JP4903342B2 - 免疫応答を誘発するための方法および組成物 - Google Patents

免疫応答を誘発するための方法および組成物 Download PDF

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Description

【0001】
本出願は、2000年4月21日出願のアメリカ合衆国仮特許出願60/198,839および2001年4月12日出願の出願シリアル番号 (代理人整理番号001110)(引用により、これらの開示内容はその全体が包含される)の利益を主張する。
【0002】
I.背景
免疫化、またはワクチン接種は、予防目的で、抗原に対する免疫応答を誘発するのに広く用いられている方法である。例えば、病原由来の無害の型の抗原、例えば源弱化ウイルスを投与することによって、無害の型の病原に特異的な抗体の作成および免疫細胞の刺激が生じる。しかし、現在の免疫化方法は、すべての抗原に関して有効であるわけではない。さらに、免疫系が被検体に対する保護を提供するまでには、免疫化から相当の遅延時間が存在する。したがって、ワクチン接種に関する改善された方法および試薬が医学界において望まれている。
【0003】
II.要旨
一側面では、本発明は、抗原提示細胞を適用部位に誘引するのに有用な組成物を提供する。一態様では、本発明は、新規ワクチンおよび免疫化方法に関する。一側面では、本発明は、抗原提示細胞ケモタキシン(chemotaxin)(APC−ケモタキシン)を含有する組成物を投与することにより、被検体において抗原に対する免疫応答を誘発する方法を提供する。関連する側面では、本発明は、場合により抗原、抗原をコードするポリヌクレオチド、製薬的に許容される賦形剤、および/または慣用的なアジュバントを含む、抗原提示細胞ケモタキシンを含有する組成物の使用であって、被検体において抗原に対する免疫応答を誘発するための、あるいは薬物の製剤化または製造における使用を提供する。
【0004】
一態様では、APC−ケモタキシンは樹状細胞に関して化学走性である。種々の態様では、APC−ケモタキシンは未成熟樹状細胞に関して化学走性であるが、1またはそれ以上の成熟樹状細胞、好中球、T−リンパ球、単球、または好酸球に関しては化学走性ではない。組成物が少なくとも1つのケモカインポリペプチドまたは少なくとも2つの異なるケモカインポリペプチドを含有する態様もある。いくつかの態様では、APC−ケモタキシンはケモカインポリペプチド、例えば天然に存在するケモカインまたは変異体である。
【0005】
一側面では、本発明は、被検体において免疫応答を誘発する方法であって、hMIP1α、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RNATES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、hLeukotactin、mMIG、mMIP−1β、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、mC10、mMDC、hMIP−1β、vMCK−2、および/またはmMIP−1γから選択されるケモカインを含有する組成物を投与することを含む方法を提供する。種々の態様では、ケモカインは、mC10、mMDC、hMIP−1β、mMIP−1γ、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、およびhMIP−3βである。上記組成物は抗原提示細胞を特定の部位、例えば抗原濃縮部位に誘引するのに有用である。
【0006】
一側面では、本発明は、被検体において免疫応答を誘発する方法であって、少なくとも2つの異なる、天然に存在するケモカインのそれぞれ由来の少なくとも10の連続する残基を有する配列を含むキメラポリペプチドを含有する組成物を投与することを含む方法を提供する。態様では、少なくとも1つまたは少なくとも2つのケモカインは、hMIP1α、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RANTES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、hLeukotactin、mMIG、mMIP−1β、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、mC10、mMDC、hMIP−1β、vMCK−2、および/またはmMIP−1γから選択される。
【0007】
一側面では、本発明は、被検体において免疫応答を誘発する方法であって、例えば、hMIP1α、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RANTES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、hLeukotactin、mMIG、mMIP−1β、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、mC10、mMDC、hMIP−1β、vMCK−2、および/またはmMIP−1γから選択される、少なくと2つの異なる、天然に存在するケモカインをコードするポリヌクレオチドのインビトロ組換えによって作成されたポリヌクレオチドによってコードされる抗原提示細胞ケモタキシンを含有する組成物を投与することを含む方法を提供する。一側面では、この方法はさらに、抗原、例えば免疫原を投与し、この抗原に対する免疫応答を誘発することを含む。組成物および免疫原は(例えば注射により)同時に投与することができ、これは例えば免疫原およびAPC−ケモタキシンを含有する組成物を同時注射することによる。別の態様では、免疫原は、組成物を投与した後に被検体に投与してもよい。種々の態様では、免疫原は病原または腫瘍抗原由来のポリペプチドである。
【0008】
記載されるように、前記各組成物は抗原提示細胞を特定部位、例えば抗原濃縮部位に誘引するのに有用である。
【0009】
一側面では、この組成物を固形腫瘍の内部または近傍へ投与する。
【0010】
本発明の一側面では、APC−ケモタキシンまたは免疫原のいずれか(または両者)をポリヌクレオチド(すなわちAPC−ケモタキシンポリペプチドまたは免疫原ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)として投与する。
【0011】
本発明の異なる側面では、被検体の生来の免疫応答を刺激するためにこの組成物を投与する。
【0012】
本発明はまた、組成物、例えば実質的に純粋なAPC−ケモタキシンおよび製薬的に許容される賦形剤を含有する組成物を提供する。態様においては、APC−ケモタキシンは未成熟樹状細胞に関して化学走性であり、少なくとも1つの好中球、T細胞、B細胞、単球、および好酸球に関しては化学走性ではない。いくつかの態様では、この組成物は1以上の実質的に精製されたAPC−ケモタキシンを含有する。一態様では、この組成物(ワクチン組成物)を被検体に投与して、抗原(例えば免疫原)に対してこの被検体を免疫することができる。
【0013】
本発明はさらに、特定抗原に対する免疫応答を誘発するための薬物の製剤化における、本明細書中に開示されるAPC−ケモタキシンおよび任意的に特定の抗原を含む任意の前記組成物の使用を提供する。
【0014】
本発明はさらに、被検体において特定の抗原に対する免疫応答を誘発可能な組成物を製剤化する方法であって、抗原提示細胞ケモタキシン(APC−ケモタキシン)の活性を有するポリペプチドを同定し、場合によりこのポリペプチドを抗原および任意的な製薬的に許容される賦形剤と混合することによる方法を提供する。
【0015】
IV.定義および略語
本明細書中で用いられるように、細胞サンプルまたは細胞集団は、サンプル中のトータル細胞の少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、しばしば少なくとも約90%、少なくとも約95%またはそれ以上が特定される型である場合に、「実質的に純粋」であるか、あるいは「実質的に精製されて」いる(例えば、樹状細胞の実質的に純粋な調製物においては、細胞のトータル数の少なくとも約(例えば)95%が樹状細胞であり、一方、未成熟樹状細胞の実質的に純粋な調製物においては、細胞のトータル数の少なくとも約(例えば)95%が未成熟樹状細胞である)。
【0016】
本明細書中で用いられる「ポリヌクレオチド」とは、一本鎖または二本鎖型のデオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA)を表し、これは天然ヌクレオチドの既知のアナログであって、該天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で機能可能であるものを包含する。用語「をコードするポリヌクレオチド」とは、特定のタンパク質またはペプチドの発現を指示する核酸配列を表す。この核酸配列には、RNAへ転写されるDNA配列、およびタンパク質へ翻訳されるこのRNA配列が含まれる。この核酸配列には、完全長核酸配列ならびに完全長配列から派生する完全長でない配列が含まれる。
【0017】
本明細書中で用いられる用語「被検体」とは、哺乳類、例えば霊長類(例えばヒト患者またはボランティア、またはヒト以外の霊長類)または他の動物、例えばラット、マウス、げっ歯類、ウサギ(例えば実験動物)、などであり、これには、農耕上重要な哺乳類、例えばヤギ、ブタ、ウシ、ヒツジ(sheet)、ウマなど(これらに限定されない)およびペット、例えばイヌ、ネコなどが含まれる。
【0018】
本明細書中で用いられる、「実質的な配列同一性」とは、最大の一致に関して比較され、アライメントされ、以下の配列比較アルゴリズムを用いてか、あるいは視覚による検査によって測定された場合に、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、95%、98%、または99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する2またはそれ以上の配列またはサブ配列を表す。2配列(アミノ酸またはヌクレオチド)はその完全長(例えば、それらが実質的に異なる長さを有する場合、2つのうち短い方の長さ)にわたってか、あるいは、少なくとも約50、約100、約200、約500または約1000の連続ヌクレオチドまたは約10、約20、約30、約50または約100の連続するアミノ酸残基にわたって比較できる。
【0019】
配列の比較に関し、典型的には、1配列が参照配列とされ、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列はコンピュータに入力され、必要ならば、サブ配列座標が設計され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが設計される。次いでこの配列決定アルゴリズムは、設計されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較した試験配列(群)に関する配列同一性%を計算する。
【0020】
比較用配列の最適アライメントは、例えば Smith & Waterman, 1981, Adv. Appl. Math. 2:482 の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443 の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 の類似性に関するサーチ方法によって、これらアルゴリズムのコンピュータ実装物(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr. Madison, WI の GAP, BESTFIT, FASTA, および TFASTA)によってか、あるいは視覚による検査(全般に関しては Ausubel et al., 上記を参照)によって行うことができる。これらの各文献および各アルゴリズムは、引用により、その全内容が本明細書中に包含される。前記アルゴリズムのいずれかを用いる場合、「ウィンドウ」の長さ、ギャップペナルティーなどに関してデフォルトのパラメータを用いる。
【0021】
%配列同一性および配列類似性を決定するのに適するアルゴリズムの一例は、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410 に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を行うソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)より公に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、問題の配列中の長さWの短いコドン(words)(これはデータベース配列中の同じ長さのコドンとアライメントした場合にいくらか正の値の閾値スコアTに当てはまるか、あるいはそれを満たす)を同定することによって高スコア配列対(high scoring seqeunce pairs (HPSs))を同定することを含む。Tは隣接コドンスコア閾値として参照される(Altschul et al., 上記)。これらの初期隣接コドン適合は、それらを含有するより長いHSPsを見つける調査を開始するための元として働く。次いでこのコドン適合は、累積アライメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に延長される。各方向におけるコドン適合の延長は、累積アライメントスコアがその最大獲得値から量Xだけ落ちた場合;累積スコアが1またはそれ以上の負のスコアの残基アライメントによって0またはそれ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXはアライメントの感受性およびスピードを決定する。BLASTプログラムはデフォルト:コドン長(W)11、BLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff & Henikoff, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915)アライメント(B)50、例外(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較として用いる。
【0022】
略語:ケモカインに言及する場合、「h」はヒトを意味し、「m」はマウスを意味する。いくつかの場合では、ラテン文字はギリシャ語のα、β、またはγの代わりに用いられる。したがって、本明細書中で用いられるmMIP−1aはマウスMIP−1αを意味する。
【0023】
V.詳細な説明
本発明は抗原提示細胞を適用部位に誘引するのに有用な組成物を提供する。一側面では、本発明は、被検体において、抗原に対する免疫応答を誘発するか、あるいは高めるための組成物および方法を提供する。この組成物および方法は、とりわけワクチンの製剤化、ならびに治療および予防のためのワクチン接種(免疫化)プロトコルおよび有用な抗体(例えば治療また診断用のモノクローナル抗体)の作成のために有用である。
【0024】
一側面では、本発明の方法は、樹状細胞(DCs)および/またはマクロファージ(ともに「抗原提示細胞」または「APCs」と称される)に関して化学走性である物質を含有する組成物を投与することを含む。便宜上、化学走性物質は「APC−ケモタキシン」と称されることもあり、APC−ケモタキシンを含有する組成物(賦形剤または他の成分を含んでいてもよい)は、本明細書中では、「化学走性組成物」または「組成物」と称されることもある。
【0025】
本発明のいくつかの態様では、APC−ケモタキシンは特定の細胞型(例えば樹状細胞)または細胞発生段階(例えば未成熟樹状細胞)に関して特異的に化学走性である。関連する態様では、この物質は、ある細胞に関して化学走性である反面、特定の細胞型(例えば好中球)または細胞発生段階(例えば成熟樹状細胞)に関しては化学走性ではない。化学走性は、本明細書中に記載される1またはそれ以上のアッセイを用いて決定される。
【0026】
一側面では、本発明の方法は、化学走性組成物に加えて、抗原を投与することを含む。したがって、一態様では、化学走性組成物および抗原を被検体の同一身体部位に投与する。例えば、抗原は化学走性組成物と混合され、この混合物をいっしょに(例えば注射して)投与することができる。別法では、組成物および抗原は被検体の同一領域に(例えば同一部位への注射、同一部位への局所適用などにより)別々に投与される。いくつかの態様では、以下に詳細に記載されるように、組成物および抗原は別々のタイミングで投与される。
【0027】
特定の機構による結び付けを意図しないが、APC−ケモタキシン(群)は、APCsを抗原接触領域へ補充することによって、抗原に対する免疫反応を促進すると考えられる。抗原はAPCsによって摂取され、部分的に分解される。次いで分解された抗原のフラクションはMHCクラスIまたはII分子とともにAPCの表面に提示される。このような細胞は細胞障害性T細胞またはヘルパーT細胞のいずれかの増殖を刺激するか、あるいはB細胞の増殖を刺激する。
【0028】
本発明の関連する側面では、化学走性組成物は抗原を伴わずに投与される(例えば固形腫瘍内への注射により、癌細胞への免疫応答を誘発するか、あるいは固形腫瘍の近傍、2cm以内へ注射される)。特定の機構による結び付けを意図しないが、APC−ケモタキシン(群)は、APCsを抗原接触領域へ補充することにより、内因性(例えば腫瘍)抗原に対する免疫反応を促進すると考えられる。
【0029】
一側面では、本発明が、治療的および予防的免疫化に有用な新規方法および試薬(すなわち適応的免疫応答の意図的な刺激、向上、または増強)を提供することが明らかであろう。従来の免疫化方法を超えて期待される具体的利点には、抗原投与後の宿主細胞における加速された免疫応答、APCsによる抗原摂取増加のおかげによる、非常に少量の抗原(例えば毒素または病原)の投与、またはそれへの暴露に対するより有効な応答、(例えば宿主APCsによる腫瘍抗原摂取が高められたおかげの)より有効な抗−腫瘍治療が含まれる。
【0030】
本明細書中で用いられるように、「免疫応答」とは、(特に記載されない限り、)特定の抗原に対する適応的免疫応答意味する。一側面では、免疫応答には、感染または非自己分子への他の暴露に対する身体の防御における、リンパ球、抗原提示細胞、食細胞、および種々の可溶性巨大分子の協調作用が関わる。この免疫応答は、(例えば免疫化後に)当分野に既知の多数のアッセイにしたがって細胞性または体液性応答を測定することにより、検出定量できる(例えば Coligan et al., 1991 (suppl. 1999), CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, John Wiley & Sons (本明細書中では以後「Coligan」とすることもある) を参照)。例えば、細胞性免疫応答を検出するために、抗原を発現する細胞に対するT細胞エフェクター作用、例えば標的細胞殺生、マクロファージ活性化、B細胞活性化またはリンフォカイン生産は標準的アッセイを用いて検出できる。体液性応答は、慣用の方法、例えばELISAを用いて抗原特異的抗体の出現、またはその力価の増加を検出することによって測定できる。抗体応答の進行は、クラス転換(class switching)(すなわち初期IgM応答から後期IgG応答への転換)を測定することによって測定できる。
【0031】
本発明の種々の側面はより詳細に記載され、実施者への手引きを提供する。
【0032】
A.化学走性組成物
本発明にしたがい、APC−ケモタキシンを含有する組成物を投与し、被検体における免疫応答を誘発するか、あるいは向上させる。種々の態様では、このケモタキシンは樹状細胞、マクロファージ、または両者を誘引する。樹状細胞、特に未成熟樹状細胞を誘引するケモタキシンは、特に有用である。特に有用な態様では、ケモタキシンは特定の細胞型、発生段階、または両者に関する高レベルの特異性を有する。したがって、一態様では、APC−ケモタキシンは未成熟樹状細胞を誘引するが、1またはそれ以上の以下の他のクラスの細胞を誘引しない:成熟樹状細胞、好中球、単球、T細胞、B細胞、好酸球、肥満細胞、赤血球、および前駆細胞。
【0033】
本発明のAPC−ケモタキシンは、ポリマー(例えばオリゴペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチド)、小分子、抗体、糖、脂肪酸、ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ、天然に存在する構造物のアナログ(例えばペプチド模倣物質、核酸アナログなど)、および多数の他の化合物を含む、天然に存在する、および合成の、有機および無機の多くの種々の化合物のいずれかであり得る。好ましい態様では、化学走性組成物はポリペプチド、例えば天然に存在するケモカイン、ポリペプチド変異体、またはケモカイン模倣物質を含む。本発明の好ましい態様では、組成物は以下のうち少なくとも1つを含有する:hMCP2、hMCP3、hMIP1β、hMIP3α、hMIP3β、mMIG、mMIP1γ、mMDC、vMIP1、mC10、前記ケモカインの変異体、例えばケモカインをコードするポリヌクレオチドのインビトロ突然変異、インビトロ組換えまたは混合により作成された組換えポリペプチドから選択されるケモカインポリペプチド、少なくとも1つの前記ケモカインまたは変異体分子をコードするポリヌクレオチド、または1またはそれ以上のこれらケモカインの合成(すなわち化学的に合成された)ポリペプチド変異体(例えば模倣物質(mimetic))。
【0034】
とりわけ、APC−ケモタキシンを同定し、本発明の組成物を製造し、ならびに投与する試薬および方法を以下に記載する。
【0035】
1.APC−ケモタキシンの同定に関するアッセイ
本発明の一側面では、APC−ケモタキシンはインビボまたはインビトロアッセイを用いて同定される。
【0036】
a)インビトロアッセイ
本発明の方法において用いられるAPC−ケモタキシンは特定の性質を有し、この性質はインビトロ化学走性アッセイにおいて検出できる。インビトロ化学走性アッセイは周知である。遊走アッセイはしばしば、多孔性膜を用いて細胞を化学誘引物質から物理的に分離し、ケモタキシンの分散勾配に沿って細胞が指向的に移動することを可能にすることによって行う(例えば Keller, 1972, Agents Actions 2:161-69; Gee A.P., 1984, Mol. Cell. Biochem. 62:5-11; Keller et al., 1974, Antibiot. Chemother. 19:112-25)。
【0037】
種々のアッセイ構成が既知であり、本発明の実施において適当である。最も頻繁には、便利で、丈夫で、比較的安いために標準的フィルターに基づくアッセイが用いられる。これらのフィルターに基づくアッセイには、古典的または修飾 Boyden チャンバーおよび変形が含まれる(例えば Bozarth et al., 1997, Meth. Cell Science, 19:179-187; Frevert et al., 1998, J. Imm. Methods, 213:41-52; Penno et al., 1997, Meth. Cell Science, 19:189-195; O'Leary et al.,1997, Am. J. Resp. Cell and Mol. Bio., 16:267-274; Falk, et al., 1980, J. Imm. Methods, 33: 239-247; Harvath, et al., 1980, J. Imm. Methods, 37:39-45; Richards et al.,1984, Immunological Communications, 13:49-62; Falk et al., 1982, Infection and Immunity 36:450-454; Harvath et al., 1982, Infection and Immunity 36:443-449(これらはすべては引用により包含される)を参照)。フィルターに基づくアッセイでは、フィルターによってケモタキシン候補物から分離された区画に細胞を置く。そしてケモタキシン候補物はこのフィルターを通って分散可能である。インキュベーション期間後、このフィルター上にあるいはフィルターを通して遊走した細胞数(またはトータル細胞の%)を測定する。バックグラウンド(すなわちケモタキシン候補物の不存在下、例えば担体のみ、例えばPBSまたは化学走性バッファー(下記)のみの存在下における遊走)以上のレベルの細胞の遊走は、ケモタキシン候補物は標的細胞型に対して実際に化学走性であることを示す。逆に、遊走細胞数がバックグラウンドであるか、あるいはそれ以下である場合は、ケモタキシン候補物は標的細胞型に対して化学走性ではないと考える。
【0038】
インビトロ化学走性アッセイを行うのに適当な装置の一つは、96ウェルChemoTx(登録商標)マイクロプレート(Neuroprobe Inc. Gaithersburg MD)である。ChemoTx(登録商標)装置は組織培養等級由来の注入型96ウェルマイクロプレートを有する。このマイクロプレートは、化学誘引物質および他の試薬用の底ウェルを提供する。上部「ウェル」の代わりに、枠にはめたフィルターを用い、各セル−懸濁サンプルをそのフィルターの上側に置く。フィルター上の96部位はマイクロプレート内の96ウェルに対応し、細胞懸濁液をこのフィルターの上側の部位に直接ピペットで乗せ、インキュベーション中、半球ドロップとして置く。インキュベーション後、フィルター上およびマイクロプレート内に遊走した細胞をカウントする。米国特許第5,284,753号(これは引用によりすべての目的に関してその全開示内容が本明細書中に包含される)を参照。
【0039】
ChemoTx(登録商標)マイクロプレート装置のような装置を用いて化学走性活性をアッセイするために、1またはそれ以上の濃度(例えば約1nM、約10nM、約100nM、約10ng/mL、約100ng/mLおよび/または約1ug/mL)のケモタキシン候補物(例えば約30マイクロリットル)を下部ウェルに加え、細胞を、各ウェル中のケモタキシン溶液上に設置された多孔性ポリカルボナートフィルター上に置く。このフィルターは約3um、または約5umの孔サイズを有し、この細胞に関して化学走性である物質に暴露された細胞のみがフィルター内、ならびに/あるいはフィルターを通して遊走する。マイクロプレート構成において、約20マイクロリットルの細胞(約1×10〜約1×10細胞/mL、例えば5×10細胞/mL)が通常用いられる。この細胞を一定期間(例えば約22℃〜約39℃、通常37℃において、0.5〜6時間、通常約1.5時間)インキュベートし、この細胞をフィルター内あるいはフィルターを通して遊走させる。
【0040】
精製された細胞集団(例えば樹状細胞、好中球、未成熟樹状細胞など)を用いてインビトロアッセイを行う場合、アッセイ条件は通常、実験される細胞型に合わせて調整される。例えば、比較的可塑性である細胞は特定のフィルターを通して遊走可能であるが、他のものに関しては、このフィルター内に「貼りつく」。したがって、単球化学走性物質に暴露された単球は5umフィルターを通して(下部チャンバー上清内へ)遊走できるが、対照的に、化学走性物質に暴露された未成熟または成熟樹状細胞は3umまたは5umフィルター内へ遊走し、フィルター内に保持される(すなわちこの細胞群はフィルターを通して遊走しない)。したがって、遊走アッセイ形式の選択および定量方法は、試験される細胞型に応じて変化し得る。例えば、5um孔サイズは通常、単球遊走アッセイ用に用いられ;このアッセイは典型的に90分間行われ、そして遊走細胞は(存在すれば)ウェル内で検出される。成熟樹状細胞に関して、3umの孔サイズフィルターおよび90分のインキュベーションを用い、細胞をフィルター内で検出した。これらおよび他の例示的アッセイ条件は表1に示すものである。しかし上記のように、物質が(例えば特定細胞に関する)化学走性活性を有する(か、あるいは有さない)ことを決定するのに、多数の種々のアッセイ形式および条件を用いることが可能であることが理解されよう。表1はまた、アッセイにおいて使用するための例示的なポジティブおよびネガティブコントロールを提供する。ポジティブコントロールは、100nM濃度で用いられた場合に、化学走性活性を有する物質である。ネガティブコントロールは、100nM濃度で用いられた場合に、化学走性活性を有さない物質である。
【0041】
表1
インビトロ化学走性アッセイに関する例示的アッセイパラメータおよびポジティブおよびネガティブコントロール
【表1】
Figure 0004903342
記号の説明:
+con.(ポジティブコントロール)、-con.(ネガティブコントロール)を100nM濃度で用いる。
【0042】
物質の存在下で遊走した細胞の数は種々の方法を用いて測定できる。フィルター内に捕らえられた細胞(例えば樹状細胞)をアッセイするために、このフィルターをこすって、接着していない細胞(すなわちフィルターの上側に単に載っている細胞)を除去し、フィルター内へ移動したか、あるいはその下側表面に接着した細胞を定量する。フィルターを通して遊走可能な細胞(例えば単球)に関しては、フィルターを無視(discard)し、フィルターを通して「下層」(ケモタキシン含有チャンバー)内へ遊走した細胞数を測定する。適当な細胞定量方法は既知であり、これには遊走した細胞の直接(顕微鏡による)カウント、組織学的細胞化学、(細胞特異的または段階特異的マーカーに対する抗体を用いる)免疫蛍光、およびインサイチュ染色法、放射性ラベルされた細胞の使用、および(例えば、溶解された細胞抽出物に対して、CyQuant, Molecular Probes, Eugene OR のような試薬を用いる)RNAまたはDNA含量、(Hema3 のような染色を用いる)タンパク質含量、酵素活性(例えばβ−グルクロニダーゼ)に関するアッセイなどが含まれる。しばしば、濃度測定または蛍光プレートリーダーを用いて検出可能な染色を選択することが好ましい。
【0043】
いくつかの態様では、いくつかの濃度のケモタキシン候補物を用いて活性濃度、例えば、少なくとも2、典型的には少なくとも3の異なる濃度を、少なくとも10倍、典型的には少なくとも100倍、頻繁には少なくとも1,000倍、およびしばしば少なくとも10,000倍の差異わたって検出する。
【0044】
化学走性アッセイは、細胞の異種性混合物(例えば末梢血単核細胞(PBMCs))または精製されたサブ集団(例えば未成熟DCs、成熟DCs、好中球、単球など)または、特定の細胞型由来で、それらの細胞の特徴を有する組織培養細胞(例えば、THP1(急性単球性白血病セルライン、CEM急性リンパ芽球性白血病、Tリンパ芽球性セルライン))を用いて行う。細胞の異種性混合物を用いる場合、通常、遊走細胞の細胞型または発生段階が(例えば形態学、組織学、または特異的マーカーの染色に基づいて)決定される。このアッセイを均質な調製物(例えば実質的に精製された好中球)を用いて行う場合、ケモタキシンに対して遊走したすべての細胞はその型であると考えられるため、遊走細胞の細胞型を決定することは必要ではない。
【0045】
種々の態様では、ケモタキシン候補物は、インビトロアッセイにて、約1pMおよび約1uMの範囲、例えば約1nMおよび500nMの範囲、例えば1nM、約10nM、約100nM、または約1pg/mLおよび約10ug/mLの範囲、例えば約1ng/mLおよび1ug/mLの範囲、例えば約10ng/mL、約100ng/mLまたは約1ug/mLの濃度において、「化学走性バッファー」より少なくとも2倍、好ましくは4倍、しばしば8倍、細胞を誘引するならば、特定の細胞型に関して化学走性であると考えられる。化学走性バッファーは、1.4mM Ca++および1mM Mg++を含有するHBSS(Life Technologies)中0.1%BSA(Sigma)である。HBSSとは Hank's 平衡塩類溶液(CaCl(0.14g/L)、KCl(0.4g/L)、KHPO(0.06g/L)、MgCl−6HO(0.1g/L)、MgSO−7HO(0.1g/L)、NaCl(8g/L)、NaHCO(0.3g/L)、NaHPO(0.048g/L)、D−グルコース(1g/L))である。代替のネガティブコントロールはPBSである。ケモタキシン候補物は、インビトロアッセイにて、1nM、10nM、100nM、または10ng/mL、100ng/mLまたは1ug/mLの濃度において、ネガティブコントロールと比べて多くの細胞を誘引しない場合(例えば同数、時には少なくとも1.5倍の細胞を誘引しない場合)、ある細胞型に関して化学走性ではないと考える。同様に、種々の態様において、ケモタキシン候補物は、インビボアッセイ(例えばマウスまたはサルへの皮内注射)にて、2ug、あるいは10ug、しばしば20ugの注射により、PBS(ネガティブコントロール)より、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、そしてしばしば少なくとも10倍の細胞を誘引した場合に、特定の細胞型に関して化学走性であると考える。種々の態様では、ケモタキシン候補物は、インビボアッセイにて、2ug、あるいは10ug、しばしば20ugの注射により、この型の細胞をネガティブコントロールより多く誘引しない場合(例えば少なくとも同数、時には少なくとも1.5倍の細胞を誘引しない場合)、ある細胞型に関して化学走性ではないと考える。PBSとは、リン酸緩衝塩類溶液(KCl(0.2g/L)、KHPO(0.2g/L)、NaCl(8.0g/L)、NaHPO4(2.16g/L))である。
【0046】
いくつかの態様では、物質は、(例えば当分野に既知であるか、あるいは本明細書中に記載のアッセイによって測定された)既知のケモタキシンより高い化学走性活性を有するがゆえに化学走性物質であると決定される。
【0047】
フィルターに基づかない化学走性アッセイを用いることもでき、例えば、障壁としてのフィルター上で培養された単層の細胞を用いて細胞遊走アッセイを行うことができる。別の例では、細胞の運動性は、ビデオ顕微鏡下での単一細胞の移動をモニターすることによって評価してもよい。これらのタイプの実験では、化学誘引物質はキャピラリーを通して適用され、この化学誘引物質源に向かって細胞が横方向へ移動した物理的距離を記録する。
【0048】
b)インビボアッセイ
一態様では、ある物質の化学走性特性は、動物、例えば、ヒトでない霊長類およびマウスのような哺乳類において、下記実施例2〜4に記載されるように測定できる。一インビボアッセイでは、ケモタキシン候補物(例えばPBS中2〜20ug)を動物への皮内注射により投与する。一定期間(例えば24時間、72時間、96時間)後、動物を安楽死させ、生検を行う。注射部位まわりの領域を切り出して慣用の組織学または免疫組織学技術に付し、細胞浸入の有無を測定し、浸入が存在する場合、その浸入細胞を特徴付けし、定量した(例えば単核細胞、好中球、樹状細胞など)。一般的な組織学的方法に関しては、例えば "THE MANUAL OF HISTOLOGIC STAINING METHODS OF THE ARMED FORCES INSTITUTE OF PATHOLOGY" Lee G. Luna, McGraw-Hill, 3rd edition, 1968(本明細書中、以後 "Luna" と記載する)を参照のこと。一態様では、細胞は、周知の方法を用いて、凍結セクションを調製し、細胞型特異的抗体、あるいは細胞型特異的組み合わせの抗体で染色することによって特徴付けする(例えば、Harlow et al., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory を参照のこと)。
【0049】
2.細胞型の特徴付けおよび精製された細胞の調製
上記のように、豊富化されているか、あるいは実質的に純粋な細胞集団をインビトロ化学走性アッセイにおいて用いる。これらの細胞集団は、所望の具体的細胞型に応じて、当分野に既知の種々の方法によって調製できる。典型的には、特定条件下での培養、濃度勾配中での挙動などの物理的性質、特徴的マーカーにしたがった分類(例えば、細胞表面タンパク質に対するモノクローナル抗体を用いる蛍光活性化細胞分類(FACS)、免疫沈降による)、または他の方法により、実質的に純粋な細胞集団を調製する。
【0050】
(例えば、インビトロの豊富化されたサンプル中、またはインビボの浸潤物中の)細胞は、免疫学的染色、および同様の方法(例えば、Harlow, 上記; Coligan et al., 上記を参照)によって組織学的(例えば上記 Luna を参照)に同定できる。表2Aおよび2Bは、特定の免疫系細胞を特徴付けするか、あるいは精製する(例えばFACS分類)のに有用な例示的マーカーを列記する。列記された細胞および他の免疫系細胞、例えばB細胞、T細胞、好中球、好酸球、およびその他に関する、多くの他のマーカーが当分野に既知である(例えば Janeway-Travers, 1994, IMMUNOBIOLOGY Garland Pub., N.Y.; Paul, FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY 3rd Ed, Raven Press N.Y. 1993)。表2Aは特定の古典的細胞表面マーカーを示し;表2Bは特定の細胞型によって発現される特定のケモカインレセプターを示す。
【0051】
表2A
選択される細胞表面マーカー
【表2】
Figure 0004903342
記号の説明:表2Aは、マーカーに関して特異的な抗体で染色することによって測定されたマーカーのレベルを示す。「−」は、イソ型コントロール抗体と等価な染色を示す(イソ型コントロール抗体は染色抗体と同一イソ型の抗体であるが、問題のエピトープを認識しないものである);「+」はイソ型コントロールより少なくとも10倍高いレベルの染色を示す;「低」はイソ型コントロールより2〜5倍高い染色を示し;「高」はイソ型コントロールより10〜1000倍高い染色を示す。
【0052】
表2B
【表3】
Figure 0004903342
【0053】
読者をさらに助けるために、インビトロ化学走性アッセイにおいて使用するための実質的に精製された細胞組成物の調製方法は以下および実施例に簡単に記載されている。しかし、本発明は所望の細胞が得られる限り、任意の特定の精製方法を用いることを必要としないこと、ならびに多くのバリエーションおよび代替の方法が当業者に既知であることが理解されよう。さらに、本明細書中には具体的に列記されていない細胞に適した方法を含む、多くの他の精製および検出方法が当分野に既知であるか、あるいは開発可能であることが理解されよう。さらに、所望であれば、免疫系組織由来のクローン化されたセルラインを、本明細書中に記載される化学走性アッセイにおいて使用できることが理解されよう。一般的な免疫学的、精製および細胞培養方法は Coligan et al., 1991, CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, John Wiley & Sons(1999年中の補遺を含む)(これはすべての目的に関して引用によりその全体が本明細書中に包含される)に記載されている。特に記載しない限り、細胞は培養時に5%CO中37℃でインキュベートされる。
【0054】
A)単球
単球の適当な精製方法は Bender et al., 1996, J. Immunol. Methods 196:121-35(米国特許第5,994,126号も参照のこと)中に見出せる。簡単には、単球は、pan T細胞表面マーカーCD2に対する固定化された抗体を用いてT細胞を涸渇させることによってPBMCから単離される。好都合には、市販の供給元の、マグネティックビーズに結合されたCD2抗体(Dynal)を使用する。慣用の Ficoll 濃度勾配遠心分離法によって軟膜(典型的には、400×10PMBCを含有する35mL)から単離されたPBMCを、20×10細胞/mLでMACSバッファー(1%BSA(Sigma)を含むDPBS(Hyclone)から作成)に懸濁する。DPBSとは Dulbecco's リン酸緩衝塩類溶液(CaCl(0.1g/L)、KCl(0.2g/L)、KHPO(0.2g/L)、MgCl−6HO(0.1g/L)、NaCl(8.0g/L)、NaHPO(2.16g/L))である。固定化されたCD2+マグネティックビーズの適当量(典型的には10細胞当たり10uL)を細胞に加える。この混合物を穏やかに回転させながら4℃で15分間インキュベートする。マグネティックなタグを付されたT細胞を、マグネティック細胞ソーター(Dynal)を製造元のプロトコルにしたがって用いて、ラベルされていない細胞から除去する。ラベルされていない細胞は主に単球およびB細胞を含有する。
【0055】
上記調製物中のB細胞は、慣用のプラスチック接着方法によって除去する。簡単には、T細胞を涸渇させたPBMCは T-175 組織培養フラスコ(100×10細胞/フラスコ)(Coster)のプラスチックに37℃で3時間接着させる。(大部分のB細胞を含む)接着しなかった細胞を吸引する。このフラスコをDPBSでさらに3回すすぎ、非接着細胞を完全に除去した。得られた細胞は単球に関して大きく(すなわち>90%)豊富化される。
【0056】
単球はまた、CD14抗原のポジティブ選択によって単離できる。簡単には、末梢血液、例えば軟膜から、標準的 Ficoll 濃度勾配遠心法によって単離されたPBMCを、1×10細胞/mLでMACS中に再懸濁する。固定化されたCD14表面抗原に対する抗体、例えばCD14+マグネティックマイクロビーズ(Milteyni)を加え(1×10細胞当たりビーズ1uL)、この混合物を4℃で15分間インキュベートする。この混合物を、製造元のプロトコルにしたがい、マグネティック細胞ソーター(Miltenyi)においてポジティブ選択カラムに通すことによって、単球をそれ以外の細胞集団から分離する。カラムをMACS装置から取り出した後、カラムに保持された単球をMACSバッファーで溶出させる。次いで細胞を遠心分離によってペレットにし、RMPI+10%FCS媒体中に、10細胞/mLで再懸濁する。この方法によって単離された単球を、CD2+涸渇法によって単離された細胞と本質的に同様の方法で培養する。
【0057】
B.精製された樹状細胞集団の調製
分離された成熟および未成熟集団を含む、樹状細胞の精製に関する適当な方法は当分野に既知である。実質的に精製された樹状細胞(成熟または未成熟細胞ノサブ集団を含む)は、選択的インビトロ培養条件によって調製できる。
【0058】
樹状細胞は、潜在的な病原と接触したすべての組織(例えば皮膚、胃腸管および呼吸管、および二次リンパ組織のT細胞豊富領域)中に広く分布している。皮膚および上部呼吸管において、これらは高度に樹状分岐を有する細胞の格子を形成する(これは皮膚においてランゲルハンス細胞と称される)。抗原を捕獲後、末梢組織、例えば皮膚および消化管の樹状細胞は流入領域リンパ液を介してリンパ節のT細胞領域に移動し、ここでこれらは、病原と接触した時点で内部に採り込まれた抗原を提示する。未成熟樹状細胞は抗原を採り込み、プロセッシングする機能を有する。続く、流入領域リンパ節への移動時に、DCは成熟する。成熟樹状細胞は主要なAPCとして機能し、病原特異的な細胞障害性T細胞およびヘルパーT細胞の増殖を誘発することによって免疫応答を開始させる。
【0059】
樹状細胞の実質的に純粋な集団はインビトロ培養(以下を参照)によって作成できる。さらに、樹状細胞成熟時には、ケモカインレセプター発現の著しい変化があり、これを使用して細胞段階を同定できる(Campbell et al., 1998, J Cell Biol 141:1053; Chan et al., 1999, Blood 93:3610; Dieu et al., 1998, J Exp Med 188:373; Kellermann et al., 1999, J Immunol 162:3859)。例えば、未成熟樹状細胞は主にCCR1、CCR5、およびCXCR4を発現する。成熟時には、これらのレセプターは、CXCR4を除いて下方制御される。表2Bも参照のこと。
【0060】
培養において、未成熟型の樹状細胞は、二次リンパ組織内に移るまでに、抗原接触の部位からの樹状細胞の遊走時に生じるものと同様と考えられる成熟を受ける。ヒトまたはサル樹状細胞の種々の発生段階は、培養中で、CD14血液前駆体から特定のサイトカインを用いて作成できる。分離された直線状の樹状細胞は、臍帯血または骨髄由来のCD34+前駆体細胞から分化させることができる。したがって、本発明の一態様では、樹状細胞のサブ集団は、化学走性組成物同定用のインビトロアッセイ用(すなわち、ケモタキシン効力および規定されるDCサブタイプに対する選択性を評価するため)に作成される。樹状細胞の例示的サブ集団は、1)未成熟末梢血単球由来細胞;2)成熟末梢血液単球由来細胞;および3)CD34+前駆体由来細胞である。サブ集団は、当分野に既知の種々の方法によって単離され、あるいは作成される。
【0061】
例えば、PBMCs由来の未成熟および成熟樹状細胞は Bender et al., 上記にしたがって作成される。
【0062】
未成熟樹状細胞
簡単には、PBMCsは、(すべてのT細胞に存在する)細胞表面マーカーCD2に対する固定化された抗体を用いてT細胞を涸渇させている。市販のCD2+ dynabeads(Dynal)は製造元のプロトコルにしたがって用いることができる。細胞を組織培養等級のプラスチック上にて37℃で3時間細胞をインキュベートすることによって、T細胞涸渇混合物を接着フラクションと非接着フラクションに分離する。接着細胞は3時間以内に表面に結合するが、非接着細胞は懸濁液のままである。非接着細胞を穏やかに取り除き、接着細胞(概してCD14単球)を培養培地(例えば、各1000U/mLのGM−CSFおよびIL−4(R&D Systems, Minneapolis, MN)を補ったRMPI+10%FCS)中に置く(「第1日」)。第3〜7日の間に、細胞は不鮮明な形態を示し始め、第2、4、および6日にはサイトカインが満たされ、この時点で、細胞は未成熟樹状細胞として回収可能である。一態様では、インビトロのこの段階の細胞は単離され、アッセイに用いられる。約10×10樹状細胞は典型的に400×10PBMCsから得られる。
【0063】
第7日の未成熟樹状細胞は、細長い細胞体および多くの突起を有する、典型的な樹状細胞形態を示す。細胞のサイズは、前駆体単球と比較して有意に増大する。未成熟樹状細胞は、その細胞表面マーカーの発現をモニターすることによって表現型により特徴付けることができる。
【0064】
成熟樹状細胞
(末梢血単球からか、あるいは骨髄由来CD34前駆体から製造された)未成熟樹状細胞は、さらに活性化および分化され、成熟樹状細胞とすることが可能である。2つの方法が主に用いられる:MCM(マクロファージ調節培地)および二重鎖RNAポリ(I:C)刺激(Cella et al., 1999, J Exp Med. 189:821-9; Verdijk et al., 1999, J. Immunol. 1999 1:57-61)。
【0065】
MCM法において、第6日の未成熟樹状細胞を遠心分離によって回収し、10細胞/mLで成熟培地(例えば10%FCSを含有するRPMIで1:1まで希釈されたMCM培地)中に再懸濁する。GM−CSF(1000U/mL)およびIL−4(1000U/mL)を加える。細胞をさらに3日間培養し、GM−CSF(1000U/mL)およびIL−4をさらに加えることはなかった。第9日の細胞を成熟樹状細胞として用いた。
【0066】
ポリ(I:C)法において、第6日の未成熟樹状細胞を回収し、20ug/mLポリ(I:C)(Sigma)、1000U/mL GM−CSFおよびIL−4を補った標準培養培地(RPMI+10%FCS)中に再懸濁する。追加のサイトカインなしで細胞をさらに3日間培養する。第9日の細胞は成熟樹状細胞である。
【0067】
これら2つの異なる方法によって作成された成熟樹状細胞は、未成熟樹状細胞または前駆体単球とははっきり区別される表現型的および機能的特性を示す(表2Aを参照)。各調製物からの成熟樹状細胞をFACSによって十分に特徴付けし、確実に所望の細胞型が得られるようにする。
【0068】
注目すべきことに、作成された成熟樹状細胞は、その細胞表面に、未成熟樹状細胞より有意に高いレベルのMHCクラスIIを発現する。CD80、CD83およびCD86の発現もまた上方制御される。またケモカインレセプター発現は成熟過程において劇的に変化する。例えば、成熟細胞において、CCR1、CCR5は急激に下方制御され、一方、CCR7は上方制御され、MCMの添加後、数時間のうちに細胞表面に現れる。機能的に、成熟樹状細胞はもはや効率的な抗原摂取能を有さないが、未処置のT細胞およびB細胞の増殖を刺激する能力を得る。また成熟樹状細胞は、その遊走性行動を変化させる;これらはもはやCCR1、CCR2、CCR5のリガンド、例えばMIP−1α、RANTESおよびMIP−1βに応答しない。その代わりに、これらはCCR7リガンド、SLCおよびELCに応答する。
【0069】
MCM培地
MCMは Romani et al., 1996, J. Immunol. Methods 196:137 の記載にマイナーな修飾を施したものにしたがって調製される。簡単には、ペトリ皿(100mm、Falcon)を、37℃で30分間、ヒトIg(10mg/mL)でコーティングし、使用直前にPBSで2〜3回洗浄する。8mL容量中の50×10PBMCをヒトIgでコーティングされたプレートに1〜2時間重ねる。非接着細胞を洗浄して除き、廃棄する。接着細胞を新たな完全培地(RPMI+10%正常ヒト血清)中37℃でインキュベートし、得られた培地(MCM)を24時間後に回収する。MCM中のTNF−a濃度を標準的ELISA法によって(例えばTNF−aELISAキット(R&D Systems, Minneapolis, MN)を用いて)測定する。適当量のMCMを10%胎児ウシ血清を含有するRPMIと混合し、MCM中の最終TNF−aレベルを50U/mLに調節する。
【0070】
C)好中球
好中球を精製する適切な方法は当分野に既知である。1つの適切な方法によれば、好中球を精製するために、新鮮な全血(WB)を50mL遠心チューブ中、3%デキストランで1:1希釈し、室温で30〜45m沈殿させる。30分の沈殿後、WB25mL+デキストラン25mLから約35mLの上清が得られた。この上清を12〜15mL Ficoll 上に重ね、18〜20℃で30〜40分、400×gで遠心分離する。単核細胞を含有する血漿/血小板層および Ficoll-Paque を吸引によって除去する。好中球は、赤血球(RBC)層の上の白色層に見出せる。いくつかの調製物では、好中球および赤血球層は混合されている。これらの場合、以下のように低張性溶解によってRBCsを除去する:冷0.2%NaCl 12.5mLを好中球/RBCペレットにボルテックスしながら加える。ボルテックスを継続しながら、冷1.6%NaCl 12.5mLを直ちに加える。この細胞を60〜100×gで10分間遠心分離し、回収する。必要であれば、溶解工程を繰り返す。得られた好中球は>95%純粋である(主な残留細胞は好酸球である)。
【0071】
D)マクロファージ
マクロファージを精製する適切な方法は当分野に既知である。1つの適切な方法は、Paluka et al., 1998, "Dendritic cells as the terminal stage of monocyte differentiation," J Imm. 9:4587-95 (これはすべての目的に関してその全開示内容が本明細書中に包含される)に記載されている。
【0072】
E)T細胞
T細胞を精製する適切な方法は当分野に既知である。Tリンパ球は、標準的 Ficoll 濃度勾配遠心分離法によって調製されたPBMCから単球を除去することによって慣用的に調製される(Coligan, 上記)。単球の除去は、PMBCを組織培養フラスコへ接着させることによって行う。非接着細胞を(リンパ球)をPHA(5ug/mL)およびヒト組換えIL−2(20ng/mL)の混合物の存在下、RPMI+10%FCS中で2週間培養し、細胞をアッセイ用に回収する。
【0073】
F)B細胞
B細胞を精製する適切な方法は当分野に既知である。高度に精製されたB細胞集団は、(Current Protocols in Immunology に記載されるように)単球/ナチュラルキラー細胞およびT細胞の連続涸渇を用いるネガティブ選択によって単離される。単球およびNK細胞の涸渇は、L−ロイシンメチルエステル(L−LME)を用いることによって行う。簡単には、標準的 Ficol 濃度勾配法によって末梢血(例えば軟膜)から単離されたPBMCを、PBS中、3×10細胞/mLで再懸濁する。新たに調製されたL−LME(RPMI中の0.05M溶液、血清なし)を1:10希釈で細胞に加える(最終5mM)。この混合物を室温で35分間インキュベートし、遠心分離によって細胞をペレットにし、次いでPBSで3回洗浄する。以下のように、ニューロミニダーゼ処理された(neurominidase-treated)ヒツジ赤血球細胞(NSRBC)を用いるロゼット形成により、T細胞をさらに涸渇させる:細胞をRPMI/10%FCS中で10細胞/mLに調節する。細胞5mLを50mL遠心チューブに移す。胎児ウシ血清2.5mLおよびNSRBC2.5mLをチューブに加える。この混合物を37℃で10分間インキュベートする。次いで細胞を室温で10分間、150×gで遠心分離してペレット細胞にし、ロゼット形成を促す。この混合物を4℃で2時間インキュベートする。ペレットを穏やかに再懸濁し、細胞懸濁物を Ficol(10mL)の上に重ねる。このチューブを400×gで25分間遠心分離する。界面のB細胞を除去し、ペレットにし、HBSSで3回洗浄する。ロゼット工程を繰り返した後、遊走アッセイ用にB細胞をRPMI/10%FCSに再懸濁する。
【0074】
G)好酸球
好酸球の精製に適切な方法は、当分野に既知である。実質的に精製された好酸球の調製方法の1つは、上記好中球単離プロトコルにおいて記載される調製物からさらに単離することによる。好中球からの好酸球の分離は、ネガティブ選択法によって行われ、ここにCD16表面抗原に対する固定化された抗体を用いてCD16ポジティブの好中球を涸渇させる。簡単には、好中球調製物を、10細胞/uLの密度でMACSバッファー(DPBS中1%BSA)に再懸濁する。等しい容量のCD16+マイクロビーズ(磁性球上に固定化されたCD16;Miltenyi Biotech; Auburn, CA)を細胞と混合する。この混合物を4℃で30分間、穏やかに振とうしながらインキュベートする。次いで細胞をネガティブ選択カラム(CSカラム、Miltenyi Biotech; Auburn, CA) LC, Miltenyi)に通し、磁気によってラベルされた好中球を除去し、このカラムを1カラム容量のMACsバッファーで洗浄する。フロースルーおよび洗浄フラクションは好酸球を含有し、これを混合する。この方法によって単離された好酸球は95%以上純粋である(例えばCD16+細胞の存在に関して、FACSによって測定)。
【0075】
3.化学走性組成物としてのケモカイン
上述のように、本発明のAPC−ケモタキシンは、多数のタイプの化合物のいずれかであってよい。しばしば、ケモタキシンはタンパク質、例えばケモカイン、またはタンパク質模倣物質である。したがって、一態様では、化学走性組成物は1またはそれ以上のケモカイン、ケモカインアナログ、またはケモカインをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0076】
ケモカインは、他の活性物質のうち、例えば一次リンパ系器官、血液、組織、二次リンパ系器官、リンパ液内での白血球集団の遊走を指揮し、および(いくつかの例では)循環中へ戻らせるタンパク質ホルモンである。ヒトにおいて50を超える種々のケモカインが今日までに同定され、他の哺乳類由来の多数のケモカインおよび哺乳類ウイルスによってコードされるケモカインが既知である。
【0077】
構造的に、既知のケモカインは4つのクラスに分類される:CC、CXC、C、およびCX3C。これは保存された構造モチーフ中のアミノ末端システイン残基の数および間隔に基づく。ケモカインは標的白血球の表面上の細胞表面レセプター配列に結合することによってプロ遊走作用を発揮する。既知のレセプターは7回膜を貫通する、Gタンパク質共役レセプター(7TM GPCR)クラスである。特徴付けされたほぼ20のヒトケモカインレセプター(すなわち、リガンドが同定され、結合および/またはシグナル伝達イベントが十分に特徴付けされているもの)のうち、9つはCCケモカインレセプター(「CCR」)、6つはCXCケモカインレセプター(「CXCR」)、1つはCX3Cケモカインレセプター(CX3CR)、および1つはCケモカインレセプター(仮に「XCR」)である。加えて、幅広い結合特異性を有する混合されたケモカインレセプター(これは Duffy 血群抗原(Duffy, Ag、時に「DARC」と記載される)として元来知られている)が既知である。
【0078】
ケモカインタンパク質は、供給元、例えば R&D Systems(Minneapolis, MN; http://cytokine.rndsystems.com/cyt_cat.html)から入手でき、あるいは慣用的技術を用いて公開されている配列に基づいて調製することができる(例えば Sambrook et al., 1989, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, (2nd ed.) Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory; Ausubel et al., 1999, Current Protocols In Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York に記載されるように)。ケモカインに関する最近の再考に関しては、Ward et al., 1998, Immunity 9:1-11 および Baggiolini et al., 1998, Nature 392:565-568 およびそこに引用されている文献を参照のこと。また、CFB(Cytokine Facts Book, 1994, Academic Press Ltd.)、Chemokine Facts Book, 1997, Academic Press Ltd. および GenBank タンパク質配列データベース http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi を参照のこと。さらなる参考文献は以下段落14に提供される。
【0079】
本発明の組成物中で、あるいは組成物を調製するために用いられるケモカインは天然物質(すなわち天然に存在するケモカインの配列を有する)であるか、天然に存在するケモカインをコードするポリヌクレオチドのインビトロ組換えの産物であるか、あるいは合成(すなわち化学的に合成される)または天然に存在するケモカイン配列の組換え変異体であってよい。ケモカインは、ヒト、霊長類、齧歯類、ウイルス類および他の種由来の配列を含む。いくつかの態様では、本発明のワクチン接種法において異種配列を用いる(例えば、最も強力なケモカインが免疫化される被検体の種とは異なる種由来である場合)。これは任意の免疫原性作用はアジュバント活性を高める可能性があるからである。
【0080】
4.例示的なケモカイン組成物
本発明の態様では、組成物は、APC−ケモタキシンである少なくとも1つのケモカインポリペプチドを含有する。一態様では、ケモカインはヒトの未成熟(抗原摂取能を有する)の単球由来樹状細胞に関して化学走性である。
【0081】
インビトロ化学走性アッセイを行い、総合的な組の既知のケモカインの化学走性プロファイルを測定した。多数の既知のケモカインは未成熟細胞に関して化学走性であるが、成熟細胞に関しては化学走性ではない。このようなケモカインには、以下が含まれる:hMIP1α、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RNATES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、hLeukotactin、mMIG、およびmMIP−1β。他の特に有用な本発明のケモカインには、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、およびvMCK−2が含まれる(以下の実施例を参照のこと)。いくつかのケモカインは、未成熟樹状細胞に関して化学走性であったが、好中球およびインビトロアッセイにおいて試験された他の細胞型に関しては化学走性でなかった(mC10、mMDC、hMIP−1β、mMIP−1γ;表3を参照のこと)。これらのケモカインおよびそれらの変異体および誘導体は、本発明の組成物およびワクチン接種方法において特に有用である。
表3
【表4】
Figure 0004903342
1. ATCC No. CCL-119

【0082】
5.天然に存在するケモカインの相同体および変異体
一態様では、APC−ケモタキシン分子は天然に存在するケモタキシン分子の配列を有するか、あるいは天然に存在するケモタキシン分子の配列に対して実質的なアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。例えば、上に列記されるケモカインのようなケモカインポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドの化学走性特性を変化させないように、例えば保存的アミノ酸置換、トランケーション(特に末端において)、小内部欠失、挿入などによって修飾可能である。このような修飾は、慣用的な遺伝子操作技術を用いて、例えば、サイトダイレクト突然変異誘発を用い、得られた変異体を化学走性特性に関して評価する(例えば、本明細書中に開示されるアッセイを用いて)ことにより施し得る。
【0083】
さらに、組換えおよび合成技術を用いて、天然に存在するケモカイン分子または配列(上および表3に列記されるものを含むがこれらに限定されない)を修飾し、親ポリペプチド(群)と比較したポリペプチドの化学走性特性を修飾可能である。
【0084】
A.操作されたケモカイン
本発明の一側面では、合成の、遺伝的に操作されたか、あるいは組換えのケモタキシンを調製し、APCs(例えば樹状細胞)を移動させる能力に関して評価する。一態様では、合成または組換えDNA技術を用いてAPC−ケモタキシンを天然ケモカインの組み合わせから作成する。例えば、種々のケモカイン(例えば、ヒト、ウイルス、マウスなど)を(例えば遺伝的に)組換えし、キメラ群または「ハイブリカイン群」を形成させることができ、これは所望の活性(例えば、未成熟樹状細胞を誘引するが、好中球を誘引しない能力、低濃度における高められた化学誘引活性)に関して試験される。関連する態様では、キメラ群は親(例えば天然に存在する)ケモカインの配列に基づいて化学的に合成される。
【0085】
一態様では、目的のケモカインポリペプチドの配列は、システイン残基の間隔によって示されるように、4つの「ドメイン」に分けられる(図2および実施例5を参照のこと)。別法では、ハイブリッドを構築する目的で、この配列は複数の、任意(しかしながら、典型的には、少なくとも5、しばしば、少なくとも10残基)の長さの「ドメイン」(例えば、2、3、4、またはそれ以上)に分けられる。配列は概念的に組換えされ、キメラ配列を形成し、ここでは、図2に示されるように、一領域は第一のケモカインポリペプチドの配列を有し、第二の領域は第二のケモカインポリペプチドの配列を有する。次いでキメラ配列を有するキメラポリペプチド(ハイブリカイン群)が慣用的合成手段により(あるいは、別法では、以下に記載されるような組換えDNA技術を用いて)作成される。ポリペプチド合成方法は当分野に周知であり、例えば米国特許第4,108,846号に記載されている。また Caruthers et al., 1980, Nucleic Acids Res. Symp. Ser., 215-223; Horn et al., 1980, Nucleic Acids Res. Symp. Ser., 225-232; Roberge, et al., 1995, Science 269:202 を参照のこと。所望であれば、短いポリペプチドは、一方の分子のアミノ末端を他方の分子のカルボキシル末端と縮合し、ペプチド結合を形成させることによって融合させ、より長いポリペプチドを作成する。新たに合成されたペプチドは、調製用高性能液体クロマトグラフィーによって実質的に精製可能である(例えば Creighton, 1983, PROTEINS, STRUCTURES, AND MOLECULAR PRINCIPLES, W.H. Freeman and Co, New York NY)。
【0086】
別の態様では、目的の親ケモカインをコードするポリヌクレオチドを操作し、上記のような変異体またはキメラケモカインを作成する(例えば、ポリヌクレオチドを、コードされるポリペプチドのシステイン残基の間隔によって示されるように、複数の「ドメイン」に分け、遺伝子構築物をハイブリッド形成させる)か、あるいは化学的に合成されたポリヌクレオチドを製造する。ハイブリッド遺伝子は適当な発現ベクターにサブクローニングされ、宿主細胞(例えば、細菌または真核生物細胞)内に導入(例えばトランスフェクト)され、この細胞は、組換えタンパク質が発現される条件下で培養される。上記アッセイを用いて、トランスフェクトされた細胞の上清は所望の化学誘引特性に関してアッセイされる。核酸操作および発現に関する技術は、一般的に、例えば Sambrook, et al., 1989, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL (2nd. ed.), vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory; および Ausubel, et al. (eds.)(1999 への補遺)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene and Wiley, NY に記載されている。
【0087】
一態様では、キメラ分子は、少なくとも2つの異なる天然に存在するケモカイン由来の少なくとも10の連続する残基を含む。一態様では、少なくとも1つの天然に存在するケモカイン、しばしば2つ、および時に少なくとも3つまたはそれ以上のケモカインは以下から選択される:hMIP1α、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RNATES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、hLeukotactin、mMIG、およびmMIP−1β、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、vMCK−2、および特にmC10、mMDC、hMIP−1β、およびmMIP−1γ。一態様では、2つの異なる天然に存在するケモカインは異なる種由来である。
【0088】
高められた樹状細胞誘引特性および減じられた非樹状免疫細胞の補充を有する天然に存在するケモカインの誘導体は、ヒトおよびウイルスケモカインの種々のハイブリッドを用いて構築される。例えば、強い樹状細胞化学走性活性および望ましくない好中球化学走性活性を有するAPC−ケモタキシン(例えばケモカイン)は、より弱い樹状細胞活性を有し、好中球化学走性アッセイを有さないポリペプチドと再結合させ、強い樹状細胞活性を有し、好中球化学走性活性を有さないポリペプチドを作成できる。
【0089】
B.ケモカインポリヌクレオチドの遺伝子混合により作成されるAPC−ケモタキシン
一態様では、高められた特性を有するケモカインの誘導体(例えば、未成熟樹状細胞を誘引するが、好中球を誘引しない能力、より低い濃度において高められた化学誘引活性など)は、誤りがちなPCRまたは組換え/遺伝子混合アプローチを含むいくつかの慣用的技術のいずれかを用い、強制インビトロ遺伝的進化を用いて構築される。遺伝子「混合(シャッフリング)」により所望の活性を有する新規ポリペプチドを作成する方法は当分野に既知である。種々の混合方法は以下に既知である:Patten et al., 1997, Curr. Opin. Biotech. 8:724-733; Stemmer, 1994, Nature 370:389-391; Stemmer et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751; Zhao et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25:1307-1308; Crameri et al., 1998, Nature 391:288-291; Crameri et al., 1997, Nat. Biotech. 15:436-438; Arnold et al., 1997, Adv. Biochem. Eng. Biotechnol. 58:2-14; Zhang et al., 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4504-4509; Crameri et al., 1996, Nat. Biotechnol. 14:315-319; Crameri et al., 1996, Nat. Med. 2:100-102; PCT 公開 WO95/22625; WO97/20078; WO97/35957; WO97/35966; WO98/13487; WO98/13485; PCT 98/00852; PCT 97/24239; および米国特許第5,605,793号、第5,811,238号、および第5,928,905号。遺伝子混合の一方法では、ポリヌクレオチドの変異体集団の重複セグメントに対して、一セグメントが別のセグメント延長用の鋳型として作用する条件下、ポリヌクレオチド増幅過程を行って、組換えポリヌクレオチド集団を作成し、組換えポリヌクレオチドまたはその発現産物を所望の特性に関してスクリーニングし、選択する。いくつかの混合方法は、多様性のソースとしてランダム点突然変異(典型的には、PCR増幅工程において導入される)を用いる。得られたポリペプチドは上記のように化学走性活性に関して試験される。
【0090】
一態様では、遺伝子混合は特定のサイトカイン(例えば、hMCP2、hMCP3、hMIP1β、hMIP3α、hMIP3β、mMIG、mMIP1γ、mMDC、vMIP1、mC10)をコードするポリヌクレオチドから開始して行う。別の態様では、「ファミリー混合」を用い(例えば Cramer et al., 1998, Nature 152:88-91; Chang et al,. 1999, Nat Biotechnol 17:793-7 を参照のこと)、ファミリー混合反応において、少なくとも2つの「親」ケモカインをコードするポリヌクレオチドを用いる。一態様では、少なくとも1つの親ケモカインをコードするポリヌクレオチドは以下をコードするものである:hMIP1α、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RNATES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、mMIP−1γ、mMIG、およびmMIP−1β、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、mC10、mMDC、hMIP−1β、vMCK−2、およびhLeukotactinまたはその種相同体。
【0091】
関連する態様では、少なくとも2つの親ケモカインをコードするポリヌクレオチドは以下の群由来のケモカインをコードするものである:hMIP1a、hMIP1α(70aa)、mMIP−1α、hRANTES、hMET−RNATES、mRANTES、hHCC−1、hMPIF−1、hMPIF−1(22−137)、hMPIF−1(46−137)、hMIP−1δ、hMCP−4、mMCP−5、mMARC、mEotaxin、mMCP−1(JE)、mTECK、mMIP−2、mBLC、mMIP−1γ、mMIG、およびmMIP−1β、hMCP−2、hMCP−3、vMIP−1、hMIP−3α、hMIP−3β、mC10、mMDC、hMIP−1β、vMCK−2、およびhLeukotactin。
【0092】
一態様では、得られた混合された(「進化した」)分子は、少なくとも1つ、しばしば少なくとも2つの異なる天然に存在するケモカイン、例えば上に列記される組由来の少なくとも10個の連続する残基を含む。
【0093】
C.ケモカイン分子の突然変異によって製造される他のAPC−ケモタキシン
本発明の他の側面では、親APC−ケモタキシン(例えば、ケモカイン)は(例えばサイトダイレクト突然変異(Ausubel, 上記))またはケモカインをコードするポリヌクレオチドのインビトロ遺伝子操作によって修飾される。得られた変異体の活性は本明細書中に記載されるインビトロおよびインビボアッセイを用いて測定することができる。
【0094】
本発明の別の側面では、親APC−ケモタキシンポリペプチド(例えば、ケモカイン)は(例えばケモカインをコードするポリヌクレオチドのインビトロ遺伝子操作によって)修飾され、アミノ−またはカルボキシ−トランケートされたバージョンの成熟タンパク質が作成される。別法では、これらのトランケートされたバージョンのAPC−ケモタキシンは化学的に合成するか、あるいは天然に存在するケモカインの酵素プロセッシングによって作成できる。さらに、所望の特性を保持する保存的置換を伴う変異体を本発明の方法および組成物において用いることができる。機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的置換表は当分野に周知である。例えば、保存的置換を選択する指針の一例には以下が含まれる(元の残基/置換例):ala/glyまたはser;arg/lys;asn/glnまたはhis;asp/glu;cys/ser;gln/asn;gly/asp;gly/alaまたはpro;his/asnまたはgln;ile/leuまたはval;leu/ileまたはval;lys/argまたはglnまたはglu;met/leuまたはtyrまたはile;phe/metまたはleuまたはtyr;ser/thr;thr/ser;trp/tyr;tyr/trpまたはphe;val/ileまたはleu。
【0095】
別の例示的指針は以下の6群を用いる。これらはそれぞれ互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);(また、Creghton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Company; Schulz and Schimer (1979) Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。
【0096】
D.ポリペプチド模倣物質
ポリペプチド模倣物質もまた、本発明の方法における使用に適する。用語「模倣物質(mimetic)」および「ペプチド模倣物質」とは、APC−ケモタキシンポリペプチドと実質的に同一の構造的および/または機能的特徴を有する合成化学化合物を意味する。模倣物質は完全に、合成の、アミノ酸の非天然アナログからなるものであり得、あるいは部分的に天然ペプチドアミノ酸および部分的にアミノ酸の非天然アナログのキメラ分子である。模倣物質はまた、置換が模倣物質の構造および/または活性を実質的に変更しない限り、任意の量の天然アミノ酸保存的置換を包含できる。ポリペプチド模倣物質組成物は、任意の組み合わせの非天然構造成分を含有でき、これは典型的に3つの構造群由来である:a)天然アミド結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結基;b)天然に存在するアミノ酸残基の代わりの非天然残基;またはc)二次構造的擬態を導く、すなわち二次構造、例えばベータターン、ガンマターン、ベータシート、アルファヘリックスコンフォメーションなどを導くか、あるいは安定化する残基。
【0097】
ポリペプチドは、すべてまたはいくつかのその残基を天然ペプチド結合以外の化学的手段で結合させた場合に、模倣物質として特徴付けすることができる。個別のペプチド模倣物質残基はペプチド結合、他の化学的結合またはカップリング手段、例えばグルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能性マレイミド、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)によって結合させることができる。通常のアミド結合(「ペプチド結合」)連結に代わり得る連結基には、例えばケトメチレン(例えば、−C(=O)−NH−の代わりに−C(=O)−CH−)、アミノメチレン(CH−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH−O)、チオエーテル(CH−S)、テトラゾール(CN−)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、またはエステルが含まれる(例えば、Spatola (1983) in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, Vol. 7, pp 267-357, "Peptide Backbone Modifications, "Marcell Dekker, NY)。
【0098】
ポリペプチドはまた、天然に存在するアミノ酸残基の代わりにすべてまたはいくつかの非天然残基を含有することによって、模倣物質として特徴付けできる。非天然の残基は科学文献および特許文献に十分に記載されている;天然アミノ酸残基の模倣物質として有用な数例の非天然組成物および指針は以下に記載される。
【0099】
芳香族アミノ酸の模倣物質は、例えばD−またはL−ナフィルアラニン(D- or L- naphylalanine);D−またはL−フェニルグリシン;D−またはL−2 チエネイルアラニン(D- or L-2 thieneylalanine);D−またはL−1,−2,3−,または4−ピレネイルアラニン(D- or L-1, -2, 3- or 4- pyreneylalanine);D−またはL−3 チエネイルアラニン;D−またはL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−またはL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−またはL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−またはL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロフェニルアラニン;D−またはL−p−ビフェニルフェニルアラニン;K−またはL−p−メトキシビフェニルフェニルアラニン;D−またはL−2―インドール(アルキル)アラニン;およびD−またはL−アルキルアイニン(D- or L-alkylainines)(ここにアルキルは置換または非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−イソチル、イソ−ペンチル、または非酸性アミノ酸であり得る)による置換によって作成できる。非天然アミノ酸の芳香環には、例えばチアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジル芳香環が含まれる。
【0100】
酸性アミノ酸の模倣物質は、例えば、負電荷を維持している非カルボキシラートアミノ酸;(ホスホノ)アラニン;硫酸化スレオニンによる置換によって作成できる。また(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸性の)カルボキシル側鎖基は、カルボジイミド(R'−N−C−N−R')、例えば1−シクロヘキシル−3(2−モルホリニル−(4−エチル) カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメトールペンチル) カルボジイミドと反応させることによって選択的に修飾できる。また、アスパラギン酸性またはグルタミン酸性残基は、アンモニウムイオンと反応させることによってアスパラギン性およびグルタミン性残基に変換できる。
【0101】
塩基性アミノ酸の模倣物質は、例えば(リシンおよびアルギニンに加えて)アミノ酸オルニチン、シトルリン、または (グアニジノ)−酢酸、または (グアニジノ)アルキル−酢酸(ここにアルキルは上に規定されるものである)を用いて置換することにより作成できる。ニトリル誘導体(例えばCOOHの代わりにCN部分を含有するもの)は、アスパラギンまたはグルタミンに対して置換することができる。アスパラギン性およびグルタミン性残基は脱アミノ化して対応するアスパラギン酸性またはグルタミン酸性残基にすることができる。
【0102】
アルギニン残基模倣物質は、アルギニルを、例えば、フェニルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、またはニンヒドリンを含む1またはそれ以上の慣用的試薬と、好ましくはアルカリ性条件下で反応させることによって作成できる。
【0103】
チロシン残基模倣物質は、チロシルを例えば芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと反応させることによって作成できる。N−アセチルイミジゾール(N-acetylimidizol)およびテトラニトロメタンを用いて、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を形成させることができる。
【0104】
システイン残基模倣物質は、システイニル残基を、例えば2−クロロ酢酸またはクロロアセトアミドのようなアルファ−ハロアセテートおよび対応するアミンと反応させ、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を得ることによって作成できる。また、システイン残基模倣物質は、システイニル残基を、例えばブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−ベータ−(5−イミダゾリル) プロピオン酸;クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド;メチル 2−ピリジル ジスルフィド;p−クロロ水銀ベンゾエート;2−クロロ水銀−4 ニトロフェノール;またはクロロ−7−ニトロベンゾ−オキサ−1,3−ジアゾールと反応させることによって作成できる。
【0105】
リシン模倣物質は、リシニルを例えばコハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させることによって作成でき(ならびにアミノ末端残基は変更でき)る。また、リシンおよび他のアルファ−アミノ−含有残基模倣物質は、イミドエステル、例えばメチルピコリンイミデート、ピリドキサルホスフェート、ピリドキサル、クロロホウ水素化物、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンとの反応、およびグリオキシラートとのトランスアミダーゼ触媒反応によって作成できる。
【0106】
メチオニンの模倣物質は、例えばメチオニンスルホキシドとの反応によって作成できる。プロリンの模倣物質は、例えばピぺコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3−または4−ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、3−または4−メチルプロリン、または3,3,−ジメチルプロリンを含む。ヒスチジン残基模倣物質は、ヒスチジルを例えばジエチルプロカルボナートまたはパラ−ブロモフェナシルブロミドと反応させることによって作成できる。
【0107】
他の模倣物質には、例えば、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化によって作成されたもの;セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化によって作成されたもの;リシン、アルギニンおよびヒスチジンのアルファ−アミノ基のメチル化によって作成されたもの;N−末端アミンのアセチル化によって作成されたもの;主鎖アミド残基のメチル化によって作成されたもの、またはN−メチルアミノ酸での置換によって作成されたもの;またはC−末端カルボキシル基のアミド化によって作成されたものが含まれる。また、天然ポリペプチドの成分は、逆のキラリティーのアミノ酸(またはペプチド模倣残基)によって置換し得る。したがって、天然にL−配置で存在する(これは化学物質の構造に応じてRまたはSと称することもできる)任意のアミノ酸は、同じ化学構造タイプのアミノ酸またはペプチド模倣物質であるが、反対のキラリティーを有するもの(これは一般にD−アミノ酸と称されるが、さらにR−またはS−型として言及することもできる)で置換できる。
【0108】
本発明の模倣物質はまた、構造的な模倣残基、特に二次構造、例えばベータターン、ベータシート、アルファヘリックス構造、ガンマターンなどを導くか、あるいは模倣する残基を含有する組成物を含み得る。例えば、ペプチド内における、D−アミノ酸;N−アルファ−メチル アミノ酸;C−アルファ−メチル アミノ酸;またはデヒドロアミノ酸での天然アミノ酸残基の置換は、ベータターン、ガンマターン、ベータシートまたはアルファへリックスコンフォメーションを導くか、あるいは安定化できる。ベータターン模倣構造は Nagai (1985) Tet. Lett. 26:647-650; Feigl (1986) J. Amer. Chem. Soc. 108:181-182; Kahn (1988) J. Amer. Chem. Soc. 110:1638-1639; Kemp (1988) Tet. Lett. 29:5057-5060; Kahn (1988) J. Molec. Recognition 1:75-79 に記載されている。ベータシート模倣構造は、Smith (1992) J. Amer. Chem. Soc. 114:10672-10674 に記載されている。例えばシスアミド代理、1,5−二置換テトラゾールによって導かれるVI型ベータターンは Beusen (1995) Biopolymers 36:181-200 に記載されている。非キラルオメガアミノ酸残基を包含させ、アミド結合に関する置換としてポリメチレン単位を作成することは Banerjee (1996) Biopolymers 39:769-777 に記載されている。ポリペプチドの二次構造は、例えばハイフィールド1H NMRまたは2D NMR分光法によって分析できる(例えば Higgins (1997) J. Pept. Res. 50:421-435 を参照のこと)。また、Hruby (1997) Biopolymers 43:219-266, Balaji, et al., 米国特許第5,612,895号を参照のこと。
【0109】
本発明のポリペプチド内に包含させることができる模倣物質の具体例には、Zhang (1998) Biochemistry 37:12465-12476 に記載されているものが含まれ、ここでは、トリデカペプチド Saccharomyces cerevisiae アルファ−因子交配フェロモンのPro−Glyに代えて、3−(RまたはS)−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジン−アセトアミド部分を用いて、機能的に活性な(RおよびS)−ガンマ−ラクタム コンフォメーショナル模倣物質が構築されている。Brady (1998) J. Med. Chem. 41:401-406 では、ある範囲の親油性カルボン酸アミドでのトロンビン阻害剤模倣物質の合成に関する樹脂に基づく経路を用いた。Baures (1997) J. Med. Chem. 40:3594-3600 では、L−プロリル−L−ロイシルグリシンアミド構造およびドーパミンレセプターの二環式ラクタムPLGペプチド模倣構造へのジケトピペラジンコンフォメーション模倣物質を構築した。Beaulieu (1997) J. Med. Chem. 40:2164-2176 では、(ヒドロキシエチル)アミドスクシノイルコアを用いて、HIVウイスルプロテアーゼ活性を阻害するペプチド模倣構造を合成した。Misicka (1997) J. Pept. Res. 50:48-54 では、通常でないアミノ酸ベータ−メチルフェニルアラニンの立体異性体を含有するデルトルフィンI(deltorphin I)およびデルメンケファリン(dermenkephalin)の模倣物質を設計し、増大したリガンド結合特異性を有するペプチドを作成した。
【0110】
当業者であれば、例えば以下の科学文献および特許文献、例えば Organic Syntheses Collective Volumes, Gilman et al., (Eds) John Wiley & Sons, Inc., NY に十分に記載されている種々の手法および方法論を用いて、模倣物質を包含する個々の合成残基およびポリペプチドを合成できることが認識できよう。模倣物質を包含するポリペプチドはまた、例えば Di Marchi, et al., 米国特許第5,422,426号に記載されるように、固相合成手法を用いて作成できる。本発明の模倣物質はまた、組み合わせの方法論を用いて合成できる。ペプチドおよびペプチド模倣物質ライブラリーの作成に関する種々の技術は周知であり、これには、例えば、マルチピン、ティーバッグ、およびスプリット−カップル−ミックス技術が含まれる(例えば al-Obeidi (1998) Mol. Biotechnol. 9:205-223; Hruby (1997) Curr. Opin. Chem. Biol. 1: 114-119; Ostergaard (1997) Mol. Drivers. 3:17-27; Ostresh (1996) Methods Enzymol. 267:220-234)。
【0111】
6.小ケモカイン模倣物質
一態様では、小分子ケモカイン模倣物質を用いて、APCを移動させる。典型的には、ケモカインレセプター(CRs)と結合し、シグナルを伝達する(例えばカルシウムイオン移動または他のケモカインレセプター媒介性応答)小分子化合物に関する高処理量スクリーニング技術を用いて小分子模倣物質を同定する。例えば小分子はまず、未成熟樹状細胞上に発現され、ならびに/あるいは他の細胞上に発現されないケモカインレセプター(例えば表2Bを参照のこと)を作動させる能力に関してスクリーニングできる。この作動活性は、種々の方法、例えばAPCs上に存在することが既知であるクローニングされたケモカインレセプターを発現するトランスフェクト細胞に対するCa2+移動応答の検出において検出可能である。
【0112】
次いで分子の化学走性特性は、上記アッセイを用いて測定され、所望の特異性(例えば未成熟樹状細胞に関する化学走性を有し、成熟樹状細胞に関する化学走性を有さない特異性)を有するものを本発明の方法において用いる。
【0113】
7.化学走性組成物
本発明の化学走性組成物は1またはそれ以上のAPC−ケモタキシン(またはケモタキシンをコードするポリヌクレオチド)を含有する。一態様では、組成物は、単離されたか、あるいは組換えのポリヌクレオチドまたはポリペプチドであるAPC−ケモタキシンを含有する。一態様では、APC−ケモタキシン(群)は、組成物中、そのクラス(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物)の優勢な種(すなわち、組成物中の分子のクラスのトータルのメンバーの約50重量%以上、しばしば約80重量%以上)である。他の態様では、APC−ケモタキシン(群)は「生物学的に純粋」である。用語「単離された」、「純粋な」、「実質的に精製された」、または「生物学的に純粋な」とは、その天然状態において見られる通常付随する成分を実質的または本質的に含まない物質である。したがって、一態様では、本発明の化学走性組成物は、そのインサイチュ環境において通常に付随する物質を含まないAPC−ケモタキシンを含有する(天然起源である場合)。典型的には、単離された本発明のケモタキシンは、少なくとも約80%、通常少なくとも約90%、および好ましくは少なくとも約95%純粋である。タンパク質純度または均質性は、当分野に周知の多数の手段、例えばタンパク質サンプルのポリアクリルアミドゲル電気泳動、次いで染色時の視覚化によって測定することができる。特定の目的では、高分解能が必要とされ、HPLCまたは精製のための同様の手段が用いられる。
【0114】
態様では、組成物は、例えば以下に記載されるような賦形剤または担体をさらに含有してもよい。本発明のいくつかの態様では、組成物は1またはそれ以上の抗原(すなわちそれに対して免疫応答が誘発されるか、あるいは高められるのが望まれる抗原)を含む。これに関しては以下により詳細に議論される。一側面では、本発明は、被検体における特定の抗原に対する免疫応答を誘発することが可能な組成物を製剤化する方法であって、本明細書中に記載されるように、抗原提示細胞ケモタキシン(APC−ケモタキシン)の活性を有するポリペプチドを同定し、このポリペプチドを抗原と組み合わせることによる方法を提供する。一態様では、製薬的に許容される賦形剤がまた含まれる。
【0115】
態様では、組成物は慣用的アジュバントを含み得る。慣用的アジュバントは典型的に可溶性タンパク質抗原を粒子形態に変換する。これらはしばしば細菌または細菌産物を含む。慣用的アジュバントの例には、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、メルクアジュバント65、AS−2、ミョウバン、リン酸アルミニウム、ミネラルゲル、例えば水酸化アルミニウム、および界面活性剤、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール(pluronic polyols)、ポリアニオン、ペプチド、油状エマルジョン、スカシガイ科ヘモシアニン、およびジニトロフェノールが含まれる。いくつかの態様では、慣用的アジュバントはヒト患者において用いるのに適するアジュバントである。
【0116】
8.抗原
一側面では、本発明は、抗原、例えばあらかじめ決められている抗原または特定の抗原に対する免疫応答を誘発するか、あるいは高める方法を提供する。抗原は抗体と反応する分子である。いくつかの態様では、抗原は免疫原である。いくつかの態様では、抗原はタンパク質担体に連結されている。例えば、本発明の一態様では、APC−ケモタキシンおよび抗原は物理的に連結されている(例えば融合タンパク質として作成されたもの、化学架橋物質を用いて安定に架橋されているもの、またはビオチンおよびストレプトアビジンのような複合体を介して連結されているもの)。
【0117】
典型的には、抗原はペプチド、ポリペプチド、化学化合物、微生物病原、細菌(例えば、生菌、源弱されたもの、または不活化されたもの)、ウイルス(不活化ウイルス粒子、修飾生ウイルス粒子、および組換えウイルス粒子を含む)、組換え細胞、糖タンパク質、リポタンパク質、糖ペプチド、リポペプチド、変性毒素、炭水化物、腫瘍特異的抗原、および病原の他の免疫原性成分である。一態様では、2またはそれ以上の抗原の混合物が用いられる。いくつかの態様では、抗原は生物学的に純粋である。
【0118】
一態様では、予想されるか、あるいは起こり得る暴露以前に、本発明の方法および試薬を用いて、外来性の感染性病原物質(例えば細菌、ウイルスなど)からの保護を提供する。関連する態様では、本発明の方法および試薬を用いて、個体が暴露されたか、暴露された徴候を示す、外来性の病原に対する治療効果を提供する。
【0119】
一態様では、本発明の試薬および方法を用いて、黒色腫、肺癌、甲状腺癌、乳癌、腎癌、扁平上皮癌、脳腫瘍および皮膚癌(これらに限定されない)を含む癌を処置する。一態様では、抗原は腫瘍関連抗原(腫瘍特異的抗原)である。腫瘍抗原は、非腫瘍組織と比較して腫瘍細胞において他と異なって発現される分子、特に細胞表面タンパク質(例えばテロメラーゼ)である。
【0120】
予防的使用では、APC−ケモタキシンを含有する組成物は、例えば腫瘍、癌、感染などの疾患にかかりやすいか、あるいは予防しなければ危険性を有する被検体に(例えば抗原と組み合わせて)投与される。治療的使用では、APC−ケモタキシンを含有する組成物は、例えば腫瘍、癌、感染などの疾患がすでに検出または診断されているか、あるいは例えば腫瘍の除去手術後の被検体に(例えば抗原と組み合わせて)投与される。
【0121】
本発明の抗原またはワクチン成分の例には、微生物病原、例えば細菌[例えば百日咳(Bordetella pertussis, 不活化された完全生物);コレラ(Vibrio cholerae, 完全死生物);髄膜炎(Neisseria meningitidis, 生物由来の多糖類)ライム病(Borrelia burgdorferi, リポタンパク質OspA);ヘモフィルスB(Haemophilus influenza B 多糖類、Tetanus コンジュゲートまたはOmpC);肺炎(Streptococcs pneumoniae 莢膜多糖類)腸チフス(Salmonella typhi 多糖類ワクチン、死完全細胞)]、ウイルス(不活化ウイルス粒子、修飾生ウイルス粒子、およびインフルエンザウイルス;A型肝炎;B型肝炎;はしか;風疹;おたふく風邪;狂犬病;ポリオウイルス;日本脳炎ウイルス;ロタウイルス;水痘に対する組換えウイルス粒子を含む)、ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)およびテタヌス(Clostridium tetani)由来の抗原が含まれる。
【0122】
9.ポリヌクレオチド化学走性組成物
一側面では、APC−ケモタキシン、抗原、または両者はDNAとしてデリバリーされ、そのポリペプチドはインサイチュで製造される。一態様では、例えば Ulmer et al., Science 259:1745-1749, 1993 に記載され、Cohen, 1993, Science 259:1691-1692 にて再考されているように、DNAは「裸」である。裸のDNAの摂取は、このDNAを、細胞内に効率的に輸送される担体、例えば生分解性ビーズ上にコーティングすることによって高めることができる。このようなワクチンでは、DNAは、核酸発現系、細菌およびウイルス発現系を含む、当業者に既知の任意の種々のデリバリー系内に存在し得る。DNAをこのような発現系に包含させる技術は、当業者に周知である。例えばWO90/11092、WO93/24640、WO93/17706、および米国特許第5,736,524号を参照のこと。
【0123】
10.APC−ケモタキシンおよび抗原の投与
態様では、組成物は1またはそれ以上の抗原(または抗原をコードするポリヌクレオチド)を含有し得る。抗原はAPC−ケモタキシンと組み合わせて(すなわち同一の混合物中で)投与できる。別法では、これらは別々に投与できる。
【0124】
したがって、一側面では、本発明は、1またはそれ以上の抗原(または抗原をコードするポリヌクレオチド)および1またはそれ以上の本発明のAPC−ケモタキシン(またはAPC−ケモタキシンをコードするポリヌクレオチド)の組み合わせを被検体に投与する免疫化方法を提供する。場合により、抗原またはAPC−ケモタキシンは、生理学的に許容される賦形剤のようなデリバリービヒクルにおいて投与される。
【0125】
A.処置および投与計画
上記のように、本発明の一態様では、抗原を化学走性組成物と同時に投与する。別の態様では、抗原および化学走性組成物を種々の時点で、典型的には同じ部位に投与する。例えば、抗原投与前約15mおよび約96hの間、よりしばしば約15mおよび約48hの間、さらにしばしば24hおよび96hの間、しばしば抗原投与前約48hおよび72hの間または72hおよび96hの間に(抗原を伴わない)化学走性組成物を投与できる。
【0126】
化学走性組成物および抗原組成物は被検体の同一部位に注射され、この注射は、身体の二次元表面上、互いに2cm以内、好ましくは1cmまたは0.5cm以内である。この態様では、投与は同様の深さおよび同じ組織層(すなわち、両注射とも皮下であるか、あるいは両者とも皮内であるべきである)になされるべきである。筋肉内注射では、深さはより正確にモニターされ、互いに2cm以内、好ましくは1cm以内、およびより好ましくは0.5cm以内に、APC−ケモタキシンおよび抗原の三次元的に等価な配置が達成されるべきである。これは内科医、看護人、および他の医学的に訓練された人により容易に達成される。内科医のために、注射部位は消えないインクでマークすることができる。
【0127】
一態様では、単一用量(投与)の組成物のみが与えられる。別の態様では、第一の投与の後、ブースト投与される。したがって、一態様では、APC−ケモタキシンは複数回用量で、しばしば抗原の投与と組み合わせて(例えば同時投与により)投与される。したがって、種々の態様では、(任意的に抗原を含む)APC−ケモタキシン組成物は1回、2回、3回、または3回以上投与される。被検体への投与回数は、抗原、疾患の程度、および化学走性組成物に対する被検体の応答に依存する。適当な投与回数は、(すなわちあらかじめ決められた抗原に対して)動物を免疫化するのに必要とされる任意の数を含むことは本発明の範囲内であることが理解されよう。
【0128】
本発明の一態様では、化学走性組成物および抗原の第二の投与(ブースター)を元の投与後約7日から1年の間に行う。一態様では、化学走性組成物および抗原の第二の投与(ブースター)を元の投与後約14日から6月の間に行う。別法では、化学走性組成物および抗原の第二の投与(ブースター)を元の投与後約21日から3月の間、しばしば約28日から2月の間に行う。一態様では、第三の投与(第二のブースター)は元の投与後第14日から10年の間、例えば約14日から3年の間、しばしば約21日から1年の間、よりしばしば約28日から6月の間に行う。次のブースターは2週間間隔、または1月、3月、または6月から10年間隔で投与することができる。
【0129】
種々のワクチン投与用量および計画は、上に議論されているパラメータならびに当分野に既知のパラメータに基づいて展開でき、ならびに本発明のケモタキシン、抗原、または投与用のケモタキシン(群)および抗原(群)のいくつかの組み合わせの有効量および投与回数を測定することは十分に当業者の能力の範囲内であることが当業者には理解されよう。
【0130】
B.有効量
典型的には、抗原に対して動物を免疫化するのに十分な量(すなわち、「免疫学的有効量」または「治療有効量」)のAPC−ケモタキシンおよび抗原が被検体に投与される。「免疫学的有効量」を達成するのに適当な量は、例えばAPC−ケモタキシンおよび抗原組成物、投与様式、処置されるべき疾患の段階および重篤度、患者の健康の一般的状態、および担当内科医の判断に依存する。
【0131】
有効量の抗原およびAPC−ケモタキシンを動物モデルにおいて製剤化し、当分野に周知の技術を用いて免疫応答の誘発を達成できる。当業者であれば、動物データに基づいて人に対する投与を容易に最適化できる。APC−ケモタキシンがタンパク質、例えばケモカインである場合、用量は典型的に、約1fgおよび約100ugの間、しばしば約1pgおよび約100ugの間、よりしばしば約1ngおよび約50ugの間、通常には約100ngおよび約50ugの間である。いくつかの態様では、用量は被検体体重kg当たり約1fgおよび約100ugの間、しばしば約1pgおよび約100ugの間、よりしばしば約1ngおよび50ugの間、ならびに通常には被検体体重kg当たり約100ngおよび約50ugの間である。
【0132】
投与される抗原の量は、抗原の性質および特徴に応じて変化する。一態様では、本発明の化学走性組成物は1またはそれ以上の抗原および1またはそれ以上のケモタキシンを、抗原に対するケモタキシンが約1:1000またはそれ以上のモル比または重量比で含有する。別の態様では、組成物中の抗原に対するケモタキシンの比が約1:10および1:1000の間である。別の態様では、ケモタキシンに対する抗原の比が1:10および1:1000の間であるか、あるいは1:1000以上またはそれ以上である。別の態様では、組成物中のケモタキシンに対する抗原の比が約1:10および10:1の間である。
【0133】
C.担体、賦形剤、慣用的アジュバント、投与様式
本発明のAPC−ケモタキシン含有組成物は本明細書中に記載されるように種々の経路で投与される。種々の態様では、化学走性組成物には担体および賦形剤(すなわち、製薬的に許容される賦形剤)(これには、バッファー、炭水化物、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン、抗酸化剤、静菌剤、キレート剤、懸濁化剤、濃化剤および/または保存剤が含まれるがこれらに限定されない)、適当な生理学的条件に必要とされる他の製薬的に許容される補助物質、例えば緩衝剤、浸透圧調節物質、湿潤剤など、および/または慣用的アジュバント(例えば、上に議論されるようなもの)が含まれる。本発明の組成物を投与するために当業者に既知の任意の適当な担体を用いることができ、この担体のタイプは投与様式に依存して変化することが認識されよう。化合物はまた、周知の技術を用いてリポソーム内にカプセル化してもよい。生分解性のミクロスフェアを本発明の医薬組成物用の担体として用いてもよい。適当な生分解性ミクロスフェアは例えば、米国特許第4,897,268号;第5,075,109号;第5,811,128号;第5,820,883号;第5,853,763号;第5,814,314号および第5,942,252号に開示されている。
【0134】
本発明の組成物は慣用の周知の滅菌技術によって滅菌するか、あるいは滅菌ろ過することができる。得られた水溶液をそのまま使用されるようにパッケージングするか、あるいは凍結乾燥して、凍結乾燥調製物を滅菌溶液と混合した後投与することができる。
【0135】
本発明のAPC−ケモタキシン組成物は、注射(例えば皮内、皮下、筋肉内、腹腔内など)、吸入、局所投与、経皮パッチを用いて坐剤により、経口投与を含む種々の経路で投与することができる。
【0136】
注射により投与する場合、ケモタキシン(群)は水性溶液、好ましくは生理学的に化学反応を起こさないバッファー、例えば Hanks 溶液、Ringer 溶液、または生理学的塩類バッファー中で製剤化することができる。この溶液は、調剤物質、例えば懸濁化剤、安定化剤、および分散剤を含有してもよい。別法では、化学走性組成物は、使用前に、適当なビヒクル、例えば滅菌された発熱物質を含まない水と組成するための粉末剤型とすることができる。
【0137】
吸入により投与される場合、ケモタキシン(群)は、適当なプロペラント、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、二酸化炭素または他の適当なガスを使用し、エアロゾルスプレーの剤型で加圧パックまたは噴霧器からデリバリーされる。加圧エアロゾルの場合、単位用量は、測りとられた量をデリバリーするためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または吹き入れ器として使用するための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、タンパク質の粉末混合物および適当な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンを含有して製剤化される。
【0138】
局所投与される場合、化学走性物質は、当分野に周知のように、溶液剤、ゲル剤、軟膏、クリーム剤、懸濁剤などとして製剤化することができる。いくつかの態様では、経皮パッチにより投与される。
【0139】
坐剤により(例えば経直腸または経膣)投与される場合、組成物は慣用的な坐剤の基剤を含有する組成物中で製剤化することができる。
【0140】
経口投与される場合、ケモタキシンを、当分野に周知の製薬的に許容される担体と混合することによって、組成物を容易に製剤化できる。マンニトール、ラクトース、ステアリン酸マグネシウムなどのような固形担体を用いることができる;このような担体はケモタキシンを、処置される患者の経口摂取用に、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液状剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤、などとして製剤化することを可能にする。例えば、粉末剤、カプセル剤および錠剤のような経口固形製剤に関して、適当な賦形剤には、充填剤、例えば砂糖、セルロース調製物、顆粒化剤および結合剤が含まれる。
【0141】
11.モノクローナルおよびポリクローナル抗体生産用のワクチン接種
結合性断片(例えばF(ab))および単一鎖バージョンを含むポリクローナルおよびモノクローナル抗体の作成方法は当業者に周知である。例えば Coligan, 1991, CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, Wiley/Greene, NY; および Harlow and Lane, 1989, ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Press, NY を参照のこと。しかしながら、多くの抗原が動物において適度な抗体応答を引き起こすことができない。一態様では、本明細書中に記載されるように、本発明のケモタキシンおよび抗原を含む組成物を動物に投与し、これにより動物において免疫応答を誘発し、あるいは高める。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は次いで標準的技術によって調製される。
【0142】
12.生来の免疫応答の刺激
本発明の別の側面では、本発明の組成物を被検体に投与し、生来の免疫応答を刺激する。この生来の免疫応答は、病原に対する身体の初期防御であり、APCs(樹状細胞およびマクロファージ)を含む種々の細胞によって導かれるものである。これらの細胞は、外来起源の分子(例えば細菌およびウイルスの核酸、タンパク質、炭水化物)を認識する表面レセプターおよび細胞質レセプターを発現する。これらのシグナルを検出すると、樹状細胞およびマクロファージは、サイトカイン(インターフェロン、TNFアルファ、およびIL12を含む)および細胞、例えば未成熟樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、および顆粒球をチャレンジ部位に誘引するケモカインの放出を含む防御応答を誘発する。
【0143】
本発明の組成物は、樹状細胞および他の細胞を投与部位に誘引するだけでなく、身体が適応性の応答を生じさせる一方で、これらの細胞を刺激し、生来の免疫応答を誘発して非特異的防御を付与するのに有用であると考えられる。
【0144】
したがって、一態様では、本発明の組成物を予期される感染への暴露前または暴露後に(抗原を伴わずに)投与する。別の態様では、ケモカインを「外来」分子(例えば、細菌またはウイルスの核酸、タンパク質、炭水化物、またはこれらの因子を模倣する合成因子)とともに投与する。
【0145】
13.キット
一側面では、本発明は、パッケージまたは容器内に1またはそれ以上の以下のものを含有するキットを提供する:(1)本発明の化学走性組成物;(2)製薬的に許容されるアジュバントまたは賦形剤;(3)および抗原(例えば、生物学的に純粋な抗原);(4)投与の指示書。項目(1)−(3)は典型的に容器、例えばバイアル内にあり、凍結されているか、あるいは凍結乾燥されていてよい。成分(1)−(3)の2またはそれ以上が同一容器内にある態様もまた考慮される。
【0146】
14.選択されるケモカインの参考文献
【表5】
Figure 0004903342
【表6】
Figure 0004903342
【表7】
Figure 0004903342
【表8】
Figure 0004903342
【0147】
また、GenBank、例えば受入れ番号P10147(hMIP1α)、受入れ番号P10855(mMIP−1α)、受入れ番号P13501(hRANTES)、受入れ番号P30882(mRANTES)、受入れ番号Q16627(hHCC−1)、受入れ番号P55773(hMPIF−1)、受入れ番号Q16663(hMIP−1δ)、受入れ番号Q99616(hMCP−4)、受入れ番号Q62401(mMCP−5)、受入れ番号Q03366(mMARC)、受入れ番号P48298(mEotaxin)、受入れ番号P10148(mMCP−1(JE))、受入れ番号O35903(mTECK)、受入れ番号P10889(mMIP−2)、受入れ番号AF044196(mBLC)、受入れ番号P18340(mMIG)、受入れ番号P14097(mMIP−1β)、受入れ番号P80075(hMCP−2)、受入れ番号P80098(hMCP−3)、受入れ番号P78556(hMIP−3α)、受入れ番号Q99731(hMIP−3β)、受入れ番号P27784(mC10)、受入れ番号AJ238238(mMDC)、受入れ番号P13236(hMIP−1β)、および受入れ番号P51670(mMIP−1γ)を参照のこと。
【0148】
15.実施例
実施例1
化学走性アッセイ
化学走性アッセイは精製された細胞および96ウェル化学走性マイクロチャンバー(ChemoTx(登録商標)、NeuroProbes, Inc, Gaithersburg MD)を用いて行う。このアッセイにおいて、多孔性のポリカルボナートフィルターを用い、フィルターを横切る化学誘引物質の濃度勾配を形成させ、ならびに細胞がフィルター内へ、または下部ウェル内へ遊走するのを可能にする。
【0149】
未成熟樹状細胞化学走性アッセイを行うために、29uLの候補の、または既知のAPC−ケモタキシンを、0、1、10および100nM CHECK濃度で下部チャンバーのウェルに入れる。フィルターをチャンバーの上部に設置し、化学誘引物質溶液がフィルターの下側に接触するようにする。第7日の未成熟樹状細胞を回収し、Ca++およびMg++を含むHBSS(Life Technologies)中、0.1%BSA(Sigma)を含有する化学走性バッファーで一回洗浄し、最終的に化学走性バッファー中に5×10/mLで再懸濁する。20μLの細胞を慎重にフィルターに置く。組織培養インキュベーター中、37℃で90分間、遊走を進行させる。フィルター上の非遊走細胞をラバースクラッパーを用いて除去し、遊走を終了させる。フィルターを装置から除去し、DPBSですすぐ。(下部チャンバーを顕微鏡で調べ、任意の細胞がウェル内へ遊走したかどうかを測定する。)未成熟樹状細胞遊走アッセイにおいて、ポリカルボナートフィルター内に遊走した細胞を検出するために、このフィルターを装置から取り外し、DPBS(Hyclone)ですすいだ後、Hema3染色キット(Fisher Scientific)のような細胞染色溶液を用いて染色する。このフィルターを3つの別々の溶液に連続して、各約5秒間浸漬する。最後の溶液の後、フィルターを水で数回すすぐ。このフィルターを空気乾燥し、フィルターをプレートリーダー(Molecular Devices)で波長540nmにおいて読み取ってシグナルを測定する。遊走の大きさを、化学誘引物質を含むウェルおよび化学走性バッファーのみのウェルの吸光度の比として計算する。
【0150】
実施例2
マウスへのケモカイン注射
この実施例はインビボアッセイを記載し、ここでは、いくつかのケモカインが樹状細胞を誘引する能力を示す。
【0151】
以下のケモカインは R&D Systems(Minneapolis, MN)から得た:MCP2、MCP3、MIP1β、Rantes、mMIG、mMDC、mC10、vMIP1。各ケモカインは(PBS中2ug)を異なるBALB/cマウスに皮内注射した。1マウスはケモカインを含まないPBSのコントロール注射を受けた。注射72時間後、マウスを安楽死させ、注射部位まわりの領域を切り出し、免疫組織学に付した。凍結セクションを抗−DEC−205抗体(Bio-Whittaker Molecular Applications, Rockland, ME; Kraal et al., 1986, J. Exp. Med. 163:981)を用いて染色した。これは樹状細胞に特異的な表面分子を認識するものである。0から5のスケールの相対染色数を各セクションに割り当てた(0=最低の浸入、5=最高の浸入)。結果を表4に示す。
【0152】
いくつかのケモカインは、マウスへの皮内注射72時間後に、DEC−205+(樹状細胞)の注射部位への浸入を導いた。これらのうち、MCP3、MIP3β、mMIG、mMDC、mC10、およびウイルスMIP1はDC浸入を示し、MCP3、mMDC、およびmC10は最高の浸入を示した。
【0153】
表4
【表9】
Figure 0004903342
【0154】
実施例3
アカゲザルへのケモカイン注射
この実施例は、非ヒト霊長類に皮内注射された特定のケモカインは注射部位への単核浸入を導くことを示す。
【0155】
コード化された、滅菌ケモカイン(PBS中2ug)をアカゲザルの上腕に麻酔下で皮内注射(100uL注射用量)した。各ケースにおいて、サル2匹にそれぞれ、同一ケモカインの注射を2の異なる位置(左腕対右腕)に2回注射した。72時間後、1注射部位に穴をあけて生検を実施し、辺縁部および中心部サンプルに分離し、両サンプルを免疫組織学用に調製した。96時間後、他方の注射部位に穴をあけて生検を実施し、辺縁部および中心部サンプルに分離し、両サンプルを免疫組織学用に調製した。表5の各列は単一動物を示す。調製された組織のセクションをヘマトキシリン(hematoxalin)およびエオシン染色し、細胞形態(例えば、多核とは対照的な単核であること)に基づいて単核細胞を同定した。GM−CSF(200ug用量)およびRantes(20ug用量)をポジティブコントロールとして用いた。PBSの注射および注射されていない組織の分析をネガティブコントロールとして用いた。
【0156】
単核浸入を以下の0から5の尺度に基づいて評価した:0=皮膚を通して、非常に穏やかな血管周囲の単核炎症性浸入が見られる;1=皮膚を通して、穏やかな血管周囲の単核炎症性浸入が見られる;2=皮膚を通して、穏やか/中程度の血管周囲の単核炎症性浸入が見られる;3=皮膚を通して、中程度の血管周囲の単核炎症性浸入が見られる;4=皮膚を通して、大規模な血管周囲の単核炎症性浸入が見られる;5=皮膚を通して、極度な血管周囲の単核炎症性浸入が見られる。中間の評価を記載する。例えば「2/3」は2と3の間の評価を意味する。
【0157】
結果を表5に示す。GM−CSF(200ug用量)は72時間の時点で2および3の間のレベルの浸入を示した。RANTES(20ug)用量は72時間の時点で2および3の間のレベルの浸入を示した。さらに、RANTESの内部的にコード化されたサンプル(20ug用量)は2レベルまでの浸入を示した。ネガティブコントロール(PBS)は通常、0レベルの浸入を有した。
【0158】
試験されたケモカインのうち、MCP−2、MCP−3、MIP−1β、MIP3α、MIP3β、Rantes、mMIG、mMDC、mC10、およびウイルスMIP1は単核浸入を示し、mMDC、mC10、およびウイルスMIP1は最も高いレベルの浸入を示した。概して、より大きな浸入は96時間後より72時間後に見られた。
【0159】
表5
【表10】
Figure 0004903342
Figure 0004903342
符号の説明:「*」はポジティブコントロールとして用いる。各行は別々のアカゲザルを示し、アッセイされた4サンプルの組織学評価が各動物を構成する。セクション内の「局所的」1ベッセルは、顕著な浸入を示した(すなわち、ベッセルまわりのスライド(slide)の1セクションは顕著な浸入を示し、一方、残りのスライドは、通常以上または以下であった)。「中心部」および「辺縁部」とは組織セクションが由来する部位を意味する。「中心部」組織セクションは皮内注射の部位で採取され;「辺縁部」組織セクションは注射部位からさらに、注射によって生じたはれものの縁の方から採取される。
【0160】
実施例4
アカゲザルへのケモカイン注射
第二の態様では、種々の量(PBS100uL中、約8、2.4、または0.8ug)の種々のケモカインを麻酔下でアカゲザルに皮内注射した。24または48時間後、6mm皮膚のパンチ生検を無菌技術を用いて採取した後、二分して、分析用に調製した。生検の一部分をOCT化合物に埋め込み、急速冷凍し、−70℃で保存した。他の部分の生検をホルマリン内で固定し、パラフィンワックスに埋め込み;次いで、セクションをヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、顕微鏡によって皮膚内への細胞浸入を調べた(表6)。ネガティブコントロールとして、サルにケモカインを欠くPBSを注射した。
【0161】
皮膚内の単核細胞浸入を以下の0〜4の尺度で評価した:0、浸入なし;1、わずかに浸入;2、中程度に浸入;3、実質的な浸入;4、極度の浸入。表6に示されるように、ケモカインmC10およびvMCK−2は実質的な単核細胞の浸入を、特に24時間の時点で引き起こした。マウスウイルスによってコードされるケモカイン(vMCK−2)は霊長類細胞における強い活性を示した。浸入細胞は主に脂肪組織において見られたが、細胞はまた、皮下領域、48時間のvMCK−2の場合、外皮(superficial dermis)のコラーゲン基質内に見られた。ケモカインmMDCおよびvMIP−1はmC10およびvMCK−2より低度の炎症を引き起こした。
【0162】
表6
【表11】
Figure 0004903342
【0163】
実施例5
ハイブリカインの設計
「ハイブリカイン」とは、適当な、望ましい、および高められた質の新規分子を作成するように設計されたキメラケモカインポリペプチドである。通常、所望のハイブリカインのアミノ酸配列が決定され、その分子が化学合成によって作成される。この実施例では、ケモカインhMCP−2、mC10およびmMDCを、不変のシステイン残基の間隔に基づいて概念的に機能的ドメインに分割した。キメラ配列はこれらの分子間でドメインを交換することによって調製した。アミノ末端領域(第一の保存されたシステイン残基から成熟天然タンパク質のアミノ末端のすべてのアミノ酸)は異なるケモカイン分子の残りの部分に対して交換され、ハイブリッドが創出される。図2に示されるように、mC10およびhMCP−2間のアミノ末端領域は、2つの新規分子を創出する:mC10/hMCP2およびhMCP2/mC10「ハイブリカイン」分子。さらに、mMDCおよびhMCP−2間のアミノ末端領域を交換し、さらに2つの新規分子を創出する:mMDC/hMCP2およびhMCP2/mMDC「ハイブリカイン」分子。これらのポリペプチドは伝統的なFmocペプチド化学を用いて、化学的に合成される。ポリペプチドはインビトロおよびインビボ化学走性アッセイにおいて用いられ、これらの化学走性特性が測定される。
【0164】
本発明は、APC−化学走性組成物および治療的および予防的免疫化に関する新規方法および材料を提供する。具体的な実施例が提供されているが、上記記載は例示的であり、限定的なものではない。本発明の多くのバリエーションは、本明細書の再検討時に、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は上記記載に関してではなく、その代わりに請求の範囲に関して、その等価な全範囲を伴って決定されるべきである。
【0165】
本明細書中に引用される、すべての刊行物および特許文献は、すべての目的のために、引用により、それぞれの個々の刊行物または特許文献が個別に記載されているのと同程度にその全開示内容が包含される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は樹状細胞の発生経路を示す。
【図2】 図2は例示的キメラケモカインの配列を示す。

Claims (30)

  1. 抗原提示細胞ケモタキシン(APC−ケモタキシン)および 抗原 (ここに該APC−ケモタキシンは;
    (a)ネズミサイトメガロウイルスケモカイン−2(vMCK−2)およびmC10から選ばれるケモカインポリペプチド;
    (b)該ポリペプチドの化学走性特性を変化させない(a)の変異体;または
    (c)(a)または(b)をコードするポリヌクレオチドである)
    の、医薬物の製造における使用。
  2. 該医薬物がさらにさらなるケモカインを含む請求項1に記載の使用。
  3. 該医薬物がvMCK−2およびmC10の両方を含む請求項1に記載の使用。
  4. APC−ケモタキシンがvMCK−2またはmC10および別の天然のケイモカインをコードするポリヌクレオチドのin vitro組換えにより生成されるポリヌクレオチドによりコードされる、請求項1に記載の使用。
  5. 該抗原が微生物病原体由来であるか、または腫瘍関連抗原である、請求項1に記載の使用。
  6. 該微生物病原体が細菌またはウイルスである、請求項5記載の使用。
  7. APC−ケモタキシンがvMCK−2である、請求項に記載の使用。
  8. APC−ケモタキシンがmC10である、請求項に記載の使用
  9. APC−ケモタキシンがvMCK−2をコードするポリヌクレオチドである、請求項に記載の使用。
  10. APC−ケモタキシンがmC10をコードするポリヌクレオチドである、請求項1に記載の使用。
  11. 実質的に精製されたケモカインポリペプチドおよび、抗原性ポリペプチドを含むワクチン組成物であって、該ケモカインポリペプチドが、ネズミサイトメガロウイルスケモカイン−2(vMCK−2)もしくは該ポリペプチドの化学走性特性を変化させないその変異体、またはmC10もしくは該ポリペプチドの化学走性特性を変化させないその変異体であるワクチン組成物。
  12. ケモカインポリペプチドがvMCK−2である、請求項11に記載のワクチン組成物。
  13. ケモカインポリペプチドがmC10 である、請求項1に記載のワクチン組成物。
  14. 実質的に精製された抗原提示細胞ケモタキシン(APC−ケモタキシン、および抗原を含む組成物であって、APC−ケモタキシンが、
    (a)ネズミサイトメガロウイルスケモカイン−2(vMCK−2)およびmC10からなる群から選ばれるケモカインポリペプチド;
    (b)該ポリペプチドの化学走性特性を変化させない(a)の変異体:または
    (c)(a)または(b)をコードするポリヌクレオチドである、組成物。
  15. さらに医薬的に許容される賦形剤または常套的アジュバントを含む、請求項14に記載の組成物。
  16. さらにさらなるケモカインを含む、請求項14に記載の組成物。
  17. vMCK−2およびmC10の両方を含む請求項14に記載の組成物。
  18. 該抗原が微生物病原体由来であるか、または腫瘍関連抗原である、請求項14に記載の組成物。
  19. 該微生物病原体が細菌またはウイルスである、請求項18に記載の組成物。
  20. APC−ケモタキシンがvMCK−2である、請求項14に記載の組成物。
  21. APC−ケモタキシンがmC10 である、請求項14に記載の組成物。
  22. APC−ケモタキシンがvMCK−2をコードするポリヌクレオチドである、請求項14に記載の組成物。
  23. APC−ケモタキシンがmC10をコードするポリヌクレオチドである、請求項14に記載の組成物。
  24. 被検体において特定の抗原に対する免疫応答を誘発可能な組成物を製剤化する方法であって、抗原提示細胞ケモタキシン(APC−ケモタキシン)、特定の抗原、および製薬的に許容される賦形剤、または慣用のアジュバントを組み合わせることを含む、該APC−ケモタキシンが、
    (a)ネズミサイトメガロウイルスケモカイン−2(vMCK−2)およびmC10から選ばれるケモカインポリペプチド;
    (b)該ポリペプチドの化学走性特性を変化させない(a)の変異体;または
    (c)(a)または(b)をコードするポリヌクレオチド
    である方法。
  25. 該抗原が微生物病原体由来であるか、または腫瘍関連抗原である、請求項24に記載の方法。
  26. 該微生物病原体が細菌またはウイルスである、請求項25に記載の方法。
  27. APC−ケモタキシンがvMCK−2である、請求項24に記載の方法。
  28. APC−ケモタキシンがmC10である、請求項24に記載の方法。
  29. APC−ケモタキシンがvMCK−2をコードするポリヌクレオチドである、請求項24に記載の方法。
  30. APC−ケモタキシンがmC10をコードするポリヌクレオチドである、請求項24に記載の方法。
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