JP4901123B2 - 電池とその製造方法、およびパック電池 - Google Patents
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Description
上記パック電池では、素電池と回路基板との接合部分を低温成形樹脂材料で覆い、樹脂モールドを形成する構成が採られている。これは、素電池と回路基板との固定と、回路基板および素電池の端子などにユーザが触れることのないようにするためのものである。また、低温成形樹脂で形成される樹脂モールドを用いた構成では、ケースに素電池および保護回路を収納する場合に比べて、生産性の向上を図ることができる。
また、別の提案としては、封口板の主面に深さ方向内方に向けて開口サイズが増大する係合用凹部を設け、そこにカバーをアンカー固定することで接合強度の向上を図ろうとする技術があり(例えば、特許文献2)、これを低温樹脂モールドの構成に適用しようとする研究開発もなされている。
本発明に係るパック電池は、素電池と、その封口板主面を被覆する樹脂モールドとを備える構成のものであって、樹脂モールドが、封口板の外周縁によって噛合された構成となっていることを特徴とする。ここで、本発明に係るパック電池では、樹脂モールドと封口板との噛合方向は、封口板の主面と略同一方向として構成されている。
(1)素電池を形成するステップ
(1−1)〜(1−3)のサブステップを経て形成される封口板を用いる。
(1−2)浅皿成形サブステップ;雌型の凹部に対して、当該凹部よりもサイズの小さい第1凸部を有する第1雄型を侵入させて封口板用板材をプレスし、封口板用板材の外周縁を起立させて、浅皿状に成形する。
(2)樹脂モールド形成ステップ
インサート成形法を用いて素電池の封口板における溝状の凹部に対して樹脂を侵入させ、当該侵入させた部分をアンカーとして、樹脂モールドを封口板に対して噛合させる。
また、本発明に係るパック電池では、上記特許文献1に係る電池および上記特許文献2の技術を適用した電池とは相違し、封口板の外周縁で樹脂モールドが噛合される構成としているので、主面中央部などにおける端子、封止栓およびガス排出弁などの形成領域を制約することがなく、パック電池の小型化にあたっても優位である。
1.実施の形態
1−1.パック電池1の全体構成
本実施の形態に係るパック電池1の全体構成について、図1を用いて説明する。
パック電池1の内部構造について、図2を用いて説明する。図2は、パック電池1の一部分(封口体13周辺領域)を示す部分断面図である。
図2に示すように、パック電池1は、素電池10と、この素電池10の封口体13側に設けられた保護回路基板30と、素電池10の封口体13部分および保護回路基板30を覆う状態に形成された樹脂モールド20とを主な構成要素としている。
図2に示すように、保護回路基板30は、基板本体31の外側主面に外部接続端子32が設けられ、各外部接続端子32が、上述のように、樹脂モールド20に設けられた窓部20bを通して露出されている。図示を省略しているが、保護回路基板30の基板本体31におけるもう一方の主面には、複数の電子部品が実装されており、素電池10に対する過充電・過放電・過電流の防止を図っている。また、保護回路基板30の基板本体31における内側主面には、内部端子33、34が設けられており、素電池10に対して接続されている。
図2に示すように、パック電池1における樹脂モールド20は、素電池10と保護回路基板30との間にも隙間なく、密にポリアミド樹脂材料(低温成形樹脂材料)が充填されて形成されており、封口板130の主面との接続力および後述の構成により、高い強度での接合が図られている。
次に、パック電池1における素電池10と樹脂モールド20との接合形態について、図2に加えて図3を用いて説明する。図3は、素電池10における封口体13のオモテ面および裏面を示す斜視図である。
先ず、本実施の形態に係るパック電池1では、封口体13の封口板130における外周縁に、樹脂モールド20を噛合するための構成が設けられている。具体的には、図3(a)の拡大部分に示すように、封口板130は、その外周縁が起立された浅皿状をしており、その側壁に庇部13aが形成されている。封口板130では、その外周縁の全周にわたって、この庇部13aが形成されており、これによって側壁に溝状の凹部、即ち側壁溝部13bが形成されている形態を有している。
図3(b)に示すように、封口体13では、封口板130の裏側主面に、若干小さなサイズの絶縁板136が取り付けられており、また、内部接続リード134がオモテ面の負極端子板135との電気的な接続を図るための端子リベット133により封口体13にガタツキなくカシメ固定されている。そして、封口板130の裏側主面には、封止栓131およびガス排出弁132が露出状態となっている。
上述のように、本実施の形態に係るパック電池1では、素電池10の封口板130における外周縁に側壁溝部13bを設け、この部分にも樹脂モールド20を侵入させてアンカーとしている。このため、パック電池1では、従来のパック電池よりも高い強度で樹脂モールド20が固定されており、品質面および製造歩留まりという観点から優位性を有する。即ち、本実施の形態に係るパック電池1では、素電池10に対する樹脂モールド20の接合強度が従来のパック電池よりも高いので、その使用時において樹脂モールド20が素電池10などから分離してしまうような事態が生じ難い。また、製造時において素電池10に対して十分な強度を以って樹脂モールド20が接合されない場合には、そのパック電池は不良あるいは修理が必要なものとなるが、本実施の形態に係るパック電池1では、素電池10への樹脂モールド20の高い接合強度を確保できるので、不良あるいは修理品となる確率を低減することが可能となる。
さらに、本実施の形態に係るパック電池1の構成では、素電池10の製造過程において、封口体13がパーツフィーダなどに投入され、パーツフィーダからの微振動の影響を受けた場合にも、上記特許文献1の構成を採用する場合に比べて、他の封口体13における各構成要素131〜137などにキズや曲がりなどのダメージを与え難い。即ち、本実施の形態に係る封口体13では、封口板130の外周縁に側壁溝部13aを形成しており、尚且つ、その側壁溝部13aが封口板130の面内方に向けて開口された形態となっているので、より一層他へのダメージを与え難い。
次に、本実施の形態に係るパック電池1の構成の内、その最も特徴となる封口板130の製造方法について、図4、5を用いて説明する。図4、5は、封口板130の製造過程の内、外周縁における側壁溝部13bの形成に係る部分までを示す模式工程図である。
図4(a)に示すように、封口板130の製造過程の最初のステップとしては、主面中央部分に凹部501aが形成されたダイ501を用い、凹部501aの底面に対して、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる封口板用板材1300を載置する。
図5(a)に示すように、次のステップとしては、ダイ501の凹部501aに載置された状態の封口板前駆体1301に対して、パンチ凸部503aを有する第2パンチ503を侵入させて行く。第2パンチ503は、ベースとなる部分からパンチ凸部503aが突設された形状を有するものであって、パンチ凸部503aが幅W1、高さD1を有するものである。パンチ凸部503aの幅W1および高さD1は、封口体前駆体1301の窪み部1301aの幅W2および深さD2と、形成しようとする庇部13a(図3を参照。)との関係に基づいて設定されている。具体的には、第2パンチ503におけるパンチ凸部503aの幅W1は、封口板前駆体1301の窪み部1301aの幅W2に対して、形成しようとする庇部13aの張り出し幅の2倍の寸法分小さいサイズに設定されている。
図5(b)に示すように、上記サイズで設定された第2パンチ503を封口板前駆体1301の窪み部1301a内に侵入させて行くと、第2パンチ503は、封口板前駆体1301のリブ部1301b(図4(c)を参照。)の頂部分で接触する。この時点では、パンチ凸部503aと封口板前駆体1301の窪み部1301aの底面との間に、隙間を生じている。
以下では、上記本発明に係るパック電池1の優位性を確認するために実施した実験について、説明する。
2−1.実験サンプル
本確認実験に用いた各サンプルの形態について、図6を用いて説明する。
(a)実施例サンプル
図6(a)に示すように、実施例に係るサンプルとしては、封口体600を有する素電池を備える構成のパック電池を採用した。そして、素電池の封口体600は、基本的に上記実施の形態に係るパック電池1における封口体13と同一の構成を採用して形成した。本実施例では、封口板601の外周縁に庇部600aを形成し、この庇部600aの形成により側壁溝部600bを構成する。庇部600aは、その張り出し寸法X1が0.2mm、高さY1が0.2mm、テーパー角θ1が45°である。
(b)比較例1サンプル
図6(b)に示すように、比較例1に係るサンプルとしては、封口体700を有する素電池を備える構成のパック電池を採用した。そして、封口体700は、上記特許文献1で提案されているように、主面から2本のリベット状突起702が突出された構成を有する。ここで、封口板701のサイズについては、上記封口体600における封口板601と同一とした。
(c)比較例2サンプル
図6(c)に示すように、比較例2に係るサンプルとしては、封口体サンプル800を有する素電池を備える構成のパック電池を採用した。そして、封口体800は、上記特許文献2で提案されているように、封口板801の主面に2箇所のアンダーカットディンプル800aが形成された構成のものを用いた。アンダーカットディンプル800aは、図6(c)の拡大部分に示すように、ドーナッツ状であって、封口板801の厚み方向内方に行くほどサイズが大きくなるような形状となっている。
なお、封口板801のサイズL、W、Rについては、上記実施例に係る封口板601などと同様である。
2−2.実験方法
上記実施例サンプル、比較例1サンプルおよび比較例2サンプルを各5サンプルづつ用意し、次の実験に供した。
表1に示すように、実施例サンプルでは、密着保持時間の平均値が比較例1〜3の各サンプルに比べて高い値を示している。例えば、実施例サンプルでは、密着保持時間の平均値が、比較例3サンプルに対して6倍以上となっており、封口体13の外周縁での噛合により樹脂モールド20の接合強度が向上していることが分かる。
表1に示すように、実施例サンプルの密着保持時間については、その最小値においても比較例1〜3の各サンプルに対して高い値を有している。このことから、実施例サンプルが、安定的に高い樹脂モールドの接合強度を有するといえる。
上記実施の形態では、素電池として角型のリチウムイオン電池を備えるパック電池を一例として採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、円筒型などの外観形状を有するニッケルカドミウム(Ni−Cd)電池やニッケル水素(Ni−MH)電池などを素電池として備えるパック電池に対しても適用が可能である。
10.素電池
11.外装缶
12.電極体
13、600、封口体
13a.庇部
13b.側壁溝部
14.スペーサー
20.樹脂モールド
30.保護回路基板
31.基板本体
32.外部接続端子
33、34.内部端子
41、43、45.接続リード
42.保護素子
44.クラッド板
130、601.封口板
131.封止栓
132.ガス排出弁
133.端子リベット
134.内部接続リード
135.負極端子板
136.絶縁板
137.ガスケット
501.ダイ
502.第1パンチ
503.第2パンチ
503a.パンチ凸部
1300.封口板用板材
1301.封口板前駆体
1301b.リブ部
Claims (5)
- 有底筒状の外装体における開口部が封口板で封口されてなる素電池と、当該素電池の封口板の主面を被覆する樹脂モールドとを備えるパック電池であって、
前記樹脂モールドは、前記封口板の外周縁によって、前記主面と略同一方向に噛合されている
ことを特徴とするパック電池。 - 前記封口板は、板体の外周縁に沿ってリブが形成された浅皿形状をし、前記リブの壁面に当該リブの立設方向と交差する方向に深さを有する凹部が形成されており、
前記樹脂モールドは、前記凹部にも侵入形成され、当該侵入部分をアンカーとして前記封口板に対し噛合されている
ことを特徴とする請求項1に記載のパック電池。 - 前記凹部は、前記リブの内側壁に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のパック電池。 - 前記凹部は、前記外周縁の全周にわたって溝状に形成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のパック電池。 - 有底筒状の外装体における開口部を封口板で封口し、素電池を形成するステップと、インサート成形法を用いて、前記封口板を覆う状態に樹脂モールドを形成するステップとを有するパック電池の製造方法であって、
前記素電池を形成するステップでは、
主面に凹部が形成された雌型に対して、前記凹部に封口板用板材を載置するサブステップと、
前記雌型の凹部に対して、当該凹部よりもサイズの小さい第1凸部を有する第1雄型を侵入させて前記封口板用板材をプレスし、前記封口板用板材の外周縁を起立させて、浅皿状に成形するサブステップと、
前記雌型の凹部に対して、当該凹部と略同一サイズのベース部から、前記第1凸部よりもサイズの小さい第2凸部が突出された形状の第2雄型を侵入させて前記浅皿状に成形されてなる封口板用板材をプレスし、外周側壁に庇部を張り出させ、これにより溝状の凹部を形成するサブステップと
を経て形成される前記封口板を用い、
前記樹脂モールドを形成するステップでは、前記封口板の溝状の凹部に樹脂を侵入させて、当該侵入部分をアンカーとして、前記樹脂モールドを封口板に対して噛合させる
ことを特徴とするパック電池の製造方法。
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