JP4907007B2 - 複屈折フィルム用光反応性高分子液晶及びこれを用いた複屈折フィルム - Google Patents

複屈折フィルム用光反応性高分子液晶及びこれを用いた複屈折フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学異方性の発現性に優れるとともに、様々なメソゲンの配向構造を達成できる複屈折フィルム用光反応性高分子液晶、並びにこれを用いた複屈折フィルム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、液晶表示装置(LCD)には様々な複屈折フィルムの利用が検討されてきた。例えば、TN型LCDにおいては、ディスコティック液晶や棒状のネマチック液晶を傾斜配向させた複屈折フィルムが視野角改良に有効であることが知られている。また、OCB型LCDにおいても、ディスコティック液晶を傾斜配向させた複屈折フィルムを用いることで、視野角が改良されることも知られている。このように、複屈折フィルムを製造する方法として、液晶化合物を利用したものが製品化されているが、現在これらの液晶化合物を特定の方向に配向させる方法としては、主に配向膜あるいはこれに類推するものをラビングして配向方向を制御する方法が一般的に用いられている。一方でラビング法は、ラビングによるゴミの発生や設備の自由度が小さいなどの課題を有しており、この改善のために、液晶化合物の配向を光により制御する方法が検討されている。
【0003】
光を用いた液晶化合物の配向制御としては、アゾベンゼンを含む高分子液晶に特定波長の光を照射することで光異性化を誘起して配向を制御する方法や、光架橋性基を有する高分子液晶に特定の紫外線を照射して架橋することで配向を制御する方法などが考案されている。中でも、紫外線により光2量化反応を起こし、架橋構造を与えるシンナモイル基などの光反応性基を、メソゲン(分子構造中の液晶性を発現させる中核的単位)の末端に有する側鎖型高分子液晶を用い、そこに偏光紫外線を照射する方法が、高温でもメソゲンの配向が安定した複屈折フィルムを作製できる有効な方法として考案されている。
【0004】
しかしながら、従来用いられてきたメソゲン末端に光反応性基を有する側鎖型高分子液晶では、光学的異方性の発現性があまり大きくなく、複屈折フィルムとして利用するために充分な複屈折率を得るのが容易ではなかった。複屈折率の発現性が小さくても厚みを厚くすることで、原理的には必要な光学的異方性、すなわち必要な大きさのレターデーションを得ることはできるものの、複屈折率の発現性が小さいということは、液晶成分であるメソゲンの配向性が良くないことを意味しており、厚みを厚くした場合に、配向の乱れによって白濁するなどの問題が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、特定の構造を有する光反応性高分子液晶を用いることで、メソゲンの配向性が良くなり、複屈折フィルムとして用いるのに十分な光学異方性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、複屈折フィルムに適した、側鎖にメソゲンと光反応性基を有し、メソゲンと光反応性基の間にスペーサー基が存在しない光反応性高分子液晶、並びにこれを用いた複屈折フィルム及びその製造方法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる光反応性高分子液晶は、側鎖にメソゲンと光反応性基を有する光反応性高分子液晶であって、メソゲンと光反応性基の間にスペーサー基が存在しないものである。この高分子液晶は、複屈折フィルム用として十分な光学異方性を発現するものであれば特に制限はないが、下式(1)で示される構造を有する側鎖型光反応性高分子液晶である。そして、前記複屈折フィルムは、光反応性高分子液晶にたいして紫外線を照射した後に、液晶温度域にて熱処理を行って形成される複屈折フィルムである。
【0008】
【化1】
Figure 0004907007
【0009】
ここで、Aは高分子主鎖であって、下式
【0010】
【化2】
Figure 0004907007
【0011】
のいずれかを表し;
Mはメソゲンであって、式 −(ph)−Z−(ph)−を表し、ここに (ph) はフェニレン基を表し、Zは単結合、−C(O)O−、−OC(O)−、−CH=CH− 又は −C≡C−を表し;
Bは光反応性基であって、下式
−X1−C(O)−CH=CH−(ph1)−Yn、
−(ph)−CH=CH−C(O)−X2
のいずれかを表し、ここに X1 は単結合、−(ph)(Yn)− 、−O−(ph)(Yn)− 、−(ph)(Yn)−O− 又は −O−を表し、X2 は−O−CkH2k+1、−O−(ph1)−Yn 又は−(ph1)−Yn を表し、 (ph) はフェニレン基を表し、 (ph1) はフェニル基を表し、n個のYはそれぞれ独立に、−O−CkH2k+1、−CkH2k+1、−NO2、−CN、−Cl又は −F を表し、kは0〜12の整数を表し、nは0〜3の整数を表し;
mは2〜12の整数を表す。
【0012】
中でも、光反応性基がシンナモイル基含有化合物又はその誘導体の残基であると、適度な反応性が得られるため、好ましい。
【0013】
複屈折フィルムの製造方法としては、上記の光反応性高分子液晶を溶媒に溶解した液を透明基板上に薄く塗布した後に、特定の紫外線を照射し、その後熱処理による再配向を行う方法や、上記の薄く塗付した層に熱をかけながら特定の紫外線を照射する方法が用いられるが、紫外線を照射した後に熱処理を行う方法が、装置構造が簡略であるなどの点で好ましい。
【0014】
光反応性高分子液晶を溶解する溶媒、濃度及び溶解方法は特に限定されず、用いる基板や乾燥時間などによって適宜選択される。光反応性高分子液晶を塗布する基板は、透明基板であれば特に限定されないが、等方性の基板として、ガラス板や、固有複屈折率の小さい高分子化合物からなるキャストフィルムなどが例示される。固有複屈折率の小さい高分子化合物には、三酢酸セルロースのようなセルロース系高分子、ノルボルネン系高分子、固有複屈折率の小さいポリカーボネート系高分子、固有複屈折率の小さいポリエステル系高分子などが包含される。また、他の複屈折フィルムと組み合わせて用いる場合には、透明基板として、延伸などの配向処理が施された高分子フィルムを用いてもよい。配向処理が施された高分子フィルムには、例えば、ポリカーボネート系高分子やノルボルネン系高分子などからなるフィルムの一軸延伸又は二軸延伸フィルム、三酢酸セルロースのようなセルロース系高分子などからなる面配向キャストフィルムなどが包含される。
【0015】
透明基板への塗布方法は、スピンコート法、グラビアコート法、コンマコート法など、薄膜で必要な均一性が得られる塗布法であれば、特に限定されない。塗布厚は、必要とする光学特性によって適宜決定されるが、一般には0.1μm 〜10μm 程度、好ましくは0.2μm 〜5μm に設定される。
【0016】
紫外線の照射法は、目的とする複屈折フィルムの光学特性によって適宜決定される。フィルム面にメソゲンが平行となるように、かつ平均配向方向がフィルム面内の特定の方向となるように配向させて、フィルム面内にレターデーションが発現し、かつレターデーションの傾斜角依存性が法線方向に対して対称である光学的に正の一軸性又は正の二軸性を有する複屈折フィルムを得るには、フィルム法線方向から前記特定の方向に電場ベクトルがある偏光紫外線を照射する。本発明による光反応性高分子液晶は、偏光紫外線で反応させた場合、偏光紫外線の電場ベクトル、すなわち偏光軸と平行に近い方向に配向しているメソゲンに結合した光反応性基が反応して配向が固定され、フィルム面内の遅相軸がこの平均配向方向にほぼ一致するため、紫外線の偏光軸方向を制御することで容易に光学異方性の方向を制御することができる。発現させるフィルム面内のレターデーションは、利用する目的によって適宜設定されるが、特にLCD用複屈折フィルムとして用いる場合には、通常10nm以上で、30nm以上とするのがより好ましい。
【0017】
また、フィルム面内のレターデーションがほぼ0nmで、かつレターデーションの傾斜角依存性が法線方向に対して対称であり、光学軸がほぼ法線方向にある光学的に負の一軸性を有する複屈折フィルムを得るには、フィルム法線方向から無偏光の紫外線を照射する。本発明の光反応性高分子液晶は、無偏光紫外線で反応させた場合、照射方向に垂直な平面に近い方向に配向しているメソゲンに結合している光反応性基が反応して配向が固定されるため、紫外線をフィルム法線方向から照射した場合には、メソゲンの平均配向がフィルム面にほぼ平行でかつメソゲンのフィルム面内の配向方向がランダムとなり、このようなレターデーションの傾斜角依存性が法線方向に対して対称で負の光学異方性を有するフィルムを得ることができる。発現させるフィルム厚み方向のレターデーション(フィルム面内の平均屈折率とフィルム厚み方向の屈折率の差にフィルム厚みを掛けたもの)は、利用する目的によって適宜設定されるが、特にLCD用複屈折フィルムとして用いる場合には、通常30nm以上で、50nm以上とするのがより好ましい。
【0018】
さらに、紫外線の照射方向を法線方向から傾斜した方向にすると、メソゲンをフィルム面から傾斜した方向に配向させることができ、レターデーションの特定方向での傾斜角依存性が法線方向に対して非対称である複屈折フィルムを得ることもできる。偏光紫外線を斜め方向から照射した場合には、偏光軸が法線と照射軸を含む面内にあるようにすることで、メソゲンの平均配向方向が紫外線進行方向に垂直な面内で偏光軸に平行な方向となるため、光学的に正の一軸性又は二軸性を有し、光学主軸のうち、最も屈折率が大きい軸が法線方向から傾斜している複屈折フィルムとなる。この場合、塗布する透明基板や空気との界面相互作用などによっては、厚み方向で傾斜角度が一様ではなく、ある程度配向が連続的に変化したハイブリッド配向になることもある。また、無偏光紫外線を斜め方向から照射した場合には、メソゲンの平均配向方向は紫外線進行方向に垂直な面に平行で、その面内ではランダムとなるため、光学的に負の一軸性を有し、光学軸が法線方向から傾斜している複屈折フィルムとなる。偏光紫外線の場合と同様に、塗布する透明基板や空気との界面相互作用などによっては、ハイブリッド配向になることもある。これらいずれの場合も、フィルム面内にレターデーションが発現するようになる。これらのレターデーションの値は利用する目的によって適宜設定されるが、特にLCD用複屈折フィルムとして用いる場合には、通常5nm以上で、10nm以上とするのがより好ましい。
【0019】
上記のように本発明は、メソゲンの平均配向方向が紫外線の電場ベクトルの方向とほぼ一致するように制御するものであるが、これを実現するためには、メソゲンと光反応性基の間にスペーサー基が存在しないという構造が重要である。これは、スペーサー基が存在すると、その構造上の自由度のために、メソゲンの配向方向に対する光反応性基の配向方向の自由度が増大し、メソゲンの配向方向と紫外線の電場ベクトルの方向が一致する確率が低下するためである。
【0020】
上記光学的異方性の指標である軸性については、照射する紫外線の偏光度を変えることによっても制御可能である。例えば、ほぼ100%の偏光度を有するグラン−テーラー偏光プリズムを通した完全直線偏光紫外線を用いて光学的に正の一軸性が得られる場合、グラン−テーラー偏光プリズムを偏光度の低い偏光フィルムに変えて紫外線を照射すると、紫外線の強い方向のみでなく、紫外線が弱い方向にもある程度メソゲンが配向するため、光学的に正の二軸性が得られるようになる。この偏光度をさらに小さくすると、負の二軸性が得られるようになり、最終的に偏光度が0%になった場合には、紫外線の進行方向に垂直な面内においてメソゲンの配向がランダムとなり、前記のとおり光学的に負の一軸性となる。このように本発明においては、紫外線の偏光度を制御することで、光学的に正の一軸性から負の一軸性まで任意の異方性を実現することもできる。
【0021】
これらの各種光学異方性の発現は、紫外線照射のみでは限界があることから、大きな異方性を発現するためには、照射後に高分子液晶の液晶温度域において熱処理する再配向処理を行うのが好ましい。具体的な処理温度は、用いる光反応性高分子液晶の温度特性に依存するが、液晶温度領域でも未反応の光反応性基が結合しているメソゲンが動きやすい液晶相−等方相転移温度未満で、なるべく高い温度が好ましい。再配向処理による光学異方性の増大の原理は、以下のように考えられる。まず、紫外線照射により紫外線の電場ベクトルとほぼ平行な方向に配向しているメソゲンに結合した光反応性基が反応し、このメソゲンの配向方向が特定の方向に固定される。液晶温度域になると、未反応の光反応性基が結合している側鎖は主鎖による分子構造的な拘束はあるものの、ある程度自由に動くことができるようになる。この自由に動けるようになったメソゲンは、相互作用によって特定の配向をとろうとするが、光反応によって一部のメソゲンの配向方向が固定されているため、この方向に全体が配向するようになる。
【0022】
このように本発明では、光反応している基と反応していない基が存在することが重要である。再配向処理前の光反応を多くすると、反応部の架橋によって高分子全体が固定されてしまい、未反応基を有する側鎖が液晶温度域においても自由に動けなくなる。そこで、上記再配向処理によって異方性を増大させるには、光反応による反応性基の反応率を50%以下に抑えるのが好ましく、さらには5%〜30%の反応率とするのがより好ましい。
【0023】
本発明に従って光反応性高分子液晶を用いることで、様々な配向構造を有する複屈折フィルムを容易に製造することができる。さらには、フォトマスクなどを用いて、紫外線を照射する領域毎に異なる方向から紫外線を照射することで、その領域毎に異なる配向構造を有する多分割配向複屈折フィルムを作製することもできる。
【0024】
また、本発明の光反応性高分子液晶を用いることで、効率良く光学異方性を発現させることができ、必要な特性を得るための塗布厚も小さくすることができるため、液晶セル内部に複屈折フィルムを形成することも可能となる。この場合にも、例えば、液晶セル内の1画素の中に2種類の配向構造を有する複屈折フィルムを作り込むことも可能となる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、以下の例において、紫外線光源としては250Wの高圧水銀灯を用い、290nm以下の光はカットフィルターを通して除いた。また、偏光紫外線を得るには、グラン−テーラー偏光プリズムを用いた。紫外線照射量は、365nmでの値で表示する。さらに、各種測定は以下のようにして行った。
【0026】
液晶温度領域:加熱冷却ステージ(Linkam 社製の“TH600PM”)を装備した偏光顕微鏡(オリンパス光学工業社製の“BHA-P”)、及び示差走査熱量計(セイコー電子社製の“SSC5200H”)を用いて測定した。
【0027】
光反応性基の反応率:赤外分光光度計(日本電子社製の“FT/IR-410”)を用いて、1639cm-1の−C=C−結合による吸光度から求めた。
【0028】
メソゲンの配向性:メソゲンに起因する紫外線吸収の吸収極大波長における偏光紫外線の異方性から、以下の式より求めた。
二色比=(Ap−Ac)/(Ap+Ac)
ここで、Ap は偏光紫外線の最大吸光度方向の吸光度であり、Ac はAp 方向に垂直な方向の偏光紫外線の吸光度である。
【0029】
フィルム面内の複屈折率:632.8nm の単色光を用いて測定したレターデーションを厚みで割って求めた。
【0030】
実施例1
下式(2)
【0031】
Figure 0004907007
【0032】
の化学構造を有し、光反応性基がメソゲンに直接結合している光反応性高分子液晶〔液晶温度領域:116℃から300℃以上まで(約300℃で分解)〕を塩化メチレンに5重量%の濃度で溶解し、石英基板の上にスピンコーターを用いて約0.15μm の厚みとなるように塗布した。このフィルムにフィルム法線方向から偏光紫外線を1.35J/cm2で15秒間照射した後、190℃で10分間の熱処理を行って複屈折フィルムを作製した。このフィルムにおいて、光反応性基の反応率は17%であった。また、このフィルムの配向性を320nmにおける二色比で評価したところ、0.68であり、従来のものよりも大きい値を示した。さらに、フィルム面内のレターデーションは36nmで、複屈折率は0.24であり、非常に高い値を示した。
【0033】
比較例1
下式(3)
Figure 0004907007
【0034】
の化学構造を有し、x:yの共重合比が29:71であり、光反応性基を有するメソゲンを持つモノマーと光反応性基を有しないメソゲンを側鎖に持つモノマーがランダム共重合した光反応性高分子液晶(液晶温度領域:46℃〜101℃)を塩化メチレンに5重量%の濃度で溶解し、石英基板の上にスピンコーターを用いて約0.4μm の厚みとなるように塗布した。このフィルムにフィルム法線方向から偏光紫外線を3.0J/cm2で1分間照射した後、73℃で30分間の熱処理を行って複屈折フィルムを作製した。このフィルムにおいて、光反応性基の反応率は41%であった。また、このフィルムの配向性を285nmにおける二色比で評価したところ、0.5であり、実施例1の複屈折フィルムに比べて配向性が劣っていた。さらに、フィルム面内のレターデーションは25nmであり、複屈折率は約0.06と実施例1の複屈折フィルムよりもはるかに小さかった。
【0035】
比較例2
前記式(3)の化学構造を有し、x:yの共重合比が48:52であり、光反応性基を有するメソゲンを持つモノマーと光反応性基を有しないメソゲンを側鎖に持つモノマーがランダム共重合した光反応性高分子液晶(液晶温度領域:46℃〜94℃)を用い、比較例1と同様にして石英基板上に塗布した。このフィルムに、91℃の温度でフィルム法線方向から偏光紫外線を1.5J/cm2で10秒間照射して、複屈折フィルムを作製した。このフィルムにおいて、光反応性基の反応率は35%であった。また、このフィルムの配向性を285nmにおける二色比で評価したところ、0.4であり、実施例1の複屈折フィルムに比べて配向性が劣っていた。さらに、フィルム面内のレターデーションは26nmであり、複屈折率は約0.07と実施例1の複屈折フィルムよりもはるかに小さかった。
【0036】
参考例1
実施例1で用いた光反応性高分子液晶を、実施例1と同様にして石英基板上に約0.48μmの厚みで塗布した。このフィルムに基板法線方向から45°傾斜した角度で、偏光紫外線をその電場ベクトルの方向が法線と照射軸を含む面内にあるように照射して、複屈折フィルムを作製した。この複屈折フィルムは、面内に86nmのレターデーションを有しており、フィルム面内の遅相軸は、フィルム面に投影した偏光紫外線の電場ベクトルの方向とほぼ一致していた。また、フィルム面内の進相軸を傾斜軸としてフィルムを傾斜した状態で測定したレターデーションの傾斜角依存性は、図1に示すように、法線方向に対して非対称であり、紫外線照射側に傾斜した場合にレターデーションが大きくなる特性を有していた。これは、偏光紫外線の電場ベクトルに近い方向にメソゲンが配向していることを示している。また、レターデーションの極小値が0nmでないことから、メソゲンのフィルム面からの傾斜角は一定ではなく、ハイブリッド配向していると考えられる。
【0037】
参考例2
実施例1で用いた光反応性高分子液晶を、実施例1と同様にして石英基板に塗布した。このフィルムに、基板法線方向から45°傾斜した方向から無偏光紫外線を照射して複屈折フィルムを作製した。この複屈折フィルムは、面内に17nmのレターデーションを有しており、フィルム面内の遅相軸は、無偏光紫外線の照射方向に垂直な面とフィルム面の交線の方向とほぼ一致していた。また、フィルム面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルムを傾斜した状態で測定したレターデーションの傾斜角依存性は、図2に示すように、法線方向に対して非対称であり、紫外線照射側に傾斜した場合にレターデーションが小さくなる特性を有する。これは、無偏光紫外線の進行方向に垂直な平面内に平行に近い方向に、かつこの平面内でランダムにメソゲンが配向していることを示している。また、レターデーションの極小値が0nmでないことから、メソゲンのフィルム面からの傾斜角は一定ではなく、ハイブリッド配向していると考えられる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の光反応性高分子液晶は、従来にない大きな光学異方性を実現することができるだけでなく、様々な配向構造を容易に実現することができる。また、本発明による複屈折フィルムは、様々な光学異方性を必要十分な大きさで実現できるため、特にLCD用の複屈折フィルムとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で作製した複屈折フィルムについて、レターデーションの傾斜角依存性を示す図である。
【図2】実施例3で作製した複屈折フィルムについて、レターデーションの傾斜角依存性を示す図である。

Claims (13)

  1. 側鎖にメソゲンと光反応性基を有し、メソゲンと光反応性基の間にスペーサー基が存在しないことを特徴とする光反応性高分子液晶からなる複屈折フィルムであって、
    前記光反応性高分子液晶が、下式(1)
    Figure 0004907007
    〔ここで、Aは高分子主鎖であって、下式
    Figure 0004907007
    のいずれかを表し;Mはメソゲンであって、式 −(ph)−Z−(ph)−を表し、ここに (ph) はフェニレン基を表し、Zは単結合、−C(O)O−、−OC(O)−、−CH=CH− 又は −C≡C−を表し;Bは光反応性基であって、下式−X1−C(O)−CH=CH−(ph1)−Yn、−(ph)−CH=CH−C(O)−X2のいずれかを表し、ここに X1 は単結合、−(ph)(Yn)− 、−O−(ph)(Yn)− 、−(ph)(Yn)−O− 又は −O−を表し、X2 は−O−CkH2k+1、−O−(ph1)−Yn 又は−(ph1)−Yn を表し、 (ph) はフェニレン基を表し、 (ph1) はフェニル基を表し、n個のYはそれぞれ独立に、−O−CkH2k+1、−CkH2k+1、−NO2、−CN、−Cl又は −F を表し、kは0〜12の整数を表し、nは0〜3の整数を表し;mは2〜12の整数を表す〕で示され;
    前記複屈折フィルムは、光反応性高分子液晶にたいして紫外線を照射した後に、液晶温度域にて熱処理を行って形成される複屈折フィルム。
  2. 光反応性基が、シンナモイル基含有化合物又はその誘導体の残基である請求項1に記載の複屈折フィルム。
  3. 高分子液晶を透明基板上に塗布したものを紫外線硬化してなることを特徴とする請求項1または2に記載の複屈折フィルム。
  4. 光反応性基の反応率が50%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  5. 複屈折フィルムの屈折率異方性が正である請求項1〜4のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  6. 複屈折フィルムの屈折率異方性が負である請求項1〜4のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  7. レターデーションの傾斜角依存性が法線に対して対称である請求項1〜6のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  8. レターデーションの特定の方向における傾斜角依存性が法線に対して非対称である請求項1〜6のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  9. 請求項に記載の高分子液晶を透明基板上に塗布し、次いで紫外線を照射して硬化させ、その後に、液晶温度域にて熱処理を行うことを特徴とする複屈折フィルムの製造方法。
  10. 紫外線が偏光紫外線であり、得られる複屈折フィルムの屈折率異方性が正である請求項に記載の複屈折フィルムの製造方法。
  11. 紫外線が無偏光紫外線であり、得られる複屈折フィルムの屈折率異方性が負である請求項に記載の複屈折フィルムの製造方法。
  12. 紫外線を被照射物の法線方向から照射し、得られる複屈折フィルムのレターデーションの傾斜角依存性が法線に対して対称である請求項11のいずれかに記載の複屈折フィルムの製造方法。
  13. 紫外線を被照射物の法線方向以外の斜め方向から照射し、得られる複屈折フィルムのレターデーションの傾斜角依存性が法線に対して非対称である請求項11のいずれかに記載の複屈折フィルムの製造方法。
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