まず、本発明の重合性組成物、平版刷版版原版の感光層あるいは下塗り層に用いられるオリゴ糖および多糖からなる群より選択される少なくとも1種の糖について詳細に説明する。
〔オリゴ糖および多糖からなる群より選択される少なくとも1種の糖〕
本明細書では、単糖類がグリコシド結合により2〜10個連結されてなる糖類をオリゴ糖と定義し、単糖類がグリコシド結合により11個以上連結されてなる糖類を多糖とする。
本発明においては、オリゴ糖、多糖のうち、膜強度の観点から多糖が好ましい。より好ましくは、該多糖がカルボキシル基またはカルボキシル基の塩、あるいは該多糖が硫酸基または硫酸基の塩を有していることである。更に好ましくは、該多糖が硫酸基または硫酸基の塩であることである。
また、下塗り層に用いる場合には、露光部において支持体と感光層を密着させ、未露光部において親水性を保持する観点から、多糖のうち、親水基含有多糖ないしはらせん構造をもつ多糖がより好ましく、親水基を含有するらせん構造をもつ多糖が特に好ましい。
らせん構造をもつ多糖の好ましい具体例としては、カラギーナン、シゾフィラン、レンチナン、ラミナラン、アガロース、アミロース、サクシノグリカン、アルギン酸、カードラン、ジェランガム、ガラクトマンナン等を挙げることができる。ただし、本発明のらせん構造を有する多糖はこれらに限定されるものではない。
親水基を含有するらせん構造をもつ多糖のうち、特に好ましい例としては、アガロース、カラギーナン、中でもκ-カラギーナン、ι-カラギーナン等を挙げることができる。
本発明において特に好ましい態様である“親水基を含有するらせん構造をもつ多糖”においては、下塗り層塗布液の調製および塗布時に、該塗布液を60〜100℃の温度で30分以上撹拌・加熱し、この温度範囲に保った塗布液を塗布乾燥することが耐刷性および現像性のレベルを向上させる観点でより好ましい。
化学的な理由は定かではないが、上記の効果が得られる作用機構として以下のように推定している。
上記のようにして下塗り層を調製・塗布することで、塗布直後から現像前までは下塗り層中で多糖がランダムコイル状態(ポリマー主鎖がほぐれて拡がった状態)で存在し、O
H基だけでなく疎水的なピラノース環やフラノース環が剥き出しになっている。
これにより、未露光部では、水が浸透してくるとピラノース環やフラノース環同士の疎水性相互作用によりランダムコイル構造かららせん構造に変化する。その結果、ピラノース環やフラノース環がらせん内部に埋没し、OH基や親水基のみがらせんの外側に張り出した形態をとることになる。そうすると、多糖の一次構造は水の浸透前後で同一であっても、高次構造が異なるために疎水性(ランダムコイル)から親水性(らせん)へ極性が変化するので、現像性や生保存性に優れる。
一方、露光部では、感光層が露光により硬化して現像液の浸透が抑制されているため、OH基や親水基由来の多点水素結合やピラノース環やフラノース環同士のファンデルワールス力の作用により、支持体-感光層界面の密着性が保持され耐刷性が向上する(劣化しない)。
上記糖類の重合性組成物中(平版印刷版原版の感光層中)の好ましい含有量は組成物(感光層)の総重量に対して0.01〜99質量%、耐刷性および生保存性の観点から、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは1.0〜60質量%、最も好ましくは5.0〜50質量%である。
上記糖類の下塗り層としての塗布量は、耐刷性および生保存性の観点から、好ましくは0.1〜2000mg/m2、より好ましくは2.0〜500mg/m2、最も好ましくは5.0〜100mg/m2である。
本発明において、オリゴ糖及び多糖は一種類のものを使用してもよいし、複数種を併用してもよい。感光層や下塗り層塗布液調製時の作業の簡便さの観点で単独で用いることが好ましい。
本発明におけるオリゴ糖の具体例としてはマルトース、マルトトリオース、セロビオース、ラクトース、スクロース、ラミナリビオース、サッカロース等の2糖類、ゲンチアノースなどが挙げられる。
又、上記の糖類は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エチレンオキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ウレタン基、ウレア基、チオール基、アセタール基、或いはこれらを組み合わせたものなどで置換することが可能である。
上記オリゴ糖が置換されてよいアルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基をあげることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基をあげることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
上記アルキル基は置換基を有してよく、導入可能な置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができる。該1価の非金属原子団としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
オリゴ糖が置換されてよいアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基等が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜12個のものが挙げることができる。
アリール基としては、ベンゼン環、2〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等をあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等をあげることができ、これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、このようなアリール基に導入可能な置換基としては、前記アルキル基、及び、アルキル基に導入可能な置換基が挙げられる。
また、上記オリゴ糖が置換されてよいアミノ基は酸で中和されアンモニウム基であっても構わない。
本発明における多糖の具体例としては、セルロース、アミロース、ヘミセルロース、キシラン、シゾフィラン、カードラン、キチン、キトサン、レンチナン、ペクチン、グアガム、トラガント、アミロペクチン、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化グアガム、エマルサン、カラギーナン、ラミナランなどが挙げられる。
又、上記の多糖は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エチレンオキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ウレタン基、ウレア基、チオール基、アセタール基、或いはこれらを組み合わせたものなどで置換することが可能である。
上記多糖が置換されてよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基の具体例としては、上記オリゴ糖が置換されてよいこれらの基の具体例と同様の基を挙げることができる。
また、上記多糖が置換されてよいアミノ基は酸で中和されアンモニウム基であっても構わない。
上記オリゴ糖や多糖のように、5員環及び/又は6員環構造を2個以上有し、かつ該環構造が糖構造である化合物は、元来有する親水基の他に、新たな親水性基を含有させることができ、このような親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アセチルアミノ基、エチレンオキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ウレタン基、ウレア基、チオール基などが挙げられる。これらは直接5員環或いは6員環に結合することが可能であるが、必要に応じメチレン基、メチレンオキシ基、アリール基等の連結基を介して結合することも可能である。又、上記に挙げた水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、チオール基等はプロトン体でも、塩基で中和されても使用することが可能である。
親水性基としてカルボキシル基を含有させた多糖の具体例としては、アルギン酸、コン
ドロイチン、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート(CAHHP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)等およびこれらが塩基で中和された塩を挙げることができる。
親水性基としてスルホン酸基を含有させた多糖の具体例としては、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、カラギーナン等およびこれらが塩基で中和された塩を挙げることができる。
次に、重合性組成物或いは感光層に用いられる他の成分について詳細に説明する。
〔(B)バインダーポリマー〕
本発明に用いられる有機高分子バインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用できるが、皮膜性を有するポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合などの架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
バインダーポリマーはアルカリ可溶性の観点から、ポリマー側鎖に、下記一般式(1)で表される、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基を有していることが好ましい。
一般式(1)中、Pはポリマー主鎖骨格を表し、X3は、ポリマー主鎖骨格に直接結合する単結合又はカルボン酸エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、炭化水素基、及び、エーテル基(−O−または−S−)からなる群より選択される連結基を表す。A2−Hは、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基として機能する部分構造を表す。mは1〜5の整数を表す。
以下、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基について述べる。
1.酸解離定数(pKa)が0以上5.5未満である酸基
酸解離定数(pKa)が0以上5.5未満である酸基としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基などが挙げられ、特に好ましいものは、カルボン酸基である。カルボン酸基を含有する構造としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどがあり、特に好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンであり、これらの1種あるいは2種以上用いることができる。
2.酸解離定数(pKa)が5.5以上11以下の酸基
本発明において、アルカリ可溶性ポリマーに含まれる酸基のうち酸解離定数(pKa)が5.5以上11以下について説明する。pKaは、好ましくは7〜11の範囲であり、さらに好ましくは8〜11の範囲である。
このような酸基として、具体的には、例えば、フェノール基(pKa=9.99)、2−メトキシフェノール基(pKa=9.99)、2−クロロフェノール基(pKa=8.55)、2−ヒドロキシ安息香酸メチル基(pKa=9.87)、4−メチルフェノール基(pKa=10.28)、1,3−ベンゼンジオール基(pKa=9.20)、1−ナフトール基(pKa=9.30)、1,2−ベンゼンジオール基(pKa=9.45)、ベンゼンスルホンアミド基(pKa=10.00)、N−アセチルフェニルベンゼンスルホンアミド基(pKa=6.94)、4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=10.58)、N−フェニル−4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=6.30)、N−(4−アセチルフェニル)−4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=7.61)、アセチル酢酸エチル基(pKa=10.68)等が挙げられる。これらの中でも、芳香族基上に置換基を有してもよいフェノール基、芳香族基上に置換基を有してもよいベンゼンスルホンアミド基がより好ましい。
尚、上記具体例に記載の酸解離定数pKaは、E.P.SERJEANTら著、“IONISATION CONSTRANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTION”及びJOHN A.DEAN著、“LANGE’S HANDBOOK OF CHEMISTRY”に記載の数値である。
上記特定の酸基を有する構造単位としては、下記一般式(2)で表される構造単位が好ましい。
一般式(2)中、Xは、O、S、又は−NR4−を表す。Yは、2価の有機基を表す。Aは、特定の酸基を表す。R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の有機基、シアノ基、又はニトロ基を表す。
一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4で表される1価の有機基としては、例えば、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、芳香族基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、等が挙げられる。
上記1価の有機基は、更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられる。
一般式(2)中、Yで表される2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、等が挙げられる。
上記2価の有機基は、更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられる。
また、特定の酸基を有する構造単位としては、下記一般式(3)〜一般式(8)で表される構造単位も好ましい。
一般式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Xは2価の連結基を表す。Yは置換基を有してもよい2価の芳香族基を表す。
一般式(3)において、Xが表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキレン基、又はフェニレン基が挙げられる。Yが表す置換基を有してもよい2価の芳香族基としては、置換基を有してもよいフェニレン基、又はナフチレン基が挙げられる。
一般式(4)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はカルボン酸基を表す。R3は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。R4は、水素原子、アルキル基、フェニル基又はアラルキル基を表す。Xは、窒素原子と芳香環炭素原子とを連結する2価の有機基を表す。nは0又は1を表す。Yは、置換基を有してもよいフェニレン基、又は置換基を有してもよいナフチレン基を表す。
一般式(4)について詳しく説明する。
一般式(4)で表される構造単位において、Yは置換基を有してもよいフェニレン基、又は置換基を有してもよいナフチレン基を表すが、置換基の種類によって本発明の重合性組成物の特性が大きく影響を受けることは殆どないので、置換基としては任意の基を用いることができる。代表的な置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げることができる。
一般式(5)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を表す。R2及びR3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。Xは、単環又は多環の、炭素環式芳香族環系を完成させるのに必要な原子を表す。nは、1,2又は3を表す。
一般式(5)で表される構造単位としてより好ましくは、R1が水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R2及びR3が、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R4、R5及びR6が、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、Xがベンゼン環又はナフタレン環を完成させるのに必要な炭素原子であり、nが1である場合である。
一般式(5)で表される構造単位として特に好ましくは、R1が水素原子又はメチル基であり、R2、R3及びR4が水素原子であり、R5が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子であり、R6が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、Xがベンゼン環又はナフタレン環を完成させるのに必要な炭素原子であり、nが1である場合である。
一般式(5)におけるR1がアルキル基である場合、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましい。特に好ましいのは、R1が水素原子又はメチル基である場合である。
一般式(5)においては、R2及びR3の少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。R2及びR3がアルキル基を表す場合、炭素数1〜6アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
一般式(5)において、R4は、好ましくは水素である。R5は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R6は、炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
一般的に、アルキル基とは、ここでは、ハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい、あるいはエーテル基又はケトン基を含んでいてもよい、環状及び開放鎖を有する、枝分かれした及び枝分かれしていない、飽和及び不飽和基を表すものとする。炭素数1〜4の枝分かれしていないアルキル基が好ましい。アリール基とは、単環又は多環式でよく、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい複素環式又は炭素環式芳香族リング系を表すものとする。
リング系X上の上記置換基の位置には特に制限はなく、化合物の調製し易さによっての
み左右される。
炭素環式芳香族リング系Xは、単環式でも多環式でもよい。炭素環式リング系の中で、特にベンゼン及びナフタレン系を挙げることができる。
一般式(5)におけるハロゲン原子としては、塩素、臭素及びヨウ素原子が好ましく、塩素が特に好ましい。
一般式(6)及び一般式(7)中、X1及びX2は、各々独立に、−O−又は−NR7−を表す。R1及びR4は、各々独立に、−H又は−CH3を表す。R2及びR5は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。R3は、−H、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R7は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。
一般式(8)中、A1は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。B1は、フェニレン基、置換フェニレン基を表す。B2は、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。B3は、2価の有機基を表す。X1及びX2は、各々独立に、−CO−、又は−SO2−を表す。Yは、−CO−R1又は−SO2−R1を表し、R1はアルキル基、置換アルキル基、芳香族基又は置換芳香族基を表す。m及びjは0又は1を表す。
以下に、一般式(2)〜一般式(8)で表される構造単位として用いられる共重合モノ
マーの具体例(B−1〜B−6、C−1〜C−15、D−1〜D−6、E−1〜E−15、F−1〜F−13、G−1〜G−3、H−1〜H−2、I−1、J−1〜J−2)を示すが、これに限定されるものではない。なお、これらの共重合モノマーは、特開平7−333839号、特開平8−339080号、特公昭52−28401号、特開平4−212961号、特開平2−866号、特開平8−286369号の各公報に記載の方法により合成した。
バインダーポリマーは、より好ましくは、酸基がカルボン酸の場合であり、さらに好ましくは下記一般式(9)で表される酸基を有する場合である。下記一般式(9)で表される側鎖にカルボン酸基を含有する構造単位を有するバインダーポリマーは、pH10以上のアルカリ水溶液に溶解させ、常温(25℃)で60日放置した後においても、析出が生じないことを特徴とする。
一般式(9)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は−O(C=O)−で表されるエステル基を含有する(n+1)価の有機連結基を表す。Aは酸素原子又はNR3−を表し、ここでR3は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
前記一般式(9)で表される如きアルカリ可溶性ポリマーのアルカリ水溶液中での経時的な析出を抑制しうる手段については特に制限はなく、アルカリ可溶性基であるカルボキシル基の経時的な消失によるポリマーの溶解性低下を効果的に抑制することができればよく、例えば、アルカリ水溶液中で変性し、アルカリ溶解性を発現する別の官能基の導入、ポリマー全体の溶解性を向上させうるアルカリ可溶性の高い別の官能基の導入、或いは、それ自体がアルカリ可溶性基としては機能しないが、溶解性を向上させうる構造、例えば、アルカリ水溶液との高い親和性を有するような構造、の導入、などの手段をとることができる。
好ましい具体的態様としては、例えば、(I)ポリマー側鎖に、下記一般式(10)で表され、アルカリ加水分解により酸基となりうる官能基を有する態様、(II)ポリマー側鎖に、前記一般式(1)で表される、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基を有する態様、及び(III)ポリマー側鎖に、アルカリ水溶液に対する溶解性補助基を有する態様などが挙げられる。これらのうち、(II)の態様については既に説明したので、以下には、(II)以外の好ましい態様について詳細に説明する。
まず、pH10以上のアルカリ水溶液(現像液)により加水分解されて酸基となりうる官能基について説明する。このような官能基としては、下記一般式(10)で表されるものが好ましく挙げられ、これをポリマー側鎖に有することが好ましい。
一般式(10)中、Qは、ポリマー主鎖骨格とX1とを連結する連結基を表す。X1は、pH10以上のアルカリ水溶液により加水分解される保護基を表す。ここで、一般式(10)で表される官能基が加水分解後に−Q−OHとなる場合、−Q−OHはpKa10以下の酸基を表す。
ここで、Qは3価以上の連結基であってもよく、その場合、一般式(10)は、下記一般式(10’)で表わされる。なお、nは、1〜5から選ばれる整数を表す。
連結基Qは、特に、加水分解後の特定官能基が−Q−OHとなった場合において、−Q−OHのpKaが10以下になりうるものが挙げられ、中でも、pKaが3〜10であることが好ましい。また、Qは炭化水素系の連結基であることが好ましく、このような炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、芳香環基などが挙げられ、これらの中で、加水分解後の特定官能基のpKaが、上記の範囲内となりうるものが選択される。通常は、このような2価以上の炭化水素基に、電子吸引性の置換基を導入することで、pKaを上記の範囲とすることができる。
Qで表される炭化水素基の好ましい例としては、芳香環基、シクロ環基などが挙げられる。
X1は、pH10以上のアルカリ水溶液により加水分解され脱離するまで保護基として機能しうる官能基であれば、特に制限はない。
そのようなX1の好ましい例としては、置換オキシ基、置換チオ基、及び置換アミノ基などが挙げられる。
また、本発明に係る特定官能基は、下記一般式(11)で表される官能基であることがより好ましい。
A1は芳香環基またはシクロ環基を表す。具体的には、炭素数4〜50程度の芳香環基、ヘテロ環基、縮合多環構造、脂肪族環状構造等が挙げられる。
nは、1〜5から選ばれる整数を表し、未露光部のアルカリ可溶性と露光部の耐アルカリ現像性とのバランスの観点からは、好ましくは1〜3である。
X2は、−NR1R2、−SR3、−OR4を表す。ここでR1〜R4は、各々独立に、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される1以上の原子から構成された置換基を表し、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基をあげることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基をあげることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12
までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
また、このようなアルキル基に導入可能な置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
アリール基としては、ベンゼン環、2〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等をあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等をあげることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、このようなアリール基に導入可能な置換基としては、前記アルキル基、及び、アルキル基に導入可能な置換基が挙げられる。
このようなX2の中で、特に−NR1R2で表される置換アミノ基の好ましい例としては、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基におけるアシル基(R8CO−)のR8についても、前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、があげられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
また、Yは、単結合、又は、−O−、−NR5−を表す。ここでR5は、水素原子、又は、炭素数1〜10程度の炭化水素基を表す。R5で表される炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭
素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基等が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基等が挙げられる。
また、R5は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、前記R1〜R4で挙げたアルキル基に導入可能な置換基と同様である。但し、R5の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
なお、このようなYとしては、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
このような特定官能基を高分子化合物内に導入する方法としては、分子内に特定官能基及び他の共重合成分と共重合可能な不飽和結合を有する単量体を、公知の重合方法を用いて共重合する方法が挙げられる。また、この時、必要に応じて特定官能基を有さない他の単量体を共重合することもできる。なお、本発明においては、上記共重合により得られた高分子化合物において、このような単量体からなる構造単位を「ユニット」と称することがある。
以下に、特定官能基を有するユニットの好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特定官能基を有するユニットは、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。
また、本発明の有機高分子バインダーポリマーは、一般式(9)で表されるユニットと、特定官能基を有するユニットのみからなるポリマーであってもよいが、通常、後述する他の共重合成分からなるユニットと組み合わされて使用される。コポリマーにおける特定官能基を有するユニットの総含有量は、その構造や、感光層の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜90モル%、更に好ましくは10〜70モル%の範囲で含有される。
上記特定の酸基を有する構造単位は、バインダーポリマー中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
また、本発明の有機高分子ポリマー中、(II)の態様である前記酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基の含有量は、有機高分子ポリマー1g当たり、好ましくは0.01〜10.0mmol、より好ましくは0.05〜7.0mmolである。
より好ましい別の態様は、バインダーポリマーがpKaが0以上11以下である酸基を有し、その側鎖に、エチレン性不飽和二重結合(以下、適宜「ラジカル重合性基」と称する)を有することが好ましい。本発明の有機高分子ポリマーの側鎖に、ラジカル重合性基を導入する方法としては、前記特定官能基を有するユニットに加えて、下記一般式(A)〜(E)で表される構造のラジカル重合性基を有するユニットを組み合わせる方法が挙げられる。有機高分子ポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、有機高分子ポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜8.0mmol、最も好ましくは1.5〜7.0mmolである。また、このようなユニットは、有機高分子ポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。
まず、一般式(A)〜(C)について説明する。一般式(A)〜(C)中、R4〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。X、Yは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はN−R15を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。ここで、R15は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
前記一般式(A)において、R4〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、R4としては、水素原子、又はアルキル基など有機基が挙げられ、中でも具体的には、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。また、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。
ここで、上記各基は置換基を有してもよく、これらの基に導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N−R15を表し、ここで、R15としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(B)において、R7〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、R7〜R11は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。
ここで、上記各基は置換基を有してもよく、これらの基に導入しうる置換基としては、一般式(A)において導入しうる置換基として挙げたものが例示される。
Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R15を表す。R15としては、一般式(A)におけるのと同様のものが挙げられる。
前記一般式(C)において、R12〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基が好ましい。
ここで、上記各基は置換基を有してもよく、これらの基に導入しうる置換基としては、一般式(A)において導入しうる置換基として挙げたものが例示される。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。R15としては、一般式(A)におけるのと同様のものが挙げられる。
このような一般式(A)〜(C)で表される構造のラジカル重合性基を有するユニットとして好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る前記一般式(A)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーは、下記に示す(1)、(2)の合成方法の少なくともどちらか一方により製造することできる。
(合成方法(1))
下記一般式(a)で表されるラジカル重合性化合物の1種以上を用い、重合させて高分子化合物を合成した後に、塩基を用いて、プロトンを引き抜き、Z1を脱離させて所望の高分子化合物を得る方法。
一般式(a)中、R4〜R6は、上記一般式(A)におけるR4〜R6と同義である。Z1は、アニオン性脱離基を表す。Qは、酸素原子、−NH−、又はNR17−を表す(ここで、R17は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)。R16は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。Aは、2価の有機連結基を表す。
一般式(a)で表されるラジカル重合性化合物としては、下記の化合物を例として挙げることできるがこれらに限定されるものではない。
これらの一般式(a)で表されるラジカル重合性化合物は、市販品として、或いは、後述する合成例に示す合成法により容易に入手できる。
これらの一般式(a)で表されるラジカル重合性化合物を1種以上と、必要に応じて他のラジカル重合性化合物を用いて、通常のラジカル重合法によって重合させ、高分子化合物を合成した後に、所望の量の塩基を高分子溶液中に、冷却或いは加熱条件下で滴下、反応を行い、必要に応じて、酸による中和処理を行うことで、一般式(A)で表される基を導入することできる。高分子化合物の製造には、一般的に公知の懸濁重合法或いは溶液重合法などを適用することできる。
ここで、用いられる塩基としては、無機化合物(無機塩基)、有機化合物(有機塩基)のどちらを使用してもよい。好ましい無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような金属アルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンのような有機アミン化合物等が挙げられる。
(合成方法(2))
官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上を用い、重合させて幹高分子化合物(主鎖を構成する高分子化合物)を合成した後に、前記幹高分子化合物の側鎖官能基と下記一般式(b)で表される構造を有する化合物を反応させて所望の高分子化合物を得る方法。
一般式(b)中のR4〜R6は、上記一般式(A)におけるR4〜R6と同義である。
合成方法(2)において幹高分子化合物の合成に用いる、官能基を有するラジカル重合性化合物の官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、カルボン酸無水物基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。かかる官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸無水物、N,N−ジメチル−2−アミノエチルメタクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリンジルメタクリレート等が挙げられる。
このような官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上重合させて、必要に応じて他のラジカル重合性化合物と共重合させ、幹高分子化合物を合成した後に、上記一般式(b)で表される基を有する化合物を反応させて所望の高分子化合物を得ることできる。
ここで、一般式(b)で表される基を有する化合物の例としては、前述のかかる官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例として挙げた化合物が挙げられる。
本発明に係る前記一般式(B)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーは、下記に示す(3)、(4)の合成方法の少なくともどちらか一方により製造することできる。
(合成方法(3))
一般式(B)で表される不飽和基と、該不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物を1種以上と、更に必要に応じて、他のラジカル重合性化合物を重合させて、高分子化合物を得る方法。この方法は、一分子中に付加重合性の異なるエチレン性不飽和基を複数有する化合物、例えば、アリルメタクリレートのような化合物を用いる方法である。
一般式(B)で表される不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルアクリレート、プロパルギルメタクリレート、N−アリルアクリレート、N−アリルメタクリレート、N,N−ジアリルアクリレート、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等が例として挙げられる。
(合成方法(4))
官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上重合させて高分子化合物を合成した後に、側鎖官能基と下記一般式(c)で表される構造を有する化合物を反応させて一般式(B)で表される基を導入する方法。
一般式(c)中のR7〜R11は、上記一般式(B)におけるR7〜R11と同義である。
合成方法(4)において官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、前述の合成方法(2)で示した官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例が挙げられる。
一般式(c)で表される構造を有する化合物としては、アリルアルコール、アリルアミン、ジアリルアミン、2−アリロキシエチルアルコール、2−クロロ−1−ブテン、アリルイソシアネート等が例として挙げられる。
本発明に係る前記一般式(C)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーは、下記に示す(5)、(6)の合成方法の少なくともどちらか一方により製造することできる。
(合成方法(5))
一般式(C)で表される不飽和基と、該不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物を1種以上と、更に必要に応じて、他のラジカル重合性化合物と共重合させて、高分子化合物を得る方法。
一般式(C)で表される不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物としては、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド等が例として挙げられる。
(合成方法(6))
官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上重合させて高分子化合物を合成した後に、側鎖官能基と一般式(d)で表される構造を有する化合物を反応させて導入する方法。
一般式(d)中のR12〜R14は、上記一般式(C)におけるR12〜R14と同義である。
合成方法(6)において官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、前述の合成方法(2)で示した官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例が挙げられる。
一般式(d)で表される構造を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−クロロメチルスチレン等が例として挙げられる。
以上、本発明に係る前記一般式(A)〜(C)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーの合成方法(1)〜(6)について説明したが、この合成方法を用いて、本発明の特定バインダーポリマーを合成するためには、各合成方法(1)〜(6)においてラジカル重合性化合物を重合する際に、該ラジカル重合性化合物と前記一般式(9)で表されるユニットとを所定の割合で共重合させることで達成される。
次に、一般式(D)、(E)について説明する。
一般式(D)中、R16は水素原子またはメチル基を表す。R17は置換可能な任意の原子または原子団を表す。kは0〜4の整数を表す。なお、一般式(D)で表されるラジカル重合性基は、単結合、或いは、任意の原子又は原子団からなる連結基を介してポリマー主鎖と結合しており、結合の仕方にも特に制限はない。
一般式(E)中、R18は水素またはメチル基を表す。R19は置換可能な任意の原子または原子団を表す。mは0〜4の整数を表す。A-はアニオンを表す。また、このようなピリジニウム環は置換基としてベンゼン環を縮合したベンゾピリジニウムの形をとっても良く、この場合に於いてはキノリウム基およびイソキノリウム基を含む。なお、一般式(E)で表されるラジカル重合性基は、単結合、或いは、任意の原子又は原子団からなる連結基を介してポリマー主鎖と結合しており、結合の仕方にも特に制限はない。
以下に、一般式(D)、(E)で表されるラジカル重合性基を含むユニット(繰り返し単位)として好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以上、一般式(A)〜(E)で表されるラジカル重合性基の中でも、前記一般式(A)及び(B)で表される構造のラジカル重合性基であることが好ましい。その中でも特に好ましくは、前記一般式(A)で表される構造のラジカル重合性基であり、更に、R4が、水素原子、又はメチル基、Xが酸素原子又は窒素原子であるものが最も好ましい。
さらに、本発明の有機高分子バインダーポリマーは、前記カルボン酸基を有するユニットや好ましい態様である前記ラジカル重合性基を有するユニット以外にも、以下に挙げるような成分を共重合してもよい。そのような共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
中でも特に好ましい共重合成分としては、以下に示すラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、N,N−2置換アクリルアミド類、N,N−2置換メタクリルアミド類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、アルキルアクリレート(該アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類、(具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど)、アリールアクリレート(例えば、フェニルアクリレートなど)、
アルキルメタクリレート(該アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレー卜、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど)、アリールメタクリレート(例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなど)、
スチレン、アルキルスチレン等のスチレン類、(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲンスチレン(例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらラジカル重合性化合物のうち、好適に使用されるのは、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類である。
これらのラジカル重合性化合物は、1種或いは2種以上用いることができる。
本発明のバインダーポリマーとして最も好ましい態様は、上記一般式(9)で表されるカルボン酸基とともに上記特定のラジカル重合性基を有する場合である。
以下に、本発明のバインダーポリマーの具体例を、前記ラジカル重合性基を有するもの(i−1)〜(i−46)と、ラジカル重合性基を有さないもの(ii−1)〜(ii−5)とに分けて示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のバインダーポリマーの分子量は、例えば、これらを平版印刷版原版の感光層成分として用いる場合、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。通常、分子量が高くなると、耐刷性は優れるが、画像形成性は劣化する傾向にある。逆に、低いと、画像形成性はよくなるが、耐刷性は低くなる。有機高分子ポリマーの分子量は、重量平均分子量で400〜6,000,000の範囲であることが好ましく、900〜600,000の範囲であることがより好ましい。
〔(C)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物〕
本発明における(C)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物(付加重合
性化合物)は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (i)
(ただし、一般式(i)中、R4及びR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な重合性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、本発明の重合性組成物を、ネガ型平版印刷版原版の記録層(感光層)として用いる場合には、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましくない場合がある。また、感光層中の他の成分(例えば、(B)成分等のバインダーポリマー、(D)成分である光又は熱重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。
また、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の記録層(感光層)として適用した場合は、かかる平版印刷版原版の支持体や後述のオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感光層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、付加重合性化合物は、感光層中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
〔(D)光又は熱重合開始剤〕
本発明における光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光重合開始剤、または2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択して使用することができる。
青色半導体レーザー、Arレーザー、赤外半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合には、種々の光重合開始剤(系)が提案されており、例えば米国特許第2,850,445号明細書に記載のある種の光還元性染料、例えばローズべンガル、エオシン、エリスロシンなど、あるいは染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号公報)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号公報)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号公報)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号公報、特開昭59−140203号公報、特開昭59−189340号公報、特開昭62−174203号公報、特公昭62−1641号公報、米国特許第4766055号明細書)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−1718105号公報、特開昭63−258903号公報、特開平3−264771号公報など)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開昭64−13140号公報、特開昭64−13141号公報、特開昭64−13142号公報、特開昭64−13143号公報、特開昭64−13144号公報、特開昭64−17048号公報、特開平1−229003号公報、特開平1−298348号公報、特開平1−138204号公報など)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号公報、特開平2−244050号公報)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号公報)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号公報)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−334897号公報)等を挙げることができる。
本発明のにおいて、特に好ましい光重合開始剤(系)は、少なくとも1種のチタノセンを含有する。本発明において光重合性開始剤(系)として用いられるチタノセン化合物は、その他の増感色素との共存下で光照射した場合、活性ラジカルを発生し得るチタノセン化合物であればいずれであってもよく、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41483号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−291号公報、特開平3−27393号公報、特開平3−12403号公報、特開平6−41170号公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下「T−1」ともいう。)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム(以下「T−2」ともいう。)等を挙げることができる。
これらのチタノセン化合物は、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらのチタノセン化合物の使用法に関しても、先述の付加重合性化合物同様、重合性組成物や、重合性組成物が適用される後述する平版印刷版原版等の性能設計により適宜、
任意に設定できる。例えば、平版印刷版原版の感光層に適用する場合であれば、2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。上記チタノセン化合物等の光重合開始剤の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、重合性組成物中の含有量は、平版印刷版原版の感光層に用いる場合も同様に、不揮発性成分100質量部に対し、0. 5〜80質量部、好ましくは1〜50質量部の範囲で用いることで充分な感光性が得られる。一方、黄色灯、白色灯下での使用に際しては、500nm付近の光によるカブリ性の点からチタノセンの使用量は少ないことが好ましいが、その他の増感色素との組み合わせによりチタノセンの使用量は6質量部以下、さらに1.9質量部以下、さらには1.4質量部以下にまで下げても充分な感光性を得ることができる。
本発明に用いられる、前記付加重合性化合物の硬化反応を開始、進行させるための熱重合開始剤としては、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤が有用である。このようなラジカル発生剤は後述する赤外線吸収剤と併用することで、赤外線レーザーを照射した際に赤外線吸収剤が発熱し、その熱によりラジカルを発生するものであり、これらの組合せにより記録が可能となる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられるが、オニウム塩又はオキシムエステル化合物が高感度であり、好ましい。以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオニウム塩について説明する。好ましいオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(F)〜(H)で表されるオニウム塩である。
一般式(F)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
一般式(G)中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下
のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
一般式(H)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
本発明において、重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等を挙げることができる。以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(F)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、一般式(G)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])、及び一般式(H)で示されるオニウム塩([OS−1]〜[OS−7])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
本発明において用いられる重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
また、他の好ましい重合開始剤として、特願2000−266797号、特願2001
−177150号、特願2000−160323号、特願2000−184603号記載の特定の芳香族スルホニウム塩が挙げられる。以下にその代表的な化合物を例示する。
また、以下に、本発明に適用し得る他の好ましい重合開始剤の代表的な化合物を例示する。
また、以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオキシムエステル化合物について説明する。好ましいオキシムエステル化合物としては、下記一般式(I)のようなものが挙げられる。
一般式(I)中、Xはカルボニル基、スルホン基、スルホキシド基を表し、Yは炭素数1〜12の環状又は鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、複素環基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物であり、複素環とは窒素原子、硫黄原子、酸素原子を環構造に少なくとも1つ有する芳香族化合物であり、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェノン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等の化合物が挙げられる。これらYで表される置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基、又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(I)におけるZは、Yと同義又はニトリル基、ハロゲン原子、又は水素原子、アミノ基であり、これらのZの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(I)におけるWは、2価の有機基を表し、メチレン基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、イミノ基を表し、メチレン基及びイミノ基はアルキル基、アリール基、エステル基、ニトリル基、カルボニルエーテル基、スルホ基、スルホエーテル基、エーテル基等を含有する化合物により置換可能である。nは0又は1の整数を表す。
一般式(I)におけるVは、炭素数1〜12の環状又は鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等のヘテロ原子含有芳香族化合物が挙げられる。これらVの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
また、VとZは互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(I)で表されるオキシムエステル化合物としては、感度の面から、Xはカルボニル、Yはアリール基又はベンゾイル基、Z基はアルキル基又はアリール基、Wはカルボニル基であり、Vはアリール基であることが好ましい。更に好ましくは、Vのアリール基がチオエーテル置換基を有することが好ましい。
なお、上記一般式(I)におけるN−O結合の構造はE体であってもZ体であっても構わない。
その他、本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物は、Progress in Organic Coatings、13(1985)123−150;J.C.S Perkin II(1979)1653−1660;Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)205−232;J.C.S Perkin II(1979)156−162;特開2000−66385;特開2000−80068に記載の化合物である。
本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
本発明では、露光時の重合開始効率の観点から、上記重合開始剤のうち、チタノセン化合物、スルホニウム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物を使用することがより好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール化合物の使用がさらに好ましい。
これらの重合開始剤は、例えば、本発明の重合性組成物をネガ型平版印刷版原版の感光層として適用した場合の感度や、印刷時に発生する非画像部の耐汚れの観点から、重合性組成物又は感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
〔(E)増感色素〕
本発明の重合性組成物には、増感色素を用いることができる。該増感色素としては、300〜850nmに吸収ピークを有するものが好ましく、300〜600nmに吸収ピークを有するものがさらに好ましい。このような増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収して光重合開始剤と相互作用する以下に示す染料あるいは顔料が挙げられる。
好ましい分光増感色素又は染料としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロラン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオエン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類で(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スタアリウム類(例えば、スタアリウム)等が挙げられる。
より好ましい分光増感色素又は染料の例としては、特公昭37−13034号公報記載のスチリル系色素、特開昭62−143044号公報記載の陽イオン染料、特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩、特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物、特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類、特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンデン染料、特開平2−226148号及び特開平2−226149号各公報記載のアクリジン類、特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類、特公昭46−42363号公報記載のシアニン類、特開平2−63053号公報記載のベンゾフラン色素、特開平2−85858号、特開平2−216154号各公報記載の共役ケトン色素、特開昭57−10605号公報記載の色素、特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体、特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素、特開昭62−31844号、特開昭62−31848号、特開昭62−143043号各公報記載のキサンテン系色素、特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン、特公昭61−962l号公報記載のメロシアニン色素、特開平2−179643号公報記載の色素、特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素、特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素、特開昭59−89803号公報記載のメロシアニン色素、特開平8−129257号記載のメロシアニン色素、特開平8−334897号記載のベンゾピラン系色素、等を挙げることができる。
本発明に用いられる増感色素は下記一般式(12)で表されるものであることがさらに好ましい。
一般式(12)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素原子または硫黄原子ないし−N(R1)−を表し、Yは酸素原子または−N(R1)−を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子または、一価の非金属原子団を表し、AとR1、R2、R3とは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。
ここで、R1、R2、R3が一価の非金属原子団をあらわすとき、好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を表す。
次に、R1、R2、R3の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキルウレイド基、N'−アリールウレイド基、N',N'−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アリール−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらはさらに置換基を有していてもよい。
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、または多環芳香族環から誘導される基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン等が挙げられ、これらは、さらにベンゾ縮環しても良く、また置換基を有していてもよい。
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基のうち、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基、アルキリデン基(メチレン基等)が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2、またはR3として好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
R1、R2、またはR3として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
R1、R2、またはR3として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、(水素原子以外の)1価の非金属原子団の基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
なお、R2及びR3のさらに好ましい例としては、置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられる。また、R1のさらに好ましい例としては、置換もしくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、このような置換基を有することで、光吸収により生じる電子励起状態と開始剤化合物との相互作用が特に大きくなり、開始剤化合物のラジカル、酸または塩基を発生させる効率が向上するためと推定される。
次に、一般式(12)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環の具体例としては、一般式(12)におけるR1、R2、またはR3についての前述の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
なかでも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
次に、一般式(12)におけるYについて説明する。Yは上述のAおよび隣接炭素原子と共同して、複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。このような複素環としては縮合環を有していてもよい5、6、7員の含窒素、あるいは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
含窒素複素環の例としては例えば、L. G. Brookerら著、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.)第73巻(1951年)、p.5326-5358および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。
具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジ(p−メトキシフェニルチアゾール)、4−(2−チエニル)チアゾール、4,5−ジ(2−フリル)チアゾール等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、6−ヨードベンゾチアゾール、4−エトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、6ージメチルアミノベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5−メトキシナフト[2,1]チアゾール、5−エトキシナフト[2,1]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2]チアゾール、7−メトキシナフト[1,2]チアゾール、等)、チアナフテノ−7',6',4,5−チアゾール類(例えば、4'−メトキシチアナフテノ−7',6',4,5−チアゾール、等)、オキサゾール類(例えば、4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5ーメチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、4−エトキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、6ーメトキシベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、等)、
ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール、等)、セレナゾール類(例えば、4−メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾール、等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセレナゾール、等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール、等)、チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4−メチルチアゾリン、4,5−ジメチルチアゾリン、4−フェニルチアゾリン、4,5−ジ(2−フリル)チアゾリン、4,5−ジフェニルチアゾリン、4,5−ジ(p−メトキシフェニル)チアゾリン等)、2−キノリン類(例えば、キノリン、3−メチルキノリン、5−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、6−クロロキノリン、8−クロロキノリン、6−メトキシキノリン、6−エトキシキノリン、6ーヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、等)、4−キノリン類(例えば、キノリン、6−メトキシキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、等)、1−イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4−ジヒドロイソキノリン、等)、3−イソキノリン類(例えば、イソキノリン等)、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3−ジメチルベンズイミダゾール、1,3−ジエチルベンズイミダゾール、1−エチル−3−フェニルベンズイミダゾール、等)、3,3−ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,5−トリメチルインドレニン、3,3,7−トリメチルインドレニン、等)、2−ピリジン類(例えば、ピリジン、5−メチルピリジン、等)、4−ピリジン(例えば、ピリジン等)等を挙げることができる。また、これらの環の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号記載の色素類におけるジチオール部分構造を挙げることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5−t−ブチルベンゾジチオール、5−メチルベンゾジチオール、等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール、等)、ジチオール類(例えば、4,5−ジメチルジチオール類、4−フェニルジチオール類、4−メトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジエトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジトリフルオロメチルジチオール、4,5−ジシアノジチオール、4−メトキシカルボニルメチルジチオール、4−カルボキシメチルジチオール、等)等を挙げることができる。
以上に述べた一般式(12)における、Yが上述のAおよび隣接する炭素原子と共同して形成する含窒素あるいは含硫黄複素環の例のうち、下記一般式(13)の部分構造式で表される構造を有する色素は、高い増感能を有する上、保存安定性にも非常に優れた、感光性組成物を与えるため、特に好ましい。
一般式(13)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素原子または硫黄原子ないし−N(R1)−を表す。R1、R4、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子または一価の非金属原子団を表し、AとR1、R4、R5、R6は、それぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。
一般式(13)中、A及びR1は一般式(12)におけるのと同義であり、R4は一般式(12)におけるR2と、R5は一般式(12)におけるR3と、R6は一般式(12)におけるR1と、それぞれ同義である。
一般式(12)で表される化合物は、下記一般式(14)で表される化合物であることがさらに好ましい。
一般式(14)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素原子または硫黄原子ないし−N(R1)−を表す。R1、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子または、一価の非金属原子団であり、AとR1、R4、R5は、それぞれ互いに、脂肪族性または芳香族性の環を形成するために結合することができる。Arは置換基を有する芳香族環またはヘテロ環を表す。但し、Ar骨格上の置換基は、そのハメット値の総和が0より大きいことを要する。ここでハメット値の総和が0より大きいとは、1つの置換基を有し、その置換基のハメット値が0より大きいものであってもよく、複数の置換基を有し、それらの置換基におけるハメット値の総和が0より大きいものであってもよい。
一般式(14)中、A及びR1は一般式(12)におけるものと同義であり、R4は一般式(12)におけるR2と、R5は一般式(12)におけるR3と同義である。また、Arは置換基を有する芳香族環またはヘテロ環を表し、具体例としては、先に一般式(12)におけるAの説明に記載されたもののうち、置換基を有する芳香族環またはヘテロ環に係る具体例が同様に挙げられる。ただし、一般式(14)におけるArに導入可能な置換基としては、ハメット値の総和が0以上であることが必須であり、そのような置換基の例としては、トリフルオロメチル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホキシド基、アミド基、カルボキシル基等を挙げることができる。これら
置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF3、m:0.43、p:0.54)、カルボニル基(例えば−COHm:0.36、p:0.43)、エステル基(−COOCH3、m:0.37、p:0.45)、ハロゲン原子(例えばCl、m:0.37、p:0.23)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、スルホキシド基(例えば−SOCH3、m:0.52、p:0.45)、アミド基(例えば−NHCOCH3、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。このうち、Arの好ましい例としては置換基を有するフェニル基を挙げることができ、Ar骨格上の好ましい置換基としてはエステル基、シアノ基が挙げられる。置換の位置としてはAr骨格上のオルト位に位置していることが特に好ましい。
以下に、一般式(12)で表される増感色素の好ましい具体例(例示化合物D1〜例示化合物D57)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これらのうち、一般式(13)で表される化合物に該当するものは、例示化合物D2、D6、D10、D18、D21、D28、D31、D33、D35、D38、D41及びD45〜D57である。
このような一般式(12)で表される化合物の合成方法について述べる。
一般式(12)で表される化合物は、通常、活性メチレン基を有する酸性核と、置換もしくは非置換の芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られるが、これらは特公昭59−28329を参照して合成することができる。例えば、下記反応式(1)に示すように、酸性核化合物と、ヘテロ環上にアルデヒド基又はカルボニル基を有する塩基性核原料の縮合反応を利用する合成方法が挙げられる。縮合反応は必要に応じ、塩基(Base)存在下で実施される。塩基としては、一般的に汎用されるもの、例えば、アミン、ピリジン
類(トリアルキルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンDBU等)、金属アミド類(リチウムジイソプロピルアミド等)、金属アルコキシド類(ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等)、金属水素化物類(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)が制限なく利用できる。
また、望ましい他の合成方法としては、下記反応式(2)による方法が挙げられる。すなわち、前記反応式(1)における酸性核化合物として、Yが硫黄原子である酸性核化合物を出発物質として用い、ヘテロ環上にアルデヒド基又はカルボニル基を有する塩基性核原料の縮合反応により色素前駆体を合成する工程までは前記反応式(1)と同様に行った後、該色素前駆体に、さらに硫黄原子と化学的に相互作用し金属硫化物を形成可能である金属塩及び水或いは1級アミン化合物(R−NH2:ここでRは一価の非金属原子団を表す)を作用させる反応である。
これらのうち、反応式(2)で表される反応は各反応の収率が高く、合成効率上特に好ましく、なかでも、前記一般式(13)で表される化合物を合成する場合にこの反応式(2)で表される反応が有用である。
なお、前記反応式(2)中、Mn+Xnはチオカルボニル基の硫黄原子と化学的に相互作用し金属硫化物を形成可能である金属塩を表す。具体的な化合物としては、例えば、MがAl、Au、Ag、Hg、Cu、Zn、Fe、Cd、Cr、Co、Ce、Bi、Mn、Mo、Ga、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Sc、Sb、Sr、Mg、Ti等であり、Xが、F、Cl、Br、I、NO3、SO4、NO2、PO4、CH3CO2等であるAgBr、AgI、AgF、AgO、AgCl、Ag2O、Ag(NO3)、AgSO4、AgNO2、Ag2CrO4、Ag3PO4、Hg2(NO3)2、HgBr2、Hg2Br2、HgO、HgI2、Hg(NO3)2、Hg(NO2)2、HgBr2、HgSO4、Hg2I2、Hg2SO4、Hg(CH3CO2)2、AuBr、AuBr3、AuI、AuI3、AuF3、Au2O3、AuCl、AuC13、CuCl、CuI、CuI2、CuF2、CuO、CuO2、Cu(NO3)2、CuSO4、Cu3(PO4)2の如き化合物が挙げられる。このうち、硫黄原子と相互作用しやすいという点で、最も好ましい金属塩としては銀塩が使用できる。
前記本発明に用いられる一般式(12)で表される増感色素に関しては、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行うことができる。
また、増感色素と前述の開始剤化合物におけるラジカル発生能を有する部分構造(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高めることができる。
さらに、本発明の感光性組成物を好ましい使用様態である平版印刷版原版の感光層として用いる場合には、アルカリ系、或いは、水系の現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。
その他、例えば、感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入することができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入することで、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させることができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
本発明に用いる増感色素としては、前記一般式(12)で表される増感色素を少なくとも一種用いることが好ましく、この一般式(12)で示される限りにおいて、例えば、先に述べた修飾を施したものなど、どのような構造の色素を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。
増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の膜物性の点からも有利である。
なお、本発明においては、前記一般式(12)で表される増感色素のみならず、本発明の効果を損なわない限りにおいて他の汎用の増感色素を用いることもできる。
感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解像度となる。但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化させる目的に対しては、このような低い吸光度の方がかえって硬化度を上げられる場合もある。また、吸光度が3以上のような高い領域では、感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、例えば印刷版として使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。
例えば、本発明の感光性組成物を比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版原版の感光層に使用する場合には、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。吸光度は前記増感色素の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の吸光度は両者の条件を制御することにより得られる。感光層の吸光度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
本発明の感光性組成物を平版印刷版原版の感光層として利用する場合には、増感色素の添加量は、通常、感光層を構成する全固形成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
(赤外線吸収剤)
本発明において、760から1,200nmの赤外線を発するレーザーを光源とした露光が行われる場合には、通常、赤外線吸収剤が用いられる。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、ラジカル発生剤(重合開始剤)が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願2001−6326、特願2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)〜一般式(e)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、−X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特願平11−310623号明細書の段落番号[0017]〜[0019]、特願2000−224031号明細書の段落番号[0012]〜[0038]、特願2000−211147号明細書の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは
、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
前記一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
前記一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X2及びX3の少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示し、これらの基に置換基が導入可能な場合は、置換基を有してもよい。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔
料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μmから1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径を0.01μm以上にすると、分散物の画像感光層塗布液中での安定性が増し、また、10μm以下にすると画像感光層の均一性が良好になる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
重合性組成物の硬化を促進するために添加される、これらの赤外線吸収剤は、本発明の重合性組成物をネガ型平版印刷版原版の感光層として適用する場合、感光層に添加してもよいし、別の層、例えば上塗り層、下塗り層を設けそこへ添加してもよい。また、特に、本発明の重合性組成物をネガ型感光性平版印刷版の感光層に適用する場合には、これらの赤外線吸収剤は、感度の観点から、感光層の波長760nmから1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1から3.0の間にあることが好ましい。光学濃度は前記赤外線吸収剤の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。
感光層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
〔その他の成分〕
本発明の重合性組成物には、以上の成分の他に、例えば、共増感剤、重合禁止剤、着色剤、可塑剤等、その用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、本発明の重合性組成物を特にネガ型の画像記録材料の記録層として適用した場合の好ましい添加剤に関して例示する。
(共増感剤)
光重合性感光層には、共増感剤を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させることができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始剤(系)の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b
)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらとヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物 例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開昭9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明の平版印刷版原版の感光層に用いられるものは、これらに限定されるものではない。
これらの共増感剤に関しても、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素やチタノセン、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらの共増感剤は、単独または2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(重合禁止剤)
また、本発明の重合性組成物を適用した、平版印刷版原版の光又は熱重合性ネガ型感光層においては、ネガ型感光性組成物の製造中あるいは保存中において、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(着色剤)
さらに、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用する場合には、その着色を目的として染料又は顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は、全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
更に、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、更には、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用する場合の感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤などを加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、高分子バインダーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、オリゴ糖および多糖からなる群から選ばれる少なくとも1種の糖、バインダーポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤、並びに、必要に応じて、その他の成分を含有する感光層を有するか、あるいは、支持体上に、オリゴ糖および多糖からなる群から選ばれる少なくとも1種の糖からなる下塗り層と、その上に、バインダーポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤、並びに、必要に応じて、その他の成分を含有する感光層を有することを特徴とする。本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、更に中間層、保護層、等の他の層を有していてもよい。
(感光層)
本発明の平版印刷版原版における感光層は、既述した感光層の構成成分を含む。
感光層は、感光層の構成成分を種々の有機溶剤に溶かして、その塗布液を、後述する支持体又は前述の下塗り層上に塗布することで形成される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査露光用平版印刷版原版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版の支持体としては、従来公知の、平版印刷版原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で、適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板はさらに好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
アルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。アルミニウム支持体には適宜必要に応じて後述の支持体表面処理が施されてもよい。もちろん施されなくてもよい。
<粗面化処理>
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に
粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する耐汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均粗さRaが好ましくは0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
<陽極酸化処理>
以上のようにして処理されたアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされることが好ましい。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
(中間層)
本発明における平版印刷版原版には、感光層と支持体あるいは下塗り層と感光層の間の密着性や耐耐汚れ性を改善する目的で、中間層を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号公報、特開昭51−71123号公報、特開昭54−72104号公報、特開昭59−101651号公報、特開昭60−149491号公報、特開昭60−232998号公報、特開平2−304441号公報、特開平3−56177号公報、特開平4−282637号公報、特開平5−16558号公報、特開平5−246171号公報、特開平5−341532号公報、特開平7−159983号公報、特開平7−314937号公報、特開平8−202025号公報、特開平8−320551号公報、特開平9−34104号公報、特開平9−236911号公報、特開平9−269593号公報、特開平10−69092号公報、特開平10−115931号公報、特開平10−161317号公報、特開平10−260536号公報、特開平10−282679号公報、特開平10−282682号公報、特開平11−84674号公報、特開平10−69092号公報、特開平10−115931号公報、特開平11−38635号公報、特開平11−38629号公報、特開平10−282645号公報、特開平10−301262号公報、特開平11−24277号公報、特開平11−109641号公報、特開平10−319600号公報、特開平11−84674号公報、特開平11−327152号公報、特開2000−10292号公報、特願平11−36377号明細書、特願平11−165861号明細書、特願平11−284091号明細書、特願2000−14697号明細書等に記載のものを挙げることができる。
(保護層)
本発明のように、光又は熱重合性のネガ型感光層を有する平版印刷版原版には、通常、露光を大気中で行うため、前述の感光層の上に、更に、保護層(オーバーコート層とも呼ばれる。)を設けることが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、3
11号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また、画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。
本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
〔平版印刷版原版の製版〕
本発明の平版印刷版原版を製版するためには、少なくとも、露光及び現像のプロセスが行われる。
本発明のネガ型平版印刷版原版を露光する光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
また、本発明の平版印刷版原版に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
本発明の平版印刷版原版は、露光された後、現像処理される。かかる現像処理においては、蒸留水、pH14以下のアルカリ水溶液あるいは特開昭54−8002号公報、同55−115045号公報、同59−58431号公報等に記載の水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液を用いることができる。
現像液としては、pH14以下のアルカリ水溶液が特に好ましく、より好ましくはアニオン系界面活性剤を含有するpH8〜12のアルカリ水溶液が使用される。例えば、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
また、本発明の平版印刷版原版の現像処理においては、現像液中にアニオン界面活性剤を1〜20質量%加えるが、より好ましくは、3〜10質量%で使用される。少なすぎると現像性が悪化し、多すぎると画像の耐摩耗性などの強度が劣化するなどの弊害が出る。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、イソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレングリコールモノナフチルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩などのようなアルキルアリールスルホン酸塩、第2ナトリウムアルキルサルフェートなどの炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル類、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩などの様な脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、例えば、C17H33CON(CH3)CH2CH2SO3Naなどのようなアルキルアミドのスルホン酸塩類、例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなどの二塩基性脂肪族エステルのスルホン酸塩類などが含まれる。
必要に応じてベンジルアルコール等の水と混合するような有機溶媒を現像液に加えてもよい。有機溶媒としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘクサノール、4−メチルシクロヘクサノール及び3−メチルシクロヘクサノール等を挙げることができる。有機溶媒の含有量は、使用時の現像液の総質量に対して1〜5質量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、アニオン界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これはアニオン界面活性剤の量が少ない状態で、有機溶媒の量を多く用いると有機溶媒が溶解せず、従って良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
また、更に必要に応じ、消泡剤及び硬水軟化剤のような添加剤を含有させることもできる。硬水軟化剤としては、例えば、Na2P2O7、Na5P3O3、Na3P3O9、Na2O4P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸類(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩)、他のポリカルボン酸類(例えば、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2一ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)、有機ホスホン酸類(例えば、1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)を挙げることができる。このような硬水軟化剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させられる。
また、本発明においては、pH4以上10未満の液によるマイルドな現像処理を適用することができる。このような現像液は、例えば、リン酸デンプン、アラビアガム、ジオクチルスルホコハク酸、ベンジルアルコール、リン酸、クエン酸を適当な配合比で混合した液を、pH4以上10未満になるように水で適宜希釈して作成できる。
更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版原版を現像する場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理されてもよい。本発明の平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
本発明の平版印刷版原版の製版プロセスとして、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上、感度の安定化といった利点が生じ得る。更に、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うことも有効である。
通常、現像前の加熱は、所望されない硬化反応の発生の観点から、150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。また、現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は、画像強化作用や画像部の熱分解の発生の観点から、加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
なお、印刷に供された平版印刷版の耐汚れは、プレートクリーナーにより除去することができる。印刷時、版上の耐汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜15、比較例1〜3)
以下の手順で、表1に示す実施例1〜15、比較例1〜3のネガ型平版印刷版原版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表1に併記する。
[支持体の作製]
厚さ0.24mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて以下のように連続的に処理を行った。
(a)既存の機械的粗面化装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は40〜45μm、最大粒径は200μmだった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴を開けて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラー(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラーはブラシを回転させる駆動モーターの負荷が、ブラシローラーをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じで回転数は200rpmであった。
(b)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
(c)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度40℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で255C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗した。
(f)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(g)既存の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一給電部長3m、第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後スプレーによる水洗を行った。この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第一給電部に設けられた第一給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第一電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第一給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。一方、電源からの電流は、第二給電部に設けられた第二給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第二電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第一給電部に給電される電気量と電源から第二給電部に給電される電気量は同じであり、第二給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dm2であった。第二給電部では、1.35g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。ここまでのアルミニウム支持体を[AS−1]とする。
[親水化処理]
アルミニウム支持体[AS−1]に、印刷版非画像部としての親水性を高めるため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。この支持体を[AS−2]とする。
[中間層の塗設]
下記の手順によりSG法の液状組成物(ゾル液)を調整した。ビーカーに下記組成物を秤量し、25℃で20分間攪拌した。
・テトラエトキシシラン 38g
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13g
・85%リン酸水溶液 12g
・イオン交換水 15g
・メタノール 100g
この溶液を三口フラスコに移し、還流冷却器を取り付け三口フラスコを室温のオイルバスに浸した。三口フラスコの内容物をマグネチックスターラーで攪拌しながら、30分間で50℃まで上昇させた。浴温を50℃に保ったまま、更に1時間反応させ液組成物(ゾル液)を得た。このゾル液をメタノール/エチレングリコール=20/1(質量比)で0.5質量%になるように希釈し、前記アルミニウム基板[AS−1]にホイラー塗布し、100℃で1分乾燥させた。その時の塗布量は3.5mg/m2であった。この塗布量はケイ光X線分析法によりSi元素量を求め、それを塗布量とした。このように作製した支持体を[AS−3]とする。
[感光層の塗設]
支持体[AS−1]に、下記組成の感光層塗布液を乾燥塗布量が1.0〜1.2g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ感光層を形成した。
(感光層塗布液)
・オリゴ糖または多糖(表1に記載の化合物) 1.5g
・付加重合性化合物(表1に記載の化合物) 2.0g
・バインダーポリマー(表1に記載のポリマー) 2.0g
・増感色素(表1に記載の化合物) 0.2g
・重合開始剤(表1に記載の化合物) 0.45g
・その他の添加剤(表1に記載の化合物) 0.4g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
・熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・下記組成の着色顔料分散物 2.0g
・メチルエチルケトン 10.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・メタノール 10.0g
・水(蒸留水) 3.0g
−着色顔料分散物組成−
・Pigment Blue 15:6 15質量部
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合モル比80/20、質量平均分子量 4万) 10質量部
・シクロヘキサノン 15質量部
・メトキシプロピルアセテート 20質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
[保護層の塗設]
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
[平版印刷版原版の露光および後加熱]
上記のようにして得られた平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザーセッターVx9600(InGaN系半導体レーザ405nm±10nm発光/出力30mW)を用い、90μJ/cm2の露光量で、ベタ画像露光及び解像度2438dpiで、1%刻みで、1から99%となる網点画像露光を行った。その後、100℃−10秒間オーブンで加熱した。
[現像/製版]
加熱後、富士写真フイルム(株)製自動現像機FLP−813に、表1に記載の現像液と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み、現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で現像/製版し、平版印刷版を得た。
[画像部耐刷性試験]
印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。
[生保存性試験]
未露光の平版印刷版原版を60℃/湿度50%の条件で3日間放置したのち、露光、現像し、その後、これを用いて小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンで印刷した。この際、印刷にともなう非画像部の汚れを観察し、生保存性を評価した。結果を表1に併記した。
表1中に記載された、オリゴ糖及び多糖、付加重合性化合物、重合開始剤、増感色素、光熱変換色素、その他の添加剤、使用された現像液について、後述する他の実施例に使用したもの(表2及び3に記載)を含めて、以下に示す。
<オリゴ糖>
S−1:マルトース
S−2:スクロース
S−3:ラクトース
S−4:マルトペンタオース
<カルボキシル基と硫酸基を有さない多糖>
S−5:アミロース
S−6:シゾフィラン
S−7:カードラン
S−8:グアガム
<硫酸基含有多糖>
S−9:コンドロイチン硫酸
S−10:κ−カラギーナン
S−11:コンドロイチン硫酸ナトリウム
<カルボキシル基含有多糖>
S−12:コンドロイチン
S−13:ヒアルロン酸
S−14:カルボキシメチルセルロース
S−15:HPMCAP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート:(株)信越化学工業製)
<比較例で用いた糖>
CS-1:グルコース
CS-2:グルクロン酸
<付加重合性化合物>
M−1: ペンタエルスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
M−2: グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製;UA101H)
M−3: ジペンタエリスリトールアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−9530)
M−4:
<増感色素>
<現像液>
D−1:
下記組成からなるpH10の水溶液
・モノエタノールアミン 0.1 質量部
・トリエタノールアミン 1.5 質量部
・下記式1の化合物 4.0 質量部
・下記式2の化合物 2.5 質量部
・下記式3の化合物 0.2 質量部
・水 91.7 質量部
上記(式1)中、R14は水素原子又はブチル基を表す。
D−2:
下記組成からなるpH13の水溶液
・1Kケイ酸カリウム 3.0 質量部
・水酸化カリウム 1.5 質量部
・前記式3の化合物 0.2 質量部
・水 95.3 質量部
D−3:
下記組成からなるpH10.5の水溶液
・炭酸ナトリウムの一水和物 10g
・炭酸水素カリウム 10g
・イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 15g
・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 15g
・エチレングリコールモノナフチルエーテルモノスルフェート
のナトリウム塩 10g
・亜硫酸ナトリウム 1g
・エチレンジアミン4酢酸四ナトリウム 0.1g
・イオン交換水 938.9g
(実施例16〜30、比較例4〜6)
実施例1〜13、比較例1〜3と同様にして、表2に示す実施例16〜30及び比較例4〜6のネガ型平版印刷版原版を作製した。
上記のようにして得られた平版印刷版原版を、FD−YAG(532nm)レーザー露光機(ハイデルベルグ社製プレートセッター:グーテンベルグ)を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cm2となる様に露光パワーを調節し、ベタ画像露光及び、2540dpi、175線/インチ、1%刻みで1から99%となる網点画像露光を行った。
露光済み平版印刷版原版について、実施例1〜15、比較例1〜3と同様にして現像/製版を行い印刷性能を評価した。なお、本実施例及び比較例においては、感光層の乾燥後の塗布量が1.3〜1.5g/m2となるように塗布した。結果を表2に併記する。
(実施例31〜45、比較例7〜9)
[感光層の塗設]
下記組成の感光層塗布液を調製し、支持体[AS−3]にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が1.4〜1.6g/m2となるように塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。
(感光層塗布液)
・オリゴ糖または多糖(表3に記載の化合物) 1.5g
・付加重合性化合物(表3に記載の化合物) 2.0g
・バインダーポリマー(表3に記載のポリマー) 2.0g
・光熱変換色素(S−5) 0.08g
・重合開始剤(表3に記載の化合物) 0.45g
・その他の添加剤(表3に記載の化合物) 0.4g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・メチルエチルケトン 10.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・メタノール 10.0g
・水(蒸留水) 10.0g
[保護層の塗設]
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
[平版印刷版原版の露光]
上記のように得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体(830nm)レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
[現像/製版]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nに、表3記載の現像液とフィニッシャー富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液現像をそれぞれ仕込み、30℃で現像/製版し、平版印刷版を得た。
[画像部耐刷性試験]
印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。
[生保存性試験]
未露光の平版印刷版を60℃/湿度50%の条件で3日間放置し、その後小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、生保存性を評価した。結果を表3に併記する。
表1〜3から明らかなように、本発明のオリゴ糖又は多糖を含有する重合性組成物からなる感光層を備える平版印刷版原版は、いずれも非常に優れた耐刷性を示し、さらに生保存性に優れていることが確認された。このことから、本実施例で行ったようなレーザー露光による高速での書き込みに適した平版印刷版原版であることがわかる。従って、本発明が適用された平版印刷版原版は、高い生産性を発揮するものであるといえる。
なお、以下の実施例46〜60は参考例である。
(実施例46〜60、比較例10および11)
以下の手順で、表4に示す実施例46〜60、比較例10および11のネガ型平版印刷版原版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表4に併記する。
[下塗り層の塗設]
表4に記載のように支持体[AS−2]上に、下記下塗り層塗布液を乾燥塗布量(固形分)が10mg/m2になるように塗布した。
(下塗り層塗布液)
・表4に記載のS−1〜S−15、CS-1およびCS-2 0.017g
・水(蒸留水) 10.00g
[感光層の塗設]
以上のようにして下塗り層を設けたアルミニウム支持体に、下記組成の感光層塗布液を乾燥塗布量が1.0〜1.2g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ感光層を形成した。
(感光層塗布液)
・付加重合性化合物(表4に記載の化合物) 2.0g
・バインダーポリマー(表4に記載のポリマー) 2.0g
・増感色素(表4に記載の化合物) 0.2g
・重合開始剤(表4に記載の化合物) 0.45g
・その他の添加剤(表4に記載の化合物) 0.4g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
・熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・下記組成の着色顔料分散物 2.0g
・メチルエチルケトン 10.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・メタノール 10.0g
−着色顔料分散物組成−
・Pigment Blue 15:6 15質量部
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合モル比80/20、質量平均分子量 4万) 10質量部
・シクロヘキサノン 15質量部
・メトキシプロピルアセテート 20質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
[保護層の塗設]
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
[平版印刷版原版の露光および後加熱]
上記のようにして得られた平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザーセッターVx9600(InGaN系半導体レーザ405nm±10nm発光/出力30mW)を用い、90μJ/cm2の露光量で、ベタ画像露光解像度2438dpiで、1%刻みで、1から99%となる網点画像露光を行った。その後、100℃−10秒間オーブンで加熱した。
[現像/製版]
加熱後、富士写真フイルム(株)製自動現像機FLP−813に、表4に記載の現像液と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み、現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で現像/製版し、平版印刷版原版を得た。
[画像部耐刷性試験]
平版印刷版原版を印刷機に装着し印刷した。この際、印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。また、印刷にともなう非画像部の汚れを観察した。
[生保存性試験]
未露光の平版印刷版原版を60℃/湿度50%の条件で3日間放置したのち、露光、現像し、その後、これを用いて小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンで印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかという印刷能力を目視にて測定するとともに、印刷にともなう非画像部の汚れを観察し、生保存性を評価した。結果を表4に併記した。
表4中に記載された、下塗り層に用いたオリゴ糖及び多糖、感光層に用いたバインダーポリマー、付加重合性化合物、重合開始剤、増感色素、その他の添加剤、使用された現像液について、後述する他の実施例に使用したもの(表5〜7に記載)を含めて、以下に示す。
<オリゴ糖>
S−1:マルトース
S−2:ラミナリビオース
S−3:デキストリン
<らせん構造をとらず、OH以外の親水基を持たない多糖>
S−4:マンナン
S−5:ヒドロキシプロピルセルロース
S−6:メチルセルロース
<らせん構造をとらず、OH以外の親水基を持つ多糖>
S−7:カルボキシメチルセルロース
S−8:アルギン酸ナトリウム
S−8:HPMCAP(信越化学工業(株)製)
<らせん構造をとり、OH以外の親水基を持たない多糖>
S−10:シゾフィラン
S−11:カードラン
S−12:アミロース
<らせん構造をとり、OH以外の親水基を持つ多糖>
S−13:κ-カラギーナン
S−14:アガロース
S−15:キサンタンガム
<比較例で用いた、オリゴ糖および多糖以外で下塗り層としてよく用いられる、親水性化合物>
CS−1:ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬(株)製)
CS−2:ホスマーPE(ユニケミカル(株)製)
<バインダーポリマー>
<付加重合性化合物>
M−1: ペンタエルスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
M−2: グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製;UA101H)
<重合開始剤>
<増感色素>
<その他の添加剤>
<現像液>
現像液1:
下記組成からなるpH10の水溶液
・モノエタノールアミン 0.1 質量部
・トリエタノールアミン 1.5 質量部
・下記式1の化合物 4.0 質量部
・下記式2の化合物 2.5 質量部
・下記式3の化合物 0.2 質量部
・水 91.7 質量部
上記(式1)中、R14は水素原子又はブチル基を表す。
現像液2:
下記組成からなるpH13の水溶液
・1Kケイ酸カリウム 3.0 質量部
・水酸化カリウム 1.5 質量部
・前記式3の化合物 0.2 質量部
・水 95.3 質量部
現像液3:
FG−1(富士写真フイルム(株)製)と蒸留水とを1:1の質量比で混合してなる非アルカリ性水溶液(pH:4.5)
なお、以下の実施例61〜75は参考例である。
(実施例61〜75、比較例12および13)
実施例46〜60、比較例10および11と同様にして、表5に示す実施例61〜70、比較例12および13のネガ型平版印刷版原版を作製した。なお、ここでは、支持体[AS−1]の上に下塗り層が設けられている。
上記のようにして得られた平版印刷版原版を、FD−YAG(532nm)レーザー露光機(ハイデルベルグ社製プレートセッター:グーテンベルグ)を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cm2となる様に露光パワーを調節し、ベタ画像露光及び、2540dpi、175線/インチ、1%刻みで1から99%となる網点画像露光を行った。
露光済み平版印刷版原版について、実施例46〜60、比較例10および11と同様にして現像/製版を行い印刷性能を評価した。なお、本実施例及び比較例においては、感光層の乾燥後の塗布量が1.3〜1.5g/m2となるように塗布した。結果を表5に併記する。
(実施例76〜90、比較例14および15)
[感光層の塗設]
下記組成の感光層塗布液を調製し、支持体[AS−2]にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が1.4〜1.6g/m2となるように塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で
45秒間乾燥して感光層を形成した。
(感光層塗布液)
・付加重合性化合物(表6に記載の化合物) 2.0g
・バインダーポリマー(表6に記載のポリマー) 2.0g
・増感色素(表6に記載の化合物) 0.08g
・重合開始剤(表6に記載の化合物) 0.45g
・その他の添加剤(表6に記載の化合物) 0.4g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・メチルエチルケトン 10.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・メタノール 10.0g
[保護層の塗設]
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
[平版印刷版原版の露光]
上記のように得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体(830nm)レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
[現像/製版]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nに、表6記載の現像液とフィニッシャー富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液現像をそれぞれ仕込み、30℃で現像/製版し、平版印刷版原版を得た。
[画像部耐刷性試験]
平版印刷版原版を印刷機に装着し印刷した。この際、印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。また、印刷にともなう非画像部の汚れを観察した。
[生保存性試験]
未露光の平版印刷版を60℃/湿度50%の条件で3日間放置したのち、露光、現像し、その後、これを用いて小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンで印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかという印刷能力を目視にて測定するとともに、印刷にともなう非画像部の汚れを観察し、生保存性を評価した。結果を表6に併記した。
なお、以下の実施例91〜105は参考例である。
(実施例91〜105、比較例16および17)
実施例46〜60、比較例10および11と同様にして、表7に示す実施例916〜105、比較例16および17のネガ型平版印刷版原版を作製した。
[平版印刷版原版の露光および後加熱]
上記のようにして得られた平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザーセッターVx9600(InGaN系半導体レーザ405nm±10nm発光/出力30mW)を用い、90μJ/cm2の露光量で、ベタ画像露光及び解像度2438dpiで、1%刻みで、1から99%となる網点画像露光を行った。その後、100℃−10秒間オーブンで加熱した。
次に図1に示すような処理機を用いて現像処理を行った。処理液の液温は25℃の条件で行った。図中の108は搬送ローラであり、入口から出口の通過時間は15秒に設定した。
図中の112は回転ブラシであり、搬送方向に対して順転方向に280mm/秒の速度で回転させた。処理槽から排出された平版印刷版原版を自然乾燥した。
[画像部耐刷性試験]
平版印刷版原版を印刷機に装着し印刷した。この際、印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ化学工業社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど耐刷性が良いことを示す。また、印刷にともなう非画像部の汚れを観察した。
[生保存性試験]
未露光の平版印刷版原版を60℃/湿度50%の条件で3日間放置したのち、露光、現像し、その後、これを用いて小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンで印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかという印刷能力を目視にて測定するとともに、印刷にともなう非画像部の汚れを観察し、生保存性を評価した。結果を表7に併記した。
表4〜7に示したように、支持体上に、オリゴ糖および多糖からなる群から選ばれる少なくとも1種の糖からなる層を設け、さらにこの層上に、感光層を設けた本発明の平版印刷版原版は、オリゴ糖および多糖以外のこれまで用いられてきた親水性化合物を下塗り層としたものと比較して、アルカリ現像液(表4〜6)のみならず非アルカリ水溶液(表7)を現像液とした場合にも、耐刷性および生保存性に優れる。