JP4901016B2 - インテークマニホールドのバルブ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインテークマニホールドのバルブ構造に関する。詳しくは、エンジンの吸気通路の開閉を行う多連一体型のバタフライバルブにおいて、該バタフライバルブを駆動するアクチュエータの作動性を良好に保つことができるインテークマニホールドのバルブ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの回転速度、負荷等に応じて吸気管の長さを2段階に切替え、吸気に慣性過給効果あるいは共鳴過給効果を与えて、エンジンの出力を向上させる技術は公知であり、この可変バルブ構造のコストダウンを目的として、近年開発されたものとが、特開平7−166877号公報、特開平8−277717号公報、ドイツ特許DE19504256A1等に開示されている。
【0003】
図5〜7はドイツ特許DE19504256A1に開示された切替え吸気管を説明するための図である。これは、図5の断面図に示すように、空気分配室2を囲んで吸気管5が設けられ、その一端は空気分配室2に開口している。また、吸気管5の途中に空気分配室2に通ずる開口を有する第2吸気管4が設けられ、該第2吸気管4には該第2吸気管4を開閉可能な遮断フラップ6が設けられている。
【0004】
また、図6の断面図に示すように、各気筒に対応した吸気管にそれぞれ設けられた遮断フラップ6は滑り軸受11により支持された軸7に支持されている。遮断フラップ6は図7(a)及び(b)に示すように、複数対のノッチ8と平面部9により軸7に支持され、軸7に対して回転方向には拘束されているが、軸方向には移動可能となっている。そして、軸7が金属で、吸気管5がプラスチックである場合でも、その熱膨張差を吸収できるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の切替え吸気管の構造では、樹脂製のマニホールドに組み込む場合、樹脂成形であるが故に、各気筒の可変バルブに設定されたシャフト貫通穴の同軸精度を高く設定することは困難であり、その結果軸と軸受との摺動抵抗が大きくなり、バルブを開閉するアクチュエータの作動性に大きく支障をきたす恐れがある。このため、現状では同軸精度を確保するために、膨大な時間を掛けて成形型補正や、後加工による寸法補正の対応が必要であるという問題が生じている。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、樹脂製マニホールドのバルブ構造において、多連のバルブを支承する軸受の同軸精度が悪くとも、バタフライバルブを駆動するアクチュエータの作動性を良好に保つことができるインテークマニホールドのバルブ構造を安価に実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、各気筒に設定するバタフライバルブに一本の角断面シャフトを貫通し駆動されるインテークマニホールドのバタフライバルブの構造において、前記バタフライバルブは、その中央部に設けられたシャフトとの嵌合部と、左右に設けられたシャフト穴を有する軸受部とが一体に形成され、該軸受部のシャフト穴と角断面シャフトとのクリアランスを、インテークマニホールドの成形歪みによるシャフト穴の同軸精度の悪化を吸収できる程度に大きくしたことを特徴とする。また、請求項2は、各気筒に設定するバタフライバルブに一本の角断面シャフトを貫通し駆動させるインテークマニホールドのバタフライバルブの構造において、前記バタフライバルブは、その中央部の嵌合部の軸穴と軸受部の軸穴との大きさを、前記角断面シャフトがバタフライバルブ中央部の嵌合部に嵌合する部分Aと同一大きさとし、前記角断面シャフトは、その断面をバタフライバルブ中央部の嵌合部に嵌合する部分Aよりも嵌合しない部分Bを小さく形成し、インテークマニホールドの成形歪みによるシャフト穴の同軸精度の悪化を吸収できるようにしたことを特徴とする。また、請求項3は、各気筒に設定するバタフライバルブに一本の角断面シャフトを貫通し駆動させるインテークマニホールドのバタフライバルブ構造において、前記バタフライバルブは、その中央部の嵌合部の軸穴を前記角断面シャフトと同一大きさとし、軸受部の軸穴は前記角断面シャフトの断面より大きく形成し、前記角断面シャフトは、その断面を一定として、インテークマニホールドの歪みによるシャフト穴の同軸精度の悪化を吸収できるようにしたことを特徴とする。なお、前記請求項1〜3においては、バタフライバルブは、その中央部に設けられたシャフトとの嵌合部と、左右に設けられたシャフト穴を有する軸受部とが一体に形成され、バタフライバルブの軸受部が、インテークマニホールドに設けた軸受部材又はブッシュに対して相対的に回転・摺動するようになっている。
また、請求項4は、前記インテークマニホールド及びバタフライバルブは樹脂により形成され、前記角断面シャフトは金属により形成されたことを特徴とする。
【0008】
この構成を採ることにより、バタフライバルブに形成された軸受部のシャフト穴と角断面シャフトとのクリアランスが大きいため、シャフトが撓み易くなり、インテークマニホールドの温度変化による同軸精度の悪化に対してもバタフライバルブを駆動するアクチュエータの作動性を良好に保つことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のインテークマニホールドのバルブ構造の第1の実施の形態におけるバタフライバルブを示す図である。本実施の形態のバタフライバルブ20は、同図に示すように、略楕円状のバルブ本体21の両端に軸受部22が、中央部にシャフトとの嵌合部23が形成されている。
【0010】
前記軸受部22は、図1(b)に示すように中央に角断面シャフトを挿通させる軸穴24が穿設されている。この軸穴24は本実施の形態では4角形であるが、他の多角形でも良く、その穴の大きさは、角断面シャフトと同じ形状で同じ大きさとする。またこの軸受部22の外周は軸受に接する摺動面となっている。
【0011】
また、シャフトとの嵌合部23はバルブ本体21の表面に設けられた突出部25と裏面に設けられた突出部26,27とよりなり、それぞれ角断面シャフトにガタなく嵌合する凹溝28が形成されている。なお、裏面の突出部26,27は表面の突出部25の左右に配置されているが、これは製造上の問題で、裏面の突出部26,27と表面の突出部25とは同一位置に設けても良い。
【0012】
図2は本発明のインテークマニホールドの固定構造の第1の実施の形態における角断面シャフトをバルブと共に示す図である。本実施の形態の角断面シャフト30は同図に示すように、金属で形成され、バタフライバルブ20の嵌合部23に嵌合する部分Aは元の大きさであり、その他の部分Bは断面を細くしている。なお、同図において、符号40は軸受部材であり、41はその軸受部材40に圧入された樹脂ブッシュである。
【0013】
このように構成されたバタフライバルブ20と角断面シャフト30は図3に示すように組立られる。先ず、図3(a)の如く、バタフライバルブ20が軸受部材40に組付けられる。この状態では角断面シャフト30は未組付けである。次に、バタフライバルブ20を組付けた軸受部材40は図示なき樹脂製のインテークマニホールドの各ライナーの入口に挿入され固定される。次いでインテークマニホールドの一方の端部から角断面シャフト30を挿入して各軸受部材40に組付けられているバタフライバルブ20を串刺し状に挿通する。図3(b)はこの状態を、インテークマニホールドを除いて示している。
【0014】
このように組立てられた本実施の形態は、インテークマニホールドが成形歪または温度変化により変形し、各軸受部材40が動いて、その軸穴の同軸精度が悪化した場合でも、角断面シャフト30はバタフライバルブ20のシャフト穴24に対してクリアランスが大きいため、その分変形が可能であり、バルブを駆動するアクチュエータの作動性を良好に保つことができる。
【0015】
図4は本発明のインテークマニホールドのバルブ構造の第2の実施の形態におけるバタフライバルブを示す図である。本実施の形態が、第1の実施の形態と異なるところは、図4に示すように、角断面シャフト30は、その断面を一定とし、バルブ20は、その両端の軸受部22のシャフト穴24を角断面シャフト30の断面より大きく形成したことである。
【0016】
このように構成された本実施の形態は、シャフト穴24と角断面シャフト30とのクリアランスが大であるため、前実施の形態と同様な作用効果を発揮することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明のインテークマニホールドのバルブ構造に依れば、バルブに形成された軸受部のシャフト穴と角断面シャフトとのクリアランスを大きくしたことにより、シャフトが撓み易くなり、インテークマニホールドの歪みによる同軸精度の悪化に対してもバルブを駆動するアクチュエータの作動性を良好に保つことができる。また、本発明は、バルブに形成された軸受部のシャフト穴と角断面シャフトとのクリアランスを大きくしたのみであるので、従来の如き成形型補正や、後加工による寸法補正の必要がなくなるため従来に比して安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインテークマニホールドのバルブ構造の第1の実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)図のb−b線及びb′−b′線における断面図、(c)は(a)図のc−c線における断面図、(d)は(a)図のd−d線及びd′−d′線における断面図、(e)は(a)図のe−e線における断面図、(f)は(a)図のf−f線における断面図である。
【図2】本発明のインテークマニホールドのバルブ構造の第1の実施の形態における角断面シャフトをバルブと共に示す図である。
【図3】本発明のインテークマニホールドのバルブ構造の第1の実施の形態の組立状態を示す図で、(a)は軸受部材の斜視図、(b)は軸受部材に角断面シャフトを組付けた状態の斜視図である。
【図4】本発明のインテークマニホールドのバルブ構造の第2の実施の形態におけるバタフライバルブと角断面シャフトを示す図である。
【図5】従来の切替え吸気管を示す断面図である。
【図6】図5のA−A線における断面図である。
【図7】図5における遮断フラップを示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
20…バタフライバルブ
21…バルブ本体
22…軸受部
23…シャフトとの嵌合部
24…シャフト穴
25,26,27…突出部
28…凹溝
30…角断面シャフト
40…軸受部材

Claims (4)

  1. 各気筒に設定するバタフライバルブに一本の角断面シャフトを貫通し駆動させるインテークマニホールドのバタフライバルブの構造において、
    前記バタフライバルブは、その中央部に設けられたシャフトとの嵌合部と、左右に設けられたシャフト穴を有する軸受部とが一体に形成されていて、前記バタフライバルブの該軸受部が、インテークマニホールドに設けた軸受部材又はブッシュに対して相対的に回転・摺動するようになっており、前記バタフライバルブの該軸受部のシャフト穴と角断面シャフトとのクリアランスを、インテークマニホールドの歪みによるシャフト穴の同軸精度の悪化を吸収できる程度に大きくしたことを特徴とするインテークマニホールドのバタフライバルブの構造。
  2. 各気筒に設定するバタフライバルブに一本の角断面シャフトを貫通し駆動させるインテークマニホールドのバタフライバルブの構造において、
    前記バタフライバルブは、その中央部に設けられたシャフトとの嵌合部と、左右に設けられたシャフト穴を有する軸受部とが一体に形成されていて、前記バタフライバルブの該軸受部が、インテークマニホールドに設けた軸受部材又はブッシュに対して相対的に回転・摺動するようになっており、
    前記バタフライバルブは、その中央部の前記嵌合部と左右の該軸受部のシャフト穴との大きさを、前記角断面シャフトが前記バタフライバルブの前記嵌合部に嵌合する部分Aと同一大きさとし、
    前記角断面シャフトは、その断面をバタフライバルブ中央部の前記嵌合部に嵌合する部分Aよりもその他の部分Bを小さく形成し、インテークマニホールドの歪みによるシャフト穴の同軸精度の悪化を吸収できるようにしたことを特徴とするインテークマニホールドのバタフライバルブの構造。
  3. 各気筒に設定するバタフライバルブに一本の角断面シャフトを貫通し駆動させるインテークマニホールドのバタフライバルブの構造において、
    前記バタフライバルブは、その中央部に設けられたシャフトとの嵌合部と、左右に設けられたシャフト穴を有する軸受部とが一体に形成されていて、前記バタフライバルブの該軸受部が、インテークマニホールドに設けた軸受部材又はブッシュに対して相対的に回転・摺動するようになっており、
    前記バタフライバルブは、その中央部の前記嵌合部の大きさを前記角断面シャフトの断面と同一大きさとし、該軸受部のシャフト穴は前記角断面シャフトの断面より大きく形成し、
    前記角断面シャフトは、その断面を一定として、インテークマニホールドの歪みによるシャフト穴の同軸精度の悪化を吸収できるようにしたことを特徴とするインテークマニホールドのバタフライバルブの構造。
  4. 前記インテークマニホールド及びバタフライバルブは樹脂により形成され、前記角断面シャフトは金属により形成されたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のインテークマニホールドのバタフライバルブの構造。
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