本願発明者らは、上述したような課題を解消するために、鋭意研究の結果、MEMS等の微小構造体に対して、音を印加することで、微小構造体の可動部を動作させて、検査を行うことを考えた。この検査は、例えば、ウェハ状態のデバイスの検査に利用されるプローブカードと、音を発生する音発生部とを備えた検査装置を用意し、ウェハ状態のデバイスの電極バッドにプローブカードのプローブ針を当てたうえで、そのデバイスに音発生部から音を印加することで、音によるデバイスの微小な動きによるデバイスの応答特性等を測定する検査である。
しかしながら、このような検査においても、より精度の高い検査を行えるようにするために、微小構造体に印加する音の特性等の把握や微調整等が不可欠である。例えば、どのような条件で検査したかが分からなければ、有効な検査結果とは判断しにくいし、また、異なる条件で行われた検査の結果を、瞬時に正確に評価することは難しい。このため、このような検査を行う検査装置について、検査装置から出力される音を精度良く取得したり、取得した音を用いて検査の際に出力する音を校正することが必要である。このため、以下の実施の形態においては、特にこのような検査装置から出力される音を精度よく取得する音取得装置、この取得した音を測定する音測定システム、この取得した音を用いて検査の際に出力する音を校正する音校正システム等について説明する。
以下、音取得装置等の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における音校正システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の音校正システムは、検査装置1と、音取得装置2と、音校正装置3とを備えている。各装置は、情報の送受信が可能である。各装置は、例えば、コード等の配線で接続されていても良い。また、例えば、インターネットや、無線や有線のLAN等のネットワークで接続されていてもよいし、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信により接続されていてもよい。また、USBやIEEE1394のようなバス等により接続されていてもよい。ただし、各装置間の接続方法は問わない。
図2は、検査装置1の構造を示す側面図である。検査装置1は、音発生部10と、プローブカード11とを備えている。プローブカード11は、基板111と、複数のプローブ針112と、固定リング113とを備えている。
基板111は、第一の表面111aと、この第一の表面111aの反対側に位置する第二の表面111bとを有している。この第一の表面111aおよび第二の表面111bは、それぞれ、プローブカード11の第一の表面および第二の表面に相当する。このため、この第一の表面111aおよび第二の表面111bを、ここでは適宜、それぞれ、プローブカード11の第一の表面111aおよび第二の表面111bと呼ぶ。基板111の第一の表面111aまたは第二の表面111bの少なくとも一方には、図示しない配線や回路等が設けられている。また、基板111には、検査対象となる微小構造体上に配置される位置に、微小構造体と同程度もしくはこれよりも大きい開口部114を有している。基板111は、通常円形であるが、基板111の大きさや形状は問わない。
プローブ針112は、基板111の第二の表面111b側に配置されている。プローブ針112は、基板111上の配線や回路等と、図示しない配線等を用いて接続されている。プローブ針112は、導電性を有している材料により構成される。プローブ針112は、少なくとも先端が、第二の表面111bから離れた位置に設けられている。なお、後述する校正を行う際において、プローブ針112の音の特性に与える影響等を無視する場合には、プローブ針112を一時的に設けないようにしても良い。
固定リング113は、プローブ針112を固定するためのリング状の部材であり、基板111の第二の表面111b上に取り付けられている。プローブ針112は、固定リング113上に取り付けられている。固定リング113の内径は、検査対象となる微小構造体のサイズよりも大きなサイズに設定されている。なお、固定リング113は、検査対象等に応じて、省略してもよい。
音発生部10は、外部、ここでは例として音校正装置3から入力される信号に応じた音、言い換えれば音波、を発生し、出力する。音発生部10は、音を発生可能なものであれば、どのようなものであってもよい。ただし、外部からの信号により音の特性、例えば音圧、を変更できるものが好ましく、さらには、入力される信号に応じてさまざまな周波数の音を出力可能なものであることがより好ましい。ここでは例として、音発生部10に入力される信号が、正弦波やパルス等の音の波形等の信号であり、音発生部10がスピーカーであり、音発生部10に入力される信号が、正弦波やパルス等の音の波形等の信号である場合について説明する。ただし、音発生部10が、図示しないアンプや所望の波形を発生する波形発生器等を有しており、音発生部10が、発生する音に関して設定する情報の入力を外部から受け付け、この情報に応じて、発生する音の波形等の信号を音発生部10自身で生成し、この信号に応じた音を発生するようにしてもよい。音発生部10は、プローブカード11の基板111の開口部114を塞ぐように、プローブカード11の第一の表面111a側に取り付けられている。音発生部10から出力される音は、基板111の開口部114を経て、プローブカード11の第二の表面111b側から出力される。
図3は、音取得装置2の構造を示す斜視図である。
また、図4は、図3に示した音取得装置2の側面図である。
音取得装置2は、マイクロフォン20と、ホルダ21と、固定部22とを備えている。
マイクロフォン20は、音を電気的な信号である音信号に変換して出力する。ここでは、変換して得られた音信号を、音校正装置3に出力する。マイクロフォン20は、ダイナミック型、エレクトレットコンデンサー型、コンデンサー型等、どのような構造のマイクロフォンであっても良い。また、MEMSとして構成されたマイクロフォンであってもよい。また、マイクロフォン20の出力はアナログであってもデジタルであっても良い。例えば、マイクロフォン20内に、音の信号をデジタル化して出力する回路等を設けるようにしても良い。マイクロフォン20の形状は問わない。ここでは、マイクロフォン20は、円柱形状を有しているものとする。マイクロフォン20は、音信号を、有線や無線のネットワークを介して、音校正装置3に出力しても良いし、配線を介して音校正装置3に出力してもよい。ネットワークを介して音信号を出力する場合、マイクロフォン20は、無線や有線のネットワーク用の通信手段等を備えていても良い。
ホルダ21は、マイクロフォン20を保持する。ホルダ21には、平面211が形成されている。また、ホルダ21は、保持部212と、1以上の突起部213とを具備している。ホルダ21の材質は、どのような材質であってもよく、ここでは、例として加工等が用意であることから樹脂を用いている。ホルダ21は、少なくとも平面211と、保持部212と、突起部213とを有していればよく、その他の部分の形状は問わない。ここでは、例としてホルダ21は、厚さが、約10mmから20mmの円盤形状を有している。
平面211は、ホルダ21の表面に形成されている。平面211は、検査装置1の第二の表面111bに対向して配置される面となる。平面211は、検査装置1による検査の対象となるウェハの代わりとして用いられるものであることから、表面が平滑であることが好ましく、微小構造体が設けられたウェハと同程度の平滑性を有していることがより好ましい。平面211の広さは、少なくとも、基板111の開口部114のサイズよりも広い広さとすることが好ましい。
保持部212は、マイクロフォン20を、当該マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置が、平面211と同じ高さに位置するように保持する。具体的には、保持部212は、マイクロフォン20をはめ込む、あるいは埋め込むための凹部や孔である。ここでは、例として、保持部212は、平面211に対して垂直に、ホルダ21を貫通する孔を有しているものとする。保持部212は、ホルダ21の平面211を、プローブカード11の第二の表面111bに対向するように配置した状態で、音発生部10に対向する位置に設けるようにする。通常は、平面211の中央部に設けられる。なお、平面211と同じ高さとは、技術的意味の範囲内において、同じ高さであることをいう。すなわち、ここでは例として、平面211と厳密に同じ高さに配置した場合にマイクロフォン20が受け付ける音と、誤差の範囲内、あるいは、実用上問題の生じない範囲内で、同じ音が得られる範囲の高さであれば、同じ高さであると考える。したがって、この同じ高さと考えられる範囲は、検査装置1の音の検査に要求される精度によっても異なるものとなる。また、マイクロフォン20の形状等によっても異なる。通常、マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置が、数mm程度、平面211より高くても、低くても、平面211と同じ高さであるとすることができる。なお、マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置とは、マイクロフォン20内の実際に音を電気信号に変換する部分の位置近傍とすることが好ましいが、位置あわせの便宜等を考慮して、マイクロフォン20の表面の音が入力される位置近傍としてもよい。
突起部213は、平面211上に設けられている。突起部213が複数設けられている場合、各突起部213の高さは同じとする。突起部213の高さは、検査装置1によりウェハ上の微小構造体の検査を行う際の、プローブカード11の基板111と、ウェハとの距離とほぼ同じ長さとなるように設定する。例えば、突起部213の高さは、4mm〜10mmである。突起部213の数は3以上であることが好ましい。突起部213は、音を取得する際の障害物とならないよう、保持部212の位置からできるだけ、離れた位置に設けられていることが好ましい。また、突起部213は、ホルダ21の平面211を、プローブカード11の第二の表面111bに対向するように配置した状態で、プローブカード11に接する位置に設けることが好ましい。あるいは、プローブカード11が、いわゆるプローブカードホルダ(図示せず)に取り付けられる場合、このプローブカードホルダもプローブカードの一部と考えて、このプローブカードホルダに接する位置に突起部213を設けるようにしても良い。突起部213の大きさや平面形状は問わない。ここでは、例として、円柱形状を有している突起部213を保持部212の円周に沿ってほぼ等間隔に4つ配置している。なお、突起部213の高さが変更できるようにして、突起部213の高さを変更したり、微調整できるようにしても良い。例えば、突起部213を、ホルダ21に対して着脱可能に取り付けられるようにし、高さの異なる突起部213を予め用意しておき、高さを変更する必要に応じて、高さの異なる突起部213を適宜選択して交換することで、突起部213の高さを適宜変更できるようにしてもよい。具体的には、突起部213のホルダ21にネジを取り付け、突起部213にネジ穴を設けるようにすることで、突起部213の交換が可能となる。また、突起部213の下部に高さ調整用のボルト等を設けて、このボルトにより突起部213の高さを変更できるようにしてもよい。
固定部22は、マイクロフォン20を、ホルダ21に対して固定する。ここでは、例として、固定部22は、ホルダ21の平面211の反対側の面上に設けられており、保持部212の有する孔と連通する貫通孔223を有している。この貫通孔223内に、上述した円柱形状のマイクロフォン20が挿入される。また、固定部22は、ネジ221により、ホルダ21に固定され、貫通孔223内のマイクロフォン20は、貫通孔223に対して垂直に差し込まれるネジ222により固定部22に固定される。これにより、マイクロフォン20がホルダ21に固定される。固定部22としては、ここでは金属を用いているが、固定部22の材質は問わない。なお、ホルダ21の保持部212によりマイクロフォン20を十分な力で固定できる場合、固定部22は省略してもよい。
音校正装置3は、信号出力部31と、音信号受付部32と、信号制御部33と、校正情報取得部34と、校正情報出力部35とを備えている。
音校正装置3は、音発生部10から出力する音を校正するための情報である校正情報を取得する。具体的には、音発生部10から所望の音を発生させる情報である校正情報を取得する。ここで述べる校正とは、検査装置1の狂いや精度を、基準量を用いて正すことである。具体的には、検査装置1の出力する音が、所望の音となるように、検査装置1の設定や、検査装置1に音を出力するために入力させる信号等を、補正したり調整することである。
信号出力部31は、音発生部10等に後述する制御情報に応じた音を発生させるための信号を、音発生部10等に出力する。「制御情報に応じた音」とは、具体的には、制御情報に含まれている、音発生部10が発生する音に関して設定する情報により設定された特性、例えば、電圧や周波数、を有する音である。また、「制御情報に応じた音を発生させるための信号」とは、例えば、音発生部10が発生する音に関して設定する情報により設定された特性を有する音を発生させるための、音の波形の信号である。また、「制御情報に応じた音を発生させるための信号」は、制御情報そのものや、制御情報を所定のルールに従って変換したものであってもよいし、制御情報に含まれている音発生部10が発生する音に関して設定する情報であってもよい。ここでは、信号出力部31が、制御情報により設定された特性、例えば電圧や周波数、を有する正弦波や、パルス等の波形の信号を出力する場合について説明する。例えば、信号出力部31は、制御情報により設定された周波数と同じ周波数の波形の信号を生成し出力する。また、例えば、信号出力部31は、制御情報により設定された電圧と同じ電圧の信号を生成し出力する。信号出力部31は、1つの周波数の音を発生させるための信号のみを出力してもよいし、複数の周波数の音を音発生部10等に発生させるための信号を出力しても良い。信号出力部31の出力する信号は、正弦波の信号や、パルス信号や、複数の周波数信号により構成されるホワイトノイズ信号等、どのような信号でもよく、検査装置1が行う検査の内容等により決定される。信号出力部31の出力する信号の周波数や、電圧すなわち正弦波やパルス信号の振幅等は、可変であるとする。信号出力部31は、例えば、出力デバイスやそのドライバ等で実現され得る。また、必要に応じて、アンプや波形発生器等を備えていても良いし、MPUやメモリ等を有していても良い。
音信号受付部32は、音発生部10から出力された音の信号である音信号を受け付ける。ここでは、具体例として、音信号受付部32の受け付ける音信号が、特に、音取得装置2のマイクロフォン20から出力される音信号である場合について説明するが、音取得装置2以外のマイクロフォン等が、音発生部10から出力された音を取得し、この取得した音に応じて出力する音信号を音信号受付部32が受け付けても良い。音信号受付部32の受け付ける音信号は、アナログ信号であっても良いし、デジタル信号であっても良い。また、音信号受付部32は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してもよいし、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換してもよい。音信号受付部32は、例えば入力デバイス等により実現される。また、音信号受付部32は、信号を変換する処理の実現手段として、例えば、MPUやメモリ等を有していても良い。この場合、信号を変換する処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
信号制御部33は、音信号受付部32が受け付けた音信号に応じて、音発生部10が発生する音を所望の音とするための制御情報であって、前記音発生部が発生する音に関して設定する情報を含む制御情報を出力する。ここでは、信号制御部33は、制御情報を信号出力部31に出力する。ここで述べる所望の音とは、具体的には所望の特性を有する音のことであり、例えば、所望の音圧を有する音や、所望の周波数特性を有する音等のことである。また、音発生部10が発生する音に関して設定する情報とは、例えば、音発生部が発生する音の特性等を設定するため情報であり、具体的には、音発生部10が発生する音の、周波数や電圧すなわち振幅や波形等を設定する情報、例えば設定値等である。音発生部10が発生する音に関して設定する情報は、音の特性等を設定できる情報であれば、どのような情報であってもよく、例えば、現在の音の特性の設定値に対する、変更後の音の特性の設定値の差分を示す値であってもよい。制御情報は、音発生部10が発生する音の特性を設定するための情報以外の情報、例えば、音の特性の変更を指示するコマンド等を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。信号制御部33は、制御情報を出力することで、結果的に、音発生部10の発生する音を変更させることができれば良く、制御情報が、音発生部10にそのまま入力されるか否かは問わない。例えば、信号制御部33が出力する制御情報に応じて生成された信号により、結果的に、音発生部10の発生する音が変更されてもよい。信号制御部33は、例えば、音信号受付部32が受け付けた音信号から、現在、音発生部10から出力されている音の音圧を求め、この音圧を、予め設定されている所望の値とするために、音発生部10が発生する音の電圧の設定値を含む制御情報を構成し、信号出力部31に出力する。信号制御部33は、例えば、直前の制御情報が示す電圧の設定値を、現在の音圧と、所望の音圧との差が縮まるように変更させ、この変更した電圧の設定値を含む制御情報を出力する。この電圧を変化させる幅が、固定であるか、可変であるかは問わない。ここでは信号出力部31は、この制御情報に応じて、音発生部10に対して現在出力している音の信号の特性、例えば電圧を変化させる。また、予め設定されている音圧の所望の値とは、1つの値であっても、値を設定する範囲に含まれる値であってもよい。この処理の具体例については、後述する。なお、音発生部10から発生する音の音圧は、音信号受付部32が受け付けた音情報に対して対応関係を有しているため、得られた音圧が所望の音圧であるか否かを判断する際に、音情報を音圧の情報等に変換せずに、音情報の電圧の値等を、音圧の代わりに利用しても良い。音信号から音圧等を求める処理については公知技術であるので説明は省略する。信号制御部33は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。信号制御部33の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
校正情報取得部34は、音発生部10から所望の音を発生させる情報である校正情報を、制御情報に応じて取得する。校正情報は、例えば、音信号受付部32が受け付けた音情報から、音発生部10が所望の音を発生させていると判断された場合の、制御情報に含まれる音発生部10が発生する音に関して設定する情報、もしくはその一部である。例えば、校正情報は、音発生部10に所望の周波数の音を、所望の音圧で出力させるための、電圧の設定値や、周波数の値である。例えば、上述した「所望の音」が、「所望の音圧を有する音」である場合、この校正情報を用いて信号出力部31に信号を出力させることにより、所望の音圧の音を音発生部10から出力させることができることとなる。また、校正情報は、制御情報に応じて算出された、音発生部10から所望の音を発生させることができる設定値や関数等であっても良い。校正情報取得部34は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。校正情報取得部34の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
校正情報出力部35は、校正情報取得部34が取得した校正情報を出力する。ここで述べる出力とは、出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタへの印字、図示しないメモリ等の記録媒体への記録や、外部の装置への送信等を含む概念である。また、検査装置1もしくは検査装置1に検査時に検査用の信号を出力する装置等に対して、校正情報を設定する処理も含む。校正情報出力部35は、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。また、メモリ等の記録媒体を含むと考えても含まないと考えても良い。出力部は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
次に、検査装置1を用いて行われる、ウェハに作製された微小構造体の検査方法について説明する。なお、ここでは、例として、微小構造体が、3軸加速度センサである場合について説明する。なお、3軸加速度センサの構成については、例えば、特開2006−78435号公報等により公知であるので、説明は省略する。
図5は、検査方法を説明するための図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当する部分を示している。
以下、図5に基づいて、検査装置1を用いた検査方法について説明する。まず、微小構造体を複数有するウェハ50を、ウェハを吸着するためのいわゆるチャック51を有する載置台52上に固定する。そして、ウェハ50の上方から、検査装置1の、プローブ針112の先端が、検査対象となる1つの微小構造体53の図示しない電極パッド等に接触するよう、ウェハ50に押し当てる。プローブ針112には、必要に応じて、検査用の信号が供給される。なお、検査装置1において、検査用の信号を適宜供給するための構成や処理、あるいは、検査用の信号を受け付けたりする構成および処理については、公知技術であるので説明は省略する。
そして、検査装置1の音発生部10に所望の音を発生させるための信号を供給すると、音発生部10から、ウェハ50状態の微小構造体53に対して、音が印加される。なお、音発生部10に供給する音信号は、例えば、1つの正弦波信号やパルス信号、または複数の周波数の信号であるホワイトノイズ信号等である。例えば、ホワイトノイズ信号を供給して、音発生部10にホワイトノイズを発生させることにより、全周波数帯における微小構造体の加振テストを行うことができる。また、例えば、音圧を一定にして正弦波信号やパルスの周波数を順次変化させていくことで、微小構造体53から得られる出力電力特性から、微小構造体53の共振周波数を特定することが可能となる。
3次元加速度センサである微小構造体53は、音発生部10から出力された音により、可動部が動き、可動部の動きに応じた信号を図示しない電極パッドから出力する。
以上のようにして、検査装置1を用いることにより、音によって、ウェハ状態の微小構造体53の可動部を動かした場合における微小構造体の検査を行うことができる。なお、ここでは3次元加速度センサについて説明したが、可動部を有する微小構造体であれば、同様にして上記の検査を実施可能である。可動部を有する微小構造体としては、例えば、加速度センサや、圧力センサ、エアフローセンサ等が挙げられる。
しかしながら、検査装置1による検査を行う際には、音発生部10は、ウェハ50や、プローブカード11により挟み込まれた、ほぼ閉鎖された空間内において、音を出力することとなる。このため、開放された空間内において音を出力する場合とは大きく異なり、出力される音に周波数特性が発生する。また、この周波数特性は、検査装置1ごとに異なることが考えられる。したがって、このような周波数特性が発生している検査装置1をそのまま検査に用いると、検査に支障が生じる可能性がある。例えば、音発生部10に対して、音圧が同じで、周波数だけが異なる音を出力させるために、電圧が同じである異なる周波数の信号を与えたとしても、音発生部10から出力される音の音圧は異なるものとなってしまう。このため、音圧が一定で、周波数だけを変えた音を与えた検査等を行うことができず、微小構造体の出力電力特性等の特性を、精度良く把握することができなくなってしまう。この結果、微小構造体53の共振周波数を特定することができなかったり、微小構造体の可動部が正常に可動するか否かを精度良く判断することができないこと等が考えられる。また、音発生部10の、検査時の周波数特性が不明であると、どのような周波数特性を有する音を用いて検査を行ったかが不明となるため、異なる検査装置1で検査を行った検査の結果を、比較すること等ができなくなってしまう。
このため、本実施の形態においては、音取得装置2を用いて、検査時に音発生部10が出力する音と同様の音を、実際に検査を行う際に近い環境において、予め精度良く取得して、この取得した音を利用して、音校正装置3により、検査時に音発生部10に与える信号を校正するようにした。
音取得装置2の動作については、通常のマイクロフォン20等が音を取得する場合の動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、音校正装置3の動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、音発生部10に周波数の異なるm(mは1以上の整数)の音を、同じ音圧で発生させるための校正情報を取得する場合について説明する。すなわち、校正情報は、ここでは特に、制御情報に含まれた、音発生部10に周波数の異なるmの音を同じ音圧で発生させるために、音発生部10に対して出力する信号の、周波数や電圧値を設定する情報であるとする。また、mの周波数のそれぞれの値は、予めテーブル等に格納されて、図示しないメモリ等に蓄積されている。
(ステップS600)信号制御部33は、カウンターnを初期値である1に設定する。
(ステップS601)信号制御部33は、制御情報に含まれる電圧の設定値を初期値に設定する。初期値の値は問わない。初期値は例えばメモリ等に予め格納されているものとする。
(ステップS602)信号制御部33は、n番目の周波数の値を図示しないメモリ等から取得する。そして、信号制御部33は、このn番目の周波数の値と、電圧の設定値とを含む制御情報を、信号出力部31に出力する。なお、ステップS601において設定された電圧が、その後の処理で変更された場合には、信号制御部33は、この変更された電圧の値で、制御情報の電圧の設定値を更新して出力する。
(ステップS603)信号出力部31は、制御情報に応じて、n番目の周波数を有する、ステップS601において設定された電圧の信号を構成し、出力する。
(ステップS604)音信号受付部32は、音信号を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS605に進み、受け付けていない場合、ステップS604に戻る。
(ステップS605)信号制御部33は、ステップS604で受け付けた音信号について、音圧が、所定の音圧であるか否かを判断する。所定の音圧とは、例えば、音発生部10が出力する音の音圧を、周波数にかかわらず一定にする際の、音圧の目標値等である。この所定の音圧の値は、例えば、メモリ等に予め格納されている。所定の音圧は、1つの値の音圧であっても良いし、所定の値の範囲の音圧であっても良い。信号制御部33は、ステップS604において受け付けた音信号を変換して、音信号から音圧の値を取得しても良い。また、音信号の電圧の値等を、そのまま音圧の値として利用して、この値が、所定の値の範囲に含まれるか否かを判断して、所定の値の範囲に含まれる場合に、所定の音圧であると判断するようにしてもよい。音圧の単位はパスカル(単位:Pa)や、デシベル(単位:dB)等問わない。所定の音圧である場合、ステップS606へ進み、所定の音圧でない場合、ステップS610へ進む。なお、ここでは、所定の音圧であるか否かを判断するようにしたが、音信号の電圧が、所定の電圧であるか否か等を判断するようにしても良い。
(ステップS606)校正情報取得部34は、制御情報に応じて、校正情報を取得する。具体的には、校正情報取得部34は、制御情報に含まれる値、ここでは、制御情報に含まれる周波数の値と電圧の値とを、信号制御部33から取得する。この周波数の値と、電圧の値とが、ここでは校正情報である。
(ステップS607)校正情報出力部35は、校正情報、すなわちステップS606において取得した信号の周波数の値と、電圧の値とを、関連付けて出力する。ここでは例として、校正情報出力部35は、校正情報をメモリ等の記憶媒体に蓄積する。例えば、校正情報出力部35は、周波数の値と、電圧の値とを、1つのレコードの2つの属性値として蓄積する。
(ステップS608)信号制御部33は、nを1インクリメントする。
(ステップS609)信号制御部33は、カウンターnの値が、mより大きいか否かを判断する。大きい場合、処理を終了し、大きくない場合、ステップS601に戻る。
(ステップS610)信号制御部33は、ステップS604で受け付けた音信号について、音圧が、予め設定されている所定の音圧未満であるか否かを判断する。所定の音圧未満である場合、ステップS611に進み、所定の音圧未満でない場合、ステップS612に進む。
(ステップS611)信号制御部33は、制御情報の電圧の設定値を、現在の電圧よりも高くなるように変更する。そして、ステップS602に戻る。なお、この電圧の設定値を変更する処理において、電圧の高さを変更する度合いは問わない。例えば、予め設定されている固定値であっても良いし、固定値でなくても良い。また、現在の音圧と、所定の音圧との差の大きさに応じて、変動する値等であっても良い。
(ステップS612)信号制御部33は、制御情報の電圧の設定値を、現在の電圧よりも低くなるように変更する。そして、ステップS602に戻る。
なお、図6のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
また、ここでは、予め1以上の周波数を用意しておき、カウンターnの値に応じて、周波数を取得する場合について説明した。しかしながら、周波数の初期値と、周波数の最大値や最小値を予め設定しておき、上記のフローチャートで、カウンターnが1の場合には、初期値の周波数を取得するようにし、カウンターnを1増加させる毎に、周波数の値を所定の値だけ増加、あるいは減少させていくようにし、周波数の値が、最大値より大きくなるか、最小値よりも小さくなった場合に、処理を終了するようにしても良い。なお、この場合の所定の値は、一定の値であっても、一定の値でなくても良い。また、この所定の値を小さい値に設定すれば、連続的な周波数の変化に対応した校正情報を得ることができる。
また、1つの周波数の信号についての校正情報を求める場合には、図6のフローチャートにおいて、mの値を1に設定すればよい。
次に、本実施の形態における音校正システム等の具体的な動作について説明する。音校正システムの概念図は図7である。
まず、検査装置1は、図7に示すように、音取得装置2に対して、検査装置1の第二の表面111bと、音取得装置2の平面211とが対向し、各突起部213が検査装置1の第二の表面111bに当接されるように、配置する。また、音取得装置2の保持部212の位置が、音発生部10の下の位置、例えば、プローブ針112が接触する位置近傍に配置されるよう、音取得装置2の検査装置1に対して位置決めされて配置される。また、突起部213の高さは、このように音取得装置2を配置した場合に、検査装置1の第二の表面111bと音取得装置2の平面211との間隔が、図5に示したような検査装置1を用いたウェハ状態の微小構造体の検査時における、検査装置1の第二の表面111bとウェハの表面との間隔と同じ間隔となるよう調整しておく。
このように音取得装置2を検査装置1に対して配置することにより、検査装置1と音取得装置2との間に挟まれた環境を、図5に示したような検査時における検査装置1とウェハとに挟まれた環境とほぼ同様の環境を実現することができる。また、マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置が音取得装置2の平面211と同じ高さに位置している。この結果、マイクロフォン20は、検査時におけるウェハ上の、検査対象となる微小構造体と、ほぼ同じ位置に配置することが可能となり、マイクロフォン20は、検査時に検査対象となるウェハ状態の微小構造体が受ける音と、同様の音を取得することができる。この結果、ウェハ状態の微小構造体に検査時に印加される、検査時の環境によって周波数特性が発生した音と同じ周波数特性を有する音を、精度良く取得することが可能となる。
次に、上記のように検査装置1と音取得装置2とを配置した後、音校正装置3に対して、図示しないメニューやボタン等を操作して、校正情報を作成する指示を与えたとする。
図8は、信号出力部31が出力する信号の周波数を管理する周波数管理表である。周波数管理表は、「識別情報」と「周波数」という属性を有している。「識別情報」は、レコードを管理するための情報である。「周波数」は、信号出力部31が出力する信号の周波数である。
ここでは、図8に示す周波数管理表が、図示しないメモリ等に予め格納されており、音校正装置3は、「周波数」属性の示すそれぞれの周波数の信号を出力した場合に、音取得装置2のマイクロフォン20が、100dB±1dBの音圧の音信号を得るための校正情報を取得するように設定されているとする。なお、ここでの校正情報は、100dBの音圧をマイクロフォン20が取得するために、信号出力部31が出力するパルスの電圧の情報を含む情報である。
信号制御部33は、まず、カウンターnを1にセットする。そして、予め設定されているパルス信号の電圧の初期値、例えば100mVを、図示しないメモリ等から読み出す。また、周波数管理表から、1番目のレコードである識別情報が「001」のレコードの、周波数の値「20Hz」を取得する。信号制御部33は、周波数を「20Hz」、電圧を100mVに設定する情報を含む制御情報を構成し、信号出力部31に出力する。信号出力部31は、制御情報に応じて、周波数が20Hzで、電圧が100mVのパルス信号を、検査装置1に出力する。
検査装置1の音発生部10は、信号出力部31から出力される信号に応じた20Hzの音を出力する。
音取得装置2のマイクロフォン20は、音発生部10から出力された音を取得し、音校正装置3に出力する。
音校正装置3の音信号受付部32は、マイクロフォン20から出力された音信号を受け付ける。
信号制御部33は、音信号受付部32が受け付けた音信号を変換して、マイクロフォン20が取得した音の音圧を求める。そして、この音圧が、所定の音圧であるか否かを判断する。具体的には、音圧が、100dB±1dB、すなわち99dBから101dBまでの音圧の範囲に含まれるか否かを判断する。ここでは、信号制御部33が求めた音圧が99dBよりも小さい値であったとすると、受け付けた音の音圧が、100dB±1dBの範囲内にない、と判断される。
次に、信号制御部33は、信号制御部33が求めた音圧が、100dB±1dB未満であるか否かを判断する。ここでは、受け付けた音の音圧が、100dB±1dB未満であると判断される。
これにより、信号制御部33は、現在の制御情報に含まれる電圧の設定値を、予め設定されている値、例えば10mVだけ、高くなるように変更する。
なお、信号制御部33は、信号制御部33が求めた音圧が、100dB±1dB未満でないと判断された場合、信号制御部33は、制御情報に含まれる電圧の設定値を、予め設定されている値、例えば5mVだけ、低くなるように設定を変更する。
そして、同様の処理が繰り返し行われ、100dB±1dBの範囲に、マイクロフォン20が取得した音の音圧が含まれるようになった場合、その時点で、校正情報取得部34が、制御情報に含まれる電圧の設定値と、信号の周波数の設定値、ここでは20Hzを取得する。この電圧の値と、周波数の値が、ここでは校正情報である。この校正情報を、校正情報出力部35が図示しないメモリ等に蓄積する。なお、最初にマイクロフォン20が取得した音の音圧が、100dB±1dB、すなわち99dBから101dBまでの音圧の範囲に含まれると判断された場合も、その時点で信号出力部31が出力している電圧の値と、その信号の周波数の値とがメモリ等に蓄積される。
そして、信号出力部31は、カウンターnの値を1インクリメントする。そして、予め設定されているパルス信号の電圧の初期値、例えば100mVを、図示しないメモリ等から読み出す。また、周波数管理表から、2番目のレコードである識別情報が「002」のレコードの、周波数の値「30Hz」を取得する。そして、信号制御部33は、周波数を「30Hz」、電圧を100mVに設定する情報を含む制御情報を構成し、信号出力部31に出力する。以降、同様の処理を繰り返す。
そして、カウンターnの値が、400となった時点で、周波数管理表に対応するレコードがなくなるため、処理を終了する。
この処理が終了した時点で校正情報出力部35によりメモリ等に格納されている校正情報を、図9においてグラフに示す。
このようにして得られた校正情報を利用することで、検査に用いる音の周波数にかかわらず、常に一定の音圧の音を、ウェハ状態の微小構造体に印加することが可能となる。具体的には、例えば、検査装置1に対して検査用の信号を供給する装置等(図示せず)に、このような校正情報を与えておき、このような検査用の装置が、検査時に所望の周波数の音を音発生部10に発生させる際に、図9に示すようなグラフから所望の周波数の電圧の値を読み取り、この読み取った電圧値を有する、所望の周波数の信号を、音発生部10に対して与えるようにする。これにより、微小構造体に対して、周波数にかかわらず、所望の周波数を有する100dB±10dBの音圧の音を印加することができる。
以上、本実施の形態においては、マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置を、平面211と同じ高さに位置するよう保持する保持部212と、平面211上に設けられた1以上の突起部213と、を有するホルダ21を具備するようにしたことにより、検査装置1から出力される音を、検査時と同様の環境において、微小構造体が配置される位置と同様の位置で取得することができる。この結果、ウェハ状態の微小構造体に検査時に印加される、検査時の環境によって周波数特性が発生した音と同じ音を、精度良く取得することが可能となる。
また、本実施の形態においては、音取得装置2のマイクロフォン20から出力される音の信号である音信号を受け付ける音信号受付部32と、音信号受付部32が受け付けた音信号に応じて、音発生部10から発生する音を所望の音、例えば所望の音圧を有する音、に設定する情報を含む制御情報を出力する信号制御部33と、制御情報に応じて、音発生部10から所望の音を発生させる情報である校正情報を取得する校正情報取得部34と、校正情報取得部34が取得した校正情報を出力する校正情報出力部35とを具備したので、音発生部10が発生する音が所望の音、例えば所望の周波数を有する所望の音圧の音、となるような校正情報を得ることができる。このような校正情報を用いて、音発生部10に所望の周波数の信号を出力することで、検査時の状態において、音発生部10から、所望の周波数を有する所望の音、例えば所望の音圧を有する音、を出力させることができ、精度の良い検査を行うことが可能となる。また、このような校正情報を用いることで、複数の検査装置1の装置間の周波数特性のばらつきを補正した検査が可能となり、異なる検査装置1を用いて行った検査結果を、比較することが可能となる。
なお、ここでは、音取得装置2を用いた場合について説明したが、他の音を取得するデバイス等を、音取得装置2の代わりに用いるようにしても良い。ただし、音取得装置2を用いることが、ウェハ状態の微小構造体の検査に用いられる検査装置の校正を、より高い精度で行うことができる点で好ましい。
なお、本発明は、上記実施の形態1において、検査装置1の音発生部10が、例えばアンプや波形発生器等の、所望の周波数の信号を生成する手段等(図示せず)を有しており、この生成する手段等により生成された正弦波やパルス等の信号に応じた音を発生するようにした場合であっても適用可能なものである。
このような場合においては、信号出力部31は、音発生部10に制御情報に応じた音を発生させるための信号として、信号制御部33が出力した制御情報をそのまま出力するようにする。また、検査装置1の音発生部10は、入力された信号、すなわち信号出力部31から入力された制御情報、に応じた正弦波やパルス等の音の信号を生成し、この生成した信号に応じた音を発生するようにする。また、信号出力部31が、制御情報に含まれる音発生部10が発生する音に関して設定する情報を取り出して出力し、音発生部10が、入力される信号である音発生部10が発生する音に関して設定する情報に基づいて、音の信号を生成し、発生するようにしても良い。
例えばこのような場合における音校正装置3の処理手順は、図6に示したフローチャートのステップS603の処理を、信号出力部31が、信号制御部33から取得した制御情報を、検査装置1の音発生部10に出力するステップ、もしくは信号制御部33から取得した制御情報から、音発生部10が発生する音に関して設定する情報を取り出して、検査装置1の音発生部10に出力するステップに置換してやればよい。
また、検査装置1の音発生部10においては、入力された制御情報に応じた周波数や電圧等を有する正弦波やパルス等の信号を生成し、この信号を用いて音を発生するようにすればよい。
なお、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをMPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。かかることは他の実施の形態においても同様である。
なお、上記実施の形態における音校正装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、入力される信号に応じた音を発生する音発生部とプローブカードとを具備する検査装置の音を校正する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータに、前記音発生部から出力された音の信号である音信号を受け付ける音信号受付ステップと、前記音信号受付ステップにより受け付けた音信号に応じて、前記音発生部から発生する音を所望の音とするための、前記音発生部が発生する音に関して設定する情報を含む制御情報を出力する信号制御ステップと、前記音発生部に対して、前記制御情報に応じた音を発生させるための信号を出力する信号出力ステップと、前記制御情報に応じて、前記音発生部から発生される音が所望の音を発生させる情報である校正情報を取得する校正情報取得ステップと、前記校正情報取得ステップにより取得した校正情報を出力する校正情報出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。かかることは他の実施の形態においても同様である。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。かかることは他の実施の形態においても同様である。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。かかることは他の実施の形態においても同様である。
(実施の形態2)
図10は、本実施の形態における音校正システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の音校正システムは、検査装置1と、音取得装置2と、音校正装置3aとを備えている。
検査装置1と音取得装置2の構成や動作等については、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
音校正装置3aは、信号出力部31と、音信号受付部32と、校正情報取得部34aと、校正情報出力部35とを備えている。校正情報取得部34a以外の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。ただし、ここでは、信号出力部31は、制御情報に応じた音を発生させるための信号を出力する代わりに、予めメモリ等に格納されている音発生部10の発生する音に関して設定する情報を、読み出して、音発生部10に音を発生させるための信号を出力するものとする。
校正情報取得部34aは、音発生部10から所望の音を発生させる情報である校正情報を、音発生部10の発生する音に関して設定する情報と、音信号受付部32が受け付けた音信号とに応じて取得する。音発生部10の発生する音に関して設定する情報とは、具体的には、信号の周波数や電圧の値等である。校正情報取得部34aは、ここでは例として、音発生部10の発生する音に関して設定する情報を、信号出力部31から取得する。ただし、音発生部10の発生する音に関して設定する情報を、音発生部10等からネットワーク等を介して取得しても良い。
以下、校正情報取得部34aの校正情報を取得する方法の一例について説明する。音圧と信号の電圧とは、理想的には比例すると考えられる。このため、校正情報取得部34aは、例えば、音信号受付部32が受け付けた音信号から、現在、音発生部10から出力されている音の音圧を求め、この音圧と、目標となる音圧との比を求める。そして、この比を用いて、音発生部10の発生する音に関して設定する情報のうちの電圧の設定値から、目標となる音圧を得るために信号出力部31が出力すべき電圧を求める。そして、この電圧の値を含む情報を、校正情報として取得する。すなわち、音発生部10の発生する音に関して設定する情報のうちの電圧の設定値Vp(単位:V)、目標となる音圧(単位:Pa)をSt、音発生部10から出力されている音から算出した現在の音圧をSp、目標となる音圧Stを得るために信号出力部31が出力すべき信号の電圧をVtとすると、
の式を満たすVtの値が、周波数Fの信号についての校正情報となる。すなわち、電圧がVtの周波数Fの信号を、音発生部10に供給することにより、ウェハ状態の微小構造体に、周波数Fで、音圧がStである音を印加することができることとなる。また、校正情報取得部34aは、音信号受付部32が受け付けた音信号から求めた音圧と、音発生部10の発生する音に関して設定する情報が示す電圧との関数を求め、この関数から、目標値となる音圧を得るための電圧を求めるようにし、この電圧の値を含む情報を校正情報としても良い。校正情報取得部34aは、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。校正情報取得部34aの処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
つぎに、音校正装置3aの動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、音発生部10に周波数の異なるm(mは1以上の整数)の音を、同じ音圧で発生させるための校正情報を取得する場合について説明する。なお、音発生部10の発生する音に関して設定する情報のうちの電圧の設定値Vpと、mの周波数のそれぞれの値は、予めテーブル等に格納されて、図示しないメモリ等に蓄積されている。
(ステップS1101)信号出力部31は、カウンターkを初期値である1に設定する。
(ステップS1102)信号出力部31は、予めメモリ等に格納されている電圧の設定値Vpを読み出して、出力する信号の電圧Vpを設定する。この電圧の値は問わない。
(ステップS1103)信号出力部31は、予めメモリ等に格納されているk番目の周波数の設定値を取得する。そして、この取得したk番目の周波数と、ステップS1102において設定された電圧Vpとを有する信号を構成し、出力する。
(ステップS1104)音信号受付部32は、音信号を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS1105に進み、受け付けていない場合、ステップS1104に戻る。
(ステップS1105)校正情報取得部34aは、ステップS1104で受け付けた音信号について、その音圧Spが、所定の音圧Stであるか否かを判断する。所定の音圧Stとは、例えば、音発生部10が出力する音の音圧を、周波数にかかわらず一定にする際の、音圧の目標値等である。この所定の音圧の値は、例えば、メモリ等に予め格納されている。ここでは、所定の音圧Stは、1つの値の音圧とする。ただし、所定の音圧であるか否かの判断は、この所定の音圧Stに対して、所定の幅を持たせた範囲の音圧であるか否かの判断を行うようにしても良い。信号制御部33は、ステップS1104において受け付けた音信号を変換して、音信号から音圧Spの値を取得しても良い。また、音信号の電圧の値等を、そのまま音圧Spの値として利用して、この値が、所定の値の範囲に含まれるか否かを判断して、所定の値の範囲に含まれる場合に、所定の音圧であると判断するようにしてもよい。音圧Spが所定の音圧Stである場合、ステップS1106へ進み、所定の音圧Stでない場合、ステップS1110へ進む。なお、ここでは、所定の音圧Stであるか否かを判断するようにしたが、音信号の電圧が、所定の電圧であるか否か等を判断するようにしても良い。
(ステップS1106)校正情報取得部34aは、信号出力部31が出力した信号の電圧の値Vpを、これを所定の音圧Stを得るための電圧Vtとして、信号出力部31から取得する。また、ここでは、信号出力部31が出力した信号の周波数の値も信号出力部31から取得する。この周波数の値と、電圧の値Vtの値とが、ここでは校正情報である。なお、この電圧の値Vpや、周波数の値は、信号出力部31から取得しても良いし、上述した電圧の設定値や周波数の値を格納しているメモリ等から読み出しても良い。
(ステップS1107)校正情報出力部35は、校正情報、すなわち信号出力部31の出力した信号の周波数の値と、電圧の値Vpとを、関連付けて出力する。ここでは例として、校正情報出力部35は、校正情報をメモリ等の記憶媒体に蓄積する。例えば、校正情報出力部35は、周波数の値と、電圧の値とを、1つのレコードの2つの属性値として蓄積する。
(ステップS1108)信号出力部31は、kを1インクリメントする。
(ステップS1109)信号出力部31は、カウンターkの値が、mより大きいか否かを判断する。大きい場合、処理を終了し、大きくない場合、ステップS1103に戻る。
(ステップS1110)校正情報取得部34aは、予め設定されている所定の音圧Stと、ステップS1104で受け付けた音信号に応じて得られた音圧Spとの比を求める。
(ステップS1111)校正情報取得部34aは、信号出力部31が出力した信号の電圧Vpと、ステップS1110において求めた比から、音発生部10に音圧Stの音を出力させるための電圧Vtを取得する。例えば、上述した式1を利用することで、電圧Vtを求めることができる。また、校正情報取得部34aは、信号出力部31が出力した信号の周波数の値も取得する。なお、電圧の値Vpや周波数の値は、信号出力部31から取得しても良いし、上述した周波数の値を格納しているメモリ等から読み出しても良い。そして、ステップS1107に進む。
なお、図11のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
また、ここでは、予め1以上の周波数を用意しておき、カウンターkの値に応じて、周波数を取得する場合について説明した。しかしながら、周波数の初期値と、周波数の最大値や最小値を予め設定しておき、上記のフローチャートで、カウンターkが1の場合には、初期値の周波数を取得するようにし、カウンターkを1増加させる毎に、周波数の値を所定の値だけ増加、あるいは減少させていくようにし、周波数の値が、最大値より大きくなるか、最小値よりも小さくなった場合に、処理を終了するようにしても良い。なお、この場合、所定の値は、一定の値であっても、一定の値でなくても良い。また、この所定の値を小さい値に設定すれば、連続的な周波数の変化に対応した校正情報を得ることができる。
また、1つの周波数の信号についての校正情報を求める場合には、図6のフローチャートにおいて、mの値を1に設定すればよい。
また、上記のフローチャートにおいては、各周波数の音毎に、校正情報を取得するようにしているが、予め、各周波数の音毎の音圧を予め全て求めておき、全ての周波数の音について、音圧を求めた後に、得られた音圧から、校正情報を取得するようにしてもよい。
次に、本実施の形態における音校正システム等の具体的な動作について説明する。音校正システムの概念図は、図7に示した音校正システムにおいて、音校正装置3の代わりに、音校正装置3aを設けたものである。
まず、図7に示すように、検査装置1と音取得装置2とを配置した後、音校正装置3aに対して、図示しないメニューやボタン等を操作して、校正情報を作成する指示を与えたとする。
ここでは、音発生部10の発生する音に関して設定する情報として、電圧が100mVであるパルス信号を出力する設定と、図8と同様の周波数管理表が、図示しないメモリ等に予め格納されており、音校正装置3は、「周波数」属性の示すそれぞれの周波数の信号を出力した場合に、音取得装置2のマイクロフォン20が、目標値として100dBの音圧の音信号を得るための校正情報を取得するように設定されているとする。
信号出力部31は、まず、カウンターkを1にセットする。そして、電圧を100mVに設定する設定値を、図示しないメモリ等から読み出す。また、周波数管理表から、1番目のレコードである識別情報が「001」のレコードの、周波数の値「20Hz」を取得する。そして、信号出力部31は、周波数が、20Hzで、電圧が100mVのパルス信号を、検査装置1に出力する。
検査装置1の音発生部10は、信号出力部31から出力されるパルス信号に応じた20Hzの音を出力する。
音取得装置2のマイクロフォン20は、音発生部10から出力された音を取得し、音校正装置3に出力する。
音校正装置3aの音信号受付部32は、マイクロフォン20から出力された音信号を受け付ける。
校正情報取得部34aは、音信号受付部32が受け付けた音信号を変換して、マイクロフォン20が取得した音の音圧Spを求める。そして、この音圧Spが、目標値とする所定の音圧Stである100dBの±1dBの範囲、すなわち99dBから101dBまでの音圧の範囲に含まれるか否かを判断する。ここでは、信号制御部33が求めた音圧が99dBよりも小さい値であったとすると、100dB±1dBの範囲内にない、と判断される。
次に、校正情報取得部34aは、音信号受付部32が受け付けた音信号を変換して、マイクロフォン20が取得した音の音圧Spを求め、所定の音圧Stと、音圧Spとの比を求める。そして、この比と、音発生部10の発生する音に関して設定する情報のうちの電圧の設定値Vp100mVとから、上述した式1を用いて、校正情報取得部34aは、音発生部10に所定の音圧Stの音を出力させるための電圧Vtを取得する。
図12は、図8に示した各周波数と、これらの各周波数を有する100mVの信号を信号出力部31からそれぞれ出力した場合に、音信号受付部32が受け付けた音信号から、校正情報取得部34aが求めた音圧と、周波数との関係を示すグラフである。なお、音圧の単位はここではデシベルを使用している。
例えば、図12に示すように、周波数が1450Hzでは100mVの電圧の信号によって得られる音圧Spが、84dB程度であり、所定の音圧St、すなわち目標とする音圧Stの値100dBには約16dB足りないことが分かる。ここで、音圧が約16dB足りない、ということは、音圧の単位をパスカルとして考えると、目標とする音圧Stは、現在の音圧Spの約6倍の音圧であることとなる。すなわち、目標とする音圧Stと現在の音圧Spの比は、約6となる。したがって、この比から、周波数1450Hzの信号においては、100dBの音圧を得るための信号の電圧は、現在の信号の電圧100mVの約6倍の約600mVの電圧となる。このような処理に相当する処理を、校正情報取得部34aが行っていることとなる。
校正情報取得部34aは、信号出力部31が出力した信号の周波数の値を取得する。この校正情報取得部34aが取得した音発生部10に所定の音圧Stの音を出力させるための電圧Vtと、信号出力部31が出力した信号の周波数の値とが、ここでは校正情報である。この校正情報を、校正情報出力部35が、図示しないメモリ等に蓄積する。なお、最初にマイクロフォン20が取得した音の音圧が、100dB±1dB、すなわち99dBから101dBまでの音圧の範囲に含まれると判断された場合も、その時点で校正情報、すなわち信号出力部31が出力している電圧の値と、その信号の周波数の値とがメモリ等に蓄積される。
そして、信号出力部31は、カウンターkの値を1インクリメントして、周波数管理表から、2番目のレコードである識別情報が「002」のレコードの、周波数の値「30Hz」を取得する。そして、周波数が30Hzで、電圧が100mVである信号を出力する。そして、同様の処理を繰り返す。
そして、カウンターnの値が、400となった時点で、周波数管理表に対応するレコードがなくなるため、処理を終了する。
この処理が終了した時点で校正情報出力部35によりメモリ等に格納されている校正情報は、図9と同様のグラフで表される。ただし、ここでは、校正情報は、完全な実測値ではないことから、図9のグラフとは、若干の値のずれが予想される。
このようにして得られた校正情報を利用することで、検査に用いる音の周波数にかかわらず、常に一定の音圧の音を、ウェハ状態の微小構造体に印加することが可能となる。具体的には、例えば、検査装置1に対して検査用の信号を供給する装置等(図示せず)に、このような校正情報を与えておき、このような検査用の装置が、検査時に所望の周波数の音を音発生部10に発生させる際に、図9に示すようなグラフから所望の周波数の電圧の値を読み取り、この読み取った電圧値を有する、所望の周波数の信号を、音発生部10に対して与えるようにする。これにより、微小構造体に対して、周波数にかかわらず、所望の周波数を有する100dB±10dBの音圧の音を印加することができる。
以上、本実施の形態においては、マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置を、平面211と同じ高さに位置するよう保持する保持部212と、平面211上に設けられた1以上の突起部213と、を有するホルダ21を具備するようにしたことにより、検査装置1から出力される音を、検査時と同様の環境において、微小構造体が配置される位置と同様の位置で取得することができる。この結果、ウェハ状態の微小構造体に検査時に印加される、検査時の環境によって周波数特性が発生した音と同じ音を、精度良く取得することが可能となる。
また、本実施の形態においては、音取得装置2のマイクロフォン20から出力される音の信号である音信号を受け付ける音信号受付部32と、音発生部10の発生する音に関して設定する情報と、音信号受付部32が受け付けた音信号とに応じて、音発生部10から所望の音を発生させる情報である校正情報を取得する校正情報取得部34aと、校正情報取得部34aが取得した校正情報を出力する校正情報出力部35とを具備したので、音発生部10の出力する所望の周波数の音を、所望の音とすることが可能な校正情報を得ることができる。このような校正情報を用いて、音発生部10に所望の周波数の信号を出力することで、検査時の状態において、音発生部10から、所望の周波数を有する所望の音、例えば所望の音圧を有する音、を出力させることができ、精度の良い検査を行うことが可能となる。また、このような校正情報を用いることで、複数の検査装置1の装置間の周波数特性のばらつきを補正した検査が可能となり、異なる検査装置1を用いて行った検査結果を、比較することが可能となる。また、このような校正情報を、音発生部10に発生させる音の電圧を、マイクロフォンの取得する音に応じて変化させることなく得ることができるため、処理の迅速化を図ることができる。
なお、上記の具体例においては、信号出力部31が出力する信号の電圧と、音信号受付部32が受け付けた音信号から求められた音圧と、音発生部10から出力する音の音圧の目標値である所定の値とから、この目標値となる音圧を有する音を音発生部10に発生させるための信号の電圧の値を求め、この値を、校正情報として取得するようにした。しかしながら、本発明においては、このようにして求められた電圧の近辺の電圧を用いて、以下のような処理を行うようにしても良い。すなわち、校正情報取得部34aが、このようにして求められた電圧の近辺の電圧を、数点選択し、それぞれの電圧を有する信号を、順次信号出力部31から音発生部10に対して出力させる。そして、音発生部10が出力した音を、マイクロフォン20で取得する。そして、校正情報取得部34aが、マイクロフォン20が出力した音信号を、それぞれ音信号受付部32から取得して、それぞれ音圧を求める。そして、この音圧が、目標値となる音圧に最も近い場合の電圧の値を、校正情報の少なくとも一部として取得するようにしてもよい。このようにすることで、目標値となる音圧を得るための校正情報の精度を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る校正情報取得部34aの構成を、上記実施の形態1の音校正装置3に加えるようにし、上記の具体例に示したように、校正情報取得部34aにおいて、信号出力部31が出力する信号の電圧と、音信号受付部32が受け付けた音信号から求められた音圧と、音発生部10から出力する音の音圧の目標値とから、この目標値となる音圧を有する音を音発生部10に発生させるための信号の電圧の値を求めた後、この電圧を、上記実施の形態1の図6のステップS602に示した、信号出力部31が出力する信号の電圧の初期値として利用するようにしても良い。このようにすることで、電圧を所定の値毎に1ステップずつ増減させる場合に比べて、電圧を調整する回数を減らすことが可能となる。
なお、上記実施の形態2において、音校正装置3aが信号出力部31を備えている場合について説明したが、信号出力部31は、音校正装置3aの外部の装置に設けられていても良いし、検査装置1の内部等に設けても良い。ただし、このような場合、校正情報取得部34aは、音発生部10の発生する音に関して設定する情報を予めメモリ等に蓄積しておくか、図示しない有線や無線の通信手段等を介して、外部の信号出力部31等から、音発生部10の発生する音に関して設定する情報を取得する必要がある。
また、本発明は、上記実施の形態2において、検査装置1の音発生部10が、例えばアンプや波形発生器等の、所望の周波数の信号を生成する手段等(図示せず)を有しており、この生成する手段等により生成された正弦波やパルス等の信号に応じた音を発生するようにした場合であっても適用可能なものである。このような場合においては、信号出力部31を省略してもよいし、音校正装置3a内の信号出力部31が、音発生部10の発生する音に関して設定する情報を検査装置1の音発生部10に出力するようにしても良い。
なお、上記実施の形態における音校正装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、音を発生する音発生部とプローブカードとを具備する検査装置の音を校正する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータに、前記音発生部から出力された音の信号である音信号を受け付ける音信号受付ステップと、前記音発生部の発生する音に関して設定する情報と、前記音信号受付ステップにより受け付けた音信号とに応じて、前記音発生部から所望の音を発生させる情報である校正情報を取得する校正情報取得ステップと、前記校正情報取得ステップにより取得した校正情報を出力する校正情報出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
(実施の形態3)
図13は、本実施の形態における音測定システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の音校正システムは、検査装置1と、音取得装置2と、音測定装置4とを備えている。
検査装置1と音取得装置2の構成や動作等については、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
音測定装置4は、信号出力部31と、音信号受付部32と、出力部40とを備えている。出力部40以外の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。ただし、ここでは、信号出力部31は、制御情報に応じた音を発生させるための信号を出力する代わりに、予めメモリ等に格納されている音発生部10の発生する音に関して設定する情報を、読み出して、音発生部10に音を発生させるための信号を出力するものとする。また、検査装置1の音発生部10に、図示しない他の装置から出力された、音を発生させるための信号が入力される場合、信号出力部31は省略しても良い。
出力部40は、音信号受付部32が受け付けた音信号に関する情報を出力する。音信号に関する情報とは、何ら処理が行われていない音信号であっても良いし、音信号に対して、適宜所定の処理を行って、処理の結果得られる信号や情報であってもよい。例えば、音信号に関する情報は、音信号から算出された音圧の情報であってもよい。また、音信号の電圧を、数値化した情報であってもよい。ここで述べる出力とは、出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタへの印字、図示しないメモリ等の記録媒体への記録や、外部の装置への送信等を含む概念である。出力部40は、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。また、メモリ等の記録媒体を含むと考えても含まないと考えても良い。出力部40は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。また、出力部40は所定の処理を行うためのMPUやメモリ等を備えていても良い。このような出力部40の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
次に、音測定装置4の動作について図14のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、音発生部10に周波数や電圧等が異なるm(mは1以上の整数)の音を出力させたる場合について説明する。この、mの音を出力させるための信号の設定は、予めテーブル等に格納されて、図示しないメモリ等に蓄積されている。
(ステップS1401)信号出力部31は、カウンターhに1を代入する。
(ステップS1402)信号出力部31は、h番目に出力する信号を設定する情報、例えば周波数や、電圧を設定する情報、を、メモリ等から読み出す。
(ステップS1403)信号出力部31は、ステップS1402で読み出した情報に応じたパルス信号等の信号を、例えば音発生部10に出力する。
(ステップS1404)音信号受付部32は、音信号を受け付けたか否かを判断する。音信号を受け付けた場合、ステップS1405へ進み、受け付けていない場合、ステップS1404に戻る。
(ステップS1405)出力部40は、ステップS1404において受け付けた音信号に対して、所定の処理を行って、音信号に関する情報を取得する。例えば、ステップS1402において受け付けた音信号から音圧を求める。なお、所定の処理を行わない場合は、このステップは無視される。
(ステップS1406)出力部40は、ステップS1403において取得した音信号に関する情報を出力する。なお、この出力の際には、信号出力部31が出力した信号についての情報を、信号出力部31等から取得し、音信号に関する情報に関連づけて出力しても良い。
(ステップS1407)信号出力部31は、カウンターhを1インクリメントする。
(ステップS1408)信号出力部31は、カウンターhの値がmより大きいか否かを判断する。大きい場合、処理を終了し、大きくない場合、ステップS1402へ戻る。
なお、信号出力部31を音測定装置4に設けない場合、ステップS1401からステップS1403までの処理と、ステップS1407の処理と、ステップS1408の処理とを省略し、ステップS1406の処理が終了後、ステップS1404の処理に戻るようにすればよい。
なお、図14のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、本実施の形態における音測定システム等の具体的な動作について説明する。音測定システムの概念図は、図7に示した音校正システムにおいて、音校正装置3の代わりに、音測定装置4を設けたものである。
まず、図7に示すように、検査装置1と音取得装置2とを配置した後、音測定装置4に対して、図示しないメニューやボタン等を操作して、音の測定を開始する指示を与えたとする。
ここでは、図8と同様の周波数管理表が、図示しないメモリ等に予め格納されており、信号出力部31は、この「周波数」属性の示すそれぞれの周波数の信号を出力するように設定されているとする。また、信号出力部31の出力する信号を、電圧が100mVのパルス信号に設定する情報が図示しないメモリ等に格納されているものとする。
信号出力部31は、まず、カウンターnを1にセットして、周波数管理表から、1番目のレコードである識別情報が「001」のレコードの、周波数の値「20Hz」を取得する。また、出力する信号の電圧を100mVに設定する情報を、図示しないメモリ等から読み出す。そして、信号出力部31は、周波数が、20Hzで、電圧が100mVの信号を、検査装置1に出力する。
検査装置1の音発生部10は、信号出力部31から出力される信号に応じた20Hzの音を出力する。
音取得装置2のマイクロフォン20は、音発生部10から出力された音を取得し、音校正装置3に出力する。
音校正装置3aの音信号受付部32は、マイクロフォン20から出力された音信号を受け付ける。
出力部40は、音信号受付部32が受け付けた音信号を変換して、マイクロフォン20が取得した音の音圧を求める。また、信号出力部31が出力している信号の周波数の情報を、例えば信号出力部31や、図8に示すような周波数管理表等から取得する。
出力部40は、取得した音圧と、信号出力部31が出力している信号の周波数の情報とを、関連づけてメモリ等に蓄積する。具体的には、これらの2つの情報を、1つのレコードの2つの属性として、蓄積する。
そして、カウンターnを2にセットして、周波数管理表から、2番目のレコードである識別情報が「002」のレコードの、周波数の値「30Hz」を取得する。このようにして、上記の処理が、図8に示す周波数管理表に管理されているレコード全てについて繰り返される。
出力部40が蓄積した音圧と周波数の情報をグラフで示すと、図12に示すグラフと同様のグラフとなる。すなわち、ここでは、出力部40は、図12に示すような、検査装置1の音発生部10の、信号の電圧を一定とした場合の、音圧と、周波数との関係を示す情報を構成したこととなる。
以上、本実施の形態においては、マイクロフォン20の音の入力を受け付ける位置を、平面211と同じ高さに位置するよう保持する保持部212と、平面211上に設けられた1以上の突起部213と、を有するホルダ21を具備するようにしたことにより、検査装置1から出力される音を、検査時と同様の環境において、微小構造体が配置される位置と同様の位置で取得することができる。この結果、ウェハ状態の微小構造体に検査時に印加される、検査時の環境によって周波数特性が発生した音と同じ音を、精度良く取得することが可能となる。
また、本実施の形態においては、音取得装置2のマイクロフォン20から出力される音の信号である音信号を受け付ける音信号受付部32と、音信号受付部32が受け付けた音信号に関する情報を出力する出力部40とを具備するようにしたことにより、検査装置1から出力される音を、検査時と同様の環境において、微小構造体が配置される位置と同様の位置で測定することができる。このため、測定結果に基づいて、どのような音によって、微小構造体の検査が行われているかを正確に知ることができ、データの客観性を保つことができる。この結果、例えば、異なる検査装置1による検査結果同士を比較したりすることが可能となる。また、異なる周波数で行われた検査結果を、上記の測定結果に基づいて、音圧等の条件が一定となるように補正して比較、検討することが可能となる。
なお、上記実施の形態における音測定装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、入力される信号に応じた音を発生する音発生部とプローブカードとを具備する検査装置の前記音発生部から出力される音を取得するための音取得装置であって、前記音発生部から出力される音の入力を受け付けるマイクロフォンと、前記マイクロフォンを保持するホルダとを具備し、前記ホルダには、平面が形成されており、前記ホルダは、前記平面と同じ高さに前記マイクロフォンの音の入力を受け付ける位置が位置するよう前記マイクロフォンを保持する保持部と、前記平面上に設けられた1以上の突起部とを有する、音取得装置が取得した音を測定する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータに、前記音取得装置のマイクロフォンから出力される音の信号である音信号を受け付ける音信号受付ステップと、前記音信号受付部が受け付けた音信号に関する情報を出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
(実施の形態4)
本実施の形態の音取得装置は、上記実施の形態1において説明した音取得装置において、温度調整部を備えるようにしたものである。
図15は、本実施の形態における音取得装置の構造を示す側面図である。
また、図16は、本実施の形態における音取得装置の構造を示す斜視図である。
本実施の形態に係る音取得装置2aは、マイクロフォン20と、ホルダ21と、固定部22と、温度調節部23を備えている。マイクロフォン20と、ホルダ21と、固定部22の構造等については、上記実施の形態1の構造等と同様であるので説明は省略する。
温度調節部23は、少なくともホルダ21の保持部212近傍の温度を調節する。具体的には、温度調節部23は、ホルダ、特に保持部212の近傍の温度を、予め設定された温度となるように、調節する。温度調節部23による温度の調節は、温度を高くすることであっても、低くすることであっても良い。ここでは、温度調節部23は、電流を流すことにより発熱する平面状のヒータを用いた場合について示しているが、温度調節部23は線状のヒータや、ホルダ21の熱を外部に運んだり外部から熱を運んでくるためのヒートパイプや、熱を放熱する冷却ファン等が利用可能である。ここでは、温度調節部23は、ホルダ21の、平面211とは反対側の面上に配置されているが、ホルダ21内に埋め込むようにしても良いし、温度調節部23の表面が平坦であれば、平面211側に配置してもよい。温度調節部23の形状は、シート状や、板状のものが好ましい。もしくは、温度調節部23の材質等が、ホルダ21の表面に配設しやすい柔軟性のあるものが好ましい。このような温度調節部23として利用可能なヒータやヒートパイプ等の構造については、公知技術であるので説明は省略する。また、温度調節部23は、温度を検知し、その検知結果に応じて温度をコントロールするための温度制御手段(図示せず)を備えていても良い。あるいは、このような温度制御手段を、温度調節部23とは別に設けるようにしても良い。このような温度制御手段としては、例えば、いわゆるサーモスタット等を利用しても良い。また、このような温度制御手段として、温度を検出するセンサと、センサの出力に応じて、温度調節部23のオン、オフや、発熱量等を切り替える制御を行う制御手段等を利用しても良い。サーモスタットや、センサ等は、保持部212に近い位置に配置することが好ましい。特に温度の検知にセンサを用いる場合、センサは、温度調節部23の配置に関係なく、保持部212の平面211に近い位置に配置することが好ましい。なお、このような温度制御手段の構成や、温度を設定した温度となるように制御する処理等については、公知技術であるので、ここでは説明を省略する。
本実施の形態の音取得装置2aによれば、検査装置1の音を取得する際の、保持部212近傍の温度を所望の温度に調節することができる。これにより、温度条件を自由に変えて音の取得を行うことが可能となり、音を取得する際の精度を向上させることが可能となる。例えば、検査装置1を用いた実際の微小構造体の検査が行われる温度と同じ温度に保持部212近傍を調節することで、実際の微小構造体の検査時と同じ温度条件で、検査装置1から出力される音を取得することができる。この結果、この音取得装置2を用いることで、より実際の検査時に近い状態で出力された音を取得することが可能となる。さらに、この音取得装置2aを、上記実施の形態1から3に示した音構成システムに用いることで、より実際の検査時に近い状態で、検査装置1から出力される音を校正するための校正情報を得たり、検査装置1から出力される音の測定を行ったりすることが可能となる。
なお、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。