JP4912860B2 - ゴム組成物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物およびその用途に関する。詳しくは、本発明は、燃料電池シール材、LIM成形用ガスケット材などの各種ガスケット材、電線コネクターシール材などの用途に好適に用いることのできるゴム組成物、および該ゴム組成物より得られる燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、LIM成形用ガスケット材、電線コネクター用シール材、並びにそれらを実装した本体に関する。
電器製品に用いられるシール部品やガスケット部品は、バリア性、シール性等に優れ、所望の硬度を満たすとともに、通電時の発熱にも対応できる高度な耐熱性を有し、低温環境下においても使用可能であることが肝要である。
たとえば燃料電池のセルシール材などとしては、耐熱性、耐酸性、耐気体透過性および高速成形性に優れた、低コストな材料が求められており、現状では、耐熱性、耐酸性からはフッ素ゴムが、耐気体透過性からはブチルゴムが、耐熱性と成形性からはシリコーンゴムが、それぞれ適用されているが、高速成形性の要求に対しては、通常の材料では不十分で、この場合、液状のシリコーンゴムを用い、LIM(Liquid Injection Molding)成形を適用した方法などが考えられている。しかしながらシリコーンゴムは、耐熱性、高速成形性には優れているものの、耐酸性、耐気体透過性については充分とはいえない。
また電子機器製品は、小型化、高性能化に伴ない、構成部品を小さく薄くすることが求められている。しかし構成部品を小さくすると、製造の組立作業性が悪くなるため、種々の部品の一体化、複合化が求められている。
たとえば、電子記憶装置であるハードディスクドライブ用のガスケットは、ゴム単体や発泡ウレタンシートステンレスやアルミニウム等の金属カバー挟み接着剤で接合し、一体化して用いられる場合がある。しかし、一体化と同時に金属カバーの軽量化・薄肉化を行うため、ガスケットの硬度(反力)が高いと、カバーが変形する問題が生じた。
そこで、ガスケット材として、スチレン系熱可塑性エラストマーが開示された(特許文献1)。スチレン系熱可塑性エラストマーは、硬度が低く、かつゴム材料に比べ加硫工程が不要なため、工程の簡略化可能なこと、リサイクルが可能であることが示されている。
ところが、ハードディスクドライブの高性能化(高回転数)による発熱、および自動車への採用により、使用環境としてより高温下(特に80℃以上)に曝される傾向にある。そのような環境下では、従来のスチレン系熱可塑性エラストマーは、機械特性の一つである高温下での永久変形の問題が生じ、性能上の限界があった。
電線コネクターは、電線同士の接続と分岐を行うもので、ワンタッチで接続が可能なオス・メス一対の樹脂製枠、電線、およびシール材で構成されている。シール材は、電線・樹脂製枠間の主にダストシールとして用いられる。この種の用途に用いられる電線コネクター用シール材は、細い電線に対するシール性と挿入性が要求され、従来は、低硬度でオイルブリードタイプのシリコーンゴムやニトリルゴムが用いられていたが、それらのゴムは、主にシリコーンオイルを可塑剤として含有しており、可塑剤が使用中に電気接点に付着し、電気接点の絶縁化による通電の不具合が発生するという問題があった。
このような状況において、特許文献2には、高速成形に優れ、耐熱性、耐酸性および耐
気体透過性に優れ、燃料電池シール材、ハードディスクドライブなどの電子装置用ガスケット材、電線コネクター用シール材等に好適に用いられるゴム組成物が提案されている。このゴム組成物は、LIM成形が可能な液状ゴム組成物であって、低硬度の成形物が得られることから、高圧縮でも低反力のシールが求められる燃料電池用シール材やハードディスクドライブ用のガスケット材などに好適である。しかしながら、このようなゴム組成物は、シリコーンゴムなどに比べて低温環境下での弾性回復率については劣るため、低温環境下での機械特性についてさらなる改良が求められていた。
特許第2961068号公報 国際公開WO03/057777公報
本発明は、シール性、耐熱性、耐酸性に優れ、低反力、低硬度であって、圧縮永久歪みが小さく、特に低温環境下でのシール性に寄与する低温回復性に優れたゴム組成物およびその用途、ならびに該ゴム組成物を実装した本体を提供することを課題としている。
本発明のゴム組成物は、
以下の(a)〜(e)を、好ましくは以下の(a)〜(f)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]と、
(a)エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、
(b)α−オレフィンの炭素数が3〜20であり、
(c)エチレン単位/α−オレフィン単位の重量比が35/65〜95/5であり、
(d)ヨウ素価が0.5〜50の範囲であり、
(e)135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜5.0dl/gであり、
(f)非共役ポリエンが、下記の一般式[I]で表わされる少なくとも一種のノルボルネン化合物である;
下記一般式[II]で表される、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]と、
下記一般式[III]で表される、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物
[C]と
を含有してなることを特徴としている。
Figure 0004912860
(式[I]中、nは0ないし10の整数であり、R1は水素原子または炭素原子数1〜1
0のアルキル基であり、R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
Figure 0004912860
(式[II]中、R3は炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、aは0〜20の整数であり、bは0〜20の整数であり、R4は炭素数1〜30の二価の有機基または酸素原子である。)、
Figure 0004912860
(式[III]中、R5は炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、R6は炭素数1〜30の三価の有機基である。)
このような本発明のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]100重量部に対して、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]を0.1〜2重量部含有することが好ましい。
本発明のゴム組成物では、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]が、下記式[III−1]で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004912860
本発明のゴム組成物では、SiH基含有化合物[B]が、下記式[II−1]で表される
化合物であることが好ましい。
Figure 0004912860
本発明の燃料電池シール材は、前記本発明のゴム組成物からなる。
本発明の燃料電池は、前記本発明のゴム組成物からなる燃料電池シール材を有する。
本発明のハードディスクドライブトップカバーガスケット、ならびに本発明のLIM成形用ガスケット材は、前記本発明のゴム組成物からなる。
本発明のハードディスクドライブは、前記本発明のゴム組成物からなるハードディスクドライブトップカバーガスケットを有する。
本発明の電線コネクターシール材は、前記本発明のゴム組成物からなる。
本発明の電線コネクターは、前記本発明のゴム組成物からなる電線コネクターシール材を有する。前記本発明の電線コネクターは、自動車用電線コネクターであることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、LIM成形に好適であって、これを用いて成形された成形品は、シール性、耐熱性、耐酸性に優れ、低反力、低硬度であって、圧縮永久歪みが小さく、特に低温環境下でのシール性に寄与する低温回復性に優れる。本発明のゴム組成物は、オイルブリードやブルームなどを生じず、機械的特性、耐アウトガス性に優れた成形品を製造することができ、電線コネクター用シールを成形した場合には電線のシール性と挿入性に優れたものとなり、燃料電池シール材、LIM成形用ガスケット材、電線コネクターシール材に好適である。本発明の燃料電池、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、ハードディスクドライブ、電線コネクター等は、本発明のゴム組成物からなる成形体を具備しており、該成形体はシール性、耐熱性、耐酸性に優れ、低反力、低硬度であって、圧縮永久歪みが小さく、低温回復性に優れ、低温環境下での使用および発熱による高温条件下での使用のいずれにも好適である。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ゴム組成物>
本発明に係るゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]、および、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]を必須成分として含有する。
[A]エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体
本発明で用いられる共重合体[A]は、少なくとも以下の(a)〜(e)を満足し、好ましくは以下の(a)〜(f)を満足する。
(a)エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、
(b)α−オレフィンの炭素数が3〜20であり、
(c)エチレン単位/α−オレフィン単位の重量比が35/65〜95/5であり、
(d)ヨウ素価が0.5〜50の範囲であり、
(e)135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜5.0dl/gであり、
(f)非共役ポリエンが、下記の一般式[I]で表わされる少なくとも一種のノルボルネン化合物である。
本発明に係る共重合体[A]は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、好ましくはこれらのランダム共重合体である。
・α−オレフィン
共重合体[A]を構成するα−オレフィンは、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα−オレフィン がより好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、1−オクテンが最も好ましく用いられる。これらのα−オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
・非共役ポリエン
共重合体[A]を構成する非共役ポリエンは、特に限定されるものではないが、好ましくは非共役ジエンであり、より好ましくは下記一般式[I]で表わされる少なくとも1種のノルボルネン化合物である。
Figure 0004912860
(式[I]中、nは0ないし10の整数であり、R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
一般式[I]で表わされるノルボルネン化合物の具体例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
このなかでも、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノル
ボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンが好ましい。これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の共重合体[A]を構成する非共役ポリエンは、上記一般式[I]で表されるノルボルネン化合物以外の非共役ポリエンであってもよい。用いることができる非共役ポリエンには特に制限がないが、以下に示す鎖式非共役ジエン、脂環式非共役ジエン、およびトリエン化合物が挙げられ、それらは単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また上記一般式[I]で表されるノルボルネン化合物以外の非共役ポリエンは、上記一般式[I]で表されるノルボルネン化合物とともに用いられてもよい。
鎖式非共役ジエンの具体例としては、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等が挙げられる。
環状非共役ジエンの具体例としては、5−メチレン−2−ノルボルネン、1−メチル−5−メチレン−2−ノルボルネン、1−エチル−5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン等が挙げられる。
さらに上記以外の具体例としては、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
・共重合体[A]の組成と特性
本発明に係る共重合体[A]は、エチレン単位/α−オレフィン単位の比が、重量比で35/65〜95/5であり、好ましくは40/60〜90/10、より好ましくは45/55〜85/15、特に好ましくは50/50〜80/20である。
この重量比が上記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性および加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
本発明の共重合体[A]のヨウ素価は、0.5〜50(g/100g)であり、好ましくは1〜45、より好ましくは1〜43、特に好ましくは3〜40(g/100g)である。
このヨウ素価が、上記範囲内にあると、架橋効率の高いゴム組成物が得られ、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、耐環境劣化性(=耐熱老化性)に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。ヨウ素価が、上記範囲を超えると、架橋密度が高くなり過ぎて引張伸びなどの機械特性が低下する場合がある。
本発明に係る共重合体[A]の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.01〜5.0dl/gであり、好ましくは0.03〜4.0dl/g、さらに好ましくは0.05〜3.5dl/g、特に好ましくは0.07〜3.0dl/gである。また、共重合体[A]の極限粘度[η]が、0.5dl/g以下、好ましくは0.3dl/g未満である態様は、特にゴム組成物をLIM成形する場合に好適である。極限粘度[η]が、上記範囲内にあると、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
また、本発明に係る共重合体[A]は、Anton Paar 社(オーストラリア)製の粘弾性
装置 MCR301 を用いて測定した複素粘度(25℃、歪み1%)が、105Pa・S
以下、好ましくは4000Pa・S以下、より好ましくは2000Pa・S以下の低粘度であることが望ましい。
・共重合体[A]の製法
本発明に係る共重合体[A]は、エチレンと、α−オレフィンと、上述した式[I]で表されるノルボルネン化合物を含む非共役ポリエンとを、重合用触媒の存在下に共重合させることにより製造することができ、具体的には、例えば「ポリマー製造プロセス」((株)工業調査会発行、365〜378ページ)、特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10−67824号公報、特開平10−110054号公報などに記載されているような従来公知の方法により好ましく調製することができる。
重合用触媒としては、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)等の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなるチーグラー触媒、あるいは元素の周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン触媒が好ましく用いられる。
具体的には、本発明に係る共重合体[A]は、下記バナジウム化合物(a)および有機アルミニウム化合物(b)を主成分として含有する触媒の存在下に、重合温度30〜60℃、特に30〜50℃、重合圧力4〜12kgf/cm2、特に5〜8kgf/cm2、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレンと、α−オレフィンと、上記の非共役ポリエン、特に好ましくはビニル基を含有するノルボルネン化合物、とを共重合することにより好適に製造することができる。共重合は、炭化水素媒体中で行うのが好ましい。
バナジウム化合物(a)としては、たとえば、一般式 VO(OR)abまたはV(OR)cd(式中、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物を挙げることができる。
より具体的には、VOCl3、VO(OC25)Cl2 、VO(OC252Cl、VO(O−iso−C37)Cl2、VO(O−n−C49)Cl2、VO(OC253、V
OBr3、VCl4 、VOCl3、VO(O−n−C493、VCl3・2OC612OH
などを例示することができる。
有機アルミニウム化合物(b)としては、具体的には、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
0.5Al(OR)0.5 などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化され
たアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウ
ムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
・その他の樹脂成分
本発明に係るゴム組成物は、樹脂成分として上述したエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]のみを含むことが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]以外の樹脂成分を含有してもよい。
共重合体[A]以外の樹脂成分としては、たとえば、オルガノポリシロキサンが任意成分として好適に用いられる。オルガノポリシロキサンは、ゴム組成物の耐熱老化性を向上させる作用を有し、燃料電池シール品、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、電線コネクター用シール材の耐熱老化性向上に寄与する。
本発明のゴム組成物が、オルガノポリシロキサンを含有する場合、その含有量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体:オルガノポリシロキサンの重量比で99.9:0.1〜5:95、好ましくは99.9:0.1〜60:40、より好ましくは99.9:0.1〜70:30の範囲であることが好ましい。
オルガノポリシロキサンとしては、平均組成式が、下記式(S)で示されるものが挙げられる。
1 tSiO(4-t)/2 …(S)
(式(S)中、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基を示し、該基の水素原子の一部又
は全部がシアノ基またはハロゲン基で置換されていてもよく、tは1.9〜2.1の数である。)
上記式(S)中のR1は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基であり、それら該基の水素原子の一部又は全部が塩素原子、フッ素原子、シアノ基で置換されていてもよい。
オルガノポリシロキサンとしては、主鎖がジメチルシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサン、あるいはジメチルポリシロキサンの主鎖の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したオルガノポリシロキサンが特に好適である。
オルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上のアルケニル基、シクロアルケニル基等の脂肪族不飽和基を有するものが好ましく、R1中0.01〜20モル%、特に0.0
2〜10モル%がかかる脂肪族不飽和基、特にビニル基であることが好ましい。この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端でも、分子鎖の途中でも、その両方にあってもよいが、少なくとも分子鎖末端にあることが好ましい。また、分子鎖末端は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものを挙げることができる。
本発明に用いることのできるオルガノポリシロキサンとして、特に好ましいものは、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン等を挙げることができる。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、あるいは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体あるいは4量体など)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。これらは基本的に直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、分子構造の異なる2種又は3種以上の混合物であってもよい。
オルガノポリシロキサンは、市販品として入手することが可能であり、あるいは開示されている公知の方法によって合成しても得ることができる。
オルガノポリシロキサンの重合度は100以上が好ましく、特に好ましくは3,000〜20,000である。また、その粘度は、25℃で100センチストークス(cSt)以上が好ましく、特に好ましくは100,000〜100,000,000cStである。
[B]一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物
本発明で用いられる一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]は、下記一般式[II]で表される化合物である。
Figure 0004912860
(式[II]中、R3は炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、aは0〜20の整数であり、bは0〜20の整数であり、R4は炭素数1〜30の二価の有機基または酸素原子である。)
このような一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]の特徴は、分子両末端にSiH基を有し、一分子あたりSiH基を2個有することである。一般式[II]中、R3の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、フェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などが挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、およびフェニル基である。aは0〜20の整数であり、bは0〜20の整数である。好ましくは、aおよびb共に10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2以下であり、最も好ましくはaとbが等しく2以下である。
以下に一般式[II]で表される一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]の具体例を示す。一般式[II]におけるR4は、炭素数1〜30の二価の有機基また
は酸素原子であって、二価の有機基の具体的な例は、下記具体的化合物例中の二価の基に相当する。これらのSiH基含有化合物[B]は、単独でも2種以上混合して用いることができる。また、SiH基含有化合物[B]は、開示されている公知の方法によって合成することができる。
Figure 0004912860
Figure 0004912860
Figure 0004912860
Figure 0004912860
Figure 0004912860
Figure 0004912860
これらのうち、本発明で特に好ましく用いられる、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]は、下記式[II−1]で表される化合物である。
Figure 0004912860
このような化合物を[B]成分として用いることにより、従来の優れた諸特性を維持しつつ更に機械特性を向上させた最も優れた特性を有する燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、および電線コネクター用シール材を得ることができる。
このような一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]は、ゴム組成物中の樹脂成分中に含まれる脂肪族不飽和結合1個当たり、珪素原子に結合した水素原子を0.2〜10個与える量でゴム組成物中にまれていることが好ましい。
本発明のゴム組成物における、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]の含有量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]100重量部に対して、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜8重量部の割合であることが、成形物のゴム硬度などの点から望ましい。
なお、このような一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]を、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]に対して単独で添加したゴム組成物は、架橋密度をある程度抑制でき、成形体が伸び特性に優れるものとはなるが、特に低温時(−30℃)における圧縮永久歪み率が高く、回復性に劣る点で改良の余地がある。
[C]一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物
本発明で用いられる一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]は、下記一般式[III]で表される化合物である。
Figure 0004912860
(式[III]中、R5は炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、R6は炭素数1〜30の三価の有機基である。)
このようなSiH基含有化合物[C]は、分子の3つの末端にSiH基を有し、一分子中にSiH基を3個有する。一般式[III]中のR5は、一般式[II]中R3と同様のものが例示され、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、フェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などが挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、およびフェニル基である。a、bおよびcは、それぞれ独立に0〜20の整数であり、好ましくは、a、bおよびcが共に10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2以下であり、最も好ましくはa、bおよびcが等しく2以下である。一般式[III]中のR6は炭素数1〜30の三価の有機基であり、好ましくは、ケイ素を含有する炭素数1〜30の三価の有機基である。
特に好ましい一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]としては、下記式[III−1]で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004912860
本発明のゴム組成物における、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]の含有量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]100重量部に対して、好ましくは0.1〜2重量部、より好ましくは0.3〜1.4重量部の割合であることが望ましい。
このような一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]を、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]に対して単独で添加したゴム組成物は、三次元架橋し、機械強度などのゴム物性が向上する反面、回復性に劣るとともに、スコーチを起こしやすく成形時の取り扱い性が悪いなど、ゴム組成物を燃料電池シール材、LIM成形用ガスケット材、電線コネクターシール材などとして用いるには適当でない性状を示すが、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]と一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]とを、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]に対して組み合わせて添加した本発明のゴム組成物では、成形性が良好で、耐熱性、バリア性、シール性に優れるとともに、高温時(150℃)および低温時(−30℃)における圧縮永久歪み率が低く、回復性に優れ、燃料電池シール材、LIM成形用ガスケット材、電線コネクターシール材などの用途に好適に用いることができる。
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]、および、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]を必須成分として含有し、必要に応じてオルガノポリシロキサン、さらに必要に応じて後述する触媒、あるいは反応抑制剤、ならびにその他の成分を含有している。
・ゴム組成物の調製
本発明のゴム組成物は、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類、2本ロール、3本ロールなどの混練装置により、共重合体[A]および必要に応じてオルガノポリシロキサンを、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などのその他の成分と共に、好ましくは50〜180℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、SiH基含有化合物[B]および[C]を、また必要に応じて後述する触媒や反応抑制剤、更には加硫促進剤、架橋助剤を追加混合し、ロール温度100℃以下で1〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合は、ゴム組成物を構成する全成分を同時に混合して混練してもよい。
架橋方法
・触媒
本発明のゴム組成物の製造において、SiH基含有化合物[B]および[C]を用いて架橋する場合、架橋で用いられる触媒は付加反応触媒であり、共重合体[A]および必要に応じて用いられるオルガノポリシロキサンのアルケニル基などと、SiH基含有化合物[B]および[C]のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応など)を促進するものである。
このような触媒としては、通常、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応用触媒が用いられるが、本発明においては、白金系触媒が好ましい。白金系触媒を含めて周期律表8族元素金属、特に好ましくは白金と、ビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物との錯体を用いることが望ましい。
カルボニル基を含む化合物としては、カルボニル、オクタナル等が好ましい。これらと白金との錯体としては、具体的には、白金−カルボニル錯体、白金−オクタナル錯体、白金−カルボニルブチル環状シロキサン錯体、白金−カルボニルフェニル環状シロキサン錯体などが挙げられる。
ビニル基を含む化合物としては、ビニル基含有オルガノシロキサンが好ましい。これらと白金との錯体としては、具体的には、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラエチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラプロピルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラブチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラフェニルジシロキサン錯体が挙げられる。
ビニル基含有オルガノシロキサンの中でも、ビニル基含有環状オルガノシロキサンが好ましい。これらと白金との錯体としては、白金−ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金−ビニルエチル環状シロキサン錯体、白金−ビニルプロピル環状シロキサン錯体が挙げられる。
ビニル基含有オルガノシロキサンは、それ自体を金属に対する配位子としてもよいが、他の配位子を配位させる際の溶媒として用いてもよい。ビニル基含有オルガノシロキサンを溶媒として用い、前述のカルボニル基を含む化合物を配位子とする錯体は、触媒として
特に好ましい。
このような錯体としては、具体的には、白金−カルボニル錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のビニルエチル環状シロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のビニルプロピル環状シロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラメチルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラエチルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラプロピルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラブチルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラフェニルジシロキサン溶液が挙げられる。
これらの錯体からなる触媒は、ビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物以外の成分を更に含んでいてもよい。たとえばビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物以外の溶媒を含んでいてもよい。これらの溶媒としては、各種アルコールや、キシレン等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
アルコールとして具体的には、メタノールやエタノールで代表される脂肪族飽和アルコール類;アリルアルコール、クロチルアルコール等の脂肪族不飽和アルコール類;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール類;ベンジルアルコール、シンナミルアルコール等の芳香族アルコール類;フルフリルアルコール等の複素環式アルコール類などが挙げられる。
アルコールを溶媒として用いた例として、白金−オクタナル/オクタノール錯体が挙げられる。これらの溶媒を含むことにより、触媒の取扱いや、ゴム組成物への混合が容易になる等の利点が生ずる。
以上に挙げた各種触媒のうちで、白金−カルボニル錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液(中でも下記化学式1で示される錯体が好ましい)、白金−ビニルメチル環状シロキサン錯体(中でも化学式2で示される錯体が好ましい)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(中でも化学式3で示される錯体が好ましい)、白金−オクタナル/オクタノール錯体等が実用上好ましく、その中でも、白金−カルボニルビニルメチル環状シロキサン錯体が特に好ましい。
化学式1: Pt0・CO・(CH2=CH(Me)SiO)4
化学式2: Pt0・(CH2=CH(Me)SiO)4
化学式3: Pt0−1.5[(CH2=CH(Me)2Si)2O]
これらの触媒に含まれる周期律表8族元素金属(好ましくは白金)の割合は、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、さらに好ましくは2〜4重量%、特に好ましくは2.5〜3.5重量%である。
触媒は、特に限定されるものではないが、共重合体[A]と必要に応じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計に対して、0.1〜100,000重量ppm、好ましくは0.1〜10,000重量ppm、さらに好ましくは1〜5,000重量ppm、特に好ましくは5〜1,000重量ppmの割合で用いられる。上記範囲内の割合で触媒を用いると、架橋密度が適度で、強度特性および伸び特性に優れる架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100,000重量ppmを超える割合で触媒を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。触媒を含まないゴム組成物の未架橋ゴム成形体に、光、γ線、電子線等を照射して架橋ゴム成形体を得ることもできる。
本発明のゴム組成物の架橋においては、上記触媒の他に有機過酸化物を使用して、付加架橋とラジカル架橋の両方を行ってもよい。有機過酸化物は、共重合体[A]と必要に応
じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計100重量部に対し、0.1〜10重量部程度の割合で用いられる。有機過酸化物としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができる。
・反応抑制剤
架橋においては、上記の触媒とともに反応抑制剤を用いることが好ましい。反応抑制剤は、ベンゾトリアゾール、(たとえばエチニルシクロヘキサノール等のエチニル基含有アルコール類、アクリロニトリル、N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−p−フタル酸ジアミド
等のアミド化合物、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
反応抑制剤は、共重合体[A]と必要に応じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計100重量部に対して、0〜50重量部、通常0.0001〜50重量部、好ましくは0.0001〜30重量部、より好ましくは0.0001〜20重量部、さらに好ましくは0.0001〜10重量部、特に好ましくは0.0001〜5重量部の割合で用いられる。50重量部を超える割合で反応抑制剤を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
・その他の成分
本発明のゴム組成物中に、意図する架橋物の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。充填剤や配合剤として代表例を取上げ、以下により、具体的に説明する。
(i)ゴム補強剤
ゴム補強剤は、架橋(加硫)ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物においては、カーボンブラックなどのゴム補強材の使用を省略しても、強度およびシール性に優れたシール材を提供できるゴム組成物が得られるが、カーボンブラックなどのゴム補強材を配合することによってさらに改善された強度が得られる。ゴム補強材としてカーボンブラックを使用するときは、その使用量は、共重合体[A]と必要に応じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計100重量部に対して、1〜300重量部、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは1〜50重量部であり、最も好ましくは10〜50重量部であることが望ましい。本発明の組成物では、カーボンブラックを配合しても好適な電気絶縁性を維持することができる。
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカなどが挙げられる。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。また、これらシリカの比表面積(BET法)は、好ましくは10m2/g以上、より好ましくは30〜500m2/gである。
本発明においては、カーボンブラックとして、ヨウ素吸着量が80mg/g以下、好ましくは15〜40mg/gであって、平均粒子径が250nm以下、好ましくは40〜100nm、DBP吸収量が10〜300cm3/100g、好ましくは40〜150cm3/100gのものを好適に用いることができ、たとえば、FEF級、GPF級、SRF級などのカーボンブラックが好適に用いられる。このようなカーボンブラックを用いる場合には、一次粒子径を示すBET比表面積が30〜80m2/g、好ましくは40〜60m2/gであり、二次粒子径を示すコールカウンターによる粒子径が1〜4μm、好ましくは1.5〜3μmの表面改質した沈殿法シリカ(含水珪酸)を併用すると、高温環境下での圧縮永久歪み率が低く、回復性に優れる成形体が得られるため好ましい。
これらのゴム補強剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤の配合量は通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]と必要に応じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。これらのゴム補強剤は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
(ii)無機充填剤
無機充填剤の具体的は、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、ケイ藻土などが挙げられる。これらの無機充填剤は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの無機充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は通常、共重合体[A]と必要に応じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計100重量部に対して、1〜最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
(iii)軟化剤
軟化剤は、通常ゴムに使用される公知の軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、 蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子類、およびその他としてトール油やサブを挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。これらの軟化剤の配合量は、架橋物の用途により適宜選択される。これらの軟化剤は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
(iv)老化防止剤
老化防止剤は、従来公知の老化防止剤が全て用いられ、アミン系、ヒンダードフェノール系、またはイオウ系老化防止剤などが挙げられ、老化防止剤の量は、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。また、下記で例示する老化防止剤は、アミン系、ヒンダードフェノール系、およびイオウ系において、同一系内でも異種系間においても、単独でもあるいは2種以上組み合わせても用いることができる。
アミン系老化防止剤は、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類などが挙げられる。特に4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'− ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンが好ましい。
ヒンダードフェノール系老化防止剤は、特に、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t− ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、および3,9−ビ
ス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンのフェノール化合物が好ましい。
イオウ系老化防止剤は、特に、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ましい。
(v)加工助剤
加工助剤は、通常のゴムの加工に使用される公知化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。加工助剤の量は、共重合体[A]と必要に応じて添加されるオルガノポリシロキサンとの合計100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
(vi)架橋助剤
本発明のゴム組成物の架橋において、有機過酸化物を使用する場合は、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤の具体例は、イオウ、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
(vii)その他の樹脂成分
本発明のゴム組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の樹脂成分として公知の他のゴムを併用することができ、具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
また、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)のような従来公知のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムや本発明の共重合体[A]以外のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合として、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDMなど)を用いることができる。
<燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、電線コネクター用シール材>
成形・架橋法
上述した本発明のゴム組成物は、機械特性に優れ、耐熱性にも優れるため、燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、および電線コネクター用シール材等の用途に特に好適に用いることができる。本発明のゴム組成物は、特にLIM成形用に好適であるが、その他の成形方法によって成形体を製造することもできる。
本発明の燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット、および電線コネクター用シール材(以下、本発明の各材と略す)は、架橋ゴム成形体として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
本発明のゴム組成物から架橋ゴム成形体を製造するには、通常一般のゴムを加硫(架橋
)するときと同様に、未架橋のゴム組成物を上記で示した調製法により一度調製し、次いでゴム組成物を意図する形状に成形した後に架橋することが好適である。
上記のようにして調製された本発明の組成物は、LIM成形機、インジェクション成形機、トランスファー成形機、プレス成形機、押出成形機、カレンダーロ−ル、インクジェット成形機、スクリーン印刷機などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形される。これらの中でも、LIM成形機は、厚薄精度、高速成形の点から目的とする本発明の各材を製造するに好適である。また、射出成形や圧縮成形も好適である。
架橋は、成形と同時にまたは成型物を加硫槽内に導入して実施できる。
たとえば、3本ミルロール、オープンロール、2本オープンロール、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、高せん断型ミキサー等の各種混練装置を用いて混合された本発明のゴム組成物を、80〜230℃、好ましくは100〜180℃の架橋条件で成形し、架橋成形されたものを、必要に応じて約100〜230℃、好ましくは約120〜150℃で約0.5〜24時間程度、ギアオーブンや恒温槽などのエアオーブンで熱処理(二次加硫)することにより、成形・架橋を行うことができる。また、架橋あるいは二次架橋(二次加硫)は、光、γ線、電子線などを照射して行ってもよく、架橋を常温で行うこともできる。上記した方法により架橋ゴム成形体、すなわち本発明の各材が得られる。
この架橋の段階は金型を用いてもよいし、また金型を用いないで架橋を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
LIM成形
本発明のゴム組成物を特にLIM成形に適用する場合は、共重合体[A]とSiH基含有[B]および[C]とを含有する組成物と、共重合体[A]と上記の触媒とを含有する組成物とを調製し、LIM成形装置で両者を混合して本発明のゴム組成物とするとともに成形することが好ましい。
すなわち、材料の粘度等により適宜使い分けるが、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類やプラネタリーミキサーのような攪拌機により、共重合体[A]、その他の樹脂成分、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などの添加剤およびSiH基含有化合物[B]および[C]を3〜10分間混練し、液状ゴム組成物(1)を調製する。一方、共重合体[A]、その他の樹脂成分、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などの添加剤および上記触媒、必要に応じて反応抑制剤を3〜10分混練して液状ゴム組成物(2)を調製する。必要に応じて、脱泡を行う。続いて、これら液状ゴム組成物(1)と液状ゴム組成物(2)とをLIM成形装置に直接接続可能な専用のペール缶または直接接続可能なカートリッジに入れ、計量、混合装置を経てLIM成形を施すことにより、本発明の各材を得ることができる。
燃料電池シール材
燃料電池では、セルをシールすることが重要であり、このシールは、特にガスバリヤ性等に優れている必要がある。シールの形状を図面で一例を説明する。
シール材は、例えば、図1および図2の符号3で示されるような形状を有している。また、該シール材の平面形状は、図1において符号3で示すよう平面外形形状を有している。図1、図2中の符号1はカーボン、金属製あるいは樹脂製セパレーターを示し、符号3はシール材部を示し、図1中の符号2は空隙を示す。
本発明の燃料電池シール材は、発泡などによる空隙を有さない、いわゆるボイドフリーであることが好ましい。
本発明の燃料電池シール材の体積固有抵抗は、1×1010オーム・cm以上であることが望ましい。体積固有抵抗は、電気・電子部品に用いられるシール材に求められる特性の一つで、電気絶縁性の指標である。より好ましくは、1×1012オーム・cm以上であり、シール材として好適な性能を示す。体積固有抵抗は、ゴム組成物を圧力40kgf/cm2で、150℃で10分間プレス架橋して得られた厚さ1mmのシートを用いて、SR
IS2301-1969に従い測定する。
本発明の燃料電池は、このような本発明の燃料電池シール材を有する。
ハードディスクドライブトップカバーガスケット
本発明のハードディスクドライブトップカバーガスケットは、上述の方法で得られた圧縮永久歪みが50%以下である架橋ゴムシートをガスケット部に有することが好ましく、製品でのシール性が充分となる。また、引張強度は2MPa以上、引張破断伸びは200%以上であることが好ましく、製造工程で容易にちぎれたりする不具合が少なくなる。更に、この架橋ゴムシートの硬度(JIS K6253)は70度未満であることが好ましく、硬度が70度以上ではカバー一体型ガスケットを本体に取り付けたときの反力が大きくなり、カバーの変形が生じ、完全に密閉できなくなり、ガスケットとしてのシール性が劣る場合がある。硬度は、10度以上であることが好ましく、10度未満では、ガスケットがちぎれ易い、粘着し易いなどの不具合が生じる。最も好ましい硬度は20〜40度である。
ハードディスクドライブトップカバーとガスケットとの一体化の際に用いる接着剤としては、エポキシ樹脂系またはフェノール樹脂系接着剤、イソシアネート系またはシラン系のカップリング剤などが挙げられる。接着剤の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、スクリーン印刷、刷毛塗り、スタンプ方式など必要に応じて最適な方法を選択する。
本発明のハードディスクドライブトップカバーガスケットは、発泡などによる空隙を有さない、いわゆるボイドフリーであることが好ましい。
電線コネクター用シール材
本発明の電線コネクターシール材は、上述の本発明のゴム組成物からなるものであって、例えば、固体高分子型(固体高分子電解質型)電線コネクターシール材であることが好ましい。
本発明の電線コネクターシールでは、その硬化物層の表面硬度を示すデュロA硬さは、45以下にすることが好ましい。デュロA硬さとは、硬度の指標であり、JIS K6253に従い測定することができる。デュロA硬さを45以下にするためには、組成物中への各種補強剤、充填剤、可塑剤などの添加割合を種種調節することによって可能であり、これらの各種添加剤を添加しないものも所望の低硬度を示している。下限は5以上であり、下限を超えるとやわらかすぎ、電線コネクタ−をシ−ルする性能が劣る。ただし、補強剤、充填剤として、例えば硫黄やハロゲン化合物のように触媒毒となるような物質を含有するものは好ましくない。
本発明の電線コネクターは、このような本発明の電線コネクター用シールを有する。本発明に係る電線コネクターは、特に自動車用電線コネクターであることが望ましい。
[調製例1]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体(A−1)の製造
撹拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(撹拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2−ノルボルネン(以下、VNBと略す)との三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを1.3kg、プロピレンを2.5kg、VNBを130gの速度で、また、水素を30リットル、触媒としてVO(OEt)Cl2 を23ミリモル、Al(Et)1.5Cl1.5 を161ミリモルの速度で連続的に供給し、重合温度40℃、重合
圧力0.7MPaの条件で共重合反応を行ない、エチレン・プロピレン・VNBランダム共重合体(A−1)(以下、共重合体(A−1)と略す)を均一溶液状態で得た。その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行った。
得られた共重合体(A−1)のエチレン含量は52.7重量%、VNB含量は4.7重量%であり、よう素価が9.5g/100gであって、25℃における複素粘度(Anton Paar社(オーストラリア)製の粘弾性装置 MCR301を用いて測定した複素粘度)は
1100Pa・S、135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は0.28dl/gであった。なお、共重合体(A−1)の組成は13C−NMR法での測定で求めた値である。
[実施例1]
調製例1で得た共重合体(A−1)100重量部と、カーボンブラック(旭カーボン社製 旭#50HG、ヨウ素吸着量:19mg/g、平均粒子径85μm、DBP吸収量:
110cm3/100g)15重量部と、表面処理した沈殿法シリカ(東ソー・シリカ社
製 ニップシールE75SS、BET表面積:50m2/g、二次粒子径(コールターカウンター法により求めた平均粒子径):2.4μm、M値:65)30重量部とを、容量2リットルのプラネタリーミキサー[(株)井上製作所製、商品名:PLM−2型]で50〜80℃の範囲内で混練し、次いでこれに、触媒として白金−1,3,5,7−テトラビニルメチルシクロシロキサン錯体[白金濃度0.5重量%、末端ビニルシロキサンオイル溶液]0.4重量部、反応抑制剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1重量部、架橋剤として下記式[II−1]で表される化合物を4.8重量部、および、下記式[III−1]で表される化合物を0.1重量部加えて混合してゴム組成物を調製した。な
お、表面処理した沈殿法シリカにおけるM値は、シリカの改質処理度合を示す一般的な指標であり、M値評価対象となるシリカにメタノール水溶液のメタノール濃度を変えて添加した際、親和し始める(濡れ始める)時のメタノール水溶液濃度(メタノールのvol%)で表される値である。
次いで、得られたゴム組成物をテストシート型(140×100×2mm)に流し込み、熱板設定温度150℃、型圧縮80MPaにて5分間圧縮成形して架橋ゴムシートを得て、さらにエアオーブン中で150℃、1時間の二次加硫を実施して架橋ゴムシートを得た。
Figure 0004912860
得られた架橋ゴムシートの各性状を以下の方法で測定あるいは評価した。結果を表1に示す。
(1)硬さ
JIS K6253に準拠して、測定温度23℃でデュロメータ法でA硬さを測定した。
(2)引張試験
JIS K6251に準拠して、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、架橋シートの破断時の引張強度と伸びを測定した。
(3)圧縮永久歪
JIS K6262(1997)に準拠して、2mmシ−トを3枚積層して、圧縮永久歪を測定し、圧縮永久歪み率を求めた。測定条件は、高温時が150℃×70時間の高温処理後であり、低温時が−30℃の低温条件で処理して圧力を開放した直後、開放から30分後ならびに開放から1時間後である。
[実施例2]
実施例1において、架橋剤の使用量を、上記式[II−1]で表される化合物を4.5重量部、上記式[III−1]で表される化合物を0.5重量部としたことのほかは、実施例
1と同様にして架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、架橋剤の使用量を、上記式[II−1]で表される化合物を4.0重量部、上記式[III−1]で表される化合物を1.0重量部としたことのほかは、実施例
1と同様にして架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、架橋剤の使用量を、上記式[II−1]で表される化合物を5.0重量部とし、上記式[III−1]で表される化合物を用いなかったことのほかは、実施例1
と同様にして架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
調製例1で得た共重合体(A−1)100重量部と、カーボンブラック(旭カーボン社製 旭#50HG、ヨウ素吸着量:19mg/g、平均粒子径85μm、DBP吸収量:
110cm3/100g)10重量部と、タルク(日本タルク(株)製 L−1、BET比表面積:11m2/g、二次粒子径:4.9μm)40重量部とを、容量2リットルのプ
ラネタリーミキサー[(株)井上製作所製、商品名:PLM−2型]で混練し、次いでこれに、触媒として白金−1,3,5,7−テトラビニルメチルシクロシロキサン錯体[白金濃度0.5重量%、末端ビニルシロキサンオイル溶液]0.4重量部、反応抑制剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1重量部、架橋剤として上記式[II−1]
で表される化合物を4.5重量部、および、上記式[III−1]で表される化合物を0.
5重量部加えて混合してゴム組成物を調製した。次いで実施例1と同様にして架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例4において、架橋剤の使用量を、上記式[II−1]で表される化合物を5.0重量部とし、上記式[III−1]で表される化合物を用いなかったことのほかは、実施例4
と同様にして架橋ゴムシートを製造し、性状を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004912860
これらの実施例および比較例の結果より、実施例2および3では、常態値および高温条件下の圧縮永久歪みが好適な特性を示し、しかも低温での弾性回復率が良好である。また、式[III−1]の化合物の配合量が少ない実施例1においても、式[III−1]の化合物の配合のない比較例1よりも、低温での弾性回復率の向上が見られる。また、2種の架橋剤を併用するとともにタルクを配合した実施例4では、特に低温時での弾性回復率に優れ
ることがわかったが、常態値および高温条件下の圧縮永久歪みの特性は、同量のSiH化合物を用い、表面処理した沈殿法シリカを配合した実施例2の方が優れるものであった。
本発明のゴム組成物は、LIM成形用に好適であって、燃料電池シール材、ハードディスクドライブトップカバーガスケット材等の各種ガスケット材、および電線コネクター用シール材等に好適に用いられる。
図1は、燃料電池用セパレーター一体型セルシール部品の一例を示す斜視図である。 図2は、図1におけるA−Aにおける模式断面図である。
符号の説明
1:燃料電池用セパレーター一体型セルのカーボン、金属製あるいは樹脂製セパレーター2:空隙
3:セルのシール部品

Claims (15)

  1. 以下の(a)〜(e)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]と、
    (a)エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であり、
    (b)α−オレフィンの炭素数が3〜20であり、
    (c)エチレン単位/α−オレフィン単位の重量比が35/65〜95/5であり、
    (d)ヨウ素価が0.5〜50の範囲であり、
    (e)135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜5.0dl/gである;
    下記一般式[II]で表される、一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]と、
    下記一般式[III]で表される、一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]と
    を含有してなることを特徴とするゴム組成物;
    Figure 0004912860
    (式[II]中、R3は炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、aは0〜20の整数であり、bは0〜20の整数であり、R4は炭素数1〜30の二価の有機基または酸素原子である。)、
    Figure 0004912860
    (式[III]中、R5は炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよく、a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、R6は炭素数1〜30の三価の有機基である。)。
  2. エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]が、さらに下記(f)を満足することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物;
    (f)非共役ポリエンが、下記の一般式[I]で表わされる少なくとも一種のノルボルネン化合物である;
    Figure 0004912860
    (式[I]中、nは0ないし10の整数であり、R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。)。
  3. エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]100重量部に対して、
    一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]を0.1〜2重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[A]100重量部に対して、
    一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]を2〜15重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. ゴム組成物中の樹脂成分中に含まれる脂肪族不飽和結合1個当たり、珪素原子に結合した水素原子を0.2〜10個与える量で、
    一分子中にSiH基を2個有するSiH基含有化合物[B]を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 一分子中にSiH基を3個有するSiH基含有化合物[C]が、下記式[III−1]で
    表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
    Figure 0004912860
  7. SiH基含有化合物[B]が、下記式[II−1]で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
    Figure 0004912860
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする燃料電池シール材。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなる燃料電池シール材を有することを特徴とする燃料電池。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とするハードディスクドライブトップカバーガスケット。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなるLIM成形用ガスケット材。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなるハードディスクドライブトップカバーガスケットを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする電線コネクター用シール材。
  14. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなる電線コネクター用シール材を有することを特徴とする電線コネクター。
  15. 自動車用電線コネクターであることを特徴とする請求項14に記載の電線コネクター。
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