JP4897898B2 - スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法 - Google Patents

スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はスパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法に関する。
特許文献1に従来のスパークプラグ用絶縁体の製造方法が開示されている。この製造方法は、中心電極及び端子電極を挿入するための貫通孔が軸線方向に形成され、かつ貫通孔と外周面との間の肉厚が厚い厚肉部が形成されたスパークプラグ用絶縁体の製造方法である。
この製造方法では、まず用意工程として、貫通孔を形成するために用いられるプレスピンと、キャビティを有する成形型とを用意する。プレスピンの後端には、自己の外周面を螺旋状に回るリブ状のピン側螺旋部が形成されている。
そして、プレスピン配置工程として、プレスピンをその先端側を軸線方向に前進させることによってキャビティ内に配置する。次いで、粉末充填工程として、プレスピンが配置されたキャビティ内に原料粉末を充填する。この後、加圧成形工程として、キャビティ内の原料粉末をプレスピンとともに加圧し、成形体を得る。この成形体の後端には、プレスピンのピン側螺旋部が転写された成形体側螺旋部が形成される。
加圧成形工程後、脱型工程として、プレスピンとともに成形体をキャビティから脱型する。脱型工程後、プレスピン除去工程として、成形体に対してプレスピンを軸線回りに回転させながら後退させ、成形体からプレスピンを抜き取る。そして、特許文献1の図11に図示されているように、不要部分除去工程として、成形体から不要部分を除去する。この際、成形体側螺旋部は、不要部分を除去した後の成形体の後端に残留するようになっている。この不要部分除去工程は、プレスピン除去工程後の成形体を仮焼してから行われることもある。こうして得られた成形体はスパークプラグ用絶縁体に対応した外形状に仕上げられている。
その後、成形体は温度1400〜1650°Cで焼成される。これにより、プレスピンによって形成されたピン孔が貫通孔となる。その後、その焼成体の表面に釉薬が施釉され、仕上焼成されてスパークプラグ用絶縁体となる。なお、特許文献1の図1に図示されているように、貫通孔の後端には、成形体側螺旋部が残留する。このスパークプラグ用絶縁体は、中心電極、端子電極、主体金具、抵抗体等が設けられてスパークプラグとされる。スパークプラグ用絶縁体の厚肉部は主体金具内に位置される。このスパークプラグは、主体金具のねじ部によってエンジンに取り付けられ、エンジンの燃焼室に供給される混合気への着火源として使用される。
特開2000−58226号公報
ところで、スパークプラグは、エンジンの省スペース化等のために細径化される傾向にあり、スパークプラグ用絶縁体にも一層の細径化(例えば、主体金具の後端側に露出する部分の外径が10mm以下となるもの。)が求められている。このようなスパークプラグ用絶縁体を上記従来の製造方法で製造する場合、成形体やスパークプラグ用絶縁体の強度が低下してしまう。
なぜなら、従来の製造方法では、不要部分を除去した後の成形体の後端に成形体側螺旋部が残留するようになっており、成形体の後端の肉厚が成形体側螺旋部によって薄くなってしまうからである。
成形体の強度が低下すれば、脱型工程、プレスピン除去工程等において、成形体に折損等の不具合が生じ易い。また、成形体に折損等を生じなくても、スパークプラグ用絶縁体に強度の低下を生じ、スパークプラグの組付け時等にスパークプラグ用絶縁体に折損等の不具合が生じ易い。この場合、歩留まりの低下を生じてしまう。また、スパークプラグとして完成したとしても、エンジンへの取付け時にスパークプラグを取付けるための工具が当たり折損するなど、完成してからの不具合の要因ともなり得る。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、細径化しても高い歩留まりを確保可能なスパークプラグ用絶縁体の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のスパークプラグ用絶縁体の製造方法は、中心電極及び端子電極を挿入するための貫通孔が軸線方向に形成され、かつ該貫通孔と外周面との間の肉厚が、前記軸線方向における他の部位よりも厚い厚肉部が形成されたスパークプラグ用絶縁体の製造方法であって、
前記貫通孔を形成するために用いられ、自己の外周面を螺旋状に回るリブ状のピン側螺旋部が第2位置に形成されたプレスピンと、キャビティを有する成形型とを用意する用意工程と、
該キャビティ内に原料粉末を充填する粉末充填工程と、
該粉末充填工程の前、途中又は後で、該プレスピンをその先端側を前記軸線方向に前進させることによって該キャビティ内に配置するプレスピン配置工程と、
該プレスピン配置工程後、該キャビティ内の該原料粉末を該プレスピンとともに加圧し、該ピン側螺旋部が転写された成形体側螺旋部が形成された成形体を得る加圧成形工程と、
該加圧成形工程後、該プレスピンとともに該成形体を該キャビティから脱型する脱型工程と、
該脱型工程後、該成形体に対して該プレスピンを軸線回りに回転させながら後退させ、該成形体から該プレスピンを抜き取るプレスピン除去工程とを備え、
前記ピン側螺旋部の外径は、該ピン側螺旋部より後端側の外周面の外径よりも小さく、
前記第2位置は、前記成形体側螺旋部が前記厚肉部内に位置するように設定されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の製造方法では、プレスピンにおいてピン側螺旋部が形成された位置である第2位置は、成形体側螺旋部が厚肉部内に位置するように設定されている。このため、成形体側螺旋部は厚肉部内に残留する。しかしながら、厚肉部は、貫通孔と外周面との間の肉厚が、軸線方向における他の部位よりも厚い部分であることから、成形体側螺旋部が残留していても、成形体に強度の低下を生じない。このため、成形体やスパークプラグ用絶縁体の強度は確保され、成形体やスパークプラグ用絶縁体に折損等を生じ難い。
また、この製造方法では、ピン側螺旋部の外径は、プレスピンのピン側螺旋部より後端側の外周面の外径よりも小さくされている。このため、ピン側螺旋部は、成形体側螺旋部から抜けた後も成形体の内筒面と干渉することがない。このため、この製造方法では、プレスピン除去工程において、成形体に対してプレスピンを軸線回りに回転させながら後退させれば、成形体を変形・破損させることなく、成形体からプレスピンを抜き取ることが可能である。
したがって、本発明の製造方法によれば、細径化しても高い歩留まりを確保することが可能である。
本発明の製造方法において、第2位置は、中心電極と端子電極との間に設けられる抵抗体が成形体側螺旋部に接しないように設定されていることが好ましい(請求項4)。
仮に、本発明の製造方法において、中心電極と端子電極との間に設けられる抵抗体が成形体側螺旋部に接するように第2位置が設定されている場合、ホットプレス等によりスパークプラグ用絶縁体の貫通孔内に抵抗体を仕込むと、抵抗体の外周面には、成形体側螺旋部の影響を受けて螺旋状のリブが形成されてしまう。このため、抵抗体の抵抗値の誤差が大きくなる等、抵抗体に所定の性能を発揮させ難くなる。
これに対して、中心電極と端子電極との間に設けられる抵抗体が成形体側螺旋部に接しないように第2位置が設定されている場合、ホットプレス等によりスパークプラグ用絶縁体の貫通孔内に抵抗体を仕込んでも、抵抗体は成形体側螺旋部の影響を受けずに円柱形状に形成される。このため、この製造方法は、抵抗体に所定の性能を確実に発揮させることができる。
本発明の製造方法では、粉末充填工程の前、途中又は後で、プレスピンをその先端側を軸線方向に前進させることによってキャビティ内に配置するプレスピン配置工程を行うことができる。
本発明のスパークプラグの製造方法は、上述のスパークプラグ用絶縁体の製造方法によりスパークプラグ用絶縁体を製造する工程と、製造されたスパークプラグ用絶縁体と他の構成部材とを組み付ける工程とを備え得る(請求項5)。この製造方法により得られるスパークプラグは、本発明のスパークプラグ用絶縁体の製造方法の作用効果を享受できるので、高い歩留まりを確保可能であり、ひいては製造コストの低廉化を実現できる。
参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体が適用されるスパークプラグの正面図(部分断面図)である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、プレスピンの正面図である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例1のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例2のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、プレスピンの正面図である。 参考例2のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 参考例2のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 実施例のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体が適用されるスパークプラグの正面図(部分断面図)である。 実施例のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、プレスピンの正面図である。 実施例のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。 実施例のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に係り、絶縁体の製造工程を示す説明図である。
以下、参考例1、2を説明した後、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、上下方向を軸線方向と規定し、下方をスパークプラグ100、プレスピン50、350、250及びスパークプラグ用絶縁体2、202の先端側と規定し、上方をスパークプラグ100、プレスピン50、350、250及びスパークプラグ用絶縁体2、202の後端側と規定する。
(参考例1)
参考例1の製造方法は、図1に示すように、スパークプラグ用絶縁体の具体的態様である絶縁体2を製造する方法である。絶縁体2は、スパークプラグ100を構成するものであるので、まずスパークプラグ100の全体構成について説明する。
スパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の先端部と対向するように配置された接地電極4等を備えている。
接地電極4と中心電極3との間には火花放電ギャップgが形成されている。主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、その外周面には、ねじ部7と工具係合部1eとが形成されている。ねじ部7は、プラグ100を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのものである。工具係合部1eは、六角状の軸断面形状を有しており、主体金具1を取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具が係合される。また、中心電極3及び接地電極4はNi合金等で構成され、必要に応じて放熱促進のためのCuあるいはCu合金等の芯材3aが埋設される。
絶縁体2は、アルミナ等を主体とする絶縁材料により構成されるものであり、中心電極3及び端子電極13を挿入するための貫通孔6が軸線方向に形成されている。絶縁体2の軸線方向の略中央には、貫通孔6と外周面との間の肉厚が、軸線方向における他の部位よりも厚い厚肉部2aが形成されている。厚肉部2aは、主体金具1の内筒面に嵌り込むようになっている。
貫通孔6の先端側には、中心電極3が挿入・固定され、貫通孔6の後端側には、端子電極13が挿入・固定されている。また、貫通孔6内において、端子電極13と中心電極3との間には、抵抗体15が配置されている。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16、17を介して中心電極3と端子電極13とにそれぞれ電気的に接続されている。なお、抵抗体15は、ガラス粉末と導電材料粉末(及び必要に応じてガラス以外のセラミック粉末)とを混合して、ホットプレス等により焼結して得られる抵抗体組成物により形成される。
中心電極3の軸断面径は、抵抗体15の軸断面径よりも小さく設定されている。そして、貫通孔6は、中心電極3を挿通させる略円筒状の第一部分6aと、その第一部分6aの後方側(図面上方側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第二部分6bとを有している。端子電極13と抵抗体15とは第二部分6b内に収容され、中心電極3は第一部分6a内に挿通されている。中心電極3の後端部には、その外周面から外向きに突出する電極固定用凸部3bが形成されている。そして、上記貫通孔6の第一部分6aと第二部分6bとの接続位置には、中心電極3の電極固定用凸部3bを受けるための凸部受け面6dがテーパ面あるいはアール面状に形成されている。
貫通孔6の第二部分6bの内周面は、後述するプレスピン50を抜き取りやすくするため、軸線方向において後方側に向かうほど大径となる抜きテーパ(例えば5/1000〜5/100程度)が付与されている。他方、第一部分6aの内周面は、第二部分6bよりは小角度の抜きテーパが付与されているか、あるいは抜きテーパが実質的に付与されない形となっている。
なお、絶縁体2の外形状の具体的寸法を例示するとすれば、絶縁体2の全長は例えば30〜75mm程度であり、貫通孔6の第二部分6bの平均内径は例えば2〜5mm程度であり、同じく第一部分6aの平均内径は例えば1〜3.5mm程度である。そして、絶縁体2は、スパークプラグ100の省スペース化や発熱特性等の性能向上のため、一層の細径化が図られている。
次に、絶縁体2の製造方法について説明する。上述の絶縁体2は、用意工程と、粉末充填工程と、プレスピン配置工程と、加圧成形工程と、脱型工程と、プレスピン除去工程と、不要部分除去工程とをこの順番で実施することにより製造される。以下、各工程毎に説明する。
<用意工程>
用意工程では、プレスピン50と、成形型80とを用意する。
プレスピン50は、図2に示すように、貫通孔6を形成するために用いられる金属製の軸体である。より詳しくは、プレスピン50には、先端側に図1の貫通孔6の第一部分6aを形成するための第一軸部51と、その第一軸部51の後方側に続く形で、貫通孔6の第二部分6bを形成するための第二軸部52とが形成されている。また、第一軸部51と第二軸部52との間には、図1の貫通孔6の凸部受け面6dに対応する段部59が形成されている。さらに、プレスピン50には、第一軸部51から先端側に突出するピン側螺旋部54(詳細は後述する。)が形成されている。なお、プレスピン50においてピン側螺旋部54が形成されている位置を「第1位置P1(図2に示す。)」と呼ぶこととする。第1位置P1についての説明は、後述の不要部分除去工程において行う。
第二軸部52の外周面は、軸線方向において後方側に向かうほど大径となる抜きテーパ(第二部分6bの抜きテーパに対応する。例えば、5/1000〜5/100程度)が付与されている。他方、第一軸部51の外周面は、第二軸部52よりは小角度の抜きテーパ(第一部分6aの抜きテーパに対応する。)が付与されているか、あるいは抜きテーパが実質的に付与されない形となっている。なお、第一軸部51の平均外径は第一部分6aの平均内径に対応して設定され、第二軸部52の平均外径は貫通孔6の第二部分6bの平均内径に対応して設定されている。
プレスピン50は、このように非常に細い軸体であるため、例えば、加圧成形工程等の際に折れ曲がり等の不具合を生じないように、全体が剛性の高い材質、例えば超硬合金や合金工具鋼等で構成されている。また、第一軸部51や第二軸部52の表面には、プレスピン50を貫通孔6から抜き易くするために硬質炭素系離型被膜等の離型層が形成されている。
プレスピン50の第二軸部52の後端側には、後述する成形体PC1の後端側端面を形成するフランジ状の端面形成部55が一体に形成され、そのさらに後方側には、軸線方向に雌ねじ部57が形成された頭部56が一体に形成されている。図4等に示すように、この頭部56の外側に上ホルダ部86が回転可能に嵌め込まれている。
ピン側螺旋部54は、図2に示すように、円柱の外周面にリブが螺旋状に凸設されたものである。ピン側螺旋部54の外径D2は、ピン側螺旋部54より後端側である第一軸部51の外周面の外径D1(第一軸部51に抜きテーパが付与されている場合は、先端側の外径)よりも小さくされている。なお、ピン側螺旋部54の螺旋巻方向は、雌ねじ部57の螺旋巻方向と逆になっている。
成形型80は、図3〜図6に示すように、一般に「ラバープレス」と呼ばれる成形を行う装置である。「ラバープレス」とは、ゴム型内にセラミックス材料等の粉体を充填し、その外周から高い液圧を加えて均質な成形体を製造する成形方法のことである。
より詳しくは、成形型80は、成形型本体80a内に配置された円筒状の外ゴム型81内に、内部に軸線方向に貫通するキャビティ83を有する円筒状の内ゴム型82が略同心的に配置された構成である。キャビティ83の下側開口部は底蓋84及び下ホルダ部85により塞がれている。他方、キャビティ83の上方には、開口89が形成されている。この開口89は、後述するプレスピン配置工程において、図4に示すように、上ホルダ部86が一体化されたプレスピン50の後端側が嵌め込まれることによって塞がれ、その結果として、キャビティ83内が密封状態とされるようになっている。
<粉末充填工程>
粉末充填工程では、図3に示すように、キャビティ83の開口89から、キャビティ83内に原料粉末GPを投入して充填する。
ここで、原料粉末GPは、具体的には下記のようにして準備される。まず、アルミナ粉末(平均粒径1〜5μm)と、焼結助剤となるSi成分、Ca成分、Mg成分、Ba成分あるいはB成分等の添加元素系原料を所定の比率で配合し、親水性結合剤(例えばPVAやアクリルアミド系結合剤)と水とを添加・混合して成形用素地スラリーを作る。なお、各添加元素系原料は、例えばSi成分はSiO2粉末、Ca成分はCaCO3粉末、Mg成分はMgO粉末、Ba成分がBaCO3粉末、B成分がH3BO3粉末(あるいは水溶液でもよい)の形で配合できる。そして、成形用素地スラリーをスプレードライ法等により噴霧乾燥することにより、成形用素地造粒物としての原料粉末GPが製造される。
こうして製造される原料粉末GPは、噴霧乾燥時の条件調整(例えば乾燥温度や噴霧速度等)により、1.5重量%以下の範囲内にて水分を含有するものとなるように調整される。水分配合により、造粒粒子中の粉末粒子の結合力を弛め、プレス時における造粒粒子の解砕を促進することと、成形用素地に配合されている親水性バインダを膨潤させて粘結性を有効に引き出し、成形体PC1の強度を高めることが、その主な目的である。
原料粉末GPの水分含有量の下限値は、原料粉末GPの粒度分布等に応じて異なるが、上記効果が不足しない程度に適宜設定される。なお、水分量が1.5重量%を超えると、造粒物の流動性が悪化して扱い難くなる場合がある。該水分量は、より望ましくは1.3重量%以下の範囲で調整するのがよい。
また、原料粉末GP中の親水性バインダの配合量は0.5〜3.0重量%の範囲で調整するのがよい。親水性バインダの配合量が0.5重量%未満になると、成形体PC1の強度が不足して取り扱いが困難となり、割れや欠け等が発生しやすくなる場合がある。また、3.0重量%を超えると、焼成時の脱バインダ処理時間が長くなり、絶縁体の製造能率の低下につながるほか、絶縁体中のバインダに由来する不純物成分(例えば炭素)の残留量が増え、性能(例えば絶縁耐電圧)の低下につながる場合がある。
上記の状態に調整された原料粉末GPは、図3に示すように、開口89からキャビティ83内に投入されて、下方から上方に向けて堆積していく。そして、所定量の原料粉末GPがキャビティ83内に充填されると、次の工程に移行する。
<プレスピン配置工程>
プレスピン配置工程では、図4に示すように、雌ねじ部57に回転軸87の先端が螺合されるとともに、頭部56の外側に上ホルダ部86が嵌め込まれた状態のプレスピン50を、その先端側を軸線方向に前進させることによってキャビティ83内に配置する。この際、上ホルダ部86が一体化されたプレスピン50の後端側を開口89を嵌め込むことにより開口89を塞ぎ、キャビティ83内を密封状態とする。
<加圧成形工程>
加圧成形工程では、図5に示すように、キャビティ83内の原料粉末GPをプレスピン50とともに加圧し、成形体PC1を得る。
より詳しくは、成形型本体80aに形成された加圧液体通路80bを介して、液圧FPを外ゴム型81の外周面に対し半径方向に作用させる。そうすると、外ゴム型81及び内ゴム型82が縮径するように弾性変形し、キャビティ83も縮小する。このため、キャビティ83内に充填された原料粉末GPは、外ゴム型81及び内ゴム型82を介して、間接的に液圧FPが付与されることにより加圧・圧縮される。その結果、キャビティ83の原料粉末GPは、プレスピン50とが一体化された形で固化し、成形体PC1が得られる。
この際、液圧FPは、30〜100MPaの範囲で調整するのがよい。液圧FPが30MPa未満になると、成形体PC1の強度が不足して取り扱いが困難となり、割れや欠け等が発生しやすくなる場合がある。他方、100MPaを超えると、外ゴム型81及び内ゴム型82の寿命が短くなり、コストアップにつながる場合がある。また、高圧成形のため、キャビティ83の内壁部が成形体PC1の外面から粉末粒子間ににじみ込むようにして噛み込まれる。このため、次の脱型工程において、液圧FPの付与を解除する際、内ゴム型82のスムーズな弾性復帰が妨げられやすくなる。その結果、内ゴム型82の急激な弾性復帰による振動が生じやすくなり、成形体PC1を損傷しやすくなる場合がある。
<脱型工程>
脱型工程では、図6に示すように、プレスピン50とともに成形体PC1をキャビティ83から脱型する。より詳しくは、液圧FPの付与を解除すると、外ゴム型81及び内ゴム型82が弾性復帰して原形状に戻り、縮小していたキャビティ83も原形状に戻る。これにより、圧縮成形された成形体PC1の外周面とキャビティ83の内周面とが離反して、双方の間に空間が形成される。そして、回転軸87及び上ホルダ部86と一体とされたプレスピン50を外ゴム型81及び内ゴム型82に対し軸線方向後端側に引き上げることにより、プレスピン50は、成形体PC1がついた状態でキャビティ83から引き抜かれる。
<プレスピン除去工程>
プレスピン除去工程では、図7に示すように、成形体PC1からプレスピン50を抜き取る。より詳しくは、ピン側螺旋部54が形成されたプレスピン50を用いて成形を行うと、ピン側螺旋部54に対面する成形体PC1の内筒面の前端側には、ピン側螺旋部54を反転した形状の(すなわち溝状の)成形体側螺旋部20aが形成される。
そして、図7に示すように、キャビティ83から引き上げられた成形体PC1を図示しないエアチャックで保持した状態で、プレスピン50の雌ねじ孔57に螺合させた回転軸87を、図示しないモータ等の駆動源により雌ねじ孔57に締め込む向きに回転させる。そうすると、プレスピン50は成形体PC1に対して軸線周りに回転し、ピン側螺旋部54と成形体側螺旋部20aとのかみ合いによるねじ作用に基づき、プレスピン50が螺進して抜き取り方向に上昇する。
すなわち、ねじの螺進作用により、プレスピン50が回転しながらゆっくりと上昇するので、プレスピン50と、プレスピン50の外周面に対面する成形体PC1の内筒面との間に無理な摩擦力が生じ難くなり、ひいては成形体PC1を痛めることなくスムーズにプレスピン50を抜き取ることができる。
また、ピン側螺旋部54の外径D2は、ピン側螺旋部54より後端側である第一軸部51の外周面の外径D1よりも小さいので、ピン側螺旋部54は、成形体側螺旋部20aから抜けた後も成形体PC1の内筒面と干渉することがない。このため、成形体PC1を変形・破損させることなく、プレスピン50を抜き取ることができる
さらに、プレスピン50の少なくとも第二軸部52には抜きテーパが施されているので、プレスピン50を少し上昇させるだけで、成形体PC1の内筒面に対して隙間を確保でき、容易にプレスピン50を離型させることができる。プレスピン50の外周面に硬質炭素系離型被膜等の離型層が形成されていれば、プレスピン50の抜き取りがさらに容易になることはいうまでもない。
<不要部分除去工程>
不要部分除去工程では、図7及び図8に示すように、成形体PC1から不要部分Uを除去する。ここで、参考例1において不要部分Uとは、成形体PC1の先端側において、破線より先端側の部位であり、成形体側螺旋部20aを含んでいる。なお、本参考例では、成形体PC1を従来よりも先端側に延長することにより、成形体側螺旋部20aを含むようにしている。そして、グラインダ等の切削工具等により不要部分Uを除去すると、上記従来の製造方法とは異なり、成形体PC1の内筒面に成形体側螺旋部20aが残留しない。このように、プレスピン50においてピン側螺旋部54が形成されている位置である第1位置P1は、成形体側螺旋部20aが成形体PC1の先端側の不要部分Uに位置するように設定されている。
上記の各工程を終了し、プレスピン50が抜き取られた成形体PC1は、図8に示すように、外面がグラインダ切削等により加工されて、絶縁体2に対応した外形状に仕上げられ、次いで温度1400〜1650℃で焼成される。これにより、プレスピン50の外周面に対面していた成形体PC1の内筒面は、貫通孔6となる。その後、さらに釉薬をかけて仕上焼成され、絶縁体2が完成する。こうして得られた絶縁体2を用いたスパークプラグ100は、そのねじ部7においてエンジンブロックに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への着火源として使用される。
ここで、参考例1の絶縁体2の製造方法において、第1位置P1は、成形体側螺旋部20aが成形体PC1の先端側の不要部分Uに位置するように設定されている。このため、この製造方法では、不要部分Uを除去した後の成形体PC1には成形体側螺旋部20aが残留しない。このため、成形体PC1の肉厚が成形体側螺旋部20aによって薄くなることがない。このため、成形体PC1や絶縁体2の強度は確保され、成形体PC1や絶縁体2に折損等を生じ難い。
また、この製造方法では、ピン側螺旋部54の外径D2は、ピン側螺旋部54より後端側である第一軸部51の外周面の外径D1よりも小さくされている。このため、プレスピン除去工程において、成形体PC1の内筒面にピン側螺旋部54が干渉することがない。このため、この製造方法では、成形体PC1を変形・破損させることなく、成形体PC1からプレスピン50を抜き取ることができる。
したがって、参考例1の絶縁体2の製造方法によれば、細径化しても高い歩留まりを確保することができる。そして、絶縁体2と他の構成部材とを組み付けて得られるスパークプラグ100についても、高い歩留まりを確保でき、ひいては製造コストの低廉化を実現できる。
(参考例2)
参考例2の製造方法は、参考例1の製造方法と同様に、図1に示す絶縁体2を製造する方法である。参考例2の製造方法では、参考例1に係るプレスピン50の代わりに、図9に示すプレスピン350を採用している。また、図10及び図11に示すように、加圧成形工程において、参考例1に係る成形体PC1とは異なる成形体PC3を得るとともに、不要部分除去工程において成形体PC3から不要部分U、U3を除去している。その他の構成は参考例1の製造方法と同様である。このため、参考例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。また、参考例1の製造方法との相違点を重点的に説明し、参考例1の各工程と同様な工程については、説明を省略又は簡略する。
参考例2の製造方法において、絶縁体2は、用意工程と、粉末充填工程と、プレスピン配置工程と、加圧成形工程と、脱型工程と、プレスピン除去工程とをこの順番で実施することにより製造される。以下、各工程毎に説明する。
<用意工程>
用意工程では、プレスピン350と、成形型80とを用意する。なお、成形型80は、参考例1と同様であるので説明を省く。
図9に示すように、プレスピン350は、プレスピン50の第一軸部51から先端側に突出するピン側螺旋部54を除去し、その代わりに、プレスピン50の第二軸部52と端面形成部55との間にピン側螺旋部354を形成したものである。なお、プレスピン350においてピン側螺旋部354が形成されている位置を「第1位置P1B(図9に示す。)」と呼ぶこととする。第1位置P1Bについての説明は、後述の不要部分除去工程において行う。プレスピン350のその他の構成は、参考例1に係るプレスピン50と同一であるので、同一の符号を付して説明を省く。
ピン側螺旋部354は、円柱の外周面にリブが螺旋状に凸設されたものである。ピン側螺旋部354の外径D5は、第二軸部52の外周面の外径よりも大きくされている。なお、ピン側螺旋部354の螺旋巻方向は、雌ねじ部57の螺旋巻方向と逆になっている。
<粉末充填工程〜脱型工程>
粉末充填工程から脱型工程までは、プレスピン50がプレスピン350に置き換わる点以外は参考例1と同様であるので説明を省略する。粉末充填工程から脱型工程までを参考例1と同様に実施すると、図10に示すように、プレスピン350と一体になった成形体PC3が得られる。
<プレスピン除去工程>
プレスピン除去工程では、図10に示すように、成形体PC3からプレスピン350を抜き取る。より詳しくは、ピン側螺旋部354が形成されたプレスピン350を用いて成形を行うと、ピン側螺旋部354に対面する成形体PC3の内筒面の後端側には、ピン側螺旋部354を反転した形状の(すなわち溝状の)成形体側螺旋部320aが形成される。
そして、図10に示すように、成形体PC3を保持した状態で、回転軸87を回転させれば、参考例1の場合と同様に、ピン側螺旋部354と成形体側螺旋部320aとのかみ合いによるねじ作用に基づき、プレスピン350が螺進して抜き取り方向に上昇する。こうして、成形体PC3を変形・破損させることなくスムーズにプレスピン350を抜き取ることができる。
<不要部分除去工程>
不要部分除去工程では、図10及び図11に示すように、成形体PC3から不要部分U2、U3を除去する。ここで、参考例2において不要部分U2とは、成形体PC3の先端側において、破線H1よりさらに先端側の部位である。また、不要部分U3とは、成形体PC3の後端側において、破線H2よりさらに後端側の部位である。なお、本参考例では、成形体PC3を従来よりも後端側に延長することにより、成形体側螺旋部320aを含むようにしている。そして、グラインダ等の切削工具等により不要部分U2、U3を除去すると、上記従来の製造方法とは異なり、成形体PC3の内筒面に成形体側螺旋部320aが残留しない。このように、プレスピン350においてピン側螺旋部354が形成されている位置である第1位置P1Bは、成形体側螺旋部320aが成形体PC3の後端側の不要部分U3に位置するように設定されている。
上記の各工程を終了し、プレスピン350が抜き取られた成形体PC3は、図11に示すように、外面がグラインダ切削等により加工されて、絶縁体2に対応した外形状に仕上げられ、次いで温度1400〜1650℃で焼成される。これにより、プレスピン350の外周面に対面していた成形体PC3の内筒面は、貫通孔6となる。その後、さらに釉薬をかけて仕上焼成され、絶縁体2が完成する。こうして得られた絶縁体2を用いたスパークプラグ100は、そのねじ部7においてエンジンブロックに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への着火源として使用される。
ここで、参考例2の絶縁体2の製造方法において、第1位置P1Bは、成形体側螺旋部320aが成形体PC3の後端側の不要部分U3に位置するように設定されている。このため、この製造方法では、不要部分U3を除去した後の成形体PC3には成形体側螺旋部320aが残留しない。このため、成形体PC3の肉厚が成形体側螺旋部320aによって薄くなることがない。このため、成形体PC3や絶縁体2の強度は確保され、成形体PC3や絶縁体2に折損等を生じ難い。
したがって、参考例2の絶縁体2の製造方法も、参考例1の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例)
実施例の製造方法は、図12に示すように、スパークプラグ用絶縁体の具体的態様である絶縁体202を製造する方法である。絶縁体202は、参考例1の絶縁体2の貫通孔6の代わりに、厚肉部202aに成形体側螺旋部220aが形成された貫通孔206を採用しているが、その他の構成は絶縁体2と同様である。そして、絶縁体202も、絶縁体2と同様にスパークプラグ100を構成するものである。このため、参考例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。また、参考例1の製造方法との相違点を重点的に説明し、参考例1の各工程と同様な工程については、説明を省略又は簡略する。
図12に示すように、絶縁体202は、参考例1の絶縁体2と同様に、アルミナ等を主体とする絶縁材料により構成されるものであり、中心電極3及び端子電極13を挿入するための貫通孔206が軸線方向に形成されている。絶縁体206の軸線方向の略中央には、貫通孔206と外周面との間の肉厚が、軸線方向における他の部位よりも厚い厚肉部202aが形成されている。厚肉部202aは、主体金具1の内筒面に嵌り込むようになっている。
貫通孔206の先端側には、中心電極3が挿入・固定され、貫通孔206の後端側には、端子電極13が挿入・固定されている。また、貫通孔206内において、端子電極13と中心電極3との間には、抵抗体15が配置されている。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16、17を介して中心電極3と端子電極13とにそれぞれ電気的に接続されている。
中心電極3の軸断面径は、抵抗体15の軸断面径よりも小さく設定されている。そして、貫通孔206は、中心電極3を挿通させる略円筒状の第一部分206aと、その第一部分206aの後方側(図面上方側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第二部分206bと、その第二部分206bの後方側(図面上方側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第三部分206cとを有している。第二部分206bの後端には、後述するピン側螺旋部254が転写されてなる成形体側螺旋部220aが螺旋溝状に形成されている。
端子電極13は第二部分206b及び第三部分206c内に収容され、抵抗体15は第二部分206b内の成形体側螺旋部220aよりも前方に収容され、中心電極3は第一部分6a内に挿通されている。中心電極3の後端部には、その外周面から外向きに突出する電極固定用凸部3bが形成されている。そして、上記貫通孔206の第一部分206aと第二部分206bとの接続位置には、中心電極3の電極固定用凸部3bを受けるための凸部受け面206dがテーパ面あるいはアール面状に形成されている。
貫通孔206の第二部分206b及び第三部分206cの内周面は、後述するプレスピン250を抜き取りやすくするため、軸線方向において後方側に向かうほど大径となる抜きテーパ(例えば5/1000〜5/100程度)が付与されている。他方、第一部分206aの内周面は、第二部分206bび第三部分206cよりは小角度の抜きテーパが付与されているか、あるいは抜きテーパが実質的に付与されない形となっている。
なお、絶縁体202の外形状の具体的寸法は、絶縁体2と同様であるので説明を省く。絶縁体202も、スパークプラグ100の省スペース化や発熱特性等の性能向上のため、一層の細径化が図られている。
次に、絶縁体202の製造方法について説明する。上述の絶縁体202は、用意工程と、粉末充填工程と、プレスピン配置工程と、加圧成形工程と、脱型工程と、プレスピン除去工程とをこの順番で実施することにより製造される。以下、各工程毎に説明する。
<用意工程>
用意工程では、プレスピン250と、成形型80とを用意する。なお、成形型80は、参考例1と同様であるので説明を省く。
プレスピン250は、図13に示すように、貫通孔206を形成するために用いられる金属製の軸体である。より詳しくは、プレスピン250には、先端側に図12の貫通孔206の第一部分206aを形成するための第一軸部251と、その第一軸部251の後方側に続く形で、貫通孔206の第二部分206bを形成するための第二軸部252と、その第二軸部252の後方側に続く形で、貫通孔206の第三部分206cを形成するための第三軸部253とが形成されている。また、第一軸部251と第二軸部252との間には、図12の貫通孔206の凸部受け面206dに対応する段部259が形成されている。さらに、プレスピン50において、第二軸部52の後端には、ピン側螺旋部254(詳細は後述する。)が形成されている。なお、プレスピン250においてピン側螺旋部254が形成されている位置を「第2位置P2(図13に示す。)」と呼ぶこととする。第2位置P2についての説明は、後述のプレスピン除去工程において行う。
第二軸部252及び第三軸部253の外周面は、軸線方向において後方側に向かうほど大径となる抜きテーパ(第二部分206b及び第三部分206cの抜きテーパに対応する。例えば、5/1000〜5/100程度)が付与されている。他方、第一軸部251の外周面は、第二軸部252及び第三軸部253よりは小角度の抜きテーパ(第一部分206aの抜きテーパに対応する。)が付与されているか、あるいは抜きテーパが実質的に付与されない形となっている。なお、第一軸部251の平均外径は第一部分206aの平均内径に対応して設定され、第二軸部252の平均外径は貫通孔206の第二部分206bの平均内径に対応して設定され、第三軸部253の平均外径は貫通孔206の第三部分206cの平均内径に対応して設定されている。
プレスピン250も、プレスピン50と同様に非常に細い軸体であるため、加圧成形工程等の際に折れ曲がり等の不具合を生じないように、プレスピン50と同様の材料で構成されるとともに、離型層が形成されている。
プレスピン250の第三軸部253の後端側には、プレスピン50と同様に、端面形成部55と、軸線方向に雌ねじ部57が形成された頭部56とが一体に形成されている。この頭部56の外側には、上述した上ホルダ部86が回転可能に嵌め込まれる。
ピン側螺旋部254は、図13に示すように、第二軸部252の後端の外周面にリブが螺旋状に凸設されたものである。ピン側螺旋部254の外径D4は、ピン側螺旋部254より後端側である第三軸部253の外周面の外径D3(第三軸部253に抜きテーパが付与されている場合は、先端側の外径)よりも小さくされている。なお、ピン側螺旋部254の螺旋巻方向は、雌ねじ部57の螺旋巻方向と逆になっている。
<粉末充填工程〜脱型工程>
粉末充填工程から脱型工程までは、プレスピン50がプレスピン250に置き換わる点以外は参考例1と同様であるので説明を省略する。粉末充填工程から脱型工程までを参考例1と同様に実施すると、図14に示すように、プレスピン250と一体になった成形体PC2が得られる。
<プレスピン除去工程>
プレスピン除去工程では、図14に示すように、成形体PC2からプレスピン250を抜き取る。より詳しくは、ピン側螺旋部254が形成されたプレスピン250を用いて成形を行うと、ピン側螺旋部254に対面する成形体PC2の内筒面の厚肉部202aには、ピン側螺旋部254を反転した形状の(すなわち溝状の)成形体側螺旋部220aが形成される。このように、プレスピン250においてピン側螺旋部254が形成されている位置である第2位置P2は、成形体側螺旋部220aが成形体PC2の厚肉部202aに位置するように設定されている。この厚肉部202aは、成形体PC2が焼成されて最終的に絶縁体202になっても、そのまま残留するものである。また、第2位置P1は、図12に示すように、成形体側螺旋部220aが成形体15に接しないように、貫通孔206内において成形体15が配置される位置よりも後端側にずらして設定されている。
そして、図14に示すように、成形体PC2を図示しないエアチャックで保持した状態で、上述の回転軸87を雌ねじ孔57に締め込む向きに回転させる。そうすると、プレスピン250は成形体PC2に対して軸線周りに回転し、ピン側螺旋部254と成形体側螺旋部220aとのかみ合いによるねじ作用に基づき、プレスピン250が螺進して抜き取り方向に上昇する。
すなわち、ねじの螺進作用により、プレスピン250が回転しながらゆっくりと上昇するので、プレスピン250と、プレスピン250の外周面に対面する成形体PC2の内筒面との間に無理な摩擦力が生じ難くなり、ひいては成形体PC2を痛めることなくスムーズにプレスピン250を抜き取ることができる。
また、ピン側螺旋部254の外径D4は、ピン側螺旋部254より後端側である第三軸部253の外周面の外径D3よりも小さいので、ピン側螺旋部254は、成形体側螺旋部220aから抜けた後も成形体PC2の内筒面と干渉することがない。このため、成形体PC2を変形・破損させることなく、プレスピン250を抜き取ることができる
さらに、プレスピン250の少なくとも第二軸部252及び第三軸部253には抜きテーパが施されているので、プレスピン250を少し上昇させるだけで、成形体PC2の内筒面に対して隙間を確保でき、容易にプレスピン250を離型させることができる。プレスピン250の外周面に硬質炭素系離型被膜等の離型層が形成されていれば、プレスピン250の抜き取りがさらに容易になることはいうまでもない。
上記の各工程を終了し、プレスピン250が抜き取られた成形体PC2は、図15に示すように、外面がグラインダ切削等により加工されて、絶縁体202に対応した外形状に仕上げられ、次いで温度1400〜1650℃で焼成される。これにより、プレスピン250の外周面に対面していた成形体PC2の内筒面は、貫通孔206となる。その後、さらに釉薬をかけて仕上焼成され、絶縁体202が完成する。こうして得られた絶縁体202の貫通孔206には、中心電極3及び端子電極13が装着される。また、貫通孔206内において、中心電極3及び端子電極13の間には、ホットプレス等により抵抗体15が形成される。この際、第2位置P1は、成形体側螺旋部220aが成形体15に接しないように設定されているので、図12に示すように、成形体15は、成形体側螺旋部220aより先端側に設けられる。その後、絶縁体202は、主体金具1等と組み付けられてスパークプラグ100が完成する。
ここで、実施例の絶縁体202の製造方法では、成形体側螺旋部220aが厚肉部202a内に残留する。厚肉部202aは、貫通孔206と外周面との間の肉厚が、軸線方向における他の部位よりも厚い部分であることから、成形体側螺旋部220aが残留していても、成形体PC2に強度の低下を生じない。このため、成形体PC2や絶縁体202の強度は確保され、成形体PC2や絶縁体202に折損等を生じ難い。
また、この製造方法では、ピン側螺旋部254の外径D4は、ピン側螺旋部254より後端側である第三軸部253の外周面の外径D3よりも小さくされている。このため、この製造方法では、プレスピン除去工程において、成形体PC2の内筒面にピン側螺旋部254が干渉することない。このため、この製造方法では、成形体PC2を変形・破損させることなく、成形体PC2からプレスピン250を抜き取ることができる。
したがって、実施例の絶縁体202の製造方法によれば、参考例1の製造方法と同様に、細径化しても高い歩留まりを確保することが可能である。そして、絶縁体202と他の構成部材とを組み付けて得られるスパークプラグ100についても高い歩留まりを確保でき、ひいては製造コストの低廉化を実現できる。
また、この製造方法において、第2位置P2は、成形体側螺旋部220aに抵抗体15が接しないように設定されている。このため、ホットプレス等により絶縁体202の貫通孔206に抵抗体15を仕込んでも、抵抗体15は成形体側螺旋部220aの影響を受けずに円柱形状に形成される。このため、この製造方法によれば、抵抗体15の抵抗値の誤差が大きくならないようにすることができ、抵抗体15に所定の性能を確実に発揮させることができる。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
本発明はスパークプラグに利用可能である。
2、202…スパークプラグ用絶縁体(絶縁体)
2a、202a…厚肉部
3…中心電極
6、206…貫通孔
13…端子電極
15…抵抗体
20a、320a、220a…成形体側螺旋部
50、350、250…プレスピン
54、354、254…ピン側螺旋部
80…成形型
83…キャビティ
100…スパークプラグ
GP…原料粉末
PC1、PC3、PC2…成形体
U、U2、U3…不要部分
D1、D3…ピン側螺旋部より後端側の外周面の外径
D2、D4、D5…ピン側螺旋部の外径
P1、P1B…第1位置
P2…第2位置

Claims (3)

  1. 中心電極及び端子電極を挿入するための貫通孔が軸線方向に形成され、かつ該貫通孔と外周面との間の肉厚が、前記軸線方向における他の部位よりも厚い厚肉部が形成されたスパークプラグ用絶縁体の製造方法であって、
    前記貫通孔を形成するために用いられ、自己の外周面を螺旋状に回るリブ状のピン側螺旋部が第2位置に形成されたプレスピンと、キャビティを有する成形型とを用意する用意工程と、
    該キャビティ内に原料粉末を充填する粉末充填工程と、
    該粉末充填工程の前、途中又は後で、該プレスピンをその先端側を前記軸線方向に前進させることによって該キャビティ内に配置するプレスピン配置工程と、
    該プレスピン配置工程後、該キャビティ内の該原料粉末を該プレスピンとともに加圧し、該ピン側螺旋部が転写された成形体側螺旋部が形成された成形体を得る加圧成形工程と、
    該加圧成形工程後、該プレスピンとともに該成形体を該キャビティから脱型する脱型工程と、
    該脱型工程後、該成形体に対して該プレスピンを軸線回りに回転させながら後退させ、該成形体から該プレスピンを抜き取るプレスピン除去工程とを備え、
    前記ピン側螺旋部の外径は、該ピン側螺旋部より後端側の外周面の外径よりも小さく、
    前記第2位置は、前記成形体側螺旋部が前記厚肉部内に位置するように設定されていることを特徴とするスパークプラグ用絶縁体の製造方法。
  2. 前記第2位置は、前記中心電極と前記端子電極との間に設けられる抵抗体が前記成形体側螺旋部に接しないように設定されている請求項1記載のスパークプラグ用絶縁体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のスパークプラグ用絶縁体の製造方法によりスパークプラグ用絶縁体を製造する工程と、
    製造された前記スパークプラグ用絶縁体と他の構成部材とを組み付ける工程とを備えるスパークプラグの製造方法。
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