以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[第1の実施の形態]
以下、第1の実施の形態につき、「車々間通信システムの構成」、「第2送信パケットの送信開始時間の決定方法」、及び「車々間通信システムの動作」の順で説明する。
<車々間通信システムの構成>
以下、図1を参照して、この発明が適用される第1の実施の形態の構成につき説明する。図1は、第1の実施の形態の車々間通信システムにおける中継器及び車両の構成を説明するためのブロック図である。
この発明が適用される車々間通信システム100は、中継器200と各車両に搭載された車載コンピュータ(以下、単に「車両」と称する)300とを備えている。なお、図1には、車両300は、1つしか示されていないが、実際は複数存在する。
まず、中継器200の構成につき説明する。
中継器200は、CPUによって構成された主演算部202、RAMやレジスタ等によって構成された主格納部204、第1送信パケット220aを送信する送信アンテナ245、及び第2送信パケット315aを受信する受信アンテナ250を有する。なお、第1送信パケット220aは、中継器200から各車両300に送信される情報である。また、第2送信パケット315aは、各車両300から中継器200に送信される情報である。
中継器200の主演算部202は、各種の演算を行う機能手段である。主演算部202は、主格納部204とともに、単一チップ上に形成されている。主演算部202は、タイマー205、基準信号情報生成部210、パケット生成部215、パケット送信部220、キャリアセンス部225、パケット受信部230、及び車両情報抽出部235を有する。なお、図1には、主演算部202の各構成要素は、各種の信号やデータを後段の構成要素にダイレクトに出力するように描かれている。しかしながら、実際は、各構成要素は、主格納部204を介して、各種の信号やデータを後段の構成要素に出力する。すなわち、前段の構成要素は、各種の信号やデータを主格納部204に格納し、後段の構成要素がその信号やデータを主格納部204から読み出す。これらの一連の動作は、プログラムによって規定されている。以下、この点の説明については、省略する。
タイマー205は、時間を計測する機能手段である。
基準信号情報生成部210は、基準信号情報210aを生成する機能手段である。基準信号情報210aは、車々間通信システム100を構成する各機器間、すなわち、中継器200と1乃至複数の車両300間で、動作タイミングの同期を図るための情報である。基準信号情報生成部210は、例えば、現在の時刻を表す現在時刻情報や、中継器200のタイマー205によって一定周期毎に計測される時間を表す計測時間情報、第1送信パケット220aの受信時刻から第2送信パケット315aの送信を開始する時刻までの時間(以下、「送信開始時間」と称する)を決定するための基準となる判定基準情報等を、基準信号情報210aとして、用いることができる。
この実施の形態では、基準信号情報生成部210は、計測時間情報と判定基準情報とを組み合わせた情報を、基準信号情報210aとして、用いるものとする。
なお、この実施の形態では、判定基準情報は、後述の「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」(図2(A)参照)と、後述の「送信モード時間」(図2(C)参照)とを含む情報とする。ここで、「送信モード」とは、外部に信号の送信が可能な状態を意味している。また、「送信モード開始時間」とは、基準となる時刻(以下、「基準時刻」と称する)から、送信モードを開始するまでの時間を意味している。なお、「第2送信パケット315aの送信モード開始時間」とは、この実施の形態では、各車両300が中継器200から第1送信パケット220aを受信した時刻を基準時刻とし、この基準時刻から、送信モードを開始するまでの時間となっている。また、「送信モード時間」とは、送信モードとなっている間の時間を意味している。
パケット生成部215は、任意の情報に基づいて、この任意の情報を表す第1パケット215aを生成する機能手段である。なお、この実施の形態では、任意の情報として、基準信号情報生成部210によって生成された基準信号情報210aを用いるものとする。
パケット送信部220は、パケット生成部215によって生成された第1パケット215aに予め定められた処理を施して第1送信パケット220aを生成し、この第1送信パケット220aを各車両300に送信する機能手段である。なお、この実施の形態では、予め定められた処理として、変調等の処理を施すものとする。
キャリアセンス部225は、チャネルの使用状況を判断する機能手段である。
パケット受信部230は、各車両300から送信される第2送信パケット315aを受信し、受信した第2送信パケット315aに基づいて、第1受信パケット230aを生成する機能手段である。なお、第2送信パケット315a及び第1受信パケット230aは、それぞれ、第2送信パケット315aを送信した車両300の車両情報305aを含んでいる。
車両情報抽出部235は、パケット受信部230によって生成された第1受信パケット230aから車両300の車両情報305aを抽出する機能手段である。
中継器200の主格納部204は、各種の情報を格納する格納手段である。主格納部204は、運用に応じて、様々なプログラムやデータを格納するための格納領域が設けられている。その一つに、車両情報保存部240がある。
車両情報保存部240は、車両情報抽出部235によって抽出された車両300の車両情報305aを保存するために設けられた格納領域である。
なお、車両情報保存部240に保存された車両300の車両情報305aは、一定周期毎に、他車両、すなわち、当該車両情報305aを含んでいた第2送信パケット315aを送信した車両300とは異なる車両に送信される。
次に、車両300の構成につき説明する。
車両300は、CPUによって構成された主演算部302、RAMやレジスタ等によって構成された主格納部304、第2送信パケット315aを送信する送信アンテナ345、及び第1送信パケット220aを受信する受信アンテナ350を有する。
車両300の主演算部302は、各種の演算を行う機能手段である。主演算部302は、主格納部304とともに、単一チップ上に形成されている。主演算部302は、車両情報生成部305、パケット生成部310、パケット送信部315、送信開始時間決定部320と、パケット受信部325、基準信号情報抽出部330、走行方向検出部335、及び車両位置検出部340を有する。なお、図1には、主演算部302の各構成要素は、各種の信号やデータを後段の構成要素にダイレクトに出力するように描かれている。しかしながら、実際は、各構成要素は、主格納部304を介して、各種の信号やデータを後段の構成要素に出力する。すなわち、前段の構成要素は、各種の信号やデータを主格納部304に格納し、後段の構成要素がその信号やデータを主格納部304から読み出す。これらの一連の動作は、プログラムによって規定されている。以下、この点の説明については、省略する。また、主演算部302は、図示せぬタイマーを有しており、主演算部302の各構成要素は、この図示せぬタイマーによって計測される時間に応じて動作する。
車両情報生成部305は、自車両に関する車両情報305aを生成する機能手段である。
パケット生成部310は、車両情報生成部305によって生成された車両情報305aに基づいて、車両情報305aを表す第2パケット310aを生成する機能手段である。
パケット送信部315は、パケット生成部310によって生成された第2パケット310aに予め定められた処理を施して第2送信パケット315aを生成し、この第2送信パケット315aを中継器200に送信する機能手段である。なお、この実施の形態では、予め定められた処理として、例えば、複数の符号系列による変調や、デジタル信号からアナログ信号への変換等の処理を施すものとする。
送信開始時間決定部320は、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する機能手段である。なお、この実施の形態では、「送信開始時間」は、第1送信パケット220aの受信時刻から第2送信パケット315aの送信を開始する時刻までの時間とする。送信開始時間を決定する方法の詳細については、後述の「第2送信パケットの送信開始時間の決定方法」の章で説明する。
この実施の形態では、送信開始時間決定部320は、キャリアセンス部322とキャリアセンス開始タイミング決定部324とを備えている。キャリアセンス部322は、チャネルの使用状況を判断する機能手段である。他方、キャリアセンス開始タイミング決定部324は、キャリアセンスの開始タイミングを決定する機能手段である。キャリアセンス部322とキャリアセンス開始タイミング決定部324は、協働して、後述のキャリアセンス開始タイミング時にキャリアをセンスし、チャネルがアイドル状態のときに、第2送信パケット315aの送信を開始させるための信号(以下、「送信開始信号」と称する)320aをパケット送信部315に出力することにより、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。なお、キャリアセンス部322とキャリアセンス開始タイミング決定部324は、必須の構成要素ではないが、チャネルがビジー状態のときに、第2送信パケット315aの送信を防止することができるので、設けるのが好ましい。
パケット受信部325は、中継器200から送信される第1送信パケット220aを受信し、受信した第1送信パケット220aに基づいて、第2受信パケット325aを生成する機能手段である。なお、第1送信パケット220a及び第2受信パケット325aは、それぞれ、第1送信パケット220aを送信した中継器200が生成した基準信号情報210aを含んでいる。
基準信号情報抽出部330は、パケット受信部325によって生成された第2受信パケット325aから中継器200の基準信号情報生成部210が生成した基準信号情報210aを抽出する機能手段である。
走行方向検出部335は、公知の走行方向を検出する方法を用いて、自車両の走行方向を検出する機能手段である。なお、走行方向を検出する方法については、例えば方位角センサや地磁気センサを用いて検出する方法、その他様々な方法が公知であり、これら公知の方法のいずれの方法も採用できるので、ここでは説明を省略する。
車両位置検出部340は、公知の位置を検出する方法を用いて、自車両の位置を検出する機能手段である。なお、位置を検出する方法については、例えば位置ビーコンから発せられる電波を用いて検出する方法、その他様々な方法が公知であり、これら公知の方法のいずれの方法も採用できるので、ここでは説明を省略する。
車両300の主格納部304は、各種の情報を格納する格納手段である。主格納部304は、運用に応じて、様々なプログラムやデータを格納するための格納領域が設けられている。
<第1の実施の形態における第2送信パケットの送信開始時間の決定方法>
以下、図1、及び図2(A)〜(C)を参照して、この実施の形態における第2送信パケット315aの送信開始時間の決定方法につき説明する。この実施の形態では、第2送信パケット315aの送信開始時間は、車両300の走行方向に基づいて、決定される。
図2(A)〜(C)は、第2送信パケット315aの送信開始時間の決定方法を説明するための図である。図2(A)は、車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報を示している。また、図2(B)は、車両300の走行方向の範囲を示している。また、図2(C)は、車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信開始時間との関係を示している。
中継器200は、「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」(図2(A)参照)を、主格納部204格納している。この「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」は、運用に応じて予め設定されたものである。図2(A)に示す例では、車両300の走行方向は、4つの範囲Da〜Ddに区分されている。この実施の形態では、範囲Daは、図2(B)に示すように、北西から北東までの90°の範囲である。同様に、範囲Dbは、北東から南東までの90°の範囲の範囲であり、範囲Dcは、南東から南西までの90°の範囲の範囲であり、範囲Ddは、南西から北西までの90°の範囲の範囲である。図2(A)に示す送信モード開始時間Ta〜Tdは、車両300の走行方向Da〜Ddに対応して、予め異なる値に設定されている。
また、中継器200は、「送信モード時間」として、値t(図2(C)参照)を、主格納部204に格納している。この「送信モード時間」の値tは、運用に応じて予め設定されたものである。この実施の形態では、「送信モード時間」の値tは、固定の値として設定されている。
中継器200は、一定周期毎に送信モード、すなわち、第1送信パケット220aを車両300に送信するモードとなる。
このとき、中継器200では、まず、基準信号情報生成部210が、主格納部204から「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」、及び「送信モード時間」の値tを読み出す。これらの情報は、判定基準情報となる情報である。基準信号情報生成部210は、これらの情報を読み出すと、これに応答して、これらの情報と計測時間情報とを組み合わせて基準信号情報210aを生成し、パケット生成部215に出力する。
パケット生成部215は、基準信号情報生成部210から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aに基づいて第1パケット215aを生成して、パケット送信部220に出力する。
パケット送信部220は、パケット生成部215から第1パケット215aが入力されると、これに応答して、第1パケット215aを変調して第1送信パケット220aを生成して各車両300に送信する。
他方、各車両300では、走行方向検出部335が、一定周期毎に自車両の走行方向を検出し、自車両の走行方向を表す情報(以下、「走行方向情報」と称する)335aを生成して、主格納部304に格納する。
次に、各車両300は、一定周期毎に受信モードとなる。ここで、「受信モード」とは、外部の機器から送信された信号の受信が可能な状態を意味している。このとき、各車両300では、パケット受信部325が、中継器200から送信された第1送信パケット220aを受信する。
パケット受信部325は、中継器200から送信された第1送信パケット220aを受信すると、これに応答して、第1送信パケット220aに対して、アナログ信号からデジタル信号への変換や、複数の符号系列による復調等の処理を施して、第2受信パケット325aを生成し、基準信号情報抽出部330に出力する。
基準信号情報抽出部330は、パケット受信部325から第2受信パケット325aが入力されると、これに応答して、第2受信パケット325aから基準信号情報210aを抽出して、送信開始時間決定部320のキャリアセンス開始タイミング決定部324に出力する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、基準信号情報抽出部330から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aから、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」を抽出し、図2(C)に示すように、「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」に基づいて、走行方向Da〜Dd毎に、送信モード開始時間Ta〜Tdを設定する。なお、送信モード開始時間Ta〜Tdは、第1送信パケット220aを受信した時刻を基準時刻とし、この基準時刻から後の時間として設定される。
さらに、キャリアセンス開始タイミング決定部324は、基準信号情報210aから、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「送信モード時間」を抽出し、図2(C)に示すように、「送信モード時間」に基づいて、走行方向Da〜Dd毎に、送信モード時間tを設定する。なお、送信モード時間の値tは、送信モード開始時間Ta〜Tdが経過した時刻を基準時刻とし、この基準時刻から後の時間として設定される。
なお、範囲Da〜Ddのそれぞれに対応する送信モード時間の合計値(t×4)は、中継器200の受信モード時間Tr以下の値となっている。ここで、「受信モード時間」とは、受信モードとなっている間の時間を意味している。送信モード時間の値tは、例えば、各車両300が約100mSの間に受信モードと送信モードとになる場合に、約5〜20mSに設定されることが好ましい。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、走行方向Da〜Dd毎に、送信モード開始時間Ta〜Tdや送信モード時間tを設定すると、これに応答して、主格納部304から走行方向情報335aを読み出し、走行方向情報335aに基づいて、自車両における第2送信パケット315aの送信モード開始時間と送信モード時間tを決定する。
このとき、キャリアセンス開始タイミング決定部324は、自車両の走行方向が範囲Da内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間の値として、Ta(図2(A)及び(C)参照)を決定する。同様に、キャリアセンス開始タイミング決定部324は、自車両の走行方向が範囲Db内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、Tbを決定し、自車両の走行方向が範囲Dc内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、Tcを決定し、自車両の走行方向が範囲Dd内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、Tdを決定する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、自車両における第2送信パケット315aの送信モード開始時間と送信モード時間tを決定すると、これに応答して、自車両の送信モード時間tの範囲内で、キャリアセンスの開始タイミングを決定する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、キャリアセンスの開始タイミングを決定すると、これに応答して、第1送信パケット220aの受信時刻からの経過時間がキャリアセンス開始タイミングに達するまで待機する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、経過時間がキャリアセンス開始タイミングに達すると、これに応答して、キャリアセンス開始信号324aを生成して、キャリアセンス部322に出力する。なお、キャリアセンス開始信号324aは、キャリアセンス部322にキャリアセンスの開始を指示するための信号である。
キャリアセンス部322は、キャリアセンス開始タイミング決定部324からキャリアセンス開始信号324aが入力されると、これに応答して、キャリアセンスを開始する。このとき、キャリアセンス部322は、パケット受信部325から入力されたチャネル状況信号325bに基づいて、チャネルの使用状況を判断する。キャリアセンス部322は、チャネルがアイドル状態であると判定される場合に、送信開始信号320aを生成して、パケット送信部315に出力する。これにより、第2送信パケット315aの送信開始時間が決定される。
このようにして、各車両300は、自車両における第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。
なお、この実施の形態では、送信開始時間決定部320は、キャリアセンスを行う構成となっているので、キャリアセンスの開始タイミングを決定してから、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定している。しかしながら、送信開始時間決定部320は、キャリアセンスを行わない構成、すなわち、キャリアセンス開始タイミング決定部324とキャリアセンス部322とを有していない構成となっている場合に、キャリアセンスの開始タイミングを決定することなく、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定することになる。
なお、方向の範囲の値は、適宜変更することが可能である。例えば、図2に示す例では、360°を区分する方向の数が4つとなっている。そのため、1つ方向の範囲は、90°になっている。しかしながら、360°を区分する方向の数は、3つ以下にも、逆に、5つ以上にもすることができる。そのため、方向の範囲の値は、360°を区分する方向の数を変更することにより、変更される。なお、方向の範囲の値を変更した場合は、これに応じて、走行方向に対応する送信モード開始時間も変更されることになる。
<車々間通信システムの動作>
以下、図3を参照して、第1の実施の形態の動作につき説明する。図3は、第1の実施の形態の車々間通信システムにおける中継器及び車両の動作を示すフローチャートである。なお、2つの装置間(ここでは、中継器200と車両300との間)の通信は、受信側の装置が通信によって受信された情報を、一旦、主格納部に格納してから、読み出す。これらの一連の動作は、プログラムによって規定されている。以下、この点の説明については、省略する。
中継器200は、以下の動作を、約100mSの周期で繰り返し行う。
中継器200では、タイマー205が、常時、経過時間を計測し、予め定められた経過時間が経過するたびに、経過時間を表す経過時間信号205aを生成して、基準信号情報生成部210に出力する(S105)。
基準信号情報生成部210は、タイマー205から経過時間情報205aが入力されると、これに応答して、経過時間信号205aと判定基準情報とに基づいて、一定周期毎に、基準信号情報210aを生成し、パケット生成部215に出力する(S110)。なお、この実施の形態では、判定基準情報は、「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」(図2(A)参照)と、「送信モード時間」(図2(C)参照)とを含む情報となっている。
パケット生成部215は、基準信号情報生成部210から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aに、送信先(ここでは、車両300)を指定するヘッダ、及び生成する信号(ここでは、第1パケット215a)の構成を規定するユニークワード等を付加して、第1パケット215aを生成し、パケット送信部220に出力する(S115)。第1パケット215aが入力されたパケット送信部220は、送信開始信号225aが入力されるまで、動作を停止して待機状態となる。なお、送信開始信号225aは、第1送信パケット220aの送信をパケット送信部220に指示するための信号である。
第1パケット215aがパケット送信部220に出力されると、これに応答して、パケット受信部230が起動する。
パケット受信部230は、起動すると、これに応答して、受信アンテナ250を介して、一定周期毎に、第2送信パケット315aの受信を開始する(S120)。
パケット受信部230は、いずれかの車両300から送信された第2送信パケット315aを受信すると、これに応答して、受信した第2送信パケット315aに復調等の処理を施して、第1受信パケット230aを生成し、車両情報抽出部235に出力するとともに、受信した第2送信パケット315aの受信電圧レベルまたは受信電力レベルに基づいて、チャネルの使用状況に応じた値を表すチャネル状況信号230bを生成し、キャリアセンス部225に出力する(S125)。なお、第2送信パケット315a及び第1受信パケット230aは、上述の通り、それぞれ、第2送信パケット315aを送信した車両300の車両情報305aを含んでいる。
車両情報抽出部235は、パケット受信部230から第1受信パケット230aが入力されると、これに応答して、第1受信パケット230aから、第2送信パケット315aを送信した車両300の車両情報305aを抽出し、車両情報保存部240に出力する(S130)。
車両情報保存部240は、車両情報抽出部235から車両情報305aが入力されると、これに応答して、入力された車両情報305aを保存する(S135)。
キャリアセンス部225は、パケット受信部230からチャネル状況信号230bが入力されると、これに応答して、S125でパケット受信部230から入力されていたチャネル状況信号230bに基づいて、キャリアセンス、すなわち、チャネルの使用状況の判断を行い(S140)、チャネルがアイドル状態であるか否かを判断する(S145)。
S145において、キャリアセンス部225は、チャネルがアイドル状態であると判断した場合に、送信開始信号225aを生成し、パケット送信部220に出力する(S150)。なお、送信開始信号225aは、上述の通り、第1送信パケット220aの送信をパケット送信部220に指示するための信号である。
他方、S145において、キャリアセンス部225は、チャネルがアイドル状態でない、すなわち、チャネルがビジー状態であると判断した場合に、予め定められた時間だけ、S140及びS145の動作、すなわち、「キャリアセンス」及び「チャネルがアイドル状態であるか否かの判断」の動作を行う。この実施の形態では、予め定められた時間は、例えば、S105の実行時刻から、約100mSの範囲内の時間とする。なお、キャリアセンス部225は、予め定められた時間が経過した場合に、動作を終了する。この場合、中継器200は、再び、S105以降の動作を繰り返す。
パケット送信部220は、キャリアセンス部225から送信開始信号225aが入力されると、これに応答して、S115でパケット生成部215から入力されていた第1パケット215aに、変調等の処理を施して、第1送信パケット220aを生成し、送信アンテナ245を介して、各車両300に送信する(S155)。なお、S140からS155までの動作、すなわち、「キャリアセンス」から「第1送信パケットの生成・送信」までの動作は、S130の動作、すなわち、「車両情報抽出」の動作よりも前に行われてもよい。
他方、車両300は、以下の動作を、約100mSの周期で繰り返し行う。
車両300では、車両位置検出部340が、一定周期毎に、起動して、自車両の位置を検出し、車両位置情報340aを生成して、車両情報生成部305に出力する(S205)。なお、車両位置情報340aは、自車両の位置を表す情報である。
車両情報生成部305は、車両位置検出部340から車両位置情報340aが入力されると、これに応答して、車両位置情報340aに基づいて、自車両の位置等の車両情報305aを生成して、パケット生成部310に出力する(S210)。
パケット生成部310は、車両情報生成部305から車両情報305aが入力されると、これに応答して、車両情報305aに、送信先(ここでは、中継器200)を指定するヘッダ、及び生成する信号(ここでは、第2パケット310a)の構成を規定するユニークワード等を付加して、第2パケット310aを生成し、パケット送信部315に出力する(S215)。第2パケット310aが入力されたパケット送信部315は、送信開始信号320aが入力されるまで、動作を停止して待機状態となる。なお、送信開始信号320aは、第2送信パケット315aの送信をパケット送信部315に指示するための信号である。
また、車両300では、走行方向検出部335が、一定周期毎に、起動して、自車両の走行方向を検出し、自車両の走行方向を表す走行方向情報335aを生成して、送信開始時間決定部320のキャリアセンス開始タイミング決定部324に出力する(S220)。なお、このS220の動作は、S205の動作、すなわち、「車両位置情報生成」の動作よりも前に行われてもよい。
上述のS205からS220までの動作、すなわち、「車両位置情報生成」から「走行方向情報生成」までの動作は、中継器200の動作と非同期に行われる。
この後、パケット受信部325が、起動する。パケット受信部325は、起動すると、これに応答して、一定周期毎に、受信アンテナ350を介して、中継器200から送信された第1送信パケット220aの受信を開始する(S225)。
パケット受信部325は、中継器200から送信された第1送信パケット220aを受信すると、これに応答して、受信した第1送信パケット220aに、復調等の処理を施して、第2受信パケット325aを生成し、基準信号情報抽出部330に出力するとともに、受信した第1送信パケット220aの受信電圧レベルまたは受信電力レベルに基づいて、チャネルの使用状況に応じた値を表すチャネル状況信号325bを生成し、送信開始時間決定部320のキャリアセンス部322に出力する(S230)。なお、第1送信パケット220a及び第2受信パケット325aは、上述の通り、それぞれ、第1送信パケット220aを送信した中継器200が生成した基準信号情報210aを含んでいる。
基準信号情報抽出部330は、パケット受信部325から第2受信パケット325aが入力されると、これに応答して、第2受信パケット325aから基準信号情報210aを抽出して、送信開始時間決定部320のキャリアセンス開始タイミング決定部324に出力する(S235)。なお、基準信号情報210aは、S110で、中継器200の基準信号情報生成部210によって生成された情報である。この実施の形態では、基準信号情報210aは、上述の通り、計測時間情報と判定基準情報とを組み合わせた情報となっている。また、この実施の形態では、判定基準情報は、上述の通り、中継器200を中心にした車両300の走行方向毎に、走行方向とキャリアセンスの開始タイミングとを対応付けた情報となっている。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、キャリアセンス開始タイミングを決定する(S240)。この決定は、上述の「第1の実施の形態における第2送信パケットの送信開始時間の決定方法」の章で説明した手法で行われる。
キャリアセンス開始タイミング決定部324は、自車両のキャリアセンス開始タイミングを決定すると、これに応答して、自車両のキャリアセンス開始タイミングになるまで待機し(S245)、自車両のキャリアセンス開始タイミングになると、キャリアセンス開始信号324aを生成して、キャリアセンス部322に出力する(S250)。
キャリアセンス部322は、キャリアセンス開始タイミング決定部324からキャリアセンス開始信号324aが入力されると、これに応答して、S230でパケット受信部325から入力されていたチャネル状況信号325bに基づいて、キャリアセンスを行い(S255)、チャネルがアイドル状態であるか否かを判断する(S260)。
S260において、キャリアセンス部322は、チャネルがアイドル状態であると判断した場合に、送信開始信号320aを生成し、パケット送信部315に出力する(S265)。なお、送信開始信号320aは、上述の通り、第2送信パケット315aの送信をパケット送信部315に指示するための信号である。
他方、S260において、キャリアセンス部322は、チャネルがアイドル状態でない、すなわち、チャネルがビジー状態であると判断した場合に、予め定められた時間だけ、S255及びS260の動作、すなわち、「キャリアセンス」及び「チャネルがアイドル状態であるか否かの判断」の動作を行う。この実施の形態では、予め定められた時間は、例えば約5〜20mSの範囲内の時間とする。なお、キャリアセンス部322は、予め定められた時間が経過した場合に、動作を終了する。この場合、車両300は、再び、S205以降の動作を繰り返す。
パケット送信部315は、送信開始時間決定部320のキャリアセンス部322から送信開始信号320aが入力されると、これに応答して、S215でパケット生成部310から入力されていた第2パケット310aに、変調等の処理を施して、第2送信パケット315aを生成し、送信アンテナ345を介して、中継器200に送信する(S270)。
この実施の形態では、送信開始信号320aが送信時間開始決定部320からパケット送信部315に出力される時間は、走行方向が異なる車両300間で、値が異なる。したがって、この実施の形態によれば、走行方向が異なる車両300間で、第2送信パケット315aの送信開始時間を異ならせることができる。そのため、車両300間で、第2送信パケット315aの送信のタイミングの重なりを防止することができ、さらに、キャリアセンスのタイミングの重なりも防止することができる。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、各車両300は、自車両の走行方向に基づいて、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定している。これに対して、第2の実施の形態では、各車両300Aは、自車両の位置に基づいて、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。
以下、第2の実施の形態につき、「車々間通信システムの構成」、「第2送信パケットの送信開始時間の決定方法」、及び「車々間通信システムの動作」の順で説明する。
<車々間通信システムの構成>
以下、図4を参照して、この発明が適用される第2の実施の形態の構成につき説明する。図4は、第2の実施の形態の車々間通信システムにおける中継器及び車両の構成を説明するためのブロック図である。
まず、中継器200の構成につき説明する。
この実施の形態の中継器200の構成は、第1の実施の形態のものと同じ構成となっている。但し、この実施の形態では、主格納部204は、自機の設置位置を表す中継器位置情報が予め格納されている。また、パケット生成部215は、主格納部204に予め格納された中継器位置情報を読み出して、中継器位置情報が含まれるように、第1パケット215aを生成する。また、この実施の形態では、第1パケット215aに含まれる判定基準情報は、中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報を含んでいる(図5(A)参照)。また、判定基準情報は、キャリアセンスの開始タイミング、及び、送信モード時間tの値を各車両300Aに指定する情報を含んでいる。
次に、この実施の形態の車両300Aの構成につき説明する。
この実施の形態の車両300Aは、第1の実施の形態の車両300の各構成要素に加え、距離算出部342Aを有している。この距離算出部342Aは、中継器200から自車両までの相対距離を算出する機能手段である。
また、車両300Aは、第1の実施の形態の送信開始時間決定部320の代わりに、送信開始時間決定部320Aを有している。この送信開始時間決定部320Aは、送信開始時間決定部320と同様に、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する機能手段である。但し、第1の実施の形態の送信開始時間決定部320が、自車両の走行方向に基づいて、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。これに対して、この実施の形態の送信開始時間決定部320Aは、自車両の位置に基づいて、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。
また、車両300Aは、第1の実施の形態のキャリアセンス開始タイミング決定部324の代わりに、キャリアセンス開始タイミング決定部324Aを有している。このキャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、キャリアセンス開始タイミング決定部324と同様に、キャリアセンスの開始タイミングを決定する機能手段である。但し、第1の実施の形態のキャリアセンス開始タイミング決定部324が、自車両の走行方向に基づいて、キャリアセンスの開始タイミングを決定する。これに対して、この実施の形態のキャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、自車両の位置に基づいて、キャリアセンスの開始タイミングを決定する。
<第2の実施の形態における第2送信パケットの送信開始時間の決定方法>
以下、図4と、図5(A)及び(B)を参照して、この実施の形態における第2送信パケットの送信開始時間の決定方法につき説明する。この実施の形態では、第2送信パケット315aの送信開始時間は、中継器200から車両300Aまでの相対距離に基づいて、決定される。
図5(A)及び(B)は、第2送信パケット315aの送信開始時間の決定方法を説明するための図である。図5(A)は、この実施の形態で判定基準情報として用いられる、中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報を示している。また、図5(B)は、中継器200から車両300Aまでの相対距離と第2送信パケット315aの送信開始時間との関係を示している。
中継器200は、「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」(図5(A)参照)を、主格納部204に格納している。この「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」は、運用に応じて予め設定されたものである。図5(A)に示す例では、中継器200から車両300Aまでの相対距離は、範囲「L1a〜L1b」、「L2a〜L2b」、「L3a〜L3b」、「L4a〜L4b」、「L5a〜L5b」、…に区分されている。図5(A)に示す送信モード開始時間「T1a」、「T2a」、「T3a」、「T4a」、「T5a」、…は、中継器200から車両300Aまでの相対距離に対応して、予め異なる値に設定されている。
また、中継器200は、「送信モード時間」として、値t(図5(B)参照)を、主格納部204に格納している。この「送信モード時間」の値tは、運用に応じて予め設定されたものである。この実施の形態では、「送信モード時間」の値tは、固定の値として設定されている。
また、中継器200は、中継器200の位置を表す中継器位置情報を、主格納部204格納している。
中継器200は、一定周期毎に送信モード、すなわち、第1送信パケット220aを車両300Aに送信するモードとなる。
このとき、中継器200では、まず、基準信号情報生成部210が、主格納部204から「中継器位置情報」、「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」、及び「送信モード時間」の値tを読み出す。これらの情報は、判定基準情報となる情報である。基準信号情報生成部210は、これらの情報を読み出すと、これに応答して、これらの情報と計測時間情報とを組み合わせて基準信号情報210aを生成し、パケット生成部215に出力する。
パケット生成部215は、基準信号情報生成部210から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aに基づいて第1パケット215aを生成して、パケット送信部220に出力する。
パケット送信部220は、パケット生成部215から第1パケット215aが入力されると、これに応答して、第1パケット215aを変調して第1送信パケット220aを生成して各車両300Aに送信する。
他方、各車両300Aでは、車両位置検出部340が、一定周期毎に自車両の位置を検出し、車両位置情報340aを生成して、主格納部304に格納する。
次に、各車両300Aは、一定周期毎に受信モードとなる。このとき、各車両300Aでは、パケット受信部325が、中継器200から送信された第1送信パケット220aを受信する。
パケット受信部325は、中継器200から送信された第1送信パケット220aを受信すると、これに応答して、第1送信パケット220aに対して、アナログ信号からデジタル信号への変換や、複数の符号系列による復調等の処理を施して、第2受信パケット325aを生成し、基準信号情報抽出部330に出力する。
基準信号情報抽出部330は、パケット受信部325から第2受信パケット325aが入力されると、これに応答して、第2受信パケット325aから基準信号情報210aを抽出して、送信開始時間決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aに出力するとともに、距離算出部342Aにも出力する。
距離算出部342Aは、基準信号情報抽出部330から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aから中継器位置情報を抽出して、中継器位置情報が表す中継器200の位置を特定する。さらに、距離算出部342Aは、主格納部304から車両位置情報340aを読み出して、車両位置情報340aが表す自車両の位置を特定し、中継器200から自車両までの相対距離を算出する。
距離算出部342Aは、中継器200から自車両までの相対距離を算出すると、これに応答して、算出した中継器200から自車両までの相対距離を表す相対距離情報342aを生成して、送信開始時間決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aに出力する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、基準信号情報抽出部330から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aから、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」を抽出し、図5(B)に示すように、「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」に基づいて、相対距離毎に、送信モード開始時間T1a〜T5aを設定する。なお、送信モード開始時間T1a〜T5aは、第1送信パケット220aを受信した時刻を基準時刻とし、この基準時刻から後の時間として設定される。
さらに、キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、基準信号情報210aから、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「送信モード時間」を抽出し、図5(B)に示すように、「送信モード時間」に基づいて、相対距離毎に、送信モード時間tを設定する。なお、送信モード時間の値tは、送信モード開始時間T1a〜T5aが経過した時刻を基準時刻とし、この基準時刻から後の時間として設定される。
なお、相対距離のそれぞれに対応する送信モード時間の合計値は、中継器200の受信モード時間Tr以下の値となっている。送信モード時間の値tは、例えば、各車両300Aが約100mSの間に受信モードと送信モードとになる場合に、約5〜20mSに設定されることが好ましい。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、相対距離毎に、送信モード開始時間T1a〜T5aや送信モード時間tを設定すると、これに応答して、距離算出部342Aから入力された相対距離情報342aに基づいて、自車両における第2送信パケット315aの送信モード開始時間と送信モード時間tを決定する。
このとき、キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、自車両の車両位置が範囲L1a〜L1b内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間の値として、T1a(図5(A)及び(B)参照)を決定する。同様に、キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、自車両の車両位置が範囲L2a〜L2b内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、T2aを決定し、自車両の車両位置が範囲L3a〜L3b内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、T3aを決定し、自車両の車両位置が範囲L4a〜L4b内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、T4aを決定し、自車両の車両位置が範囲L5a〜L5b内にある場合に、第2送信パケット315aの送信モード開始時間として、T5aを決定する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、自車両における第2送信パケット315aの送信モード開始時間と送信モード時間tを決定すると、これに応答して、自車両の送信モード時間tの範囲内で、キャリアセンスの開始タイミングを決定する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、キャリアセンスの開始タイミングを決定すると、これに応答して、第1送信パケット220aの受信時刻からの経過時間がキャリアセンス開始タイミングに達するまで待機する。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、経過時間がキャリアセンス開始タイミングに達すると、これに応答して、キャリアセンス開始信号324aを生成して、キャリアセンス部322に出力する。
キャリアセンス部322は、キャリアセンス開始タイミング決定部324Aからキャリアセンス開始信号324aが入力されると、これに応答して、キャリアセンスを開始する。このとき、キャリアセンス部322は、パケット受信部325から入力されたチャネル状況信号325bに基づいて、チャネルの使用状況を判断する。キャリアセンス部322は、チャネルがアイドル状態であると判定される場合に、送信開始信号320aを生成して、パケット送信部315に出力する。これにより、第2送信パケット315aの送信開始時間が決定される。
このようにして、各車両300Aは、自車両における第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。
なお、この実施の形態では、送信開始時間決定部320Aは、キャリアセンスを行う構成となっているので、キャリアセンスの開始タイミングを決定してから、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定している。しかしながら、送信開始時間決定部320Aは、キャリアセンスを行わない構成、すなわち、キャリアセンス開始タイミング決定部324Aとキャリアセンス部322とを有していない構成となっている場合に、キャリアセンスの開始タイミングを決定することなく、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定することになる。
なお、相対距離の範囲の値は、適宜変更することが可能である。ただし、相対距離の範囲の値を変更した場合は、これに応じて、相対距離に対応する送信モード開始時間の値も変更されることになる。
<車々間通信システムの動作>
以下、図6を参照して、第2の実施の形態の動作につき説明する。図6は、第2の実施の形態の車々間通信システムにおける中継器及び車両の動作を示すフローチャートである。なお、2つの装置間(ここでは、中継器200と車両300Aとの間)の通信は、受信側の装置が通信によって受信された情報を、一旦、主格納部に格納してから、読み出す。これらの一連の動作は、プログラムによって規定されている。以下、この点の説明については、省略する。
この実施の形態の中継器200は、第1の実施の形態と同様の動作を、約100mSの周期で繰り返し行う。但し、この実施例では、S110において、基準信号情報210aを生成する際に用いる判定基準情報は、中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報となっている。
他方、この実施の形態の車両300Aは、以下の動作を、約100mSの周期で繰り返し行う。
この実施の形態の車両300Aは、第1の実施の形態と同様に、S205〜S215及びS225〜S235の動作を行う。なお、車両300Aは、第1の実施の形態の車両300と異なり、走行方向検出部335を有していない。そのため、車両300Aは、第1の実施の形態のS220の動作、すなわち、「走行方向情報生成」の動作を行わない。但し、S205において、車両300Aの車両位置検出部340は、生成した車両位置情報340aを、車両情報生成部305に出力するとともに、距離算出部342Aにも出力する。また、車両300Aの基準信号情報抽出部330は、S230で、パケット受信部325から第2受信パケット325aが入力されると、これに応答して、S235で、第2受信パケット325aから基準信号情報210aを抽出して、送信開始時間決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aに出力するとともに、距離算出部342Aにも出力する。
距離算出部342Aは、S235で、基準信号情報抽出部330から基準信号情報210aが入力されると、これに応答して、基準信号情報210aから中継器位置情報を抽出し(S236)、さらに、抽出した中継器位置情報と、S205で車両位置検出部340から入力されていた車両位置情報340aとに基づいて、中継器200から自車両までの相対距離を算出し、相対距離情報342aを生成して、送信開始時間決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aに出力する(S237)。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、S235で、基準信号情報抽出部330から基準信号情報210aが入力されるとともに、S237で、距離算出部342Aから相対距離情報342aが入力されると、これに応答して、キャリアセンス開始タイミングを決定する(S240)。この決定は、上述の「第2の実施の形態における第2送信パケットの送信開始時間の決定方法」の章で説明した手法で行われる。
キャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、自車両のキャリアセンス開始タイミングを決定すると、これに応答して、自車両のキャリアセンス開始タイミングになるまで待機し(S245)、自車両のキャリアセンス開始タイミングになると、キャリアセンス開始信号324aを生成して、キャリアセンス部322に出力する(S250)。
以下、この実施の形態の車両300Aは、第1の実施の形態と同様に、S255〜S270の動作を行う。
この実施の形態では、送信開始信号320aが送信時間開始決定部320Aからパケット送信部315に出力される時間は、中継器200からの相対距離が異なる車両300A間で、値が異なる。したがって、この実施の形態によれば、中継器200からの相対距離が異なる車両300A間で、第2送信パケット315aの送信開始時間を異ならせることができる。そのため、車々間通信システム100は、車両300A間で、第2送信パケット315aの送信のタイミングの重なりを防止することができ、さらに、キャリアセンスのタイミングの重なりも防止することができる。
なお、車々間システム100は、通信を行う車両300Aの数が著しく増加すると、通信障害が発生する可能性がある。
例えば、データ伝送速度と各車両300Aによって送信されるパケットサイズとの関係から、100mSの周期でデータを送信できる車両300Aの数の限界が100台である場合に、交差点等に存在する通信車両300Aの数が100台よりも多くなるときがある。このとき、全ての車両300Aが通信を行うのは、物理的に不可能である。したがって、このとき、車々間システム100Aは、通信障害が発生する。
このような課題を解決するために、第2の実施の形態の車両300Aは、好ましくは、例えば、以下の(1)または(2)のような構成にするとよい。
(1)通信の優先度の低い車両300Aは、送信パケットの送信を行わない構成にするとよい。なお、通信の優先度の低い車両300Aとしては、例えば、中継器200が設置された交差点までの相対距離が予め定められた距離よりも大きい車両300A等が該当する。
このような構成は、例えば、送信時間開始決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aが、距離算出部342Aによって算出された中継器200から自車両までの相対距離が予め定められた距離よりも大きい場合に、タイミングを設定せずに以降の処理を中止するとともに、パケット送信部315がパケットを廃棄する構成にすることによって、実現することができる。
(2)車両300Aは、送信パケットの送信周期を任意に長く変更する(例えば、送信周期を通常の100mSから200mSに変更する)ことが可能な構成にするとよい。
このような構成は、例えば、中継器200が中継器200の周囲の渋滞状況に応じて、渋滞を表す送信パケットを送信し、各車両300Aは、この送信パケットを受信すると、送信時間開始決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aが、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」によって指定された自装置の送信モード開始時間に、任意の時間値を付加する構成にすることによって、実現することができる。なお、自装置の送信モード開始時間に任意の時間値を付加するのは、好ましくは、距離算出部342Aによって算出された中継器200から自車両までの相対距離が予め定められた距離よりも大きい場合に行うとよい。また、付加する時間値は、例えば、送信周期が100mSである場合に、100mS,200mS,…等のように、100mS間隔の時間値がよい。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、車両数の多い場所に存在する車両300は、車両数の少ない場所に存在する車両300よりも、送信モード時間を長く獲得できるようにしたものである。
この実施の形態では、中継器200及び車両300の構成は、第1の実施の形態のものと同じ構成となっている。
但し、この実施の形態では、中継器200は、各車両300から送信された第2送信パケット315aに含まれている車両情報305aに基づいて、各車両300の位置を検出し、中継器200を中心にして各方向における車両の混み具合を識別する。そして、中継器200は、方向毎に、車両の混み具合に応じて、車両の送信モード時間tや送信モード開始時間を決定し、決定した車両の送信モード時間tや送信モード開始時間を含むように、判定基準情報を生成する。そして、中継器200は、この判定基準情報に基づいて、基準信号情報210aを生成し、この基準信号情報210aに基づいて、第1パケット215aを、さらには、第1送信パケット220aを生成して、各車両300に送信する。これにより、中継器200は、車両数の多い場所に存在する車両300に、車両数の少ない場所に存在する車両300よりも長い送信モード時間を与える。
以下、図1、及び図7(A)〜(C)を参照して、第3の実施の形態の送信開始時間の決定方法につき説明する。
図7(A)〜(C)は、送信開始時間の決定方法を説明するための図である。図7(A)は、車両の混み具合と送信モード開始時間とを対応付けた情報を示している。この車両の混み具合と送信モード時間とを対応付けた情報は、中継器200の主格納部204に予め格納されている。なお、車両の送信モード時間tは、車両の混み具合が高いほど、長くなるように設定されている。また、図7(B)は、中継器200を中心とし、中継器200の周囲に存在する車両300の位置の一例を示している。また、図7(C)は、車両の混み具合と車両の送信モード時間との関係を示している。
この実施の形態では、中継器200は、パケット受信部230によって、中継器200の周囲に存在する各車両300から第2送信パケット315aを順次受信する。
中継器200は、各車両300から第2送信パケット315aを順次受信すると、これに応答して、車両情報抽出部235が起動して、第2送信パケット315aから車両情報305aを抽出し、車両情報305aに基づいて、各車両300の位置を検出し(図7(B)参照)、さらに、方向毎に、車両数をカウントする。これにより、中継器200は、中継器200を中心にして各方向における車両の混み具合を識別する。
中継器200は、各方向における車両の混み具合を識別すると、これに応答して、基準信号情報生成部210によって、基準信号情報210aを生成する。基準信号情報210aの生成は、以下のようにして行われる。
まず、基準信号情報生成部210は、主格納部204から、図7(A)に示す車両の混み具合と送信モード時間とを対応付けた情報を読み出し、この情報に基づいて、方向毎に、車両の送信モード時間tを決定する。ここでは、基準信号情報生成部210は、例えば、範囲Da(図7(B)参照)内の方向に対応する車両の送信モード時間として、t2(図7(A)参照)を決定するものとする。同様に、基準信号情報生成部210は、範囲Db内の方向に対応する車両の送信モード時間として、t4を決定し、範囲Dc内の方向に対応する車両の送信モード時間として、t3を決定し、範囲Dd内の方向に対応する車両の送信モード時間として、t1を決定する。このようにして、基準信号情報生成部210は、各方向に対応する車両の送信モード時間tを決定する。なお、各方向に対応する車両の送信モード時間tの合計値は、中継器200の受信モード時間Tr以下の値となっている。
次に、基準信号情報生成部210は、決定した車両の送信モード時間tに基づいて、方向毎に、図7(C)に示す関係になるように、送信モード開始時間Ta〜Tdを決定する。このとき、基準信号情報生成部210は、まず、第1送信パケット220aの送信時刻を基準にして、範囲Da内の方向に対応する車両の送信モード開始時間Taを決定する。この送信モード開始時間Taの値は、固定の長さであり、主格納部204に予め格納されている。次に、基準信号情報生成部210は、車両の送信モード開始時間Taに、範囲Da内の方向に対応する車両の送信モード時間t2と予め定められた空白時間とを加算して、範囲Db内の方向に対応する車両の送信モード開始時間Tbを決定する。次に、基準信号情報生成部210は、車両の送信モード開始時間Tbに、範囲Db内の方向に対応する車両の送信モード時間t4と予め定められた空白時間とを加算して、範囲Dc内の方向に対応する車両の送信モード開始時間Tcを決定する。次に、基準信号情報生成部210は、車両の送信モード開始時間Tcに、範囲Dc内の方向に対応する車両の送信モード時間t3と予め定められた空白時間とを加算して、範囲Dd内の方向に対応する車両の送信モード開始時間Tdを決定する。このようにして、基準信号情報生成部210は、各方向に対応する車両の送信モード開始時間Ta〜Tdを決定する。
次に、基準信号情報生成部210は、決定した各方向に対応する車両の送信モード時間tと、決定した各方向に対応する車両の送信モード開始時間Ta〜Tdとを含むように、判定基準情報を生成する。
次に、基準信号情報生成部210は、計測時間情報と判定基準情報とを組み合わせて、基準信号情報210aを生成する。
このようにして、中継器200は、基準信号情報210aを生成する。なお、生成された基準信号情報210aは、基準信号情報生成部210からパケット生成部215に出力される。
中継器200は、基準信号情報210aを生成すると、これに応答して、パケット生成部215によって、第1パケット215aを生成する。このとき、パケット生成部215は、基準信号情報210aに、送信先(ここでは、車両300)を指定するヘッダ、及び生成する信号(ここでは、第1パケット215a)の構成を規定するユニークワード等を付加して、第1パケット215aを生成する。なお、生成された第1パケット215aは、パケット生成部215からパケット送信部220に出力される。
中継器200は、第1パケット215aを生成すると、これに応答して、パケット送信部220によって、第1送信パケット220aを生成する。このとき、パケット送信部220は、第1パケット215aに予め定められた処理を施して第1送信パケット220aを生成する。なお、生成された第1送信パケット220aは、パケット送信部220によって、送信アンテナ245を介して、各車両300に送信される。
このようにして、中継器200は、第1送信パケット220aを各車両300に送信する。この第1送信パケット220aは、基準信号情報210aを含んでおり、その基準信号情報210aは、車両の混み具合に応じて、決定された車両の送信モード時間tや送信モード開始時間を表す判定基準情報を含んでいる。そのため、第1送信パケット220aを受信した各車両300は、自車両の位置に応じて、第2送信パケット315aの送信モード開始時間や送信モード時間を決定することができる。このとき決定された送信モード開始時間や送信モード時間は、中継器200を中心とする各方向に対応している。しかも、送信モード時間は、車両の混み具合に応じた値となっており、車両の混み具合が高ければ、比較的長い値となる。そのため、この実施の形態では、車両数の多い場所に存在する車両300は、車両数の少ない場所に存在する車両300よりも、送信モード時間を長く獲得することができる。これにより、この実施の形態の車々間通信システム100は、第1の実施の形態よりも効率よく、車両300間で、第2送信パケット315aの送信のタイミングの重なりを防止することができ、さらに、キャリアセンスのタイミングの重なりも防止することができる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、第2の実施の形態の各車両300Aに、第1の実施の形態の走行方向検出部335を設けたものである。
第2の実施の形態では、各車両300Aは、自車両の位置に基づいて、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。これに対して、この実施の形態では、各車両300Bは、自車両の走行方向及び自車両の位置に基づいて、第2送信パケット315aの送信開始時間を決定する。
以下、図8を参照して、この発明が適用される第4の実施の形態の構成につき説明する。図8は、第4の実施の形態の車々間通信システムにおける中継器及び車両の構成を説明するためのブロック図である。
この実施の形態の中継器200の構成は、第2の実施の形態のものと同じ構成になっている。但し、この実施の形態では、第1パケット215aに含まれる判定基準情報は、第2の実施の形態の「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」(図5(A)参照)に加え、実施例1の「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」(図2(A)参照)を含んでいる(図5(A)参照)。
この実施の形態の車両300は、第2の実施の形態の車両300Aの各構成要素に加え、第1の実施の形態の走行方向検出部335を有している。
また、この実施の形態の送信開始時間決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aは、基準信号情報210aから、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」及び「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」を抽出し、これらの情報に基づいて、各走行方向の相対距離毎に、送信モード開始時間T1a〜T5aを設定する。なお、送信モード開始時間T1a〜T5aは、第1送信パケット220aを受信した時刻を基準時刻とし、この基準時刻から後の時間として設定される。
以下、図9を参照して、この発明が適用される第4の実施の形態の構成につき説明する。図9は、第4の実施の形態の車々間通信システムにおける中継器及び車両の動作を示すフローチャートである。
この実施の形態の中継器200は、第2の実施の形態と同様の動作を、約100mSの周期で繰り返し行う。
また、この実施の形態の車両300Bは、第2の実施の形態と同様の動作を、約100mSの周期で繰り返し行う。
但し、図9に示すように、この実施の形態の車両300Bは、S215の動作とS225の動作との間、すなわち、「第2パケット生成」工程の動作と「第1送信パケット受信開始」工程の動作との間で、第1の実施の形態と同様に、S220の動作、すなわち、「走行方向情報生成」工程の動作を行う。
また、この実施の形態の車両300Bは、S240の動作、すなわち、「キャリアセンス開始タイミング決定」工程の動作で、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている「車両300の走行方向と第2送信パケット315aの送信モード開始時間とを対応付けた情報」及び「中継器200から車両300Aまでの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」を抽出し、これらの情報に基づいて、各走行方向の相対距離毎に、送信モード開始時間T1a〜T5aを設定する。
これにより、この実施の形態の車両300Bは、自装置の走行方向及び自車両の走行方向に基づいて、各走行方向の相対距離毎に、送信開始時間を決定することができる。
第2の実施の形態は、各走行方向の中継器200からの相対距離が異なる車両300A間で、第2送信パケット315aの送信開始時間を異ならせることができる。これに対して、この実施の形態は、さらに、走行方向毎に、中継器200からの相対距離が異なる車両300A間で、第2送信パケット315aの送信開始時間を異ならせることができる。そのため、この実施の形態の車々間通信システム100によれば、第2の実施の形態よりも良好に、車両300A間で、第2送信パケット315aの送信のタイミングの重なりを防止することができ、さらに、キャリアセンスのタイミングの重なりも防止することができる。
なお、第4の実施の形態の車両300Bは、第2の実施の形態の車両300Aと同様に、好ましくは、例えば、以下の(1)または(2)のような構成にするとよい。
(1)通信の優先度の低い車両300Bは、送信パケットの送信を行わない構成にするとよい。
このような構成は、第2の実施の形態の場合と同様に、例えば、送信時間開始決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aが、距離算出部342Aによって算出された中継器200から自車両までの相対距離が予め定められた距離よりも大きい場合に、タイミングを設定せずに以降の処理を中止するとともに、パケット送信部315がパケットを廃棄する構成にすることによって、実現することができる。
(2)車両300Bは、送信パケットの送信周期を任意に長く変更する(例えば、送信周期を通常の100mSから200mSに変更する)ことが可能な構成にするとよい。
このような構成は、第2の実施の形態の場合と同様に、例えば、中継器200が中継器200の周囲の渋滞状況に応じて、渋滞を表す送信パケットを送信し、各車両300Bは、この送信パケットを受信すると、送信時間開始決定部320Aのキャリアセンス開始タイミング決定部324Aが、判定基準情報として基準信号情報210aに含まれている中継器200から車両300A(但し、この実施例では、車両300Bとなる)までの相対距離と送信モード開始時間とを対応付けた情報」によって指定された自装置の送信モード開始時間に、任意の時間値を付加する構成にすることによって、実現することができる。
以上の通り、この発明によれば、中継器が各車両からのパケットを受信できなくなる確率を、従来よりも低減することができる。すなわち、中継器が各車両からのパケットを受信する確率を、従来よりも向上させることができる。
(利用形態)
この発明は、上述の実施の形態に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、第1及び第2の実施の形態では、中継器200の主演算部202の中の、後段の構成要素に信号を出力する構成要素は、前段の構成要素から信号が入力されると、これに応答して、後段の構成要素に出力する信号を生成している。同様に、車両300(300A)の主演算部302の中の、後段の構成要素に信号を出力する構成要素も、前段の構成要素から信号が入力されると、これに応答して、後段の構成要素に出力する信号を生成している。しかしながら、これらの構成要素は、予め、後段の構成要素に出力する信号を生成し、主格納部に格納しておき、前段の構成要素から信号が入力されると、これに応答して、生成しておいた信号を格納部から読み出して後段の構成要素に出力するようにしてもよい。
また、判定基準情報は、各車両300の主格納部304に予め格納するようにしてもよい。これにより、中継器200は、第1送信パケット220aの中に判定基準情報を含めなくてもよくなる。
また、第1の実施の形態では、車両の走行方向の範囲が、範囲Da〜Ddに固定されている。しかしながら、中継器200は、車両の走行方向の範囲を決定するための情報を判定基準情報に含め、その判定基準情報を含むように第1送信パケット220aを生成して、各車両300に送信することにより、任意の走行方向の範囲を各車両300に設定させることが可能になる。