JP4907229B2 - ライナ、横置筒型ミル、および、破砕物の排出方法 - Google Patents

ライナ、横置筒型ミル、および、破砕物の排出方法 Download PDF

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Description

本発明は、多室型の破砕装置の各室を仕切るライナ、横置筒型ミル、および、この破砕装置による破砕物の排出方法に関する。
一般に、鉱石類を破砕するために横置筒型ミルが好適に用いられている。ここで、従来の横置筒型ミル100について、図面を参照して説明する。参照する図面において、図8(a)は、従来の横置筒型ミルの断面図であり、図8(b)は、(a)の部分拡大図である。図8(a)に示すように、本発明の横置筒型ミルに相当する横置筒型ミル100は水平軸線まわりに回転駆動される円筒状のドラム120を有し、このドラム120の内部空間は、ライナ140によって本発明における破砕室に相当する第1破砕室130および第2破砕室150とに仕切られる。また、第2破砕室150から連通して、水平軸線まわりに回転駆動しながら第2破砕室150を通過した破砕物Cを製品Aとそれ以外(トロンメルオーバーTO)とにふるい分けるトロンメル160が第2破砕室150に設けられている。
また、横置筒型ミル100には、一方が外部に向けて開口し、他方が第1破砕室内に開口する円筒状の原料供給部110が設けられている。
ライナ140は、ドラム120の内部において軸線に対して直交する方向に設けられてドラム120を第1破砕室130と第2破砕室150とに区画するように設けられ、このライナ140は、ドラム120の内壁に当接するように形成され、ライナ140を軸線方向に貫通する複数の開口部Sから破砕物Cを第2破砕室150へ排出するように構成されている。
第1破砕室130の内部には、鋼鉄製で棒状のロッドRが複数充填され、第2破砕室150の内部には、鋼鉄製のボールBが複数充填されている。
このように構成された横置筒型ミル100は、以下のように動作する。
原料供給部110から第1破砕室130内に原料Mが投入されるとともに、図示しない回転駆動装置によりドラム120が回転駆動し、この回転により第1破砕室130内のロッドRが第1破砕室130の内壁に設けられたリフタ(図示省略)によって、ドラム120の回転駆動方向に持ち上げられる。そして、リフタ(図示省略)のロッドRを載せた面がドラム120の下方側に向いて傾斜すると、ロッドRは重力により落下し、この落下の衝撃により原料Mを破砕して破砕物Cを得ている。
このとき、ロッドRは、第1破砕室130内の軸方向に略平行に配置されているので、回転動作により、破砕物Cは第1破砕室130内の下方に溜まり、一方、ロッドRは常に破砕物Cの上に位置するようになる。
このようにして、ロッドRにより粗く破砕された破砕物Cは、ライナ140の開口部Sを通過して第2破砕室150内に送られる。第2破砕室150においても第1破砕室130と同様に、ドラム120の回転駆動によりボールBがリフタ(図示省略)によってドラム120の回転駆動方向に持ち上げられて、リフタ(図示省略)が下方を向いたときにボールBが落下し、この衝撃により、破砕物Cがさらに微細に破砕されて破砕物Cの粒形およびサイズを調整している。
そして、粒形およびサイズが調整された破砕物Cは、第2破砕室150の端壁の中央部分に設けられた網部分を通過して、トロンメル160に送られる。破砕物Cは、トロンメル160の回転動作により所定の規格を満たした製品Aとそれ以外のものとにふるいわけられる。そして、トロンメル160の網目を通過した製品Aは図示しない製品Aの回収手段に回収される。一方、製品A以外のものは、トロンメル160の面内で落下せずに、そのままトロンメル160の端部から外部に排出される。
特開2004−154720号公報
しかしながら、このように破砕が行われると、第1破砕室130の内部では、第1破砕室130の原料供給部110側には、破砕前や破砕が十分に行われていない大径の原料Mが溜まりやすくなる一方で、第2破砕室150側には、破砕後の小径の破砕物Cが溜まりやすくなる。
このため、第1破砕室130の内部においては、これらの蓄積物(原料Mおよび破砕物C)は、原料供給部110側から第2破砕室150側に向かって低くなるように傾斜することになる。そして、この蓄積物の上に位置するロッドRも、原料供給部110側から第2破砕室150側に向かって低くなるように傾斜する。
かかる傾斜によって、ロッドRが蓄積物上をライナ140側へ移動してライナ140にぶつかると、図8(b)に示すように、ロッドRにより開口部Sを塞いでしまうことがあった。このため、破砕物Cの通過面積を十分に確保できない場合があった。
また、ロッドRがライナ140側に移動してライナ140にぶつかると、この衝撃によりライナ140の開口部Sが潰されて閉塞してしまう場合があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、破砕物の通過面積を十分に確保し、また、ライナの開口部の損傷を防止しうるライナ、これを備えた破砕装置、および、破砕物の排出方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、水平な回転軸線を中心に回転するドラム内に破砕室を備える横置筒型ミルにおいて用いられ、前記破砕室の端部に位置すると共に、当該破砕室に収納した破砕媒体により原料を破砕した破砕物を当該破砕室の外に送り出すためのライナであって、前記ライナは、前記ドラムの内壁に沿って設置されたときに、円環状または円板状に設けられ、かつ、当該ライナの下流側面に形成した排出口と、この排出口から連通する連通路を介して当該ライナの上流側面で前記ドラムの内壁に向けて形成される取入口と、を備え、前記取入口は、前記ドラムの内壁に沿う周縁部から、当該ライナの上流側面に突出すると共に、前記ドラムの内壁から離間して形成された段差部に設けたことを特徴とする。
本発明のライナによれば、ドラム内に設置されたときに、円環状または円板状のライナ体となり、ライナの取入口はドラムの内壁に対向して開口するように設けられているため、取入口が破砕媒体と接触することがなく、破砕媒体が取入口を塞ぐことがない。このため、破砕物の通過面積を十分に確保することができ、過度な破砕を防止することができる。
さらに、本発明において前記ライナは、前記ドラム内に設置されたときに、前記上流側面に、前記回転軸線の中心となる側から前記ドラムの内壁となる側に向かって放射状に傾斜するガイド部を形成し、前記ガイド部の傾斜は、前記破砕媒体を当該ライナから離間させる方向に案内する傾斜として形成したことを特徴とする
本発明のライナによれば、ガイド部は、ドラム内に設置されたときに、破砕媒体をライナから離間させる方向に案内する傾斜として形成されているため、ライナ体として用いるときに、ドラムの回転に伴ってライナ側へ移動してきた破砕媒体をライナと反対方向へ押し戻すことができる。このため、破砕媒体がライナにぶつかることによるライナの損傷を防止することができる。
本発明において前記ライナは、前記段差部に傾斜を備えており、前記傾斜は、前記ドラム内に設置されたときに、前記ライナの下流側面から上流側面に向かって、前記ドラムの内壁から離間する傾斜であってもよい。
本発明のライナによれば、段差部の傾斜は、ドラム内に設置されたときに、下流側面から上流側面に向かってドラムの内壁から離間して形成されているため、ライナ体として用いるときに、ドラムの回転に伴ってライナ側へ移動してきた破砕媒体をライナと反対方向へ押し戻すことができる。このため、破砕媒体が段差部とドラムの内壁との間に入り込んで引っ掛かることによるライナの損傷を防止することができる。
本発明において、前記連通路は、前記取入口から前記排出口側に向かうにつれて開口面積を大きくしてもよい。
本発明のライナによれば、連通路は、取入口から排出口側に向かうにつれて開口面積を大きくしているため、取入口に取り入れられた破砕物は、連通路内を排出口側へ向かってスムーズに通過することができる。このため、連通路を目詰まりしにくくすることができる。
本発明の横置筒型ミルは、本発明に係る前記ライナを前記ドラム内に備えていてもよい。
本発明の横置筒型ミルによれば、ライナの取入口はドラムの内壁に対向して開口するように設けられているため、取入口が破砕媒体と接触することがなく、破砕媒体が取入口を塞ぐことがない。このため、破砕物の通過面積を十分に確保することができる。
また、本発明の横置筒型ミルは、前記破砕室としての第1破砕室を具備する第1ドラムと、前記第1破砕室で破砕した破砕物の追加破砕または粒形の調整を行なう第2破砕室を具備する第2ドラムとを備えると共に、前記第2ドラムには、当該ドラムの内壁位置から前記ドラムの内部に向かって円環状に突設したリブと、このリブに前記ライナを固定する固定ボルトと、を備え、前記第1ドラムと前記前記ライナが固定された状態の第2ドラムとを分離可能に接続する接続機構を備えたことを特徴とする。
本発明の横置筒型ミルによれば、第1ドラムと第2ドラムとが接続機構により分離可能に接続され、ライナは第2ドラムのリブにボルト固定することにより接続されているため、接続機構を開放することで第1ドラム側から第2ドラムをライナごと分離することが可能となる。このため、横置筒型ミルのライナ交換の際の作業性を向上させることができる。
また、本発明の横置筒型ミルは、水平な回転軸線を中心に回転するドラム内の破砕室を仕切ると共に原料を破砕した破砕物を隣接する破砕室に送り出すライナを備える横置筒型ミルであって、前記ドラムは、原料を第1破砕媒体によって破砕して破砕物を製造する第1破砕室と、前記第1破砕室に隣接し、前記第1破砕室で破砕した前記破砕物の追加破砕または粒形の調整を第2破砕媒体によって行なう第2破砕室と、を有し、前記ライナは、前記ドラムの内壁に沿うように円環状または円板状に設け、このライナの下流側面に円周方向に沿って形成した排出口と、この排出口から連通する連通路を介して当該ライナの上流側面で前記ドラムの内壁に向けて円周方向に沿って形成される取入口と、を備え、前記取入口は、前記ドラムの内壁に沿う周縁部から、前記ライナの上流側面に突出すると共に、前記ドラムの内壁から離間して形成された段差部に設け、さらに、前記ドラム内に設置されたときに、前記上流側面に、前記回転軸線の中心となる側から前記ドラムの内壁となる側に向かって放射状に傾斜するガイド部を形成し、前記ガイド部の傾斜は、前記破砕媒体を当該ライナから離間させる方向に案内する傾斜として形成したことを特徴とする。
本発明の横置筒型ミルによれば、原料が第1破砕室に投入されると、ドラムの回転に伴って第1破砕媒体が連れ回りすると共に重力で落下して原料を破砕する。そして、横置筒型ミルは、破砕した破砕物をドラムの内壁に向けて設けたライナの取入口から連通路を介して排出口から第2破砕室に送り出す。このとき、ライナの取入口は上流側面で前記ドラムの内壁に向けて円周方向に沿って形成されているため、取入口が破砕媒体と接触することがなく、破砕媒体が取入口を塞ぐことがない。このため、破砕物の通過面積を十分に確保することができる。
また、本発明の破砕物の排出方法は、本発明に係るライナを備え、前記ライナを介してドラム内で破砕室が第1破砕室と第2破砕室に仕切られる横置筒型ミルにおける破砕物の排出方法であって、導入ステップと、第1破砕ステップと、排出ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の破砕物の排出方法は、導入ステップにより、ドラム内の第1破砕室に破砕する原料を導入し、第1破砕ステップにより、第1破砕室の原料をドラムの回転により予め収納した破砕媒体を介して破砕し、排出ステップにより、第1破砕室で破砕した破砕物を、第1破砕室を仕切るライナの上流側面でドラムの内壁に向けて形成された取入口から取り入れ、その取入口から連通した連通路を介して当該ライナの下流側面に開口する排出口から第1破砕室に隣接する第2破砕室側に排出する。
本発明に係るライナによれば、破砕物の通過面積を十分に確保することができ、原料を過度に破砕することを防止することができる。
また、破砕媒体がライナを損傷することを防止することができる。さらに、破砕媒体が段差部とドラムとの間に引っ掛かることによるライナの損傷を防止することができる。そして、ブロックごとに製造することにより、ライナの製造、メンテナンスが容易となる。
また、本発明に係る横置筒型ミルによれば、ドラム内に設置されたときにドラムの内壁に向けて取入口が開口するようにライナを設けたため、取入口が破砕媒体の打撃により潰されて閉塞することを防止することができる
また、本発明の破砕物の排出方法によれば、破砕物の通過面積を十分に確保することができ、破砕物を破砕室からから隣接する破砕室へとスムーズに排出することができる。
次に、横置筒型ミルに使用される本発明に係るライナの実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図1は、本発明のライナが使用される横置筒状ミルの断面図である。また、図2は、図1に示すライナ体を単体で示す図であり、(a)は、ライナ体の全体構造を示す正面図、(b)は、(a)におけるライナの拡大図、(c)は、(b)のB−B断面図である。図3(a)(b)は、図2に示すライナの立体斜視図である。
図1に示すように、横置筒型ミル1は、原料Mを投入するための原料供給部10と、原料供給部10が取り付けられるドラム20と、ドラム20と連接されるトロンメル60と、を主に有し、載置台2に載置されている。なお、以下の説明では、原料供給部10側を上流側とし、トロンメル60側を下流側として説明する。
原料供給部10は、円筒状であって、一端側は外部に開口し、他端側はドラム20の供給部21に原料Mを導入できるように取り付けられ、台座11を介して載置台2に載置されている。
ドラム20は、円筒状のドラム20の一端に供給部21を有する供給部側壁部22により、他端は排出部23を中央部分に有する排出部側壁部24によりそれぞれ囲まれた円筒状に形成されている。また、ドラム20の外周にはドラム20から突出してリング状に形成された輪金25が長手方向に適宜離間して配置されている。この輪金25は、載置台2に固定された図示しない駆動装置により駆動する駆動タイヤ3に当接しており、駆動タイヤ3の回転力をドラム20に伝えている。
供給部21は、略円形の開口として供給部側壁部22から外側に突出して設けられている。原料供給部10から投入された原料Mは、供給部21から略円筒状の破砕室(「第1破砕室」に相当する)30内へ供給される。
ドラム20には、ドラム20の水平軸線に対して直交するように略円盤状のライナ体40が配置されている。第1破砕室30の下流側の端部に位置するこのライナ体40によりドラム20内が長手方向に第1破砕室30と略円筒状の破砕室(「第2破砕室」に相当する)50とに仕切られ区分されている。
第1破砕室30は、供給部21を有する供給部側壁部22とライナ体40とドラム20の内壁とで囲まれて形成されている。第1破砕室30には、ロッドRがドラム20の水平軸線方向に複数収容されており、このロッドRにより原料Mを破砕する。
ここで、ロッドRは、例えば、直径が90mmと75mmの棒状部材が複数収容されており、複数種類のものが原料Mの硬さや大きさに対応して組み合わせて用いられる。なお、ロッドRは、前記直径と異なる直径のものに適宜変更が可能であり、また、単一種類としても構わない。ロッドRの長さは、第1破砕室30の長さに対応して、第1破砕室30の長さより多少短く形成されたものが用いられる。
また、第1破砕室30は、その内壁に、第1破砕室30の内側に向かって突出する図示しない保護ライナに設けられているリフタ(図示省略)が適宜間隔で形成され、ドラム20の回転に伴い、ロッドRを回転方向に持ち上げたのち、自然落下させる。
ライナ体40は、図2(a)に示すように、例えば、ライナ40´を円環状に配置して、中央部に網状の通過孔41を有している。なお、ライナ体40は、扇状に形成されたライナ(図示せず)を配置して円板状に形成しても構わない。
また、ライナ体40は、図2(a)に示すように、通過孔41の周囲に同一形状のライナ40´が、例えば12個接続した状態でボルト7により第2破砕室50の内側に向かって突設した後記するリブ51に連結され円環状に形成されている。なお、ライナ40´の数は適宜変更が可能である。
ライナ40´は、図2(b)、(c)に示すように、通過孔41(図2(a)参照)に沿って円弧状に形成された内周端面42と、第1破砕室30(図1参照)の内壁に沿って円弧状に形成された周縁部45aと、を有し、隣接する他のライナ40´に当接する側における両側辺が直線状に形成されている。また、ライナ体40は、ライナ40´の中心部を通るセンターリブ44が設けられており、ライナ体40の強度を高めている。
ライナ40´は、さらに、図2(b)、(c)および図3(a)に示すように、周縁部45aから第1破砕室30へ向かって突出するとともに、ドラム20(図1参照)の内壁から離間するように傾斜する段差部45bを有している。段差部45bは、ライナ体40側へ移動してきたロッドR(図1参照)を供給部21(図1参照)側へ押し戻し、ロッドR(図1参照)が段差部45bと第1破砕室30(図1参照)との間に引っ掛からないようにしている。
また、段差部45bは、図2(c)に示すように、段差部45bと水平線とがなす角度αが、0°〜45°、望ましくは、15°〜45°となるように形成されている。
また、ライナ体40の第1破砕室30(図1参照)側に面する第1破砕室側壁部(「上流側面」に相当する)45は、円環状のライナ体40の中心部側から周縁部45a側へ向かって、第1破砕室側壁部45から離間する方向に傾斜するガイド部45cを有しており、ライナ体40側へ移動してきたロッドR(図1参照)を供給部21側(図1参照)へ押し戻している。なお、段差部45bとガイド部45cとの間には平板面45dが介在されている。
また、段差部45bには、その一部を切り欠いて形成した取入口47、47がセンターリブ44を挟んで設けられている。取入口47、47は、ドラム20の内壁に向けて開口し、破砕物C(図1参照)を取り入れるものである。取入口47、47は、例えば、幅100mm、ドラム20の内壁から開口までの高さが30mm程度で形成されることが望ましい。
また、図2(c)および図3(b)に示すように、ライナ体40の第2破砕室50側に面する第2破砕室側壁部(「下流側面」に相当する)46には、その一部をくり抜いて形成した排出口48、48がセンターリブ44(図2(b)参照)を挟んで設けられている。
また、図2(c)に示すように、ライナ体40は、取入口47、47と排出口48、48とを連通する連通路49を有しており、連通路49が第1破砕室30(図1参照)と第2破砕室50(図1参照)とを連通するようになっている。
また、図2(c)に示すように、連通路49において、排出口48、48の開口寸法bが取入口47、47の開口寸法aよりも広くなるように形成されている。さらに具体的には、開口寸法aよりも開口寸法bが1mm以上広いことが望ましい。
取入口47、47から取り入れられた破砕物Cは、連通路49を通過して、排出口48、48から第2破砕室50(図1参照)側へ排出される。
このように形成されたライナ40´を、図1および図2(a)に示すように、円環状のライナ体40とすると、取入口47、47が段差部45bにおいて円周方向に沿って間欠的に形成されると共に、排出口48、48が円周方向に沿って、ほぼ連続するように形成されることになる。
再び図1に戻って説明する。図1に示すように、第2破砕室50は、ライナ体40と、排出部23を有する排出部側壁部24とドラム20の内壁とにより囲まれて形成されている。
第2破砕室50内には、鋼鉄製のボールBが複数種類収容されており、このボールBにより破砕物Cを破砕するようになっている。なお、ボールBは、単一種類のものでも構わない。
第2破砕室50は、その内壁に、第2破砕室50の内側に向かって突出する図示しない保護ライナに設けられたリフタ(図示省略)が適宜間隔をおいて形成され、ドラム20の回転に伴い、ボールBを回転方向に持ち上げるように構成されている。
第2破砕室50は、ライナ体40側に、第2破砕室50の内壁に対して垂直に立ち上がる円環状のリブ51を有している。このリブ51は、ボールBがライナ体40の排出口48、48(主に図3参照)付近へ移動して排出口48、48(主に図3参照)を塞ぐことのないように、リブ51とライナ体40との間がボールBの径よりも狭くなるような高さまで形成され、ボールBの動きを制限すると共にライナ体40を固定するためのものである。
排出部23は、第2破砕室50の排出部側壁部24の略中央部に設けられた開口に両壁側からボールBの飛び出し防止用の網が取り付けられて構成されている。
そして、第2破砕室50で粒形が調整された破砕物Cは、排出部23を乗り越えて通過してトロンメル60へと送り出される。
トロンメル60は、第2破砕室50の破砕物Cについて所定の規格を満たした製品AとトロンメルオーバーTOとにふるい分けている。
トロンメル60の下方側には、製品Aの回収手段4が設けられており、トロンメル60を通過した製品Aを、製品Aの回収手段4に回収する。
また、トロンメル60の終端部62からトロンメル60を通過しなかったトロンメルオーバーTOをトロンメルオーバー排出部63から外部に排出する。
このように構成された横置筒型ミル1によって破砕された破砕物Cの排出方法について、以下に説明する。
図4は、横置筒型ミルの断面斜視図であり、図5は、図4に示すライナ体を第2破砕室側からみた分解断面斜視図であり、図6は、ライナの連通路から破砕物が排出される様子を示す拡大断面図である。
図4に示すように、ベルトコンベアVC上に載せられて運搬された原料Mは、原料供給部10に向けて落下するように送られ、原料供給部10の内部通路を通過してドラム20の供給部21から第1破砕室30内に導入される。このとき、横置筒型ミル1は、図示しない回転駆動装置により駆動タイヤ3が回転し、輪金25から駆動タイヤ3の回転が伝えられてドラム20が回転している。そして、第1破砕室30内のロッドRがリフタ(図示省略)に掛止されて第1破砕室30の回転動作に伴いドラム20の回転方向(図4では反時計回り)に上昇する。そして、リフタ(図示省略)が第1破砕室30の下方側に向く位置まで到達すると重力により、ロッドRがリフタ(図示省略)から第1破砕室30の下方へ落下する。第1破砕室30が回転している間は、落下したロッドRは、再びリフタ(図示省略)によりドラム20の回転方向に持ち上げられ、所定位置に到達すると落下する一連の動作が繰り返される。
このロッドRの落下による衝撃により、第1破砕室30の下方に堆積する原料Mが徐々に破砕されて破砕物Cが製造されていく。このとき、図6に示すように、破砕物Cは、破砕されながら小径となるにつれて、より大径の破砕物Cおよび原料Mとにより、第1破砕室30内を供給部21側からライナ体40側へ押し出されていく。
そして、破砕物Cが取入口47の内径よりも小径になると、第1破砕室30の回転動作に伴って破砕物Cが第1破砕室30の上方に到達したときに、破砕物Cは重力により落下して、図6の矢印で示す方向に、ライナ体40の取入口47、47から連通路49内を通過して図5に示すように、排出口48、48から第1破砕室30の外である第2破砕室50へと排出される。
なお、図6では、説明の便宜上、ライナ体40におけるライナ40´の取入口47、47が、第1破砕室30の下方に位置する状態を示しており、破砕物Cの通過経路として、取入口47、47から排出口48、48側へ押し上げられるような矢印を示してあるが、実際の使用状態においては、第1破砕室30の回転により、取入口47、47が第1破砕室30の上方にくると、重力により破砕物Cが取入口47、47から連通路49内に流入し、さらに、図6の破線で示すように、連通路49内を移動し、排出口48、48から第2破砕室50内に排出される。
ここで、破砕物Cが第1破砕室30の取入口47、47よりも小径になると、第1破砕室30内では、供給部21(図4参照)側に大径の原料Mが堆積し、小径の破砕物Cがライナ体40側に堆積するようになるので、これらの堆積物の上に位置するロッドRは、小径の破砕物C側に傾いて堆積物上をライナ体40側へ移動する場合もある。しかし、ライナ体40におけるライナ40´のガイド部45cが傾斜面を備えていることから、図6に示すように、ロッドRがライナ体40に接触すると、ドラム20の回転に伴ってガイド部45cがロッドRを供給部21側(図6の矢印方向)に押し戻すように作用する。
また、同様に、ライナ体40におけるライナ40´の段差部45b側へ移動したロッドRは、ドラム20が回転して上方に向かって連れ回されたとき段差部45bにより供給部21(図4参照)側へ押し戻されて、段差部45bと第1破砕室30の内壁との間の隙間にロッドRが引っ掛かることが防止される。
破砕物Cが第1破砕室30から連通路49を通過して第2破砕室50内に送られると、横置筒型ミル1は、ドラム20の回転に伴い、ボールBが保護ライナに設けられたリフタ(図示省略)により連れ回され、掛止されて回転方向(本実施形態では反時計回り)に持ち上げられる。そして、リフタ(図示省略)が第2破砕室50の下方を向く位置になると、ボールBは、重力によりリフタ(図示省略)から落下して第2破砕室50内に堆積する破砕物Cに衝突し、この衝撃力により破砕物Cが破砕される。そして、第2破砕室50が回転されている間は、落下したボールBは再びリフタ(図示省略)に持ち上げられて所定位置に到達すると落下するという一連の動作が繰り返されて破砕物Cの粒形やサイズが調整される。
このようにして破砕され、やがて破砕物Cが第2破砕室50の排出部23を乗り越えると、破砕物Cは排出部23を通過してトロンメル60内へと送られる。
破砕物Cがトロンメル60内に送られると、トロンメル60の回転により、破砕物Cが所定の規格を満たした製品Aとそれ以外のもの(トロンメルオーバーTO)とにふるい分けられる。
そして、トロンメル60を通過した製品Aは、製品Aの回収手段4に集積する。
一方、トロンメル60を通過しなかったトロンメルオーバーTOは、トロンメルオーバー排出部63からそのまま外部に排出される。
以上説明したように、本発明のライナ、これを備えた破砕装置によれば、次のような効果を得ることができる。
本発明のライナ体40によれば、連通路49は、ドラム20の内壁に対向するように開口して設けられているので、ロッドRにより取入口47、47が塞がれることがなく、破砕物Cの通過面積を十分に確保することができる。また、ライナ体40には、第1破砕室30側に面する破砕室側壁部45にガイド部45cが設けられているので、ライナ体40側へ移動してきたロッドRを供給部21側へ押し戻すことができ、ロッドRがライナ体40に衝突してライナ体40を損傷することを防止することができる。また、ライナ体40は、取入口47が段差部45bに開口するように設けられていることにより、ロッドRが取入口47にぶつかって、この衝撃により取入口47が潰されて閉塞することを防止することができる。また、取入口47から排出口48側に向かうにつれて連通路49の開口面積を大きくしているので、破砕物Cにより連通路49が目詰まりすることを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は本実施形態に限られるものではない。
前記実施形態では、ドラムを複数のタイヤで支持すると共に駆動タイヤ3を駆動することで回転させているが、ドラムを軸受けなどの他の支持手段で支持するものであってもよい。また駆動タイヤ以外の駆動手段、例えばドラム外周に周方向に設けたギヤを介して駆動させるものや、チェーン・ベルトをドラムの回転部分に巻き掛けて駆動するものであってもよい。
また、実施形態では、第1破砕室30に収容する破砕媒体として、直径が90mmと75mmの棒状部材を用いているが、直径が60mm以上のボール状部材を用いることもできる。
また、破砕室を複数設ける場合においては、各破砕室に収容する媒体を、両破砕室とも棒状部材またはボール状部材としてもよく、どちらか一方を棒状部材またはボール状部材としてもよい。
前記実施形態では、ライナ体40は、同一形状のライナ40´同士を当接させて1枚の円環状に形成していたが、これに限られず、はじめから単一の部材により1枚の円環状または円板状に形成してもよい。複数のライナ40´で形成する場合には、各ライナ40´の互いに隣接する側面に図3に示すような小突起部を設けることが好ましい(図例では片側面に四角形の突起Pを2つ設けている)。この突起Pを削って高さを変えることにより隣合うライナ40´間の隙間を適正に調整することが出来る。さらに、ライナ体40の中央には、第2破砕室50に突出するように通過孔41が形成されているが、この通過孔41を形成しないライナであってもよい。
また、本実施形態では、ライナ体40におけるライナ40´は、取入口47、47との間、また、排出口48、48との間がセンターリブ44で仕切られていたが、これに限られず、センターリブ44を設けずに、取入口47、47、または、排出口48、48をつなげてもよい。
これにより、破砕物Cの通過面積が広がり、破砕物Cをさらにスムーズに第2破砕室50内に排出させることができる。また、ライナ体40はガイド部45cを形成する代わりに、段差部45bとドラム20の内壁(ドラム20の内周に設けられる保護ライナの破砕室側壁)との間隔をロッドRの直径より小さくすることで、ライナ体40およびライナ40´の損傷を防止するようにしてもよい。
また、ライナ体40におけるライナ40´には、適宜間隔で両側辺から第1破砕室側壁部45に向かって立ち上がるサイドリブが設けられていてもよい。これにより、ライナ体40およびライナ40´の強度をさらに増すことができる。
また、ライナ体40におけるライナ40´は、段差部45bとガイド部45cとの間に平板面45dを介在させていたが、これに限られず、ガイド部45cをそのまま延長してもよい。これにより、ロッドRの押し戻し機能を維持しつつ、ライナ40´の成形を容易にすることができる。
前記実施の形態では、単筒状のドラム20内に第1破砕室および第2破砕室を区画して設けるものとしているが、本発明はこれに限らず、ドラムを上流側と下流側に分割して各ドラムに第1破砕室と第2破砕室を分けて設けるようにしても良い。
また、第1破砕室30と第2破砕室50、または、第2破砕室50とトロンメル60は、接続機構により分離可能に接続されていてもよい。以下、図7を参照して説明する。
図7は、他の実施形態における横置筒型ミルを示す部分断面図であって、(a)は、第1破砕室と第2破砕室、第2破砕室とトロンメルとが接続機構により接続されている様子を示す断面図、(b)は、(a)において各部分を分離した様子を模式的に示す断面図である。
図7(a)に示すように、ドラム20は、第1破砕室30を具備するドラム(第1ドラム)の外壁に円周方向に突設されたフランジ27を有し、第2破砕室50を具備するドラム(第2ドラム)の外壁に円周方向に突設されたフランジ28を有している。そして、このフランジ27とフランジ28とを固定するボルト(図示しない)からなる接続機構により、第1破砕室30と第2破砕室50とが接続され、また、ライナ40´は、リブ51に固定された破砕物受け43を介して、リブ51側からライナ40´を貫通するボルト7などで留めるなどして第2破砕室50を具備するドラム(第2ドラム)と接続される。そして、ライナ40´は、全体として円環状のライナ体40として設置される。
このとき、破砕物受け43は、ライナ体40側の側面に排出口48に対応した側面部分と第2破砕室50に通じる内周側部分に開口部を備えていると共にドラム(第1ドラム)内周側の周壁により周囲を閉じた構造となっている。また、第2破砕室50は、排出部側壁部24側の端部に設けたフランジ29と排出部側壁部24とをボルト7で留めるなどしてこれに連接するトロンメル60と接続される。
そして、図7(b)に示すように、ライナ体40は、第2破砕室50と共に第1破砕室30と分離される。また、トロンメル60は、排出部側壁部24とともに第2破砕室50と分離される。
これにより、各部を独立して調整することが可能となり、横置筒型ミル1のライナ体40交換等の際の作業性をより向上させることができる。
本発明のライナが使用される横置筒状ミルの断面図である。 図2は、図1に示すライナ体を単体で示す図であり、(a)は、ライナ体の全体構造を示す正面図、(b)は、(a)におけるライナの拡大図、(c)は、(b)のB−B断面図である。 図2に示すライナの立体斜視図である。 横置筒型ミルの断面斜視図である。 図4に示すライナ体を第2破砕室側からみた分解断面斜視図である。 ライナの連通路から破砕物が排出される様子を示す拡大断面図である。 図7は、他の実施形態における横置筒型ミルを示す部分断面図であって、(a)は、第1破砕室と第2破砕室、第2破砕室とトロンメルとが接続機構により接続されている様子を示す断面図、(b)は、(a)において各部分を分離した様子を模式的に示す断面図である。 従来の横置筒型ミルを示す図であって、(a)は、従来の横置筒型ミルの全体構成を示す断面図、(a)における開口部の拡大断面図である。
符号の説明
1 横置筒型ミル
20 ドラム
30 第1破砕室
40 ライナ体
40´ ライナ
45a 周縁部
45b 段差部
45c ガイド部
47、47 取入口
48、48 排出口
49 連通路
50 第2破砕室
A 製品
B ボール
C 破砕物
R ロッド

Claims (7)

  1. 水平な回転軸線を中心に回転するドラム内に破砕室を備える横置筒型ミルにおいて用いられ、前記破砕室の端部に位置すると共に、当該破砕室に収納した破砕媒体により原料を破砕した破砕物を当該破砕室の外に送り出すためのライナであって、
    前記ライナは、
    前記ドラムの内壁に沿って設置されたときに、円環状または円板状に設けられ、かつ、当該ライナの下流側面に形成した排出口と、この排出口から連通する連通路を介して当該ライナの上流側面で前記ドラムの内壁に向けて形成される取入口と、を備え、
    前記取入口は、前記ドラムの内壁に沿う周縁部から、当該ライナの上流側面に突出すると共に、前記ドラムの内壁から離間して形成された段差部に設け
    さらに、前記ドラム内に設置されたときに、前記上流側面に、前記回転軸線の中心となる側から前記ドラムの内壁となる側に向かって放射状に傾斜するガイド部を形成し、前記ガイド部の傾斜は、前記破砕媒体を当該ライナから離間させる方向に案内する傾斜として形成したことを特徴とするライナ。
  2. 前記段差部に傾斜を備えており、前記傾斜は、前記ドラム内に設置されたときに、前記ライナの下流側面から上流側面に向かって、前記ドラムの内壁から離間する傾斜であることを特徴とする請求項1に記載のライナ。
  3. 前記連通路は、前記取入口から前記排出口側に向かうにつれて開口面積を大きくしたことを特徴とする請求項1または2に記載のライナ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の前記ライナを前記ドラム内に備えることを特徴とする横置筒型ミル。
  5. 前記横置筒型ミルは、前記破砕室としての第1破砕室を具備する第1ドラムと、前記第1破砕室で破砕した破砕物の追加破砕または粒形の調整を行なう第2破砕室を具備する第2ドラムとを備えると共に、前記第2ドラムには、当該ドラムの内壁位置から前記ドラムの内部に向かって円環状に突設したリブと、このリブに前記ライナを固定する固定ボルトと、を備え、前記第1ドラムと前記前記ライナが固定された状態の第2ドラムとを分離可能に接続する接続機構を備えたことを特徴とする請求項4に記載の横置筒型ミル。
  6. 水平な回転軸線を中心に回転するドラム内の破砕室を仕切ると共に原料を破砕した破砕物を隣接する破砕室に送り出すライナを備える横置筒型ミルであって、
    前記ドラムは、
    原料を第1破砕媒体によって破砕して破砕物を製造する第1破砕室と、
    前記第1破砕室に隣接し、前記第1破砕室で破砕した前記破砕物の追加破砕または粒形の調整を第2破砕媒体によって行なう第2破砕室と、を有し、
    前記ライナは、
    前記ドラムの内壁に沿うように円環状または円板状に設け、このライナの下流側面に円周方向に沿って形成した排出口と、この排出口から連通する連通路を介して当該ライナの上流側面で前記ドラムの内壁に向けて円周方向に沿って形成される取入口と、を備え、
    前記取入口は、前記ドラムの内壁に沿う周縁部から、前記ライナの上流側面に突出すると共に、前記ドラムの内壁から離間して形成された段差部に設け
    さらに、前記ドラム内に設置されたときに、前記上流側面に、前記回転軸線の中心となる側から前記ドラムの内壁となる側に向かって放射状に傾斜するガイド部を形成し、前記ガイド部の傾斜は、前記破砕媒体を当該ライナから離間させる方向に案内する傾斜として形成したことを特徴とする横置筒型ミル。
  7. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のライナを備え、前記ライナを介してドラム内で破砕室が第1破砕室と第2破砕室に仕切られる横置筒型ミルにおける破砕物の排出方法であって、
    ドラム内の第1破砕室に破砕する原料を導入する導入ステップと、
    前記第1破砕室の原料をドラムの回転により予め収納した破砕媒体を介して破砕する第1破砕ステップと、
    破砕した破砕物を、前記破砕室を仕切るライナの上流側面でドラムの内壁に向けて形成された取入口から取り入れ、その取入口から連通した連通路を介して当該ライナの下流側面に開口する排出口から前記第1破砕室に隣接する第2破砕室側に排出する排出ステップと、を含むことを特徴とする破砕物の排出方法。
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