JP4897282B2 - 生体試料分析用の液体クロマトグラフィー用フィルタ及び生体試料の分析方法 - Google Patents

生体試料分析用の液体クロマトグラフィー用フィルタ及び生体試料の分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、異物を効率的に捕捉することができ、かつ、異物が詰まることに起因する圧力上昇がない液体クロマトグラフィー用フィルタ及び該液体クロマトグラフィー用フィルタが装着された液体クロマトグラフィー用カラムに関する。
液体クロマトグラフィーの試薬の流路には、例えば、試薬類をろ過するフィルタ、試料注入装置から分離カラム部に至る流路に設置されるインラインフィルタ等のフィルタ類が設置されている。これらのフィルタは、移動相中の固形物、不溶性物質、難溶性物質(以下、これらを単に異物ともいう)等を捕捉するため、被測定物質と充填剤との相互作用が行われる前、即ち、分離カラム部より上流側に設置されていることが多く、場合によっては、分離カラム部から充填剤の一部が流出した場合などにこれらの異物が検出部に混入するのを防止するために、分離カラム部から検出部に至る流路、即ち、分離カラム部の下流側に設置されることもあり、さらに、分離カラム部の上流側と下流側の両方に設置されることもある。
このようなフィルタに捕捉される異物としては、例えば、移動相や反応試薬等の試薬類に由来するもの、ポンプ等可動部分に由来するもの、試料に由来するもの等が挙げられるが、異物が分離カラム部中に侵入すると、カラム充填剤の表面や、検出器のセルに吸着して、検体の測定に悪影響を及ぼす可能性があり、また、異物が検出部に侵入すると、測定の精度が低下することから、異物を確実に捕捉するため、様々な液体クロマトグラフィー用フィルタが開発されている。
フィルタの素材としては、従来から金属製、特にステンレス製の繊維を焼結した焼結フィルタが汎用されているが、金属製フィルタは疎水性が高いため、一定の条件下で特定の物質を分析する際に、フィルタ表面に被測定物質が非特異的に吸着してしまうことがあった。このような被測定物質のフィルタへの非特異的吸着を防止するため、例えば、テフロン(登録商標)製、セラミック製等の不活性な材料からなるフィルタを用いることが検討されており、特許文献1では、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製のフィルタを用いた技術が開示されている。また、特許文献2には、フィルタにブロッキング処理を施した技術も開示されている。
一方、大量の検体を連続測定したり、血液等の異物を多く含む検体を測定したりする条件下では、異物を充分に捕捉できなかったり、異物がフィルタに詰まって圧力が上昇したりして、正確かつ迅速に検体を測定できず、フィルタの性能が不充分となる問題があった。特に、臨床検査のように高い測定精度を要する測定においては、測定値への影響を最小限に止め、かつ、コストの面から頻繁にフィルタを交換しなくても済むように、圧力上昇をできるだけ抑える必要があった。
このようなフィルタへの異物の詰まりによる圧力上昇を防止するため、特許文献3には、孔径の異なる2層構造のフィルタを用いる方法が開示されている。また、特許文献4には、濾紙とフィルタとを組み合わせた2層構造体を用いる方法も開示されている。更に、フィルタを保持するパッキン内の空隙を減らすためにフィルタの形状を改良した技術等が開示されている。
しかしながら、2層構造のフィルタを用いる方法では、必ず孔径の大きい側の層が上流側となるように設置されなければ圧力上昇防止効果が得られず、不注意によりフィルタの設置方向を誤った場合には、全く効果が得られないという問題があった。
特開2000−321261号公報 特開2000−131302号公報 特開平2−262054号公報 特開平5−203634号公報
本発明は、上記現状に鑑み、異物を効率的に捕捉することができ、かつ、異物が詰まることに起因する圧力上昇が生じ難い液体クロマトグラフィー用フィルタを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記液体クロマトグラフィー用フィルタが装着された液体クロマトグラフィー用カラムを提供することを目的とする。
本発明は、外層、内層及び外層が、この順で積層された3層構造からなる液体クロマトグラフィー用フィルタであって、上記外層は、上記内層よりも孔径が大きく、かつ、全体の厚みを100としたときの厚みの比が、外層:内層:外層=10〜40:20〜80:10〜40である液体クロマトグラフィー用フィルタである。
以下、本発明につき、詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、液体クロマトグラフィー用フィルタを、孔径の大きい外層の間に、孔径の小さい内層を有する3層構造とし、かつ、3層の厚みの比を一定の範囲に調製することにより、異物を効率的に捕捉でき、かつ、異物が詰まることに起因する圧力上昇が生じ難く、更に、フィルタの作製時又は使用時に、不注意によってフィルタの方向を間違えることを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタは、外層、内層及び外層が、この順で積層された3層構造からなるものである。なお、本明細書において、上記外層又は内層は、孔径が実質的に同等と見なせるフィルタの層であり、孔径が同じフィルタを複数貼り合わせたようなものや、孔径が実質的に同等である複数の層を貼り合わせたようなものも含むものとする。但し、孔径が実質的に同等である複数の層を貼り合わせたものを含む場合は、外側の層ほど孔径を大きくするのが好ましい。また、上記外層と内層との間で、孔径の大きさは連続的に変化していてもよいし、不連続的であってもよい。
図1に、本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタの一例を示す。
図1に示すように、液体クロマトグラフィー用フィルタ1は、外層2、内層3及び外層4とからなり、外層2と外層4の間に、外層2及び外層4よりも孔径が小さい内層3が挟持された3層構造となっている。液体クロマトグラフィー用フィルタ1は、このような構造を有していることから、通液方向1又は通液方向2のいずれの通液方向の液体クロマトグラフィー用フィルタとして使用する場合でも、異物を効率的に捕捉でき、かつ、異物が詰まることに起因する圧力上昇を防止できる。従って、液体クロマトグラフィー用フィルタ1は、使用時の不注意によって方向を間違えて設置することを防止できる。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタにおいて、上記外層は、上記内層よりも孔径が大きい。これにより、上記外層で大きな異物を捕捉することができ、上記内層において異物が詰まることに起因する圧力上昇を防止できる。また、本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタでは、孔径が同等である外層の間に内層が挟持されている構造であるため、使用時に液体クロマトグラフィー用フィルタの方向を間違えて設置することがない。
上記外層の孔径の好ましい下限は7μm、好ましい上限は20μmである。7μm未満であると、異物が詰まることによる圧力上昇が発生することがあり、20μmを超えると、異物を充分に捕捉できないことがある。より好ましい下限は8μm、より好ましい上限は15μmである。なお、本明細書において、上記孔径とは、ISO4003に規定されているバブルポイント法によって導出されるものを意味する。
上記外層は、金属製、特にステンレス製、チタン製であることが好ましい。また、上記外層は、上記内層と異なる素材からなるものであってもよく、同一の素材からなるものであってもよい。上記外層と上記内層が異なる素材である場合は、上記外層は、上記内層よりも高い強度を有する素材を用いて作製することが好ましい。上記外層と上記内層が同一の素材である場合は、上記外層は、上記内層よりも直径の大きい繊維等を用いて作製することが好ましい。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタにおいて、上記内層は、上記外層よりも孔径が小さい。これにより、上記外層を通過した異物を効率的に捕捉して、液体クロマトグラフィーの流路に設置された場合に、分離カラム部への異物の流入或いは検出部への異物の流入を防止できる。
上記内層の孔径の好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は7μmである。0.1μm未満であると、異物が詰まることによる圧力上昇が大きくなることがあり、7μmを超えると、異物を充分に捕捉できないことがある。より好ましい下限は1μm、より好ましい上限は5μmである。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタの全体の厚みを100としたときの、上記外層及び上記内層の厚みの比は、外層:内層:外層=10〜40:20〜80:10〜40である。上記外層の厚みの比が上記範囲よりも小さくなったり、逆に、内層の厚みの比が上記範囲よりも小さくなったりすると、異物を効率的に捕捉できず、結果的に液体クロマトグラフィー用フィルタの寿命が短くなる。従って、上記外層及び上記内層の厚みの比を上記範囲内とすることで、様々な大きさの異物が混在する生体試料の分析の際に、特に優れた効果を発揮する液体クロマトグラフィー用フィルタとすることができる。なお、上記生体試料とは、臨床検査時に測定される試料のことであり、主として血液、血清、血漿、尿等が挙げられる。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタの全体の厚みの、好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は10mmである。0.1mm未満であると、捕捉できる異物の絶対量が少ないためにフィルタの寿命が短くなる恐れがある。10mmを超えると、液の拡散が大きくなることにより、分離能の低下を引き起こす恐れがある。より好ましい下限は0.2mm、より好ましい上限は3mmである。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタは、全部又は一部に表面処理が施されていることが好ましい。本明細書において表面処理とは、液体クロマトグラフィー用フィルタ表面に化学的処理及び/又は物理的処理を施すことにより、その性質を改変することを意味する。このように表面処理を行うことにより、表面処理をしていない液体クロマトグラフィー用フィルタを使用した場合に非特異吸着等の問題が起こりうる分析条件下であっても、この問題を効果的に回避することができる。
上記液体クロマトグラフィー用フィルタの一部又は全てを化学反応により改変する方法としては特に限定されないが、例えば、加熱や酸等による酸化反応により改変する方法等が挙げられる。上記酸化処理をすることにより、液体クロマトグラフィー用フィルタ表面の一部が改質し、疎水性物質の非特異吸着等を抑制することができる。
また、上記表面処理には、他の物質等を被覆することにより表面の性質を改変することも含まれる。上記他の物質等を被覆する方法としては特に限定されないが、例えば、親水性物質や疎水性物質等の所望の特徴を有する物質を液体クロマトグラフィー用フィルタ表面に被覆させる、いわゆるブロッキング処理等が挙げられる。
上記他の物質としては特に限定されないが、例えば、ウシ血清アルブミン、グロブリン、ラクトフェリン、スキムミルク等のタンパク質やシリコーン、フッ素樹脂等が挙げられる。上記物質を液体クロマトグラフィー用フィルタ表面に被覆させることにより、疎水性物質の非特異吸着を抑制することができる。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタの形状は特に限定されないが、円盤状又は円筒状であることが好ましい。また、本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタが円筒状である場合の直径は特に限定されないが、好ましい下限は1mm、好ましい上限は20mmである。1mm未満であると、捕捉できる異物の絶対量が少ないためにフィルタの寿命が短くなる恐れがある。20mmを超えると、液の拡散が大きくなることにより、分離能の低下を引き起こす恐れがある。より好ましい下限は2mm、より好ましい上限は10mmである。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタの製造方法としては特に限定されず、外層及び内層を別個に作製した後、重ね合わせて3層構造にしてもよく、一度に3層構造を有する液体クロマトグラフィー用フィルタを製造してもよい。また、外層及び内層の孔径は、公知の方法により調整できる。例えば、繊維焼結フィルタの場合には、用いる金属繊維の直径を変えたり、加工時の圧力を変えたりすることによって様々な孔径に調整できる。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタを、液体クロマトグラフィーの流路に設置する場合は、パッキンやホルダに収納して使用することが好ましい。なお、上記パッキンやホルダとしては、液体クロマトグラフィーの流路に設置でき、移動相等が漏れない構造であれば特に制限されない。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタは、生体試料を分析する際の、分離カラム部へ至る流路に設置されるプレフィルタ、或いは分離カラム部から検出部へ至る流路に設置されるカラムエンドフィルタとして使用できる。このような生体試料分析に使用することによって、大量の検体を連続測定したり、血液等の異物を多く含む検体を測定したりする場合にも、異物を効率的に捕捉でき、圧力上昇を防止できる。
また、上記液体クロマトグラフィー用フィルタは、分離カラム部を有する液体クロマトグラフィー用カラムとは別体とし、適宜液体クロマトグラフィーの流路に設置するようにしてもよく、或いは、分離カラム部と一体的なハウジング内に設置し、液体クロマトグラフィー用カラムに組み込んだ構成にしてもよい。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタは、液体クロマトグラフィーに用いられた場合に、異物を効率的に捕捉して、プレフィルタとして使用された場合には下流の分離カラム部への異物の流入を防止することができ、また、カラムエンドフィルタとして使用された場合には検出部への異物の流入を防止することができ、かつ、異物が詰まることによる圧力上昇が少ないため、フィルタの交換を行うことなく多数の検体を測定できる。また、これらの性能を長期にわたって維持することができる。更に、使用時の不注意によって、フィルタの方向を間違えて設置することもない。
また、本発明の液体クロマトグラフィー用カラムは、上記液体クロマトグラフィー用フィルタが装着されているので、長期にわたって優れた分離性能を維持することができる。
本発明を更に詳しく説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
孔径が12μmのフィルタ層1(外層)、孔径が3μmのフィルタ層2(内層)及び孔径が12μmのフィルタ層3(外層)が、この順に積層された3層構造を有するステンレス製の液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。なお、得られたフィルタのフィルタ層1及び3の厚みは各々0.25mm、フィルタ層2の厚みは0.50mmであり、全体の厚みは1mmであった。また、フィルタの外径は5mmであった。
(実施例2)
フィルタ層1及び3(外層)の厚みを各々0.15mm、フィルタ層2(内層)の厚みを0.70mmとした以外は、実施例1と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(実施例3)
フィルタ層1及び3(外層)の厚みを各々0.35mm、フィルタ層2(内層)の厚みを0.30mmとした以外は、実施例1と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(実施例4)
フィルタ層1及び3(外層)の厚みを各々0.10mm、フィルタ層2(内層)の厚みを0.80mmとした以外は、実施例1と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(実施例5)
フィルタ層1及び3(外層)の厚みを各々0.40mm、フィルタ層2(内層)の厚みを0.20mmとした以外は、実施例1と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(比較例1)
孔径が12μmのフィルタ層1、孔径が3μmのフィルタ層2が、積層された2層構造を有するステンレス製の液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。なお、得られたフィルタのフィルタ層1の厚みは0.50mm、フィルタ層2の厚みは0.50mmであり、全体の厚みは1mmであった。また、フィルタの外径は5mmであった。
(比較例2)
孔径が3μmのフィルタ層1の1層からなるステンレス製の液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。なお、得られたフィルタの全体の厚みは1mmであった。また、フィルタの外径は5mmであった。
(比較例3)
フィルタ層1の孔径を12μmとした以外は、比較例2と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(比較例4)
フィルタ層1及び3(外層)の厚みを各々0.05mm、フィルタ層2(内層)の厚みを0.90mmとした以外は、実施例1と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(比較例5)
フィルタ層1及び3(外層)の厚みを各々0.45mm、フィルタ層2(内層)の厚みを0.10mmとした以外は、実施例1と同様にして、液体クロマトグラフィー用フィルタを作製した。
(評価)
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた液体クロマトグラフィー用フィルタについて、以下の評価を行った。
(1)液体クロマトグラフィー用フィルタ及びメンブランフィルタの圧力上昇の評価
得られた液体クロマトグラフィー用フィルタをPEEK製パッキンにはめ込み、流路に接続できるねじ部を設けたPEEK製ホルダに装着した後、図2に示す液体クロマトグラフィーに設置した。
図2は、本評価において用いられる液体クロマトグラフィーの一部を示す模式図である。図2に示すように、移動層6は、送液ポンプ7、試料注入装置8及び液体クロマトグラフィー用フィルタ9を介してメンブランフィルタ10へと送液される。なお、移動相6としてはpH6の50mmol/lリン酸緩衝液を用い、流速1.5mL/分で送液した。また、メンブランフィルタ10は、孔径0.65μmのメンブランフィルタを4枚重ねたものであり、液体クロマトグラフィー用フィルタ9を通過したものを捕捉するためのものであって、実際の分析系における分離カラム部の役割をする。
検体としては、ヒト健常人血を界面活性剤を含むpH7のリン酸緩衝液によって200倍に希釈したものを用い、上記ヒト健常人血を1000検体連続して測定し、液体クロマトグラフィー用フィルタ及びメンブランフィルタの測定前の圧力値(0MPa)と1000検体測定後の圧力値の差を求めた。結果を表1に示す。なお、表1の通液方向は、移動層の流入が、フィルタ層1、2、3の順(実施例1〜5、比較例4、比較例5)及びフィルタ層1、2の順(比較例1)の場合を通液方向1とし、フィルタ層3、2、1の順(実施例1)及びフィルタ層2、1の順(比較例1)の場合を通液方向2とした。
Figure 0004897282
表1に示すように、実施例1、2及び3の液体クロマトグラフィー用フィルタは、液体クロマトグラフィー用フィルタ圧力値、メンブランフィルタ圧力値ともに上昇がなかった。また、実施例1の液体クロマトグラフィー用フィルタは、通液方向1及び2の両方向からの通液に対して、圧力値の上昇がなかった。これは、どちらの向きに設置しても異物を充分に捕捉でき、かつ、多量検体測定時においても詰まり等の問題の発生が少ないことを示す。
なお、実施例4及び5の液体クロマトグラフィー用フィルタは、液体クロマトグラフィー用圧力値に若干の上昇があったが1000検体測定可能なレベルであった。
一方、比較例1の液体クロマトグラフィー用フィルタは、通液方向1の場合にはフィルタ圧力値の上昇はなかったが、通液方向2の場合にはフィルタ圧力値の上昇があった。メンブランフィルタ圧力値の上昇は、両方向ともなかった。これは、比較例1の液体クロマトグラフィー用フィルタは、分離カラム部へ損害を与えないが、通液方向2の場合では、通液方向1に比べて使用できる期間が短いこと意味する。即ち、使用時に液体クロマトグラフィー用フィルタを設置する方向を間違えると、液体クロマトグラフィー用フィルタの寿命が短くなることを意味する。
なお、比較例2、4及び5の液体クロマトグラフィー用フィルタは、液体クロマトグラフィー用フィルタ圧力値は上昇したが、メンブランフィルタ圧力値の上昇はなかった。また、比較例3の液体クロマトグラフィー用フィルタは、液体クロマトグラフィー用フィルタ圧力値の上昇はなかったが、メンブランフィルタの圧力値が上昇した。
(2)Hbの非特異吸着抑制効果の評価
実施例1の液体クロマトグラフィー用フィルタを、0.01%のウシ血清アルブミンのリン酸緩衝溶液に40℃で1時間浸漬することによって表面処理を行った。次いで、上記表面処理をした液体クロマトグラフィー用フィルタ及び上記表面処理をしていない液体クロマトグラフィー用フィルタを用いて、液体クロマトグラフィーシステム(島津社製LC−6Aシステム)によって、以下の条件でHb回収率試験を行った。
なお、Hb回収率は、同一検体を10回測定した場合の後半3検体のピーク面積比の平均値から導出した。上記ピーク面積比は、液体クロマトグラフィー用フィルタをセットしない状態で得られるピーク面積を100%とした場合の、上記表面処理をした液体クロマトグラフィー用フィルタ又は上記表面処理をしていない液体クロマトグラフィー用フィルタをセットしたときに得られるピーク面積の比である。従って、ピーク面積比が100%に近い程、液体クロマトグラフィー用フィルタ表面へのHbの非特異吸着が抑制されていることを意味する。
移動相:A液=50mMリン酸緩衝液(pH5)
B液=500mMリン酸緩衝液(pH5)
流速:1.5ml/分
検出波長:415nm
測定検体: ヒト健常人血(界面活性剤を含むリン酸緩衝液(pH7)による200倍希釈品)
Figure 0004897282
表2に示すように、上記表面処理をした液体クロマトグラフィー用フィルタの場合は、Hb回収率が100%に近い値を示したのに対して、上記表面処理をしていない液体クロマトグラフィー用フィルタの場合は、非常に低い値を示した。これは、上記表面処理をしていない液体クロマトグラフィー用フィルタの場合には、液体クロマトグラフィー用フィルタ表面にHbが非特異吸着したためであると考えられる。即ち、非特異吸着が問題とならない検体を測定する場合には特に必要ではないが、非特異吸着が生じるような検体を測定する場合には、表面処理を施すことが非常に効果的であることがわかる。
本発明は、上記現状に鑑み、異物を効率的に捕捉することができ、かつ、異物が詰まることに起因する圧力上昇がない液体クロマトグラフィー用フィルタ及び該液体クロマトグラフィー用フィルタが装着された液体クロマトグラフィー用カラムを提供することができる。
本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタの一例である。 本発明の液体クロマトグラフィー用フィルタを含む液体クロマトグラフィーの一部である。
符号の説明
1 液体クロマトグラフィー用フィルタ
2、4 外層
3 内層
5 液体クロマトグラフィー
6 移動層
7 送液ポンプ
8 試料注入装置
9 液体クロマトグラフィー用フィルタ
10 メンブランフィルタ

Claims (6)

  1. 外層、内層及び外層が、この順で積層された3層構造からなる液体クロマトグラフィー用フィルタであって、前記外層は、前記内層よりも孔径が大きく、外層の孔径は7〜20μm、内層の孔径は0.1〜7μmであり、かつ、全体の厚みを100としたときの厚みの比が、外層:内層:外層=15〜35:30〜70:15〜35であることを特徴とする生体試料分析用の液体クロマトグラフィー用フィルタ。
  2. 生体試料が血液であることを特徴とする請求項1記載の液体クロマトグラフィー用フィルタ。
  3. 全体の厚みが0.1〜10mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の液体クロマトグラフィー用フィルタ。
  4. 表面処理が施されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体クロマトグラフィー用フィルタ。
  5. 表面処理は、疎水性物質の非特異吸着を抑制するものであることを特徴とする請求項4記載の液体クロマトグラフィー用フィルタ。
  6. 液体クロマトグラフィーによる生体試料の分析方法において、請求項1に記載された液体クロマトグラフィー用フィルタをプレフィルタ又はカラムエンドフィルタとして流路に設置することを特徴とする、生体試料の分析方法。
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