(第1の実施形態)
図1〜図7はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は表示装置の一部分の断面図、図2は前記表示装置における表示パネルの配向膜のラビング方向及び視野制限素子の配向膜の配向方向とそれぞれの偏光板の透過軸の向きを示す平面図である。
この表示装置は、画像を表示する表示パネル1と、前記表示パネル1の観察側(図1において上側)とは反対側に配置された視野制限素子2と、前記視野制限素子2の後側に配置された図示しない面光源と、を備えている。
前記表示パネル1は、図示しない枠状のシール材を介して接合され、間隙を設けて対向する一対の透明基板11,12間の前記シール材で囲まれた領域に液晶層13が封入され、前記一対の基板11,12の互いに対向する内面それぞれに、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する透明電極14,15が設けられた表示用液晶セル10と、その一対の基板11,12の外面にそれぞれ設けられた偏光板31,32とからなる液晶表示パネルである。
この液晶表示パネル1は、一方の基板、例えば観察側の基板11の内面に、複数の画素電極14が行方向及び列方向にマトリックス状に配列させて設けられ、他方の基板、つまり観察側とは反対側の基板12の内面に、前記複数の画素電極14の配列領域に対向する一枚膜状の対向電極15が設けられたアクティブマトリックス型のものであり、図1では省略しているが、前記観察側の基板11の内面には、前記複数の画素電極14にそれぞれ接続されたTFT(薄膜トランジスタ)と、各行のTFTにゲート信号を供給する複数本の走査線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数本の信号線が設けられている。
また、この液晶表示パネル1は、前記複数の画素電極14と対向電極15とが互いに対向する領域からなる複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ16R,16G,16Bを備えており、これらのカラーフィルタ16R,16G,16Bは、前記反対側の基板12の基板面上に形成され、その上に前記対向電極15が形成されている。
さらに、前記一対の基板11,12の内面にはそれぞれ、前記電極14,15を覆って水平配向膜17,18が設けられており、これらの配向膜17,18は、実質的に直交する方向にラビング処理されている。
図2において、矢線17aは、前記液晶表示パネル1の観察側基板11の内面に設けられた配向膜17のラビング方向を示し、破矢線18aは、反対側基板12の内面に設けられた配向膜18のラビング方向を示している。
すなわち、前記液晶表示パネル1は、TN(ツイステッドネマティック)型のものであり、前記液晶層13の液晶分子は、一対の基板11,12の近傍において、前記配向膜17,18のラビング方向17a,18aに沿ってその方向にプレチルトして配向し、前記一対の基板11,12間において、図2に矢線で示したように実質的に90°の捩れ角でツイスト配向している。
そして、前記一対の基板11,12の外面の偏光板31,32は、図2のように、一方の偏光板、例えば観察側偏光板31の透過軸31aを、観察側基板11の配向膜17のラビング方向17aと実質的に直交または平行(図2では平行)にし、反対側偏光板32の透過軸32aを前記観察側偏光板31の透過軸31aに対して実質的に直交させて配置されている。
なお、図に示した液晶表示パネル1はノーマリーホワイトモードのものであるが、前記液晶表示パネル1は、前記偏光板31,32の透過軸31a,32aを実質的に平行にしたノーマリーブラックモードのものでもよい。
一方、前記液晶表示パネル1の観察側に配置された視野制限素子2は、図1のように、間隙を設けて対向する一対の透明基板21,22間の図示しない枠状のシール材で囲まれた領域に封入された液晶層23と、一対の透明基板21,22を接合する前記シール材と、前記一対の基板21,22の互いに対向する内面それぞれに設けられ、前記液晶層23に電圧を印加するための透明電極24,25と、前記液晶層23の液晶分子をプレチルトさせずに一方向に水平配向させる配向性を有し、且つそれぞれの配向方向が予め定めた角度で交差する方向に配向処理が施された配向膜(以下、ノンプレチルト配向膜という)26,27と、により視野制限用液晶セル20が構成され、前記視野制限用液晶セル20と、その一対の基板21,22の外面にそれぞれ設けられた偏光板32,33とにより液晶素子が構成されている。この視野制限素子2の偏光板32,33のうち、前記液晶表示パネル1に対向する面側の偏光板32は、前記液晶表示パネル1の観察側とは反対側の偏光板からなっている。
この視野制限素子2の一対の基板21,22の内面の電極24,25はそれぞれ、前記液晶層23の全域に対応する一枚膜状に形成されており、前記配向膜26,27は、前記電極24,25を覆って、前記液晶層23に対応する領域全体に形成されている。
また、前記ノンプレチルト配向膜26,27は、前記基板21,22の内面にポリイミド等の水平配向材の単分子を一方向に並べて被着させた単分子膜(LB膜)、あるいは、前記基板21,22の内面に成膜した水平配向膜の膜面を一方向にイオンビーム処理した配向処理膜からなっている。
図2において、実線26aは、前記視野制限素子2の液晶表示パネル1側とは反対側、つまり観察側の基板(以下、前基板という)21のノンプレチルト配向膜26の配向方向を示し、破線27aは、前記液晶表示パネル1に対向する側の基板(以下、後基板という)22のノンプレチルト配向膜27の配向方向を示している。
図2のように、前記視野制限素子2の前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aは、前記液晶表示パネル1の画面の左右方向に対して一方の方向、例えば観察側から見て左回りに45°ずれた方向に設定され、後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aは、前記画面の左右方向に対して他方の方向、つまり観察側から見て右回りに45°ずれた方向に設定されている。
すなわち、前記視野制限素子2の前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aと、後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aは、実質的に直交している。
また、前記視野制限素子2の液晶層23は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶からなっている。
図3は、前記視野制限素子2の電圧非印加時の液晶分子の配向状態を示しており、前記視野制限素子2の液晶層23の液晶分子23aは、前記一対の基板21,22の近傍において、前記ノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aに沿って、前記基板21,22面に対して実質的に0°のプレチルト角で配向し、前記一対の基板21,22間において、実質的に90°の捩れ角で右周りまたは左周りにツイスト配向している。
なお、前記ネマティック液晶は、カイラル材を添加した液晶でも、カイラル材を添加しないノンカイラル液晶でもよく、カイラル材を添加した液晶の場合は、前記液晶層23の平面積の全域において液晶分子23aが前記カイラル材の旋回方向にツイスト配向する。また、ノンカイラル液晶の場合は、液晶分子23aのツイスト方向が規定されないため、前記液晶層23の平面積内に、液晶分子23aが左回りにツイスト配向した微小領域と、液晶分子23aが右回りにツイスト配向した微小領域とがランダムに生じる。
そして、前記視野制限素子2の一対の基板21,22の外面の偏光板32,33は、図2のように、一方の偏光板、例えば前側偏光板32の透過軸32aを、前記前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aと実質的に直交または平行(図2では直交)にし、後側偏光板33の透過軸33aを前記前側偏光板32の透過軸32aに対して実質的に直交させて配置されている。
なお、前記視野制限素子2の前側偏光板32は、上述したように前記液晶表示パネル1の反対側偏光板からなっており、前記液晶表示パネル1の一対の基板11,12の配向膜17,18のラビング方向17a,18aと観察側偏光板31の透過軸31aの向きは、前記視野制限素子2の前側偏光板32の透過軸32aの向きを基準にして、ノーマリーホワイトモードまたはノーマリーブラックモードのTN型液晶表示パネルを構成するように設定されている。
この表示装置は、携帯電話機等の電子機器の表示部に実装されるものであり、前記視野制限素子2は、例えば前記電子機器に設けられた視野選択キー等による広視野と狭視野との選択に応じて、狭視野が選択されたときに、前記電極24,25間に、液晶分子を基板21,22面に対して斜めに立上り配向させる電圧を印加することにより駆動される。
この表示装置は、前記液晶表示パネル1の観察側とは反対側に配置された前記視野制限素子2により前記液晶表示パネル1の表示画像の視野を制限するものであり、前記視野制限素子2の電極24,25間に電圧を印加しないときは、前記液晶表示パネル1の表示画像が広い視野で見え、前記視野制限素子2の電極24,25間に、前記液晶層23の液晶分子23aを基板21,22面に対して斜めに立上り配向させる電圧を印加すると、前記液晶表示パネル1の表示画像の視野が狭くなる。
すなわち、前記視野制限素子2は、その一対の基板21,22の内面に設けられたノンプレチルト配向膜26,27がそれぞれ、前記液晶分子23aをプレチルトさせずに一方向に水平配向させる配向性を有しており、且つこれらのノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aが、予め定めた角度で交差しているため、前記一対の基板21,22の内面の電極24,25間に電圧を印加しないときは、前記基板21,22間に封入された液晶層23の液晶分子23aが、前記液晶層23の平面積の全域において、図3のように、基板21,22面に対して実質的に0°のプレチルト角で倒伏した状態で、それぞれの基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aの交差角に対応した捩れ角で右周りまたは左周りにツイスト配向する。
この状態では、前記視野制限素子2の後側に配置された図示しない面光源から照射され、前記視野制限素子2に前記後側偏光板33を透過して入射した照明光(後側偏光板33によりその透過軸33aに沿う直線偏光とされた光)が、前記液晶層23により旋光され、その光が前側偏光板を透過して出射する。
液晶としてノンカイラル液晶を用いた視野制限素子2の場合は、上述したように、前記液晶層23の平面積内に、液晶分子23aが左回りにツイスト配向した微小領域と、液晶分子23aが右回りにツイスト配向した微小領域とがランダムに生じるため、前記液晶層23の液晶分子23aが左回りにツイスト配向した領域では入射光が左回りに旋光され、液晶分子23aが右回りにツイスト配向した領域では入射光が右回りに旋光されるが、その旋光角は実質的に同じであるため、前記液晶層23のいずれのツイスト配向領域を透過した光も前記前側偏光板を透過して出射する。
そして、前記視野制限素子2の液晶層23の液晶分子23aが基板12,13面に対して平行に倒伏した状態では、この視野制限素子2の法線方向に液晶層を透過する光に対する液晶層のリタデーションの値と、前記法線に対して斜めに傾いた方向から液晶層を透過する光に対する液晶層のリタデーションの値との差が小さいため、光の入射角及び入射方位による透過率の差が小さく、したがって、前記面光源から照射された照明光が、広い角度範囲の方向に向かって前記視野制限素子2を高い透過率で透過して前記液晶表示パネル1に入射するため、前記液晶表示パネル1の表示画像が広い視野で見える。
この実施例では、図2に示したように、前記視野制限素子2の前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aと、後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aとを実質的に直交させ、前記前基板21の外面の前側偏光板32を、その透過軸32aを前記前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aと実質的に直交または平行にして配置し、前記後基板22の外面の後側偏光板33を、その透過軸33aを前記前側偏光板32の透過軸32aに対して実質的に直交させて配置しているため、この視野制限素子2の電圧非印加時の法線方向及び前記法線方向に対して傾いた方向の光の透過率を高くすることができ、したがって、前記広視野表示のときに、広い角度範囲の方向から前記液晶表示パネル1の表示輝度とほとんど変わらない高輝度の画像を観察させることができる。
一方、前記視野制限素子2の電極24,25間に電圧を印加すると、液晶分子23aは基板21,22面に対して斜めに立ち上がるように挙動する。このとき、前記ノンプレチルト配向膜26,27には液晶分子23aの立上り方向を規定するプレチルトが無いため、液晶分子23aの一方端が基板21,22面から離れるように立ち上がる状態と、液晶分子23aの他方端が基板21,22面から離れるように立ち上がる状態と、前記それぞれの状態で右周りにツイストする状態及び左回りにツイストする状態の4つの配向状態が微小な領域毎に前記視野制限素子の全域に均一に発生する。
そして、前記液晶分子23aを基板21,22面に対して斜めに立上り配向すると、前記視野制限素子2の法線方向に透過した光と、前記斜めに配向した液晶分子23aの長軸の方向に透過した光に対するリタデーションの差が大きくなり、前記4つの状態が均一に分布されているので、前記法線方向に出射する光と、斜めに出射する光に対する透過率に差が生じ、前記視野制限素子2の法線方向に対して傾いた方向の透過率が低くなる。
つまり、前記視野制限素子2は、前記電極24,25間への液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧の印加により、この視野制限素子2の法線方向からは、前記液晶層23に対応する領域全体が明るく見え、前記法線方向に対して傾いた方向からは、微小な明部と暗部とがランダムに均等に分布した暗部として見える。
なお、前記視野制限素子2の電極24,25間に印加する電圧値は、前記液晶分子23aを、前記光の入射角及び入射方位による透過率の差が最も大きくなる角度で立上り配向させる値(例えば1V程度)に設定するのが好ましく、このようにすることにより、前記暗部を充分に暗くすることができる。
図4及び図5は、ノンカイラル液晶を用いた視野制限素子2の電圧印加時の液晶分子23aの配向状態を示しており、図4(a),(b),(c),(d)はそれぞれ液晶層23の異なる領域における液晶分子配向状態の平面図、図5(a)及び図5(b)は図4(a)のVa−Va線及び図4(b)のVb−Vb線に沿う断面図、図5(c)及び図5(d)は図4(c)のVc−Vc線及び図4(d)のVd−Vd線に沿う断面図である。
図4(a)及び図5(a)と図4(b)及び図5(b)はそれぞれ、液晶分子23aが観察側から見て左回りにツイスト配向した領域における前記液晶分子23aの立上り配向状態を示しており、図4(a)及び図5(a)は、液晶分子23aが、その一端側が前記後基板22面から離れる方向に立上り配向した領域の配向状態を示し、図4(b)及び図5(b)は、液晶分子23aが、その他端側が前記後基板22面から離れる方向に立上り配向した領域の配向状態を示している。
また、図4(c)及び図5(c)と図4(d)及び図5(d)はそれぞれ、液晶分子23aが観察側から見て右回りにツイスト配向した領域における前記液晶分子23aの立上り配向状態を示しており、図4(c)及び図5(c)は、液晶分子23aが、その一端側が前記後基板22面から離れる方向に立上り配向した領域の配向状態を示し、図4(d)及び図5(d)は、液晶分子23aが、その他端側が前記後基板22面から離れる方向に立上り配向した領域の配向状態を示している。
これらの領域のうち、図4(a)及び図5(a)に示した立上り配向領域D1は、観察側から見て前記液晶表示パネル1の画面の左方向に傾いた方向に暗視方向(暗く見える方向)Aをもった領域(以下、第1ドメイン領域という)であり、図4(b)及び図5(b)に示した立上り配向領域D2は、観察側から見て前記画面の右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった領域(以下、第2ドメイン領域という)である。
また、図4(c)及び図5(c)に示した立上り配向領域D3は、前記画面の上方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった領域(以下、第3ドメイン領域という)であり、図4(d)及び図5(d)に示した立上り配向領域D4は、前記画面の下方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった領域(以下、第4ドメイン領域という)である。
このように、ノンカイラル液晶層を用いた視野制限素子2の場合は、電極24,25間に液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加したときに、前記液晶層23に、観察側から見て、前記液晶表示パネル1の画面の左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1と、前記画面の右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2と、前記画面の上方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第3ドメイン領域D3と、前記画面の下方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第4ドメイン領域D4とが形成される。
そのため、前記視野制限素子2の法線方向からは、前記液晶層23に対応する領域全体、つまり前記第1〜第4の全てのドメイン領域D1,D2,D3,D4が明るく見えるのに対し、前記法線方向に対して前記画面の左方向に傾いた方向からは、第1ドメイン領域D1が暗く、他の各ドメイン領域D2,D3,D4が前記法線方向から見た明るさよりも暗い中間調の明るさに見え、前記法線方向に対して前記画面の右方向に傾いた方向からは、第2ドメイン領域D2が暗く、他の各ドメイン領域D1,D3,D4が前記中間調の明るさに見える。
また、前記法線方向に対して前記画面の上方向に傾いた方向からは、第3ドメイン領域D3が暗く、他の各ドメイン領域D1,D2,D4が前記中間調の明るさに見え、前記法線方向に対して前記画面の下方向に傾いた方向からは、第4ドメイン領域D4が暗く、他の各ドメイン領域D1,D2,D3が前記中間調の明るさに見える。
そして、前記第1〜第4のドメイン領域D1,D2,D3,D4は、前記液晶層23の全域にわたってランダムで且つ均一に分布して形成されるため、前記視野制限素子2の法線方向に対して前記画面の左右方向に傾いた方向から見たときも、前記法線方向に対して前記画面の上下方向に傾いた方向から見たときも、前記液晶層23に対応する領域内に微細な前記中間調の明部と暗部とがランダムに分布され、画面全体が暗部として観察される。
そのため、前記視野制限素子2の電極24,25間に液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加すると、前記液晶表示パネル1の法線方向(視野制限素子2の法線方向と同じ方向)に対して画面の左右方向及び上下方向に傾いた方向からは、前記液晶表示パネル1の表示画像が前記暗部によって遮蔽されて認識することができなくなり、前記表示画像の視野が、前記法線付近の狭い角度範囲に制限される。
したがって、ノンカイラル液晶を用いた視野制限素子2によれば、前記液晶表示パネル1の表示画像の視野を、画面の左右方向及び上下方向のいずれの方向においても狭くすることができる。
そして、この実施例では、前記視野制限素子2の一対の基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aを実質的に直交させ、前基板21の外面の偏光板32を、その透過軸32aを前記前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aと実質的に直交または平行にして配置し、後基板22の外面の偏光板33を、その透過軸33aを前記前基板21の外面の偏光板32の透過軸32aに対して実質的に直交させて配置いるため、前記電極24,25間に液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加したときの前記第1〜第4のドメイン領域D1,D2,D3,D4の法線方向の光の透過率を充分に高くし、且つ、こられのドメイン領域D1,D2,D3,D4の暗視方向Aから見た表示を黒にすることができる。
したがって、前記狭視野表示のときに、前記法線方向から見た表示画像の輝度を充分に高くし、且つ、前記法線方向に対して傾いた方向から見える暗部を黒にして、前記法線方向に対して傾いた方向からの表示画像の認識をさらに困難にすることができる。
前記視野制限素子2の液晶層23は、カイラル材を添加した液晶により形成してもよく、その場合は、前記電極24,25間に液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加したときに、前記液晶層23に対応する領域内に、前記視野制限素子2の法線方向に対して一方の方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域と、前記一方の方向とは反対方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域とが形成されるため、前記左右方向と上下方向のいずれか一方の視野を狭くすることができる。
なお、携帯電話機等の電子機器における使用者以外の他者により表示を覗き見される方向は、主に左右方向であるため、前記視野制限素子2の液晶層23をカイラル材を添加した液晶により形成する場合は、左右方向の視野を狭くした狭視野表示を行なえるように、前記カイラル材の旋回性に応じて一対の基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aを設定するのが好ましい。
すなわち、前記視野制限素子2の液晶層23を、観察側から見て左旋性のカイラル材を添加した液晶により形成する場合は、前記ノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aを図2に示した方向に設定すればよく、このようにすれば、前記電極24,25間に液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加したときに、前記法線方向に対して左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1と、右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2とが形成されるため、左右方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうことができる。
また、前記視野制限素子2の液晶層23を、観察側から見て右旋性のカイラル材を添加した液晶により形成する場合は、一対の基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aを、図2の方向に対して90°ずれた方向に設定すればよく、このようにすれば、前記電極24,25間に液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加したときに、前記法線方向に対して左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1と、右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2とが形成されるため、左右方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうことができる。
図6は、上記表示装置の広視野表示のときの正面方向(液晶表示パネル1及び視野制限素子2の法線付近の方向)と左方向及び右方向に傾いた方向から見た表示を示しており、この広視野表示のときは、正面方向からも左方向及び右方向に傾いた方向からも、前記液晶表示パネル1の表示画像を観察することができる。
図7は、上記表示装置の狭視野表示のときの正面方向と左方向及び右方向に傾いた方向から見た表示を示しており、この狭視野表示のときは、正面方向からは前記液晶表示パネル1の表示画像を観察することができるが、左方向及び右方向に傾いた方向から見ると、前記中間調の明部aと暗部bとがランダムに分布した暗部が見える。
そのため、狭視野表示のときの左方向及び右方向に傾いた方向から見た表示は、前記暗部により前記液晶表示パネル1の表示画像が隠された表示であり、したがって前記表示画像を認識することができない。
このように、この表示装置は、前記視野制限素子2の電極24,25間への電圧の印加を制御することにより、広視野表示と狭視野表示とを行なうことができる。
また、前記視野制限素子2は、間隙を設けて対向する一対の基板21,22間に液晶層23が封入され、前記一対の基板21,22の互いに対向する内面それぞれに、前記液晶層23に電圧を印加するための電極24,25と、前記液晶層23の液晶分子23aをプレチルトさせずに一方向に水平配向させる配向性を有し、且つそれぞれの配向方向26a,27aが予め定めた角度で交差する方向に設定された配向膜26,26とが設けられ、前記一対の基板21,22の外面にそれぞれ偏光板32,33が設けられた簡単な構成のものであるため、特許文献1に記載された視野制限用液晶表示素子のように、基板内面に複雑な配向処理を施す必要が無く、したがって、容易に製造することができる。
上述したように、この表示装置は、画像を表示する液晶表示パネル1の観察側に前記視野制限素子2を配置したものであるため、広視野表示と狭視野表示とを行なうことができ、しかも、前記視野制限素子2の製造が容易であるため、低コストに得ることができる。
(第2の実施形態)
図8及び図9はこの発明の第2の実施例を示しており、図8は表示装置の一部分の断面図、図9はこの表示装置における表示パネルの配向膜のラビング方向及び視野制限素子の配向膜の配向方向とそれぞれの偏光板の透過軸の向きを示す平面図である。
この実施例の表示装置は、上記第1の実施例と同じ構成のTN型液晶表示パネル1の観察側に視野制限素子2を配置し、前記液晶表示パネル1の観察側とは反対側に面光源(図示せず)を配置したものであり、この実施例では、前記視野制限素子2を、第1の実施例と同じ構成の視野制限用液晶セル20と、その一対の基板21,22の外面にそれぞれ設けられた偏光板34,31とにより構成している。
なお、前記視野制限素子2の偏光板34,31のうち、前記液晶表示パネル1に対向する面側、つまり後側の偏光板31は、前記液晶表示パネル1の観察側偏光板からなっており、この視野制限素子2の前側偏光板34の透過軸34aの向きは、上記第1の実施例における視野制限素子2の前側偏光板32の透過軸32aの向きと同じに設定され、後側偏光板31の透過軸31aの向きは、上記第1の実施例における視野制限素子2の後側偏光板33の透過軸33aの向きと同じに設定されている。
この実施例の表示装置は、前記液晶表示パネル1の観察側に前記視野制限素子2を配置したものであるため、上述した第1の実施例の表示装置と同様に、広視野表示と狭視野表示とを行なうことができ、しかも低コストに得ることができる。
(第3の実施形態)
図10〜図13はこの発明の第3の実施例を示しており、図10は視野制限素子の一部分の平面図、図11及び図12は前記視野制限素子の電圧非印加時及び電圧印加時の液晶分子の配向状態を示す断面図である。
この実施例の視野制限素子2は、一方の基板、例えば後基板22の内面に、この後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿う複数の凸条35を設け、これらの凸条35を覆って前記ノンプレチルト配向膜27を形成したものであり、他の構成は基本的に上記第1の実施例と同じである。
なお、この実施例の視野制限素子2は、液晶層23を、観察側から見て右旋性のカイラル材を添加した液晶により形成したものであり、一対の基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aは、左右方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうため、つまり、液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧の印加により、視野制限素子2の法線方向に対して左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1と、右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2とを形成するために、図2の方向に対して90°ずれた方向に設定されている。
この視野制限素子2において、前記複数の凸条35は、厚さが1μm程度、幅が2〜10μm程度の絶縁膜からなっており、前記後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して実質的に直交する方向、つまり、前記液晶表示パネル1の画面の左右方向に対して観察側から見て右回りに45°ずれた方向に沿わせて、液晶層23の平面積に対応する領域を斜めに横切る長さに形成されている。
また、前記複数の凸条35は、前記液晶層23の平面積に対応する領域の全域にわたって、前記液晶表示パネル1の画素ピッチの10〜20倍程度のピッチで形成されている。
この実施例の視野制限素子2は、後基板22の内面に、この後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿う複数の凸条35を設けているため、後基板22の近傍の液晶分子23aが、前記後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに沿って、前記凸条35の付近の液晶分子23aが前記凸条35に乗上げる方向にチルトした倒伏状態で配向する。
そのため、この視野制限素子2の液晶層23の液晶分子23aは、電極24,25間に電圧を印加しないときは、一対の基板21,22間において、図11のように、前記後基板22の隣合う凸条35,35間に対応する帯状の凸条間領域ごとに、その凸条間領域の中間線に沿うディスクリネーションラインSを境にして、一方の側と他方の側とで互いに逆向きにチルトした倒伏状態でツイスト配向する。
なお、この電圧非印加時の液晶分子23aのチルト角は、前記凸条35の厚さ(1μm程度)に対応した僅かな角度であるため、前記視野制限素子2の光の入射角及び入射方位による透過率の差は小さく、したがって、前記液晶表示パネル1の表示画像が広い視野で見える。
一方、前記視野制限素子2の電極24,25間に電圧を印加すると、前記液晶分子23aが、図12のように、後基板22面を基準として見たとき、前記凸条間領域ごとに、前記ディスクリネーションラインSを境にして、一方の側では、液晶分子23aの一端側が後基板22面から離れる方向に立上り配向し、他方の側では、液晶分子23aの他端側が後基板22面から離れる方向に立上り配向する。
そのため、前記視野制限素子2の電極24,25間に液晶分子23aを基板21,22面に対して斜めに立上り配向させる電圧を印加すると、図10に示したように、各凸条間領域の一方の側に、視野制限素子2の法線方向に対して左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1が形成され、前記各凸条間領域の他方の側に、前記法線方向に対して右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2が形成される。
したがって、前記視野制限素子2の法線方向からは、前記液晶層23に対応する領域全体が明るく見え、前記法線方向に対して左方向に傾いた方向及び右方向に傾いた方向からは、前記各凸条間領域ごとに明部と暗部が交互に分布した明暗模様が見えるため、前記液晶表示パネル1の表示画像の左右方向の視野が狭くなる。
図13は、この実施例の視野制限素子2を備えた表示装置の狭視野表示のときの左右いずれか一方に傾いた方向から見た表示を示しており、この狭視野表示のときは、左方向に傾いた方向から見ると、中間調の明部aと暗部bとが交互に分布した斜めストライプ状の明暗模様が見え、右方向に傾いた方向から見ると、前記左方向から見たときの明部aと暗部bが逆になった斜めストライプ状の明暗模様が見える。
このように、この実施例の視野制限素子2は、一方の基板22の内面に、その基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿う複数の凸条36を設けたものであるため、電圧の印加による液晶層23の各部の液晶分子23aの立上り方向を規定し、前記視野制限素子2の法線方向に対して傾いた方向から見える明暗模様のパターンをストライプ状に規格化した狭視野表示を行なうことができる。
なお、この実施例の視野制限素子2の液晶層23は、観察側から見て左旋性のカイラル材を添加した液晶により形成してもよく、その場合は、一対の基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aを、図10の方向に対して90°ずれた方向に設定することにより、左右方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうことができる。
また、この実施例の視野制限素子2は、後基板22の内面に複数の凸条35を設けたものであるが、前記複数の凸条35は、前基板21の内面に、この前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aに対して交差する方向に沿わせて設けてもよい。
(第4の実施形態)
図14及び図15はこの発明の第4の実施例を示しており、図14は視野制限素子の一部分の平面図である。
この実施例の視野制限素子2は、後基板22の内面に、この後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿う複数の凸条35を設け、前基板21の内面に、この前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aに対して交差する方向に沿う複数の凸条36を設けたものであり、他の構成は上記第3の実施例と同じである。
この視野制限素子2は、一対の基板21,22の内面に、それぞれの基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aに対して交差する方向に沿う複数の凸条36,35を設けているため、後基板22の近傍の液晶分子23aが、前記後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに沿って、前記凸条35の付近の液晶分子23aが前記凸条35に乗上げる方向にチルトした倒伏状態で配向し、前基板21の近傍の液晶分子23aが、前記前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aに沿って、前記凸条36の付近の液晶分子23aが前記凸条36に乗上げる方向にチルトした倒伏状態で配向する。
そのため、この視野制限素子2の液晶層23の液晶分子23aは、電極24,25間に電圧を印加しないときは、一対の基板21,22間において、後基板22の隣合う凸条35,35間及び前基板21の隣合う凸条36,36間に対応する菱形形状の複数の凸条間領域ごとに、その凸条間領域の前記凸条35と平行な中間線に沿う一方のディスクリネーションラインS1及び前記凸条36と平行な中間線に沿う他方のディスクリネーションラインS2を境にして、前記一方のディスクリネーションラインS1の一方の側と他方の側及び前記他方のディスクリネーションラインS2の一方の側と他方の側とで互いに異なる方向にチルトした倒伏状態でツイスト配向する。
なお、この視野制限素子2の電圧非印加時の光の入射角及び入射方位による透過率の差は上記第3の実施例と同様に小さく、したがって、前記液晶表示パネル1の表示画像が広い視野で見える。
一方、前記視野制限素子2の電極24,25間に電圧を印加すると、前記液晶分子23aが、前記凸条間領域ごとに、前記一方のディスクリネーションラインS1の一方の側と他方の側及び前記他方のディスクリネーションラインS2の一方の側と他方の側とで互いに異なる方向に立上り配向する。
そのため、前記視野制限素子2の電極24,25間に液晶分子23aを基板21,22面に対して斜めに立上り配向させる電圧を印加すると、図14に示したように、各凸条間領域に、前記ディスクリネーションラインS1,S2を境にして、視野制限素子2の法線方向に対して液晶表示パネル1の画面の左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1と、前記画面の右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2と、前記画面の上方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第3ドメイン領域D3と、前記画面の下方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第4ドメイン領域D4と、が形成される。
したがって、前記視野制限素子2の法線方向からは、前記液晶層23に対応する領域全体が明るく見え、前記法線方向に対して前記画面の左右方向及び上下方向に傾いた方向からは、前記各凸条間領域ごとに明部と暗部が交互に分布した明暗模様が見えるため、前記液晶表示パネル1の表示画像の左右方向及び上下方向の視野が狭くなる。
図15は、この実施例の視野制限素子2を備えた表示装置の狭視野表示のときの左右いずれか一方の方向に傾いた方向から見た表示を示しており、この狭視野表示のときは、左方向に傾いた方向から見ると、前記第2,第3,第4ドメイン領域D2,D3、D4に対応する中間調の明部aと前記第1ドメイン領域D1に対応する暗部bとが分布した明暗模様が見え、右方向に傾いた方向から見ると、前記第1,第3,第4ドメイン領域D1,D3、D4に対応する中間調の明部aと前記第2ドメイン領域D2に対応する菱形形状の暗部bとが分布した明暗模様が見える。
このように、この実施例の視野制限素子2は、一対の基板21,22の内面に、それぞれの基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aに対して交差する方向に沿う複数の凸条36,35を設けたものであるため、電圧の印加による液晶層23の各部の液晶分子23aの立上り方向を規定し、前記視野制限素子2の法線方向に対して傾いた方向から見える明暗模様のパターンを規格化した狭視野表示を行なうことができる。
なお、この実施例の視野制限素子2の液晶層23は、左旋性のカイラル材を添加した液晶により形成しても、右旋性のカイラル材を添加した液晶により形成してもよく、いずれの液晶の場合も、電圧の印加により、前記各凸条間領域ごとに前記第1〜第4ドメイン領域D1〜D4が形成されるため、左右方向及び上下方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうことができる。
(第5の実施形態)
図16及び図17はこの発明の第5の実施例を示しており、図16は視野制限素子の一部分の平面図、図17は前記視野制限素子の電圧印加時の液晶分子の配向状態を示す断面図である。
この実施例の視野制限素子2は、一方の基板、例えば後基板22の内面に、この後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿う複数の領域に対応させて、液晶層23に印加される電界を部分的に低くするための電界規制手段37を設けたものであり、他の構成は基本的に上記第1の実施例と同じである。
なお、この実施例の視野制限素子2は、液晶層23を、観察側から見て右旋性のカイラル材を添加した液晶により形成したものであり、一対の基板21,22のノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aは、左右方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうために、図2の方向に対して90°ずれた方向に設定されている。
この視野制限素子2において、前記電界規制手段37は、前記後基板22の内面の電極25に、この後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿わせて設けられた複数のスリット38からなっており、この複数のスリット38は、前記ノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して実質的に直交する方向、つまり、前記液晶表示パネル1の画面の左右方向に対して観察側から見て右回りに45°ずれた方向に沿わせて、液晶層23の平面積に対応する領域を斜めに横切る長さに形成されている。
また、前記複数のスリット38は、前記液晶層23の平面積に対応する領域の全域にわたって、前記液晶表示パネル1の画素ピッチの10〜20倍程度のピッチで形成されており、前記電極25の前記スリット38を挟んで隣合う帯状の電極部はそれぞれ、各スリット38の一端側または両端側において互いに共通接続されている。
この実施例の視野制限素子2の液晶層23の液晶分子23aは、一対の基板21,22の電極24,25間に電圧を印加しないときは、図3に示した配向状態と同様に、一対の基板21,22の近傍において、前記ノンプレチルト配向膜26,27の配向方向26a,27aに沿って、前記基板21,22面に対して実質的に0°のプレチルト角で配向し、前記一対の基板21,22間において、実質的に90°の捩れ角でツイスト配向する。
そのため、この電圧非印加時の視野制限素子2の光の入射角及び入射方位による透過率の差は小さく、したがって、前記液晶表示パネル1の表示画像が広い視野で見える。
一方、前記視野制限素子2の電極24,25間に電圧を印加すると、前記液晶層23に、前記後基板22の電極25の複数のスリット38に対応する領域の電位が他の領域の電位よりも低い電位分布の電界が印加されるため、前記液晶分子23aが、図17のように、後基板22面を基準として見たとき、前記後基板22の電極25の隣合うスリット38,38間に対応する帯状のスリット間領域ごとに、そのスリット間領域の中間線に沿うディスクリネーションラインSを境にして、一方の側では、液晶分子23aの一端側が後基板22面から離れる方向に立上り配向し、他方の側では、液晶分子23aの他端側が後基板22面から離れる方向に立上り配向する。
そのため、前記視野制限素子2の電極24,25間に液晶分子23aを基板21,22面に対して斜めに立上り配向させる電圧を印加すると、図16に示したように、各スリット間領域の一方の側に、視野制限素子2の法線方向に対して左方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第1ドメイン領域D1が形成され、前記各凸条間領域の他方の側に、前記法線方向に対して右方向に傾いた方向に暗視方向Aをもった第2ドメイン領域D2が形成される。
したがって、前記視野制限素子2の法線方向からは、前記液晶層23に対応する領域全体が明るく見え、前記法線方向に対して左方向に傾いた方向及び右方向に傾いた方向からは、前記各凸条間領域ごとに明部と暗部が交互に分布した明暗模様(図13に示したようなストライプ状の明暗模様)が見えるため、前記液晶表示パネル1の表示画像の左右方向の視野が狭くなる。
このように、この実施例の視野制限素子2は、一方の基板22の内面に、その基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿う複数の領域に対応させて、液晶層23に印加される電界を部分的に低くするための電界規制手段37を設けたものであるため、電圧の印加による液晶層23の各部の液晶分子23aの立上り方向を規定し、前記視野制限素子2の法線方向に対して傾いた方向から見える明暗模様のパターンをストライプ状に規格化した狭視野表示を行なうことができる。
また、この実施例では、前記電界規制手段37を、前記一方の基板22の内面の電極25に、その基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿わせて設けた複数のスリット38により形成しているため、前記電界規制手段37を容易に形成することができる。
なお、この実施例の視野制限素子2は、後基板22の内面の電極25に複数のスリット38を設けたものであるが、前記スリット38は、前基板21の内面の電極24に、この前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aに対して交差する方向に沿わせて設けてもよい。
また、前記視野制限素子2は、上記のように後基板22の内面の電極25に、この後基板22のノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿わせて複数のスリット38を設け、前基板21の内面の電極24に、この前基板21のノンプレチルト配向膜26の配向方向26aに対して交差する方向に沿わせて複数のスリットを設けた構成としてもよく、このようにすれば、前記視野制限素子2の電極24,25間への液晶分子23aを斜めに立上り配向させる電圧を印加したときに、後基板22の電極25の隣合うスリット間及び前基板21の電極24の隣合うスリット間に対応する複数のスリット間領域ごとに、暗視方向Aが互いに異なる4つのドメイン領域が形成されるため、液晶表示パネル1の画面の左右方向及び上下方向の視野を狭くした狭視野表示を行なうことができる。
なお、上記第5の実施例の視野制限素子2では、液晶層23に印加される電界を部分的に低くするための電界規制手段37を、電極25に複数のスリット38を設けることにより形成しているが、前記電界規制手段37は、例えば前記電極25上に、前記ノンプレチルト配向膜27の配向方向27aに対して交差する方向に沿わせて複数の絶縁膜を設けることにより形成してもよい。
(他の実施形態)
なお、上述した実施例の表示装置は、画像を表示する表示パネルとして、液晶表示パネル1を備えたものであるが、前記表示パネルは、例えばエレクトロルミネッセンス表示パネル等の自発光型表示パネルでもよく、その場合は、前記表示パネルの観察側に視野制限素子2を配置すればよい。
1…液晶表示パネル、2…視野制限素子、21,22…基板、23…液晶層、23a…液晶分子、24,25…電極、26,27…ノンプレチルト配向膜、26a,27a…配向方向、31,32,33…偏光板、31a,32a,33a…透過軸、D1,D2,D3,D4…ドメイン領域、A…暗視方向。