JP4900260B2 - 延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、腐食性のつよいサワー環境で使用されるラインパイプ向け電縫鋼管およびスパイラル鋼管等の用途に供して好適な高張力熱延鋼板の製造方法に係り、とくに表面欠陥の発生防止および延性亀裂伝播特性の向上に関する。なお、鋼板には、鋼板、鋼帯を含むものとする。
近年、石油危機以来の原油の高騰や、エネルギー供給源の多様化の要求などから、北海、カナダ、アラスカ等のような極寒地での石油、天然ガスの採掘およびパイプラインの敷設が活発に行われるようになっている。また、一旦は、開発が放棄されていた腐食性の強いサワーガス田等に対する開発が盛んとなっている。さらに、パイプラインにおいては、天然ガスやオイルの輸送効率向上のため、大径で高圧操業を行う傾向となっている。パイプラインの高圧操業に耐えるため、輸送管(ラインパイプ)は厚肉の鋼管とする必要があり、厚鋼板を素材とするUOE鋼管が使用されるようになってきている。しかし、最近では、パイプラインの施工コストの更なる低減という強い要望やさらにはUOE鋼管の供給能力不足などのために、鋼管の材料コスト低減の要求も強く、輸送管として、厚鋼板を素材とするUOE鋼管に代わり、生産性が高くより安価な、コイル形状の熱延鋼板(熱延鋼帯)を素材とした高強度電縫鋼管あるいはスパイラル鋼管が用いられるようになってきた。
これら高強度鋼管には、ラインパイプの破壊を防止する観点から、同時に優れた低温靭性を保持することが要求されている。このような強度と靭性とを兼備した鋼管を製造するために、鋼管素材である鋼板では、熱間圧延後の加速冷却を利用した変態強化や、Nb、V、Ti等の合金元素の析出物を利用した析出強化等による高強度化と、制御圧延等を利用した組織の微細化等による高靭性化が図られてきた。またさらに最近では,極寒地用の鋼管に対しては、パイプラインのバースト破壊を防止する観点から、破壊靭性、とくに優れたCTOD特性(延性亀裂伝播特性)、とくに優れたDWTT特性を具備することが要求される場合が多い。
このような要求に対し、例えば特許文献1には、C:0.05〜0.12%、Ca:0.0020〜0.0060%を含み、Si、Mn、Al、P、Sを適正量調整して含む連鋳製スラブに、950℃以下で10〜50%の圧下を行い、引続き表面の冷却速度が2℃/s以上で表面温度がAr以下の温度になるまで冷却し、250s未満の復熱後、未再結晶領域にて50%以上の圧延を行い、720〜820℃の範囲で圧延を終了し、引続いて平均冷却速度5〜30℃/sで冷却した後、400〜600℃の範囲で巻取る高靭性耐サワー鋼管用ホットコイルの製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術によれば、耐HIC特性と、低温靭性の両特性に優れたホットコイルが製造でき、寒冷地でのラインパイプの製造が可能となるとしている。
また、特許文献2には、C:0.01〜0.20%を含み、Si、Mn、Al、Nを適正量含有する鋼片を、Ac変態点以上1250℃以下に加熱し、900℃以上の温度での累積圧下率が10〜80%の粗圧延を行ったのち、2〜40℃/sの加速冷却を、該冷却速度における(Ar変態点+50℃)〜(Ar変態点−50℃)まで行って、加速冷却後、累積圧下率30〜90%の仕上げ圧延を650℃以上で終了し、さらに仕上げ圧延終了後、5〜40℃/sの冷却速度で200〜450℃まで再び加速冷却する低温靭性に優れた低降伏比高張力鋼材の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術によれば、複雑な熱処理工程を必要とすることなく、低降伏比と、優れた低温靭性とを両立させた熱延鋼板を製造することができるとしている。
また、特許文献3には、C:0.01〜0.10%、Nb:0.01〜0.1%を含み、Si、Mn、P、S、Nを適正量含み、かつMn/Si:5〜8を満足するように調整した鋼片に、1100℃以上で行う最初の圧下率:15〜30%、1000℃以上での合計圧下率:60%以上、最終圧延の圧下率:15〜30%の条件下で粗圧延を行い、5℃/s以上の冷却速度で鋼板表層部をAr点以下まで冷却し、復熱または強制加熱により、表層部の温度が(Ar−40℃)〜(Ar+40℃)となった時点で仕上圧延を開始し、950℃以下の合計圧下率:60%以上の条件で仕上圧延を終了し、ついで2s以内に冷却を開始し、10℃/s以上の速度で600℃以下まで冷却し、600〜350℃の範囲で巻き取る低温靭性及び溶接性に優れた高強度電縫鋼管用熱延鋼板の製造方法が記載されている。特許文献3に記載された技術によれば、高価な合金元素を添加することなく、また熱処理する必要なく、低温靭性および溶接性に優れた高強度電縫鋼管を製造することができるとしている。
特開平7−268467号公報 特開平10−306316号公報 特開2001−207220号公報
しかし、特許文献1に記載された技術で製造された熱延鋼板では、耐HIC特性の向上は顕著であるが、DWTT特性やCTOD特性の向上は顕著ではなく、さらに表面割れが発生する場合があり、問題を残していた。また、特許文献2、特許文献3に記載された技術で製造された熱延鋼板では、表面割れが多発する場合があるという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、表面割れ等の表面欠陥の発生がなく表面品質に優れ、しかも低温靭性、とくに延性亀裂伝播特性に優れ、さらに耐サワー性にも優れた高張力熱延鋼板を製造することが可能となる、高張力熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高張力鋼板」とは、降伏強さYSが448MPa以上のAPI−X65級鋼管を製造可能な鋼板をいうものとする。また、「延性亀裂伝播特性に優れた」とは、ASTM規格E1290の規定に準拠したCTOD試験で試験温度:−10℃における限界開口変位量δc(mm)が0.25mm以上である場合をいう。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、靭性、表面品質に及ぼす各種要因について鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、表面割れ等の表面欠陥は、高靭性を確保するために低温圧延を指向したことによる、表層部の過冷却、あるいはさらに表層部への過大な圧下による、粒界フェライトの割れにその主因があることを突き止めた。しかし、本発明者らの検討によれば、高靭性熱延鋼板を得るためには、被圧延材の温度を高靭化に有効な温度域に冷却したのち、所定範囲の圧下を施す仕上圧延を行うことが肝要であり、そのために仕上圧延前あるいは仕上圧延中に加速冷却を施し、その後の仕上圧延で所定値以上の有効圧延率を施すことが必須となることを知見した。そして、高靭性と、優れた表面品質と、さらには耐サワー性とを両立させるためには、優れた耐サワー性を維持できる組成の鋼素材を用いるとともに、さらに、表層部がAr変態点を下回るような低温に冷却し、逆変態が完了するAc変態点以上の温度まで復熱させ、しかるのちに所定の適正範囲の仕上圧延を行うことがよいことに思い至った。そして、このような処理は、既存の、仕上圧延前の冷却手段、仕上圧延機内の冷却手段を積極的に活用することにより、達成できることを知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.5%以下、Mn:0.8〜1.8%、P:0.010%以下、S:0.001%以下、Al:0.005〜0.10%、N:0.005%以下、Nb:0.03〜0.10%、Ti:0.005〜0.05%、Ca:0.003%以下、O:0.005%以下を含み、さらにCa、S、Oが次(1)式、(2)式
1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
[%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
(ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%)
を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す熱延鋼板の製造方法において、前記粗圧延工程後で、前記仕上圧延工程前に、前記シートバーに、表層部を50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度を逆変態が完了するAc変態点以上の温度まで復熱させ、しかる後に仕上圧延工程を施すことを特徴とする延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法。
(2)質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.5%以下、Mn:0.8〜1.8%、P:0.010%以下、S:0.001%以下、Al:0.005〜0.10%、N:0.005%以下、Nb:0.03〜0.10%、Ti:0.005〜0.05%、Ca:0.003%以下、O:0.005%以下を含み、さらにCa、S、Oが次(1)式、(2)式
1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
[%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
(ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%)
を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す熱延鋼板の製造方法において、前記仕上圧延工程で少なくとも1回、圧延パス間または圧延パスを行わず、仕上圧延途中の熱延板に、表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させ、しかる後に仕上圧延を行い所望寸法形状の熱延板とすることを特徴とする延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法。
(3)質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.5%以下、Mn:0.8〜1.8%、P:0.010%以下、S:0.001%以下、Al:0.005〜0.10%、N:0.005%以下、Nb:0.03〜0.10%、Ti:0.005〜0.05%、Ca:0.003%以下、O:0.005%以下を含み、さらにCa、S、Oが次(1)式、(2)式
1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
[%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
(ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%)
を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す熱延鋼板の製造方法において、前記粗圧延工程後で、前記仕上圧延工程前に、前記シートバーに、表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させ、ついで、しかる後に前記仕上圧延工程を施し、さらに該仕上圧延工程で少なくとも1回、圧延パス間または圧延パスを行わず、仕上圧延途中の熱延板に、表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させ、しかる後に仕上圧延を行い所望寸法形状の熱延板とすることを特徴とする延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記仕上圧延工程における仕上圧延が、1パス当たりの圧下率が15〜50%の圧延であることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.5%、Ni:0.005〜0.5%、Cr:0.005〜0.5%、Mo:0.005〜0.3%、V:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(6)(1)ないし(5)のいずれかにおいて、前記巻取工程における前記熱延板の巻取り温度を350〜700℃とし、巻き取ったのちの冷却速度をコイル中央部で20〜60℃/hとすることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、表面割れ等の表面欠陥の発生がなく表面品質に優れ、しかも低温靭性、とくに延性亀裂伝播特性に優れ、さらには耐サワー性にも優れた高張力熱延鋼板を、容易にかつ安定して、生産性高く製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、鋼管の材料コストを低減でき、したがってパイプラインの施工コストの更なる低減が可能となるという効果もある。
まず、本発明で使用する鋼素材の組成限定理由について説明する。なお、とくに断らないかぎり質量%は単に%と記す。
C:0.02〜0.08%、
Cは、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であり、本発明では所望の高強度を確保するために、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.08%を超える過剰な含有は、パーライト等の第二相の組織分率を増大させ、母材靭性および溶接熱影響部靭性を低下させる。このため、Cは0.02〜0.08%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.06%である。
Si:0.5%以下
Siは、固溶強化、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させるが、同時に靭性を低下させる作用を有し、また、Siは電縫溶接時にSiの酸化物を形成し、電縫溶接部の表面品質を低下させる。このため、本発明では、Siはできるだけ低減することが望ましいが、0.5%までは許容できることから、Siは0.5%以下に限定した。なお、好ましくは0.35%以下である。
Mn:0.8〜1.8%
Mnは、焼入性を向上させる作用を有し、焼入性向上を介し鋼板の強度を増加させる。このような効果を得るためには、0.8%以上の含有を必要とする。一方、1.8%を超える含有は、偏析を助長し、セパレーションの発生を増加させる。この偏析を消失させるには、1300℃を超える温度に加熱する必要があり、このような熱処理を工業的規模で実施することは現実的でない。このため、Mnは0.8〜1.8%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.8〜1.4%である。
P:0.010%以下
Pは、鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、鋼の強度を上昇させる作用を有する。しかし、0.010%を超えて過剰に含有すると溶接性が低下する。このため、Pは0.010%以下に限定した。なお、好ましくは0.006%以下である。
S:0.001%以下
Sは、Pと同様に鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、0.001%を超えて過剰に含有すると、熱延鋼板においては粗大なMnSを形成し、延性の低下を生じさせる。このため、Sは0.001%以下に限定した。なお、好ましくは0.0006%以下である。
Al:0.005〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましい。一方、0.10%を超える含有は、電縫溶接時の、溶接部の清浄性を著しく損なう。このようなことから、Alは0.005〜0.10%に限定した。なお、好ましくは0.05%以下である。
N:0.005%以下
Nは、鋼中に不可避的に含まれる元素であるが、過剰な含有はスラブ鋳造時の割れを多発させる。このため、Nは0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.004%以下である。
Nb:0.03〜0.10%
Nbは、オーステナイト粒の粗大化、再結晶を抑制する作用を有する元素であり、熱間仕上圧延におけるオーステナイト未再結晶温度域圧延を可能にするとともに、炭窒化物として微細析出することにより、溶接性を損なうことなく、少ない含有量で熱延鋼板を高強度化する作用を有する。このような効果を得るためには、0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.10%を超える過剰な含有は、熱間仕上圧延中の圧延荷重の増大をもたらし、熱間圧延が困難となる場合がある。このため、Nbは0.03〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.035〜0.08%である。
Ti:0.005〜0.05%
Tiは、窒化物を形成しNを固定しスラブ(鋼素材)割れを防止する効果を有するとともに、炭化物として微細析出することにより、鋼板を高強度化させる。このような効果は、0.005%以上の含有で顕著となるが、0.05%を超える含有は析出強化により降伏点が著しく上昇する。このため、Tiは0.005〜0.05%に限定した。なお、好ましくは0.008〜0.04%である。
Ca:0.003%以下
Caは、SをCaSとして固定し、硫化物系介在物を球状化する、介在物の形態を制御する作用を有し、介在物の周囲のマトリックスの格子歪を小さくして、水素のトラップ能を下げる作用を有する元素であり、このような効果を得るためには、0.0006%以上含有させることが好ましいが、0.003%を超える含有は、CaOの増加を招き、耐食性、靭性を低下させる。このため、Caは0.003%以下に限定した。なお、好ましくは0.0015〜0.0029%である。
O:0.005%以下
Oは、鋼中では、各種の酸化物を形成し、熱間加工性、耐食性、靭性等を低下させる。このため、本発明では、できるだけ低減することが好ましいが、0.005%までは許容できる。極端な低減は精錬コストの高騰を招くため、Oは0.005%以下に限定した。
本発明では、Ca、S、Oを、上記した範囲内で、さらに次(1)式、(2)式
1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
[%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
(ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有する。Ca、S、Oが(1)式を、Ca、Sが(2)式を満足することにより、介在物を、腐食性の強いサワー環境においても、耐食性、耐腐食割れ性の低下が生じない形状に調整できる。(1)式または(2)を満足しない場合には、粗大なMnS、CaSクラスター、CaOクラスターが形成され、サワー環境において耐食性、耐腐食割れ性が低下する。なお、(1)式の中央値は、ACRと呼ばれ、有効Ca量の指標の一つとして使用されている。また、(2)式の左辺値はCaS溶解度を意味し、CaSクラスター形成の指標となる。
上記した成分が基本の組成であるが、この基本の組成に加えてさらに、Cu:0.005〜0.5%、Ni:0.005〜0.5%、Cr:0.005〜0.5%、Mo:0.005〜0.3%、V:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成としてもよい。
Cu、Ni、Cr、Mo、Vはいずれも、焼入れ性を向上させ、鋼板の強度を増加させる元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。
Cuは、焼入れ性を向上させるとともに、固溶強化あるいは析出強化により鋼板の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましいが、0.5%を超える含有は熱間加工性を低下させる。このため、Cuは0.005〜0.5%に限定することが好ましい。
Niは、焼入れ性を向上させ、鋼板の強度を増加させるとともに、靭性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましいが、0.5%を超えて含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果がきたいできなくなり、経済的に不利となる。このため、Niは0.005〜0.5%に限定することが好ましい。
Crは、焼入性を向上させ、鋼板強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果は、0.005%以上の含有で顕著となる。一方、0.5%を超える過剰の含有は、電縫溶接時に溶接欠陥を多発させる傾向となる。このため、Crは0.005以上0.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.15〜0.45%である。
Moは、焼入性を向上させるとともに、炭化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素であり、このような効果は0.005%以上の含有で顕著となる。一方、0.3%を超える多量の含有は、溶接性を低下させる。このため、Moは0.0005〜0.3%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.10〜0.25%である。
Vは、焼入性を向上させるとともに、炭窒化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素であり、このような効果は0.005%以上の含有で顕著となる。一方、0.3%を超える過剰の含有は、溶接性を劣化させる。このため、Vは0.005〜0.3%とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.01〜0.15%である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
上記した組成の鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す。なお、鋼素材の製造方法はとくに限定する必要はない。上記した組成の溶鋼を通常の溶製法で溶製し、連続鋳造法、造塊−分塊法等の通常の鋳造方法で鋼素材とすることができる。
上記した組成の鋼素材は、加熱され、まず粗圧延工程を施される。加熱温度は、とくに限定されないが、1100〜1300℃の範囲の温度とすることが好ましい。加熱温度が1100℃未満では、変形抵抗が高く、圧延機への負荷が過大となりすぎる。また、1300℃を超えて高温とすると、結晶粒が粗大化しすぎて熱延板の靭性が低下する。また、スケールロスが多くなり、歩留が低下する。
なお、粗圧延工程では、所定寸法のシートバーとすることができればよく、とくに粗圧延条件は限定されないが、粗圧延終了温度は1050℃以下とすることが靭性確保の観点から好ましい。
粗圧延工程を経て得られたシートバーには、仕上圧延工程を施すが、仕上圧延工程前に、加速冷却を施すことが好ましい。加速冷却は、シートバー等を冷却し、高靭化に有効な温度域に冷却して、その後の仕上圧延により、靭性を有効に向上させるために施す。加速冷却を施すことにより、高靭化に有効な温度域に冷却された板厚方向の領域が拡大でき、仕上圧延による靭性向上の程度を大きくすることができる。なお、仕上圧延工程前の加速冷却は、既存のFSB、ロール冷却等の冷却手段(ストリップクーラント)によって容易に行える。
加速冷却は、シートバーの表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する冷却とすることが好ましい。なお、加速冷却の冷却停止温度は、表層部の温度でAr変態点以下450℃以上とすることが好ましい。これにより、板厚にもよるがシートバー中心部近傍までを、高靭化に有効な温度域である、930℃以下の温度とすることができる。
また、加速冷却の冷却速度が50℃/s未満では、高靭化に有効な温度域に冷却される板厚方向における領域が狭く、高靭化の程度が少なくなる。また、表層部に冷却むらが生じて、鋼板組織の不均一を生じやすくなる。表層部の冷却速度を50℃/s以上にすることにより遷移沸騰領域を回避でき、全面核沸騰状態で冷却でき、冷却むらの発生を防止できる。
加速冷却の冷却停止温度がAr変態点超えの場合には、高靭化に有効な温度域に冷却される範囲が狭く、靭性の向上代が少ない。また、加速冷却の冷却停止温度が450℃未満では、表層部が焼入れ組織となり延性確保の観点から好ましくない。なお、「表層部」とは、表面から板厚方向に1mmの範囲をいうものとする。またここで、「表層部の温度」は、伝熱計算により求められる値とする。
本発明では、加速冷却を停止したのち、表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させる。これにより、表層部の組織がオーステナイト単相となり、その後に圧延による圧下を加えても割れ等の表面欠陥の発生を回避できる。復熱が不十分で表層部の温度がAc変態点未満では、表層部の組織がフェライト+オーステナイトの二相となり、表面欠陥が多発する場合がある。
表層部の温度がAc変態点以上の温度に復熱したのち、シートバーに仕上圧延工程を施す。
なお、加速冷却は、上記したように、粗圧延工程後で仕上圧延工程前に施すことに代えて、仕上圧延工程中に行ってもよく、また粗圧延工程後で仕上圧延工程前、および仕上圧延工程中とを合わせ行ってもよい。
仕上圧延工程中に加速冷却を施す場合には、少なくとも1回、圧延パス間または圧延パスを行わず、仕上圧延途中の熱延板に施すことが好ましい。ここでいう「圧延パスを行わず」とは、圧下を施さないパス、すなわち空パスを設けることを意味する。仕上圧延工程中の加速冷却は、仕上圧延ミル内のクーラントを利用することにより行うことができる。なお、仕上圧延工程中の加速冷却も、仕上圧延工程前の加速冷却と同様に、圧延途中の熱延板の表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下、好ましくは450℃以上の温度に達するまで急冷する冷却とすることが好ましい。仕上圧延工程中の加速冷却でも同様に、加速冷却を停止したのち、表層部の温度がAc変態点以上の温度になるまで復熱させる。本発明では、加速冷却を停止した後、熱延板の表層部の温度がAc変態点以上の温度になるまでに、圧下を加えることはない。したがって、表層部の温度がAc変態点以上の温度になる前に通過するスタンドでは空パスとすることは言うまでもない。
加速冷却を施され、所定の温度に復熱した熱延板は、さらに仕上圧延工程における所定の圧下を施されて所定寸法の熱延板とされる。復熱した熱延板に施す圧延条件は、1パス当たりの圧下率が15〜50%の圧延とすることが好ましい。1パス当たりの圧下率が15%未満では、所望の高靭性化が期待できなくなる。一方、1パス当たりの圧下率が50%を超えると、表面割れが多発する場合がある。なお、より好ましくは18〜35%である。また、930℃以下の温度域(γ域温度)における圧下率(有効圧下率)は40〜70%とすることが組織の微細化の観点から好ましい。有効圧下率の増加により、未変態オーステナイトへの歪蓄積が進行し、フェライト変態の駆動力が増加する。これにより、組織の微細化が達成される。なお、圧下率が70%を超えると、セパレーションの発生が助長される。
仕上圧延工程を経て得られた熱延板は、巻取工程でコイル状に巻き取られる。本発明における巻取工程では、巻取り温度は350〜700℃とすることが好ましい。仕上圧延終了後、
熱延板は、好ましくは冷却速度:10〜100℃/sで、巻取り温度まで冷却される。巻取り温度が350℃未満では、鋼板各位置での温度ばらつきが大きくなり、材質ばらつきや形状のばらつきが生じ、さらには、コイラー能カによっては巻き取ることができない場合も生ずる。一方、巻取り温度が700℃を超えると、結晶粒が粗大化し、靭性が低下する。このようなことから、巻取り温度は350〜700℃とすることが好ましい。また、コイル状に巻き取ったのち、コイル中央部の冷却速度で20〜60℃/hで室温まで冷却することが好ましい。コイル状に巻き取ったのちの冷却速度を上記した範囲として、冷却することにより、仕上圧延後の加速冷却で増加した表面硬さを、HICやブリスターが発生しない程度の硬さまで軟化させることができる。
表1に示す組成を有するスラブ(鋼素材)(肉厚:215mm)を、表2に示す温度に加熱し、表2に示す条件で粗圧延工程、仕上圧延工程、および巻取工程を施し、表2に示す板厚の熱延板とした。なお、加速冷却を、粗圧延工程後で仕上圧延工程前に、および/または、仕上圧延工程中の圧延パス間あるいは圧延パス中(空パス)に、表2に示す条件で施した。加速冷却停止後、表2に示す温度となるまで復熱させた。一部では、所定の温度まで復熱が完了する前に圧延を行った。
得られた熱延板について、表面品質試験、引張試験、衝撃試験、CTOD試験、DWTT試験、HIC試験を実施した。試験方法は次のとおりである。
(1)表面品質試験
得られた熱延板について、鋼板の全域にわたり表面を目視またはビデオカメラで観察し、割れの有無を調査し、表面品質を評価した。割れ等の表面欠陥が発生した場合を×、発生しなかった場合を○として評価した。ここで表面割れは深さ100μm以上の割れを指す。
(2)引張試験
得られた熱延板から、圧延方向に直交する方向(C方向)が引張方向となるように、ASTM E8の規定に準拠して引張試験片(標準間距離:2in.、平行部幅:0.5in.の板状試験片)を採取し、ASTM E8の規定に準拠して室温で引張試験を実施し、降伏強さYS、引張強さTSを求めた。
(3)衝撃試験
得られた熱延板の板厚中央部から、圧延方向に直交する方向(C方向)が長手方向となるようにVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、試験温度:−80℃での吸収エネルギー(J)を求めた。なお、試験片は3本とし、得られた吸収エネルギー値の算術平均をもとめ、その鋼板の吸収エネルギー値vE−80(J)とした。
(4)CTOD試験
得られた熱延板から、圧延方向に直交する方向(C方向)が長手方向となるようにCTOD試験片を採取し、ASTM E1290の規定に準拠して、試験温度:−10℃でCTOD試験を行い、CTOD値(mm)を求めた。試験荷重は三点曲げ方式で負荷した。CTOD値は切欠に変位計を取り付けて測定した。このCTOD値が0.25mm以上である場合には、鋼板の靭性が良好であると判断する。
(5)DWTT試験
得られた熱延板から、圧延方向に直交する方向(C方向)が長手方向となるようにDWTT試験片を採取し、ASTM E436の規定に準拠して、DWTT試験を実施し、DWTT温度(℃)(:延性破面率が85%となる最低温度)を求め、低温靭性を評価した。なお、DWTT温度が−15℃以下である場合には破壊靭性が良好であると判断する。
(6)HIC試験
得られた熱延板から、長手方向が鋼板の圧延方向と平行になるように試験片を採取し、NACE規格TM 0284の規定に準拠して、耐HIC性を評価した。なお、試験液は規定のA溶液とし、試験片を該試験液に浸漬した後、CLR(%)を測定した。CLRが0%の場合に、HICが発生せず耐HIC性が良好であると判断する。また、ブリスターの発生の有無についても調査した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0004900260
Figure 0004900260
Figure 0004900260
本発明例はいずれも、表面割れの発生もなく、表面品質に優れ、かつCTOD試験におけるCTOD値が0.7mm以上と高く、またDWTT試験におけるDWTT温度も−15℃以下と低く、靭性に優れ、HIC試験におけるCLR値も0%であり、ブリスター発生もなく、耐HIC性に優れている。なお、熱延板No.4ではHIC試験で軽度のブリスターの発生が認められたが、表面割れの発生もなく、靭性も優れている。
一方、本発明の範囲を外れる比較例では、表面割れが発生し表面品質が低下しているか、CTOD値が低いか、DWTT温度が高いかして靭性が低下しているか、あるいは耐HIC性が低下しているかで、表面品質と靭性、耐HIC性が両立できていない。
比較例である熱延板No.1、No.15は、加速冷却を実施しないうえ、仕上げ圧延で比較的高い圧下率を付与したため表面割れが発生している。
また、熱延板No.2(比較例)は、仕上圧延前の加速冷却の冷却速度が50℃/s未満であるため、板厚内部まで抜熱されて、表層部の復熱温度がAc3点未満となり、表層部が二相組織となったため、表面割れやHIC試験でブリスターが発生している。
また、熱延板No.3(比較例)は、仕上圧延中に加速冷却を施したが、表層部の復熱温度がAc3点未満となり、表層部が二相組織となったため、表面割れやHIC試験で表面にブリスターが発生している。
また、熱延板No.10(比較例)は、仕上圧延前および圧延中に加速冷却を施したが、仕上圧延中の加速冷却の冷却速度が50℃/s未満と遅かったため、不均一な冷却となり、また復熱温度がAc3点未満となったため、表面割れやHIC試験で表面にブリスターが発生している。
また、熱延板No.13(比較例)は、仕上圧延前の加速冷却を行わず、仕上圧延中に加速冷却を施したが、50℃/s未満と遅かったため、不均一な冷却となり、また復熱温度がAc3点未満となったため、表面割れやHIC試験で表面にブリスターが発生している。
また、熱延板No.17、18(比較例)は、鋼組成が本発明の範囲を外れ、耐HIC性が低下している。さらに熱延板No.18は、仕上圧延中に加速冷却を施したが、表層部の復熱温度がAc3点未満と低かったため、表層部が二相組織となり、表面割れが発生している。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.02〜0.08%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.8〜1.8%、 P:0.010%以下、
    S:0.001%以下、 Al:0.005〜0.10%、
    N:0.005%以下、 Nb:0.03〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.05%、 Ca:0.003%以下、
    O:0.005%以下
    を含み、さらにCa、S、Oが下記(1)式、(2)式を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す熱延鋼板の製造方法において、前記粗圧延工程後で、前記仕上圧延工程前に、前記シートバーに、表層部を50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度を逆変態が完了するAc変態点以上の温度まで復熱させ、しかる後に仕上圧延工程を施すことを特徴とする延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法。

    1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
    [%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
    ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%)
  2. 質量%で、
    C:0.02〜0.08%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.8〜1.8%、 P:0.010%以下、
    S:0.001%以下、 Al:0.005〜0.10%、
    N:0.005%以下、 Nb:0.03〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.05%、 Ca:0.003%以下、
    O:0.005%以下
    を含み、さらにCa、S、Oが下記(1)式、(2)式を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す熱延鋼板の製造方法において、前記仕上圧延工程で少なくとも1回、圧延パス間または圧延パスを行わず、仕上圧延途中の熱延板に、表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させ、しかる後に仕上圧延を行い所望寸法形状の熱延板とすることを特徴とする延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法。

    1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
    [%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
    ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%)
  3. 質量%で、
    C:0.02〜0.08%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.8〜1.8%、 P:0.010%以下、
    S:0.001%以下、 Al:0.005〜0.10%、
    N:0.005%以下、 Nb:0.03〜0.10%、
    Ti:0.005〜0.05%、 Ca:0.003%以下、
    O:0.005%以下
    を含み、さらにCa、S、Oが下記(1)式、(2)式を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、粗圧延を施しシートバーとする粗圧延工程と、該シートバーに仕上圧延を施し熱延板とする仕上圧延工程と、該熱延板を巻き取る巻取工程とを順次施す熱延鋼板の製造方法において、前記粗圧延工程後で、前記仕上圧延工程前に、前記シートバーに、表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させ、しかる後に前記仕上圧延工程を施し、さらに該仕上圧延工程で少なくとも1回、圧延パス間または圧延パスを行わず、仕上圧延途中の熱延板に、表層部が50℃/s以上の冷却速度でAr変態点以下の温度に達するまで急冷する加速冷却を施したのち、該加速冷却を停止し、前記表層部の温度が逆変態が完了するAc変態点以上の温度になるまで復熱させ、しかる後に仕上圧延を行い所望寸法形状の熱延板とすることを特徴とする延性亀裂伝播特性および耐サワー性に優れる熱延鋼板の製造方法。

    1.4≦{[%Ca]−[%O]×(0.18+130[%Ca])}/1.25[%S]<3.3‥‥(1)
    [%Ca]×[%S]0.28 ≦3.6×10−4 ‥‥(2)
    ここで、[%Ca]、[%O]、[%S]:各元素の含有量(質量%)
  4. 前記仕上圧延工程における仕上圧延が、1パス当たりの圧下率が15〜50%の圧延であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.5%、Ni:0.005〜0.5%、Cr:0.005〜0.5%、Mo:0.005〜0.3%、V:0.005〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
  6. 前記巻取工程における前記熱延板の巻取り温度を350〜700℃とし、巻き取ったのちの冷却速度をコイル中央部で20〜60℃/hとすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
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