本発明は、複数の従業員の健康管理のためのコンピュータ技術に関する。
近年、社会人のいわゆる心の病が社会問題化しつつある。このため、会社や各種団体(以下、会社等)は、専属の産業医を配置したり、上司等が面談の機会を設けたり、定期的な講習会を実施する等して、従業員のメンタル面での健康管理に努めることが望ましい。
しかし、規模の大きな会社等では、産業医や上司等が管理する従業員が多すぎて、一人ひとりのメンタル面での健康状態を正確に把握することが困難な場合もある。そこで、コンピュータを利用して、従業員のメンタル面の健康管理を支援することが望まれる。
コンピュータを利用して従業員の健康を管理する健康管理システムとしては、例えば、特許文献1や特許文献2が知られている。これらは、いずれも、従業員の残業時間や休日出勤などの勤務の状況を基に、病の原因と考えられる過重労働(長時間勤務)が行われていないかどうかを確認し、その過重労働の有無を従業員の健康管理に利用するものである。これにより、健康に障害が出ることが予想される従業員は、早期に発見されるので、会社等は、その従業員に対して早期に対応措置をとることができる。
特開2003−256578号公報
特開2006−243969号公報
しかしながら、上述した健康管理システムでは、心の病を発症した従業員が発見されにくいという問題がある。なぜなら、一般に、心の病を発症した従業員は、遅刻、早退、及び休みが増加して、その勤務時間が減少するため、上記の健康管理システムでは、過重労働を行っている者に該当しなくなるからである(むしろ、表面的には、勤務状態が好転したように見えてしまう)。
特に、フレックスタイム制や裁量労働制が採用されている会社等では、従業員の勤務履歴(例えば、出勤時間や退勤時間)は、従業員によって異なるので、一層上司等は、心の病を発症している従業員を、発見しづらい。
そこで、本発明の目的は、心の病を発症している可能性の高い従業員を早期に発見できるようにすることである。
心の病を発症している従業員に特有の勤務パターンを定義した判定ルールデータを準備し、従業員の勤務履歴(例えば、出勤時刻、退勤時刻の履歴)を利用する。健康管理装置に、判定ルールデータ参照部、判定部及び出力部を備えることで、メンタルヘルス管理装置という新規な装置を構築する。判定ルールデータ参照部は、判定ルールデータを参照する。判定部は、従業員の勤務履歴が、判定ルールデータが示す一以上の判定ルールに適合するか否かを判定する。出力部は、判定操作において適合すると判定された勤務履歴に対応する従業員である適合従業員の従業員情報を出力する。
本発明の一つの実施態様では、メンタルヘルス管理装置が、ルール参照部と、発症チェック処理部と、出力部とを備える。ルール参照部は、ルールデータを参照する。発症チェック処理部は、従業員の勤務履歴が上記ルールデータが示すルールに適合したか否かを基に、心の病を発症している可能性の高い従業員である発症従業員を発見する発症チェック処理を実行する。出力部は、発症チェック処理において発見された発症従業員の従業員情報を出力する。
一つの実施態様では、ルールデータとしては、心の病を発症している従業員に特有の勤務パターンを定義した判定ルールデータがある。発症チェック処理部は、判定操作を実行する判定部を備えることができる。判定操作は、従業員の勤務履歴が、判定ルールデータが示す一以上の判定ルールに適合するか否かを判定する操作である。この場合、出力部は、判定操作において適合すると判定された勤務履歴に対応する従業員である適合従業員の従業員情報を、発症従業員の従業員情報として出力することができる。
一つの実施態様では、ルールデータとしては、除外ルールデータがある。除外ルールは、判定操作の結果(一以上の適合従業員)から除外する従業員と判定操作の参照対象から除外する従業員又は勤務履歴とのうちの少なくとも一方を定義したルールである。発症チェック処理部は、除外操作を行う除外部を有することができる。除外操作は、除外ルールに適合する従業員又は勤務履歴を判定操作の結果又は参照対象から除外する操作である。
一つの実施態様では、出力部は、適合従業員の従業員情報に関連付けられている他の従業員情報を特定し、該他の従業員情報から特定される出力先に、適合従業員の従業員情報を出力することができる。その出力先としては、例えば、電子メールアドレスとすることができる。
一つの実施態様では、判定ルールの各々には第一のスコアが付与されている。判定部が、勤務履歴に適合した全ての判定ルールの第一のスコアを用いて所定の計算を行うことで第二のスコア(例えば、適合した全ての判定ルールの第一のスコアの合計である合計スコア)を算出し、その第二のスコアが所定の閾値以上である場合に、その勤務履歴に対応する従業員を適合従業員とすることができる。
一つの実施態様では、出力部が、適合従業員の従業員情報に関連付けられている他の従業員情報を特定し、該他の従業員情報から特定される出力先に、適合従業員の従業員情報を出力するよう構成されており、第二のスコアに応じて、適合従業員の従業員情報の出力先を異ならせることができる。
一つの実施態様では、勤務履歴データには、その勤務履歴データに対応した従業員が使用するコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ)の稼動に関する時間(例えば、ログイン時刻からログアウト時刻までの時間、或いは、電源オン時刻から電源オフ時刻までの時間)である稼働時間を示す情報と、その従業員の出退勤時刻を示す情報とが含まれる。判定ルールの少なくとも一つに、出退勤時刻が示す在席時間長に対する稼働時間の比率の閾値に関する定義がある。判定部は、勤務履歴から特定される在席時間長に対する稼働時間の比率がその閾値以下の場合には、判定ルールにその勤務履歴が適合すると判定することができる。
一つの実施態様では、メンタルヘルス管理装置に、ルール更新部を備えることができる。ルール更新部は、ルールの新規作成、修正及び削除のうちの少なくとも一つを定期的に又は不定期的に実行することができる。
一つの実施態様では、メンタルヘルス管理装置に、問題有無受付部が更に備えられる。問題有無受付部は、各発症従業員について、実際に心の病を発症していたことを示す問題有り情報と実際には心の病を発症していなかったことを示す問題無し情報とを特定の者から受け付けることができる。発症チェック処理部は、各発症従業員の従業員情報を含んだ処理結果データを作成し、作成した処理結果データを記憶資源に格納することができる。問題有無受付部は、受け付けた問題有り情報或いは問題無し情報を、処理結果データにおいて従業員情報に対応付けることができる。ルール更新部は、問題有り情報が対応付けられた発症従業員である問題有り従業員に対応した情報と、問題無し情報が対応付けられた発症従業員である問題無し従業員に対応した情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、ルールの新規作成、修正及び削除のうちの少なくとも一つを実行することができる。
一つの実施態様では、処理結果データには、発症チェック処理で勤務履歴に適合した判定ルールの識別子と、その判定ルールにどのように適合したかを示す詳細情報とが含まれる。ルール更新部は、判定ルールの識別子が同一である問題有り従業員の詳細情報と判定ルールの識別子が同一である問題無し従業員の詳細情報とのうちの少なくとも一方を基に、その判定ルールの識別子から識別される判定ルール中のパラメータを修正するか、或いは、新たな判定ルールを作成することができる。
一つの実施態様では、ルール更新部は、複数の処理結果データにおいて同一の従業員情報に所定確率以上の確率で問題なし情報が対応付けられている場合には、その問題無し従業員の従業員情報及び/又は勤務履歴データが示す出退勤履歴を基に、新規に除外ルールを作成することができる。
一つの実施態様では、発症チェック処理部は、勤務履歴に適合した全ての判定ルールの第一のスコアを用いた計算を行うことで算出された第二のスコアが所定の閾値以上である場合に、適合すると判定することができる。この場合、ルール更新部は、問題有り従業員の第二のスコアを基に、所定の閾値を修正することができる。
一つの実施態様では、ルール更新部は、業務スケジュールデータを参照し、その業務スケジュールを基に、新規に除外ルールを作成することができる。
一つの実施態様では、判定ルールには、勤務履歴データのうちのどの期間分の勤務履歴を参照するかを意味する判定期間情報と、判定期間のうちのどんな日を対象とするかを意味する対象日情報と、出勤時刻、退勤時刻及び休みのうちの少なくとも一つのパターンとその繰返し度合いとを意味するルール情報とが含まれる。業務スケジュールは、どんな従業員或いはどんなグループがいつ拘束されるかを示す。ルール更新部は、業務スケジュールから特定される従業員又はグループとその業務スケジュールから特定される日時とを判定操作の参照対象から除外する除外ルールを新規に作成することができる。
一つの実施態様では、ルール更新部は、発症チェック処理において発症従業員として発見されなかったが実際に心の病を発症していた従業員の従業員情報の指定を特定の者から受け付け、指定された従業員情報に対応した勤務履歴データを解析し、その解析の結果を基に、新たな判定ルールを作成することができる。
一つの実施態様では、発症チェック処理部は、発症従業員の数が所定値を超えている場合には、ルール更新部に、ルールを修正させ、その後に、再び、発症チェック処理を実行することができる。
一つの実施態様では、ルール共有部が更に備えられる。ルール共有部は、他のメンタルヘルス管理装置で利用されるルールデータを取得して上記記憶資源に格納する、及び/又は、その記憶資源内のルールデータを他のメンタルヘルス管理装置に提供する(例えば、他のメンタルヘルス管理装置に送信する、或いは、他のメンタルヘルス管理装置が使用する記憶資源に格納する)ことができる。
これらの実施態様の二以上を組み合わせることができる。また、上述した記憶資源は、メンタルヘルス管理装置の外部の記憶装置にあっても良いし、メンタルヘルス管理装置の内部の記憶装置にあっても良い。また、上述した各部は、ハードウェア、コンピュータプログラム又はそれらの組み合わせ(例えば一部をコンピュータプログラムにより実現し残りをハードウェアで実現すること)により構築することができる。コンピュータプログラムは、所定のプロセッサに読み込まれて実行される。また、コンピュータプログラムがプロセッサに読み込まれて行われる情報処理の際、適宜に、メモリ等のハードウェア資源上に存在する記憶域が使用されてもよい。また、コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体から計算機にインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して計算機にダウンロードされてもよい。
以下、本発明のいくつかの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るメンタルヘルス管理装置が適用されたサーバを備えるメンタルヘルス管理システムの構成例を示す図である。
サーバ105は、定期的に(例えば毎日)、心の病を発症している(特に、例えば、心の病を発症しその初期状態を呈している)と考えられる従業員(以下、「発症従業員」と言うことがある)がいるか否かのチェック処理を行い、そのチェック処理により、発症従業員が見つかったならば、その見つかった従業員が心の病を発症していると考えられる旨を、所定の者、例えば、その従業員の上司や産業医等に通知する。以下、上記のチェック処理のことを、「発症チェック処理」と呼ぶ。また、発症チェック処理を含んだ一連の処理を「発症者発見処理」と呼ぶ。
発症チェック処理は、判定操作と除外操作とからなる。判定操作では、予め用意された一又は複数の判定ルールに従業員の出退勤の状況が適合するか否か(その従業員が心の病を発症している可能性が高いか否か)が判定される。判定操作によって、発症している可能性が高いと判定された従業員のリストが、この判定操作の結果(以下、「判定結果」)とされる。除外操作では、予め用意された一又は複数の除外ルールに適合する(例えば特別の理由がある)従業員について、その従業員(又はその従業員の出退勤の状況に関するデータの一部)が、判定結果(又は判定操作に利用されるデータ)から除外される。発症チェック処理は、判定結果に基づいて除外操作が行われるといったように、二段階で行われてもよいし、判定操作と除外操作とが一段階で併せて行われてもよい。判定操作及び除外操作の両操作を通して、心の病を発症している可能性が高いと判定された従業員のリストが、発症チェック処理の最終的な結果(以下、「最終結果」)とされる。ちなみに、上述した「従業員のリスト」とは、従業員の属性(例えば、従業員番号、名前など)が記録された電子的な情報である。
以下、本実施形態についてより詳細に説明する。
メンタルヘルス管理システム(以下、「本システム」と言うことがある)は、前述したサーバ105の他に、外部記憶装置109と、上司端末107と、産業医端末108とを備える。外部記憶装置109は、従業員管理DB101と、出退勤管理DB102と、判定ルールDB103と、除外ルールDB104とを記憶する。
上司端末107は、最終結果に含まれる従業員の上司、例えば、部長やチームリーダー等が使用する端末(例えば、パーソナルコンピュータ等の計算機)である。
産業医端末108は、従業員の健康管理を担当している産業医が使用する端末である。
従業員管理DB101、出退勤管理DB102、判定ルールDB103及び除外ルールDB104は、それぞれサーバ105により参照される。また、サーバ105は、通信ネットワーク106を介して、上司端末107及び産業医端末108に接続されている。尚、従業員管理DB101、出退勤管理DB102、判定ルールDB103及び除外ルールDB104は、それぞれ、通信ネットワーク106を介して、サーバ105に参照されてもよいし、サーバ105内に設けられる記憶資源に記憶されてもよい。また、本システムには、必ずしも上司端末107と産業医端末108との両方が備えられる必要はなく、そのうちのいずれか一方が備えられていればよい。
従業員管理DB101は、対象とする従業員の属性(例えば、氏名、所属部署、所属チーム等)を示すデータ(以下、「従業員管理データ」)を含んだデータベースである。ここで、「対象とする従業員」とは、本システムを利用して心の病を発症している可能性が高いか否かが判定される従業員のことを指す。対象とする従業員は、例えば、会社全体で本システムが採用される場合は、会社の全従業員の各々であり、部署単位で採用される場合は、その部署に所属する各従業員である。
出退勤管理DB102は、対象とする従業員の出退勤の履歴(例えば、出勤時刻、退勤時刻等)を示すデータ(以下、「出退勤管理データ」)を含んだデータベースである。発症チェック処理における判定操作は、この出退勤管理DB102中の各出退勤管理データを基にして行われる。
判定ルールDB103は、判定操作に用いられる判定ルールデータを含んだデータベースである。判定ルールデータとは、判定操作において、対象とする従業員が、心の病を発症している可能性が高いか否かを判定するためのルール(以下、「判定ルール」)を示すデータである。判定ルールは、心の病の発症の可能性が高い従業員に特有の出退勤パターンとその繰り返しに基づいて作成される。
除外ルールDB104は、除外操作に用いられる第一の除外ルールデータや第二の除外ルールデータを含んだデータベースである。前述の説明において、判定操作と除外操作とは二段階で行われてもよいし一段階で行われてもよいと述べたが、第一の除外ルールデータは、判定操作と除外操作とが二段階で行われる場合に利用されるデータであり、第二の除外ルールデータは、判定操作と除外操作とが一段階で行われる場合に利用されるデータである。第一の除外ルールは、対象とする全ての従業員のうち、所定の従業員又は所定のグループに属する従業員を、判定結果から除外するためのルールを示す。心の病を発症していない従業員であっても、その従業員の業務スケジュールや私的な理由等から、その従業員の出退勤の履歴が判定ルールに適合してしまう場合がある。例えば、判定ルールとして『休日の翌日に遅刻する或いは休むことが現在から過去三ヶ月の間に半分以上行われた』がある場合、毎週月曜日の午前中にいつも出張がある従業員は、その出退勤履歴が、上記の判定ルールに適合してしまうことになる。第一の除外ルールは、このような従業員を判定結果から除外するためのルールである。第一の除外ルールデータには、除外の対象となる従業員又は複数の従業員からなるグループを特定するための情報が記される。一方、第二の除外ルールデータは、第一の除外ルールデータを拡張したデータであり、一又は複数の第二の除外ルールを示す。第二の除外ルールは、除外の対象となる従業員又は複数の従業員からなるグループや除外の対象となる日等が定義されたルールである。第一の除外ルールデータ及び第二の除外ルールデータについては後に詳述する。
以下、図2乃至図5を参照して、これらのDB101乃至104のそれぞれに含まれる各種のデータ(従業員管理データ、出退勤管理データ、判定ルールデータ、第一の除外ルールデータ及び第二の除外ルールデータ)の詳細について説明する。
図2は、従業員管理データ201の一例を示す図である。
同図に示されるように、本データ201には、対象とする全ての従業員の各々に関する従業員情報として、例えば、従業員番号202と、氏名203と、所属部署204と、所属チーム205と、役職206と、メールアドレス207とが含まれている。従業員番号202は、その従業員を識別するための番号(識別番号)を意味する。つまり、従業員情報としては、従業員番号202や氏名203やメールアドレス207といった、従業員を識別するための情報や、所属部署204、所属チーム205及び役職206といった、従業員の属性を示す情報がある。従業員番号202をキーとして、本データ201が参照されることにより、その従業員番号202を有する従業員の他の従業員情報(データ値)、即ち、氏名203、所属部署204、所属チーム205、役職206及びメールアドレス207のうちの所望の従業員情報を取得することができる。例えば、従業員番号202として「0001」をキーにすれば、従業員の他の従業員情報としては、氏名203「A」、所属部署204「開発部」、所属チーム205「第一チーム」、役職206「−」(ここで「−」役職なしを意味する)、及びメールアドレス207「A@xxx.com」のうちの所望のデータ値を取得することができる。本データ201は、対象とする従業員についてのデータのみから構成されてもよいし、対象とされない従業員(例えば、部署単位で本システムを採用する場合は、他の部署の従業員等)についてのデータをも含まれる形で構成されてもよい。尚、対象とする従業員と対象とされない従業員とが混在する場合は、従業員管理データ201には、どの従業員が対象とする従業員であるかを示す情報(例えばフラグ)も含まれる。以下、例えば、従業員番号202が「0001」の従業員を、「従業員:0001」と表記することがある。同様の手法で、判定ルール、第一除外ルール及び第二除外ルールについても表記することがある。
図3は、出退勤管理データ301の一例を示す図である。
同図に示されるように、本データ301は、対象とする全ての従業員について、従業員ごとに生成される。本データ301には、従業員番号202が含まれており、どの従業員の出退勤管理データ301であるかが、わかるようになっている。本データ301には、一定期間の日付302が含まれている。また、本データ301には、日付302のそれぞれについて、その従業員の出勤時刻303と、退勤時刻304とが含まれている。以下、個々の日付302に対応する出勤時刻303及び退勤時刻304を、その日付302の「出退勤時刻303及び304」と呼ぶ。上記の一定期間は、判定ルールの一つの構成要素である判定期間(後述する)が、上記一定期間の中に含まれるように定められていればよい。従って、例えば、判定ルールの判定期間が、「直近3ヶ月前」であった場合は、上記一定の期間は、現在から少なくとも過去直近3ヶ月を含むような期間、例えば、過去半年間とされる。また、出勤時刻303(退勤時刻を使用する場合は、退勤時刻304、以下同様))は、例えば、従業員が職場の特定の施設に入館した時刻(退館した時刻)であってもよいし、従業員が自分の作業場や座席に到着した時刻(作業場や座席から最後に離れた時刻)であってもよい。施設への入退館が、従業員であることを証明するカード等によって制御されている場合は、入退館した時の記録、即ち、従業員を特定する情報とその入退館の時刻との記録を収集することで、本データ301を、自動的に生成することができる。
図4は、判定ルールデータ401の一例を示す図である。
本データ401には、一又は複数の判定ルール403が、その識別番号である判定ルール番号402とともに含まれている。
本出願人により、心の病の初期状態を発症している場合には特異の出退勤パターンを繰り返しやすいという特徴があることが見出されている。判定ルール403は、その見出された特徴を基に記述された情報である。具体的には、例えば、判定ルール403は、ルール概要404と、ルール本体405とから構成される。
ルール概要404は、判定ルール403の概要が記載されたデータ(例えばテキストのデータ)である。ルール概要404からは、判定ルール403の大まかな内容が把握されるので、ルール概要404は、本データ401が編集されるときや、最終結果が通知された後に判定ルール403の内容が確認されるときに、その手助けとなる情報として用いられる。尚、本データ401には、必ずしもルール概要404が含まれていなくてもよい。
ルール本体405は、判定ルール403の具体的内容が数値として記載されたデータである。例えば、ルール本体405は、判定期間と、対象日と、ルールとの3つの要素により構成されている。
判定期間は、出退勤管理データ301において、判定が行われる際に参照される日付302の範囲を示す情報である。例えば、判定ルール番号402「0001」の判定ルール403(以下、「判定ルール:0001」と表記する)の場合は、判定期間が「直近1ヶ月」であるので、判定ルール:0001による判定には、判定操作が行われる日(以下、「判定日」)から過去1ヶ月間(例えば、判定日が2006年2月11日であれば、2006年1月11日から2006年2月10日まで)の出退勤時刻303及び304が参照されることになる。
対象日には、判定期間の中で、実際に判定に利用される出退勤時刻303及び304に対応した日付(以下、「判定利用日」)を特定するための情報(言い換えれば、例えば、判定利用日を特定するルールを示した情報)である。即ち、判定期間と対象日との組み合わせから判定利用日を特定することができる。例えば、判定ルール:0001の場合は、対象日が「休日の翌日の出勤日」であるので、上記と同様に判定日が2006年2月11日であれば、2006年1月11日から2006年2月10日までの中に含まれる全ての月曜日(1月16日、1月23日、1月30日及び2月6日)が判定利用日となる。
ルールは、心の病を発症している可能性が高いと判定するための基準を示す情報である。例えば、判定ルール:0001の場合は、「出勤時刻が11時以降、又は休みとなる日が、判定利用日の全体の1/2以上」となっている。従って、上記と同様の例で説明すると、判定利用日が4日あるので、その4つの判定利用日に対応した4つの出退勤時刻303及び304のうち、出勤時刻が11時以降、又は休みとなる日が2日以上あれば、その二つ以上の出退勤時刻303及び304に対応する従業員は、心の病を発症している可能性が高い(以下、「異常あり」)と判定される。図3に示されたような、従業員:0001の出退勤管理データ301を基にして判定される場合、即ち、従業員:0001について判定が行われる場合であれば、1月16日、1月23日及び1月30日が、それぞれ、出勤時刻が11時以降、又は休みとなる日に該当する。従って、ルールに該当する判定利用日(以下、「該当日」)が2日以上あることになり、従業員:0001の出退勤の履歴が判定ルール:0001に合致するので、従業員:0001は、異常ありと判定されることになる。
上述した判定ルールデータ401は、例えば、本システムを管理する者(以下、「管理者」)等によって作成され、発症チェック処理が行われる前に、予め用意される。尚、判定ルールとして、上記とは反対に、心の病を発症している可能性が低いと考えられる従業員を判定するようなルールを用いることもできる。この場合は、心の病を発症している可能性が低いと判定された従業員以外の者が、発症従業員と判定される。
尚、ルール本体405の内容は、必ずしもこれらの3つの要素に限定される必要はない。また、ルール本体405には、同図に示されるように、括弧で囲まれた数値が、いくつか含まれている。これらの数値は、調節可能なパラメータであることを示している。これらのパラメータが適切な値に調節されることにより、本システムにおける発症チェック処理の精度が向上させられるようになっている。パラメータの調整は、管理者により手動で行われてもよいし、コンピュータにより自動で行われてもよい。
図5(a)は、第一の除外ルールデータ501の一例を示す図である。
本データ501には、一又は複数の第一除外ルール503が、その識別番号である除外ルール番号502とともに含まれている。第一除外ルール503には、除外の対象とされる従業員の従業員情報(例えば識別情報或いは属性情報)が記される。第一除外ルール503は、除外ルール番号502が「0001」の第一除外ルール503(以下、「第一除外ルール:0001」と表記する)又は第一除外ルール:0004のように、従業員番号202や役職206等によって一の従業員を特定するものであってもよいし、第一除外ルール:0002又は第一除外ルール:0003のように、所属部署204や所属チーム205等から、複数の従業員を含むグループを特定するものであってもよい。例えば、第一除外ルール:0003の場合は、除外ルール503が「開発部第二チームに所属」となっているので、図2に示した従業員管理データ201から、従業員:0004及び従業員:0005が特定され、特定された従業員:0004及び従業員:0005が除外の対象とされる。
図5(b)は、第二の除外ルールデータ504の一例を示す図である。
本データ504には、一又は複数の第二除外ルール506が、その識別番号である除外ルール番号505とともに含まれている。第二除外ルール506は、同図に示すように、例えば、除外対象従業員507と、除外対象期間508と、除外対象日509とから構成される。
除外対象従業員507は、除外の対象とされる従業員の従業員情報である。除外対象従業員507の内容は、前述した除外ルールデータ501の第一除外ルール503の内容と同様である。
除外対象期間508及び除外対象日509の組み合わせは、判定利用日から除外する日付(以下、「除外日」)を特定するための情報である。即ち、通常、判定操作では、判定ルール403の判定期間と対象日との組み合わせから特定された判定利用日の出退勤時刻303及び304が利用されるが、判定の対象とされている従業員が除外対象従業員507であって、判定利用日の中に除外日が含まれていた場合には、判定利用日の中から除外日を除いた日付の出退勤時刻303及び304が利用されることになる。つまり、除外日が除かれた後の日付が、真の判定利用日とされる。例えば、除外ルール番号505が「0002」の第二除外ルール506(以下、「第二除外ルール:0002」と表記する)の場合は、除外対象期間508が「2006年1月31日まで」、除外対象日509が「毎週月曜日」となっているので、判定日が2006年2月11日で、判定ルール403が判定ルール:0001(図4参照)で、対象とする従業員が従業員:0008(図2参照)という条件で判定操作が行われるとすると、4つの判定利用日(1月16日、1月23日、1月30日及び2月6日)のうち、除外日は、1月16日、1月23日及び1月30日の3つとなり、4つの判定利用日からそれら3つの除外日を除いた2月6日の出退勤時刻303及び304が、判定に利用されることになる。
以上のように、第一の除外ルール503が、判定結果から従業員を除外するためのルールであるのに対して、第二の除外ルールデータ504は、判定操作において利用される出退勤管理データ301の全部又は一部を除外するためのルールを示している。従って、除外操作が第一の除外ルールデータ501を用いて行われる場合は、判定結果に基づいて除外操作が行われるといったように、それらの操作が二つの独立した段階で行われることになるが、第二の除外ルールデータ504を用いて行われる場合は、判定操作と除外操作とが一つの段階で併せて行われることになる。
以上が、従業員管理データ201、出退勤管理データ301、判定ルールデータ401、第一の除外ルールデータ501及び第二の除外ルールデータ504の説明である。次に、サーバ105の構成を説明する。
図6は、本実施形態におけるサーバ105の構成例を示す図である。
サーバ105は、CPU601と、通信I/F602と、記憶資源603とを備える。
記憶資源603は、例えば、メモリ及びハードディスクドライブ(他種の記憶装置でも良い)のうちの少なくとも一方により構成されている。記憶資源603には、複数のコンピュータプログラムとして、例えば、判定プログラム6031と、メール送信プログラム6032とが、記憶されている。
CPU601は、記憶資源603に記憶された種々のコンピュータプログラムを実行し、サーバ105の全体の制御を行う。例えば、CPU601は、判定プログラム6031を実行し、DB101乃至104に記憶されている各種のデータ201、301、401及び501(504)を参照し、対象とする全ての従業員に対して発症チェック処理を行う。また、サーバ105は、メール送信プログラム6032を実行し、発症チェック処理によって得られた最終結果に含まれる一又は複数の従業員の各々について、その従業員が心の病を発症している可能性が高い旨を記載した電子メール(以下、「警告メール」)を作成し、その電子メールを、その従業員の上司が使用する上司端末107や産業医端末108へ送信する。
通信I/F602は、DB101乃至104及び通信ネットワーク106へ接続するためのインタフェースである。サーバ105は、通信I/F602を介して、DB101乃至104から、従業員管理データ201、出退勤管理データ301、判定ルールデータ401、第一の除外ルールデータ501及び第二の除外ルールデータ504を取得する。また、サーバ105は、通信I/F602を介して、上司端末107や産業医端末108へ警告メールを送信する。
以下、図7を参照して、本実施形態におけるサーバ105が行う発症者発見処理を説明する。尚、以下の説明において、プログラムが主語になる処理は、実際には、そのプログラムを実行するCPU601により実行される。
図7は、本実施形態における発症者発見処理の一例を示した図である。図7において、S702乃至S704が、判定操作であり、S707及びS708が、除外操作である。その除外操作には、第一の除外ルールデータ501が用いられるものとする。また、それぞれ、従業員管理データ201は、図2に示された従業員:0001から従業員:0010までのデータ、出退勤管理データ301は、図3に示された従業員:0001に関するデータ、判定ルールデータ401は、図4に示された判定ルール:0001から判定ルール:0004までを有するデータ、第一の除外ルールデータ501は、図5(a)に示された第一除外ルール:0001から第一除外ルール:0004までを有するデータであるとして説明する。更に、判定日は、上記の例でも用いられた2006年2月11日であるとする。
まず、判定プログラム6031は、DB101乃至104から、従業員管理データ201、判定ルールデータ401及び第一の除外ルールデータ501を取得する(S701)。なお、このS701で、全ての従業員の出退勤管理データ301が取得されても良いし、所定件数の出退勤管理データ301が取得されても良い。
次に、判定プログラム6031は、従業員管理データ201を参照して、対象とする全ての従業員の中から一人を選択する(S702)。ここでは、従業員:0001が選択された場合を例に挙げて説明する。
その後、選択された従業員:0001に対して判定操作が行われる。即ち、判定ルールデータ401が参照され、従業員:0001の出退勤管理データ301が参照され、その従業員:0001が、判定ルールデータ401に含まれる判定ルール403、即ち、判定ルール:0001から判定ルール:0004までのうちのいずれかに合致するか否かが判定される(S703)。判定プログラム6031は、無条件に全ての判定ルール403について判定を行ってもよいし、所定数(例えば一つ)の判定ルール403に合致した場合に判定を終了してもよい。ここでは、複数の判定ルール403のうちのいずれか一つに合致した場合に、異常ありと判定されるようにする。従業員:0001に対する判定は、図3に示された従業員:0001に関する出退勤管理データ301を基にして行われるので、上述したように、従業員:0001は、判定ルール:0001に合致することになる。従って、従業員:0001は(具体的には、例えば、従業員:0001の従業員番号202が)、判定結果(例えば電子的なリスト)に登録される(S704)。判定結果は、サーバ105内の記憶資源603(例えばメモリ)に記憶されても良いし、外部記憶装置109に記憶されても良い。
対象とする全ての従業員に対して上記の判定操作が終了していない場合は(S705:NO)、対象とする全ての従業員に対して判定操作が完了するまで、S702からS705までの処理が繰返される。
対象とする全ての従業員に対して判定操作が終了した場合は(S705:YES)、判定結果に基づいて除外操作が行われる。ここでは、判定結果に、従業員:0001と従業員:0008とが含まれている場合を例に挙げて説明する。
まず、判定プログラム6031は、判定結果に含まれる従業員の中から一人を選択する(S706)。
その後、選択された従業員に対して除外操作が行われる。即ち、第一の除外ルールデータ501が参照され、選択された従業員が、第一の除外ルールデータ501に含まれる第一除外ルール503(ここでは、第一除外ルール:0001から第一除外ルール:0004までの第一除外ルール503)のうちのいずれかに合致するか否かが判定される(S707)。選択された従業員が、従業員:0001である場合は、これらの第一除外ルール503のいずれにも合致しないので、従業員:0001は、最終結果に登録される(S708)。最終結果は、例えば、所定の記憶領域に記憶される。一方、選択された従業員が、従業員:0008である場合は、図5を参照して説明した例によれば、除外ルール:0002に合致するので、最終結果に登録されない。
判定結果に含まれる全ての従業員に対して上記の除外操作が終了していない場合は(S709:NO)、判定結果に含まれる全ての従業員に対して除外操作が完了するまで、S706からS709までの処理が繰返される。
判定結果に含まれる全ての従業員に対して除外操作が終了した場合は(S709:YES)、最終結果に基づいて、警告メールの送信が行われる。
即ち、まず、メール送信プログラム6032が実行される。メール送信プログラム6032は、最終結果に含まれる従業員の各々について、その従業員の上司のメールアドレス207宛に警告メールを送信する(S710)。上記の例で説明すると、従業員:0001が最終結果に含まれているので、メール送信プログラム6032は、従業員:0001の上司のメールアドレス207を宛先に指定して、従業員:0001が心の病を発症している可能性が高いという旨の警告メールを送信する。この警告メールの送信に必要な情報の取得は、例えば、以下の手順で行われる。即ち、まず、従業員管理データ201が参照されて、従業員:0001の氏名203として「A」、所属部署204として「開発部」が、それぞれ取得される。次に、警告メールが送信される上司の役職206として「部長」と所定の記憶領域に設定されている場合は、従業員管理データ201が参照されて、所属部署204が「開発部」であり、かつ、役職206が「部長」である従業員、即ち、従業員:0006が特定される。更に、従業員管理データ201が参照されて、従業員:0001の部長である従業員:0006のメールアドレス207として「F@xxx.com」が取得される。この場合の警告メールには、例えば、「従業員Aは、直近3ヶ月間において、心の病を発症している可能性が高いです。」のような内容が記載される。
尚、警告メールには、氏名203に代えて又は加えて、他の従業員情報が記録されてもよい。また、従業員の上司が誰であるかは、例えば、従業員管理データ201に従業員に対応した上司番号(上司の従業員番号202)を含めておくようにすれば、その上司番号を用いて特定することも可能である。また、警告メールの送信に代えて、他種の情報伝達方法(例えば、TCP/IPを利用したメッセージ送信アプリケーション等)が採用されてもよい。
また、S710において、警告メールは、上司(上司端末107)へ送信されたが、産業医(産業医端末108)へ送信されてもよいし、上司及び産業医の両者へ送信されてもよい。産業医へ送信される場合は、サーバ105は、産業医のメールアドレス207を保持しておく。また、警告メールは、上司として部長へ送信されたが、チームリーダーへ送信されてもよいし、部長及びチームリーダーの両者へ送信されてもよい。チームリーダーの特定及びそのメールアドレスの取得は、上述した部長の場合と同様の手順で行うことができる。
また、図7を参照した説明では、判定操作と除外操作とが二つの独立した段階で行われるが、それらの操作が一つの段階で行われてもよい。従って、この場合、判定プログラム6031は、S706からS709までの処理を行う代わりに、例えば、S703で除外操作を行うことができる。例えば、S702において従業員:0008が選択された場合は、S703において次のような処理が行われる。
即ち、まず、従業員:0008が、第二の除外ルールデータ504に含まれる第二除外ルール506(ここでは、第二除外ルール:0001から第二除外ルール:0004までの第二除外ルール506)のうちのいずれかに合致するか否かが判定される。ここで、従業員:0008は、営業部の第一チームに所属しているので、第二除外ルール:0002に合致することになる。
次に、従業員:0008が、判定ルールデータ401に含まれる判定ルール403のうちの一つ、例えば、判定ルール:0001に合致するか否かが判定される。上述したように、判定ルール:0001では、1月16日、1月23日、1月30日及び2月6日が、判定利用日となるが、従業員:0008は、第二除外ルール:0002に合致しているため、第二除外ルール:0002の除外対象期間508と除外対象日509とから特定された除外日が、判定利用日から除外される。即ち、2006年1月31日までの月曜日が除外され、残った2月6日のみが、真の判定利用日とされる。説明の便宜のため、出退勤管理データ301を従業員:0001ではなく従業員:0008のものとすると、2月6日は、該当日とならず、従って、従業員:0008は、「出勤時刻が11時以降、又は休みとなる日が、判定利用日の全体の1/2以上」のルールに合致しないことになる。
他の判定ルール403(判定ルール:0002、判定ルール:0003及び判定ルール:0004)についても、判定ルール:0001の場合と同じような方法で判定が行われ、S703の処理が終了する。
以上が、第一の実施形態における発症者発見処理の一例の説明である。
上述した第一の実施形態によれば、判定ルール403は、心の病の初期状態を発症している従業員に特異の出退勤パターンの繰返しを基に定義され、発症チェック処理の判定操作では、従業員の出退勤履歴が判定ルール403に該当するか否かが判定される。その従業員について異常ありと判定された場合には、その従業員の上司等に警告メールが送信される。そして、この発症者発見処理は、短い間隔で定期的に(例えば、毎日或いは週一回)行うことができる。これにより、上司等は、早期に、心の病を発症している可能性の高い従業員を知ることができ、以って、症状が悪化する前に、その従業員に対して何らかの対応措置をとることができるようになる。
また、心の病を発症している可能性が高いか否かは、過重労働時間やその増加傾向から判断することは困難であるが、本実施形態では、前述したように、心の病の初期状態を発症している従業員に特異の出退勤パターンの繰返しを基に判定ルール403が定義され、その判定ルール403に従業員の出退勤履歴が該当するか否かにより、異常ありか否かが判定される。これにより、本実施形態に係るメンタルヘルス管理システムは、フレックスタイム制或いは裁量労働制を採用する会社等で特に有用である。
また、業務等の理由から、上記特異の出退勤パターンの繰返しが行われてしまうことがあり、そうすると、心の病を発症していなくても、発症従業員と判定されてしまうが、本実施形態では、業務等の理由を基に定義された除外ルール503、506が用意され、その除外ルール503、506に該当したならば、発症従業員とされないように制御される。これにより、心の病を発症していない従業員を発症従業員とした警告メール(つまり無駄な警告メール)が上司等に送信されてしまうことを抑えることができる。
第二の実施形態は、第一の実施形態の一部を追加、変更したものである。以下の説明では、主に、第一の実施形態との相違点について説明する。
図8は、本発明の第二の実施形態に係るメンタルヘルス管理装置が適用されたサーバを備えるメンタルヘルス管理システムの構成例を示す図である。
本システムは、外部記憶装置109に、業務スケジュールDB801と、処理結果DB802とが更に記憶される。
業務スケジュールDB801は、従業員又は複数の従業員からなるグループに関する業務のスケジュールを示すデータ(以下、「業務スケジュールデータ」)を含んだデータベースである。業務スケジュールデータは、第二除外ルール506を作成或いは修正するために用いられる。
処理結果DB802は、最終結果に種々の情報(例えば、合致した判定ルール403や判定操作に利用された具体的なデータ等)を追加して最終結果を拡張したデータ(以下、「処理結果データ」)を含んだデータベースである。処理結果データは、判定ルール403や第一除外ルール503を作成するため、又は判定ルール403のパラメータ等を修正するために用いられる。
以下、図9乃至図12を参照して、出退勤管理DB102、判定ルールDB103、業務スケジュールDB801及び処理結果DB802のそれぞれに記憶される各種のデータ(出退勤管理データ、判定ルールデータ、業務スケジュールデータ及び処理結果データ)の詳細について説明する。尚、従業員管理DB101に記憶される従業員管理データ201と、除外ルールDB104に記憶される第一の除外ルールデータ501及び第二の除外ルールデータ504とは、第一の実施形態で説明したものと同様である。
図9は、第二の実施形態における出退勤管理データ901を示す図である。
本データ901は、図3で示された出退勤管理データ301に、PC稼働時間902が追加されたものとなっている。PC稼働時間902は、その出退勤管理データ901に対応する従業員(従業員番号202で示された従業員)が業務において使用するPC(パーソナルコンピュータの略)が、一日の間で稼働した時間である。
出勤時刻303と退勤時刻304とPC稼働時間902とからは、一日のPC稼働率(勤務時間に対するPC稼働時間902の割合)が計算される。PC稼働率は、判定操作における判定ルール403の新たな基準として用いられる。即ち、PC稼働率が低い場合は、その従業員は、出勤しているにもかかわらず仕事ができていない状況であり、この状況が長く続いているときは、心の病を発症している可能性があると考えられる。従って、例えば、「5日間、PC稼働率が30%以下」というようなルール本体405を持つ判定ルール403が、判定操作に用いられることによっても、本システムは、心の病を発症している従業員を発見できるようになる。
尚、PC稼働時間902の代わりに、一日のうちでPCが最初に起動された時刻と最後に終了された時刻とが、本データ901に含まれてもよい。この場合は、最初に起動された時刻から最後に終了された時刻までの時間が、PC稼働時間902とされる。また、最初に起動された時刻を出勤時刻303として扱い、最後に終了された時刻を退勤時刻304として扱うこともできる。
また、本実施形態では、出退勤管理データとして、本データ901ではなく、図3で示されたデータ301が用いられてもよい。
図10は、第二の実施形態での判定ルールデータ1001を示す図である。
本データ1001は、図4で示された判定ルールデータ401に、スコア1002が追加されたものとなっている。スコア1002は、所定の基準を基に定められた値であり、判定ルール403ごとに付与される。以下、スコア1002は、心の病を発症している可能性の高低を示す値であるとする。図10では、スコア1002として、2〜5までの数値が付与されているが、ここでは、数値が高いものほど、心の病を発症している可能性が高いものとする。
第一の実施形態では、従業員が複数の判定ルール403のうち所定の数(例えば一つ)の判定ルール403に合致した場合に、その従業員は、異常ありと判定される。これに加えて、本実施形態では、スコア1002を利用して、次のような判定も行われる。即ち、従業員が合致した全ての判定ルール403について、それぞれのスコア1002を合計した合計スコアが計算され、合計スコアが所定値以上であれば、その従業員は、異常ありと判定される。以下、この所定値を、スコア閾値と呼ぶ。
図11は、業務スケジュールデータ1101の一例を示す図である。
本データ1101には、従業員又は複数の従業員からなるグループに関する一以上の業務スケジュール要素、例えば、朝会、チームミーティング、懇親会、作業日程、開発スケジュール等が記される。本システムでは、この一以上の業務スケジュールの中で、特に、出勤時刻303及び/又は退勤時刻304に影響がある業務スケジュール、例えば、朝会(必ず所定の時刻までに出勤することになるため、判定利用日としては不適当)、チーム全体での一斉年休日、長期出張を伴ったテスト工程等が利用される。以下、このような、出勤時刻303及び/又は退勤時刻304に影響がある業務スケジュールを「除外スケジュール」と呼ぶ。業務スケジュールデータ1101において、除外スケジュールに該当するスケジュール要素については、除外スケジュールであることがわかるように記される(例えば「除外」という情報が付加される)。
図11に示す業務スケジュールデータ1101は、例えば、同図に示されるように、一つの或る所属部署204、具体的には、開発部に関する業務スケジュールを示すデータとなっている。この例では、開発部は第一チームと第二チームがあり、この業務スケジュールデータ1101には、開発部全体、第一チーム全体又は第二チーム全体についての業務スケジュールが記されている。開発部全体の業務スケジュールとしては、「一斉年休」と「朝会」と「全体ミーティング」が含まれている。その中で、「全体ミーティング」は、「13:00から14:00」となっており、例えば、いわゆるコアタイムとして11:00〜16:00が採用されている会社等では、出勤時刻303及び退勤時刻304の両方に影響を与えないため、除外スケジュールとはされていない(もし、コアタイムが無く完全に出退勤時刻が自由な会社等であれば、「全体ミーティング」は除外スケジュールとされて良い)。しかし、「一斉年休」と「朝会」とは、出勤時刻303及び/及び退勤時刻304に影響を与えるため、除外スケジュールとされている。また、第二チームの業務スケジュールとしては、長期出張を伴う「テスト工程」が含まれており、これも、出勤時刻303及び/及び退勤時刻304に影響を与えるため、除外スケジュールとされている。なお、除外スケジュールとするか否かは、管理者等が判断して手動で設定しても良いし、コンピュータで自動で判断して設定しても良い。後者の場合には、例えば、コンピュータプログラム(例えば後述のルール修正プログラム)が、コアタイム(それの開始時刻と終了時刻)を示す情報を参照して、業務スケジュールが示す予定時間の開始及び終了の両方がコアタイム内であれば、除外スケジュールではないと判断し、一方、その予定時間の開始及び終了のうちの少なくとも一方がコアタイム外であれば、除外スケジュールと判断することができる。なお、そのコンピュータプログラムは、例えば出退勤時刻が完全に自由で良い場合には、全ての業務スケジュールを除外スケジュールとしてもよい。
後述するルール修正プログラムは、業務スケジュールデータ1101の中の除外スケジュールを参照して、第二除外ルール506の新規作成を実行することができる。即ち、ルール修正プログラムは、除外スケジュールに対応した日付が除外日となるように、第二除外ルール506を作成する。例えば、第二チームの「テスト工程」の除外スケジュールからは、除外対象従業員507が「開発部第二チームに所属」、除外対象期間508が「2006年3月22日〜3月31日まで」、除外対象日509が「全て」である第二除外ルール506、即ち、第二除外ルール:0003が作成されることになる。これにより、第二の除外ルールデータ504は、自動的に作成されるので、管理者等が、第二の除外ルールデータ504を手作業で作成しなくともよくなる。
図12は、処理結果データ1201の一例を示す図である。
本データ1201は、発症チェック処理が行われるごとに生成される。同図に示されるように、本データ1201には、判定日1202が含まれており、本データ1201が、いつ生成されたものであるかが識別されるようになっている。
本データ1201には、該当従業員番号1203が含まれている。該当従業員番号1203は、判定操作及び除外操作の両操作を通して、異常ありと判定された従業員の従業員番号202である。例えば、この図12の処理結果データ1201からは、従業員:0001と、従業員:0005と、従業員:0026と、従業員:0091とが、2006年2月11日に行われた発症チェック処理において異常ありと判定された従業員となる。尚、この該当従業員番号1203のみで構成されるデータが、最終結果に相当する。
本データ1201には、該当従業員番号1203のそれぞれについて、該当判定ルール番号1204と、該当内容1205と、合計スコア1206と、重要度1207と、健康状態1208とが含まれている。
該当判定ルール番号1204は、対応する該当従業員1203が、異常ありと判定された際に合致した判定ルール403の判定ルール番号402である。また、該当内容1205は、該当判定ルール番号1204によって判定操作が行われた際の詳細を示すデータである。該当従業員番号1203に対応した従業員が、複数の判定ルール403に合致して異常ありと判定された場合には、その合致した全ての判定ルール403について、該当判定ルール番号1204及び該当内容1205が記される。例えば、同図では、従業員:0005には、該当判定ルール番号1204として「0001」と「0003」との二つの判定ルール403(及びそれぞれに対応する該当内容1205)が含まれている。従って、従業員:0005は、これらの二つの判定ルール403に合致して異常ありと判定されたことになる。該当内容1205は、例えば、同図では、判定利用日数と、該当日数と、平均出勤時刻(平均退勤時刻)との3つの要素により構成されている。判定利用日数は、判定利用日の日数を、該当日数は、該当日の日数を、平均出勤時刻(平均退勤時刻)は、該当日の出勤時刻(退勤時刻)の平均を、それぞれ示している。平均出勤時刻及び平均退勤時刻のどちら或いは両方が書かれるかは、該当ルール番号1204に対応した判定ルール403のルールにおいて出勤時刻と退勤時刻のどちら或いは両方が書かれているかどうかによって決定される。
合計スコア1206は、該当従業員番号1203の従業員が合致した全ての該当判定ルール番号1204に対応したスコア1002を合計したものである。同図では、従業員:0001については、該当判定ルール番号1204が判定ルール:0001を示すので、判定ルール:0001のスコア1002である「5」が、合計スコア1206に記されている。また、従業員:0005については、該当判定ルール番号1204が判定ルール:0001及び判定ルール:0003を示すので、それらのスコア1002を合計した「8」が、合計スコア1206に記されている。
重要度1207は、該当従業員番号1203に対応した従業員の症状の危険性の高低を示す。重要度1207は、例えば、合計スコア1206に応じて決められる。上述したように、本実施形態では、スコア1002の数値が高いほど、心の病を発症している可能性が高いので、重要度1207は、例えば、合計スコア1206が「3」までは低い(LOW)、「3」から「5」までは普通(MIDDLE)、「6」以上は高い(HIGH)というように決められる。重要度1207は、警告メールを送信する相手を決定する際に参考にされる。具体的には、例えば、各種重要度1207と役職(及び/又は従業員番号)とが記録されたテーブルを参照することで、どの重要度1207の場合には誰に警告メールを送信すれば良いかが特定される。例えば、重要度1207が高ければ高いほど、位の高い上司(又は多くの上司)に警告メールが送信されるようにすることができる。具体的には、例えば、重要度1207が「LOW」の場合はチームリーダーへ、「MIDDLE」の場合は課長へ、「HIGH」の場合は部長へ、それぞれ警告メールが送信されるようにすることができる。なお、スコア閾値が修正された場合には、それに伴って、或いはそれとは独立して、各種重要度の合計スコア範囲の定義が修正されても良い。
健康状態1208は、該当従業員番号1203に対応した発症従業員が実際に心の病を発症していたか否かを示す。即ち、本システムにより異常ありと判定された従業員が、実際に心の病を発症していたのか(問題あり)、それとも心の病を発症していなかったのか(問題なし)が記される。つまり、最終結果の正否が、登録される。健康状態1208は、警告メールの通知先の上司或いは産業医などが入力することができる。具体的には、例えば、処理結果受付部(例えば、サーバ105´で実行される図示しないコンピュータプログラム)が、一つの処理結果データ1201について、発症従業員毎に、健康状態1208(問題ありか問題なしか)を、特定の者が使用する通信端末から受け付け、受け付けた健康状態1208を、処理結果データ1201に追記することができる。
処理結果データ1201は、心の病の発見処理が行われた際に、判定プログラム6031によって生成される。但し、健康状態1208は、警告メールを受信した上司等によって対応措置がとられたときに初めて知りえる情報であるので、その情報は、管理者等により後から追加される。
本データ1201に含まれるこれらの情報は、後述のルール修正プログラムや管理者等が、判定ルール403や第一除外ルール503の新規作成、判定ルール403の修正(例えば判定ルール403中のパラメータの調節)、及びスコア閾値の修正のために参照される。ルール修正プログラムや管理者等は、処理結果データ1201を参照して、問題ありの発症従業員を特定し、問題ありの発症従業員に対応した所定種類の情報と問題なしの発症従業員に対応した所定種類の情報とのうちの少なくとも一方を基に、判定ルール403や第一除外ルール503の新規作成、判定ルール403の修正、及びスコア閾値の修正の少なくとも一つを実行する。所定種類の情報としては、例えば、該当ルール番号1204が同じである該当内容1205における要素や、合計スコア1206ある。以下、判定ルール403や第一除外ルール503の新規作成、判定ルール403の修正、及びスコア閾値の修正について、幾つか具体例を説明する。
(具体例1)該当ルール番号1204が同一である問題あり従業員の平均出勤時刻(平均退勤時刻)と問題無し従業員の平均出勤時刻(平均退勤時刻)とのうちの少なくとも一方を基に、その該当ルール番号1204から特定される判定ルール中の一つのパラメータである出勤時刻(退勤時刻)が修正される。より具体的には、例えば、該当ルール番号1204が「0001」である問題あり従業員:0005、0026と問題なし従業員:0001との間で平均出勤時刻を比較すると、前者は、平均出勤時刻が12時台であるのに対し、後者は、11時台となっている。即ち、出勤時刻が11時台であれば、心の病を発症している可能性が低いとも考えられる。従って、例えば、ルール修正プログラム或いは管理者は、判定ルール:0001のルールに含まれる「11時」というパラメータを「12時」に修正することにより、本システムにおける発症チェック処理の精度を向上させることができるようになる。ここでは、平均出勤時刻を例に採ったが、平均退勤時刻でも同様である。また、平均出勤時刻(平均退勤時刻)のパラメータの調節単位は、1時間であるが、それに限らず、所定の単位で調節可能である。また、3人の従業員のデータしか参考にされていないため、この修正されたパラメータは、精度の向上という点で信頼性に欠けるかもしれないが、他の処理結果データ1201をも含めた大量の結果が参考とされることにより、より信頼性の高い修正が可能となる。
(具体例2)該当ルール番号1204が同一である問題あり従業員の該当割合(判定利用日数に対する該当日の割合、つまり、該当日数÷判定利用日数の算出値)と問題なし従業員の該当割合とのうちの少なくとも一方に基づいて、その該当ルール番号1204から特定される判定ルール中の一つのパラメータである該当割合閾値(該当割合の閾値)が修正される。或いは、該当ルール番号1204が同一である問題あり従業員の該当日状況(例えば、判定ルール403においてルールが「又は」になっている場合に、該当日として実際に何が該当したかを示す情報)と問題なし従業員の該当日状況とのうちの少なくとも一方に基づいて、判定ルールが新規に作成される。後者を例に採ってより具体的に説明すると、例えば、問題あり従業員は、該当日のうち休みの日の割合が50%以上となっているのに対し(従業員:0005は、該当日が4日で、そのうち休みが2日、従業員:0026は、該当日が3日で、そのうち休みが2日)、問題なし従業員は、該当日のうち休みの日の割合が50%を下回っている(従業員:0001は、該当日が3日で、そのうち休みが1日)。即ち、該当日のうちの休みの日の割合が、判定ルール403の基準として用いられてもよいことがわかる。従って、例えば、「該当日のうち50%以上が休み」というようなルール本体405を持つ判定ルール403が追加されることにより、本システムにおける発症チェック処理の精度が向上させられるようになる。
(具体例3)ルール修正プログラムが、特定の者(例えば管理者、上司或いは産業医)から、発症者発見処理ではピックアップされなかったが実際には心の病を発症していた従業員の従業員情報(例えば従業員番号202)の指定を受けて、指定された従業員情報に対応する出退勤管理データ901が示す出退勤履歴を解析し、その解析の結果を基に新規に判定ルールが作成される。例えば、その出退勤履歴から、『3ヶ月にわたって毎週水曜日に休んでいる』ということが特定された場合、判定期間を3ヶ月とし、対象日を毎週水曜日とし、ルールを、休みとなる日が判定利用日の全体の3分の1以上とした判定ルール403を作成することができる。
(具体例4)複数の処理結果データ1201において同一の従業員が所定確率以上の確率(例えば100%)で問題なしの場合には、その従業員の従業員情報及び/又は出退勤管理データ901が示す出退勤履歴を基に、新規に除外ルール503及び/又は506が作成される。後者を例に採り具体的に説明すると、例えば、図12に例示の処理結果データと他の処理結果データ1201をも含めた複数の処理結果データから、例えば、従業員:0001の健康状態1208は常に「問題なし」となっていた場合には、従業員:0001の従業員番号202を示す第一除外ルール503が新規に作成されてもよい。このようにすることで、実際には問題のない従業員について、間違って異常ありと判定されることが、防止されるようになる。
(具体例5)スコア閾値が、問題あり従業員の合計スコア1206を基に修正、例えば、問題あり従業員の合計スコア1206の最低値に修正される。より具体的には、例えば、図12において、該当ルール番号1204に関係なく、問題あり従業員の合計スコア1206の最低値は、「5」となっている。即ち、合計スコア1206が「4」以下であれば、心の病を発症している可能性が低いとも考えられる。従って、この場合、スコア閾値は、「5」に修正される。
以上が、出退勤管理データ901、判定ルールデータ1001、業務スケジュールデータ1101及び処理結果データ1201の説明である。
次に、本実施形態におけるサーバ105’の構成及びサーバ105’が行う処理について説明する。
図13は、本実施形態におけるサーバ105’の構成例を示す図である。
本実施形態におけるサーバ105’の記憶資源603には、更に、ルール修正プログラム1301が記憶される。
ルール修正プログラム1301は、本システムにおける発症チェック処理の精度を向上させるために、判定ルール403や除外ルール503を作成し、また、判定ルール403のパラメータやスコア閾値を自動的に修正するプログラムである。また、ルール修正プログラム1301は、業務スケジュールデータ1101を参照して、利用日除外ルール506を作成する。ルール修正プログラム1301は、発症チェック処理が行われる中で又は管理者等から指示されたときに起動され、ルールの作成やパラメータ等の修正を行う。
以下、図14及び図15を参照して、本実施形態におけるサーバ105が行う処理を説明する。尚、以下の説明においても、図7と同様に、プログラムが主語になる処理は、実際には、そのプログラムを実行するCPU601により実行される。
図14は、本実施形態における発症者発見処理の一例を示した図である。
本処理は、第一の実施形態における図7で示された処理と対応するものである。図7と同一の符号が付されているステップでは、図7とほぼ同じような処理が行われる。ここでは、主に図7との相違点について説明する。
まず、S701において、各種のデータが取得されるが、ここでは、従業員管理データ201、出退勤管理データ901、判定ルールデータ1001及び第一の除外ルールデータ501が取得される。
次に、判定操作(S702〜S705)が行われるが、本実施形態では、合計スコアが考慮される。即ち、判定プログラム6031は、判定ルール403のいずれかに合致した従業員について、その合計スコアがスコア閾値以上であるか否かを判定する(S1401)。尚、判定プログラム6031は、合計スコアを求めるために、S703において、全ての判定ルール403について判定を行う。合計スコアがスコア閾値以上の場合は(S1401:YES)、その従業員は、異常ありと判定され、判定結果に登録される。一方、合計スコアがスコア閾値よりも小さい場合は(S1401:NO)、その従業員は、判定結果に登録されない。
判定操作の後、除外操作が行われるが、除外操作は、図7の場合と同様である。
本処理においては、発症チェック処理が行われた際に、処理結果データ1201が生成される。判定プログラム6031は、処理結果データ1201を、除外操作が完了した後に一括して生成してもよいし、判定操作と除外操作が行われるのと並行して生成してもよい。判定操作、除外操作と並行して生成される場合には、処理結果データ1201の一部(該当従業員1203)を、判定結果や最終結果として利用することができる。
発症チェック処理が終了した後、パラメータ等の自動修正を行うか否かが判定される(S1402)。ここでは、例えば、管理者等が予め設定した情報が、自動修正を行うことを示す情報であれば、自動修正を行うとの判定になり(S1402:YES)、自動修正を行わないことを示す情報であれば、自動修正を行わないとの判定になる(S1402:NO)。
パラメータ等の自動修正が行われる場合には(S1402:YES)、最終結果に含まれる従業員の数が所定値を超えているか否かが判定される(S1403)。即ち、特に、本システムが導入された初期段階では、ルールやパラメータ等は、まだ適正なものとなっていない可能性がある。そのため、実際には心の病を発症していない従業員が、最終結果に含まれてしまうおそれがある。S1403における判定は、発症チェック処理の精度を向上するために行われる。S1403における所定値は、管理者等が任意に設定することができる。
最終結果に含まれる従業員の数が所定値を超えている場合は(S1403:YES)、ルール修正プログラム1301が起動され、パラメータ等の修正が行われる。即ち、ルール修正プログラム1301は、S709までの処理によって生成された処理結果データ1201や過去に生成された他の処理結果データ1201を参考にして、判定ルール403のパラメータやスコア閾値を修正する(S1404)。自動修正を行わないようにパラメータをセットし、その後、S709までの処理によって生成された処理結果データ1201が削除され(S1405)、発症チェック処理が再び実行される。尚、処理結果データ1201は、削除されないで、名前が変更される等して古いデータとして扱われてもよいし、発症チェック処理が再実行されたときの結果が、そのデータ1201に上書きされるようにしてもよい。
一方、パラメータの自動修正が行われない場合(S1402:NO)、又は最終結果に含まれる従業員の数が所定値以下の場合は(S1403:NO)、最終結果に基づいて、警告メールの送信が行われる(S1406)。S1406の処理と図7におけるS710の処理は、以下の点を除いて同じである。即ち、S1406では、処理結果データ1201が参照され、重要度1207に応じて警告メールを送信する相手が変更される。例えば、メール送信プログラム6032は、重要度が「LOW」の場合は産業医にのみへ、重要度が「MIDDLE」の場合は産業医とチームリーダーとへ、重要度が「HIGH」の場合は産業医とチームリーダーと課長とへ、それぞれ警告メールを送信する。最後に、本処理において生成された処理結果データ1201が、処理結果DB802へ格納される。
尚、どの重要度の場合にはどの上司に警告メールを送信するかは、例えば、重要度と役職との対応関係を記録したテーブルを基に判定されてもよい。また、従業員毎に、どの重要度の場合にはどの上司に警告メールを送信するかが定義されていてもよい。警告メールの送信先となる上司の数は一人に限らず複数人でもよい。
また、S1404においては、パラメータ等の修正が行われたが、新たな判定ルール403や新たな除外ルール503の作成が行われて、それらが発症チェック処理の再実行の際に用いられるようにしてもよい。
また、パラメータ等の自動修正が行われても、最終結果に含まれる従業員の数が所定値以下とならないことにより、無限ループに陥ってしまうことを回避するために、例えば、S1402において、自動修正が行われた回数も判定されてもよいし、S1403における所定値が、自動的に変更されるようにしてもよい。
以上が、本実施形態における発症者発見処理についての説明である。次に、管理者等から指示されて、任意のタイミングで起動されたルール修正プログラム1301が、ルールの作成やパラメータの修正を行う際の処理(以下、「ルール作成処理」)の流れを説明する。尚、ルール作成処理は、新規にルールデータ301、501、504を作成するために実施されてもよいし、既存のルールデータ301、501、504に新たなルール304、503、506を追加するために、また、既存の判定ルール304のパラメータやスコア閾値を修正するために実施されてもよい。
図15は、本実施形態におけるルール作成処理の一例を示した図である。
まず、ルール修正プログラム1301は、ルール作成処理の対象が第二除外ルール506の作成であるか否かを判定する(S1501)。
ルール作成処理の対象が第二除外ルール506である場合は(S1501:YES)、ルール修正プログラム1301は、業務スケジュールDB801から業務スケジュールデータ1101を取得する(S1502)。
次に、業務スケジュールデータ1101が参照され、新たな第二除外ルール506の作成が、可能か否かが判定される(S1503)。具体的には、業務スケジュールデータ1101の中に新たな除外スケジュールが追加されたか否か、新たな除外スケジュールに対応する第二除外ルール506が有効なものか否か等が判定される。尚、既存の第二の除外ルールデータ504がある場合は、それをも参照され、新たに追加するルール506が、既存のルール506と重複しないようにされる。
新たな第二除外ルール506の作成が可能な場合は(S1503:YES)、ルール修正プログラム1301は、除外スケジュールとして記された日が除外日となるように、第二除外ルール506を作成し(S1504)、処理を終了する。
一方、ルール作成処理の対象が第二除外ルール506以外である場合は(S1501:NO)、ルール修正プログラム1301は、処理結果DB802から処理結果データ1201を取得する(S1505)。処理結果DB802には、これまでに行われてきた発症チェック処理によって生成された処理結果データ1201が、蓄積されている。本処理では、この蓄積された処理結果データ1201の全部が利用されてもよいし、そのうちの一部が利用されてもよい。
次に、処理結果データ1201が参照され、新たなルールの作成又はパラメータ等の修正が、可能か否かが判定される(S1506)。例えば、判定ルール403の新規作成が行われる場合は、処理結果データ1201において、問題あり従業員と問題なし従業員との間で特定の違いがあるか否か(例えば、問題あり従業員の平均出勤時刻のうちの時間と問題なし従業員の平均出勤時刻のうちの時間とが重複していないか否か)等が判定される。
新たなルールの作成又はパラメータ等の修正が可能な場合は(S1506:YES)、ルール修正プログラム1301は、処理結果データ1201を参照して、判定ルール403及び/又は第一除外ルール503の新規作成、判定ルール403の修正、及びスコア閾値の修正のうちの少なくとも一つを実行し(S1507)、処理を終了する。
新たなルールの作成又はパラメータ等の修正が不可能な場合は(S1503:NO又はS1506:NO)、ルール修正プログラム1301は、ルールの作成やパラメータ等の修正を行わずに、処理を終了する。
以上が、第二の実施形態におけるサーバ105が行う処理の一例の説明である。このような処理が行われることにより、本システムは、発症チェック処理において用いるルールを自動的に作成し、また、ルールやパラメータ等を適切なものに自動的に修正できるようになる。そして、発症チェック処理とルールやパラメータ等の修正とが繰返して行われることにより、より適切なルールやパラメータ等が得られるので、より精度の高い発症チェック処理が、行われることが可能となる。
尚、本システムは、このようなルールやパラメータ等を、例えば、通信ネットワークを経由して、他の部署や他の会社等で運用されている同システムへ提供することもできる。複数のメンタルヘルス管理システムが、ルールやパラメータ等を提供し合って、ルールやパラメータ等の共有化が図られれば、多くの結果が反映された更に精度の高いルールやパラメータ等が、得られるようになる。具体的には、例えば、第一の会社等で利用される第一のメンタルヘルス管理システムにおける第一のサーバが、第二の会社等で利用される第二のメンタルヘルス管理システムにおける第二のサーバに、判定ルールDB103内の判定ルールデータ401と、除外ルールDB104内の第一の除外ルールデータ501と、第二の除外ルールデータ504とのうちの少なくとも一つを送信することができる。第二のサーバは、受信したデータをそれぞれそのデータに対応したDBに格納することができる。また、第二のサーバは、その受信に応答して、第二のメンタルヘルス管理システムにおける判定ルールデータ401と、第一の除外ルールデータ501と、第二の除外ルールデータ504とのうちの少なくとも一つを、第一のサーバに送信することができる。
上述した本発明の幾つかの実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
例えば、判定操作に用いられる判定ルールは、様々なものが考えられる。上述した実施形態では、毎週木曜日等のように週単位の繰返しによる判定ルールを例示したが、例えば、遅刻、早退若しくは休みが連続的に発生することにより、又は遅刻等の頻度が所定値よりも大きくなることにより、異常ありと判定するような判定ルールが、用いられてもよい。
また、判断処理の効率向上と、余計な警告メール発信減少のために、例えば、発症可能性ありと判断された従業員の出勤異常/退勤異常データ一件ごとに、上司による「出勤異常あり/なし」「退勤異常あり/なし」との詳細判定を実施し、その結果をマニュアル登録し、異常なしの場合には後の判断時に当該データを除外(スキップ)するための仕組みを加えてもよい。あるいは、統計的な判定精度を向上させるために、「判定に使用する対象日が最低5日以上なければ判断対象から除外」などの条件を追加してもよい(例えば、“最低5日以上”の“5”という値は任意の値に変更することが可能である)。
また、本実施形態では、判定操作と除外操作とを二段階とした場合に、判定結果に基づいて除外操作が行われたが、これとは逆に、除外操作の結果に基づいて判定操作が行われてもよい。この場合は、従業員管理データ201及び/又は出退勤管理データ301に対して除外操作が行われ(例えば、従業員管理データ201における参照範囲を絞り込んだり、出退勤管理データ301のうち参照不要とする日付302、出退勤時刻303及び304を決定することで、参照する範囲を絞り込んだりし)、除外されずに残った従業員に対して判定操作が行われてもよい。
また、前述した複数のDB101、102、103、104、801及び802のうちの少なくとも一つが、別の外部記憶装置109或いはサーバ105(或いは105´)内記憶資源に存在してもよい。
第一の実施形態に係るメンタルヘルス管理装置が適用されたサーバを備えるメンタルヘルス管理システムの構成例を示す図である。
従業員管理データの一例を示す図である。
出退勤管理データの一例を示す図である。
判定ルールデータの一例を示す図である。
図5(a)は、第一の除外ルールデータの一例を示す図である。図5(b)は、第二の除外ルールデータの一例を示す図である。
第一の実施形態におけるサーバの構成例を示す図である。
第一の実施形態における発症者発見処理の一例を示した図である。
第二の実施形態に係るメンタルヘルス管理装置が適用されたサーバを備えるメンタルヘルス管理システムの構成例を示す図である。
第二の実施形態における出退勤管理データを示す図である。
第二の実施形態における判定ルールデータを示す図である。
業務スケジュールデータの一例を示す図である。
処理結果データの一例を示す図である。
第二の実施形態におけるサーバの構成例を示す図である。
第二の実施形態における発症者発見処理の一例を示した図である。
第二の実施形態におけるルール作成処理の一例を示した図である。
符号の説明
101…従業員管理DB、102…出退勤管理DB、103…判定ルールDB、104…除外ルールDB、105…サーバ、106…ネットワーク、107…上司端末、108…産業医端末、201…従業員管理データ、301(901)…出退勤管理データ、401(1001)…判定ルールデータ、501…第一の除外ルールデータ、504…第二の除外ルールデータ、601…CPU、602…通信I/F、603…記憶資源、6031…判定プログラム、6032…メール送信プログラム、1101…業務スケジュールデータ、1201…処理結果データ、1301…ルール修正プログラム