JP4906293B2 - 音場制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭内において映画などのコンテンツ再生時に複数の音場を形成する音場制御装置に関し、特に、入力信号や出力信号のレベルやバランスを検出し、検出結果に応じて音場を形成する反射音信号を制御して、音場のバランスを一定に保つ音場制御装置に関する。
近時、マルチチャンネルサラウンドサウンドを再生できるAVシステムをリビングルームやリスニングルームなどに設けて、家の中で映画や音楽などのコンテンツを楽しむユーザが増加している。ユーザが、例えば映画のDVDをこのAVシステムで再生すると、複数のスピーカからマルチチャンネルのサラウンドサウンドが再生されるので、ユーザは周囲から音に包まれる感覚を体感しながら映画を楽しむことができる。
また、従来のAVシステムには、単にマルチチャンネルサラウンドサウンドを再生するだけでなく、マルチチャンネルサラウンドサウンドから複数の反射音を生成して複数の音場を形成することで、その場にいるような臨場感のあるサウンドを再生する音場制御装置があった(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−275300号公報
特許文献1に記載の音場制御装置では、コンテンツに応じた音場制御を行うために、各チャンネルの音について複数の利得設定パターンがROMに記録されており、これらのパターンをユーザが選択することで、臨場感のある音を再生できる。
しかしながら、従来の音場制御装置では、上記のように利得設定パターンが予めROMに記録されており、音場処理レベルや信号合成レベルをリファレンスソースに固定化している。そのため、マルチチャンネルサラウンドサウンドの各チャンネル入力信号のレベルやバランスが崩れた場合には、複数の音場のバランスが崩れてしまい、聴取者に違和感を与えてしまうという問題があった。例えば、多額の予算をかけて制作された所謂大作映画の場合、セリフ・効果音・音楽といった各サウンドがしっかりと作り込まれており、このような映画のサウンドを従来の音場制御装置で再生すると、複数の音場がバランス良く形成される。これに対して、低予算で制作された映画の場合には、フロント側の音が、セリフ・効果音・音楽などの各サウンドにより作り込まれているのに対して、サラウンド側の音(リア音)は効果音だけであったり、効果音や音楽の音量が小さかったりすることがある。このような映画のサウンドを従来の音場制御装置で再生すると、フロント音場に対してサラウンド(リア)の音場が薄くなり、音場のバランスが悪い状態となることがあった。また、このように、音場のバランスが悪い場合には、ユーザが音場のバランスを自分で調整しなければならなかった。
そこで、本発明は、コンテンツの種類にかかわらず、音場処理レベルや信号合成レベルを入力ソースに応じて動的に変更することにより、すべての入力ソースに対して自動的に音場のバランスを均一に保つことができる音場制御装置を提供することを目的とする。
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
(1)聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカから、複数チャンネルの音で構成されるマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させて、聴取位置の周囲に複数の音場を形成する音場制御装置であって、
マルチチャンネルサラウンド音の入力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた合成比パラメータを生成する適応型入力信号検出手段と、
前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号のうちフロント信号L,Rの差信号であるフロント差信号と、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号のうちサラウンド信号SL,SRの差信号であるサラウンド差信号と、を生成する差信号生成手段と、
前記合成比パラメータに基づいて、前記サラウンド信号SL,SRと、前記フロント差信号と、を合成してフロント合成信号を生成し、並びにフロント信号L,C,Rと、前記サラウンド差信号と、を合成してサラウンド合成信号を生成する入力信号合成手段と、
ロント音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記フロント合成信号を畳み込み、サラウンド音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記サラウンド合成信号を畳み込んで、前記複数のスピーカの少なくとも幾つかから音場形成用の反射音を放音させる音場形成信号を作成する音場形成信号作成手段と
前記音場形成信号作成手段作成する各音場形成信号を、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号の同じスピーカに出力する信号それぞれ合成して、各チャンネルの出力信号を作成する出力信号合成手段と、
前記各チャンネルの出力信号を増幅して、前記複数のスピーカへ出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
音場制御装置は、聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカからマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させてフロント音場及びサラウンド音場を形成するが、マルチチャンネルサラウンド音の入力信号について、各チャンネルのレベルやバランスがコンテンツ毎に異なっていたり変動したりすると、各音場のバランスや音場間のバランスが崩れてしまい、聴取位置の聴取者を音場によりバランス良く包み込むことができない。例えば、フロント側の音が、セリフ・効果音・音楽などの複数の音により作り込まれているのに対して、サラウンド側は効果音や音楽の音量が小さかったりすることがあり、フロント音場に対してサラウンド音場が薄くなり、音場間のバランスが崩れてしまう。
この構成においては、音場制御装置は、適応型入力信号検出手段により、マルチチャンネルサラウンド音の入力信号について、各チャンネルのレベルやバランスを検出し、それらの結果に応じた合成比パラメータを生成する。そして、各音場形成手段により、この合成比パラメータに基づいて複数の入力信号及び入力信号の差信号の合成比を変更し、この合成比で各信号を合成して合成信号を生成し、この合成信号からフロント音場やサラウンド音場を形成するための音場形成信号を作成する。したがって、本発明の音場制御装置は、適応型入力信号検出手段を設けて、音場処理のレベル・バランスを入力ソースに応じて動的に変更することにより、すべての入力ソースに対して各音場のバランスを均一に保つことが可能となり、聴取者の周囲に形成した複数の音場により聴取者をバランス良く包み込んで、臨場感のあるサウンドを提供できる。
(2)聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカから、複数チャンネルの音で構成されるマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させて、複数の音場を形成する音場制御装置であって、
マルチチャンネルサラウンド音の入力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた合成比パラメータを生成する適応型入力信号検出手段と、
前記合成比パラメータに基づいて、フロント音場並にサラウンド音場を形成するのに必要な複数の入力信号及び入力信号の差信号の合成比を変更し、この合成比で各信号を合成して合成信号を生成する入力信号合成手段と、
ロント音場及びサラウンド音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記合成信号を畳み込んで、前記複数のスピーカの少なくとも幾つかから音場形成用の反射音を放音させる音場形成信号を作成する音場形成信号作成手段と、
出力パラメータに基づいて前記音場形成信号の各反射音信号のレベル及びバランスを変更して出力する音場信号レベル制御手段と、
前記音場信号レベル制御手段が出力する各音場形成信号を、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号の同じスピーカに出力する信号それぞれ合成して、各チャンネルの出力信号を作成する出力信号合成手段と、
前記出力信号合成手段が作成した出力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた出力パラメータを生成して前記音場信号レベル制御手段へ出力する適応型出力信号検出手段と、
前記各チャンネルの出力信号を増幅して、前記複数のスピーカへ出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
この構成において、音場制御装置は、適応型入力信号検出手段により、マルチチャンネルサラウンド音の入力信号における各チャンネルのレベルやバランスを検出し、それらの結果に応じた合成比パラメータを生成する。そして、各音場形成手段により、この合成比パラメータに基づいて、複数の入力信号及び入力信号の差信号の合成比を変更し、この合成比で各信号を合成して合成信号を生成し、この合成信号からフロント音場やサラウンド音場を形成するための反射音信号の集まりである音場形成信号を作成する。また、音場制御装置は、適応型出力信号検出手段により、出力信号合成手段が作成する出力信号について各チャンネルのレベル及びバランスを検出して、検出結果に応じた出力パラメータを生成する。そして、各音場信号レベル制御手段は、この出力パラメータに基づいて、音場形成手段が出力した音場形成信号の各反射音信号のレベル及び各反射音信号間のバランスを変更して出力する。このように、本発明の音場制御装置は、適応型入力信号検出手段により各チャンネルの信号のレベル・バランスを調整し、また、適応型出力信号検出手段によりマルチチャンネルサラウンド音と、音場を形成用の反射音とのバランスを調整する。したがって、音場処理レベル・バランスや信号合成レベル・バランスを、入力ソースに応じて動的に変更して、すべての入力ソースに対して音場バランスを均一に保つことが可能となり、聴取者は、常に安定した音場感のサウンドを楽しむことができる。
(3)聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカから、複数のチャンネル音で構成されたマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させて、複数の音場を形成する音場制御装置であって、
マルチチャンネルサラウンド音の各チャンネルの入力信号から、フロント音場並にサラウンド音場を形成するのに必要な複数の入力信号及び入力信号の差信号を抽出し、これらを合成して合成信号を生成する入力信号合成手段と、
ロント音場またはサラウンド音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記合成信号を畳み込んで、前記複数のスピーカの少なくとも幾つかから反射音を放音させる反射音信号の集まりである音場形成信号を作成する音場信号作成手段と、
前記音場信号作成手段が出力する各音場形成信号を、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号における同じスピーカに出力する信号、出力パラメータに応じた合成比でそれぞれ合成して、各チャンネルの出力信号を作成する出力信号合成手段と、
前記出力信号合成手段が作成した出力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた出力パラメータを生成して前記出力信号合成手段へ出力する適応型出力信号検出手段と、
前記各チャンネルの出力信号を増幅して、前記複数のスピーカへ出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
この構成においては、音場制御装置は、適応型出力信号検出手段により、出力信号の各チャンネルのレベル及び各チャンネル間のバランスを検出し、検出結果に基づいて、音場形成信号とマルチチャンネルサラウンド音の入力信号との合成比を調整する。したがって、マルチチャンネルサラウンド音と各音場とのバランスを調整して、常に一定のバランスに保つことができる。
本発明の音場制御装置は、入力信号検出手段を設け、音場処理レベルや信号合成レベルを入力ソースに応じて動的に変更することにより、すべての入力ソースに対して音場バランスを均一に保つことができる。これにより、本発明の音場制御装置は、聴取者を常に良好なバランスの音場で包み込むことができるので、コンテンツの種類にかかわらず、聴取者に臨場感のあるサウンドを提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る音場制御装置の構成を示すブロック図である。音場制御装置1は、一例として、5チャンネルのサラウンド音を出力するとともに、フロント音場92及びサラウンド音場94の2つの音場を形成する。フロント音場92は、図1に示すように、聴取位置90のユーザUの前方に奥行き感及び立体感を与え、ユーザUを前方から包み込む音場である。サラウンド音場94は、聴取位置90のユーザUの後方にサラウンド感を与え、ユーザUを後方から包み込む音場である。
音場制御装置1は、DSP(Digital Signal Processer)デコーダ11、信号処理部12、D/Aコンバータ13、ローパスフィルタ14、電子ボリューム15、パワーアンプ16、コントローラ17、メモリ18、操作部19、及び表示部20を備えている。また、音場制御装置1のパワーアンプ16には、スピーカ21〜27が接続されている。
図1に示すように、部屋91内には、ユーザUの聴取位置90の前方左、前方中央、前方右にフロントスピーカとしてL,C,R各チャンネルのスピーカ21,22,23が配置されている。また、ユーザUの聴取位置90の前方左右及び後方左右に音場制御用スピーカとしてFL,FR,RL,RR各チャンネルのスピーカ24,25,26,27が配置されている。
DSPデコーダ11には、DIR(Digital audio Interface Receiver)32、A/Dコンバータ34、及びHDMI(High Definition Multimedia Interface)(登録商標)レシーバ36が接続されている。DSPデコーダ11は、HDMI(登録商標)レシーバ36を介して接続されたDVDプレーヤ2や、A/Dコンバータ34を介して接続されたチューナ3などのAV機器から出力されたアナログ音信号やディジタルビットストリームを、Lch(チャンネル)、Rch、Cch、SLch、及びSRchの5チャンネルのディジタル音信号(PCM信号)に変換して、信号処理部12へ出力する。また、DSPデコーダ11は、AAC(登録商標),Dolby Digital(登録商標),DTS(登録商標),MPEG−1/2,MPEG−2マルチチャンネル,MP3など多様なデータフォーマットをサポートしており、外部入力信号を図外のデコーダにより5チャンネルのディジタル音信号(PCM信号)にデコードする。また、DSPデコーダ11は、例えばDVDプレーヤ2から5チャンネルのディジタル音信号(PCM信号)が直接入力された場合には、これらの信号をそのまま信号処理部12へ出力する。
信号処理部12は、主信号線40、引算器42、フロント入力信号合成部44、引算器46、サラウンド入力信号合成部48、入力信号検出部50、フロント音場作成部52、フロント音場信号レベル制御部54、サラウンド音場作成部56、サラウンド音場信号レベル制御部58、出力信号検出部60、加算器62〜65、及び加算器66,67を備えている。ここで、DSPデコーダ11及び信号処理部12は、1つのDSPで構成しても、それぞれ別のDSPで構成しても良い。
主信号線40は、DSPデコーダ11が出力した5チャンネルのディジタル音信号をD/Aコンバータ13へ送出するラインであり、途中に設けた加算器66,67でフロント音場92やサラウンド音場94を形成する反射音信号が合成される。
引算器42は、サラウンド信号SL,SRの差信号(SL−SR)を作成して、フロント入力信号合成部44へ出力する。
フロント入力信号合成部44は、入力信号のうちフロント信号L,C,R、及び引算器42から出力された差信号(SL−SR)を、入力信号検出部50から送られてきた合成比パラメータに基づいた重みづけで合成する。そして、フロント入力信号合成部44は、この合成した信号(合成フロント信号Fco)をフロント音場作成部52へ出力する。ここで、フロント入力信号合成部44において、サラウンドチャンネル間の差信号(SL−SR)を合成する理由は、差信号(SL−SR)は間接音成分が主であり、これを適当な量でフロント信号に取り込むことによって、フロント音場作成部52で生成するフロント音場92の奥行きをより深くできるからである。
引算器46は、フロント信号L,Rの差信号(L−R)を作成して、サラウンド入力信号合成部48へ出力する。
サラウンド入力信号合成部48は、入力信号のうちサラウンド信号SL,SR、及び引算器46から出力された差信号(L−R)を、入力信号検出部50から送られてきた合成比パラメータに基づいた重みづけで合成する。そして、サラウンド入力信号合成部48は、この合成した信号(合成サラウンド信号Sco)をフロント音場作成部52へ出力する。
ここで、サラウンド入力信号合成部48において、フロント信号の差信号(L−R)を合成する理由は、差信号(L−R)は間接音成分が主であり、かつサラウンドチャンネルのみの合成では得られない成分の間接音であるため、これを適当な量でサラウンド信号に取り込むことによって、サラウンド音場作成部56で生成するサラウンド音場94の奥行きをより深くできるからである。
入力信号検出部50は、各チャンネルの入力信号のレベル・バランスを動的に検出して、合成比パラメータを求める。そして、入力信号検出部50は、その合成比パラメータを、フロント入力信号合成部44及びサラウンド入力信号合成部48へ出力する。
フロント音場作成部52は、反射音パラメータメモリ72、及び畳み込み演算部74を備えている。フロント音場作成部52は、反射音パラメータメモリ72から読み出される反射音パラメータP1に基づき、合成フロント信号Fcoから、ユーザUの聴取位置90の前方に比較的狭いフロント音場92を形成するための反射音信号を生成する。反射音パラメータメモリ72は、フロント信号L,C,Rの定位方向に適したフロント音場92を与える反射音パラメータP1を記憶している。この反射音パラメータP1は、4つの音場制御用スピーカ24〜27から反射音を放音して部屋91内にフロント音場92を形成するように、遅れ時間とゲインの組み合わせにより構成されている。畳み込み演算部74は、FIRフィルタを備えており、合成フロント信号Fに各方向の反射音パラメータP1をディジタル信号処理で畳み込み演算し、各方向の反射音信号FL(前左)、FR(前右)、RL(後左)、RR(後右)を生成して、フロント音場信号レベル制御部54へ出力する。
フロント音場信号レベル制御部54は、出力信号検出部60から送られてきた出力パラメータに基づいて、各反射音信号FL、FR、RL、RRのレベル・バランスを変更して、各反射音信号を加算器62〜65へ出力する。
サラウンド音場作成部56は、反射音パラメータメモリ76、及び畳み込み演算部78を備えている。サラウンド音場作成部56は、反射音パラメータメモリ76から読み出される反射音パラメータP2に基づき、合成サラウンド信号Scoから、ユーザUの聴取位置90を後方から包み込むサラウンド音場94を形成するための反射音信号を生成する。反射音パラメータメモリ76は、聴取位置90を後方から包み込む比較的広いサラウンド音場94を形成するための反射音パラメータP2を記憶している。この反射音パラメータP2は、4つの音場制御用スピーカ24〜27から反射音を放音して部屋91内にサラウンド音場94を形成するように、遅れ時間とゲインの組み合わせにより構成されている。畳み込み演算部78は、FIRフィルタを備えており、合成サラウンド信号Scoに各方向の反射音パラメータP2をディジタル信号処理で畳み込み演算し、各方向の反射音信号FL、FR、RL、RRを生成して、サラウンド音場信号レベル制御部58へ出力する。
サラウンド音場信号レベル制御部58は、出力信号検出部60から送られてきた出力パラメータに基づいて、各反射音信号FL、FR、RL、RRのレベル・バランスを変更して、各反射音信号を加算器62〜65へ出力する。
出力信号検出部60は、各チャンネルの出力信号のレベル・バランスを動的に検出して、出力パラメータを求める。そして、出力信号検出部60は、その出力パラメータを、フロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58へ出力する。
加算器62は、フロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58から出力された反射音信号FLを合成して、D/Aコンバータ13へ出力する。同様に、加算器63は、両制御部54,58から出力された反射音信号FRを合成して、D/Aコンバータ13へ出力する。加算器64は、両制御部54,58から出力されたRL信号を合成して、加算器66へ出力する。加算器64は、両制御部54,58から出力されたRR信号を合成して、加算器67へ出力する。
加算器66は、加算器64から出力されたRL信号と、入力信号であるサラウンド信号SLと、を合成してD/Aコンバータ13へ出力する。
加算器67は、加算器65から出力されたRR信号と、入力信号であるサラウンド信号SRと、を合成してD/Aコンバータ13へ出力する。
D/Aコンバータ13は、信号処理部12から出力されたLch、Rch、Cch、RL(SL)ch、RR(SR)ch、FLch、FRchの合計7チャンネルのディジタル音信号をそれぞれアナログ音信号に変換する。
ローパスフィルタ14は、各アナログ音信号から20kHz以上の帯域における折り返しノイズを除去する。
電子ボリューム15は、操作部19の操作に応じてコントローラ17から出力された制御信号に応じて、各チャンネルのアナログ音信号の信号量を調整する。
パワーアンプ16は、電子ボリューム15で調整されたアナログ音信号を増幅して各スピーカ21〜27へ出力する。
スピーカ21〜27は、パワーアンプ16から出力されたアナログ音信号に応じた音を放音する。すなわち、スピーカ21はLch、スピーカ22はCch、スピーカ23はRch、スピーカ24はFLch、スピーカ25はFRch、スピーカ26はRLchとSLch、及びスピーカ27はRRchとSRchの音をそれぞれ放音する。
コントローラ17は、操作部19で行われた操作に応じて各部を制御する。例えば、操作部19で音量の調整操作が行われると、コントローラ17はこの操作に応じた制御信号を電子ボリューム15に出力して、各スピーカ21〜27から放音する音の音量を変更する。コントローラ17としては、CPUやMPUが好適である。
メモリ18は、コントローラ17で行うプログラムを記憶している。
操作部19は、音場制御装置1に対してユーザが各種の操作・設定などの入力を行うためのものである。
表示部20は、音場制御装置1からユーザに対する伝達事項を表示するためのものである。
次に、音場制御装置1における特徴的な動作について説明する。図2は、入力信号検出部が検出する信号レベルの一例である。図2には、フロント側信号の平均レベルとサラウンド側信号の平均レベルがアンバランスな場合を示している。
音場制御装置1では、入力信号検出部50及び出力信号検出部60により、各チャンネルの入力信号及び出力信号のレベル及びバランスを検出して、検出結果に応じてフロント音場92及びサラウンド音場94を形成する各チャンネルの反射音信号のレベルやバランスを調整する。これにより、各チャンネルの入力信号や出力信号のレベルがコンテンツによって異なっていたり、再生途中でバランスが変化したりしても、音場のバランスを一定に保つことができる。
ここで、入力信号検出部50及び出力信号検出部60は、各チャンネルの入力信号及び出力信号のレベル及びバランスの瞬時の変動を検出するのではなく、例えば30秒間〜60秒間という音の平均的な変動量を把握できるスパンを設定して、この間における各信号の平均的な変動量を監視する。そして、入力信号検出部50及び出力信号検出部60は、フロント音場92とサラウンド音場94とのバランスが、予め設定した安定したバランスとなるように、つまり、フロント音場92とサラウンド音場94により聴取位置90のユーザUを周囲から包み込むように、この平均的な変動量に応じた合成比パラメータをフロント入力信号合成部44及びサラウンド入力信号合成部48へ出力する。フロント入力信号合成部44及びサラウンド入力信号合成部48は、この合成比パラメータに基づいて、音場のバランスが安定するように、例えば30秒間〜60秒間という時定数で各チャンネルの音信号のレベルを変化させて、音場形成するための信号である合成フロント信号Fco及び合成サラウンド信号Scoを合成する。このようにするのは、信号レベルを急激に変化させると、各音場のバランスが急激に変化するので、ユーザに違和感を与えてしまうおそれがあるためであり、徐々に信号レベルを変化させることで、ユーザに違和感を与えることなく、各音場のバランスを適正な状態にすることができる。
音場制御装置1において、入力信号検出部50には合成比パラメータのデフォルト値が設定されており、出力信号検出部60には出力パラメータのデフォルト値が設定されている。したがって、フロント入力信号合成部44及びサラウンド入力信号合成部48は、起動時には、このデフォルト値に基づいて合成フロント信号Fco及び合成サラウンド信号Scoを合成し、フロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58は、このデフォルト値に基づいて各反射音信号FL、FR、RL、RRのレベル・バランスを設定して、各反射音信号を加算器62〜65へ出力する。
このとき、Lch,Cch,Rchのフロント入力音信号の平均レベルが図2(A)に示すようなレベルであるのに対して、SL,SRチャンネルのサラウンド入力音信号の平均レベルが図2(B)に示すようにフロント入力音信号のレベルよりもかなり小さかったとする。音場制御装置1は、このような場合には以下のように信号処理を行う。すなわち、フロント入力信号合成部44の出力信号については、レベル・バランスともに問題ないので、各信号の合成比を変更することなく、フロント入力信号はそのまま合成する。したがって、フロント入力信号合成部44の出力信号は、図2(C)に示すようなレベルとなる。
一方、サラウンド入力信号合成部48の入力平均レベルは、図2(B)に示したように、フロント入力信号のレベルに対して小さいため、フロント音場92とサラウンド音場94とがアンバランスとなる。
そこで、サラウンド入力信号合成部48では、各信号の合成後の信号レベルを所定のレベル(フロント入力音信号との平均レベルとほぼ同様のレベル)となるまで、例えば30秒〜60秒のスパンで、図2(D)に示すように徐々に大きくする。
このように、サラウンド入力信号合成部48で合成する合成サラウンド信号Scoの信号レベルが徐々に大きくなるので、サラウンド音場作成部56が生成する反射音信号のレベルも同様に、徐々に大きくなる。したがって、サラウンド音場94の厚みが厚くなって、フロント音場92とのバランスが良くなり、ユーザUを周囲からバランス良く包み込むことができる。
また、サラウンド音のあるチャンネルの入力信号のレベルがしばらくの間(例えば5分程度)低下した場合には、このチャンネルの音信号の合成比を上げることで、音場のバランスを保つことができる。また、SLチャンネルとSRチャンネルの音信号のバランスが崩れた場合には、合成比を変更することで、サラウンド音場94のバランスを保つことができる。
このように、入力信号検出部50により、フロント音場92やサラウンド音場94を形成するための各チャンネルの音信号の合成比を個別に変更できるので、各音場のバランスをきめ細かく調整することが可能となる。
一方、出力信号検出部60は、各チャンネルの出力信号のレベル及びバランスを検出して、これらに応じた出力パラメータを出力し、フロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58は、この出力パラメータに基づいて、各方向の反射音信号FL、FR、RL、RRの出力レベルやバランスを変更する。例えば、FLチャンネル及びFRチャンネルの音信号のレベルに対して、SLチャンネル及びSRチャンネルの音信号のレベルが小さい場合には、サラウンド音場信号レベル制御部58から出力する各方向の反射音信号FL、FR、RL、RRの出力レベルを上げることで、フロント音場92とサラウンド音場とのバランスを適正な状態にすることができる。また、L、R、Cの各チャンネルのフロント音信号のレベルに対して、RL、RR、FL、FRの各音場形成用のチャンネルの音信号のレベルが小さい場合には、フロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58から出力する各方向の反射音信号FL、FR、RL、RRの出力レベルを上げることで、L、R、C、SL、SRの各チャンネルの音信号(マルチチャンネルサラウンド音)に対するフロント音場92及びサラウンド音場94のレベルを上げることができる。これにより、マルチチャンネルサラウンド音と反射音とのバランスを適正な状態にすることができる。
このように、出力信号検出部60により、フロント音場92やサラウンド音場94を形成するための各反射音信号のレベルを変更できるので、入力信号検出部50での入力信号のレベル・バランスの検出結果に基づいてフロント音場92及びサラウンド音場94のバランスを調整したが、うまくバランスを調整できない場合などに、出力信号のレベル・バランスを検出することで、検出結果に応じて各音場のバランスやマルチチャンネルサラウンド音に対するフロント音場92やサラウンド音場94のバランス(音量)を調整することが可能となる。
次に、音場制御装置の別の実施形態を説明する。図3は、信号処理部の別の構成を示すブロック図である。音場制御装置1’は、音場制御装置1の信号処理部12を信号処理部12’に置き換えたものであり、他の構成は音場制御装置1と同様である。また、信号処理部12’は、信号処理部12のフロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58に代えて、FL信号レベル調整部82、FR信号レベル調整部84、RL信号レベル調整部86、及びRR信号レベル調整部88を設けたものであり、他の構成は信号処理部12と同様である。なお、以下の説明では、音場制御装置1’において、音場制御装置1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
出力信号検出部60は、各チャンネルの出力信号のレベル・バランスを検出し、検出結果に応じて出力パラメータをこれらFL信号レベル調整部82、FR信号レベル調整部84、RL信号レベル調整部86、及びRR信号レベル調整部88へ出力する。
FL信号レベル調整部82、FR信号レベル調整部84、RL信号レベル調整部86、及びRR信号レベル調整部88は、出力信号検出部60から送られてきた出力パラメータに応じて、それぞれFL,FR,RL,RRの各チャンネルの音信号のレベルを調整する。
このように構成することで、マルチチャンネルサラウンド音の入力信号、つまりL,C,R,SL,SRチャンネルの各音信号の平均的なレベルと、音場形成用の反射音信号であるFL,FR,RL,RRチャンネルの各音信号の平均的なレベルと、が異なる場合に、両レベルの比率を容易に調整することができる。これにより、簡易的に音場の厚みを調整することができる。
また、図1に示した音場制御装置1では、フロント音場信号レベル制御部54及びサラウンド音場信号レベル制御部58により合計8種類の信号レベルについて調整を行う構成であるが、音場制御装置1’においては、上記のように、合計4種類の信号レベルについて調整を行うように構成している。したがって、音信号のレベルを調整量を削減することにより、装置の負荷を減らすことができる。
ここで、音場制御装置1・音場制御装置1’は、上記のように、入力信号検出部50及び出力信号検出部60を備えた構成に限るものではなく、入力信号検出部50のみを備えた構成であっても良い。例えば、上記のように、入力信号検出部50での入力信号の検出結果に基づいて音場を調整することで、確実に各音場のバランスを保つことができる場合には、出力信号のレベル・バランスを検出しなくても良いので、出力信号検出部60を設けなくても良い。
図4は、複数の音場を形成した様子を示す図である。以上の説明では、音場制御装置1・音場制御装置1’により、フロント音場92とサラウンド音場94の2つの音場を形成して、各音場のバランスを調整する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、さらに複数のスピーカをユーザUの聴取位置90の周囲に設けてさらに複数の音場を形成した場合にも適用可能である。例えば、にさらに複数の音場を形成する場合にも、入力信号検出部や出力信号検出部を設けて、マルチチャンネルサラウンド音の入力信号や出力信号のレベル・バランスを検出し、その変化に応じて各音場のバランスを調整することで、各音場のバランスを一定に保つことができる。例えば、図4に示すように、部屋91において、ユーザUの聴取位置90の周囲に11個のスピーカ121〜131を設けた場合には、点L・C・Rを中心とするプレゼンス音場141、点LSを中心とする左サラウンド音場142、点RSを中心とする右サラウンド音場143、及び点CSを中心とする背面サラウンド音場144の4つの音場を形成することができる。この場合にも、信号処理部に設けた入力信号検出部や出力信号検出部により各入力信号や各出力信号を検出して、検出結果に基づいて各音場を形成する音信号の合成比やレベルを調整することで、各音場のバランスを一定に保つことができる。
以上のように、本発明の実施形態に係る音場制御装置では、複数の音場を形成することができるともに、各音場のバランスを自動的に調整して、調整後にはこのバランスを均一に保つことができる。これにより、ユーザは、再生したコンテンツを、その場にいるような臨場感で楽しむことができる。
本発明の実施形態に係る音場制御装置の構成を示すブロック図である。 入力信号検出部が検出する信号レベルの一例である。 信号処理部の別の構成を示すブロック図である。 複数の音場を形成した様子を示す図である。
符号の説明
1−音場制御装置 2−DVDプレーヤ 3−チューナ 11−DSPデコーダ 12−信号処理部 13−D/Aコンバータ 14−ローパスフィルタ 15−電子ボリューム 16−パワーアンプ 21〜27,121〜131−スピーカ 40−主信号線 42−引算器 44−フロント入力信号合成部 46−引算器 48−サラウンド入力信号合成部 50−入力信号検出部 52−フロント音場作成部 54−フロント音場信号レベル制御部 56−サラウンド音場作成部 58−サラウンド音場信号レベル制御部 60−出力信号検出部

Claims (3)

  1. 聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカから、複数チャンネルの音で構成されるマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させて、聴取位置の周囲に複数の音場を形成する音場制御装置であって、
    マルチチャンネルサラウンド音の入力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた合成比パラメータを生成する適応型入力信号検出手段と、
    前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号のうちフロント信号L,Rの差信号であるフロント差信号と、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号のうちサラウンド信号SL,SRの差信号であるサラウンド差信号と、を生成する差信号生成手段と、
    前記合成比パラメータに基づいて、前記サラウンド信号SL,SRと、前記フロント差信号と、を合成してフロント合成信号を生成し、並びにフロント信号L,C,Rと、前記サラウンド差信号と、を合成してサラウンド合成信号を生成する入力信号合成手段と、
    ロント音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記フロント合成信号を畳み込み、サラウンド音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記サラウンド合成信号を畳み込んで、前記複数のスピーカの少なくとも幾つかから音場形成用の反射音を放音させる音場形成信号を作成する音場形成信号作成手段と
    前記音場形成信号作成手段作成する各音場形成信号を、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号の同じスピーカに出力する信号それぞれ合成して、各チャンネルの出力信号を作成する出力信号合成手段と、
    前記各チャンネルの出力信号を増幅して、前記複数のスピーカへ出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とする音場制御装置。
  2. 聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカから、複数チャンネルの音で構成されるマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させて、複数の音場を形成する音場制御装置であって、
    マルチチャンネルサラウンド音の入力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた合成比パラメータを生成する適応型入力信号検出手段と、
    前記合成比パラメータに基づいて、フロント音場並にサラウンド音場を形成するのに必要な複数の入力信号及び入力信号の差信号の合成比を変更し、この合成比で各信号を合成して合成信号を生成する入力信号合成手段と、
    ロント音場及びサラウンド音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記合成信号を畳み込んで、前記複数のスピーカの少なくとも幾つかから音場形成用の反射音を放音させる音場形成信号を作成する音場形成信号作成手段と、
    出力パラメータに基づいて前記音場形成信号の各反射音信号のレベル及びバランスを変更して出力する音場信号レベル制御手段と、
    前記音場信号レベル制御手段が出力する各音場形成信号を、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号の同じスピーカに出力する信号それぞれ合成して、各チャンネルの出力信号を作成する出力信号合成手段と、
    前記出力信号合成手段が作成した出力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた出力パラメータを生成して前記音場信号レベル制御手段へ出力する適応型出力信号検出手段と、
    前記各チャンネルの出力信号を増幅して、前記複数のスピーカへ出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とする音場制御装置。
  3. 聴取位置の周囲に配置した複数のスピーカから、複数のチャンネル音で構成されたマルチチャンネルサラウンド音及びマルチチャンネルサラウンド音から生成した反射音を放音させて、複数の音場を形成する音場制御装置であって、
    マルチチャンネルサラウンド音の各チャンネルの入力信号から、フロント音場並にサラウンド音場を形成するのに必要な複数の入力信号及び入力信号の差信号を抽出し、これらを合成して合成信号を生成する入力信号合成手段と、
    ロント音場またはサラウンド音場を形成させる反射音パラメータを用いて前記合成信号を畳み込んで、前記複数のスピーカの少なくとも幾つかから反射音を放音させる反射音信号の集まりである音場形成信号を作成する音場信号作成手段と、
    前記音場信号作成手段が出力する各音場形成信号を、前記マルチチャンネルサラウンド音の入力信号における同じスピーカに出力する信号、出力パラメータに応じた合成比でそれぞれ合成して、各チャンネルの出力信号を作成する出力信号合成手段と、
    前記出力信号合成手段が作成した出力信号について、各チャンネルのレベル及びバランスを検出し、検出結果に応じた出力パラメータを生成して前記出力信号合成手段へ出力する適応型出力信号検出手段と、
    前記各チャンネルの出力信号を増幅して、前記複数のスピーカへ出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とする音場制御装置。
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