られた菌体をPseudomonas putida PpY1100(pKchmcligAB)株と名付けた。
Pseudomonas putida PpY1100 (pKchmcligAB)株を、200mlのLB液体培地(25mg/Lのカナマイシンを含む)に接種し28℃で16時間培養し前培養菌体懸濁液とした。
8LのLB液体培地および消泡剤(Antiform A )3mlを10L容量のジャーファーメンター(発酵槽)を用いて調製し、そこに培養したPseudomonas
putida PpY1100 (pKchmcligAB)株の前培養菌体懸濁液200mlを混合し、28℃、500rpm/minの通気攪拌下、OD660=13~14まで培養した(10時間?12時間)。なお、この培養に伴う増殖曲線を図3に示した。
反応の進行に伴う2?ピロン-4,6?ジカルボン酸の生成により、培養液のpHが低下する。それを防ぐためpHセンサーに連結したペリスタポンプで0.1N のNaOH溶液を添加して培養液のpHを維持した。
次いで、培養液から遠心分離(6000rpm, 20℃)により菌体成分を沈殿除去し、得られた上清に塩酸を加える事によりpH1.0に低下させ低温で保存する事により2−ピロン-4,6−ジカルボン酸を沈殿として分離した。 生成した2−ピロン-4,6−ジカルボン酸は約65gに達し、添加した基質比90%程度の収率で生産されたことになる。
Claims (5)
- イ:いずれもSphingomonas paucimobilis SYK-6株に由来する遺伝子すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ遺伝子と4,5-ジオキシゲナーゼ遺伝子の連結プラスミドを作成する工程、
ロ:前記連結プラスミドを広い宿主域を有するプラスミドへ挿入してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドを得る工程、
ハ:前記組み換えプラスミドを宿主微生物に導入して4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼと4,5-ジオキシゲナーゼを同調的に発現してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産することが出来る形質転換細胞を得る工程、
ニ:前記形質転換細胞を培養して得られた培養物により、ガリック酸を4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸に変換し、この4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸をさらに2−ピロン-4,6−ジカルボン酸に変換させる工程を具え、前記工程ハにおける宿主微生物は、ガリック酸の細胞内取り込み可能であるがガリック酸の分解能を有しないPseudomonas属細菌であるPseudomonas putida PpY1100で構成したことを特徴とする2−ピロン-4,6−ジカルボン酸の製造方法。 - イ:いずれもSphingomonas paucimobilis SYK-6株に由来する遺伝子すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ遺伝子と4,5-ジオキシゲナーゼ遺伝子の連結プラスミドを作成する工程、
ロ:前記連結プラスミドを広い宿主域を有するプラスミドへ挿入してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドを得る工程、
ハ:前記組み換えプラスミドを宿主微生物に導入して前記遺伝子に係る4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼと前記遺伝子に係る4,5-ジオキシゲナーゼを同調的に発現してガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産することが出来る形質転換細胞を得る工程、
ニ:前記形質転換細胞を培養して得られた培養物により、ガリック酸を4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸に変換し、この4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸をさらに2−ピロン-4,6−ジカルボン酸に変換させる工程を具えてなり、4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼをコードする遺伝子は4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼの生産能を有するSphingomonas paucimobilis SYK-6株の菌株を用いて組み換えDNA技術により取得するようになすとともに、前記工程ハにおける宿主微生物は、ガリック酸の細胞内取り込み可能であるがガリック酸の分解能を有しないPseudomonas属細菌であるPseudomonas putida PpY1100で構成したことを特徴とする2−ピロン-4,6−ジカルボン酸の製造方法。 - いずれもSphingomonas paucimobilis SYK-6株に由来する遺伝子すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ遺伝子と4,5-ジオキシゲナーゼ遺伝子の連結プラスミドを広い宿主域を有するプラスミドへ挿入してなるガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドの微生物への導入により前記遺伝子に係る4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼと前記遺伝子に係る4,5-ジオキシゲナーゼが同調的に発現してガリック酸からの2-ピロン-4,6-ジカルボン酸の生産能を具備した形質転換細胞であって、前記微生物はガリック酸の細胞内取り込み可能であるがガリック酸の分解能を有しないPseudomonas属細菌であるPseudomonas putida PpY1100で構成したことを特徴とする形質転換細胞。
- 請求項3記載の形質転換細胞において、前記組み換えプラスミドは、βラクタマーゼ遺伝子プロモーター及びLacプロモーター下流にガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を発酵生産するための多段反応プロセスを構成する酵素をコードした遺伝子配列を含むことを特徴とする形質転換細胞。
- いずれもSphingomonas paucimobilis SYK-6株に由来する遺伝子すなわち4-カルボキシ-2-ヒドロキシムコン酸シクロラーゼ遺伝子と4,5-ジオキシゲナーゼ遺伝子の連結プラスミドを広い宿主域を有するプラスミドへ挿入してなるガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を生産する組み換えプラスミドであって、この組み換えプラスミドはβラクタマーゼ遺伝子プロモーター及びLacプロモーター下流にガリック酸から2-ピロン-4,6-ジカルボン酸を発酵生産するための多段反応プロセスを構成する酵素をコードした遺伝子配列を含むことを特徴とする組み換えプラスミド。
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