従来、このような故障電流検出回路を内蔵したパワーコンディショナ装置としては、例えば太陽光発電機等の分散型電源と商用系統とを連系接続し、分散型電源にて発電した直流電力を交流電力に変換して家庭内の家電機器等の負荷に同交流電力を供給し、分散型電源からの電力だけでは賄えない場合に商用系統からの交流電力を供給する分散型電源システムに使用されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1のパワーコンディショナ装置としては、分散型電源にて発電した直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、分散型電源及び商用系統間に配置され、同パワーコンディショナ装置に関わる地絡電流及び漏洩電流を含む故障電流を検知する変流器と、この変流器にて検出したセンサ検知量から地絡電流を検出する地絡電流検出回路と、変流器にて検出したセンサ検知量から漏洩電流を検出する漏洩電流検出回路とを有し、地絡電流検出回路にて検出した地絡電流が所定地絡閾値を超えた場合、又は漏洩電流検出回路にて検出した漏洩電流が所定漏洩閾値を超えた場合、パワーコンディショナ装置の連系運転を停止することができるものである。
尚、地絡電流とは、分散型電源側の配線が地絡したときに流れる電流に相当し、漏洩電流とは、分散型電源の設置面と対地との静電性容量結合によって流れる電流に相当するものである。
このような特許文献1のパワーコンディショナ装置によれば、変流器、地絡電流検出回路及び漏洩電流検出回路で故障電流検出回路を構成し、地絡電流検出回路及び漏洩電流検出回路を通じて地絡電流及び漏洩電流を個別に検出し、これら検出した地絡電流及び漏洩電流を所定地絡閾値及び所定漏洩閾値を超えたか否かを個別に判定し、地絡電流若しくは漏洩電流が所定閾値を超えた場合、パワーコンディショナ装置の連系運転を停止するようにしたので、パワーコンディショナ装置の安全な運転を確保することができる。
しかしながら、近年、欧州の規格(VDE0126−1−1)では、地絡電流及び漏洩電流を個別に検出するのではなく、故障電流として地絡電流及び漏洩電流のベクトル和を図10に示す条件で検出することが必要となっている。
尚、この欧州規格は、図9に示すように分散型電源101、パワーコンディショナ装置102及び商用系統103を直列配置した場合、パワーコンディショナ装置102の+側及び−側に試験用回路104を夫々配置し、各試験用回路104は、可変コンデンサで構成する交流回路104Aと、可変抵抗で構成する直流回路104Bと、直流回路104Bを切替接続するスイッチ104Cと有し、パワーコンディショナ装置102は、図10に示す条件の地絡電流及び漏洩電流を含む故障電流を検出すると、パワーコンディショナ装置102の運転を停止制御することが求められている。
パワーコンディショナ装置102の故障電流検出に対する運転停止の条件としては、図10に示すように条件1〜条件5まである。
条件1としては、直流成分の地絡電流については300mA以下で検出し運転を停止することが求められており、その試験方法として試験用回路104の直流回路104Bから地絡電流を流した場合、パワーコンディショナ装置102は故障電流判断レベル以上になった時に故障電流を検出し、運転を停止することが求められている。
条件2としては、交流成分の漏洩電流については300mA以下で検出し運転を停止することが求められており、その試験方法として試験用回路104の交流回路104Aから故障電流を流した場合、パワーコンディショナ装置102は故障電流判断レベル以上になった時に故障電流を検出し、運転を停止することが求められている。
条件3としては、交流成分の漏洩電流の故障判断レベルを条件2で停止したレベルIとして、I−30mAに、直流成分の地絡電流として+30mAを加えたベクトル和を故障判断レベルとして設定し、I−30mAから故障判断レベルへ急変させた場合に運転を0.3秒以内に停止することが求められており、その試験方法として試験用回路104の交流回路104AからI−30mAを流し、スイッチ104CをONにして直流回路104Bから30mAを流した場合、パワーコンディショナ装置102の運転を0.3秒以内に停止することが求められている。
条件4としては、交流成分の漏洩電流の故障判断レベルを条件2で停止したレベルIとして、I−60mAに、直流成分の地絡電流として+60mAを加えたベクトル和を故障判断レベルとして設定し、I−60mAから故障判断レベルへ急変させた場合に運転を0.3秒以内に停止することが求められており、その試験方法として試験用回路104の交流回路104AからI−60mAを流し、スイッチ104CをONにして直流回路104Bから60mAを流した場合、パワーコンディショナ装置102の運転を0.15秒以内に停止することが求められている。
条件5としては、交流成分の漏洩電流の故障判断レベルを条件2で停止したレベルIとして、I−150mAに、直流成分の地絡電流として+150mAを加えたベクトル和を故障判断レベルとして設定し、I−150mAから故障判断レベルへ急変させた場合に運転を0.04秒以内に停止することが求められており、その試験方法として試験用回路104の交流回路104AからI−150mAを流し、スイッチ104CをONにして直流回路104Bから150mAを流した場合、パワーコンディショナ装置102の運転を0.04秒以内に停止することが求められている。
つまり、この欧州規格では、故障判断レベルを直流成分の地絡電流及び交流成分の漏洩電流のベクトル和で設定し、故障電流のベクトル和が故障判断レベルを超えた場合にパワーコンディショナ装置102の運転を停止する条件を規格化しているものである。
そこで、このような欧州規格の停止条件を満たすために本出願人は、次に説明するようなパワーコンディショナ装置を採用した分散型電源システムを案出している。図11は本出願人が案出した分散型電源システム内部の概略構成を示すブロック図である。
図11に示す分散型電源システム100は、直流電力を発電する分散型電源111と、商用系統112と、分散型電源111にて発電した直流電力を交流電力に変換すると共に、商用系統112と連系運転し、図示せぬ家電機器等の一般負荷に交流電力を供給するパワーコンディショナ装置113とを有している。
パワーコンディショナ装置113は、分散型電源111にて発電した直流電力を平滑化する第1平滑化コンデンサ121と、この第1平滑化コンデンサ121にて平滑化した直流電力を昇圧する昇圧回路122と、この昇圧回路122で昇圧した直流電力を平滑化する第2平滑化コンデンサ123と、この第2平滑化コンデンサ123で平滑化した直流電力を交流電力に変換するインバータ回路124と、このインバータ回路124で変換した交流電力にフィルタ処理を施すフィルタ回路125と、フィルタ回路125及び商用系統112間の連系接続を切替制御する連系リレー回路126と、連系リレー回路126及び商用系統112間の系統電圧を検出する系統電圧検出回路127と、連系リレー回路126及び商用系統112間の電流を検出する変流器128Aで構成して検出電流に対応したセンサ出力信号、すなわち故障検出信号を出力するセンサ回路128と、このパワーコンディショナ装置113全体を制御する制御回路129と、この制御回路129に電力を供給する制御電源130とを有している。
また、センサ回路128は、故障電流に対応した出力信号を出力する変流器128Aと、変流器128Aの出力信号に加算する方形波を発振する発振回路128Bと、変流器128Aの出力信号及び発振回路128Bの方形波を合成して構成した故障検出信号に全波整流を施す整流回路128Cと、この整流回路128Cにて全波整流を施した故障検出信号を増幅する増幅回路128Dと、この増幅した故障検出信号に対してローパス処理を施すLPF128Eとを有し、このローパス処理を施した故障検出信号を制御回路129に供給するものである。
図12はセンサ回路128のLPF128Eでローパス処理を施した故障検出信号の波形を示す説明図である。
図12(A)は地絡電流成分及び漏洩電流成分が無しの場合に関わる故障検出信号の波形である。図12(B)は漏洩電流成分のみが有りの場合に関わる故障検出信号の波形である。図12(C)は地絡電流成分のみが有りの場合に関わる故障検出信号の波形である。図12(D)は地絡電流成分及び漏洩電流成分双方が有りの場合に関わる故障検出信号の波形である。
そして、制御回路129は、図13に示すように、センサ回路128の故障検出信号の所定期間に関わる平均値を算出し、この算出した平均値が所定閾値を超えた場合、連系リレー回路126を遮断することでパワーコンディショナ装置113の連系運転を停止するものである。
特開2006−187150号公報(要約書及び図1参照)
しかしながら、本出願人が案出したパワーコンディショナ装置113によれば、図13に示すように、漏洩電流成分及び地絡電流成分を含む故障検出信号の所定期間に関わる平均値を算出し、この算出した平均値に基づき漏洩電流成分及び地絡電流成分が所定閾値を超えたか否かを判定するようにしたが、地絡電流が流れた場合には入力電圧や系統電圧の大きさによって周期的に脈流のピーク値Xが変化するが平均値は同じとなる条件があり、特に、この地絡電流成分は微小電流の場合、その変化量は増幅回路128Dの変流器に大きく依存するため、現状のセンサ回路を使用して、地絡電流成分及び漏洩電流成分を一緒に所定期間で単純に平均化した場合、漏洩電流成分に比較して地絡電流成分は微小であるため、地絡電流成分のピーク値の変化が平坦化されて地絡電流成分の変動を検出することができず、前述した欧州規格(VDE0126−1−1)の条件を満たすことができないことが考えられる。
また、地絡電流成分の変動を検出すべく、検出精度の高いセンサ回路を使用することも考えられるが、このようなセンサ回路は高価であるため、パワーコンディショナ装置113全体のコストが嵩む。
そこで、本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来使用していたセンサ回路を変えることなく、地絡電流成分の検出精度の向上を図ることで欧州規格に対応した故障電流検出回路及び故障電流検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の故障電流検出回路は、分散型電源にて発電した直流電力を交流電力に変換すると共に、商用系統と連系運転するパワーコンディショナ装置に関わる、前記分散型電源の地絡電流及び、前記分散型電源の静電容量結合に伴う漏洩電流を含む故障電流を検出する故障電流検出回路であって、前記商用系統側の系統電圧の半周期タイミングを検出する半周期タイミング検出手段と、前記故障電流に対応した故障検出信号を出力する検出信号出力手段と、前記系統電圧に関わる所定の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号を順次検出し、この半周期区間の故障検出信号に関わる第1平均値を算出すると共に、前記次の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号を順次検出し、この半周期区間の故障検出信号に関わる第2平均値を算出する平均値算出手段と、前記第1平均値及び前記第2平均値間の変化量を算出する変化量算出手段と、この変化量算出手段にて算出した前記変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出する地絡電流変化量検出手段とを有するようにした。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記系統電圧に関わる所定の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号に関わる第1平均値を算出すると共に、前記次の半周期タイミングからの次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号に関わる第2平均値を算出し、前記第1平均値及び前記第2平均値間の変化量を算出し、この算出した変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出するようにしたので、系統電圧の半周期タイミング毎に故障検出信号に地絡電流成分が見えることに着目したことで第1平均値及び第2平均値間の変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出することができ、その結果、従来使用したセンサ回路を使用したとしても、地絡電流成分を高精度に検出することができ、さらには欧州規格に対応したパワーコンディショナ装置を提供することができる。
また、本発明の故障電流検出回路は、前記第1平均値及び前記第2平均値を加算平均化して前記漏洩電流の平均値として漏洩電流平均値を算出する漏洩電流平均値算出手段と、この漏洩電流平均値算出手段にて算出した前記漏洩電流平均値と前記地絡電流変化量検出手段にて検出した変化量とのベクトル和を前記故障電流の検出量として検出する故障電流検出手段とを有するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記第1平均値及び前記第2平均値を加算平均化して前記漏洩電流の平均値として漏洩電流平均値を算出し、この算出した前記漏洩電流平均値と前記変化量とのベクトル和を前記故障電流の検出量として検出するようにしたので、前記漏洩電流平均値を漏洩電流成分、前記変化量を地絡電流成分とすることで欧州規格に適した故障電流の検出が可能になる。
本発明の故障電流検出回路は、前記故障電流検出手段にて検出した前記故障電流の検出量が異常値であるか否かを判定する異常判定手段を有し、この異常判定手段にて前記故障電流の検出量が異常値であると判定されると、前記故障電流の異常と判断するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、異常判定手段にて前記故障電流の検出量が異常値であると判定されると、前記故障電流の異常と判断するようにしたので、故障電流の異常を認識することができる。
また、本発明の故障電流検出回路は、前記故障電流の異常と所定期間連続して判断すると、前記パワーコンディショナ装置の連系運転を停止するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記故障電流の異常と所定期間連続して判断すると、前記パワーコンディショナ装置の連系運転を停止するようにしたので、瞬間的な誤検出によるパワーコンディショナ装置の運転停止を確実に防止し、前記欧州規格に適したパワーコンディショナ装置を提供することができる。
本発明の故障電流検出回路は、前記半周期区間の故障検出信号を順次検出する際、この故障検出信号が絶対閾値を超えたか否かを判定する絶対閾値判定手段と、前記絶対閾値判定手段にて前記故障検出信号が絶対閾値を超えたと判定されると、時間計測動作を開始し、前記故障検出信号が絶対閾値以下になると、時間計測動作を終了する時間計測手段と、この時間計測手段の現在計測時間が許容時間を越えたか否かを判定する許容時間判定手段とを有し、前記許容時間判定手段にて現在計測時間が許容時間を越えたと判定されると、前記故障電流の異常と判断するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記半周期区間の故障検出信号を順次検出し、この順次検出した故障検出信号が絶対閾値を超えたと判定されると、時間計測手段の時間計測動作を開始し、この計測時間が許容時間を越えた場合、前記故障電流の検出量を算出しなくても、前記故障電流の異常と判断するようにしたので、計測時間が許容時間を越えた場合、故障検出信号の平均値算出手段、変化量算出手段、地絡電流変化量検出手段、漏洩電流平均値算出手段や故障電流検出手段等の処理動作を要することなく、半周期区間の全故障検出信号を取得する前に故障電流の高速検出に対応することができる。
本発明の故障電流検出回路は、前記地絡電流の変化量に所定係数を乗算するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記地絡電流の変化量に所定係数を乗算するようにしたので、地絡電流が微小であったとしても地絡電流成分の変化を際立たせることができる。
本発明の故障電流検出回路は、前記地絡電流の変化量に関数で重み付けするようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記地絡電流の変化量に関数で重み付けするようにしたので、地絡電流が微小であったとしても地絡電流成分の変化を際立たせることができる。
本発明の故障電流検出回路は、前記平均値算出手段が、前記検出信号出力手段にて出力した前記故障検出信号に対して所定オフセット値を付与した後、前記第1平均値及び前記第2平均値を順次算出するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出回路によれば、前記検出信号出力手段にて出力した前記故障信号に対して所定オフセット値を付与した後、前記第1平均値及び前記第2平均値を順次算出するようにしたので、前記第1平均値及び前記第2平均値を所定オフセット値分底上げすることができる。
また、上記目的を達成するために本発明の故障電流検出方法は、分散型電源にて発電した直流電力を交流電力に変換すると共に、商用系統と連系運転するパワーコンディショナ装置に関わる、前記分散型電源の地絡電流及び、前記分散型電源の静電容量結合に伴う漏洩電流を含む故障電流を検出する故障電流検出方法であって、前記商用系統側の系統電圧の半周期タイミングを順次検出するステップと、前記故障電流に対応した故障検出信号を順次出力するステップと、前記系統電圧に関わる所定の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号を順次検出し、この半周期区間の故障検出信号に関わる第1平均値を算出すると共に、前記次の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号を順次検出し、この半周期区間の故障検出信号に関わる第2平均値を算出するステップと、前記第1平均値及び前記第2平均値間の変化量を算出するステップと、前記変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出するステップとを順次実行するようにした。
従って、本発明の故障電流検出方法によれば、前記系統電圧に関わる所定の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号に関わる第1平均値を算出すると共に、前記次の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号に関わる第2平均値を算出し、前記第1平均値及び前記第2平均値間の変化量を算出し、この算出した変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出するようにしたので、系統電圧の半周期タイミング毎に故障検出信号に地絡電流成分が見えることに着目したことで第1平均値及び第2平均値間の変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出することができ、その結果、従来使用したセンサ回路を使用したとしても、地絡電流成分を高精度に検出することができ、さらには欧州規格に対応したパワーコンディショナ装置を提供することができる。
本発明の故障電流検出方法は、前記第1平均値及び前記第2平均値を加算平均化して前記漏洩電流の平均値として漏洩電流平均値を算出するステップと、前記漏洩電流平均値と前記変化量とのベクトル和を前記故障電流の検出量として検出するステップとを順次実行するようにしても良い。
従って、本発明の故障電流検出方法によれば、前記第1平均値及び前記第2平均値を加算平均化して前記漏洩電流の平均値として漏洩電流平均値を算出し、この算出した前記漏洩電流平均値と前記変化量とのベクトル和を前記故障電流の検出量として検出するようにしたので、前記漏洩電流平均値を漏洩電流成分、前記変化量を地絡電流成分とすることで欧州規格に適した故障電流の検出が可能になる。
上記のように構成された本発明の故障電流検出回路によれば、前記系統電圧に関わる所定の半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号に関わる第1平均値を算出すると共に、前記次の半周期タイミングからの次の半周期タイミングまでの半周期区間の前記故障検出信号に関わる第2平均値を算出し、前記第1平均値及び前記第2平均値間の変化量を算出し、この算出した変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出するようにしたので、系統電圧の半周期タイミング毎に故障検出信号に地絡電流成分が見えることに着目したことで第1平均値及び第2平均値間の変化量に基づき、前記故障電流に含まれる前記地絡電流の変化量を検出することができ、その結果、従来使用したセンサ回路を使用したとしても、地絡電流成分を高精度に検出することができ、さらには欧州規格に対応したパワーコンディショナ装置を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の故障電流検出回路に関わる実施の形態を示す分散型電源システムについて説明する。図1は本実施の形態を示す分散型電源システム内部の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す分散型電源システム1は、直流電力を発電する、例えば太陽電池等の分散型電源2と、商用系統3と、分散型電源2にて発電した直流電力を交流電力に変換すると共に、家電機器等の一般負荷に、商用系統3と連系運転して交流電力を供給するパワーコンディショナ装置4とを有している。
パワーコンディショナ装置4は、分散型電源2にて発電した直流電力を平滑化する第1平滑化コンデンサ11と、この第1平滑化コンデンサ11にて平滑化した直流電力を昇圧する昇圧回路12と、この昇圧回路12にて昇圧した直流電力を平滑化する第2平滑化コンデンサ13と、この第2平滑化コンデンサ13にて平滑化した直流電力を交流電力に変換するインバータ回路14と、このインバータ回路14にて変換した交流電力にフィルタ処理を施すフィルタ回路15と、このフィルタ回路15及び商用系統3間の連系接続を切替制御する連系リレー回路16と、連系リレー回路16及び商用系統3間の系統電圧を検出する系統電圧検出回路17と、連系リレー回路16及び商用系統3間の電流を検出する変流器18Aで構成して検出電流に対応したセンサ出力信号、すなわち故障検出信号を出力するセンサ回路18と、このパワーコンディショナ装置4全体を制御する制御回路19と、この制御回路19に電力を供給する制御電源20とを有している。
また、センサ回路18は、故障電流に対応した出力信号を出力する変流器18Aと、変流器18Aの出力信号に加算する方形波を生成する発振回路18Bと、変流器18Aの出力信号及び発振回路18Bの方形波を合成して構成した故障検出信号に全波整流を施す整流回路18Cと、この整流回路18Cにて全波整流を施した故障検出信号を増幅する増幅回路18Dと、この増幅した故障検出信号に対してローパス処理を施すLPF回路18Eとを有し、このローパス処理を施した故障検出信号を制御回路19に供給するものである。
制御回路19は、系統電圧検出回路17を通じて系統電圧を検出し、この系統電圧の半周期タイミングを検出する半周期タイミング検出部21と、この半周期タイミング検出部21にて検出した半周期タイミングから次の半周期タイミングまでの半周期区間の故障検出信号を連続4個、すなわち前1周期及び現在の半周期区間の故障検出信号を記憶する記憶部22と、記憶部22に記憶中の前1周期分の半周期区間、すなわち第1半周期及び第2半周期の故障検出信号の平均値を順次算出する平均値算出部23と、この平均値算出部23にて順次算出した前1周期分の第1半周期及び第2半周期の平均値を格納する平均値メモリ24と、この平均値メモリ24に格納中の前1周期分の第1半周期及び第2半周期の故障検出信号の平均値に基づき、前後の故障検出信号の変化量を算出する変化量算出部25と、この変化量算出部25にて算出した変化量に基づき、故障電流に含まれる地絡電流成分の変化量を検出する地絡電流変化量検出部26と、平均値メモリ24に格納中の前1周期分の第1半周期及び第2半周期の平均値の総合平均値を算出する総合平均値算出部27と、この総合平均値算出部27にて算出した総合平均値を漏洩電流成分として検出する漏洩電流検出部28と、この漏洩電流検出部28にて検出した漏洩電流成分と地絡電流変化量検出部26にて検出した地絡電流成分の変化量とのベクトル和を故障電流検出量として算出する故障電流検出量算出部29と、この故障電流検出量算出部29にて算出した故障電流検出量が条件テーブル30内の何れか一の故障判断レベルを超えたか否かを判定する閾値判定部31と、この閾値判定部31にて故障電流検出量が故障判断レベルを超えたと判定されると、故障電流の異常と判断し、故障電流検出カウント値を+1インクリメントする故障電流検出カウント部33と、故障電流検出カウント部33の故障電流検出カウント値が所定カウント値を超えたと判定されると、フィルタ回路15及び商用系統3間の連系接続を遮断してパワーコンディショナ装置4の連系運転を停止すべく、連系リレー回路16を駆動制御する連系リレー駆動制御部32とを有している。
記憶部22は、バッファ領域22Aと、本記憶領域22Bとを有し、半周期タイミング検出部21の検出結果に基づき、例えば図3に示すBn−1区間の半周期タイミングを検出すると、Bn−1区間(第1半周期)の故障検出信号をバッファ領域22Aに順次記憶し、次のAn区間(第2半周期)の半周期タイミングを検出すると、An区間の故障検出信号をバッファ領域22Aに順次記憶し、次の周期に相当するBn区間(第1半周期)の半周期タイミングを検出すると、バッファ領域22Aに記憶中のBn−1区間(第1半周期)の故障検出信号及びAn区間(第2半周期)の故障検出信号を前1周期分の故障検出信号として本記憶領域22Bに記憶し、次のBn区間(第1半周期)の故障検出信号をバッファ領域22Aに順次記憶するものである。
尚、記憶部22は、Bn−1区間の故障検出信号及びAn区間の故障検出信号を本記憶領域22Bに記憶中の場合、次のBn区間の半周期タイミングを検出したタイミングで、Bn区間の故障検出信号をバッファ領域22Aに順次記憶し、次のAn+1区間の半周期タイミングを検出すると、本記憶領域22Bに前1周期分のBn−1区間及びAn区間の故障検出信号と、バッファ領域22Bに記憶中のBn区間の故障検出信号を現在の故障検出信号として更新するものである。つまり、記憶部22の本記憶領域22Bでは、Bn−1→An→Bn→An+1→Bn+1→…の各区間の故障検出信号を順次記憶していくが、前1周期分の第1半周期及び第2半周期の故障検出信号しか記憶されていないものとする。
平均値算出部23は、記憶部22の本記憶領域22Bに記憶中の前1周期分の第1半周期の故障検出信号に基づき、前1周期分の第1半周期の故障検出信号の平均値を算出し、この算出した前1周期分の第1半周期の故障検出信号の平均値を平均値メモリ24に記憶すると共に、記憶部22に記憶中の前1周期分の第2半周期の故障検出信号の平均値を算出し、この算出した前1周期分の第2半周期の故障検出信号の平均値を平均値メモリ24に記憶するものである。尚、平均値算出部23は、記憶部22の記憶内容が更新され、第1半周期と第2半周期のデータの記憶内容更新に応じて前1周期分の平均値を算出し、この算出した前1周期分の平均値を平均値メモリ24に更新するものである。また、記憶部22と同様に、平均値メモリ24では、前1周期分の故障検出信号の平均値しか記憶しないものとする。
変化量算出部25は、平均値メモリ24に記憶中の前1周期分の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号の平均値に基づき、前1周期分の故障検出信号の変化量を算出する、例えば平均値メモリ24に記憶中のBn−1区間(第1半周期)の故障検出信号の平均値及びAn区間(第2半周期)の故障検出信号の平均値に基づき、Bn−1区間及びAn区間の変化量を算出するものである。
総合平均値算出部27は、平均値メモリ24に記憶中の前1周期分の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号の平均値を加算し、その加算結果を平均化することで総合平均値を算出する、例えば平均値メモリ24に記憶中のBn−1区間の故障検出信号の平均値及びAn区間の故障検出信号の平均値を加算し、その加算結果を平均化することで総合平均値を算出するものである。
故障電流検出量算出部29は、この漏洩電流検出部28にて検出した漏洩電流成分と地絡電流変化量検出部26にて検出した地絡電流成分の変化量とのベクトル和を故障電流検出量として算出するものである。
図4は条件テーブル30のテーブル内容を端的に示す説明図である。
図4に示す条件テーブル30は、欧州規格(VDE0126−1−1)に準拠し、故障電流検出量(変化量+総合平均値)が漏洩電流240mA(故障判断レベル)以上の場合に運転を0.3秒以内に停止する条件1と、故障電流検出量(総合平均値)が地絡電流240mA(故障判断レベル)以上の場合に運転を0.3秒以内に停止する条件2と、故障電流検出量(変化量+総合平均値)が漏洩電流210mA+地絡電流30mA(故障判断レベル)を超えた場合に運転を0.3秒以内に停止する条件3と、故障電流検出量(変化量+総合平均値)が漏洩電流180mA+地絡電流60mA(故障判断レベル)を超えた場合に運転を0.15秒以内に停止する条件4と、故障電流検出量(変化量+総合平均値)が漏洩電流90mA+地絡電流150mA(故障判断レベル)を超えた場合に運転を0.04秒以内に停止する条件5とがある。
閾値判定部31は、故障電流検出量算出部29にて故障電流検出量を算出すると、故障電流検出量が条件テーブル30の故障判断レベルを超えたか否かを判定するものである。
故障検出カウント部33は、閾値判定部31にて故障電流検出量が故障判断レベルを超えたと判定されると、故障電流検出カウント値を+1インクリメントすると共に、閾値判定部31にて故障電流検出量が故障判断レベルを超えていないと判定されると、故障電流検出カウント値をクリアするものである。
故障検出カウント部33は、閾値判定部31にて故障電流検出カウント値が所定カウント値を超えた場合、故障電流検出量が故障判断レベルを連続して超えたもの、すなわち、故障電流の異常と所定期間連続して判断したものと判断し、パワーコンディショナ装置4の連系運転を停止すべく、連系リレー駆動制御部32を通じて条件に対応した制御内容(図4参照)を実行するものである。
尚、本願請求項記載の分散型電源は分散型電源2、商用系統は商用系統3、パワーコンディショナ装置はパワーコンディショナ装置4、故障検出回路はパワーコンディショナ装置4、半周期タイミング検出手段は半周期タイミング検出部21、検出信号出力手段はセンサ回路18、平均値算出手段は記憶部22及び平均値算出部23、変化量算出手段は変化量算出部25、地絡電流変化量検出手段は地絡電流変化量検出部26、漏洩電流平均値算出手段は総合平均値算出部27及び漏洩電流検出部28、故障電流検出手段は故障電流検出量算出部29、異常判定手段は条件テーブル30、閾値判定部31及び故障電流検出カウント部33に相当するものである。
次に本実施の形態を示す分散型電源システム1の動作について説明する。図5及び図6は本実施の形態に関わる故障電流判定処理に関わるパワーコンディショナ装置4の制御回路19の処理動作を示すフローチャートである。
図5に示す故障電流判定処理は、系統電圧の半周期タイミング毎に、故障電流検出量が欧州規格(VDE0126−1−1)の条件に相当する故障判断レベルを超えたか否かを判定する処理である。
図5に示す制御回路19は、半周期タイミング検出部21を通じて系統電圧の半周期タイミングを検出すると(ステップS11)、検出タイミングに相当する半周期区間の故障検出信号を記憶部22のバッファ領域22Aに順次記憶する(ステップS12)。
制御回路19は、半周期タイミング検出部21を通じて次の半周期タイミングを検出したか否かを判定する(ステップS13)。
制御回路19は、次の半周期タイミングを検出したと判定されると、バッファ領域22Aに記憶中の前1周期分の第1半周期及び第2半周期の故障検出信号を前1周期分の故障検出信号として記憶部22の本記憶領域22Bに記憶する(ステップS14)。
制御回路19は、本記憶領域22B内に前1周期分の故障検出信号が記憶済みであるか否かを判定する(ステップS15)。
制御回路19の平均値算出部23は、ステップS15にて本記憶領域22B内に前1周期分の故障検出信号が記憶済みであると判定されると、本記憶領域22Bに記憶中の前1周期分の第1半周期の故障検出信号に基づき、前1周期分の第1半周期の故障検出信号の平均値を算出すると共に、本記憶領域22Bに記憶中の前1周期分の第2半周期の故障検出信号に基づき、前1周期分の第2半周期の故障検出信号の平均値を算出する(ステップS16)。
平均値算出部23は、前1周期分の第1半周期及び第2半周期の故障検出信号の平均値を算出すると、これら算出した前1周期分の第1半周期及び第2半周期の故障検出信号の平均値を平均値メモリ24に記憶更新する(ステップS17)。
制御回路19の変化量算出部25は、平均値メモリ24に記憶中の前1周期分の第1半周期及び第2半周期の平均値に基づき、第1半周期の平均値及び第2半周期の平均値間の変化量を算出する(ステップS18)。
制御回路19の地絡電流変化量検出部26は、変化量算出部25にて前1周期分の第1半周期及び第2半周期の平均値間の変化量を算出すると、この変化量を地絡電流成分の変化量として検出する(ステップS19)。
制御回路19の総合平均値算出部27は、平均値メモリ24に記憶中の前1周期分の第1半周期及び第2半周期の平均値を加算し、その加算結果を平均化して総合平均値を算出する(ステップS20)。
制御回路19の漏洩電流検出部28は、総合平均値算出部27にて算出した総合平均値を、漏洩電流成分の漏洩電流平均値として検出する(ステップS21)。
制御回路19の故障電流検出量算出部29は、ステップS19の地絡電流変化量検出部26にて検出した地絡電流成分の変化量と、ステップS21の漏洩電流検出部28にて検出した漏洩電流成分の漏洩電流平均値とのベクトル和を故障電流検出量として算出し(ステップS22)、図6に示すM1に移行する。
制御回路19は、ステップS13にて次の半周期タイミングを検出したのでなければ、現在の半周期区間の故障検出信号のバッファ領域22Aへの記憶を継続すべく、ステップS12に移行する。
また、制御回路19は、ステップS15にて本記憶領域22B内に前1周期分の故障検出信号が記憶済みでないと判定されると、前1周期の次の周期に関わる半周期区間の故障検出信号を記憶すべく、この処理動作を終了する。
図6に示すM1において制御回路19の閾値判定部31は、図5に示すステップS22にて故障電流検出量を算出すると、この故障電流検出量が条件テーブル30内の各条件の故障判断レベルを超えたか否かを判定する(ステップS23)。
制御回路19の故障電流検出カウント部33は、現在カウント中の故障電流検出カウント値を+1インクリメントし(ステップS24)、この処理動作を終了する。
また、制御回路19の故障電流検出カウント部33は、ステップS23にて故障電流検出量が条件テーブル30内の何れの故障判断レベルを超えていないものと判定されると、現在カウント中の故障電流検出カウント値をクリアし(ステップS25)、この処理動作を終了する。
図5及び図6に示す故障電流判定処理によれば、系統電圧の半周期タイミングに相当する半周期区間の故障検出信号を順次記憶して、前1周期分の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号を記憶部22に記憶し、この記憶部22に記憶中の前1周期の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号の平均値を算出し、これら前1周期分の平均値に基づき、地絡電流成分の変化量及び漏洩電流成分の漏洩電流平均値を算出し、これら地絡電流成分の変化量及び漏洩電流成分の漏洩電流平均値のベクトル和を故障電流検出量とし、この故障電流検出量が条件テーブル30内の故障判断レベルを超えたか否かを判定し、この判定結果に基づき故障電流検出カウント値をカウントするようにしたので、欧州規格(VDE0126−1−1)に適した故障電流の検出が可能になる。
さらに、制御回路19では、故障電流検出カウント部33にて故障電流検出カウント値が所定カウント値を超えた場合、同条件に対応した制御内容を条件テーブル30から読み出し、この制御内容に基づき、フィルタ回路15及び商用系統3間の連系接続を遮断して連系運転を停止すべく、連系リレー回路16を駆動制御することになる。
本実施の形態によれば、系統電圧の半周期タイミングに相当する半周期区間の故障検出信号を順次記憶して、前1周期分の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号を記憶部22に記憶し、この記憶部22に記憶中の前1周期分の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号の平均値を算出し、前1周期の平均値間の変化量を地絡電流成分の変化量として検出するようにしたので、従来使用したセンサ回路を使用したとしても、地絡電流成分を高精度に検出することができ、さらには欧州規格に対応したパワーコンディショナ装置4を提供することができる。
また、本実施の形態によれば、前1周期分の半周期区間(第1半周期及び第2半周期)の故障検出信号の平均値を加算平均化した総合平均値を漏洩電流成分の漏洩電流平均値として検出し、この漏洩電流平均値及び地絡電流成分の変化量のベクトル和を故障電流検出量としたので、欧州規格(VDE0126−1−1)に適した故障電流の検出が可能になる。
さらに本実施の形態によれば、故障電流検出量が条件テーブル30内の故障判断レベルを超えた場合、故障電流検出カウント部33を通じて故障電流カウント値を+1インクリメントし、故障電流カウント値が所定カウント値を超えたと判定されると、同条件に対応した制御内容に基づき、フィルタ回路15及び商用系統3間の連系接続を遮断して連系運転を停止すべく、連系リレー回路16を駆動制御するようにしたので、欧州規格に適したパワーコンディショナ装置4の安全制御を確保することができる。
尚、上記実施の形態においては、故障電流検出量として地絡電流成分の変化量をそのまま含めたが、地絡電流成分の変化量が微小であることから、例えば地絡電流成分の変化量に所定係数を乗算するようにしても良く、その地絡電流成分の変化を際立たせることができる。また、同様に地絡電流成分の変化量に関数で重み付けするようにしても良く、この場合でも地絡電流成分の変化を際立たせることができる。
また、上記実施の形態においては、系統電圧の系統周波数を限定しなかったが、条件テーブル30の条件5を考慮した場合、0.04秒以内に連系運転を停止する必要があるが、系統周波数を50Hzとした場合、1周期が20m秒であるため、その検出時間が短くなる。
そこで、このような事態に対処すべく、制御回路19は、図7に示すような半周期タイミング検出部21にて系統電圧の半周期タイミングを検出すると、この半周期タイミングに相当する半周期区間の故障検出信号を順次検出し、この順次検出した故障検出信号を記憶部22内のバッファ領域22Aに記憶するのであるが、この順次検出した半周期区間の故障検出信号が絶対閾値を超えたか否かを判定する絶対閾値判定部41と、この絶対閾値判定部41にて故障検出信号が絶対閾値を超えたと判定されると、時間計測動作を開始し、故障検出信号が絶対閾値以下になると、時間計測動作を終了する時間計測部42と、この時間計測部42の計測時間が許容時間を越えたか否かを判定する許容時間判定部43とを有し、許容時間判定部43は、時間計測部42の計測時間が許容時間を越えたと判定されると、平均値算出部23、変化量算出部25及び総合平均値算出部27等の処理動作を要することなく、故障電流検出量が条件閾値に合致しているものと判断し、故障検出により運転を停止するようにした。
尚、絶対閾値判定部41で使用する絶対閾値は、図3に示すように半周期区間の故障検出信号のレベル閾値に相当し、半周期区間の故障検出信号の内、レベル閾値を超えた部分の量が、前述した故障検出信号の平均値の大きさ、更には、地絡電流成分の変化量及び漏洩電流成分の漏洩電流平均値の大きさに繋がるものである。
つまり、許容時間判定部43で使用する許容時間は、半周期区間の故障検出信号の内、レベル閾値を超えた部分の量が多いと、漏洩電流成分の漏洩電流平均値が大きくなることに着目し、レベル閾値を超えた部分の量の大小を時間で換算し、レベル閾値を超えた時間が長いと、レベル閾値を超えた部分が多いと判断するための判断時間に相当し、計測時間が許容時間を越えた場合は漏洩電流成分の漏洩電流平均値が大きくなったものと判断するものである。
尚、請求項記載の絶対閾値判定手段は絶対閾値判定部41、時間計測手段は時間計測部42、許容時間判定手段は許容時間判定部43に相当するものである。
図8は高速故障電流判定処理に関わる制御回路19の処理動作を示すフローチャートである。
図8に示す高速故障電流判定処理は、高速で故障電流の異常を判定する処理である。
図8において制御回路19は、半周期タイミング検出部21を通じて系統電圧の半周期タイミングを検出すると(ステップS31)、検出タイミングに相当する半周期区間の故障検出信号を順次検出し、この順次検出した故障検出信号を記憶部22のバッファ領域22Aに順次記憶する(ステップS32)。
制御回路19の絶対閾値判定部41は、順次検出中の故障検出信号が絶対閾値を超えたか否かを判定する(ステップS33)。
制御回路19の時間計測部42は、絶対閾値判定部41を通じて故障検出信号が絶対閾値を超えたと判定されると、現在カウント中の故障電流検出カウント値に+1インクリメントする(ステップS34)。
制御回路19の許容時間判定部43は、時間計測部42の現在計測時間が許容時間を越えたか否かを判定する(ステップS35)。
制御回路19は、現在計測時間が許容時間を越えたのであれば、この処理動作を終了する。また、制御回路19は、ステップS35にて現在計測時間が許容時間を越えたのでなければ、次の半周期タイミングを検出したか否かを判定する(ステップS41)。
制御回路19は、次の半周期タイミングを検出したのであれば、バッファ領域22Aに順次記憶中の前1周期分の半周期区間の故障検出信号を本記憶領域22Bに記憶すべく、図5に示すM2に移行する。尚、時間計測部42は、次の半周期タイミングの検出若しくは故障検出信号が絶対閾値以下になった時点で、その計測動作を終了するものである。
また、制御回路19は、ステップS33にて故障検出信号が絶対閾値を超えたのでなければ、現在カウント中の故障電流検出カウント値をクリアし(ステップ36)、次の半周期タイミングを検出したか否かを判定すべく、ステップS41に移行する。
また、制御回路19は、ステップS41にて半周期タイミングを検出したのでなければ、現在の半周期区間の故障検出信号をバッファ領域22Aに順次記憶すべく、ステップS32に移行する。
図8に示す高速故障電流検出処理によれば、半周期タイミングに応じて半周期区間の故障検出信号を順次検出し、この順次検出した半周期区間の故障検出信号をバッファ領域22Aに順次記憶する際に、故障検出信号が絶対閾値を超えたと判定されると、時間計測部42の時間計測動作を開始し、この計測時間が許容時間を越えた場合、平均値算出部23、変化量算出部25及び総合平均値算出部27等の処理動作を要することなく、故障電流検出量が条件閾値に合致しているものと判断し、運転を停止するようにしたので、半周期区間の全故障検出信号を取得する前に故障電流の高速検出に対応することができる。
尚、図8に示す高速故障電流検出処理においては、図4に示す条件5の制御内容を満たすために検出時間を大幅に短縮化して故障電流の高速検出に対応するようにしたが、条件1〜条件4の制御内容を満たすのには検出時間に余裕があるため、条件1〜条件4の故障判断レベルに基づく故障電流の異常を判定する際には図5及び図6に示す故障電流判定処理を実行するものとし、その結果、地絡電流の変化が少ない場合は故障電流判定処理、地絡電流の変化が大きい場合は高速故障電流判定処理を実行するものである。