しかし、上述した従来の携帯電話機では、色調や模様が異なる様々なバリエーションの外装体をメーカが用意したとしても、その種類数には自ずと限界があるため、全てのユーザの好みに対応することが難しい。また、携帯電話機の機種毎に様々なバリエーションの外装体を提供することはコスト的に不利である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、外装体の付け換えや塗装の塗り替え、外装シールの張り替えなどを行うことなく、外観を自由に変更することができる携帯電話機、時計その他の装置、装置の筐体および外装体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用した。
本発明にかかる装置は、その筐体が、電力供給時に表示させた画像を電力供給停止後においても保持可能な不揮発性表示媒体を備え、前記不揮発性表示媒体に表示させる画像または色調を変化させることにより、その外観を変化させることができるように構成されている。この装置は、その筐体の構成要素である不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、筐体の色調や模様を変化させて、その外観を自由に変更することができる。
ここで、筐体とは、コンピュータの分野での筐体に限らず、ケース、ボディ、外殻といった広い意味で使用している(以下同様)。また、筐体が不揮発性表示媒体を備えているということの意味は、筐体が不揮発性表示媒体を筐体それ自体の構成要素として備えているという意味であり、不揮発性表示媒体を筐体内に収容しているという意味ではない(以下同様)。不揮発性表示媒体を筐体内に収容している装置は、その他の表示媒体(LCD、CRT、等)を筐体内に収容してなる表示装置と同様、従来の装置に属する。説明が若干くどくなるが、不揮発性表示媒体を筐体内に収容している従来の装置は、装置の主機能として不揮発性表示機能を実現するべく、筐体とは別の構成要素である不揮発性表示媒体を筐体内に備えた物である。これに対し本発明にかかる装置は、装置の付加的な機能としてその外観を自由に変更できる機能を実現するべく、装置の筐体それ自体の構成要素として不揮発性表示媒体を備えた物である。
本発明にかかる筐体は、電力供給時に表示させた画像を電力供給停止後においても保持可能な不揮発性表示媒体を備え、前記不揮発性表示媒体に表示させる画像または色調を変化させることにより、その外観を変化させることができるように構成されている。この筐体は、その構成要素である不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、筐体の色調や模様を変化させて、装置の外観を自由に変更することができる。
本発明にかかる外装体は、装置の筐体の外面部に取り付けられる外装体であって、電力供給時に表示させた画像を電力供給停止後においても保持可能な不揮発性表示媒体を備え、前記不揮発性表示媒体に表示させる画像または色調を変化させることにより、その外観を変化させることができるように構成されている。この外装体は、その構成要素である不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、外装体の色調や模様を変化させて、装置の外観を自由に変更することができる。
本発明にかかる外装体を、主に装飾の目的で装置の筐体の外面部に取り付けられる化粧パネル(意匠パネル)に適用した場合、その構成要素である不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、その色調や模様を自由に変更することができるので、装置の外観を変更するために化粧パネルを交換する必要がない。
本発明にかかる時計は、電力供給時に表示させた画像を電力供給停止後においても保持可能な不揮発性表示媒体を文字盤に設けまたは内蔵した。この時計は、その文字盤の構成要素である不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、その文字盤の色調や模様を自由に変更することができる。
本発明にかかる筐体、外装体または時計の文字盤が備える不揮発性表示媒体には、電気泳動方式の電子ペーパ、ツイストボール(twisted ball)方式の電子ペーパ、強誘電液晶を用いた方式の電子ペーパ、などに使用される不揮発性表示媒体が含まれる。電気泳動方式の電子ペーパは、正負いずれかに帯電させたトナー粒子を電気泳動可能に封止し、外部から印可する電界によって、画素領域に集合または退避させることにより、任意の画像を表示できるように構成した電子ペーパである。ツイストボール方式の電子ペーパは、多数の微小な球体粒子をそれぞれ半球部分ずつ異なる色に着色するとともに双極子状態に帯電させ、各球体粒子の向きを電界により制御することで任意の画像表示を可能にした電子ペーパである。この種の電子ペーパは、表示させる画像を何度も書き換えることができる。しかも外部から電力を供給することなく、表示した画像を保持することができるという利点を有している。
これらの電子ペーパ自体は公知である(特開2002-169190「電気泳動装置、これを用いた電子ペーパ、電子ペーパを用いた電子ブック装置、及び、その製造方法」、特開2002-163257「情報提示方法、情報提示システム及び情報端末」、特開2002-099221「表示デバイス、電子ペーパ及び電子ペーパファイル」、特開2002-091749「書類参照のためのシステム、方法、プログラム」、特開2002-024865「情報更新システム」、特開2002-024570「コンテンツ情報出力装置」、特開2002-018362「宛先情報表示体」、特開2001-312250「電子ペーパおよび電子ペーパファイル 」、特開2001-312227「電子ペーパファイル」、特開2001-311931「電子ペーパ,電子ペーパファイルおよび電子ペン」、特開2001-270145「プリンタ及びそのヘッド」、特開2001-209760「再利用可能な電子ペーパ」、特開2001-167285「電子紙面作成システム及び電子紙面作成方法」、特開2001-167180「電子広告方法及び電子広告システム」、特開2001-092387「画像表示方法、画像表示装置、及び画像表示媒体」、特開2000-187253「フェロフルーディックエレクトリックペーパ」、特開2000-127478「電子ペーパ用プリンタ」、特開平11-327470「電子紙ディスプレイ用の多色球体形成方法」、等参照 )。
本願出願時点での電子ペーパの開発状況は概ね以下のとおりである。
大日本印刷(株)は、紙のような土台の上にミクロ粒子状の液晶を塗り、そこにマイナスイオンや熱など、外部から高いエネルギを加えることで、転写や内容の書き換えが可能な表示媒体を開発している。書き換えには専用の書き換え装置を使用する。転写速度は、現在、感熱式のファクス程度だが、電子ペーパを自由に切断して使えるのが大きな特長である。書き換え可能な表示媒体として、美術館の展示内容の告知ポスタや電車の中吊り広告など、限られたエリア内での導入から始まり、徐々に一般に普及していくのではないかと考えられている。
キャノン(株)の“ペーパーライクディスプレイ”は、In-Plane型電気泳動表示という方式で、基板上に散布した着色粒子を電気的に動かすことによって、文字や画像を表示するというものである。液晶ディスプレイと同じように、表示内容を簡単に書きかえることが可能になる。しかも電源を切っても表示はそのまま残る。シアン、マゼンダ、イエローの各色の層を3層に積み重ねれば、フルカラー表示への対応も容易になる。
凸版印刷(株)が開発したものは、電気回路と表示媒体が一体化したもので、ディスプレイの解像度は電極数によって決まる。既存のディスプレイより柔軟で消費電力も少なく、視野角が非常に広いのが特徴である。今後PDAや携帯電話機、電子ブック装置リーダのディスプレイとして採用されていくものと期待されている。表示内容が時間や場所に応じて変化する広告媒体としても利用できる。
富士ゼロックス(株)が開発を進めている「光アドレス電子ペーパ」の最大の特徴は、プリンタと紙の関係のように、書き込み装置と表示媒体とを分けたことにある。そのことで表示媒体である電子ペーパをシンプルで軽く、紙のように薄くすることに成功した。電子ペーパ自体は、ディスプレイのように単独での電気的書き換えはできないが、紙の長所を持ちながら、瞬間的に情報を取り出し書き換えられる媒体として、紙とディスプレイの間を埋める新しい存在になるものと考えられている。
米国のイー・インク社、オランダのロイヤルフィリップスエレクトロニクス社は、電子インクを用いたものとしては世界初の「高解像度アクティブマトリックス駆動カラー電子ペーパ」の開発に成功した。
本発明によれば以下のような効果が得られる。
本発明にかかる装置によれば、その筐体の不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、筐体の外観を変化させて、装置の外観を自由に変更することができるので、装置の外観を変更するために外装体の付け替えや塗装の塗り替え、外装シールの張り替えなどを行う必要がない。
本発明にかかる筐体によれば、その内部の不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、その外観を自由に変化させて、装置の外観を自由に変更することができるので、装置の外観を変更するために外装体の付け替えや筐体塗装の塗り替え、外装シールの張り替えなどを行う必要がない。
本発明にかかる外装体によれば、その内部の不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、その外観を自由に変化させて、装置の外観を自由に変更することができるので、装置の外観を変更するために外装体の付け替えや筐体塗装の塗り替え、外装シールの張り替えなどを行う必要がない。
本発明にかかる時計によれば、その文字盤の不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、その文字盤の外観を自由に変更することができるので、文字盤もしくは時計の外観を変更するために、文字盤の交換や文字盤塗装の塗り替え、文字盤シールの張り替えなどを行う必要がない。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)、(b)は本発明にかかる装置の実施の形態の一例を示す正面図である。この装置1はコンピュータの表示装置であり、液晶表示パネル2と図示しない駆動回路などを筐体3内に収容してなる。筐体3は脚体4によって卓上に支持されている。
図1(b)は筐体3の前面パネル部3aすなわち液晶表示パネル2の表示部を取り囲んでいるフレーム部分の斜視断面図である。筐体3の前面パネル部3aは、図示しない後面側パネルと接合される樹脂製の前面パネル基体(パネル本体)5と、前面パネル基体5の前面部に設けられた不揮発性表示媒体6と、不揮発性表示媒体6を覆うカバー7とを備えている。カバー7は、可視光を良好に透過する材質(アクリル、ガラス、等)で形成されており、このカバー7を通して不揮発性表示媒体6の表示領域が見えるようになっている。
不揮発性表示媒体6は、電気泳動方式の電子ペーパ、ツイストボール方式の電子ペーパ、強誘電液晶を用いた方式の電子ペーパ、などに使用されるものと同様の不揮発性表示媒体であり、多色(マルチカラー)表示が可能である。不揮発性表示媒体自体は公知のものを使用することができるので、その構造の詳細については説明を省略するが、基本的には図7(b)中に示されている不揮発性表示媒体34と同じ構造である。
不揮発性表示媒体6は、装置1内の不揮発性表示媒体用の駆動回路によって駆動される。不揮発性表示媒体用の駆動回路は、液晶表示パネル2用の駆動回路とともに図示しないコンピュータ本体に接続されており、当該コンピュータ本体からの制御信号に従って不揮発性表示媒体6を駆動する。当該コンピュータ本体には、不揮発性表示媒体6に任意の画像を表示させるためのプログラム(以下、「着せ替えアプリ」と記す。)がインストールされており、図示しない入力装置(キーボード、マウス、等)を操作することにより、ユーザが作成した画像や予め用意された画像の中から希望の画像を選択して、不揮発性表示媒体6に表示させることができるようになっている。その際、操作画面あるいは入力画面は、装置1の液晶表示パネル2に表示される。
図2(a)〜(h)に装置1の動作例を示す。図2(a)は電源オフの状態である。初期状態(製品出荷時)における不揮発性表示媒体6の表示色は前面パネル基体5と同じ色(この例では白色とする)であり、模様は無模様である。
装置1の電源をオンした状態で、装置1が接続されているコンピュータ本体を起動し、インストールされている着せ替えアプリを起動すると、図2(b)に示すように、着せ替えアプリの操作画面が液晶表示パネル2に表示される。この操作画面上には、色選択モードボタン8と、模様選択モードボタン9が表示される。色選択モードボタン8は、不揮発性表示媒体6の表示領域の背景色などを選択するモードに進むためのボタンである。模様選択モードボタン9は、不揮発性表示媒体6に表示させる模様を選択するモードに進むためのボタンである。
色選択モードボタン8をクリック(確定操作)すると、図2(c)に示すように、液晶表示パネル2に色選択画面が表示される。色選択画面には、様々な色調の中から希望の色を選択するための多数の色選択ボタン10-1〜10-nと、確定(OK)ボタン11と、戻るボタン12とが表示される。希望の色の色選択ボタンをクリックすることにより、選択不揮発性表示媒体6の表示領域の背景色を希望の色に設定することができる。
たとえば、「黒」の色選択ボタン10-2をクリックすると、不揮発性表示媒体6の表示領域の背景色が黒色になる。その結果、図2(d)に示すように、装置1の筐体3の前面の色が黒色になる。同時に、液晶表示パネル2には操作画面が表示される。この操作画面には、色選択モードボタン8および模様選択モードボタン9の他に、戻るボタン13と終了ボタン14とが表示される。戻るボタン13をクリックすることにより、前画面すなわち図2(c)の色選択画面に戻ることができる。終了ボタン14をクリックすると、着せ替えアプリが終了する。
着せ替えアプリが終了した後も、不揮発性表示媒体6の表示領域の背景色は、図2(c)の色選択画面で設定した色調、すなわち上記の例では黒色のまま保持され、さらに装置1の電源をオフした後もそのまま保持される。したがって、再度着せ替えアプリによって不揮発性表示媒体6の表示領域の背景色の変更を行わない限り、図2(e)に示すように、装置1の筐体3の前面の色は黒色のまま保持される。
図2(b)の操作画面で模様選択モードボタン9をクリックすると、図2(f)に示すように、液晶表示パネル2に模様選択画面が表示される。模様選択画面には、様々な模様の中から希望の模様を選択するための多数の模様選択ボタン15-1〜15-nと、確定(OK)ボタン16と、戻るボタン17とが表示される。希望の模様の模様選択ボタンをクリックすることにより、不揮発性表示媒体6に表示させる模様を希望の模様に設定することができる。
たとえば、「トラ柄」の模様選択ボタン15-2をクリックすると、不揮発性表示媒体6にトラ柄模様が表示される。その結果、図2(g)に示すように、装置1の筐体3の前面の模様がトラ柄模様になる。ヒョウ柄に見えるかもしれないが、トラでもヒョウでもシマウマでもキリンでも何でもよい。要するに装置1の筐体3の前面の模様が図2(f)の模様選択画面で選択した模様になる。同時に、液晶表示パネル2には、図2(d)と同じ操作画面が表示される。
着せ替えアプリが終了した後も、不揮発性表示媒体6に表示される模様は、図2(f)の模様選択画面で設定した模様、すなわち上記の例ではトラ柄模様のまま保持され、さらに装置1の電源をオフした後もそのまま保持される。したがって、再度着せ替えアプリによって表示模様の変更を行わない限り、図2(h)に示すように、装置1の筐体3の前面の模様はトラ柄のまま保持される。
上記のように、この実施の形態の装置1では、その筐体3に視認可能に内蔵した不揮発性表示媒体6による表示を変化させることにより、装置1の筐体3の前面の色調や模様を自由に変更することができる。
上記の例では、装置1の筐体3の前面のみ色調や模様を変更できるようにしたが、筐体3の全体を前面パネル部3aの前面部と同様の構造とすれば、すなわち不揮発性表示媒体6を筐体3全体に内蔵するとともにその表面を可視光を良好に透過するカバーで覆っておけば、筐体3の全体色調や模様を自由に変更することができる。
また、上記の例では、前面パネル部3aの前面部全体に不揮発性表示媒体6を内蔵したが、前面パネル部3aの前面部の一部のみに内蔵してもよい。
また、不揮発性表示媒体6に表示させる画像は、模様だけでなく、文字情報であってもよい。たとえば、図3に示すように、仕事のスケジュールやメモ書きなどの文字情報を表示することもできる。装置1の電源をオフした後も表示がそのまま保持されるので、付箋紙の代わりに使用できる。
また、任意の画像を専用の電子ペンで直接書き込めるようにしてもよい。この種の電子ペンとしては、不揮発性表示媒体6を覆うカバーの表面にペン先を近接あるいは当接させることによって不揮発性表示媒体6の画素の状態(トナーの位置、着色粒子の配向、液晶の配向、など)を変化させる機能を有するものが使用される。不揮発性表示媒体6を覆うカバーの表面にペン先の接触を検知するための透明電極を設け、ペン先が近接あるいは接触した箇所の画素の状態を変化させることにより、任意の画像を書き込むことができる。不揮発性表示媒体6の方式によっては、画像の書き込みを装置1の電源をオフした状態においても可能とすることができる。
上記の実施の形態では、本発明にかかる装置をコンピュータの液晶ディスプレイ装置に適用した場合について説明したが、その他の装置、たとえば携帯電話機(スティック型、折り畳み型を問わない。PHS端末、衛星電話機、IP電話機を含む。)、携帯情報端末、オーディオ機器(CDプレーヤ、MDプレーヤ、DVDプレーヤ、スピーカ、等)、電子辞書装置、電子ブック装置、時計(腕時計、壁掛時計、据置時計)、カメラ(銀塩フィルムなどを使用するカメラ、デジタルスチルカメラ、デジタルムービカメラ)、固定電話機(家庭用電話機、オフィス用電話機、公衆電話機)、ウエアラブルコンピュータ、コンピュータ本体(据置型、携帯型を問わない。)、据置型コンピュータのCRTディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置、コンピュータの入力装置(マウス、キーボード、スティック、等)、プリンタ、テレビ受像器(据置型、壁掛型を問わない。CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイまたはプラズマディスプレイを備えたものを含む。)、ビデオゲーム機本体、ビデオゲーム機のコントローラ、冷蔵庫(冷凍冷蔵庫、冷凍庫を含む。電子冷却、レーザ冷却その他の冷却方式によるものを含む。)、洗濯機(単槽型、複槽型を問わない。乾燥機能付きのものを含む。)、衣類乾燥機、アイロン、空調機器、扇風機、肛門洗浄機能付き便座、電磁調理器(マイクロウエイブ、オーブンを含む。)、リモートコントローラ、車両用ナビゲーション装置、玩具(ロボット、乗り物、積み木ブロック、等)、車両(自家用車、バス、戦車、装甲車、等)、飛行装置(旅客機、戦闘機、ヘリコプタ、等)などにも有効に適用可能である。
本発明にかかる装置を携帯電話機に適用した場合、従来のような外装体の付け替えや塗装の塗り替え、外装シールの張り替えなどを行うことなく、携帯電話機の外観(色調や模様)を自由に変更することができる。携帯電話機の筐体に内蔵する不揮発性表示媒体は、携帯電話機内の駆動回路によって駆動するようにしても、サービス拠点(店舗、サービスセンタ、等)に設置されたコンピュータやユーザが所有するコンピュータによって駆動するようにしてもよい。携帯電話機内の駆動回路によって駆動するようにした場合、いつでもどこでも携帯電話機の外観を変更することができる。好みの模様やキャラクタの画像をダウンロードして、携帯電話機の外観に使用することも可能である。携帯電話機の着せ替え画像の作成サービスや配信サービスといった新規なサービスを展開することも可能である。
また、本発明にかかる装置をウエアラブルコンピュータに適用した場合、ウエアラブルコンピュータの外観(色調や模様)を、その時々の服装に合わせて自由に変更することができる。さらに、服装側たとえばジャケットの表素材に不揮発性表示媒体を内蔵したした生地を使用すれば、ジャケットの色調や模様を自由に変更することも可能である。たとえば、市街地では一般的なビジネススーツの色調および模様とし、山間地やジャングルでは迷彩色に変更するといったカメレオンのような使い方が可能である。このような使い方をする人はそう多くないと思われるが、いないとも言い切れない。
また、本発明にかかる装置をカメラに適用した場合、カメラの外観(色調や模様)を、その時々の使用者の服装や撮影場所などに合わせて自由に変更することができる。デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラの場合、カメラの撮像素子(CCD、C−MOSセンサ、等)で撮像した被写体の色調や模様に応じて、カメラの筐体に内蔵した不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることによって、カメラの外観を変化させることもできる。また、撮像素子を備えた携帯電話機の場合、携帯電話機の撮像素子で撮像した被写体の色調や模様に応じて、携帯電話機の筐体に内蔵した不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることによって、携帯電話機の外観を変化させることもできる。
図4は本発明の装置を撮像素子を備えた装置(デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、ノートパソコン、等)に適用した場合の装置構成例を示すブロック図である。撮像素子24で撮像された被写体23の画像信号は信号処理部25に送られる。信号処理部25は、入力された画像信号にノイズ低減処理、白バランス処理、γ処理などの所定のアナログ信号処理を施した後、それをデジタル画像信号に変換して画像生成部26へ出力する。画像生成部26は、画像メモリを備えており、信号処理部26からのデジタル画像信号を画像情報として画像メモリ上に展開する。駆動回路27は、画像メモリ上に展開された画像情報に応じて不揮発性表示媒体28の各画素状態を制御することにより、不揮発性表示媒体28に被写体24の画像または被写体23の色調や模様に応じた画像や色調や模様を表示させる。したがって、この装置によれば、被写体23の画像または被写体23の色調や模様に応じた画像や色調や模様を装置の筐体に表示させることができる。たとえば、撮像素子21で撮像した家族やペットの画像を携帯電話機の筐体やノートパソコンの筐体などに表示したり、撮像素子21で撮像した服装の柄を携帯電話機の筐体に表示したりすることができる。
また、本発明にかかる装置を冷蔵庫に適用した場合、冷蔵庫の色調や模様を、キッチンの床や壁などの色調や模様、その他の装置(電磁調理器など)の色調や模様に合わせて自由に変更することができる。また、冷蔵庫の筐体に内蔵されている不揮発性表示媒体に表示させる画像は、模様だけでなく、文字情報であってもよいので、たとえば、冷蔵庫の扉に料理レシピや買い物情報、子供などへの伝言などを表示することができる。不揮発性表示媒体は表示した画像を電力供給後も保持できるので、同種の機能を液晶表示パネルによって実現した場合よりも消費電力を削減できる。万一停電が発生しても冷蔵庫の扉に表示した伝言などが消えることがない。
また、本発明にかかる装置を空調用の室内機に適用した場合、室内機の色調や模様を、部屋の床や壁などの色調や模様、その他の物(その他の電気製品や家具、等)の色調や模様に合わせて自由に変更することができる。また、季節やその時々の気分などによって室内機の色調や模様を自由に変更することもできる。
また、本発明にかかる装置を据置時計や壁掛時計に適用した場合、据置時計や壁掛時計の色調や模様を、部屋の床や壁などの色調や模様、その他の物(その他の電気製品や家具、等)の色調や模様に合わせて自由に変更することができる。また、季節やその時の気分などによって据置時計や壁掛時計の色調や模様を自由に変更することもできる。また、腕時計や据置時計や壁掛時計の文字盤に不揮発性表示媒体を内蔵すれば、あるいは不揮発性表示媒体を文字盤そのものとして使用すれば、部品を交換したり、文字盤の塗装を塗り替えたり、シールを貼り替えたりすることなく、図5に示すように、文字盤29の色調や模様、文字のデザインなどを自由に変更することができる。
また、本発明にかかる装置を肛門洗浄機能付き便座に適用した場合、肛門洗浄機能付き便座の色調や模様を、トイレの床や壁などの色調や模様、その他の物(便器、タンク、化粧台、等)の色調や模様に合わせて自由に変更することができる。
また、本発明にかかる装置を壁掛型テレビに適用した場合、壁掛型テレビの色調や模様を、部屋の壁や天井、床などの色調や模様に合わせて自由に変更することができる。また、季節やその時の気分などによって壁掛型テレビの色調や模様を自由に変更することもできる。図6は壁掛型テレビ20のフレーム部分21の色および模様を部屋の壁22の色および模様に合わせて変更した例を示している。
また、本発明にかかる装置をテレビ受像器やビデオ録画再生機などのリモートコントローラに適用した場合、リモートコントローラの色調や模様を自由に変更することができる。リモートコントローラの筐体に内装されている不揮発性表示媒体に表示させる画像は、模様だけでなく、文字情報であってもよいので、たとえば、テレビ放送プログラムやビデオ録画再生機の操作方法などの文字情報を表示することもできる。
以上の実施の形態では、本発明にかかる装置および筐体について説明したが、装置の筐体の外面部に取り付けられる化粧パネルなどの外装体に適用した場合、その内部の不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることにより、外装体の色調や模様を自由に変更することができるので、装置の外観を変えるために外装体自体を交換する必要がない。
図7は本発明にかかる外装体を折り畳み型携帯電話機の化粧パネルに適用した場合の実施の形態を例示したものである。図7(a)に示すように、折り畳み型携帯電話機30の上部筐体31の外面部には化粧パネル33が取り付けられている。化粧パネル33は、図7(b)に示すように、不揮発性表示媒体34とこれを覆うカバー35とを備えて構成されている。不揮発性表示媒体34は、互いに平行な2枚の保持シート36a、36bの間に、電気泳動方式、ツイストボール方式または強誘電液晶を用いた方式の表示媒体層37を挟持してなる。表面側すなわちカバー35側の保持シート36aは可視光を良好に透過する材質で形成されている。背面側の保持シート36bは、可視光を良好に透過する材質または白色の材質で形成されている。保持シート36a、36bの互いの対向面には図示しない画素電極が配置されており、折り畳み型携帯電話機30内の図示しない駆動回路によって相対向する画素電極の極性を切り替えることによって、表示媒体層37の各画素の状態が切り替えられるようになっている。カバー35は、可視光を良好に透過する材質で形成されており、このカバー35を通して不揮発性表示媒体34の表示領域が見えるようになっている。
上記のように構成された化粧パネル33は、その構成要素である不揮発性表示媒体34に表示させる画像や色調を変化させることにより、図8に示すように、その外観を自由に変更することができる。したがって、折り畳み型携帯電話機30の外観を変更するために化粧パネル33を交換する必要がない。
また、不揮発性表示媒体34の表示媒体層37として、強誘電液晶を用いた方式のものを使用し、かつ背面側の保持シート36bを可視光を良好に反射する材質で形成するかまたは背面側の保持シート36bの外側に可視光を良好に反射する反射膜などを形成しておけば、表示媒体層37全体を光透過状態にすることにより、不揮発性表示媒体34を鏡として機能させることもできる。図1〜図3に示した装置1、図4に示した装置、図5に示した時計、図6に示した壁掛型テレビ20などその他の装置における不揮発性表示媒体の場合も同様である。
また、撮像素子を備えた携帯電話機の場合、携帯電話機の撮像素子で撮像した被写体の色調や模様に応じて、携帯電話機の化粧パネルに内蔵した不揮発性表示媒体に表示させる画像や色調を変化させることによって、色調や模様を変更することができる。その場合の装置構成は図4と同様である。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。不揮発性表示媒体はカラー表示が可能な物に限らず、白黒(モノクロ)表示のみ可能な物であってもよい。また、不揮発性表示媒体に動画を表示させてもよい。また、不揮発性表示媒体の表示領域を照らず照明手段(バックライト、サイドライトまたはフロントライト)を備えたものも本発明に含まれる。