JP4909325B2 - 累進屈折力レンズの光学性能評価方法 - Google Patents

累進屈折力レンズの光学性能評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、累進屈折力レンズの光学性能評価方法に関するものであり、より詳しくは、累進屈折力レンズのレンズ処方値を、簡便かつ高精度に評価可能な累進屈折力レンズの評価方法に関するものである。
近年、老視矯正用レンズとして、累進屈折力レンズが広く用いられている。累進屈折力レンズは、遠方、中間、近方それぞれの視野領域を使用頻度に応じて配分したレンズであり、JISでは、累進屈折力レンズのレンズ処方値として、遠用部屈折力、加入屈折力(遠用部屈折力と近用部屈折力の差)、およびプリズム屈折力を、レンズメーターまたはこれと同等の方法を用いて測定することが規格されている。
しかし、レンズメーターによる累進屈折力レンズの検査には、以下の課題がある。
(1)レンズメーターは、測定値の信頼性は高いものの、操作に熟練の技術を要するため、測定値が測定者の個人的なスキルに大きく左右されてしまう。
(2)レンズメーターでは、1回の測定により測定領域(通常直径8mm程度の領域)の平均度数が測定される。即ち、1回の測定で求められる測定値は1つである。したがって、累進屈折力レンズについて上記3種の屈折力を測定するためには、遠用測定基準点、近用測定基準点、プリズム測定基準点について少なくとも各1回、即ち少なくとも合計3回、測定を行わなければならない。したがって操作が煩雑になり検査に長時間を要する。
これに対し本願特許出願人は、レンズメーターに代わる測定手段として、レンズ透過光の光路長を測定する測定装置(後述するように「透過型収差測定装置」等と呼ばれる)を用いて眼鏡レンズの度数分布を求めることを提案した(特許文献1参照)。上記測定装置によれば、1回の測定により1種類の屈折力のみ測定されるレンズメーターとは異なり、各種屈折力を1回の測定により求めることができる。
国際公開第03/098181号パンフレット
特許文献1に記載の技術のように、複数種の屈折力を1回の測定により求めることは、特に、大量のレンズを検査しなければならないレンズ量産工程における生産性の向上にきわめて有効である。しかし本願発明者らが検討したところ、上記透過型収差測定装置によって求められたレンズ処方値は、レンズメーターによって求められる値と必ずしも一致しない場合があり、中でも加入屈折力の誤差量が大きいことが明らかとなった。前述の通りJISでは、累進屈折力レンズのレンズ処方値を、レンズメーターまたはこれと同等の方法を用いて測定することが規格されているため、複数種の屈折力を1回の測定により求めることが可能な透過型収差測定装置によってレンズメーターと同等の測定値を得ることができれば、透過型収差測定装置による測定値を実生産工程において使用することが可能となり、その結果、生産性を大きく向上させることができる。
そこで本発明の目的は、加入屈折力等の累進屈折力レンズの光学特性を、簡便な方法により高い信頼性をもって求めることができる手段を提供することにある。
累進屈折力レンズは、遠方、中間、近方それぞれの視野領域が使用頻度に応じて配分されるレンズであり、屈折力測定基準位置や累進帯長の違いにより、カテゴリー分けすることができる。通常、使用頻度の高い遠用領域を広くとる場合が多く、遠方重視、近方重視に応じて設計される。対物距離に対応した視野領域の広さの違いで用途が異なり、遠近累進屈折力レンズ(以下、「遠近」ともいう)、中近累進屈折力レンズ(以下、「中近」ともいう)、近近累進屈折力レンズ(以下、「近近」ともいう)の3種類に大別できる。遠近累進屈折力レンズは遠近両用として用いられ、遠方から近方まで見ることができる機能を持っているが、中間領域や近用領域の視野の広さに制限がある。一般に、遠近の視野領域が広いほど、中間領域側に累進特有の揺れや歪みが生じやすい。中近累進屈折力レンズは遠用領域を限定することによって中間領域や近用領域を広く持っている。遠用領域は汎用よりも上方の位置であり、長い累進帯をもつため、累進特有の揺れや歪みが少ないが、遠方視には適さない。近近累進屈折力レンズは主に近用領域で遠用領域がないため、単焦点レンズとして分類されることもある。遠近累進屈折力レンズおよび中近累進屈折力レンズには、遠用部測定基準点と近用部測定基準点という2つの屈折力測定基準点が存在し、近近累進屈折力レンズには、2つの近用部測定基準点が存在する。ただし本発明においては、近近累進屈折力レンズにおける2つの近用測定基準点のうち屈折力の小さな基準点を遠用部屈折力基準点、屈折力の大きな基準点を近用部屈折力基準点と見なすこととする。
本発明者らは、上記目的を達成するために透過型収差測定装置の測定値とレンズメーターによる測定値との間の誤差発生傾向について鋭意検討を重ねた結果、同一カテゴリーに属するレンズであれば、同様の誤差傾向を示すとの新たな知見を得た。
そこで本発明者らは、上記知見に基づき更に検討を重ね、ある光学特性について、遠用部屈折力測定基準位置および/または累進帯長による分類中の同一カテゴリーについて少なくとも1つの補正関数を導出すれば、同一カテゴリーに属する複数のレンズについて、透過型収差測定装置によって求められた測定値を上記補正関数を用いて補正することにより、レンズメーターと同等の高い信頼性を持って測定を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]累進屈折力レンズの光学性能評価方法であって、
評価対象レンズは、遠用部屈折力測定基準位置および/または累進帯長に基づき分類される複数のカテゴリーのいずれかに属する累進屈折力レンズであり、
評価対象レンズと同一カテゴリーに属するサンプルレンズについて、第一面から光を入射したとき、反対側の第二面の測定点から出射する出射光の光路を測定する測定手段、および、該測定手段によって得られた測定値に基づいて上記サンプルレンズの上記測定点における光学性能を算出する算出手段、を有する測定装置を用いて、上記光学性能を測定すること、
上記サンプルレンズについて測定した光学性能と同一の光学性能を、レンズメーターを用いて測定すること、
上記測定装置を用いて測定された光学性能を、レンズメーターを用いて測定された光学性能に対して補正するための補正関数を導出すること、
上記サンプルレンズについて測定した光学性能と同一の光学性能を、評価対象レンズについて、上記測定装置を用いて測定すること、ならびに、
測定された光学性能を、上記補正関数を用いて補正することにより、または上記補正関数に基づき補正不要であると判定することにより評価対象レンズの上記光学性能を求めること、
を含む、前記方法。
[2]前記複数のカテゴリーは、遠近累進屈折力レンズ、中近累進屈折力レンズおよび近近累進屈折力レンズの3つのカテゴリーからなる[1]に記載の方法。
[3]前記複数のカテゴリーは、下記3つのカテゴリーからなる[1]に記載の方法。
カテゴリー1:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+0mm〜+10mmの領域に位置する累進屈折力レンズ
カテゴリー2:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+10mm超〜+14mmの領域に位置する累進屈折力レンズ
カテゴリー3:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+14mm超の領域に位置する累進屈折力レンズ
[4]前記複数のカテゴリーは、下記3つのカテゴリーからなる[3]に記載の方法。
カテゴリー1’:前記カテゴリー1に属し、かつ累進帯長が10〜17mmの範囲である累進屈折力レンズ
カテゴリー2’:前記カテゴリー2に属し、かつ累進帯長が20〜23.5mmの範囲である累進屈折力レンズ
カテゴリー3’:前記カテゴリー3に属し、かつ累進帯長が19〜26mmの範囲である累進屈折力レンズ
[5]前記評価される光学性能は、遠用部屈折力、近用部屈折力、加入屈折力およびプリズム屈折力からなる群から選ばれる少なくとも一種である[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記補正関数は、一次関数である[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記算出手段は、平滑化処理手段を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記サンプルレンズは、評価対象のレンズと同一カテゴリーに属し、かつ同一の累進帯長を有する累進屈折力レンズである[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記サンプルレンズは、評価対象のレンズと同一カテゴリーに属し、かつ累進帯長が異なる累進屈折力レンズである[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、累進屈折力レンズの光学性能を簡便に精度よく測定することができる。
本発明の累進屈折力レンズの光学性能評価方法の評価対象レンズは、遠用部屈折力測定基準位置および/または累進帯長に基づき分類される複数のカテゴリーのいずれかに属する累進屈折力レンズである。本発明では、以下の工程により、評価対象レンズの光学性能を評価する。
(1)評価対象レンズと同一カテゴリーに属するサンプルレンズについて、第一面から光を入射したとき、反対側の第二面の測定点から出射する出射光の光路を測定する測定手段、および、該測定手段によって得られた測定値に基づいて上記サンプルレンズの上記測定点における光学性能を算出する算出手段、を有する測定装置を用いて、上記光学性能を測定すること、
(2)上記サンプルレンズについて測定した光学性能と同一の光学性能を、レンズメーターを用いて測定すること、
(3)上記測定装置を用いて測定された光学性能を、レンズメーターを用いて測定された光学性能に対して補正するための補正関数を導出すること、
(4)上記サンプルレンズについて測定した光学性能と同一の光学性能を、評価対象レンズについて、上記測定装置を用いて測定すること、ならびに、
測定された光学性能を、上記補正関数を用いて補正することにより、または上記補正関数に基づき補正不要であると判定することにより評価対象レンズの上記光学性能を求めること。
累進屈折力レンズの光学性能評価については、JIST 7315において、レンズ屈折力はJISB7183準拠のレンズメーターを使用するか、レンズメーターと同等の方法を用いて決定すると規定されている。しかし、レンズメーターには前述の課題があるため、レンズメーターに代わる高精度かつ簡便な測定法を確立することは、今後、特に大量のレンズを製造する量産工程において生産性を向上するうえで不可欠になると考えられる。
そこで、国際公開第03/098181号パンフレットにおいて提案されているようにレンズ透過光の光路長測定から累進屈折力レンズの各種屈折力を測定するに際し、レンズメーターと同等の精度で測定を行うために、補正関数を用いて上記測定での測定値を補正することが考えられる。しかし眼鏡レンズは個別対応化の進展により多種多様なアイテムがあるため、アイテム毎に補正関数を導出しなければならないとすると、生産性を向上することは困難である。
これに対し本発明者は、累進屈折力レンズを、遠用部屈折力測定基準位置および/または累進帯長に基づき複数のカテゴリーに分け、各カテゴリーについて1つの補正関数を導出すれば、同一カテゴリーに属するレンズについて導出した補正関数を用いて補正を行うことで、レンズメーターに匹敵する精度で累進屈折力レンズの光学性能を求めることができることを新たに見出した。このように、同一カテゴリーに属するレンズであれば同一の補正関数を使用して精度よく補正を行うことができる理由は、各カテゴリーのレンズにおいて屈折力が大きく変化する領域と屈折力の変化が比較的安定な領域が異なるため、後述する平滑化手段による実レンズと計算結果との差異の発生する量が異なるためと考えられる。別の表現をするならば、同一カテゴリーのレンズにおいては、屈折力の大きく変化する領域と屈折力の変化が比較的安定な領域の配置が近似しているため、後述する平滑化手段による実レンズと計算結果との差異に同様な傾向が現れるためと考えられる。
以下、本発明の光学性能評価方法について、更に詳細に説明する。
本発明では、累進屈折力レンズを、遠用部屈折力測定基準位置および/または累進帯長に基づき複数のカテゴリーに分類する。第一の分類(以下、「分類A」という)では、「遠近累進屈折力レンズ」、「中近累進屈折力レンズ」、「近近累進屈折力レンズ」の3つのカテゴリーのいずれかに分類する。ここで、「近近累進屈折力レンズ」とは、近方を見るための近用部領域2つと、2つの近用部領域の間で屈折力が累進的に変化する累進帯を有する累進屈折力レンズをいう。近近累進屈折力レンズでは、上方に位置する屈折力測定基準点は設計上のみ存在し、実際の量産時/販売時には測定を行わないことがある。近近累進屈折力レンズが、単焦点レンズとして分類されることがあるのはこのためである。従って本発明においては近近累進屈折力レンズにおける2つの近用測定基準点のうち屈折力の小さな基準点を遠用屈折力基準点、屈折力の大きな基準点を近用屈折力基準点、それぞれの基準点を含む領域を遠用部領域、近用部領域とする。一方、「遠近累進屈折力レンズ」、「中近累進屈折力レンズ」は、いずれも遠方を見るための遠用部領域と近方を見るための近用部領域をそれぞれ1つずつ有し、かつ遠用部領域と近用部領域の間で屈折力が累進的に変化する累進帯を有する累進屈折力レンズである。通常、汎用的な使用方法である遠方視を重視する場合は「遠近累進屈折力レンズ」とし、室内の壁掛け時計等をごくたまに見る等の限られた遠方視を必要としより快適な中間視および近方視を重視する場合は「中近屈折力累進レンズ」とする。一般に「遠近累進屈折力レンズ」では遠方を使用するレンズ上の領域はレンズのデータムラインより上部分の広い領域であり、「中近累進屈折力レンズ」では遠方を使用する領域はデータムラインより上12mm程度を含む上方に存在しその明視域は遠近累進屈折力レンズに比較して非常に小さい範囲である。本発明において、「中近累進屈折力レンズ」は、遠用部領域がデータムラインを基準(0mm)として上方+12mm以上の領域に存在するレンズをいい、「遠近累進屈折力レンズ」とは、遠用部領域がデータムラインより上部分にあるレンズであって、中近累進屈折力レンズに該当しないレンズをいうものとする。
より詳しくは、遠近累進屈折力レンズは、好ましくは遠方測定基準点がデータムラインを基準(0mm)として、上方+0mm〜10mmに位置し、累進帯長の長さは10〜17mm程度である。中近累進屈折力レンズは、好ましくは遠用部屈折力測定基準点がデータムラインを基準として上方+12mm以上、具体的には+12mm〜20mmに位置し、累進帯長の長さは20〜23.5mm程度である。近近累進屈折力レンズは遠用部屈折力測定基準点は存在しないが、本発明では前述のように屈折力の小さな基準点を仮想的に遠用部屈折力測定基準点とする。近近累進屈折力レンズの遠用部屈折力測定基準点は、好ましくはデータムラインを基準として+14mm〜25mmに位置し、累進帯長の長さは19〜28mm程度である。
また、遠用部測定基準点の位置に基づき、累進屈折力レンズを以下の3つのカテゴリーに分類することもできる。以下において、下記分類を「分類B」と呼ぶ。
カテゴリー1:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+0mm〜+10mmの領域に位置する累進屈折力レンズ
カテゴリー2:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+10mm超〜+14mmの領域に位置する累進屈折力レンズ
カテゴリー3:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+14mm超の領域に位置する累進屈折力レンズ
上記カテゴリー1〜3を累進帯長に基づき更に以下の3つのカテゴリ−に分類することもできる。以下において、下記分類を「分類C」と呼ぶ。
カテゴリー1’:上記カテゴリー1に属し、かつ累進帯長が10〜17mmの範囲である累進屈折力レンズ
カテゴリー2’:上記カテゴリー2に属し、かつ累進帯長が20〜23.5mmの範囲である累進屈折力レンズ
カテゴリー3:上記カテゴリー3に属し、かつ累進帯長が19〜26mmの範囲である累進屈折力レンズ
本発明では、上記分類A〜Cのいずれかにより累進屈折力レンズをカテゴリー分けすることが好ましい。
本発明では累進屈折力レンズの光学性能評価のために、累進屈折力レンズの第一面から光を入射したときに、反対側の第二面の測定点から出射する出射光の光路を測定する測定手段、および、該測定手段によって得られた測定値に基づいて上記サンプルレンズの上記測定点における光学性能を算出する算出手段、を有する測定装置を使用する。上記測定装置としては、一般に「透過型度数分布測定装置」または「透過型収差測定装置」と呼ばれる装置を用いることができる。以下、上記装置を「透過型収差測定装置」と呼ぶ。上記装置は、好ましくは、レンズ幾何中心部50φ、または測定レンズの光学面60〜80%を同時に測定する屈折力測定装置である。上記装置は、測定領域に含まれる複数点(2点以上)の屈折力(度数)を算出し、測定領域における屈折力分布(度数分布または収差とも呼ばれる)を求めるために使用されるものであるため、ある測定点における屈折力を算出する機能を有している。本発明では、上記機能を使用し、測定対象となるレンズのある測定点における光学性能を求めることができる。本発明において使用可能な透過型収差測定装置としては、例えばビジョニクス社製VM2000およびVM2500等を挙げることができるが、上記測定手段および算出手段を有するものであればよく特に限定されるものではない。本発明において使用可能な透過型収差測定装置については、例えば国際公開第03/098181号パンフレット、特表平10−507825号公報等を参照できる。
本発明により評価される光学性能としては、遠用部屈折力、近用部屈折力、加入屈折力およびプリズム屈折力を挙げることができる。各屈折力を測定する基準点については、JIST7315、JIST7313またはJIST7330に規定されている。屈折力測定基準点は、眼鏡レンズの物体側または眼球側の面上の例えば直径6.0〜10.0mm程度の円で囲まれる部分である。図3に、累進屈折力レンズの屈折力測定基準点の説明図を示す。透過型収差測定装置において出射光の光路を測定する測定点として、上記屈折力測定基準点の中から所望の光学性能(屈折力)に対応する屈折力測定基準点を設定することにより、所望の光学性能を測定することができる。なお、前述の測定装置によれば、各種光学性能を1回の測定で求めることが可能である。
以下、透過型収差測定装置を使用する光学性能測定の具体的態様を説明するが、本発明は下記態様に限定されるものではない。
透過型収差測定装置
本発明において使用可能な透過型収差測定装置は、被検レンズの第一面から光を入射したとき、反対側の第二面の測定点から出射する出射光の光路を測定する測定手段と、測定手段で測定された光路から測定点における光学性能を算出する算出手段とを有し、更に被検レンズの評価に必要なデータと算出結果を記憶するデータサーバ、を含むことができる。
透過型収差測定装置の概略構成例を、図1に示す。図1に示す態様において、透過型収差測定装置は、被検レンズ100に平行光を照射する光源装置11と、被検レンズ100を挟んで光源装置11の反対側に配置された、複数の光透過孔を有するビームスプリッタ12と、このビームスプリッタ12を透過した光が到達するスクリーン13と、このスクリーン13に表示された映像を取り込むCCDカメラ14と、このCCDカメラ14に取り込まれたデータから被検レンズ100を透過した光の経路を測定し被検レンズ100の測定点における光学性能を計算する計算装置(算出手段)15とからなる。更に計算装置は、データサーバに接続されていてもよい。
透過型収差測定装置は、被検レンズ100に光源装置11から平行光を照射したときにスクリーン13に投影される映像からレンズ透過後の光の経路を測定して、この測定結果より被検レンズ100の測定点における光学性能を算出するものである。例えば測定点が遠用部測定基準点である場合、測定された光路から遠用部屈折力を算出することができ、測定点が近用部測定基準点である場合、測定された光路から近用部屈折力を算出することができ、測定点がプリズム測定基準点である場合、測定された光路からプリズム屈折力を算出することができる。または、測定点として遠用部測定基準点および近用部測定基準点を設定し遠用屈折力および近用屈折力を求めることにより、両者の差である加入屈折力を算出することができる。透過型収差測定装置は、図1に示すようにレンズ全面を一度の測定により評価することができるため、レンズメーターと異なりスポット毎に測定を行う必要がないという利点がある。
具体的には、透過型収差測定装置において、被検レンズ100とスクリーン13との間には、複数の光透過孔を有するビームスプリッタ12が配置され、このビームスプリッタ12により被検レンズ100を通過した光は複数の光線に分離され、スクリーン13上に前記複数の光透過孔に対応した複数の光スポットが投影される。
図2は、透過型収差測定装置による測定データの説明図である。
透過型収差測定装置は、被検レンズ100がセットされていない状態におけるスクリーン13上の光スポット(以下、校正スポットと呼ぶ)の位置を示す基準座標RefX,RefYと、光源装置11の光が被検レンズ100のビームスプリッタ側の面から出射するときの位置(以下、測定点と呼ぶ)を示す座標X,Yと、被検レンズ100がセットされた状態におけるスクリーン13上の光スポット(以下、測定スポットと呼ぶ)の位置とこれに対応する校正スポット(測定スポットと同一の光透過孔を通過した校正スポット)の位置との偏差DX,DYと、被検レンズ100を通過した光の光路を基に算出した屈折力とを測定データとして出力する。
基準座標RefX,RefYと測定点座標X,Yと偏差DX,DYと屈折力は、個々のスポットごとに対応付けて出力されるので、被検レンズ100の各測定点座標X,Yにおける屈折力を求めることができる。
次に、透過型収差測定装置による測定の具体例を説明する。ただし本発明は、下記具体例に限定されるものではない。
(1)累進屈折力レンズに対し、測定位置を特定するための印点打ちまたはペイントを実施する。この際、レンズに実施されている永久マーク(図3中のアライメント基準マーク231)を基準に測定基準点(図3参照)の特定を行う。アンカットフィニッシュトレンズの場合は外形を基準として位置決めを行うことも可能であり、この場合は印点打ちおよびペイントを実施することなく測定基準点を特定することができる。
(2)被検レンズを透過型収差測定装置の測定部にセットする。この際、透過型収差測定装置メーカーが定めた方法(被検レンズの後面を測定開口に接触させる等)により被検レンズを保持する。なお必要に応じてコンバージョンレンズアダプターを使用してもよい。
(3)測定基準点情報を透過型収差測定装置に送り、測定開始ボタンを押し、屈折力測定の実測値を算出する。または透過型収差測定装置の測定開始ボタンを押し測定を行い、出力結果から複数測定基準点における屈折力等の実測値を算出する。
上記透過型収差測定装置を使用した屈折力測定では、複数の測定基準点における屈折力(遠用部屈折力、加入屈折力、プリズム屈折力)の実測値を一度に算出することができる。これに対しレンズメーターは、1回の測定により測定可能な光学性能は、測定基準領域(通常直径8mm程度の領域)における屈折力の平均値である。またレンズメーターを使用する場合、後述のように測定は非常に多くの工数が必要であり、大量のレンズを測定しなければならない製造工程においては煩雑であり不向きである。本発明によれば、補正関数導出後は実製品について透過型収差測定装置を使用して測定を行うことができレンズメーターによる測定は不要であるため、屈折力測定を迅速かつ簡便に行うことが可能となる。
一般的な測定装置には、測定のノイズを排除するためにデータを平滑化するための平滑化処理手段が備えられている。従って測定装置から出力されるデータには、通常、平滑化処理が施されている。本発明者の検討によれば、透過型収差測定装置による測定値をレンズメーターによる測定値と比較すると、前述の各種光学性能の中でも加入屈折力の測定値がレンズメーターの測定値からの誤差が大きかった。これは、通常の透過型収差測定装置の算出手段にじは平滑化処理手段が含まれているため、変化率が大きい加入屈折力の平滑化処理による処理量が大きくなり、このことが誤差原因になるからであると考えられる。従って、各種光学性能の中でも、補正関数を導出し補正を行う対象としては、レンズメーターからの誤差量が大きくなる傾向がある加入屈折力を選択することが好適である。
透過型収差測定装置に含まれる平滑化処理手段において適用される関数としては、平滑化処理に一般的に使用されるB−スプライン関数、ゼルニケ近似多項式(Zernike多項式)等を挙げることができる。例えば前述のビジョニクス社製の透過型収差測定装置はゼルニケ近似多項式による平滑化処理手段を含むものである。本発明では後述の実施例で示すように、透過型収差測定装置により算出された、ゼルニケ近似多項式による平滑化処理を施された加入屈折力を補正することにより信頼性の高い評価を行うことができる。
更に、透過型収差測定装置は、透過型収差測定装置に測定点の位置情報を入力するための入力手段、算出された光学性能をデータ化し、ディスプレイ装置やプリンタ等の他の装置へデータ出力する出力手段等の手段を含むことができる。
次に、透過型収差測定装置によって得られた値を補正するための補正関数の導出方法について説明する。
補正関数の導出方法
1.サンプルレンズの測定
まず第一に、評価対象レンズと同一カテゴリーに属するレンズを、補正関数を導出するためのサンプルレンズとして選択する。サンプルレンズは、評価対象レンズと同一カテゴリーに属し、累進帯長が同一である同一アイテムのレンズであってもよく、累進帯長が異なるレンズであってもよい。補正関数導出のためには、同一カテゴリーに属するレンズの中から設計加入屈折力が異なるレンズを少なくとも2つ、サンプルレンズとして選択することが好ましい。補正関数の精度を高めるためには、3つ以上のサンプルレンズを選択することが好ましい。また、サンプルレンズは、評価対象レンズとなるレンズの中から選択してもよい。
次いで、各サンプルレンズについて、評価対象となる光学性能を前記透過型収差測定装置により測定する。測定方法の詳細は前述の通りである。
2.レンズメーターによる測定
次いでサンプルレンズについて、透過型収差測定装置によって測定した光学性能と同一の光学性能をレンズメーターにより測定する。レンズメーターとは、オートレンズメーター、接眼式レンズメーター、投影式レンズメーターを含み、本発明ではいずれを用いても好適である。なお、レンズメーターは、直径8mm程度の領域における屈折力の平均値(平均度数)を求める装置であり、各測定点における屈折力を測定することができる前述の透過型収差測定装置とは異なる装置である。
レンズメーターを使用する累進レンズ屈折力測定において、JIST7315に規定されている遠用部屈折力測定、加入屈折力測定およびプリズム屈折力測定を実施するためには、一般に以下のステップが必要である。
(1)累進屈折力レンズに対し、測定位置を特定するためのアライメント基準位置への印点打ちおよび/または遠用屈折力測定基準位置、加入屈折力基準位置、プリズム測定基準位置を特定するためのペイントマークを実施する。この際、レンズに実施されている永久マーク(アライメント基準マーク)を基準に測定基準点の特定を行う。
(2)被検レンズの後面(例えば凹面、眼球側)を遠用部測定基準点をレンズ当てにあて位置決めし、遠用部頂点屈折力評価を行う。
(3)被検レンズの累進面がレンズメーターのレンズ当てに正対するようにレンズを配置し、近用部測定基準点に位置決めをし、近用部頂点屈折力を測定する。次に遠用部測定基準点において累進面がレンズメーターのレンズ当てに正対するようにレンズを配置し、遠用部測定基準点に位置決めをし、遠用部頂点屈折力を測定する。この近用部頂点屈折力からこの遠用部頂点屈折力を差し引き、加入屈折力を特定する。
(4)被険レンズの後面をレンズメーターのレンズ当てに当て、そのプリズム屈折力をプリズム測定基準点を中心とする許容された領域内で測定しプリズム屈折力を評価する。プリズム屈折力に応じてプリズムコンペセータ(JIS T7315 5.4,JIS B7183 4.3.2参照)を使用する。
レンズメーターによる測定の詳細については、JIS B 7183を参照することができる。上記の通り、レンズメーターによる測定は各スポットについてそれぞれ位置決めおよび測定を行う必要があり煩雑であるうえに操作には熟練の技術が必要である。これに対し本発明では、補正関数の導出のためにレンズメーターを使用すれば、その後はレンズメーターを使用する必要がないため実生産工程における作業性を大きく向上することができる。
3.補正関数の導出
上記1、2の後、補正関数を導出する。補正関数は、公知の補正関数導出方法により導出することができるが、本発明者の検討によれば、一次関数により補正することにより良好な結果が得られた。したがって本発明では、補正関数は一次関数として導出することが好ましい。例えば、各測定結果について、透過型収差測定装置による測定値とレンズメーターによる測定値との誤差量を特定し、特定した誤差量について最小二乗法による近似を行うことにより、一次関数の勾配および切片を求め補正関数を決定することができる。
測定対象レンズの光学性能評価
上記補正関数の導出後、評価対象である累進屈折力レンズについて、補正関数を導出した光学性能と同一の光学性能を透過型収差測定装置によって測定する。測定方法の詳細は、前述の通りである。その後、得られた測定値を導出した補正関数によって補正することにより、測定対象レンズの光学性能を求める。本発明では、透過型収差測定装置の算出手段から出力された値に上記補正関数を適用し補正を行ってもよく、透過型収差測定装置の算出手段に補正関数を入力し、算出手段から補正済みの値を出力させてもよい。または、導出された補正関数から、透過型収差測定装置により補正を加えることなく高精度な測定が可能であると判定できる場合がある。この場合は、補正関数に基づき補正不要であると判定し透過型収差測定装置による測定値を、そのまま評価結果として使用してもよい。
以上の工程により、後述の実施例で示すようにレンズメーターによる測定値に匹敵する高い信頼性を有する評価結果を得ることができる。
透過型収差測定装置によれば、スポットでの測定を行うレンズメーターと異なり、レンズの各種測定基準点(例えば遠用測定基準点、近用測定基準点、プリズム測定基準点)における屈折力を一回の測定で求めることができるため、屈折力測定工程における迅速な対応が可能となる。また透過型収差測定装置は、レンズメーターと異なり測定者個人によるバラつきが少ないため、上記補正を行うことにより信頼性の高い評価結果を迅速に得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
1.遠近累進屈折力レンズ(累進帯長11mm)の加入屈折力測定
[比較例1]
設計加入屈折力1.00D,2.00D,3.00Dの3種類の遠近累進屈折力レンズ(累進帯長11mm)を使用し、またそれぞれの加入屈折力表示値に対し6枚のサンプルを用意し、以下の方法によりJIS B 7183規格に沿ったレンズメーターによって加入屈折力を求めた。結果を表1中、「LM実測」として示す。
(1)累進屈折力レンズに対し、レンズに実施されている永久マーク(アライメント基準マーク)を基準に遠用部屈折力測定基準点および近用部屈折力測定基準点の特定を行った。
(2)被検レンズの累進面がレンズメーターのレンズ当てに正対するようにレンズを配置し、近用部測定基準点に位置決めをし、近用部頂点屈折力を測定した。次に遠用部測定基準点において累進面がレンズメーターのレンズ当てに正対するようにレンズを配置し、遠用部測定基準点に位置決めをし、遠用部頂点屈折力を測定した。この近用部頂点屈折力からこの遠用部頂点屈折力を差し引き、加入屈折力を特定した。
[実施例1]
透過型収差測定装置としてビジョニクス社製VM2500を用いて、比較例1で加入屈折力を求めた18枚のレンズの加入屈折力を以下の方法で測定した。ビジョニクス社製VM2500は、累進屈折力レンズの中心部50φの屈折力を一回の測定によって測定可能な装置である。
(1)累進屈折力レンズに対し、レンズに実施されている永久マークを基準に遠用部屈折力測定基準点および近用部屈折力測定基準点を特定するための印点を実施した。
(2)被検レンズを透過型収差測定装置の測定部にセットした。
(3)透過型収差測定装置の測定開始ボタンを押し測定を行い、遠用部屈折力測定基準点および近用部屈折力測定基準点における屈折力の実測値から加入屈折力を算出した。算出された加入屈折力を、表1中、「VM実測」として示す。
次に、各レンズについて比較例1のLM実測値からの誤差量を算出し、算出された誤差量から一次関数として補正関数(y=1.08x;以下、F(ADD)という)を求めた。補正関数の勾配および切片は最小二乗法により求めた。
上記F(ADD)を使用し、VM実測値を補正した。補正後の加入屈折力を、表1中、「VM評価値」として示す。
Figure 0004909325
表1に示すように、上記補正後の加入屈折力のレンズメーター実測値からの誤差量は、JIS T 7315に規定されている許容誤差0.12D以内であり、透過型収差測定装置によってレンズメーターに匹敵する精度で累進屈折力レンズの遠近加入屈折力を求めることができた。
なお、本実施例は補正関数導出用のサンプルレンズとして実評価レンズを使用した例であり、データ精度を高めるために18点(3種類の加入屈折力を各6枚測定)のデータ収集を行い、F(ADD)を算出した。ただし、F(ADD)は一次関数であるため、データ点数は少なくとも(最小)2点でよい。例えば表1記載の18枚のレンズ中、サンプルレンズとして2枚のレンズを使用して補正関数を導出し、導出された補正関数を使用し他のレンズの透過型収差測定装置による測定値を補正し、評価結果を得ることも可能である。
2.遠近累進屈折力レンズ(累進帯長14mm)の加入屈折力測定
[実施例2、比較例2]
設計加入屈折力1.00D,2.00D,3.00Dの3種類の遠近累進屈折力レンズ(累進帯長14mm)を使用し、またそれぞれの加入屈折力表示値に対し6枚のサンプルを用意し、実施例1、比較例1と同様の方法でレンズメーターおよび透過型収差測定装置による加入屈折力測定を行った。表2中、レンズメーターによる測定値を「LM実測」、透過型収差測定装置による測定値を「VM実測」として示す。
上記で得られた透過型収差測定装置による加入屈折力の測定値を、実施例1で導出した補正関数F(ADD)によって補正した。補正後の加入屈折力を、表2中、「VM評価値」として示す。
Figure 0004909325
表2に示すように、上記補正後の加入屈折力のレンズメーター実測値からの誤差量は、JIS T 7315に規定されている許容誤差0.12D以内であった。上記結果から、同一カテゴリーに属する累進屈折力レンズについて導出した補正関数を使用して、累進帯長が異なるレンズの透過型収差測定装置による測定値を補正することにより、レンズメーターに相当する精度で累進屈折力レンズの加入屈折力を求めることが可能であることが示された。
3.中近累進屈折力レンズ(累進帯長23.5mm)の加入屈折力測定
[実施例3、比較例3]
設計加入屈折力1.00D,2.00D,3.00Dの3種類の中近累進屈折力レンズ(累進帯長23.5mm)を使用し、またそれぞれの加入屈折力表示値に対し6枚のサンプルを用意し、実施例1、比較例1と同様の方法でレンズメーターおよび透過型収差測定装置による加入屈折力測定を行った。表3中、レンズメーターによる測定値を「LM実測」、透過型収差測定装置による測定値を「VM実測」として示す。
上記で得られた透過型収差測定装置による加入屈折力の測定値を用いて実施例1と同様の方法により補正関数(y=1.04x)を導出した。
透過型収差測定装置による測定値を、導出した補正関数によって補正した。補正後の加入屈折力を、表3中、「VM評価値」として示す。
Figure 0004909325
表3に示すように、上記補正後の加入屈折力のレンズメーター実測値からの誤差量は、JIS T 7315に規定されている許容誤差0.12D以内であり、透過型収差測定装置によってレンズメーターに匹敵する精度で中近累進屈折力レンズの加入屈折力を求めることができた。
3.中近累進屈折力レンズ(累進帯長18mm)の加入屈折力測定
[実施例4、比較例4]
設計加入屈折力0.50D,1.00Dの2種類の中近累進屈折力レンズ(累進帯長18mm)を使用し、またそれぞれの加入屈折力表示値に対し6枚のサンプルを用意し、実施例1、比較例1と同様の方法でレンズメーターおよび透過型収差測定装置による加入屈折力測定を行った。表4中、レンズメーターによる測定値を「LM実測」、透過型収差測定装置による測定値を「VM実測」として示す。
上記で得られた透過型収差測定装置による加入屈折力の測定値を用いて実施例1と同様の方法により補正関数(y=x)を導出した。
透過型収差測定装置による測定値を、導出した補正関数によって補正した。補正後の加入屈折力を、表4中、「VM評価値」として示す。
Figure 0004909325
表4の結果から、実施例4で導出した補正関数から、実施例4の評価対象レンズに関しては、透過型収差測定装置によって、レンズメーターによる測定値に匹敵する信頼性を有する測定結果が得られることがわかる。
上記実施例では、いずれも累進屈折力レンズにおける加入屈折力評価例を示したが、本発明は、遠用部頂点屈折力評価および/またはプリズム屈折力評価にも適用可能である。遠用部頂点屈折力評価および/またはプリズム屈折力評価のための補正関数は、加入屈折力評価の場合と同様に一次関数により近似評価できることを確認した。
本発明の方法は、多種多様な累進屈折力レンズを量産するレンズ量産工程における評価方法として好適である。
透過型収差測定装置の概略構成例を示す。 透過型収差測定装置による測定データの説明図である。 累進屈折力レンズの屈折力測定基準点の説明図である。
符号の説明
11 光源装置
12 ビームスプリッタ
13 スクリーン
14 CCDカメラ
15 計算装置
100 被検レンズ
231 アライメント基準マーク
207 遠用部屈折力測定基準点
209 近用部屈折力測定基準点
202 プリズム屈折力測定基準点
201 累進屈折力レンズ
203 水平基準(データムライン)
210 主子午線方向
211 アイポイント位置
204 左右区分表示(図は右)

Claims (9)

  1. 累進屈折力レンズの光学性能評価方法であって、
    評価対象レンズは、遠用部屈折力測定基準位置および/または累進帯長に基づき分類される複数のカテゴリーのいずれかに属する累進屈折力レンズであり、
    評価対象レンズと同一カテゴリーに属するサンプルレンズについて、第一面から光を入射したとき、反対側の第二面の測定点から出射する出射光の光路を測定する測定手段、および、該測定手段によって得られた測定値に基づいて上記サンプルレンズの上記測定点における光学性能を算出する算出手段、を有する測定装置を用いて、上記光学性能を測定すること、
    上記サンプルレンズについて測定した光学性能と同一の光学性能を、レンズメーターを用いて測定すること、
    上記測定装置を用いて測定された光学性能を、レンズメーターを用いて測定された光学性能に対して補正するための補正関数を導出すること、
    上記サンプルレンズについて測定した光学性能と同一の光学性能を、評価対象レンズについて、上記測定装置を用いて測定すること、ならびに、
    測定された光学性能を、上記補正関数を用いて補正することにより、または上記補正関数に基づき補正不要であると判定することにより評価対象レンズの上記光学性能を求めること、
    を含む、前記方法。
  2. 前記複数のカテゴリーは、遠近累進屈折力レンズ、中近累進屈折力レンズおよび近近累進屈折力レンズの3つのカテゴリーからなる請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数のカテゴリーは、下記3つのカテゴリーからなる請求項1に記載の方法。
    カテゴリー1:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+0mm〜+10mmの領域に位置する累進屈折力レンズ
    カテゴリー2:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+10mm超〜+14mmの領域に位置する累進屈折力レンズ
    カテゴリー3:遠用部屈折力測定基準点が、データムラインを基準として上方+14mm超の領域に位置する累進屈折力レンズ
  4. 前記複数のカテゴリーは、下記3つのカテゴリーからなる請求項3に記載の方法。
    カテゴリー1’:前記カテゴリー1に属し、かつ累進帯長が10〜17mmの範囲である累進屈折力レンズ
    カテゴリー2’:前記カテゴリー2に属し、かつ累進帯長が20〜23.5mmの範囲である累進屈折力レンズ
    カテゴリー3’:前記カテゴリー3に属し、かつ累進帯長が19〜26mmの範囲である累進屈折力レンズ
  5. 前記評価される光学性能は、遠用部屈折力、近用部屈折力、加入屈折力およびプリズム屈折力からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記補正関数は、一次関数である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記算出手段は、平滑化処理手段を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記サンプルレンズは、評価対象のレンズと同一カテゴリーに属し、かつ同一の累進帯長を有する累進屈折力レンズである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記サンプルレンズは、評価対象のレンズと同一カテゴリーに属し、かつ累進帯長が異なる累進屈折力レンズである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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