JP4902913B2 - TNF−α産生抑制剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍壊死因子産生抑制剤(すなわち、TNF-α産生抑制剤)、さらに詳しくは、糖尿病の予防または治療および肥満の予防および解消に有効な植物由来成分を含有するTNF-α産生抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、我が国において最も患者数が多い生活習慣病の一つである。大別して、インスリン分泌能の低下や消失が主な原因であるI型糖尿病と、インスリン非依存型のII型糖尿病があるが、特に近年、後者の発症例が増加している。
II型糖尿病は、インスリンの分泌量が低下しやすく糖尿病になりやすい体質を持っている人が、食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレス、加齢などのインスリンの作用を妨害するような引き金が加わると発症するもので、特に中高年での発症例が多いが、小児にもみられる。
【0003】
さらに近年、インスリンの作用を妨害する要因として、脂肪を蓄積する脂肪細胞から腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor-α;以降、TNF-αという)が分泌されることが見出されている。TNF-αは、マクロファージで産生されることも知られている。TNF-αが、特に肥満により増加した脂肪細胞から分泌されて増加すると、筋肉や脂肪組織のインスリンに対する感受性が低下し、血糖が上昇する。従って、脂肪細胞などからのTNF-αの産生を抑制することによって、糖尿病の発症や症状の進行が抑制されるものと期待できる。
【0004】
糖尿病患者のインスリン抵抗性改善薬として公知のノスカール(三共)およびアクトス(武田薬品工業)は、インスリンの情報伝達系を正常化させるのみならず、TNF-αの産生抑制作用を有することも報告されている[Ghanim H, Garg R, Aljada A., Mohanty p., Kumbkarni Y., Assian E., Hamouda W., Dandona P., J. Clin. Endocrinol. Metab., 86巻, p.1306〜1312(2001年)]、[Iwata M., Haruta T., Usui I., Takata Y., Takano A., Uno T., Kawahara J., Ueno E., Sasaoka T., Ishibashi O., Kobayashi M., diabetes, 50巻, p.1083〜1092(2001年)]。しかし、これらは、使用に伴い重篤な副作用が発症することが問題となっている。
【0005】
前記製剤に比べて副作用の少ない天然植物由来のTNF-α産生抑制剤としては、キャッツクロウ(Uncaria tomentosa) [Sandoval M., Charbonnet R. M., Okuhama N. N., Roberts J., Krenova Z., Trentacosti A. M., Miller M. J., Free Radic. Biol. Med., 29巻, p71〜78(2000年)]、Amorpha fruticosa [Cho J. Y., Kim PS., Park J., Yoo E. S., Baik K. U., Kim Y. K., Park M. H., J. Ethnopharmacol., 70巻, p.127〜133(2000年)]やシトラスより単離されたフラボノイド類 [Manthey J. A., Grohmann K., Montanari A., Ash K., Manthey C. L., J. Nat. Prod., 62巻, p.441〜445(1999年)]なども知られているが、これらの知見はいずれもマクロファージ系細胞のみから得られたものであり、脂肪細胞からの産生抑制効果についての研究は報告されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、植物由来成分として容易に入手でき、人体に対し安全性が高く、かつ脂肪細胞からのTNF-α産生を有効に抑制できる、新規なTNF-α産生抑制剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決する植物由来成分を調査すべく鋭意研究を行なった結果、スベリヒユ科(Portulacaceae)ハゼラン(Talinum)属植物が、マクロファージでのTNF-α産生のみならず、脂肪組織からのTNF-α産生に対しても抑制作用を示す有効成分を含有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、スベリヒユ科ハゼラン属植物から得られる有効成分を含有するTNF-α産生抑制剤を提供する。特に本発明は、前記植物からの有機溶媒抽出物を含有するTNF-α産生抑制剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
TNF - α産生抑制剤
本発明のTNF-α産生抑制剤は、スベリヒユ科ハゼラン属植物から得られる有効成分を含有する。
スベリヒユ科ハゼラン属植物は、西インド諸島、南米、中国、東南アジアなどで栽培されており、例えばスベリヒユ科ハゼラン属タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナー(Talinum paniculatum GAERTNER)、同テヌイシマム・ディンター(Talinum tenuissimum DINTER)、同トリアングラー・ウィルド(Talinum triangulare WILLD)および同クラシフォリウム・ウィルド(Talinum crassifolium WILLD)などが含まれる。とりわけ、インドネシアのジャワ島で栽培されているタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーは、ジャワニンジン (Ginseng Java)、ソムジャワ (Som Java)、ゲランポルスルン (Gelang Porselen)とも呼ばれ、その根部位が、従来から、強壮のほか、肺結核、下痢、頻尿、月経不順または乳汁不足などの治療に使用され、さらにはその根の乾燥物が、高級飽和アルコールのアセテート体、ステロール類およびβ-シトステロールグルコサイドなどの成分を含有することが既に報告されている[小松曼耆、横江一郎、白瀧義明、富森 毅著、薬学雑誌、102巻、p.499〜502、(1982年)]。
しかし、スベリヒユ科ハゼラン属植物が脂肪細胞からTNF-αの産生抑制に有効であることや、さらにはそれを糖尿病や肥満などの予防または治療に適用することについての報告は現在までなされていない。
本発明によれば、好ましくは前記植物から選択される1種以上、より好ましくは根部位、または前記植物から得られる溶媒抽出物、あるいは前記溶媒抽出物から単離される特定の化合物が脂肪細胞からTNF-α産生を有効に抑制できることに着目し、これらのうち少なくとも1種を有効成分として含有するTNF-α産生抑制剤を提供するものである。
【0009】
有効成分としての溶媒抽出物は、例えば、以下の方法で得ることができるが、この方法に限定されず、使用される有効成分の形態や抽出溶媒の種類などに応じて適宜変更してよい。詳細な抽出手順については以降の調製例で説明する。
まず、前記植物から選択される1種以上、例えば、タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーを、好ましくは乾燥させた後で一般的な粉砕手段を用いて粉砕物とする。ここで、粉砕は、特に微粉化するまで行なう必要はなく、前記植物の各部位から有効な成分が十分に溶出し得る程度(例えば、約10mm以下の寸法)まで行なえばよい。
前記粉砕物を、適した抽出溶媒に加え、加温して抽出する。
有効成分を得るのに使用される抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜8までのアルコール類、酢酸エチル等のエステル系有機溶媒、または水と前記アルコール類との混合溶媒が挙げられ、とりわけ水または水/アルコール混合溶媒を使用することが好ましく、最も好ましくは、水、または水とメタノールまたはエタノールとの1:1混合液(以降、「50%メタノール」または「50%エタノール」という)を使用する。
抽出は、例えば、粉砕物に10倍量の所望の抽出溶媒を加えて、抽出溶媒の沸点付近の温度で1〜3時間還流抽出する。抽出温度および抽出時間は、使用される抽出溶媒によって変化してよく、例えば、抽出溶媒としてメタノールを使用する場合、約80℃の温度で約3時間加熱抽出する。
抽出後、熱いうちに、または冷却した後、濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮する。
必要に応じて、濃縮後の残渣に新たに抽出溶媒を加え、同様の手法で1〜2回抽出してもよい。
【0010】
本発明において有効成分は、更に必要に応じて、前記溶媒抽出物から分配されるフラクション、あるいは前記フラクションから単離されたものであってもよい。
すなわち、フラクションまたはそれからの有効成分の単離は、上記の方法で得られた溶媒抽出物に、酢酸エチルおよび水を等容量加えて分配し、酢酸エチル層(酢酸エチル移行部)と水層に分離する。得られた水層に等容量の水飽和ブタノールを加えて分配して、得られる水移行部とブタノール移行部をそれぞれ減圧濃縮する。これにより、酢酸エチル移行部、ブタノール移行部および水移行部が得られる。次いで、酢酸エチル移行部もしくはブタノール移行部をカラムクロマトグラフィーなどの分離精製方法に付することにより、特に好ましい有効成分として、下記の式で表されるアルカロイド成分を単離することができる。
【化2】
Figure 0004902913
(ここで、Rは、水素、水酸基、アルキル部位の炭素数が1〜5までのアルコキシ基もしくはアルキルカルボニルオキシ基、またはアリール環を構成する炭素原子の数が5〜7までのアリールカルボニルオキシ基であって、好ましくは水酸基、アセトキシ基またはベンゾイルオキシ基であり;Rは、水素、水酸基、アルキル部位の炭素数が1〜5までのアルコキシ基もしくはアルキルカルボニルオキシ基、またはアリール環を構成する炭素原子の数が5〜7までのアリールカルボニルオキシ基であって、好ましくは水酸基、アセトキシ基またはベンゾイルオキシ基である。)
【0011】
本発明において有効成分として含有できる、前記溶媒抽出物から分配されたフラクションに含まれるアルカロイドは、特に好ましくは、スベリヒユ科ハゼラン属タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナー(特に、その根部位)からの溶媒抽出物から単離される新規アルカロイド(すなわち、ジャワベリンA:
【化3】
Figure 0004902913
またはその酢酸エステル:
【化4】
Figure 0004902913
、およびジャワベリンBアセテート:
【化5】
Figure 0004902913
)と、下記式で表される1種の既知アルカロイドである(±)-8-(パラヒドロキシベンジル)-2,3,10,11-テトラヒドロキシプロトベルベリンペンタアセテートである。
【化6】
Figure 0004902913
【0012】
本発明において有効成分として使用される前記アルカロイドはいずれも、マクロファージだけでなく脂肪組織からのTNF-α産生に対しても抑制作用を示すことを特徴とする。すなわち、本発明は、糖尿病の予防および治療のみならず、糖尿病予備軍の最大原因である肥満の予防や解消にも有効である。
【0013】
本発明のTNF-α産生抑制剤は、有効成分として、前記植物から選択される1種以上、より好ましくはそれらからの溶媒抽出物あるいは前記溶媒抽出物から単離されるアルカロイド成分を、TNF-α産生抑制剤の全重量に対し、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは3〜10重量%で配合する。有効成分の配合量は、本発明のTNF-α産生抑制剤が適用される対象の年齢や体重により適宜変化してよい。
【0014】
本発明のTNF-α産生抑制剤は、より好ましくは経口組成物として提供される。従って、本発明のTNF-α産生抑制剤は、前記有効成分以外に、医薬分野において常用される既知の他の化合物、例えば、経口投与に適した形状(例えば、粉末、固形剤、液剤)に成型するために必要な化合物を適宜配合していてよい。配合される化合物の例としては、乳糖、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、カオリン、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0015】
本発明は、前記TNF-α産生抑制剤を含有する食品も提供する。
本発明の食品の例としては、タブレット、ドリンク、ゼリー、ガム、チュアブル、グミなどが挙げられる。食品として提供されることにより、容易に入手および摂取でき、糖尿病や肥満を早期に解消できるという効果を発揮し得る。
【0016】
また、本発明は、配合される有効成分が脂肪組織からのTNF-α産生を抑制する作用を示すことから、ダイエット食品としても提供され得る。
【0017】
さらに、本発明は、前記TNF-α産生抑制剤を含有する糖尿病予防薬も提供する。本発明は、毎日摂取することにより、体内でのTNF-αの産生を抑制し、糖尿病の発症に関わるインスリンの抵抗性の増強を予防し、かつ糖尿病の症状の悪化を緩和することができる。
【0018】
【実施例】
以下の調製例および実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら調製例および実施例に限定されるものではない。
調製例1:スベリヒユ科ハゼラン属タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーからの溶媒抽出物の作製
スベリヒユ科ハゼラン属タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの乾燥根の粉砕物4.4kgをメタノール10リットルで熱時抽出(80℃、3時間)した後、得られる抽出液を濾別した。濾過残渣にメタノールを加え、同様の抽出操作を計3回行った。全てのメタノール抽出液を合わせて、減圧下(減圧度750mmHg、温度40〜50℃)で溶媒留去し、メタノール抽出物を得た(246.6g、乾燥根からの収率5.6%)。
一方、タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根以外の全ての部分についても、上記と同様の手法で抽出を行ない、メタノール抽出物(収率1.8%)を得た。
【0019】
調製例2:スベリヒユ科ハゼラン属植物の根からの溶媒抽出物の作製
タリナム・テヌイシマム・ディンター、タリナム・トリアングラー・ウィルドおよびタリナム・クラシフォリウム・ウィルドのそれぞれの根の粉砕物を、調製例1に準じて抽出し、各メタノール抽出物を得た。
【0020】
調製例3:有効成分としてのアルカロイドの単離
調製例1で得られたタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーのメタノール抽出物を、酢酸エチル−水の混合溶液(1:1v/v)で分配抽出し、得られた水層について水飽和n-ブタノールで更に分配抽出した後、各移行部を減圧下溶媒留去して、酢酸エチル移行部(42.0g、0.9%)、n-ブタノール移行部(54.6g、1.2%)および水移行部(150.0g、3.4%)を得た。n-ブタノール移行部(43.0g)を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[充填剤:シリカゲル1.3kg、溶離液:クロロホルム:メタノール:水(10:3:0.5→7:3:0.5→6:4:1(v/v)の順序で混合比を変えたもの)、およびその後メタノール100%]で分画し、フラクション (Fr.) 1 (3.8g, 0.11%)、Fr. 2 (15.5g, 0.45%)、Fr. 3 (24.9g, 0.72%) を得た。
【0021】
Fr. 2 (15.5g) を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[充填剤、オクタデシルシリル化シリカゲル500g;溶離液、メタノール:水(0:100→30:7070:30→100:0(v/v)の順序で混合比を変えたもの)]で分画し、Fr. 2-1 (0.6g、0.017%)、Fr. 2-2 (3.2g, 0.092%)、Fr. 2-3 (1.0g, 0.029%)、Fr. 2-4 (0.6g, 0.017%)、Fr. 2-5 (1.7g, 0.049%)、Fr. 2-6 (3.1g, 0.089%) の6画分を得た。
【0022】
Fr. 2-2 (694.9mg)をカラムクロマトグラフィー[充填剤、東ソー(株)社製、商品名トヨパール HW-40F、200ミリリットル;溶離液、水 → メタノール]で分離精製し、ジャワベリンA(196.8mg, 0.026%)を得た。
【0023】
Fr. 2-4(0.6g)にメタノール(50ミリリットル)を加えた後ろ過し、メタノール可溶部(Fr. 2-4-1, 490.9mg, 0.014%) および不溶部 (Fr.2-4-2, 108.7mg, 0.0031%) を得た。Fr.2-4-1 (204.9mg) の脱水ピリジン (3.0ミリリットル)溶液に、無水酢酸 (1.5ミリリットル) を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を飽和食塩水中にあけ、酢酸エチルで抽出し、得られた酢酸エチル層に硫酸マグネシウムを加え乾燥した後、硫酸マグネシウムを濾別した。濾液を減圧下溶媒留去しアセチル化分画 (Fr.2-4-1Ac, 247.5mg)を得た。Fr.2-4-1Ac (104.8mg)を高速液体クロマトグラフィー[カラム、YMC-Pack ODS-A、長さ250mm×内径20mm;移動相、アセトニトリル:水 (60:40, v/v);流量、毎分9.0ミリリットル;検出、紫外可視分光光度計検出器 (検出波長:280nm)]で分離精製し、新規アルカロイドであるジャワベリンAアセテート(27.6mg)とジャワベリンBアセテート(16.3mg)、そして既知のアルカロイドである(±)-8-(パラヒドロキシベンジル)-2,3,10,11-テトラヒドロキシプロトベルベリンペンタアセテート(5.8mg)が得られた。
【0024】
ここで、既知アルカロイド(±)-8-(パラヒドロキシベンジル)-2,3,10,11-テトラヒドロキシプロトベルベリンペンタアセテートについては、文献値[Xu Q., Lin M., Journal of Natural Products, 62巻, p.1025-1027 (1999年).]との旋光度、水素核(H)および炭素核(13C)の核磁気共鳴(NMR)スペクトルデータの比較により同定した。この化合物は下記の構造式で表される。
【化7】
Figure 0004902913
【0025】
調製例4:新規アルカロイド2種の構造決定
単離した2種の新規アルカロイド(ジャワベリンAアセテートとジャワベリンBアセテート)は、化学構造を決定するために各種機器 (旋光度計、赤外分光光度計、紫外・可視分光光度計、質量分析装置、核磁気共鳴分析装置) を用いて物性の測定を行い、得られたスペクトルデータを解析し、以下のように構造を決定した。
( ) ジャワベリンA (javaberine A)
旋光度:[α] 25+6.6°(c=0.5、メタノール中で測定)
高分解能高速原子衝撃イオン化型質量分析(HR-FAB-MS):
分子式C24H24NO6 (M+H)に対する理論値:422.1604
ジャワベリンAの実測値 :422.1609
赤外吸収 (IR)(臭化カリウム錠剤法):
3389、1620、1528、1385、1285、1117(cm−1)
紫外吸収(UV)[メタノール;nm (logε)]:287(3.9)
水素核−核磁気共鳴 (H−NMR)(重メタノール−d、500MHz):δ
2.86 (1H、dd、J = 11.4、17.8 Hz、13-H)、2.92-3.00 (2H、m、5-H2)、
2.97 (1H、m、α-H)、3.25 (1H、m、13-H)、3.31 (1H、m、α-H)、3.39
(1H、m、6-H)、3.48 (1H、m、6-H)、4.46 (1H、br d、J = 7.3 Hz、
8-H)、4.81 (1H、m、14-H)、5.92 (1H、s、9-H)、6.39 (1H、br d、
J = 7.8 Hz、6'-H)、6.50 (1H、br s、2'-H)、6.58 (1H、s、12-H)、
6.63 (1H、s、4-H)、6.65 (1H、s、1-H)、6.70 (1H、d、J = 7.8 Hz、
5'-H)
炭素核−核磁気共鳴 (13C−NMR)(重メタノール−d、125 MHz):δc
26.0 (5-C)、33.0 (13-C)、42.4 (α-C)、47.1 (6-C)、53.7 (14-C)、
68.3 (8-C)、114.1 (1-C)、116.0 (9-C、12-C)、116.4 (4-C)、116.6 (5'-C)
、118.1 (2'-C)、120.7 (8a-C)、121.5 (12a-Cもしくは4a-C)、121.7 (4a-Cもしくは12a-C)、122.6 (6'-C)、126.0 (14a-C)、128.0 (1'-C)、145.0
(10-C)、145.7 (2-Cもしくは4'-C)、145.8 (4'-Cもしくは2-C) 146.4 (3'-C)、
147.1 (3-C、11-C)
FAB-MS質量対電荷比(m/z):
422(M+H)+, 298(M−C), 164(M−C1514+H)
【0026】
以上の物理化学データと二次元NMR (H-H COSY、C-H COSY、HMBC) の詳細な解析の結果から、ジャワベリンAは、以下に示す化学構造を有する化合物であると決定した。
【化8】
Figure 0004902913
尚、上記式中に記載された数字は、化合物骨格中の炭素原子に付された番号である。
【0027】
また、ジャワベリンAの立体配置については、ジャワベリンAをアセチル化体に誘導後、そのアセチル化体について水素核核磁気共鳴(H−NMR)における核オーバーハウザー効果(NOE)測定実験を行った結果、8位と14位の水素−水素間には相関が観測されず、14位とα位の水素−水素間に相関が観測されたことから、8位と14位の水素の関係はトランス(trans)配置であることが明らかとなった。
【0028】
( ) ジャワベリンAアセテート (javaberine A acetate)
旋光度:[α] 24+5.0°(c=0.9、クロロホルム中で測定)
高分解能電子衝撃イオン化型質量分析(HR-EI-MS):
分子式C36H35NO12 (M)に対する理論値:673.2159
ジャワベリンAアセテートの実測値 :673.2164
赤外吸収(IR)(液膜法):
1769、1505、1429、1372、1260、1210、1181、1013(cm−1)
紫外吸収 (UV) [メタノール;nm(logε)]:269(3.7)
水素核−核磁気共鳴(H−NMR)(重クロロホルム−d、500MHz):δ
2.261、2.266、2.271、2.275、2.29、2.30 (3H each、all s、COCH 3 )、
2.75 (2H、m、5-H、6-H)、2.82 (1H、dd、J = 5.5、13.7 Hz、α-H)、
2.88 (1H、dd、J = 5.3、17.2 Hz)、2.95 (1H、dd、J = 11.0、17.2 Hz)
(13-H2)、2.95 (1H、m、5-H)、3.06 (1H、m、6-H)、3.18 (1H、dd、
J = 7.6、13.7 Hz、α-H)、3.95 (1H、dd、J = 5.5、7.6 Hz、8-H)、4.40
(1H、dd、J = 5.3、11.0 Hz、14-H)、6.64 (1H、s、9-H)、6.90 (1H、
s、12-H)、6.95 (1H、s、4-H)、6.97 (1H、s、1-H)、7.02 (1H、br s、
2'-H)、7.06 (1H、d、J = 8.2 Hz、5'-H)、7.08 (1H、br d、J = 8.2 Hz、
6'-H)
炭素核−核磁気共鳴(13C−NMR)(重クロロホルム−d、125MHz):δc
20.58 (COCH 3 )、20.65 (COCH 3 )、20.67 (COCH 3 ×4)、29.5 (5-C)、
32.1 (13-C)、41.0 (α-C)、50.2 (14-C)、66.2 (8-C)、121.1 (1-C)、122.3
(9-C)、123.0 (5'-C)、123.3 (12-C)、123.6 (4-C)、124.4 (2'-C)、127.8
(6'-C)、132.1 (12a-C)、133.3 (4a-C)、135.5 (8a-C)、137.1 (14a-C)、
138.8 (1'-C)、139.8、139.9 (2-C、3-C、10-C、11-Cのいずれか)、140.3
(4'-C)、140.49、140.54 (2-C、3-C、10-C、11-Cのいずれか)、141.7 (3'-C)
、168.3 (COCH3×2)、168.42、168.44、168.50、168.53 (COCH3)
EI-MS(イオン化電圧20eV、相対強度%):m/z
673(M+、0.3)、631(M+−アセチル、0.4)、466(M+−8位ベンジル、100.0)
、424(466−アセチル、96.3)、382(466−アセチル×2、31.2)、340(466−
アセチル×3、7.2)、298 (466−アセチル×4、3.2)
【0029】
上記結果より、ジャワベリンAアセテートは、以下に示す化学構造を有する化合物である。
【化9】
Figure 0004902913
尚、上記式中の数字は、化合物骨格中の炭素原子に付された番号である。
【0030】
( ) ジャワベリン B アセテート (javaberine B acetate)
旋光度:[α] 26+8.0°(c=0.8、クロロホルム中で測定)
高分解能電子衝撃イオン化型質量分析(HR-EI-MS):
分子式C36H35NO12 (M)に対する理論値:673.2159
ジャワベリンBアセテートの実測値 :673.2169
赤外吸収 (IR)(液膜法):
1769、1505、1428、1372、1258、1210、1179、1013(cm−1)
紫外吸収(UV)[メタノール:nm(logε)]:268 (3.3)
水素核−核磁気共鳴 (H−NMR)(重クロロホルム−d、500MHz):δ
2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.30 (3H each、all s、COCH 3 )、2.65
(2H、m、5-H、6-H)、2.74 (1H、dd、J = 3.1、17.4 Hz、α-H)、2.88
(1H、dd、J = 5.5、17.4 Hz、13-H)、2.97 (1H、dd、J = 11.3、17.4 Hz
、13-H)、2.97 (2H、m、5-H、6-H)、3.09 (1H、dd、J = 9.2、14.3 Hz、
α-H)、3.94 (1H、dd、J = 3.1、9.2 Hz、8-H)、4.49 (1H、dd、J = 5.5
、11.3 Hz、14-H)、6.95 (1H、s、4-H)、6.99 (1H、s、1-H)、7.01 (1H、
d、J = 8.2 Hz、12-H)、7.06 (1H、d、J = 8.2 Hz、11-H)、7.07 (1H、d
、J = 8.2 Hz、5'-H)、7.11 (1H、d、J = 1.8 Hz、2'-H)、7.15 (1H、dd、
J = 1.8、8.2 Hz、6'-H)
炭素核−磁気共鳴(13C−NMR)(重クロロホルム−d、125 MHz):δc
20.5 (COCH 3 )、20.67 (COCH 3 ×3)、20.70 (COCH 3 )、20.72 (COCH 3 )、
29.4 (5-C)、30.6 (13-C)、40.1 (α-C)、45.8 (6-C)、49.6 (14-C)、62.7
(8-C)、121.2 (1-C)、121.6 (11-C)、122.9 (5'-C)、123.6 (4-C)、124.0
(2'-C)、126.9 (12-C)、127.2 (6'-C)、131.4 (8a-C)、132.4 (12a-C)、
133.2 (4a-C)、137.4 (14a-C)、139.4 (1'-C)、139.7、139.9 (2-Cもしくは
3-C)、140.30、140.38、140.41 (4'-Cもしくは9-Cもしくは10-C)、168.1、
168.3 (COCH3)、168.4 (COCH3×2)、168.53、168.54 (COCH3)
EI-MS(イオン化電圧20eV、相対強度%):m/z
673(M+、0.2)、631(M+−アセチル、0.2)、466(M+−8位ベンジル、47.0)、
424(466−アセチル、100.0)、382(466−アセチル×2、72.5)、340(466−
アセチル×3、22.1)、298(466−アセチル×4、6.3)、
248(M+−C2321)
【0031】
以上の物理化学データと二次元NMR(H-H COSY、C-H COSY、HMBC)および核オーバーハウザー効果(NOE)の詳細な解析の結果から、ジャワベリンBアセテートは、以下に示す化学構造で表される化合物であると決定した。
【0032】
【化10】
Figure 0004902913
尚、上記式中の数字は、化合物骨格中の炭素原子に付された番号である。
【0033】
実施例1:マクロファージからのTNF - α産生抑制剤活性の評価
調製例1、2および3で得られた抽出物とアルカロイドをそれぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、希釈系列を作製した。これらに培地を加えてDMSOを1%ずつ含有するサンプル溶液を調製した。ddY系雄性マウス(体重 30g、紀和実験動物より入手)の腹腔内より得た腹腔滲出細胞をリン酸緩衝食塩水[PBS(−)]で洗浄し、10%ウシ胎児血清(FCS)を含有するRPMI 1640培地に細胞密度が5×10細胞/ミリリットルになるように懸濁した。これを96穴マイクロプレートに100マイクロリットルずつ播種し、5%二酸化炭素存在下において37℃で1時間培養した。各穴をPBS(−)で洗浄して非付着性の細胞を除去後、サンプル溶液(100マイクロリットル)と20μg/ミリリットルのリポポリサッカライド(LPS、腸炎菌(Salmonella enteritidis)由来、シグマ社製)100マイクロリットルを各穴に添加した。
4時間経過後、培地中に産生された TNF-α量を市販キット(Tumor necrosis factor alpha mouse、ELISA system[アマシャム・ファルマシア・バイオテック(Amersham Pharmacia Biotech)社製]を用いて測定した。
【0034】
TNF-α産生抑制率は、定量されたTNF-α濃度を用い、以下の式に従って算出した。
【数1】
TNF-α産生抑制率(%)=
(Conc.LPS (+) Conc.Sample)/(Conc.LPS (+) Conc.LPS (-))×100
式中、Conc.LPS (+) はLPSのみを加えた対照群のTNF-α濃度を、Conc.sample はLPSとそれぞれのサンプルを加えた群のTNF-α濃度を、またConc.LPS (-) はLPSもサンプルも加えていない未刺激群のTNF-α濃度を表す。
結果はいずれも平均値と標準誤差で表し、対照群 [LPS (+)] との有意差検定には、Dunnett の多重比較検定を用いた。
【0035】
表1は、調製例1で得られたタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーからのメタノール抽出物の結果を示す。
【表1】
Figure 0004902913
上記表 1 中、TNF-α産生抑制率の末尾の符号「**」は、Dunnett の多重比較検定で検定した対照群との有意差:pが0.01未満であったことを表す。
【0036】
上記のように、LPS刺激によりマクロファージから放出されるTNF-αの産生に対してタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根からのメタノール抽出物が、根以外の全ての部分からのメタノール抽出物と比較してより抑制作用を示すことが分かる。
【0037】
表2には、調製例2で得られた各スベリヒユ科ハゼラン属植物の根からのメタノール抽出物の結果を示す。
【表2】
Figure 0004902913
上記表2中、TNF-α産生抑制率の末尾の符号「**」は、Dunnett の多重比較検定で検定した対照群との有意差:pが0.01未満であったことを表す。
【0038】
上記表2の結果により、ハゼラン属植物の根からのメタノール抽出物が、いずれもマクロファージからのTNF-α産生を抑制することがわかる。
【0039】
下記表3には、調製例3で得られたアルカロイド成分の結果を示す。
【表3】
Figure 0004902913
上記表3中、TNF-α産生抑制率の末尾の符号「**」は、Dunnettの多重比較検定で検定した対照群との有意差:pが0.01未満であったことを表す。
【0040】
上記表3の結果から、各アルカロイド成分がいずれもマクロファージから放出されるTNF-αの産生を抑制することがわかる。
【0041】
実施例2:脂肪組織からの TNF- α産生抑制活性の評価
調製例1で得られたタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根からのメタノール抽出物、および調製例3で得られたジャワベリンAについて、LPS刺激によるラット脂肪組織からのTNF-α産生に対する抑制作用を検討した。Wistar系雄性ラット(体重 450g)を安楽死させた後、副睾丸脂肪を採取し、脂肪重量に対して4倍量(脂肪組織1gに対し培地 4ミリリットル)の10%FCS含有培地 199培地(ライフテクノロジー(Life Technologies)社製)を加え、ハサミで約1〜2mmの組織片に細切した。遠心分離(1000回転、10分、室温)後、下層を除去し、培地を加えて組織を洗浄した。4倍量の培地を加えて組織片を再浮遊させた後、マグネチックスターラーで穏やかに攪拌しながら24 穴マイクロプレートに500マイクロリットル(脂肪組織 100mg/穴)づつ分注した。各穴にサンプルを溶解した培地(DMSO濃度:1%)100マイクロリットルおよび25μg/ミリリットルのLPS(400マイクロリットル)を添加し、5%二酸化炭素存在下において 37℃で20時間培養した。培養終了後、遠心分離(1000回転、10分、室温)を行った。その後、培養液中に含まれるTNF-α量を、実施例1と同様の手法で定量し、TNF-α産生抑制率を算出した。
表4には、調製例1で得られたタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根からのメタノール抽出物および調製例3で得られたジャワベリンAのTNF-α産生抑制率試験結果を示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004902913
上記表4中、TNF-α産生抑制率の末尾の符号「」は、Dunnetの多重比較検定で検定した対照群との有意差:pが0.05未満であったことを表す。
【0043】
上記表4の結果から、本発明のタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根からのメタノール抽出物及びそれから単離されたジャワベリンAが、LPS刺激による脂肪組織からのTNF-αの産生を強く抑制することがわかる。
【0044】
実施例3:遺伝性肥満病態動物に対する肥満および高血糖の改善作用
調製例1と同様の手法により得られたタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根からの50%エタノール抽出物およびタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの乾燥根の粉砕物について、遺伝性の肥満因子を有するズッカー・ファッティー・ラット(Zucker fatty rat)に対する効果をそれぞれ検討した。ズッカー・ファッティー・ラットは、加齢とともに肥満、高脂血症、高血糖などを自然に発症するため、ヒトにおける肥満モデル動物として位置づけられているものである。
実験は、8週齢の雌性ズッカー・ファッティー・ラットに対し、MF粉末食(オリエンタル酵母工業社製)にタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの乾燥根の粉砕物を5%(w/w)またはその根からの50%エタノール抽出物をそれぞれ1%(w/w)の割合で混餌したものを食べさせ、4週間後に体重、内臓脂肪および血糖値を測定した。ここで、血糖値の測定には、市販キット・グルコースCIIテストワコー(和光純薬工業社製)を使用して測定した。
【0045】
表5は、MF粉末食にタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの乾燥根の粉砕物またはそれからの50%エタノール抽出物をそれぞれ摂餌させた時の各試験結果を示す。結果はいずれも平均値と標準誤差で表した。
【表5】
Figure 0004902913
上記表5中、各測定値の末尾の符号「」は、Dunnetの多重比較検定で検定した対照群との有意差:pが0.05未満であったことを表す。
【0046】
上記表5の結果から、本発明のタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの乾燥根の粉砕物及びそれからの50%エタノール抽出物が、肥満モデル動物において、体重の増加、内臓脂肪の蓄積および血糖値の上昇をそれぞれ最も有効に抑制することがわかる。
従って、本発明のTNF-α産生抑制剤は、肥満の改善と糖尿病の症状の改善の両者に有効であることが確認された。
【0047】
以下の実施例4〜6には、糖尿病予防薬または食品として提供できる、本発明のハゼラン属植物の粉砕物またはそれからの溶媒抽出物、あるいはそれらから単離されるアルカロイドを有効成分として配合するTNF-α産生抑制作用を示す製品の例を示すが、本発明は特にこれらに制限されるものではない。
【0048】
実施例4: TNF- α産生抑制剤含有チュアブル錠の製造
[処方]
Figure 0004902913
【0049】
[製法]
上記組成において、香料、ハッカ、タイムおよびショ糖脂肪酸エステル以外の全材料を、ミルでよく混合した後、蒸留水を加えて、成型するのに適当ば粘度まで練合する。ここに、ハッカ、タイムおよびショ糖脂肪酸エステルを加えて、さらに練合した後、最後に香料を加え、押し出し造粒法により顆粒を作成した。
得られた顆粒を40℃で乾燥した後、打錠機を用いて、タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーの根からの有機溶媒抽出物を有効成分として含有する本発明のTNF-α産生抑制剤含有チュアブル錠を得た。
【0050】
実施例5: TNF- α産生抑制剤含有ドリンク剤の製造−1
[処方]
Figure 0004902913
【0051】
[製法]
処方に従って上記の成分を蒸留水800ミリリットルに溶解し、蒸留水を加えて全量を1,000ミリリットルとした後、0.22μmの滅菌フィルターで滅菌し、100ミリリットルずつ褐色瓶に無菌充填した。これにより、瓶1本あたり、有効成分としてのタリナム・パニクラーツム・ゲイルトナーからの有機溶媒抽出物100mgを含有するドリンクを得た。
【0052】
実施例6: TNF- α産生抑制剤含有ドリンク剤の製造−2
[処方]
Figure 0004902913
【0053】
[製法]
処方に従って上記の成分を蒸留水800ミリリットルに溶解し、蒸留水を加えて全量を1,000ミリリットルとした後、0.22μmの滅菌フィルターで滅菌し、100ミリリットルずつ褐色瓶に無菌充填した。これにより、瓶1本あたり、有効成分としてジャワベリンA 10mgを含有するドリンクを得た。
【0054】
【発明の効果】
本発明のTNF-α産生抑制剤は、有効成分として、スベリヒユ科ハゼラン属植物(最も好ましくはそれらの根部位の粉砕物)、またはそれから得られる溶媒抽出物、あるいは前記溶媒抽出物から単離されるアルカロイドを含有する。本発明によれば、その有効成分が天然植物由来であり、かつ当該植物が食品として長年使用されていることから、生体に対する安全性が高いことを特徴とする。
本発明のTNF-α産生抑制剤は、経口剤として適宜対象に適用(投与)することができる。これにより、本発明のTNF-α産生抑制剤は、毎日の摂取をより容易にする。
本発明に含有される有効成分はいずれも、体内でのTNF-αの産生を抑制できる。特に上記有効成分は、脂肪組織またはマクロファージからのTNF-αの産生に対して優れた抑制効果を発現する。この効果に関しては、特に前記アルカロイドの1種であるジャワベリンAの活性が最も強いことも分かった。このような有効成分を含有することで、本発明のTNF-α産生抑制剤は、糖尿病の発症に関わるインスリンの抵抗性の増強を予防でき、さらには糖尿病の症状の悪化をも緩和し得る。
さらに本発明のTNF-α産生抑制剤は、肥満の予防および解消にも有効であることから、食品、特にダイエット食品に配合することも可能である。

Claims (5)

  1. スベリヒユ科ハゼラン属植物から得られる有効成分を含有するTNF-α産生抑制剤であって、該有効成分が、スベリヒユ科ハゼラン属タリナム・パニクラーツム・ゲイルトナー(Talinum paniculatum GAERTNER)からの溶媒抽出物から単離される下記の式で表されるいずれか1つのアルカロイドである、TNF-α産生抑制剤
    Figure 0004902913
    Figure 0004902913
    Figure 0004902913
    Figure 0004902913
  2. 抽出溶媒が、水、エタノール、メタノール、アセトン、プロパノール、ブタノール、酢酸エチル、またはそれらの含水混合物から選択される請求項記載のTNF-α産生抑制剤。
  3. 脂肪細胞およびマクロファージからのTNF-αの産生を抑制する請求項1または2記載のTNF-α産生抑制剤。
  4. 経口剤である請求項1〜のいずれかに記載のTNF-α産生抑制剤産生抑制剤。
  5. 請求項1記載のTNF-α産生抑制剤を含有する糖尿病予防薬。
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