以下、開示の技術に係る実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態では、例えば所定エリアにおける物体や人物の位置を管理する位置管理システムに適用される無線通信システムの一例について説明する。
<位置管理システム:概略構成>
図1は、位置管理システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、位置管理システム1は、無線通信装置2A〜2Hと、通信端末3A〜3Hと、ゲートウェイ装置4と、位置情報管理システム5とを有するように構成される。なお、以下の説明では、無線通信装置2A〜2Hは、適宜、無線通信装置2と称し、通信端末3A〜3Hは、適宜、通信端末3と称して説明する。
無線通信装置2A〜2Hは、例えば屋内αの天井βに設置された電気機器6A〜6H(以下、適宜「電気機器6」と称する)に内蔵されるか又は外部に取り付けられているものとする。無線通信装置2A〜2Hは、設置される設置位置の位置情報を記憶しており、無線通信により、所定の電波範囲(すなわち管理対象となる領域)に対してそれぞれ位置情報XA〜XH(以下、適宜「位置情報X」と称する)を送信する。
ここで、所定の電波範囲は、例えば無線通信装置2A〜2Hからの送信出力、アンテナの指向性等によって決定され、図1の例では、無線通信装置2Aの下方に示される円錐形の点線が、無線通信装置2Aにおける所定の電波範囲を示している。
なお、無線通信装置2A〜2Hは、それぞれの装置を識別する装置識別情報AA〜AH(以下、適宜、「装置識別情報A」と称する)を記憶するものとする。
通信端末3A〜3Hは、例えば無線通信装置2A〜2Hから位置情報XA〜XHを受信する。図1の例では、通信端末3A〜3Hは、位置情報管理システム5により位置を管理される管理対象物7A〜7E(以下、適宜、「管理対象物7」と称する)の外部に取り付けられているものとする。
通信端末3A〜3Hは、無線通信装置2A〜2Hから位置情報XA〜XHを受信すると、無線通信により、受信した位置情報XA〜XHを、自己の端末識別情報BA〜BH(以下、適宜、「端末識別情報B」と称する)とともに無線通信装置2A〜2Hに送信する。なお、端末識別情報Bには、例えばMAC(Media Access Control)アドレス等を用いることが可能である。
電気機器6は、無線通信装置2に対して電力を供給する。電気機器6Aは、蛍光灯型LED(Light Emitting Diode)の照明機器である。電気機器6Bは、換気扇である。電気機器6Cは、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントである。
電気機器6Dは、スピーカである。電気機器6Eは、非常灯である。電気機器6Fは、火災報知機又は煙報知器である。電気機器6Gは、監視カメラである。電気機器6Hは、エアコンである。
なお、電気機器6は、無線通信装置2に電力を供給することができれば、図1に示す電気機器以外であっても良く、例えば一般の蛍光灯又は白熱灯の照明機器や、外部からの人の侵入を検知する防犯センサ等であっても良い。
管理対象物7は、通信端末3が取り付けられることにより、位置情報管理システム5により位置が管理される。管理対象物7Aは、鞄である。管理対象7Bは、テーブルである。管理対象物7Cは、プロジェクタである。管理対象物7Dは、テレビ会議端末である。管理対象物7Eは、コピー機能を含むMFP(Multi Function Product)である。管理対象物7Fは、ほうきである。
管理対象物7Gは、PC(Personal Computer)であり、PC内に通信端末3の機能が搭載されているため通信端末3Gにもなる。管理対象物7Hは、スマートフォン等の携帯電話であり、携帯電話内に通信端末3の機能が搭載されているため通信端末3Hにもなる。
なお、管理対象物7は、図1に示す対象物以外であっても良く、例えばファクシミリ装置、スキャナ、プリンタ、コピー機、電子黒板、空気洗浄機、シュレッダ、自動販売機、腕時計、カメラ、ゲーム機、車椅子、内視鏡等の医療機器であっても良い。
次に、上述した構成を有する位置管理システム1を利用した位置情報の管理方法の一例を説明する。例えば、屋内αの天井βに設置されている無線通信装置2Aは、無線通信により設置位置を示す位置情報XAを送信する。
通信端末3Aは、位置情報XAを受信すると、受信した位置情報XAと、通信端末3Aを識別する端末識別情報BAとを、無線通信により無線通信装置2Aに送信する。
なお、通信端末3Aが、図1に示す複数の無線通信装置2から位置情報Xを受信した場合、例えばそれぞれの無線通信装置2から受信した位置情報Xの信号強度を測定し、最大信号強度に係る位置情報Xを現在の位置情報Xとして決定すると良い。
また、通信端末3Aは、無線通信装置2に対する無線ネットワークに参加するための参加要求に、複数の無線通信装置2からの参加応答があった場合には、最大信号強度に係る参加応答に含まれる装置識別情報Aの無線通信装置2を、位置情報Xの送信先とする。
通信端末3Aは、上述した送受信動作を、例えば加速度センサを有している場合には、加速度センサによる通信端末3Aの加速度変化が検出された所定のタイミング(例えば移動の後、停止した場合等)に行うと良い。
無線通信装置2Aは、通信端末3Aから端末識別情報BAと位置情報XAとを受信すると、無線通信により、受信した情報をゲートウェイ装置4に転送する。
ゲートウェイ装置4は、位置情報管理システム5に対して、LAN8Eを介して、通信端末3Aの端末識別情報BAと位置情報XAとを送信する。ゲートウェイ装置4は、例えばIEEE802.15.4に準拠した通信方式(通信プロトコル)を、例えばIEEE802.3に準拠した通信方式に変換して、各種情報をEthernet(登録商標)によりパケット通信ができるように制御する。
位置情報管理システム5は、通信端末3Aの端末識別情報BAと位置情報XAとを管理することで、例えば管理者等のユーザにより、通信端末3Aが取り付けられた管理対象物7Aの屋内αにおける位置を管理することが可能となる。
なお、図1に示す通信端末3のうち、例えば通信端末3G又は通信端末3Hは、屋外γにおいて、GPS(Global Positioning System)衛星9から無線信号(例えば時刻情報、軌道情報等)を受信して、地球上での位置を算出すると良い。また、通信端末3G又は通信端末3Hは、例えば3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)等の移動通信システムを利用する。
これにより、無線端末3G又は無線端末3Hは、基地局8A、移動体通信網8B、ゲートウェイ装置8C、インターネット8D、LAN8E等を介して、位置情報管理システム5に、端末識別情報BG又はBH、位置情報XG又はXHを送信することが可能となる。
図1に示す基地局8A、移動体通信網8B、ゲートウェイ装置8C、インターネット8D、LAN8E、及びゲートウェイ装置4は、通信ネットワーク8を構築することが可能である。なお、地球上の緯度と経度とが測位されるためには、少なくとも3つのGPS衛星が必要となるが(高度を含めると4つ必要)、図1の例ではGPS衛星9のみ示す。
<本実施形態に係る無線通信システム>
次に、上述した図1に示す無線通信装置2と、ゲートウェイ装置4とにより構成される無線通信システムの一例について説明する。図2は、本実施形態に係る無線通信システムを説明するための図である。図2(A)は、メッシュネットワークの一例を示し、図2(B)は、電波到達範囲の一例を説明するための図である。
図2(A)に示すように、本実施形態に係る無線通信システム10は、無線通信装置2Aと、ゲートウェイ装置4とを有するように構成される。無線通信装置2Aは、例えば蛍光灯型LEDの照明機器である電気機器6A(以下、「蛍光灯」と称する)に設けられ、それぞれの無線通信装置2Aによりメッシュネットワークが形成される。
なお、本実施形態において構成されるネットワークは、メッシュネットワークに限定されるものではない。例えばツリーネットワークや、メッシュネットワーク、スターネットワーク、ツリーネットワーク等を組み合わせたハイブリッドネットワーク等のトポロジーであっても良い。
無線通信装置2Aと、ゲートウェイ装置4とは、例えばZigBee(登録商標)の規格によるPAN(Personal Area Network)を構成する。このZigBee規格によるPANを構成する場合には、ゲートウェイ装置4が、ZigBee規格で定めるコーディネータ機能を有し、無線通信装置2Aがルータ機能を有するようにそれぞれ制御される。
なお、図2(A)の例では、1つのゲートウェイ装置4と複数の無線通信装置2AとによりPANを構成しているがこれには限定されず、例えば複数のゲートウェイ装置4を有していても良い。
無線通信装置2Aは、例えば同一の電源供給ライン(電源供給源)から電源が供給される蛍光灯にそれぞれ設けられ、蛍光灯と電源供給部を共有するように構成される。したがって、例えば一括制御スイッチ等により、蛍光灯の電源のオン/オフを行うと、無線通信装置2Aへの電源供給も連動する。
ここで、一括制御スイッチとは、例えば、図1に示す屋内αに入るときの扉付近に設けられているスイッチであり、屋内α内に設置された蛍光灯等を一括してオン/オフすることが可能である。なお、一括制御スイッチは、これに限定されるものではなく、例えば管理者端末の画面に表示されたボタンから所定のエリアの蛍光灯を一括でオン/オフ制御しても良い。また、リモコン等に設けられていても良い。
同一の電源供給ラインは、上述した一括制御スイッチ等によりオン/オフを切り換えることができるがこれには限定されない。また、同一の電源供給ラインは、有線、無線に限定されない。
ゲートウェイ装置4は、上述したPANを管理する管理端末として、常時電源が入った状態として構成される。
図2(B)の例では、図2(A)に示すゲートウェイ装置4に対する無線通信装置2A−1〜2A−2の設置位置と、それぞれの電波到達範囲とを示している。なお、図2(B)に示すように、無線通信装置2A−1〜2A−2は、それぞれ蛍光灯である電気機器6A−1〜6A−2に組み込まれ、アンテナを有している。また、ゲートウェイ装置4もアンテナを有している。
ここで、上述した一括制御スイッチ等により蛍光灯に対して電源が投入されると、無線通信装置2Aは、例えば電源供給源から同時に電源が供給されて起動し、PANへの参加処理を、例えば同時に開始することになる。
無線通信装置2A−1は、ゲートウェイ装置4の電波到達距離11−1にあるため、起動後、ゲートウェイ装置4にPANへの参加要求を送信して、その応答を受信することによりPANへ参加することが可能である。
無線通信装置2A−2は、ゲートウェイ装置4の電波到達距離11−1にないため、ゲートウェイ装置4と直接通信を行うことができない。また、無線通信装置2A−2は、無線通信装置2A−1の電波到達距離11−2にあるが、起動時には、まだ無線通信装置2A−1がPANへ参加していないため、無線通信装置2A−1に参加要求を行うことができない。
したがって、無線通信装置2A−2が、PANへ参加するためには、電波到達距離11−3の範囲内で、PANへ参加した無線通信装置2Aが出現するのを待たなければならない。そのため、無線通信装置2A−2は、PANへ参加した他の無線通信装置2Aを検出するコマンドを定期的に送信し、応答があった場合には参加コマンドを送信することにより参加処理を行うこととなる。
図2(B)の例では、無線通信装置2A−2は、PANに参加した無線通信装置2A−1に直接参加要求を行うか、又は無線通信装置2A−1を介してゲートウェイ装置4に対して参加要求を行うこととなる。
ここで、無線通信装置2A−2が、上述した検出コマンドを用いて、頻繁にPANへ参加した他の無線通信装置2Aを探すと、PANへ参加したい他の無線通信装置2Aと無線通信の干渉が生じ、正常に無線通信が行えないため、PANへの参加が遅れてしまう。また、無線干渉によるリトライ処理等が実行されると、無駄に電力を消費してしまうこととなる。
また、上述した無線干渉を避けるため、例えば無線通信装置2Aに対して起動後、PANへ参加するまでの待ち時間を長く設けると、PANを構成する無線通信装置2Aが多くなる程、PANに無線通信装置2Aが全て参加するまで、非常に長い時間を要してしまう。
そこで、本実施形態の無線通信システム10では、蛍光灯に電源が投入され、無線通信装置2Aが起動すると、例えば無線通信装置2Aの設置位置に応じたタイミングで、PANへの参加処理を開始することで、無線通信の干渉を抑制し、迅速にPANを構成する。
<無線通信装置2A:機能ブロック>
図3は、無線通信装置の機能ブロックの一例を示す図である。図3に示すように、無線通信装置2Aは、変換手段20と、起動手段21と、参加処理手段22と、時間計測手段23と、待機時間決定手段24と、位置情報送信手段25と、無線通信手段26と、記憶手段27とを有するように構成される。
変換手段20は、例えば供給された高電圧DC電源を低電圧DC電源に変換し、変換した低電圧DC電源を無線通信装置2Aの各手段に供給する。
起動手段21は、例えば複数の蛍光灯に対する一括制御スイッチにより電源が投入されて(電源オン)、変換手段20を介して電源が供給されると、無線通信装置2Aを起動する処理を行う。
参加処理手段22は、起動手段21による起動後、自己の設置位置に応じたタイミングで、PANへ参加するための参加要求を行う等の参加処理を開始する。ここで、自己の設置位置に応じたタイミングとは、例えば起動後、自己の設置位置に応じた時間分、参加処理を遅延させることを示している。自己の設置位置に応じた時間とは、例えばゲートウェイ装置4までの距離と、その間に配置される無線通信装置2Aの数、その無線通信装置2Aのそれぞれ参加処理の時間等を考慮して設定すると良い。
このように、自己の設置位置に応じた時間分、参加処理を遅延させるため、起動後、参加処理を開始するまでの時間として、予め参加処理開始時間を設定し、記憶手段27に記憶させておくものとする。
参加処理手段22は、例えば起動後、参加処理開始時間が経過すると、参加処理を開始する。この参加処理により、無線通信装置2Aは、ゲートウェイ装置4の管理下に入り、PANが構成される。なお、参加処理開始時間は、一旦、PANが構成された後は、待機時間決定手段24により決定された時間に更新し、参加処理手段22は、更新された参加処理開始時間が経過した後、参加処理を開始すると良い。
時間計測手段23は、起動手段21により起動後、記憶手段27に記憶されている参加処理開始時間を読み取り、読み取った参加処理開始時間を計測する。
待機時間決定手段24は、PANが構成された後に、ゲートウェイ装置4に経路情報要求コマンドを発行し、ゲートウェイ装置4から得られる経路情報、又は経路コストに基づき、参加処理開始時間を決定する。待機時間決定手段24は、決定した参加処理開始時間により、記憶手段27に記憶されている参加処理開始時間を更新して、次回の起動時における参加処理開始時間とする。
待機時間決定手段24は、例えばゲートウェイ装置4から得られる経路情報を参照し、自己の無線通信装置2Aからゲートウェイ装置4までの間に経由(中継)する無線通信装置2Aの数に応じて、参加処理開始時間を決定すると良い。
また、待機時間決定手段24は、例えばゲートウェイ装置4から得られる経路コストに所定の係数を掛けた値を参加処理開始時間として決定しても良い。なお、経路情報要求コマンドにより得られる経路情報又は経路コストについては後述する。
位置情報送信手段25は、例えばIMES(Indoor MEssaging System)等を用いて、記憶手段27に記憶されている位置情報Xを所定の範囲に送信する。位置情報送信手段25により送信される位置情報Xは、無線通信装置2Aが搭載される蛍光灯の設置位置と対応したものである。
無線通信手段26は、他の無線通信装置2A又はゲートウェイ装置4と各種データの送受信を行う。なお、無線通信手段26は、例えばZigbeeを利用すると良い。
記憶手段28は、位置情報送信手段25により送信される位置情報Xや、参加処理手段22により用いられる無線通信装置2Aの装置識別情報Aや、起動後に時間計測手段23により計測される参加処理開始時間を記憶する。
なお、無線通信装置2Aは、ゲートウェイ装置4と、上述したZigBee規格によるPANを構成する場合には、ルータ機能を提供するように制御される。
上述した構成により、無線通信装置2Aは、起動後、自己の設定位置に応じたタイミングで、PANを構成する無線ネットワークへの参加処理を行う。これにより、無線通信の干渉を抑制し、迅速にPANを構成することが可能となる。
<ゲートウェイ装置4:機能ブロック>
図4は、ゲートウェイ装置の機能ブロックの一例を示す図である。図4に示すように、ゲートウェイ装置4は、無線通信手段30と、有線通信手段31と、情報管理手段32と、記憶手段33とを有するように構成される。
無線通信手段30は、例えば無線通信装置2Aと同じ帯域を利用した無線通信により、無線通信装置2Aと各種データの送受信を行う。なお、無線通信手段30は、例えばZigbeeを利用すると良い。
有線通信手段31は、有線通信により、例えば無線通信手段30により受信した情報を位置情報管理システム5等に送信する。有線通信手段31は、例えばIEEE802.15.4に準拠した通信方式(通信プロトコル)を、例えばIEEE802.3に準拠した通信方式に変換し、Ethernet(登録商標)のパケット通信が可能となるよう制御する。
情報管理手段32は、無線通信手段30により無線通信装置2Aの経路情報要求コマンドを受信すると、無線通信装置2Aからゲートウェイ装置4までの複数の経路のうち、例えばZigBeeで用いられる経路コストが最も低い経路を決定する。このとき、情報管理手段32は、例えば無線通信装置2Aのそれぞれの間の電波強度等を考慮した最も経路コストの低い経路を決定すると良い。
情報管理手段32は、経路コストが最も低い経路を決定すると、経路情報要求コマンドを受信した無線通信装置2Aに、経路情報応答コマンドを送信する。なお、経路情報要求コマンドと経路情報応答コマンドのデータ構造については後述する。
記憶手段33は、ゲートウェイ装置4の装置識別情報等を記憶する。
なお、ゲートウェイ装置4は、無線通信装置2Aと、例えばZigBeeによるPANを構成する場合には、コーディネート機能を提供するように制御される。
<無線通信装置2A:ハードウェア構成>
図5は、無線通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示すように、無線通信装置2Aは、電圧変換器40と、制御部41と、位置情報送信部42と、無線通信部43とを有するように構成されている。電圧変換器40は、例えばリード線を介して、制御部41と、位置情報送信部42と、無線通信部43と電気的に接続されている。
電圧変換器40は、例えばDC/DC変換部を備え、供給された高電圧DC電源を低電圧DC電源に変換し、変換した低電圧DC電源を無線通信装置2Aの各部に供給する。
制御部41は、制御部41全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)50と、基本入出力プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)51とを有するように構成される。
更に、制御部41は、CPU50のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)52と、位置情報送信部42と無線通信部43とのそれぞれの信号の送受信を行うI/F部53A〜53Bとを有するように構成される。更に、制御部41は、上述した各部を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン54を有するように構成される。
なお、図3に示す起動手段21、参加処理手段22、時間計測手段23、待機時間決定手段24等における各処理はCPU50により実行される。
位置情報送信部42は、位置情報送信部42全体の動作を制御するCPU60と、基本入出力プログラム及び位置情報Xを記憶したROM61と、位置情報Xを送信する通信回路62及びアンテナ62Aとを有するように構成される。
更に、位置情報送信部42は、制御部41と信号の送受信を行うI/F部63と、上述した各部を電気的に接続するためのアドレスやデータバス等のバスライン64とを有するように構成される。
なお、通信回路62は、屋内GPSと称される屋内測位技術の1つであるIMESを利用し、アンテナ62Aにより位置情報Xを送信すると良い。IMESでは、例えば図1に示す屋内αの天井の高さが、例えば3mの場合に屋内αの床に示す位置情報Xの到達可能な仮想円の半径が、例えば5mとなるように送信出力を設定される。上述した送信出力は、例えば5mよりも小さく又は大きくなるように設定することも可能である。
ここで、位置情報Xは、無線通信装置2Aが設けられた電気機器6Aの設置位置を示し、経度情報、緯度情報、建物の階数、建物の棟番号等の情報を示している。例えば、位置情報Xには、一例として東経139.387110度、北緯35.459555度、ある建物C棟の16階等の情報が含まれる。
無線通信部43は、無線通信部43全体の動作を制御するCPU70と、基本入出力プログラム及び装置識別情報Aを記憶したROM71と、CPU70のワークエリアとして使用されるRAM72とを有するように構成される。
更に、無線通信部43は、制御部41と信号の送受信を行うI/F部73と、位置情報Xや端末識別情報Bを受信してゲートウェイ装置4に送信する通信回路74及びアンテナ74Aとを有するように構成される。更に、無線通信部43は、上述した各部を電気的に接続するためのアドレスやデータバス等のバスライン75を有するように構成される。
無線通信部43は、例えば920MHz帯を利用してデータの送受信を行うことが可能である。920MHz帯は、例えば電波到達性が高いため、無線通信装置2Aとゲートウェイ装置4との間に建物の柱や壁が存在している場合であっても、無線通信装置2Aからゲートウェイ装置4にデータを送信することが可能である。
通信回路74は、例えばIEEE802.15.4規格のアーキテクチャモデルのうち少なくとも物理層(レイヤ)の規格を利用し、アンテナ74Aによってデータの送受信を行う。このとき、無線通信装置2A(すなわち無線通信部43)を識別する装置識別情報Aとして、MACアドレスを用いることが可能である。
なお、IEEE802.15.4規格のアーキテクチャモデルのうち、物理層とMAC層を採用したZigBeeを利用しても良い。この場合には、日本、米国、欧州等の利用領域に応じて、無線通信装置2Aは、例えば800MHz帯、900MHz帯、又は2.4GHz帯を利用し、例えば隣接する他の無線通信装置2Aを経由して、ゲートウェイ装置4にデータを送信することが可能である。
このように、他の無線通信装置2Aを経由してデータを送信するマルチホップ通信を利用すれば、それぞれ無線通信装置2Aの無線通信部43は、最寄りの無線通信装置2Aにデータが到達する程度の電力で通信すれば良いため、省電力で駆動することが可能となる。
上述した位置情報Xは、無線通信装置2Aの工場出荷前等にメーカによって記憶されても良く、例えば無線通信装置2Aの工場出荷後、例えば図1に示す天井βに電気機器2Aが設置される際に設置者により記憶させても良い。
また、位置情報Xは、位置情報管理システム5等の外部装置から、ゲートウェイ装置4を介して無線通信により、無線通信部43の通信回路74を介して受信し、制御部41を介して位置情報送信部42のROM61に記憶させても良い。
<ゲートウェイ装置4:ハードウェア構成>
図6は、ゲートウェイ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示すように、ゲートウェイ装置4は、無線通信部80と、有線通信部81とを有するように構成される。
無線通信部80は、CPU82と、ROM83と、RAM84と、通信回路85と、I/F部86と、上述した各部を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン87とを有するように構成される。
無線通信部80は、無線通信装置2Aの無線通信部43と同じ帯域を利用して、データの送受信を行う。無線通信部80は、例えばZigBee等を利用することが可能である。
CPU82は、無線通信部80全体の動作を制御する。ROM83は、基本入出力プログラムや、ゲートウェイ装置4を識別するための装置識別情報を記憶する。RAM84は、CPU82のワークエリアとして使用される。
通信回路85は、アンテナ85Aを介して位置情報Xを送信する。I/F部86は、有線通信部81と信号の送受信を行う。
有線通信部81は、CPU90と、ROM91と、RAM92と、イーサーネットコントローラ93と、I/F部94と、上述した各部を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン95とを有するように構成される。
CPU90は、有線通信部81全体の動作を制御する。ROM91は、基本入出力プログラム等を記憶する。RAM92は、CPU90のワークエリアとして使用される。
イーサーネットコントローラ93は、例えばIEEE802.15.4に準拠した通信方式(通信プロトコル)を、例えばIEEE802.3に準拠した通信方式に変換する。これにより、イーサーネットコントローラ93は、例えば無線通信装置2Aから受信した各種データを、Ethenetのパケット通信が可能となるよう制御する。
I/F部94Aは、無線通信部80と信号の送受信を行う。I/F部94Bは、LAN8E等と信号の送受信を行う。
<参加処理開始の流れ>
図7は、参加処理開始の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、無線通信装置2Aは、蛍光灯に対する一括制御スイッチにより電源が投入され、電源が供給されると、起動手段21により起動処理を行う(S10)。
無線通信装置2Aは、起動手段21の起動処理の後、時間計測手段23により記憶手段27から参加処理開始時間を取得し、取得した参加処理開始時間に対応する時間分の計測を行う(S11)。すなわち、無線通信装置2Aは、参加処理手段22により参加処理開始時間分、待機したか否か判断し(S12)、待機していないと判断すると(S12において、NO)、時間計測手段23により対応する時間分計測するまで待機することになる。
参加処理手段22は、時間計測手段23により対応する時間分計測したと判断すると、参加処理開始時間分、待機したと判断して(S12において、YES)、参加処理を開始する(S13)。
参加処理手段22は、参加処理として、例えばPANへ参加した他の無線通信装置2A等を検出するための検出コマンドを送信し(S14)、検出コマンドに対する応答があるか判断する(S15)。参加処理手段22は、検出コマンドに対する応答がないと判断すると(S15において、NO)、S14の処理に戻る。
参加処理手段22は、応答があったと判断すると(S15において、YES)、PAN参加コマンドを送信し(S16)、終了する。
上述したように、無線通信装置2Aは、起動後、自己の設置位置に応じて設定された参加処理開始時間分、待機した後に、参加処理を開始する。これにより、例えば電源が同時に供給され、参加処理が実行されることによる無線通信の干渉を抑制し、迅速に無線ネットワークを構成することが可能となる。
<起動後に参加処理まで待機する例>
図8は、起動後に参加処理まで待機する例を説明するための図である。なお、図8の例に示すゲートウェイ装置4に対する無線通信装置2A−1〜2A−2の設置位置や、電波到達距離の関係は、図2の例と同一である。
図8に示すように、蛍光灯に対する一括制御スイッチにより電源が投入されると、無線通信装置2A−1〜2A−2は、例えば同時に電源が供給されて起動する。上述したように、無線通信装置2A−1は、ゲートウェイ装置4の電波到達距離11−1にあり、起動後、直接ゲートウェイ装置4に参加要求を行えるため、例えば参加処理開始時間として、「0秒」と設定する。
無線通信装置2A−2は、ゲートウェイ装置4の電波到達距離11−1にないが、無線通信装置2A−1の電波到達距離11−2にある。そこで、無線通信装置2A−2は、例えば、無線通信装置2A−1の起動後における参加処理の時間を考慮し、例えば参加処理開始時間として、「0.1秒」と設定する。
これにより、無線通信装置2A−1は、参加処理手段22により、起動後、「0秒」待機してから参加処理を開始する。無線通信装置2A−2は、参加処理手段22により、起動後、「0.1秒」待機してから参加処理を開始する。
また、無線通信装置2A−2よりもゲートウェイ装置4から離れた位置にある無線通信装置2Aの場合には、ゲートウェイ装置4からの距離、その間の無線通信装置2Aの数、その参加処理の時間等を考慮して、例えば「起動後、0.1×n秒後」と設定すると良い。
上述したように、無線通信装置2Aは、起動後、自己の設定位置に応じたタイミングで、PANを構成する無線ネットワークへの参加処理を行う。これにより、例えば電源が同時に供給されて、例えば同時に起動することによる無線通信の干渉を抑制し、迅速にPANを構成する。
<参加処理開始時間を更新する例>
上述の例では、無線通信装置2Aが、起動後、予めゲートウェイ装置4との距離等に応じて設定された時間分を待機したが、一旦、PANが構成された後は、実際の設置場所での電波状況等を考慮した参加処理開始時間に更新すると良い。そこで、例えばZigBee規格により用いられる経路コスト等を用いて、参加処理開始時間を設定する例を説明する。
図9は、PAN参加後に参加処理開始時間を更新する例を説明するための図である。図9(A)は、経路情報要求コマンドの送信時のデータ構造の一例を示す。図9(B)は、経路情報応答コマンドの受信時のデータ構造の一例を示す。図9(C)は、経路コスト算出の一例を説明するための図である。
図9(A)に示す経路情報要求コマンドは、例えば、コマンド名を示す「コマンド」、データの長さを示す「データ長」、データの内容を格納する「データ」等であるが、これに限定されるものではない。
図9(A)に示す経路情報要求コマンドは、無線通信装置2AがPANへ参加した後、所定時間(例えば1分〜10等)経過後に、ゲートウェイ装置4に対して送信される。なお、所定時間経過後とするのは、PAN構成中の無線混雑時を避けるためである。この経路情報要求コマンドは、送信時であるため、「データ」のデータ長は「0」、すなわちデータなしの構造となっている。
図9(B)に示す経路情報応答コマンドは、上述した経路情報要求コマンドと同様の構造である。なお、「データ」には、例えば経路コスト、経由装置数、経由識別ID1〜IDn等を有するが、これに限定されるものではない。
図9(B)に示す経路情報応答コマンドは、図9(A)に示す経路情報要求コマンドが、複数の無線通信装置2Aを経由してゲートウェイ装置4に到達し、ゲートウェイ装置4からコマンド発信源である無線通信装置2Aに返信される。
したがって、図9(B)に示すように、経路情報応答コマンドのデータ部には、経路コストや、経由した無線通信装置2Aの数(経由装置数)、経由した無線通信端末2Aの識別ID等の経路情報が含まれることになる。
そこで、無線通信装置2Aは、PANへ参加した後、ゲートウェイ装置4に経路情報要求コマンドを送信して、ゲートウェイ装置4から受信した経路情報応答コマンドに含まれる経路コストや、経路情報を用いて参加処理開始時間を設定し、更新すると良い。
例えば、図9(B)の例に示す経由装置数が、2台である場合には、無線通信装置2Aは、例えば待機時間決定手段24により、2台×10ms=20ms等として参加処理開始時間を設定すると良い。このように、無線通信装置2Aは、経路情報(経由装置数)に基づいて参加処理開始時間を設定することが可能である。
なお、無線通信装置2Aが、図9(A)に示す経路情報要求コマンドを発行すると、このコマンドは、1つの経路ではなく、複数の経路をたどり、上述した内容から構成された複数のコマンドがゲートウェイ装置4に複数到達する。
ゲートウェイ装置4は、複数のコマンドを受信すると、経由装置数と、それぞれの無線通信装置2Aの間の電波強度に基づき経路コストを算出する。ゲートウェイ装置4は、複数ある中で最も経路コストが低い経路を、コマンド発信源である無線通信装置2Aとゲートウェイ装置4との間の通信経路として採用し、コマンド発信源の無線通信装置2Aに経路情報応答コマンドとして返信する。したがって、無線通信装置2Aは、この経路コストを用いて参加処理開始時間を設定することが可能である。経路コストの算出例について説明する。
図9(C)に示すように、例えば無線通信装置2A−2からゲートウェイ装置4までの経路として2通りあるとする。1つ目の経路は、無線通信装置2A−2から無線通信装置2A−1を経由した場合であり、2つ目の経路は、無線通信装置2A−2から無線通信装置2A−3を経由した場合である。
例えば、経路コストを電波強度の和として求めると、1つ目の経路は、無線通信装置2A−2と無線通信装置2A−1との間の電波強度が「60dBm」、無線通信装置2A−1とゲートウェイ装置4との間の電波強度が「70dBm」である。したがって、経路コストは60+70=130となる。
また、2つ目の経路は、無線通信装置2A−2と無線通信装置2A−3との間の電波強度が「70dBm」、無線通信装置2A−3とゲートウェイ装置4との間の電波強度が「70dBm」である。したがって、経路コストは70+70=140となる。
ここから、ゲートウェイ装置4は、1つ目の経路を採用することになる。なお、上述の例では、経路コストは、無線通信装置2Aの間の電波強度の和により算出したがこれには限定されない。例えば、電波強度の和を経由装置数で割った値や、電波強度に一定の係数を掛けた値としても良く、電波強度に一定値を加えた値としても良い。
無線通信装置2Aは、上述のように算出された経路コストに基づいて、参加処理開始時間を設定し、記憶手段27に記憶されている参加処理開始時間を更新する。無線通信装置2Aは、例えば待機時間決定手段24により、経路コストに所定の係数を掛けた値を参加処理開始時間とすると良い。
上述したように、PANが構成された後は、実際のゲートウェイ装置4までの経路情報や、電波状況等を考慮した経路コスト等に基づいて、参加処理開始時間を設定し、次回以降の起動後に使用する。このように、自己の設置位置の状況に応じて参加処理を開始することで、例えば電源が同時に供給されることによる無線通信の干渉を抑制し、迅速に無線ネットワークを構成することが可能となる。
<参加処理開始時間を更新する例>
図10は、参加処理開始時間を更新する処理の流れを示すフローチャートである。図10に示すように、無線通信装置2Aは、参加処理手段22により参加処理を行ったか否か判断する(S20)。無線通信装置2Aは、参加処理手段22により参加処理を行っていないと判断すると(S20において、NO)、参加処理を行うまで待機する。
一方、無線通信装置2Aは、参加処理手段22により参加処理を行ったと判断すると(S20において、YES)、待機時間決定手段24により経路情報要求コマンドを発行して、ゲートウェイ装置4に対して経路情報要求コマンドを送信する(S21)。
なお、S21の処理では、無線通信装置2Aは、上述したように所定時間が経過した後、経路情報要求コマンドを送信すると良い。
次に、無線通信装置2Aは、ゲートウェイ装置4から経路情報応答コマンドを取得したか否か判断する(S22)。無線通信装置2Aは、ゲートウェイ装置4から経路情報応答コマンドを取得していないと判断すると(S22において、NO)、経路情報応答コマンドを取得するまで待機する。
一方、無線通信装置2Aは、ゲートウェイ装置4から経路情報応答コマンドを取得したと判断すると(S22において、YES)、待機時間決定手段24により取得した経路情報又は経路コストに基づき、参加処理開始時間を決定する(S23)。
次に、無線通信装置2Aは、S23の処理で決定した参加処理開始時間を、記憶手段27に記憶している参加処理開始時間に上書きすることにより更新し(S24)、処理を終了する。これにより、無線通信装置2Aは、次回起動時には、更新された参加処理開始時間分、起動後に待機することで参加処理を開始することになる。
このようにして、無線通信装置2Aは、起動後、自己の設定位置に応じたタイミングとして、例えばゲートウェイ装置までの距離や、経路情報、経路コスト値等に基づき、参加処理手続の開始を遅延させる。これにより、無線通信の干渉を抑制し、迅速にPANを構成することが可能となる。
上述したように、本実施形態では、例えば電源が同時に供給されることによる無線通信の干渉を抑制し、迅速に無線ネットワークを構成することが可能となる。
以上、開示の技術の好ましい実施形態について詳述したが、開示の技術は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された開示の技術の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。